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TOPICS


1.最近の出版は次のとおりです。いずれも実務書であり、画像は本HPの左
 側の回転板あるいはアマゾン等で、ご確認ください。
 (1)『募集株式と種類株式の実務〔第2版〕』…………2014年5月発売
 (2)『事例で学ぶ会社法実務【会社の計算編】』………2014年7月発売
 (3)『親子兄弟会社の組織再編の実務〔第2版〕』……2014年7月発売
 (4)『事例で学ぶ会社法実務【設立から再編まで】』…2014年7月発売
 (5)『「会社法」法令集〔第11版〕』…………………2015年3月発売
 (6)『「会社法」法令集〔机上版〕』……………………2015年5月発売
 (7)『改正会社法と商業登記の最新実務論点』…………2015年11月発売
 (8)『会社法務書式集〔第2版〕』………………………2016年3月発売
 (9)『組織再編の手続〔第2版〕』………………………2016年7月発売
 (10)『論点解説/商業登記法コンメンタール』…………2017年2月発売
  (11) 『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会』
                       …………2017年4月発売
  (12)『総務・法務担当者のための会社法入門』…………2017年10月発売

徒然日誌


2018.01,22(月)【選任懈怠中の解散・会社継続】
(金子登志雄)

 商業登記倶楽部の実務相談室で、選任懈怠中の会社の解散や会社継続に関す
る質問が増えてきましたので、土日に、想定問答を作り真剣に取り組んでみま
した。選任懈怠のない会社の解散しか取り扱ったことがなく問題意識が薄かっ
たためです。

 難問でした。共著のある立花・幸先司法書士にも意見を聴いて、やっと少し
まとまってきましたが、まだ途中経過です。

----------------------------------------------------------------------
 取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの甲社(取締役会設置会社・監査
役設置会社)の登記記録をみると、全員が平成17年6月28日に重任という
登記がなされており、定款をみると、3月末決算で、取締役は2年、監査役は
4年の法定任期どおりだったとします。また、平成17年6月以降、役員の改
選決議はしていないもの(登記懈怠はなく選任懈怠のみ)とします。
----------------------------------------------------------------------

 甲社で平成29年12月(下記②時期)に株主総会で解散決議をしたところ、
取締役Cから同時に辞任表明がなされました。清算人選任決議はなされていま
せん。

 会 社→→→→事業会社→→→→→→→|②→→清算会社→→→
 取締役→→→|①……権利義務者……→|→→→清算人→→→→
 監査役→→→→→|①…権利義務者…→|→任期なし監査役→→

 さて、取締役ABCの①時点の退任登記が必要でしょうか。

【否定説】
 昭和49年11月15日民四5938号依命通知に、権利義務取締役も法定
清算人になるとあるし、登記懈怠は登記しなければならないが、選任懈怠は登
記不要とも読める。また、会社継続に関する下記の法務局HPでも、法定清算
人の登記の前提に取締役の退任の登記をしていない。これが登記実務であり、
法定清算人制度は前任取締役(権利義務者を含む)につき申請により抹消する
のではなく、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹するものだ。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001189039.pdf

【肯定説】
 株主総会の決議で清算人を選任したときは、権利義務取締役の退任登記の環
境が揃ったとして退任登記しながら、法定清算人制度を採用したというだけで、
退任登記が不要になるとは思えない。退任登記と法定清算人制度は両立するの
であり、上記昭和49年依命通知も、退任登記が不要になるとまでは記載して
いない。同通知が必要だとする取締役の変更登記には選任懈怠も含むというべ
きであり、法務局HPは退任登記を漏らしただけだ。

 私見は肯定説であり、商業登記規則72条により、登記官が職権で朱抹する
のは任期中の取締役に限られると思っています。

 次の問題は取締役Cも法定清算人になるのかということですが(これは幸先
司法書士からの問題提起です)、清算会社になると清算人は1人でもよくなり
ますから、Cについては法定清算人にならないと考えます。これは上記否定説
も同じだと思います。

 最後に、監査役Dですが、解散しても監査役設置会社は継続しますから、解
散によってDの任期満了退任の登記の環境が整備されたとはいえません。権利
義務者のまま解散後も監査役を継続し、後任が選任されれば、上記の表の①の
ときに任期満了退任となります。上記否定説の発想で、権利義務監査役が解散
によって任期の定めのない監査役に変身したと考えることは困難です(注)。

 以上については、みなし解散後の会社継続で、よく問題になりますので、下
記をご検討ください(私は批判的な意見であることは前記しました)。
   http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-26

(注)公開会社又は大会社の監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役
が選任懈怠中に解散すると、この監査等委員は監査役になります(477条5
項)。この場合は、監査役設置会社が継続したわけでもないため、解散と同時
に監査等委員である取締役の任期満了退任の登記が必要だと考えます。



2018.01.19(金)【みなし解散の日】(金子登志雄)

 きんざい『商業登記法コンメンタール』294頁に、会社法472条の休眠
会社のみなし解散の件で「最後の登記から12年を経過したら、その後所定の
手続を経て、登記官の職権により2か月の公告期間の満了の日を原因日付とし
て『会社状態区』に『平成○年○月○日会社法第472条第1の規定により解
散』という登記がなされる」と書きました。

 これにつき、一般社団の事例ですが、法務省のホームページには、原因日は
公告期間満了の日の翌日としているので、改めなくてよいかとの問い合わせを
受けました。確かに、下記には「平成29年12月12日(火)までに、『ま
だ事業を廃止していない』旨の届出がなく、かつ、登記の申請もなかった休眠
会社・休眠一般法人については、平成29年12月13日(水)付けで解散し
たものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします」とあります。

   http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

 どう思いますか。

 拙著や拙論文を熟読している方にはお分かりでしょうが、法務省は伝統的に
「期間満了の日」を「翌日」にしているためです。会社法472条には「その
2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす」とありますから、コンメ
ンタールの記載は会社法条文に忠実であり、正しい記載です。

 法務省見解に対しては、コンメンタール291頁で、次のように批判してお
きました。
----------------------------------------------------------------------
 取締役等の重任の登記のように「終了と開始」による変更の登記の際には、
開始の日を基準にするが、株主総会の決議による解散や退任の登記など開始が
ない終了のみの登記は、終了日をもって登記してきたはずだが(会915条2
項・3項も同様)、存続期間の満了や新株予約権の行使期間の満了については、
この原則に反して翌日付で登記されている。いずれ改められることを希望する。
-----------------------------------------------------------------------

 解散の日というのは事業法人終了日(期間の満了日)のことであって、清算
法人の開始日(清算事務年度開始日)のことではありません。言い換えれば、
法務省の記載は解散とみなされた日を登記しているのではなく、清算会社開始
の日を登記していることになります。

 平成29年12月末日までの期間の満了の時に解散したものとみなすとあれ
ば、「平成29年12月31日解散」とすべきであり、「平成30年1月1日
解散」とすべきではありません。平成29年までは未成年で平成30年から成
人だとしたら、平成30年1月1日に未成年終了ではなく、その日は成人の開
始の日です。

 会社法494条に解散の日の翌日から清算事務年度が開始するとありますか
ら、法務省見解では、期間満了日が12月31日だとすると、翌年の1月2日
から清算事務年度が開始してしまいます。

 税務申告で税理士が困っているため、「いずれ改められることを希望する」
とコンメンタールに記載したわけですが、伝統の壁は強固であり、改まる日は
いつになることやら。



2018.01.18(木)【みなし解散のみなし監査役】(金子登志雄)

 神崎先生主宰の商業登記倶楽部の実務相談室に「みなし解散」の質問が続い
ていました。会社継続の相談です。

 さて、取締役ABC(代表取締役A)、監査役Dの取締役会設置会社・監査
役設置会社が休眠会社のみなし解散(会社法472条)になると、事業継続を
前提とする取締役も取締役会も商業登記規則72条により、抹消されて、取締
役の権利義務者だったABCは、法定清算人ABC(代表清算人A)に代わり、
監査役の権利義務者だった監査役は、任期のない監査役に変わります。この会
社は依然として監査役設置会社とされたままです。

 しかし、登記簿には監査役しか登記されていませんから、会社継続の際は法
定清算人の登記をし、任期のない監査役から任期のある監査役に変わるDは任
期満了退任の登記がなされ、会社継続後の役員に交代します。

 以上を前提に、取締役ABC(代表取締役A)、監査等委員である取締役D
EFの監査等委員会設置会社(公開会社又は大会社を前提)が、みなし解散す
ると会社法477条5項によりDEFは監査役に変わります。清算会社になる
と、監査等委員会という機関設計は認められず、商業登記規則72条で監査等
委員会設置会社も、ABCもDEFも抹消され、監査役設置会社に変わるわけ
ですが、法定清算人も、監査役設置会社である旨も監査役DEFも職権で登記
されることはありません。抹消だけがなされます。

 ここで疑問を覚えたのが、この会社を継続する際に、いったんは監査役の設
置を決議し、DEFを監査役として登記しなければならないのかです。

 この点については解説文献もなさそうです。おそらく、会社継続の際は、必
須機関の法定清算人ABC(代表清算人A)だけ登記し、監査役設置会社も監
査役DEFも登記しないで済むのであろうと予想しました。

 監査役設置会社になる旨の決議をしていないのですから、登記は困難ですし、
仮に会社継続後の機関構成が取締役会設置会社・監査役設置会社であっても、
監査役の設定日が会社継続の日ですから、職権解散時から会社継続時までの間
の監査役DEFの登記根拠が見当たりません。

 同じことは監査役「会」設置会社がみなし解散し、会社を継続する際は、会
社法477条3項により、いったんは清算人「会」設置を登記しなければなら
ないのかという問題にも通じます。これも、会社の継続の際は、清算人会の設
置をスルーするのだと予想しました。

 監査役会設置会社や監査等委員設置会社がみなし解散される例は現実にはな
いでしょうから、以上は、机上の問答ですが、こういうごく希なケースでも、
基本通達や登記記録例にはあってもよさそうにと思いました。

 それにしても、登記されない監査役というものが存在する私の解釈はいかが
ですか。異論・反論をお待ちしております。


2018.01.17(水)【今年は?】(藤沢・酒井恒雄)

 皆様、明けましておめでとうございます。遅い新年の御挨拶となりました。

 ちなみに我が家は未だ初詣に行っておりません。子供が小さかったとき、無
理に混雑している場所に連れ出して、怪我でもさせたら良くないということで、
人出が少なくなった頃に初詣に行っていました。

 いつの間にか、それが我が家の定番となり、毎年1月の中旬頃に初詣に行く
ことになっています。登記申請ではありませんが、元旦から遅くとも2週間以
内に初詣に行かなければならないのでは?と思っていましたが、調べたところ
によりますと、節分の日までにお参りに行けばいいのだそうです。

 年初めには、この一年間はどういったカテゴリ―の仕事が多そうだろうか?
と予測をしてみたりします。

 偶然が続いているだけかもしれませんが、私の場合、例年1月に問い合わせ
が多かった案件が、その年を通しても件数的に多い傾向にあります。昨年は解
散の問い合わせが多く、実際に解散・清算結了の仕事の割合が多かった年でし
た。

 そして、何故か解散・清算結了が多い年は、組織再編関連の仕事が殆どない
年になります。この傾向も当たっており、昨年は強制的な?合資会社の種類変
更等を除き、純粋な組織再編はたったの2件でした。今年は組織再編に関する
問い合わせが多いので、どうやら組織再編のお仕事を沢山?させて頂ける年に
なりそうです。

 昨年一年間のブランクによる知識の劣化が懸念されますので、金子先生の書
籍を読み返して、頭にかかった靄(もや)を追い払っているところです。



2018.01.16(火)【年号~西暦と和暦~】
(東京・鈴木龍介)

 今年、初めての投稿です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 今回は新年の話題にふさわしい(?)「年号」について取り上げてみたいと
思います。

 議事録や契約書には年月日を記載するわけですが、日本の場合は西暦と和暦
の2つの表記方法があります。つまり、2018年とするか、平成30年とす
るかということです。

 議事録等については、西暦と和暦のいずれを用いても構いませんが、登記の
世界-登記簿-では和暦で表記されます(調べていませんが、おそらく国内向
けの行政の文書は和暦表記だと思います。)。

 ちなみに、西暦で記載された議事録を添付した登記申請も問題なく受理され
ますが、登記をする際には和暦に引き直することになります。

 最近、特にこの年号の記載に関する質問が多くなった感じがしますが、やは
り背景としては新元号問題が大きいのかな思います。要は現天皇陛下の退位に
伴い来年の4月30日で現在の「平成」が終わり、5月1日からあらたな元号
になるというものです。

 そのあたりを踏まえて、年号をどう記載するのが妥当なのかという問い合わ
せですが、「これまでどおり和暦のままでもよいと思いますが、「気になるよ
うでしたら和暦と西暦の両者を併記-平成30(2018)年-してはいかが
ですか」的な回答をしています(法律的な正解はないですし、お好みでよいと
思っています。)。

 ただ、この和暦と西暦を併記した場合、紙面がかなりうるさい感じになるの
は否めません。

 一方で現場実務的には、年初はこの「年号」に注意する必要があります。何
気なく平成29年とか2017年と書いたり打ったりしがちです。恥ずかしな
がら、過去にこれで登記申請の補正になったことがありまして、自戒を込めま
しての注意喚起です。

 今回の「年号」の話題を書いていて、「元号」も面白そうなので、次回(来
週)は「元号」について取り上げたいと思います。


2018.01.15(月)【定款の空振り規定】(金子登志雄)

 存在・不存在と有効・無効また無益無効・違法(有害)無効は区別しなけれ
ばなりません。例えば、従業員に割り当てた新株予約権がその従業員の退職に
よって行使することができなくなっても行使することができないだけで、原則
として存在はします。消滅まではしていません。はずれ馬券も価値がないだけ
で馬券としては存在していますし、賞味期限切れの飲料も飲めないだけで存在
はしています。別の使い道があるかもしれません。

 会社法308条2項に「株式会社は、自己株式については、議決権を有しな
い」とありますが、これも正しくは議決権は存在するが、行使はできないと考
えるべきでしょう。

 新保さんのブログ(司法書士のオシゴト)に、無意味な端株原簿代理人が定
款に定められている間は登記上も廃止の登記ができないということが掲載され
ていましたが、これも定款には存在し無益無効だが、存在までは否定されない
ので登記も定款から廃止しない限り受理することができないという意味です。
いつか法令の改正で端株が復活するかもしれません。

 こういう存在までは否定されない規定を空振り規定といいます。

 したがって、監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行しても、定款
に社外監査役の責任限定の規定を削除漏れしていたら、やはり、登記はそのま
まです。ひょっとして、そのうち監査等委員会を廃止して監査役会設置会社に
戻るかもしれません。

 よく問題とされるのが、取締役会を廃止したり解散を決議したのに、株式の
譲渡制限規定の「取締役会の承認を要する」を定款上そのままにした場合です
が、これも取締役会という部分が空振りして効力を有しないだけで、規定とし
ては存在しています。

 近い将来に取締役会を再設置したり、取締役会設置会社への会社の継続を決
議するかもしれませんので、常に定款変更義務があるとまではいえないでしょ
う。定款変更義務をいうなら、解散した場合に、定款の事業目的こそ清算目的
に変更すべきであり、これをそのままに譲渡制限部分だけ定款変更せよという
見解には賛同しかねます。


2018.01.12(金)【役員の退任と定款添付の要否】(金子登志雄)

 商業登記規則61条1項に「定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記す
べき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申
請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない」とあります。

 この規定を根拠に、定款の添付の要否が問題になることが少なくありません。
『事例で学ぶ会社法実務』の改訂作業の際も、あちこちで質問がありました。
今日はその中から、役員の退任と定款の添付の要否を取り上げましょう。

 1.辞任するとき、任期中であることを証明するため定款の添付が必要か。

 不要です。規則61条1項の定款の添付は「裁判所の許可書」と同等のもの
ですから、「辞任に定款の許可がいる」といわれたら、誰でも、まさかと思う
ことでしょう。また、任期中でなかったら、任期満了で退任済みなわけで、そ
れを任期中がどうか疑義があるから、辞任を認めないというのは、違法な登記
を残存させよというのに等しい結果になります。

 登記簿に役員として登載されている限り、任期中だという適法な推定が働い
ていると考えない限り、商業登記の存在意義がありません。取引の都度、任期
中の代表取締役であることを証明せよ、登記簿など信用できん、というのと同
じことです。

 2.議事録に「本総会終結をもって任期満了退任」と記載されていれば、こ
れをもって、退任を証する書面として扱われますが、「取締役Aは退任したの
で後任を………」程度の記載では、退任日を証明するため定款の添付が必要で
はないか。

 これはそのとおりです。ただし、商業登記法54条4項の退任を証する書面
として定款の添付が要求されるのであって、規則61条1項が根拠ではありま
せん。退任に許可などいるわけがないからです。

 というわけで、規則61条1項が根拠ではないため、定款の全文ではなく抜
粋でよいはずですが、著作に書こうと思って、先例を探してみましたが、みつ
かりませんでした。当然すぎるから、質問もなかったのでしょうか。


2018.01.11(木)【各自代表】(金子登志雄)

 会社法349条1項と2項に次のようにあります。
 1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会
  社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
 2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社
  を代表する。

 では、代表取締役A、取締役Bの会社でBが辞任したとき、Aは1項本文の
各自代表になったといえるでしょうか。また、Aが辞任し、定款が取締役1人
を許容しているとき、Bに代表権付与が付与され、各自代表になったといえる
でしょうか。

 実は上記のような説明がよくなされています。しかし、私が著者で1種類の
株式しか発行していないのに普通株式というのはおかしい、工業高校や商業高
校があるから普通高校があるのだと書いたのと同様に、取締役が1人なら比較
対象がないのですから、「各自」代表というのは日本語としておかしいですね。

 そこで、今度の改訂版で「1人代表」と表現してみようと思いましたが、取
締役が1人しかおらず、比較対象もいないのに「代表」というのも誤解を招き
そうだなと思いやめました。

 この「代表」は会社の代表という意味で複数の取締役の代表という意味では
ありませんから、純法律的にはおかしくありませんが、平取締役もいないのに
代表とはどういうわけだといわれてしまいそうです。

 いまのところ「1人取締役体制」というのが最も実態に合っていると思いま
すが、面白味もなく、これでは流行りませんね。何かよい命名はありませんか。


2018.01.10(水)【仮想通貨】(島根・根来川弘充)

 皆様あけまして、おめでとうございます。

 昨年末にかけて、仮想通貨の価値が急に上がりました。今、すこし落ち着い
たようですが、それでも、当初の価値からは、ほど遠いものだと思います。

 まったくといっていいほど、無縁な私にとっては、「仮想」といわれる自体
で、一歩引いた目で見てしまいます。


 また、昔、「通貨」について、文献を調べたことがあるのですが、「通貨」
とは、流通や蓄財の手段であり、代替となる品の価値を示すものになっても、
それ自体、価値が無い物である、という趣旨の事が書いてあったと記憶してい
ます。

 価値のないものに、価値がついていくことは、まさにバブルであり、時代を
こえて、同じ事を繰り返しているようにも、思えてしまいます。

 年始にあたり、仮想通貨による詐欺事件が出てこないことを祈念したいと思
います。


2018.01.09(火)【本年も業務執行司法書士】(金子登志雄)

 遅くなりましたが、新年おめでとうございます。本日より、本欄を再開しま
すので、よろしくお願いします。

 年末年始は、それこそ眠っている時間以外の全てを、著書の改訂版に時間を
費やしていました。年末のNHK紅白も年初の初詣も、一切無関係にパソコン
とにらめっこしていました。

 改訂版は、東京司法書士協同組合編の『事例で学ぶ会社法実務〔設立から再
編まで〕』ですが、3年以上前の出版のため株主リストも本人確認証明書も入
っていないので、その後の論点を加筆し、旧論点を見直すためです。

 純粋の新著には意欲がわきますが、改訂版のような見直し作業は疲れるだけ
なので、いつも執筆にご協力をいただいている立花・幸先さんに丸投げして楽
をしたかったのですが、既に383頁もあり、これに新論点が加わると400
頁をはるかに超えるため、慌てて、既存の部分の一部をカットしたり、余白の
行を詰めたりと、空き領域の拡大に勢力を費やしていました。

 ここまでは楽な作業でしたが、この結果、図表が2つの頁に分裂するなどの
2次災害(?)が、あちこちで発生したため、このまま立花さん達にバトンタ
ッチするのは申し訳なく、私の仕事の美学にも反しますので、行数調整のため
数行の論点を新項目に加えたり、補足コメントなどを挿入しはじめましたら、
あれも必要だ、これも必要だで、とうとう、全面的に深入りしてしまいました。

 しかし、その甲斐あって、項目は3人で45%も増やしたのに、増頁は10
頁程度に抑えることができました。大成功でした。

 本年最初の出版になると思いますが、既存のものをお持ちの方も「全訂版」
にご期待ください。

 本年も、会社では監視役の監査等委員ですが、こと司法書士業務と執筆業務
では、業務執行司法書士で頑張ります。


2017.12.28(金)【本年もお世話になりました】(金子登志雄)

 本年最後の徒然です。今年もお世話になりました。

 酒井さんの本年は心機二転・三転だったようですが、まだ50歳とは羨まし
い限りです。

 私も50代の頃は著書の略歴欄に生まれ年を書きましたが、還暦を過ぎてか
らは記載をやめました。著者が老人だという一点だけで、色眼鏡で著作を判断
されたくないためです。いまだに頭脳の柔らかさだけは、共同執筆の多い仙台
の立花さんや広島の幸先さんからもお墨付きをいただいています。

 鈴木さんからお褒めいただいた書名『これが新商法だ!これが新登記だ!』
の出版は平成15年で54歳の時でした。初めての法律本でしたので、売れな
いと2度と出版はできなくなると思い、目立つことを重視し、実務に役立たな
い学者本や弁護士本に対して「これこそ新商法だ!」と挑発したわけですが、
やり過ぎかなと思い、かわいらしく「登記本ですよ、まぁ、そう怒らないで」
と添えました。

 あれから、会社法の制定特需にうまく乗り、平成20年頃までは当事務所も
上り坂でしたが、天井を打った後は、いったん下降し安定成長期に入り、ここ
何年も「可もなく不可もなく例年どおり」が続いております。

 坂には、上り坂と下り坂のほかに「まさか」というものがあるようですから、
来年は「運気反転の年」にしたいものです。また、法曹界の末端に身を置く者
として、あの籠池夫婦を面会もさせずに5か月も拘束し続け、精神的に追い詰
め、一切嘘でしたというまで出さない日本の遅れた司法環境が来年は少しでも
改善されることを祈りたいと思います。

 本欄は1月9日(火)から再開します(鈴木龍介さんらは1月14日の週か
ら登場します)。よいお年を。


2017.12.27(水)【節目の年】(藤沢・酒井恒雄)

 本年最後の投稿となります。早いもので明日は仕事納めですね。

 今年は「50歳」という節目の年でした。誕生日を迎えたとき、心機一転で
仕事に取り組もうと誓いました。

 しかし、心機が一転で止まらず、二転も三転もして、ついにはゴロゴロと転
がって止まらなくなったという、なんとも大変な1年となりました。

 業務に対する姿勢が消極的になっていたせいか、開業初年度の水準くらいに
事件数が下降し、ちょっと焦ったりもしました。しかし、途中からは、今年は
「そういう年」なんだと割り切り、事務所内の過去の資料の整理に精を出した
りしていました。

 そんな折、事務所を移転するならこの辺りがいいなぁと考えていた場所に空
き部屋が出ました。そして、近々に引っ越す運びとなりました。最終的には、
今年1年間の出来事や状況が腑に落ちる結果となり、まさに「節目の年」だっ
たのだなぁと思った次第です。

 来年こそは、心機を一転で済ませて仕事に励みたいと思っております。
皆様、よいお年をお迎えください。



2017.12.26(火)【書名】(東京・鈴木龍介)

 以前、書籍の選択等において、「はしがき」を重視しているという話題をア
ップさせていただきましたが、「はしがき」以上に大事なのは、ズバリ「書名」
だと思います。

 先日、某出版社と新しい書籍の編集会議をしたのですが、一番頭を悩ませた
のが「書名」をどうするかということでした。書籍を探す(購入する)場合に、
「書名」、「著者」、「出版社」を手がかりにするのが常道だと思われますが、
最近は、Amazon等の通販サイトから購入等することが多く、実際に書籍を手に
することなくチョイスするとなると、ことさら「書名」は重要になってきます。

 「著者」と「出版社」については、いったん企画がスタートした以上どうに
もならないわけでして、残された「書名」をどうするかということに心を砕く
ことになります。

 ちなみに、私の場合、①類書の検索、②キーワードの抽出、③ターゲット
(主要読者)の想定をしたうえで、決めていますが、結局、「~の実務」や
「~の実践」といったあたりの法律実務書として、あたり障りのないものに落
ち着くのがほとんどです。

 何かヒントはないかと、日ごろから新聞の書籍広告に目を通したり、1か月
に1回程度は大型書店に行って書架を眺めたりして、オッと思うものはメモす
るようにしています。

 そんな中で本コーナーの主宰者の金子登志雄さんの『これ~だ』という「書
名」を初めて見たときは新鮮な驚きがありました。その後、シリーズ化され、
定番として高い支持を集められていますが、正直、私には思いつかない「書名」
でしたし、「書名」にする勇気もなかったと思います。

 ともあれ、ようやく決まった近刊の「書名」が目にとまり、多くの皆様に手
に取っていただけるのを願っています。刊行のあかつきには、本コーナーであ
らためて紹介させていただきますので、内容とともに「書名」についての評価
もいただければと思います。



2017.12.25(月)【平成から新元号への準備】(金子登志雄)

 23日は土曜日とはいえ天皇誕生日で祝日でしたが、2年後に平成時代が終
わったら、「平成の日」として休日になるのでしょうか(昭和天皇の誕生日は
4月29日の「昭和の日」で祝日です)。

 平成も、もう30年とは長いですね。私もあと2年生きていると、昭和、平
成、新元号の3代生きたことになりますが、これは、現在30歳代の人にもい
えることですから、長寿の代名詞にはなりません。

 29年前の平成元年には、私もまだ司法書士ではなく、日本最初のM&A専
業会社で取締役事務局長をしつつ、社長が公認会計士であったため、会計事務
所の事務員の名刺も持っていました。行政書士も登録だけはしていました。

 法務担当は私1人で身近には司法書士もいなかったため、分からない法務手
続問題があれば、法務省の参事官室や登記所その他に電話質問していましたが、
「経営コンサルタント会社の金子」「会計事務所の金子」「行政書士の金子」
と、相手先に応じて、さまざま使い分けて情報収集することができましたので、
実に便利でした。

 さて、2年先の新元号は不明ですが、新株予約権の行使期間につき、「平成
39年〇月〇日まで」などと定めることに、つい躊躇してしまいます。執筆の
際も同じです。任期は10年後の「平成39年の定時株主総会の終結時まで」
などと著作に書き来年に出版すると、数年後に「平成」じゃないと読者に違和
感を持たれてしまいます。

 来年度は上場会社の「新株予約権の発行のお知らせ」などといった情報開示
につき西暦表記を併記することが増えることでしょう。印刷業の株も上がるか
もしれないと、来年度の予想をして時間をつぶす年末の休日でした。



2017.12.22(金)【株券を「ていじ」する】(金子登志雄)

 漢字のお勉強です。次の【ていじ】を漢字にしてください。

----------------------------------------------------------------------
 1.手形法や小切手法で手形・小切手を【ていじ】する。
 2.旧商法517条で有価証券を【ていじ】する。
 3.会社法で新株予約権付社債券を【ていじ】する。
 4.会社法施行規則で株券を【ていじ】する。
----------------------------------------------------------------------

 私のような年配者は、迷わず「呈示」とします。1と2は「呈示」です。し
かし、何と3と4は「提示」でした。

 どうも、昭和の古い時代の法律と違い、その後の法律は「呈示」でなく「提
示」に統一しているようです。いままで全く気付きませんでした。執筆で「呈
示」と書いて、条文をみたら「提示」だったので、驚いた次第です。

 さて、株券発行会社では株券を提示して名義書換を請求しますが、提示です
から提出までは必要ありません。しかし、昔の記名式株券時代は、株券の裏面
に取得者氏名を記載し、会社が登録証印を押す関係で、提出せざるを得ません
でした(学生時代に、証券代行会社において、この記名代行のアルバイトをし
ましたが、確か1日1000円でした)。

 この株券の裏面の記載を裏書あるいは名義書換というのは間違いです。名義
書換というのは株主名簿に株主と記載することであって、株券の裏面の記載は
名義書換済みの証明に過ぎません。また、裏書というのは約束手形が典型例で
すが、取得者が自身で記名押印しリレーするものであるのに対し、株券は会社
が押印します。

 会社法になってからは、記名式株券はなくなりましたが、いまだに発行済み
の株券は記名式ですから、こんな知識も必要かと思い、取り上げた次第です。


2017.12.21(木)【趣味登記・特技登記の司法書士X】(金子登志雄)

 月曜日の古山さんの次の文章は、商業登記専門司法書士みなが感じているこ
とです。
----------------------------------------------------------------------
 商業登記を主戦場としている司法書士は、試行錯誤を繰り返しながら、議事
録をはじめとした書類を作成しているのですが、雛形や先例どおりの書面(内
容)でなければいけないという法律とは関係ないところで否定されてしまうの
は、どうしても納得がいかないものであります。
----------------------------------------------------------------------

 今の時代の商業登記専門司法書士は、顧客が作成した議事録等の登記の添付
書面を確認して登記申請に臨むだけでなく、議事録作成段階から相談を受ける
ことが多く、ああだ、こうだ、これで会社法上は問題ないが登記所によっては
異議を出してくるところもありそうだ………などなどと、あらゆる場合を想定
して相談に対応しています。代行業ではなく法務手続コンサルタント業に近く
なっています。

 また、従来の登記所の運用では問題のない登記も、現在では異議を出される
ことも多くなったため、これに対して、どういう対応策があるかなどと試行錯
誤を繰り返しているだけでなく、添付書面についても、いかに簡略化し、書面
を少なくするかなどにも頭を使っています。

 ですから、これこれしかじかの理由で適法性に疑問があるとの法律論に対し
ては、いくらでも説明いたしますが、こんな書式みたことない、登記が可能だ
という証拠をみせよという非法律論にはほとほと困ります。昔はごく普通の内
容・書式だったものさえ、みたことないといわれることさえあります。

 ところで、名セリフ「私、失敗しないので」という米倉涼子さん主演の「趣
味手術、特技手術」の「ドクターX」の5作目が終わりました。最終回に、手
術前にあらゆる事態の変化を想定して手術に臨んでいるから、急遽、術式を変
更したりするため、「私、失敗しないので」で自信を持っていえるのだという
ようなシーンがありました。

 全国の商業登記専門の司法書士Xも同じです。想定される反論を考えながら
業務に従事しています。私は、執筆のネタにもなるため、反論された場合には、
「なぜ彼はそういう勘違いをしたのか」まで探るようにしています。

 その答えが、あの書式・先例の悪文が勘違いの原因かでは登記所の権威も失
墜してしまいますので、反論大歓迎ですが、法律論でお願いします。また、い
きなり「補正だ、直せ」ではなく、「なぜ、こうしたのですか。根拠は何です
か」と聞いてほしいものです(昔は、こういう電話が多かったのですが、商業
登記専門庁になってからは、なくなりました)。


2017.12.20(水)【先入観】(藤沢・酒井恒雄)

 私の事務所がある藤沢市には、いくつかの大学があります。それゆえ大学生
から、起業の相談も受けることも珍しくありません。

 起業の相談に来る学生の中には、起業したという気持ちだけ旺盛で、あまり
事業の内容については詰めていない学生もいます。

 しかし、多くは具体的に事業計画を立てて、自分のやりたいことをハッキリ
と伝えてきます。それ故と言っていいのか分かりませんが、私は何度もミスを
しそうになります。

 何回か面談をした後、具体的な設立の作業に移るのが常なのですが、以前、
書類調印時に持参してもらった印鑑証明書を見て、そこで初めて依頼人が未成
年者であることに気付いたことがありました。

 考えてみれば、大学1年生であれば、年齢は18歳か19歳が大多数です。
しかし、自分の考え方や将来像、納得できる事業計画をしっかりと伝えてくる
相手と話をしていると、「未成年者」という語句が完全に頭の中から放り出さ
れてしまいます。

 設立する会社が株式会社の場合であれば、未成年者が発起人となること、あ
るいは取締役等に就任することに関して親権者の同意が必要になります。

 設立手続きに関しては、親権者の同意書と印鑑証明書、親権者であることを
証する戸籍謄本等が必要になります。親元から遠く離れて一人暮らしをしてい
る学生も多いので、同意書等の準備に時間がかかることもあります。

 設立のスケジュールが大きく狂う可能性もあるのです。注意しなければと思
いつつ、相変わらず何度も未成年者であることを看過しそうになります。先入
観に囚われないようにしないといけません・・・・・。


2017.12.19(火)【御礼:第2回研究大会無事終了】(東京・鈴木龍介)

 これまでも何度かご紹介させていただきました、「日本登記法研究会」の第
2回研究大会が去る12月9日(土)に約120名以上の方々にご参加いただ
き、盛会のうちに閉会いたしました。


 運営サイドといたしましては、大過なく(?)終了でき安堵するとともに、
参加者ならびに関係者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。なお、当日
の詳細については、「月刊登記情報」(金融財政事情研究会)などに掲載が予
定されておりますので、そちらもご参照いただければと思います。

 そもそも、この「日本登記法研究会」の大きな目標は、学者と実務家がコラ
ボレーションし、“登記”について考えることと理解しております。

 ですから実務家の研究や発表については、実務現場での疑問や課題を自分な
りに考えたものでよいと思っています。むしろ、学者にとっても実務家のその
ようなスタンスが歓迎されるし、彼らにとっても有益なような気がします。


 また、日常の業務では法令や登記先例の枠の中で検討をせざるを得ないとこ
ろを、それらから解放されて物事を考えてみるというのも楽しいと思います。

 「日本登記法研究会」は、今後、学会に移行することを目指しております。
“~研究会”と“~学会”でどう違うかと言われると・・・のところもありま
すが、個人的には少なくとも受ける印象は違うように思います。

 そういうことで、今後ともどうぞ、「日本登記法研究会」にご理解とご支援
を賜りますようお願いいたします。

    日本登記法研究会 http://www.toukihou.jp/


2017.12.18(月)【雛形は法律ではない】(東京・古山陽介)

 前回、法務局から連絡がくる回数が増えているという趣旨の記事を書きまし
たが、その二日後に事件?が起きました。

 登記申請の詳細は長くなるので割愛しますが、某法務局(東京ではありませ
んが、「地方」がつかない大きな法務局)から『おかしい』という理由だけで
2つも指摘が入り、その内一つは本省照会にまで発展しました。

 「何がおかしいのか」というこちらの質問に対しては、主観的な見解のみで
全く法律的ではありませんので、こちらの説明ともかみ合わず議論が成立しま
せん。

 雛形であったり、ドンピシャの先例を求めるのみで、想像力を膨らませてく
れることももちろんありません。

 二日間のやりとりの後、本省照会にかける旨、結果次第では取下げ却下もあ
りうる旨を伝えられ、1週間以上待たされました。

 待たされた挙句、何の連絡もなくオンライン申請の登記完了の通知が届きま
した。

 ホッとしたという思い、当然という思い、1週間以上待たせたのだから、連
絡の一本くらいは・・・という思いと複雑な心境です。

 その他にもここ数週間、「雛形どおりでないから是正せよ」という趣旨の連
絡を受けたり、そのような連絡が来て困っているといった同業の先生やクライ
アントから相談も受けたりで、法務局等への説明等の対応が続きました。

 商業登記を主戦場としている司法書士は、試行錯誤を繰り返しながら、議事
録をはじめとした書類を作成しているのですが、雛形や先例どおりの書面(内
容)でなければいけないという法律とは関係ないところで否定されてしまうの
は、どうしても納得がいかないものであります。



2017.12.15(金)【権利付与と代表権付与】(金子登志雄)

 ストックオプションの税制適格に関する租税特別措置法29条の2に「付与
決議」とあることに違和感を感じる若い人が少なくありません。募集新株予約
権は付与されるものではなく、申込みと割当てによる契約によって取得する権
利だからです。

 この付与は新株予約権の前身である旧商法時代(平成14年3月末まで)の
新株引受権につき「与える(付与)」と使っていたため、これを受けたもので
す。当時のストックオプションは割り当てるものではありませんでした。

 付与ですから単独行為であり承諾なくして権利者になれます。代表権付与と
同様です。株主割当増資の株式の割当てを受ける権利の付与(202条)も無
償割当て(185条)も、義務を負うことがないので承諾が不要です。

 したがって、割当日や発行日というものもないため、新株引受権者が承諾し
ないうちにストックオプションを登記することもできました。

 義務を負うことがないといっても代表権付与は重い責任を負いますから、こ
の制度に関しては、容易に付与を認めるべきではないでしょう。

 そのためか、総会で選定された代表取締役A、平取締役Bにおいて、Aが取
締役を辞任しても、いったん総会で代表取締役を選定すると決めた以上、Bが
自動的に代表取締役になることはない(代表権付与にならない)と考えられて
います(相澤哲ほか編著『論点解説 新・会社法』309頁)。

 Bは代表取締役の器でないから代表取締役として選定されなかった場合が多
いでしょうから、正当な考え方だと思っています。


2017.12.14(木)【代表取締役の定め方(2)】(金子登志雄)

 月曜日と先週の内容の延長ですが、会社法349条3項は次です。

----------------------------------------------------------------------
 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締
役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めるこ
とができる。
----------------------------------------------------------------------

 本文に「………除く」とありますから、これを「株式会社は、定款、定款の
定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表
取締役を定めることができる。「ただし、取締役会設置会社については、この
限りでない。」と書き直せますが、そうすると、取締役会設置会社では、定款
で代表取締役を選定することはできないと解釈されてしまうおそれがあります。

 これでは、登記を効力要件とする特例有限会社の取締役会設置会社への移行
に際し、定款の附則で代表取締役を定めることさえできず、不都合です。

 結論から言うと、「除く」も「この限りでない」も単にこの規定は本文は適
用されないというに意味に過ぎず、それ以上でもそれ以下でもなく、積極的に
新たな規律(取締役会設置会社では定款で代表取締役を定めてはならない)を
定めたものではないということです。

 つまり、「非取締役会設置会社は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選
又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができ
る」というだけの規定であり、お隣り(取締役会設置会社)にはできないと余
計な口出しをした規定ではないということです。

 やはり、「この限りでない」は誤解を招く規定といわざるをえません。


2017.12.13(水)【連載】(藤沢・酒井恒雄)

 「月刊登記情報(金融財政事情研究会)」で連載をさせて頂いていた、「知
識から実務へ「そこから先」を知るための定款対談」の合同会社編が、今年で
終了となりました。

 当初は、株式会社編の半分の全6回くらいの連載を予定していたのですが、
結局、全10回まで話が膨らみました。

 先日、月刊登記情報の編集部の方々とお会いする機会があり、連載の感想を
お聞きすることができました。このとき編集部の方から、「対談形式で話が進
んで行くが、シナリオを基にして会話をしているのか?」という質問を受けま
した。

 共同執筆者である野入先生と一緒にシナリオを作って、二人で話し合いをし
ながら原稿を書いていると思われたそうです。しかし、実際はお互い会うこと
は殆どなく、メールでのやりとりが中心でした。

 シナリオもあるようで、ないような感じで書いていました。各回とも、話の
中心となるキーワードがありましたが、サラリと流すはずの題材が深く掘り下
げられたり、お互いのやりとりから思いもよらぬ方向に話が発展したり
と、い
つも何が飛び出すか分からない感じでした。

 ただ、私と野入先生の向いている方向が同じなので、細かい意見の相違はあ
るにせよ、話の展開がバラバラになることがなく、それが面と向かって話をし
ているような臨場感を生んだのかもしれません。我ながら話のリズム感も良か
ったと思います。

 ただ、トントン拍子で話が進むので、原稿が完成した時点では、いつもお互
いに盛り上がって熱くなっている状態でした。そのため、ゲラ校正の際に冷静
な目で原稿を読み返すと、どうしても気になる箇所が出てきてしまい、多くの
手直しを入れることが定番となっていました。

 編集部の方には、真っ赤っかのゲラ校正をお返しすることになって、いつも
大変な思いをさせてしまっていたと思います。しかし、これからも野入先生と
のコンビは続きます!来年1月から、一般社団法人編の連載が始まります。今
から、あれはどう?これはどう?と話しが盛り上がって熱くなっていますので、
引き続き編集部の方々に、ご迷惑をお掛けすることになると思います………。


2017.12.12(火)【信用金庫の合併】(東京・鈴木龍介)

 最近は地方経済の疲弊と相まって、地方金融機関のあり方についての議論を
よく耳にします。そのような中で、地方の金融機関の生き残りの方策として、
金融機関の再編の動きが活発になっており、合併やホールディング化による経
営統合も進んでいます。

 地方金融機関といえば地方銀行がその代表格ですが、より地域に根ざした存
在として信用金庫があります。信用金庫についても再編の波は避けられないよ
うです。

 そのような状況下の信用金庫ですが、株式会社である銀行のように合併はで
きるのでしょうか?

 信用金庫は、信用金庫法(=信金法)の規定に基づき、他の信用金庫と合併
することが可能です。

 そもそも、信用金庫とは信金法に基づき設立された非営利の社団法人で、所
定の金融業務を行う会員協同型の組織です。

 信用金庫は、株式会社と同様に、新設合併と吸収合併することが認められて
いますが(信金法59~61条)、実際上、ほぼ例外なく吸収合併が採用され
ているのは株式会社の場合と同じです。

 ということで、以下、吸収合併を念頭に置くことにしますが、手続のアウト
ラインとしては、おおむね株式会社と同様であり、①合併契約書の作成、②総
会(もしくは総代会)での合併契約の承認決議、③債権者保護手続となります
(信金法59条・60条・61条の2・61条の3)。

 ちなみに、債権者保護手続については、株式会社の場合と同様に、いわゆる
ダブル公告による個別催告の省略が可能です(信金法61条の2第5項・61
条の3第7項/52条3項準用、会社法789条3項・797条3項参照)。
決定的に違うのは合併の効力要件として内閣総理大臣の認可が必要であるとい
うところで、効力発生日は合併契約で定めた日もしくは当該認可書が到達した
日のいずれか遅い日という点ですが、これは銀行の合併の場合と同様です(銀
行法30条1項)。

 登記手続に目を転じてみますと、存続金庫については変更登記を、消滅金庫
については解散登記を効力発生日から2週間以内に行うという申請の形式等の
アウトラインは株式会社と同様です(信金法70条)。異なる点としては、登
記申請書には前記の認可書の到達日を記載することと、認可書を添付するとこ
ろです。また、信用金庫に関する登記申請には登録免許税は課税されません。
なお、登記申請の添付書類に関しても信金法に規定が設けられています(信金
法83条)。

 信金法では、信用金庫は他の信用金庫としか合併することはできないものと
されていますが、「金融機関の合併及び転換に関する法律」第3条第1項の規
定に基づき、異種の金融機関と合併できるとされていますので、地方銀行と信
用金庫とで合併することも可能ということになります。ちなみに、信用金庫は、
株式会社と相違して、会社(信用金庫)分割、株式(出資)移転、株式(出資)
交換といった、組織再編行為は認められていません。



2017.12.11(月)【代表取締役の定め方(1)】(金子登志雄)

 株式会社の定款で代表取締役を定められることはよく知られていますが、そ
の根拠条文について検討してみました。

-----------------------------------------------------------------------
(会社法29条)
 株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力
を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、
又は記録することができる。

(会社法295条)
1 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理そ
 の他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、こ
 の法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができ
 る。

(会社法349条3項)
 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締
役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めるこ
とができる。
----------------------------------------------------------------------

 設立時代表取締役については、29条しかありません。取締役会設置会社の
代表取締役についても、349条3項や295条を根拠にすることができませ
んから同様です。

 非取締役会設置会社の代表取締役については、29条と349条3項の2つ
があります。

 直接規定としては349条3項でしょうが、「定款、定款の定めに基づく取
締役の互選」は29条でカバーでき、非取締役会設置会社の株主総会は万能の
決議機関ですから、「株主総会の決議によって」も295条1項でカバーでき
ます。

 この規定は単に旧有限会社法27条の「定款若は社員総会の決議を以て会社
を代表すべき取締役を定め、数人の取締役が共同して会社を代表すべきことを
定め又は定款の規定に基き取締役の互選を以て会社を代表すべき取締役を定む
ることを妨げず」を翻訳しただけだと思われます。旧有限会社法には、会社法
29条や295条1項に相当する規定がなかったため、当時はそれなりに意味
があったのですが、会社法の下では、どうなんでしょうか。

 ところで、商業登記規則61条6項1号に「種類株主総会の決議によつて代
表取締役を定めた場合」とあります。定款でそのように定めた場合だと思われ
ますが、現実に定めることが可能なのでしょうか。10年来の疑問です。



2017.12.08(金)【此の限りに在らずその2】(金子登志雄)

 イスラエルの首都をエルサレムにと、またトランプさんが一騒動を起こしま
した。ロシアゲート問題で相当追い詰められており、政権維持の危機回避策と
して、中東問題や北朝鮮問題に手を出さないかと彼の動向から目を離せません。

 忖度社会の日本のマスコミは、そんなことは無視して、我々の生活とは無関
係な日馬富士問題の追及ばかりですが、皆様は、興味がありますか。

 私には横綱の見せかけだけの品格よりも、我々の生活に密着する公人の品格
のほうがよほど重要であり、なぜ、日本のマスコミは、あの佐川国税庁長官や
準強姦疑惑のY元記者の逮捕をストップした中村格元刑事部長を追いかけ回さ
ないのかと、そちらのほうを不思議に思っています。これも「忖度」なのでし
ょうか。

 さて、本欄のネタ切れですので、昨日の続きです。「この限りでない」のパ
ターンをいくつか会社法から抜き出してみました。

 ①………とみなす。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ②………できる。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ③………できない。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ④………なければならない。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ⑤………効力を生じない。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ⑥………義務を負う。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ⑦………適用しない。ただし、………の場合は、この限りでない。
 ⑧………権利を取得する。ただし、………の場合は、この限りでない。
 
 などなどでした。

 こうしてみると、何に対しても使えそうですが、やはり、曖昧さが拭いきれ
ませんから、「………の場合を除き」と本文の前に置いたほうが誤解を招かな
い表現だといえます。



2017.12.07(木)【此の限りに在らず】(金子登志雄)

 金曜日に「ただし、………この限りでない」は「この限りに非ず」ではなく
「この限りに在らず」だと書きましたが、さっそく実例を調べてみましたら、
大量にありました。

 旧民法9条
 成年被後見人ノ法律行為ハ之ヲ取消スコトヲ得【但】日用品ノ購入其他日常
生活ニ関スル行為ニ付テハ【此限ニ在ラズ】

 旧商法224条ノ3第3項(基準日の規定)
 会社は第1項の日を2週間前に公告することを要す【但し】定款を以て其の
日を指定したるときは【此の限に在らず】

 インターネットで調べたところ、口語の日本語には「在らない」という言葉
がないため、やむを得ず「有る」の否定語である「ない」を用いてしまったよ
うです。その違いを文章で表現するのは難しいのですが、要するに「例外」や
「適用対象外」を意味する表現だということです。

 例外ですから原則と同じ事柄についての規制でなければならず、「自動車は
車道を時速60キロ以下で走らなければならない。ただし、高速道路ではこの
限りでない」などと用いるのであって、状況が相違した場合は例外だとするわ
けです。「鳥を取ってはいけない。ただし、蝙蝠についてはこの限りでない」
は誤りになります。蝙蝠は鳥に「非ず」であって、例外に該当しません。

 私が、「この限りでない」は本文に「………を除き」と定めた場合と同じだ
と主張していたのは正しかったことになります。株式分割と発行可能株式総数
の関係である次からしても明らかです。

 旧商法218条2項 =【但し】現に2以上の種類の株式を発行したる会社に
付ては【此の限に在らず】

 会社法184条2項=株式会社(現に2以上の種類の株式を発行しているも
の【を除く】。)は、………。


2017.12.06(水)【P.F.ドラッカー】(藤沢・酒井恒雄)

 今年の新語・流行語の年間大賞は、「インスタ映え」と「忖度(そんたく)
」でした。一つは予想が当たりましたね………。

 流行といえば、約7年前に日本でP.F.ドラッカーのブームがありました。

 書店に行けば、平置きの書籍はドラッカーの著書か、ドラッカーに関係する
書籍で埋め尽くされている状況でした。この頃、「もし高校野球の女子マネー
ジャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」という小説もヒットして、
「もしドラ」という言葉も流行っていました。調べてみたところ、大賞にはな
らなかったようですが、2010年の新語・流行語大賞にノミネートされてい
たようです。

 ドラッカーはマネジメントの神様とも言われている人ですが、ブームが訪れ
る前は、経営学を専攻しているか、MBAの勉強をしている人にしか名前を知
られていない人物だったと思います。私も、友人にドラッカーの書籍を薦めら
れるまでは、その名を知りませんでした。初めて読んだのは「経営者の条件」
という本でした。

 読んでみると、事務所の経営や仕事に対する姿勢等、学ぶところが非常に多
くて、以来、すっかりドラッカーのファンになってしまいました。

 「赤本」と言えば、「大学入試過去問題集」の代名詞ですが、ドラッカー・
ファンの間では「赤本」は「ドラッカー名著集」のことを指します。

 書店の経営書の書棚に行くと、赤い装丁の本が並んでいる箇所がすぐ目に付
くと思いますので、その中に興味を持つ1冊がありましたら一読されることを
お勧めします。特に商業・法人関係の仕事を中心にしている方であれば、読ん
で損はないと思います。

 ブームが去ってから、ドラッカーの名を聞く機会も減って寂しい思いをして
いましたが、意外なきっかけで著書の議論相手になる司法書士仲間を見つけま
した。飲み会の席で見つけたら、逃がさないようにしたいと思っています……
…。


2017.12.05(火)【今週末開催!第2回研究大会】(東京・鈴木龍介)

 以前、一度ご紹介させていただきました「日本登記法研究会」の第2回研究
大会が、いよいよ今週末に開催されます。

 詳細は下記のとおりです。

               記              

日 時:平成29年12月9日(土)10:00~17:00
   (開場9:30)(終了後、懇親会あり)
場 所:日司連ホール
   (東京都新宿区四谷本塩町4番37号/司法書士会館地下1階)
共 催:日本登記法研究会,日本司法書士会連合会、
    日本土地家屋調査士会連合会
後 援:法務省
内 容:〇商業・法人登記関係
     テーマ「商業・法人登記の未来」
     報告① 小出 篤氏(学習院大学法学部教授)
     報告② 西山 義裕氏(司法書士)
    ○日本登記法研究会 定時総会
    ○不動産登記関係
     テーマ「所有者不明土地と登記」
     報告① 吉田 克己氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)
     報告② 櫻井 清氏(司法書士)
     報告③ 戸倉 茂雄氏(土地家屋調査士)
     質疑応答:コーディネイター 水津 太郎氏
               (慶應義塾大学法学部教授)
    〇総括 道垣内弘人氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
参加費:1000円

 参加につきましては先着順(定員100名)となっておりまして、席数が残
りわずかとなっておりますので、参加ご希望の方は、以下のウェブサイトをご
参照のうえ、急ぎお申込みださい。
      http://www.toukihou.jp/event.html


2017.12.04(月)【AIと仕事】(島根・根来川弘充)

 小学生の私の子供が、「数十年後には、コンピューターが人間に変わって、
お仕事の大部分がなくなるらしい。」と、突然、私に話してきました。

 「仕事」が、何かもあまり分かっていないと思い、「誰がそんなこと言って
たの?」と質問したら、「先生から聞いた。」ということでした。

 「ずっと昔に、機械ができたとき、似たようなことがあったけど、結局、い
まもお仕事はあるよ。多分、仕事がなくなれば、別の仕事ができると思うよ。
」と、とりあえずは、答えました。

 確かに人工知能(AI)が、どんどん進化していますが、私は、正直、仕事
がなくなるなどと思わず、楽観的にみています。

 人工知能は、合理的に判断することが求められるのでしょうが、人間社会は、
非合理的なことが多いからです。親子関係などが、代表的なものではないかと
思います。

 私ももちろんなのですが、子供には、合理的で無いものを、すすんで発見し
ていってほしいと思います。



2017.12.01(金)【法令用語を大事に】(金子登志雄)

 立花さん、お褒めの言葉を賜り、ありがとうございます。過去徒然を調べま
したら平成19年4月開始ですから、もう10年以上も本欄を続けていました。

 過去徒然の最初のほうをみましたら、商業登記の申請書では「添付書類」と
なっているが、商業登記法では「添付書面」だということを書いていました。
官報では会社法どおり株券「提出」公告としますが、登記通達など登記の世界
では松井本を含めて伝統的に株券「提供」と使います。

 これだけみても、登記は独特な世界ですが、同じ法務の世界ですから、もう
少し法令用語に敏感になってほしいと思っています。提供というのは情報に対
して使い、株券のような紙は「提出」や「交付」と使うべきです。

 新著(総務・法務担当者のための会社法入門)に次のように書きましたが、
皆様は下記につきお気づきでしたか。
 
 Q:会社法は、「株式を併合する」「株式を分割する」ではなく、「株式の
併合をする」「株式の分割をする」と日本語らしくない表現をするのですか。
 A:そういう「気づき」が法律の勉強には重要です。「株式の併合」「株式
の分割」で1単語(熟語)と考えてください。「定款を変更する」も「定款の
変更をする」といいますので、会社法条文にはよくあることです。イギリスに
行ったら英語を、フランスに行ったらフランス語を、会社法の世界に行ったら
会社法語を自在に扱えるようにいたしましょう。

 ところで、本欄で何度か取り上げた「ただし、………の場合は、この限りで
ない」の意味につき、少々進展がありました。

 「この限りでない」とは、「此の限りに在らず」の口語訳であり「此の限り
に非ず」ではないとのことです。すなわち、この限り(この範疇・範囲・対象)
に属さない(対象外)の意であって、除外を意味する用語であり、否定語その
ものではないようです。

 会社法124条3項に「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の
2週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなけれ
ばならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるとき
は、この限りでない」とありますが、定款で基準日を定めたときは本文の対象
外(適用除外)だから、定款で基準日を定めたときも、間を2週間空けなけれ
ばならないという解釈はできないことになります。

 同様に、商業登記規則61条7項ただし書も7項本文全部を適用除外してい
るから、非取締役会設置会社の取締役の就任承諾書には住所記載が必要だとい
う解釈は成り立ちようがありません。



2017.11.30(木)【プロフェッショナルとは】(仙台・立花宏)

 「細かいこと、それをたとえば一日1時間、20年間やれといわれたら大変
ですよね。本当のプロフェッショナルとは、そういう努力を続けられる人だと
思います」

 先日、日本将棋連盟のホームページを見ていたら、あるコラム(「羽生棋聖
が考えるプロフェッショナルとは? いかに小さな進歩の積み重ねられるか
【将棋と教育】」(安次嶺隆幸))のこの言葉が目に入りました。

 この言葉は、あるテレビ番組で、プロフェッショナルというのはどういう人
だと思うか、という問われたこと対し、羽生善治棋聖の答えたものだそうです。

 羽生善治棋聖といえば、将棋を指さない方でも知らない方は少ないでしょう。
中学生でプロ棋士となり、長年、常に第一線で活躍してこられた、まさに天才
の名にふさわしい方です。その方の言葉だけに、たいへん重みのある言葉だと
思いました。

 将棋界の顔ともいえる方だけに、将棋の対局(試合)以外にも、普及活動の
ためにいろいろなイベントに参加をされたり、講演会をされたりと大変、お忙
しいだろうと思います。

 そうした忙しい合間に時間をみつけて、将棋への努力を続けてこられたのだ
ろうと思います。そうした努力を積み重ねてこられたからこそ、長い間、将棋
界の第一線で活躍されていらっしゃるのだろうと思います。

 司法書士会に目を向けてみても、第一線で活躍されている先生方は、常に、
新しい情報に目を向けたり、実務での疑問点を掘り下げたり、他の方からの相
談に対応されたりと、努力を続けていらっしゃるように思います。

 このESG法務研究会を主宰してこられた金子先生は、毎日、このコラムを
更新していらっしゃいます。こうしたコラムも、月に1回更新するだけでも、
長く続けることはとても大変なことだと思います。それを毎日、しかも、つね
に新しい情報を発信し、また実務論点を掘り下げた結果を公開していらっしゃ
います。それは、日ごろから、常に新しい情報を収集し、そして、実務の視点
から、様々なことを考え続けるなどの努力を続けていらっしゃるからなのだろ
うと思います。

 金子先生以外にも、ブログ等で情報を発信し続けていらっしゃる先生方もい
らっしゃいます。きっと、その先生方も、努力を続けていらっしゃる方なのだ
と思います。

 そうした方達に及ぶはずもありませんが、私も、法改正等や実務の動きにつ
いていけるよう、少しずつでも努力をし、そして、積み重ねていこう、そんな
ことを思いました。



2017.11.29(水)【新語・流行語大賞】(藤沢・酒井恒雄)

 2017年の新語・流行語大賞が、今週末に発表されるようです。ノミネー
トされた30語の中に、なんと「睡眠負債」が入っていました。

 「睡眠負債」については、ウィキペディアで次のように説明されています。

 僅かな睡眠不足が積み重なり「債務超過」の状態に陥ると、生活や仕事の質
が低下するだけでなく、うつ病、がん、認知症などの疾病に繋がるおそれがあ
る。

 日本人のおよそ4割は睡眠時間が6時間未満で、睡眠不足の状態にある。し
かしこれを自覚できていないケースもあり、睡眠不足が蓄積していってしまう。

 2003年にペンシルベニア大学が行った研究によれば、6時間睡眠を2週
間続けた被験者グループの脳の働きは、2晩徹夜したグループと同程度まで低
下している。

 睡眠負債のリスクを取り除く根本的な方法は、不足している睡眠時間を増や
すことである。ただし週末などに「寝だめ」をするのは、日常の生活リズムを
崩すことになり、逆効果となる場合がある。睡眠の先行投資としては、日中に
15分程度の昼寝をすること、メラトニン分泌のために朝の日光を浴びること、
夜間のブルーライトを避けることなども有効とされる。

 徒然日誌には、何度も睡眠ネタで投稿させて頂きました。「自分は流行に敏
感なのだ!」と思いたいところですが、最新の情報に敏感であれば、「睡眠負
債」という言葉にも敏感に反応し、対策も取れていたことでしょう。あんな辛
い思いはしないで済んでいたと思います………。

 ノミネートされた語の中には「ちーがーうーだーろー!」なんていうのもあ
るようです。

 「このハゲー!」でノミネートしたかったのでしょうが色々問題があるので、
それほどインパクトのない方でのノミネートになったのでしょうね。

 「忖度(そんたく)」や「○○ファースト」あたりが大賞になるのではない
かと予想しています………。


2017.11.28(火)【債権法改正以外の民法改正】(東京・鈴木龍介)

 これまでに何度か「債権法改正」を取り上げてきましたが、それ以外の部分
で民法の改正の動きはあるのでしょうか?

 ズバリあるんです。民法は私たちの生活やビジネスの基本となる法律ですの
で、社会の状況等を踏まえたメンテナンスが必要になります。

 まず、相続法については法制審議会での議論は佳境を迎えていますし、成人
年齢については間もなく国会に法案が提出されるようです。また、特別養子に
ついての見直しの議論も本格化しています。

 では、それぞれについて、もう少し詳しく見てみたいと思います。

1.相続法

 現行民法の相続法制は、第2次世界戦後に大改正が行われましたが、今回は
それ以来の大きな見直しです。平成27年に法制審議会で議論が開始し、間も
なく改正の要綱が答申される模様です。

 具体的には、①配偶者の居住権の保護、②預金等の可分債権の遺産分割の取
扱い、③自筆証証書遺言の方式の緩和、④遺留分の法的性質、⑤相続人以外の
者の貢献への考慮などが改正の項目としてあがっています。

 いつ法案として国会に提出されるか等の今後の予定ははっきりしませんが、
相続は誰にも関係することですので、その動向には注意が必要です。

2.成人年齢

 現行民法では成人年齢を20歳としていますが(民法4条)、それを18歳
に引き下がる民法の改正法案が間もなく、国会に提出される見通しです。なお、
民法の改正に先立って、平成26年6月から施行された改正公職選挙法により
選挙権年齢は18歳に引き下げられています。

3.特別養子

 実親が育てることができない事情のある子どもを戸籍上の「実子」と同じ扱
いにする特別養子制度(民法817条の2~817条の11)について、養子
となることができる対象年齢を現在の6歳未満から引き下げるなどの検討がな
されており、今後、民法の改正につながる本格的な議論が開始される模様です。



2017.11.27(月)【自己株式の実務処理Q&A(第4版)】(金子登志雄)

 私もほんの少しだけ執筆に関与している表題の書籍が第4版になり、そろそ
ろ書店に並びます。といっても、税理士・会計事務所向けですから、ぜひ皆様
のお知り合いにお勧めください。第4版ということは、高評価を受け人気があ
るということですから、安心してお勧めすることができます。

               https://is.gd/OrlUw5

 メイン著者の有田会計士は、まだ40代の若さですが、会社の計算に関する
私の相棒です。会社計算規則が制定された際には、よく議論したものでした。
また、彼しか私の議論相手を務まる人がいませんでした。現在でも会社計算規
則について本を書ける公認会計士・税理士は、それほど多くありません。

 彼が雑誌か何かに投稿した記事をみて中央経済が出版を勧めたようですが、
その当時、それを聞いた私は自己株式の本が売れるのだろうかと本気で心配し
ましたが、何とまぁ、蓋を開けてみれば拙著よりずっと売れています。法律本
よりも税務関連本のほうが読者層が厚いとはいえ、有田氏に出版を勧めた中央
経済の担当者の眼力には脱帽しました。

 私の担当は、第1章の「自己株式の見方・考え方・捉え方」ですが、そこで
私は自己株式も一種の種類株式と同様に捉え、利用方法を検討しようと主張し
ましたが、いまもその考え方は変わりません。

 上場会社が株式交換したはずなのに全く登記していないのは、対価を自己株
式としているからです。増資の際も自己株式の交付を含めれば、増資登録免許
税の節約になります。

 なお、都内近県の司法書士会支部様、有田先生を講演に呼んだらいかがです
か。公認会計士でありながら税務に関心が強く、税務の講演も大丈夫です。


2017.11.24(金)【法務局の敵?また一人】(金子登志雄)

 月曜日の古山さんの投稿で、また1人仲間が増えたと喜んでいます。

 商業登記の神様といわれる神崎先生(元登記官)も、反論があればどんどん
いうべきだ、それが登記官を鍛えることにもなるという正当なお考えの持ち主
ですが、私の知る限り、強く反論するのは私と、司法書士のオシゴトの新保さ
んと、台東のMさんと、………と数えるしか思い出せません。

 私はいろいろ言われてきました。半分は褒め言葉と勝手に思っていますが、
「危険人物」「法務局の敵」………。しかし、法務局の中でも私の見解に賛同
してくださる方のほうが多いことを知っていますので(拙著もよく読まれてい
ます)、少しも気にしていません。敵は100人でも味方は1000人です。

 前に書いた記憶がありますが、最大に登記所とぶつかったのは、平成13年
金庫株改正直後でした。詳細は省略しますが、当時の法務省商事課の説明に異
論を唱え、改正法のセミナーの折に、講師だった東京法務局登記官の立花宣男
氏に執拗に食い下がり質問攻めにしたところ、彼も辟易したのか、納得してく
れたのか、法務省とかけあってくれたようで、見解を修正してもらいました。
おそらく法務省参事官室と意見調整してくれたのだと思います。

 当時の商事課も法務局も自信があったので、他人の意見を聞く耳を持ってい
ましたし、こういうことで評価されても恨まれることもありませんでした。こ
れ以来、立花氏とは親しくなりましたし、その昔(旧商法時代)、著書もある
Y氏が東京法務局相談窓口にいた際は、言い争いに近いほどぶつかりましたが、
最後は納得してくれ、それ以来、親しくなりました。「オヌシ、できるな」と
評価してくれたようです。

 その当時から感じていることですが、国家試験を受けてきた民間の我々は法
令の原理原則から考えるのに対し、登記所サイドは先例や経験で「登記はかく
あるべし」との主観で判断する傾向があるため、時たま意見の不一致が生じて
しまいます。ただ、登記所にも優秀な方々がたくさんいますので(最近はこれ
を感じさせてくれないのが残念です)、頑張り続ければ、いつか納得してくれ
るものです(当局の面子にかけて変更するとはいえない例外もありますが)。

 登記所と司法書士は切磋琢磨し、登記実務を高めて行く関係にあります。司
法書士法2条に、「司法書士は、………、業務に関する法令及び実務に精通し
て、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」ともありますので、公
正と思えない運用に異議を出さないのは司法書士法違反だと思っています。



2017.11.22(水)【2分の1成人式】(藤沢・酒井恒雄)

 「2分の1成人式」という言葉を聞いたころがありますか? 読んで字のご
とく、二十歳の半分、つまり十歳のお祝い行事のことです。

 私は、その言葉自体は知っていましたが、写真スタジオ等の業界が勝手に考
えた、集客のキャッチフレーズだと思っていました。実際は公式の行事に近い
ようで、学校ぐるみで式典を行ったりしているところもあるようです。

 式典では親に対して感謝の手紙を読み上げたり、合唱をしたりするそうです。
しかし、生徒の中には家庭環境に恵まれていない子や、児童虐待を受けたこと
がある子もいるので、半強制的に感謝の手紙を書かせること等が問題になり、
学校が主催する式典は減ってきているそうです。

 この2分の1成人式ですが、子供たちからは不評のようで、ほとんどの子が
「面倒くさい」と思っているようです。かたや親としては大好評のようで、諸
事情を配慮して、式典の開催を止めた学校に対しては、開催しないことへの苦
情が寄せられたりするそうです。

 先日、近所の神社にお参りに行ったのですが、七五三の祈祷に訪れた家族で
賑わっていました。もしかしたら、私的に十歳のお祝いの祈祷に訪れていた家
族もいたかもしれません。

 三・五・七・十と来て、次はニ十歳の成人まで何も祝い事がないとなると、
また新たなお祝い行事が誕生するかもしれません。それが理由で十八歳が成人
となることはないでしょうけど………。


2017.11.21(火)【はしがき】(東京・鈴木龍介)

 前回に続き、今回も書籍関連で、「はしがき」についてです。

 「はしがき(端書き)」とは、辞書を紐解いてみますと“論文や書籍の初め
に、その取り扱う範囲や内容の要約などを記した文。序文”となっていますが
(新村出『広辞苑(第6版)』岩波書店、2008)、編著者がしたためる、
書籍の冒頭を飾る一種のメッセージのようなものと理解しています。

 個人的には、この、「はしがき」というものを結構、重視しています。「は
しがき」に何をしたためるかの絶対のルールはないと思いますが、私が編著者
として「はしがき」を書くにあたっては、刊行の背景・趣旨と章立てレベルで
の内容の説明をしたうえで、特色とどのように利用していただきたいかを簡潔
に書くようにしています(最後に出版社の方々等への謝辞も書きますが)。つ
まり、「はしがき」を読めば、どんな書籍なのかがわかるように構成している
つもりです。ただ、1~2ページという分量で、それを実現するのでは容易で
はなく、それなりの工夫や慣れも必要です。

 一方、自分が読者となる場合、まず「はしがき」を読むようにしています。
特に法律の専門書や実務書は通常、通読はしませんので、「はしがき」を読ん
で(プラス目次にザッと目を通して)、どんな書籍なのかをインプットしてお
き、必要なときに取り出すという感じです。また、書店で本を手に取って購入
する場合にも、「はしがき」を読んで、購入するかどうかを決めることが多い
です。

 ですから、良い「はしがき」は、有用かつ読んだり買ったりする意欲のもと
になるといえます。

 「はしがき」は、書籍の執筆作業の最終段階の刊行直前に書くのが一般的で
す。そんなことで、今、仕掛中の書籍について、早く「はしがき」が書ける状
態まで持っていけるようにしたいものです。


2017.11.20(月)【法務局対応】(東京・古山陽介)

 11月10日の金子先生の記事を拝見していて、そういえば最近、地方の法
務局から補正の連絡や、確認が増えていることに気が付きました。いずれも東
京以外の管轄法務局からであり、内容的には大したことはありませんが、参考
までに連絡を受けた事例をまとめてみました。

1.就任承諾書の住所と本人確認証明書の住所の記載の不一致
 
 就任承諾書に本人が書いた住所が、本人確認証明書(住民票等)と違うとい
う指摘が数件ありました。

 具体的には、住民票の住所は「○○市○○町一丁目1番1号」や「○○郡大
字○○」となっているが、本人が書いた就任承諾書には、「町」や「大字」が
抜けていて、同一性が確認できないので、就任承諾書の差し替えを求められた
事例です。

 これらの指摘に対しては、「町」や「大字」が書かれていないことをもって、
同一人物ではないとは言えず補正する必要はないと考える旨を伝えて、補正す
ることなく登記が完了しました。

2.種類株式の内容の登記事項

 普通株式の内容:①剰余金の配当なし ②議決権あり
 無議決権株式の内容:①議決権なし ②種類株主総会の排除

 を定款に規定を設けた事例で、普通株式について、①と②を登記すべき事項
に記載して申請したところ、普通株式に議決権があるのは当然のことで、登記
事項にはなじまないので登記すべき事項から削除せよという内容の補正通知が
届きました。

 これに対しては、以下のとおり回答し、内部での再検討を要請しまして、結
果、当然の記載ではあるが却下はできないということで補正通知を取消しても
らいました。

 ・会社法第108条第1項第3号の定めであること
 ・種類株式発行会社においては、「普通株式」も株式の種類の「名称」にす
  ぎないこと
 ・そもそも会社法では「普通株式」という規定(概念)がないこと
 ・普通株式であっても議決権がない旨を定めることが可能であること
 ・上場企業でも同様の登記事例があること
 ・登記事項に馴染まないという判断は、登記官の主観的であること

 この登記については、事前の電話での確認もなく、いきなりオンライン申請
の補正通知が送られてきたのですが、せめて先に電話で確認してもらいたいな
と思いました。

3.辞任届への住所の記載の要否

 「辞任届に住所の記載がないことは問題ないよね?」という確認の電話もあ
りましたが、これについては、金子先生の記事と重複する内容ですので、詳細
は金子先生の記事をご確認いただければと思います。もちろん、住所の記載が
ないことは問題ありません。


2017.11.17(金)【新聞での同時公告】(金子登志雄)

 減資公告や合併公告等では、債権者に財務内容を示すため、官報の何頁に決
算公告しているなどと記載しますが、決算公告をしていない場合には、公告文
の横に最終貸借対照表を公示する方法があります。

 これを同時公告などといいますが、そういう名称になったのは、「減資等公
告」と「決算公告」が同時になされたとみられるからでしょう。

 ただし、日刊新聞を公告方法とする会社が官報に同時公告したところで、定
款に定める公告方法に従った決算公告ではありませんから、これで決算公告し
たことにはなりません。

 定款に定める公告方法が官報であれば、正式な決算公告になりますから、官
報に同時公告した後であれば、その後の債権者宛の催告書には「最終貸借対照
表は官報何頁に公告しております」と記載することができます(損益計算書ま
で公告する大会社を除く)。

 ところで、日刊新聞を公告方法とする会社が官報と日刊新聞の両方に減資や
合併等の公告をすると、債権者への個別催告手続を省略することができます。

 通常は、官報公告と新聞での公告は同日に掲載するか、官報の掲載が先行す
ることが多いのですが、最近は新聞公告を先にする会社もあります。

 決算公告をしていなかった会社が先に日刊新聞に同時公告を掲載すると、こ
れで決算公告したことになりますから、その後の官報公告には「最終貸借対照
表は〇〇新聞何頁に公告しております」と書けるからです。

 結果的に、催告(の代用)が法定公告である官報よりも先になされたことに
なりますから、頭の固い方には、決して考えつかない方法ですね。官報の掲載
が号外での掲載になりませんから、掲載日数も費用も節約でき、うまいことを
考えつく会社もあるものです。



2017.11.16(木)【管轄外本店移転】(金子登志雄)

 「玲文=レモン」はまぐれ当たりでした。最初からレモンとつけようと当て
字にしたのだろうかと推理しました。檸檬ちゃんだと、自分の名前を書けない
からでしょうか。私も書けませんけど。

 さて、今月は偶然にも管轄外本店移転が3件もあり、簡略方式に初挑戦して
みました。

 例えば、東京から横浜に本店移転する際には、横浜への申請書の登記すべき
事項に、次のように記載するだけです。

  「本店」横浜市・・・・・・・・・・
  「原因年月日」平成〇年〇月〇日移転

 まだ2つだけですが無事に終わりました。楽でいいですね。とくに助かるの
は誤字脱字は登記所の責任になることです。

 昔は登記所も手打ち入力でしたから、よく間違えていました。ところが電子
申請になると、当方が作成した登記事項欄を写すだけの作業になったため、ミ
スは当方の責任になってしまいました。昭と詔もこれで間違いました。

 ところで、管轄外本店移転で、この方式が可能であるということは、移転先
の横浜法務局の担当者は移転元の東京法務局の登記中の登記記録を閲覧できる
ということではないでしょうか。

 そうだとすると、管轄の垣根はますます低くなり、そのうち、管轄はなくな
り、どこの登記所に提出してもよいということになるとうれしいですね。そこ
で、各登記所で競争し、当登記所は期限付解散や代表取締役の予選でも何でも
受け付けますとか、登録免許税を値引きしますよなど競ってもらえば、さらに
うれしいのですが、加計さんのように権力者に近くないと、日本社会では何を
要求しても無駄ですね。

 そういえば、書類送検で済む事件なのに、大阪地検特捜部に口封じ逮捕され
た、あの愛すべきキャラの籠池夫婦は、もう3箇月も経つのに、いまだに接見
さえも許されない状態が続いており、その精神状態が心配です。



2017.11.15(水)【名の読み方②】(藤沢・酒井恒雄)

 前回のクイズの解答です。
 正解は、「玲文=レモン」「波音=ハノン」「希愛=ノア」でした。

 みなさん、どれだけ当たりましたか?

 金子先生は流石ですね。レモンさんは正解ですし、ノアさんも予想されてい
ました。

 私は、希愛さんについては、「ノゾミ」という読み方ありきで、一文字だけ
の名は避けたい、あるいは画数に問題があるとして、発音しない「愛」の字を
足したに違いないと、変に深読みしてしまいました。素直に親の子に対する願
いを想像すれば、ノアという読み方に到達したかもしれません。

 ことの始まりは、子供が持って帰ってきた学校のクラス名簿でした。一緒に
名簿を眺めながら、隣の席の子がこの子で、前の席がこの子だとか、他愛もな
い話をしていたのですが、私が何度か名を間違えて読んだことをキッカケに、
名簿に書いてある名を一人ずつ読み上げるというクイズに発展しました。

 男子の名はあまり間違えずに読めたのですが、女子の名はかなり間違えまし
た。同じ漢字であっても読み方が違うなど、圧倒的に女子の名のバリエーショ
ンの方が豊富でした。

 先日、米国大統領のトランプ氏の娘であるイバンカさん(大統領補佐官だそ
うですが・・・。)が来日し、女性の社会進出をもっと推進するようにと説い
ていました。

 今でも、大企業では女性の管理職や役員へ登用を積極的に進めている傾向に
ありますが、更に女性の社会進出が推進されると、この流れが中小企業にまで
及ぶようになるかもしれません。

 女性の起業家も増加傾向にありますから、クラス名簿に載っている子たちが
社会で活躍する頃には、役員の大多数を女性が占めている時代になっているか
もしれません。役員欄の名が殆ど読めなくなる日もそう遠くないような気がし
ます。


2017.11.14(火)【書籍の改訂】(東京・鈴木龍介)

 ここのところ「債権法改正」の話が続きましたので、今回は閑話休題的に「
書籍の改訂」についてとりあげたいと思います。

 今、これまでに執筆した書籍4冊の改訂作業に取り組んでいます。小説やノ
ンフィクションには、続編はあっても改訂というのはないわけで、法律書なら
ではといえるかと思います。

 書籍が改訂されるというのは、一定の評価をいただいたという証しであり、
筆者としては大変、喜ばしいことです。

 改訂には、大きく2つのパターンがあって、1つは既存版に改正事項等を追
加する、自動車でいうとマイナーチェンジに相当するもので、もう1つは書籍
名やコンセプトを維持しつつ、構成を含め全編を見直すというもので、フルモ
デルチェンジに相当するものです。とりわけ、後者については、基本的には書
き下ろしなのですが、どうしても既存版に引きずられがちになり、一から執筆
する新著より苦労するところもあります。

 法律書の場合、共著というのも少なくありません。共著は、書く分量が少な
くて済むとか、他のメンバーに迷惑はかけられないので期日が守られやすい等
々の良い面もありますが、全体的な調和をとって1冊の書籍とするのは容易で
ありません。これが改訂になると、既存版から数年が経っているのが一般的で、
当時の執筆メンバーが何らかの事情で改訂作業には携われないこともあります。
そうなると、著作権や印税の配分にもケアが必要となってき
ます。

 いずれにしても、今、抱えている改訂作業を〆切までに何とか完了させるべ
く、頑張ります。


2017.11.13(月)【商登法54条と商業登記規則61条】(金子登志雄)

 土曜日は秋田県司法書士会で会社法の講義でした(T先生はじめ皆さんお世
話になりました)。秋田は、親戚があったので、過去何度か訪問していますが、
その親戚も別の県に引っ越したため、30年ぶりの秋田訪問でした。

 さて、商業登記法54条は就任を承諾したことを証する書面や退任を証する
書面についての規定です。この規定と商業登記規則との関係につき最近の当局
の一部は誤解しているようです。

 就任承諾書や辞任届に住所が必要かどうかは商業登記法54条の解釈問題で
あり、商業登記規則61条の問題ではないということです。規則61条は商登
法54条を受けて、就任承諾書や辞任届に添付する書面についての規定です。

 商登法54条は再任も新任も区別していませんから、大昔から就任承諾書や
辞任届に住所までは不要だと解釈されています。住所はその人を特定する要素
であり、氏名から離れて独立の意義をもたないためです。代表取締役に住所が
登記されるのは、責任の所在を明確にするためであり、本人確認証明書を添付
する際に住所の記載が必要なのは「住所氏名の一致」により(住所照合)、本
人の実在性を証明するためです。

 ところで、取締役の退任の登記の際に、株主総会議事録に「本総会終結と同
時に任期満了退任」などと記載していないと、任期満了を証明するため定款を
添付します。

 これにつき、規則61条の「定款の定めがなければ登記すべき事項につき無
効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款を添
付しなければならない」が根拠だと思うかもしれませんが、商登法54条4項
の「退任を証する書面」が根拠です。

 このように昔の当局は商登法54条と規則61条の関係を十分に把握してい
たのですが………。



2017.11.10(金)【代表取締役の辞任届と住所】(金子登志雄)

 昨日はなぜか全国の同職から「登記所からこんなことをいわれて補正になっ
ているがどう思うか」という問い合せの多い日でした。おかげさまで、座って
いるだけで、執筆のネタが集まり助かっています。

 しかし、ここ数年の問い合わせはレベルの低い内容ばかりで、本のネタには
なりません。時々ここで書いていますが法務局の人事異動が頻繁過ぎて、商業
登記の分かる職員がめっきり少なくなってきており、従来は全く問題にもなら
なかったことが今は補正といわれる現状が背景にあります。

 ところで、印鑑証明書が必要な非取締役会設置会社の新任取締役や取締役会
設置会社の新任代表取締役の就任承諾書には個人の実印を押し、印鑑照合で本
人の実在性をチェックするので住所の記載は不要であると、本欄で何度も書い
てまいりましたが、辞任届の場合はいかがですか。

 最近、情報を得て仰天しているところですが、どうもいくつかの登記所で、
辞任届にも住所の記載が必要だという間違った運用がなされているようです。
商登規則61条8項で届出印を押した場合でも同じです。

 根拠を聞くと、テイハン書式精義の辞任届に住所が記載されているからとか、
松井『商業登記ハンドブック〔第3版〕』416頁の注4「登記簿・辞任届・
印鑑証明書の各住所が合致しない場合の取扱い」に「登記簿の住所と辞任届の
住所が合致しない場合には、住所移転の事実があるから、代表取締役の住所の
変更の登記をした上で、その退任の登記をすべきである」を誤解し、辞任届に
は必ず住所を書き、それで住所を移転しているかどうかを示す必要があるのだ
とか。

 少しも論理的ではありません。勝手に法律を作らないでくれと強くお願いし
たい心境です。

 まず、商登規則61条は「添付書面」の規定であり、8項は印鑑証明書の添
付を要求しただけで、辞任届の必要的記載事項を規定したものではありません。
規則61条8項は根拠にできません。

 次に、真に問題とすべきことは住所の記載のない辞任届は商登法54条4項
の「退任を証する書面」に該当するかどうかです。

 これについては明治時代からずっと住所は不要だとされています。辞任は、
登記記録に記録された任期中の者がする行為ですから、実在性は証明する必要
もないし、辞任にあたり、引っ越しはしてませんなどと余計な説明をする必要
もありません。上記松井本は、印鑑証明書を添付した場合に、印鑑証明書の住
所と違う場合の話であり、届出印を押して住所を記載しない場合には、その問
題が生じません。住所を移転していたら、本件とは別に申請すべきことです。

 なお、私の申請を少しばかり調べましたところ、
 ①本年1月に大阪法務局に申請した内容は代表取締役が取締役を辞任したも
のでしたが、住所記載なしの届出印での辞任届で受理されました。
 ②3月に東京法務局に代表取締役のみの辞任を住所記載なしの届出印での辞
任届で申請し受理されました。
 ③4月には東京法務局管内の大きいほうに属す出張所で、②と同様の申請に
つき、あっさり受理されました(この登記所は本局の通知に従順に新任代表取
締役に住所を要求してくるほど固い登記所です。本局に私的に確認しましたと
ころ、代表取締役の就任承諾にはそこまで求めていないといわれましたが)。

 全国の司法書士の皆さん、登記所に対して「よい子」でいると他の司法書士
が迷惑しますので、この件で住所が必要だといわれましたら、本欄をコピーし
て提出して少しは抵抗してみてください。住所記載が望ましいという点までは
賛成しても、書かないと補正だというのには法律家として納得しかねます。

 なお、いつも住所付辞任届にしているから、自分には無関係だという方もお
られるでしょうが、顧客から自筆の住所なしの辞任届が送られてきた場合に、
どう対処するのですか。私は登記所への忖度よりも、法律的に問題がないのな
ら顧客の希望をかなえる司法書士でありたいと思っています。旧商法時代から
登記所や法務省とよくぶつかりましたが、数年後には、理解してもらえ、よい
関係を維持しています。


2017.11.09(木)【氏名の登記】(金子登志雄)

 酒井さん、実をいうと私は「トシオ」ではなく、「ツネオ」が正しい読みで
すというのは冗談で、戸籍にはルビがふられていないので、いろいろ読まれて
も仕方ないでしょう。坂本リュウマとリョウマもそうですね。

 私の名は3文字というところに特色がありますが、1つの読み方しかできな
いのはつまらないものです。

 氏では、東海林もショウジさんにトウカイリンさん、真下もマシタさんにマ
シモさん、茂木もモギさんにモテキさんといろいろあります。東もヒガシさん
とアズマさんだけかと思っていましたら、アヅマさんもいらっしゃいました。
筧もカケイさんだけでなくカケヒさんがいました。

 司法書士のオシゴトの新保さんもご主人からシンポと聞いていたのに、ご主
人の親はシンボさんだったと昔のブログに書いてあり、笑ってしまいました。

 以上からもお分かりのとおり、地域で〇〇〇さんと呼ばれ続けたら、いつし
かその読み方が浸透しますから、新保さんも今日からシンポにすれば、お孫さ
んの代には「うちはシンポです」になることでしょう。元大阪市長の橋下さん
も、ご自身の代で、ハシシタさんからハシモトさんに代えています。

 読み方よりも、老眼の身の私にとっては、文字の方が深刻で何度か自費で更
正登記するハメになったことがあります。「榮」と「滎」、「昭」と「詔」な
ど、気付きにくいものです。

 土曜日は健康診断でしたが、メガネ付きで左目の視力が1.5でしたから、
老眼の問題ではなく、単なる不注意なのかもしれませんが、「玲文」 「波音」
「希愛」なら、私もミスしないのに、と思ってしまいました。

 せっかくですから、読みに参加しましょう。レモン(又はレイヤ)、ナオ、
マレアはいかがですか。希愛はハコブネさんのほうがよさそうですか。



2017.11.08(水)【名の読み方①】(藤沢・酒井恒雄)

 商業登記の登記事項証明書の役員欄を見て、名の読み方が分からない、ある
いは読み方に迷うことがあるかと思います。

 そんな場合、依頼人に対しては、「○○さんとお読みするのですかね?」と
聞くより、「お名前は何とお読みするのですか?」と素直に聞いた方が良いか
もしれません。

 依頼人の中には気難しい方もいらっしゃいます。自分の名前にとても誇りを
持っている方であれば、「違います!」と、強い口調で否定されたりします。

 いつも読み間違いをされる方であれば、「○○ですけど………」と、ウンザ
リした様子で返答されたりします。今は、役員欄の名を間違えずに、正しく読
めることの方が多い気がします。

 しかし、これからは、正しく読むことが難しい時代になりそうです。そこで
クイズですが、次の名前を正しく読めるでしょうか?

  「玲文」 「波音」 「希愛」

 いずれも女性の名です。漢字からかけ離れたような読み方ではありませんが、
なかなかの難題かと思います。ちなみに私は、「れみ」「なみね」「のぞみ」
と読んで、全部不正解でした………。

 正解は次回に発表したいと思います。



2017.11.07(火)【債権法改正~附帯決議~】(東京・鈴木龍介)

 今回も引き続き、「債権法改正」(=改正法)のお話です。

 改正法の成立に際して、国会では何か運用等に関する留意点などが示された
のでしょうか?

 改正法の成立とあわせて、「保証」や「定型約款」を中心に、今後、配慮す
べき事項として「附帯決議」がなされています。この附帯決議について、もう
少し詳しく見てみたいと思います。

 そもそも附帯決議とは、国会の衆議院・参議院の委員会が法律案を可決する
際に、委員会として、法律の運用や将来の立法による法律の改善に関する意見
などを表明するものです。なお、法的な拘束力はありませんが、政府はこれを
尊重し、無視することはできないとされています。

 改正法の附帯決議として、衆議院の法務員会では6項目、参議院の法務委員
会では12項目があげられていますが、まず、民法の改正の重要性を踏まえ、
改正法に関する国民への広報を充実させ、周知徹底に努めることを求めていま
す。

 具体的な内容としては、大きく見直しがなされた保証のうち、とりわけ個人
の保証人の保護を図るための仕組みについて、適切な実務対応がなされること
を求めています。

 また、あらたに設けられた定型約款について、適切な解釈・運用がなされる
ことを求めています。

 さらに、改正法では立法化が見送られた、弱い立場の人をおとしいれるよう
な、いわゆる「暴利行為」は公序良俗違反により無効とする規定について、今
後の状況を見て、あらためて立法化を検討すべきであるとしています。

 その他として、「職業別短期消滅時効廃止の影響」、「中間利息控除の利率
のあり方」、「譲渡制限特約付債権譲渡の効果」、「諾成型金銭消費貸借の運
用」に関する決議がなされています。

 私たちも、この附帯決議の観点から、今後の改正法の動向を見ていくことも
必要だと思います。


2017.11.06(月)【出席した取締役とは】(金子登志雄)

 新著(総務・法務担当者のための会社法入門)につき、続々、知り合いから
感想文が届き感謝しています。税理士さん関係のブログで取り上げて応援して
くださる方もいらっしゃいました。下記の11月2日の投稿ですが、拙著は真
の「街の法律家」ともいうべき会計士・税理士さんの読者が法律関係者よりも
多いかも知れません。
 http://taxmlcheck.jugem.jp/

 意外だったのは、商業登記に強い司法書士の方々からも、これは補助者では
なく本職が読むべき本だと思うとの感想が少なくなかったことでした。

 75項目に細分化され、各項目はすぐに読めるので、机の上に置いて置き、
〇〇の仕事が来たら、その関連部分の数項目を読み、心構えや問題点を把握し
ておくと、何を聞かれても慌てずに、対応が素早くできるということでした。

 確かに、私のような商業登記専門でない限り、たまにしか来ない仕事に対し
ては、ある程度の準備体操が必要ですから、そういう準備体操本としては利用
価値が高いように私も思いました。

 さて、土日にまた小さな新発見をしました。株主総会での途中で新たに選任
され、直ちに就任承諾した新取締役は、株主総会議事録の必要的記載事項であ
る出席役員に含まれるかという論点についてです。

 商業登記規則61条6項3号で、代表取締役選定議案の取締役会議事録に押
印する取締役は取締役会に「出席した取締役」とあります。この取締役は出席
権限をもって出席し、代表取締役選定議案に参加した取締役のことで、オブザ
ーバー参加でも前取締役などは含まれません。

 同61条1号の代表取締役選定議案の株主総会議事録に押印する取締役につ
いても株主総会に「出席した取締役」とあります。同一条文内の同一用語です
から、ここも取締役の立場で出席権限をもって株主総会に出席した取締役であ
り、その総会の途中で新取締役になった者は候補者として出席しただけで権限
をもって総会に出席した取締役というべきではないでしょう。

 旧商法時代は議事録の真正担保を理由に署名義務を課していましたが、その
者の押印がないと席上就任の効果を認めたくないという登記上の配慮が優先し
たからではないでしょうか。登記現場は、実体法的な解釈よりも、手続法の面
から経験則で判断することが多いので、ここも同じではないかと思いました。



2017.11.02(木)【選挙の街頭演説】(島根・根来川弘充)

 先日、私が住む街で市議会議員選挙がありました。

 お世話になった方が初出馬されるとのことで、スタッフとして、正味1日半
ですが、お手伝いをさせていただきました。

 告示日に、街頭演説のための許可証がもらえるのだそうですが、それにより、
一般道路上において演説ができるということをはじめて知りました。

 仕事上法律に携わりながら、まったくといって良いほど、公職選挙法につい
てはしらず、いままで、「何故、渋滞もかえりみず、道路に車をとめるのだろ
う? こんな一般常識のない人は、当選してもらっては困る!」とさえ思った
ことが、何度かありました。

 一般私有地に入ると「個別訪問」とも、受取られる恐れがあるとのことで、
立候補者の皆さんが、それぞれ大変用心されていることを改めて知りました。

 選挙権は、国民主権の根幹である以上、その判断の基準となる立候補者の遊
説活動は、道路交通法よりも優先され、尊重されなければならないということ
なのですね。そう考えると、各立候補者の方々の発言が、とても尊いものに感
じられました。

 ちなみに、私が応援された方は、無事当選されました。市政でのご活躍を心
より、祈念させていただきます。


2017.11.01(水)【高齢者の自動車事故】(藤沢・酒井恒雄)

 高齢者が運転する自動車の事故が後を絶ちません。特に、ブレーキとアクセ
ルを踏み間違えて、歩道や店舗に突っ込んでしまうという事故が多いようで、
つい先日もニュースで事故の模様が報道されていました。

 前進と後退のギアを間違えて、店舗に突っ込んだり、立体駐車場から転落し
たりする事故も多発しています。こうした事故を防止するシステムを備えてい
る車も登場してはいますが、まだまだ普及率は低いと思います。

 先日、400CCのバイクに乗って事務所にいらした方がいました。その方
の年齢は、なんと80歳です。約5年前にもバイクに乗って事務所にいらした
のですが、まだ現役のライダーだったとは驚きです。

 私も学生時代はバイク乗りで、夏休みには北海道にツーリングに行ったりし
ていました。バイクに乗っている人の話を聞いたり、乗ってきたバイクを見せ
てもらったりする度に、「いいなぁ、また自分も乗りたいなぁ。」と思うので
すが、家族の反対や、駐輪場所の問題もあり、いつも憧れの気持ちだけで終わ
ってしまいます。

 年齢に関係なくバイクに乗っている姿は尊敬しますが、やはり事故の心配も
してしまいます。しかし、考えようによっては、バイクは高齢者に適した乗り
物とも思えます。

 バイクの場合、アクセルは手でスロットルを回します。ブレーキは自転車の
ようにハンドルにあるレバーを掴むか、足のブレーキペダルを踏む動作をしま
す。それぞれ操作方法が違いますので、ブレーキとアクセルの操作を間違える
可能性は低いです。

 また、サイドカーのような特殊なものを除き、バイクは後退運転ができませ
ん。ですので、前進と後退を誤ることがありません。転倒の危険があることは
否めませんが、他人を巻き込む重大な事故を起こす可能性を考えると、ある程
度の年齢に達したら、自動車からバイクに乗り換えるのも一つの方法かもしれ
ません。

 もちろん、そんな考えは、自分がバイクに対する未練が生み出したものであ
ることも自覚しています………。



2017.10.31(火)【債権法改正~整備法~】(東京・鈴木龍介)

 引き続き、今回も「債権法改正」(=改正民法)のお話です。

 前回は改正民法の施行前後の経過措置について取り上げましたが、基本法で
ある民法が改正されると他の法律にも相当の影響があるわけで、どのような手
当がなされているのでしょうか。

 改正民法により影響を受ける他の法律については、一言でいうと改正民法と
同時に成立した、いわゆる「整備法」で改正がなされます。

 では、この整備法について、もう少し詳しく見てみたいと思います。

 「整備法」というのは、正式な法律名ではありませんが、他の法律に影響を
与えるような基本的な法律の制定や改正がなされたときに制定されます。

 ちなみに、平成18(2006)年に施行された会社に関する基本法である
会社法(平成17年法律86号)にも「整備法」(平成17年法律87号)が
制定されました。

 改正民法でも、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等
に関する法律」(=本整備法)が制定され、改正民法の施行と同時に施行され
ます。

 本整備法は、全部で216の関係法律が対象となっており、会社法や不動産
登記法も含まれています。中味に目を転じてみますと、改正民法の法律条文(
番号)に合わせた準用条文(番号)や用語の見直しによる形式的な修正が大半
であり、これらはそれほど大きな問題とはなりません。

 一方で、改正民法で実質的に内容が変更になったものについては、それに合
わせた変更が必要になります。たとえば、「買戻しの特約」といって、不動産
の売買で契約時に特約を設けることで、売主がその不動産を買主から買い戻す
ことができるという制度です。

 現行民法ではあくまで売買契約における売買代金により買い戻すことしか認
められておらず、現行の不動産登記法もそれに合わせて、登記事項として売買
代金を登記することになっています。

 これを改正民法では売主と買主の合意による金額でも買い戻せることとした
関係で、合意による金額を定めた場合にはその金額を登記するという不動産登
記法の改正が本整備法でなされています。



2017.10.30(月)【代表取締役辞任届の印鑑問題】(金子登志雄)

 本欄で新著のことを書きましたら、アマゾン会社法本売行き1位に飛びあが
りました。瞬間風速でしたが、久々の1位はうれしいものでした。さっそく補
助者用に注文したというメールもあり、厚く御礼申し上げます。
          https://is.gd/AIwopK

 さて、相変わらず、土日は急ぎの仕事でもないのに、過去本の改訂版を目指
してモノ書き三昧でした。デートする相手もおらず、誰も遊んでくれない老人
になった今は、パソコンだけが孤独を癒してくれる相手ですが、肉体の運動は
せずとも、頭脳の柔軟運動だけは人一倍しています。
                                    
 この10月も3週間で立花・幸先両氏と合計でA4用紙で90枚以上を書き
ました。よく書いたものだと思いましたが、1週間で30枚、1日1人頭1枚
強ですから、1日単位でみると、少しも大したことではありませんでした。書
くネタがあったので、本欄の作業よりは楽でした。

 モノを書いていますと、自問自答でいろいろなことを発見することができま
す。昨日気付いたのは、商業登記規則61条8項で、代表取締役の辞任では、
「個人実印+印鑑証明書」か「会社実印」が必要になりましたが、一般の方に
はほとんど知られていないことの問題点です。

 例えば、代表取締役Aが取締役を辞任し、辞任届に認印を押し会社を去った
が、会社届出印には「A代表の印」と彫られていたため、それはAが自宅に持
ち帰ったとして、後任代表取締役がAの辞任登記をしようとしたら、上記の事
情で受理されません。

 慌ててAに連絡しようとしたら、Aは悠々自適で世界一周旅行に出かけてし
まい連絡がとれない状況になったとか、辞任の際に多少のトラブルがあり、A
からの協力は無理になったという場合に、どうしたらよいのでしょうか。

 通達には行方不明や死亡の場合については上申書とその旨の証明書で代用す
ることができるとありますが、上記のような場合は、上申書で済まない可能性
がありそうです。これが理由で登記が遅れ、過料では辛いですね。しかし、代
表取締役の解任決議に準じて、残された取締役過半数の上申書や株主2分の1
以上の上申書で済ませてもよさそうに思いますが、いかがでしょうか。


2017.10.27(金)【新著:会社法入門】(金子登志雄)

 また、本を出しました。時たま出さないと「あの人は今」といわれかねませ
んので何とか頑張っています。

 初の入門書です。来週には書店に並ぶことでしょう。下記のネット上は下地
が薄い青色にみえますが、現物はクリーム色です。
       https://is.gd/LJAodq

 拙著はプロにはそれなりの評価を受けていますが、法律の初心者の方からは
評判がよくありません。初心者の方は法律を知れば全て割り切れると勘違いし
ており、拙著の「………と私は考える」とか「………であろう」という文章を
みると、この著者は勉強又は調査不足と思う傾向があるようです。

 それでも、いや、それゆえにこそ、何とか初心者向けの入門書を書いてみた
いと思い、何度も挑戦してみましたが、書き始めますと論点に深入り過ぎてし
まい、「私はこう考える」ばかりの内容となり、私には、多くの方に広く受け
入れられる本には適性がないとあきらめました。

 したがって、今回の本も、一般の初心者向けではなく、セミプロ修行中の方
向けの会社法「実務」入門です。これなら、従来の延長ですから、順調に書く
ことできました。

 実務の入門書ですから、会社法・商業登記のプロの方なら知っている内容ば
かりであり、お勧めは致しません。不動産登記は自信があるが商業登記はちょ
っと……という方や補助者の方には役立つことでしょう。

 従来とターゲットとする読者層が相違しますので、売行きについては不安で
すが、どうなりますことやら。


2017.10.26(木)【政界、盛会、正解】(金子登志雄)

 衆院選挙の結果は、与党の圧勝に終わり、自由主義の観点からは将来に禍根
を残す結果となりました。自由主義とは、性悪説に立ち、権力を集中させたら
独裁に走るから、これを分散させて相互に抑制させなければならないという思
想です。その制度的保証が三権分立主義ですが、いまや日本では三権どころか、
第4の権力といわれる報道機関まで権力に忖度しはじめており怖い状況です。

 さすがに、権力の恐ろしさを身に染みて知っている沖縄では与党の惨敗でし
た。また、権力に追われた開拓者の子孫の多い北の北海道では、誕生したばか
りの立憲民主党が大政党の自民党と互角の戦いでした。沖縄や北海道の民から
みると、我々本州人の選択はどう映るのでしょうか。

 さて、先週の土曜日は、大学のゼミ(民法)のOB会でした。毎年行うのに、
今年も全国から集まり盛会でした。恩師に感謝している人が多いのでしょう。
私も同じです。この恩師がいなければ、司法書士になろうとは思わなかったこ
とでしょう。

 OBが交代で講師を務めますが、今回は、定年退職後に、大地震等によるビ
ル災害や帰宅難民問題を研究している私の1期下のT君でした。日本不動産学
会で論文賞を取ったような優秀な男です。

 L字型とか、コの字型の大規模マンションの1か所が地震で大被害を受けて
も、被害を受けない部分に居住する人は、共用部分が被害を受けたという意識
を持てないから、何とかしなければ、とか、先生もコメントで、地震で地面が
動いてしまった場合の所有権の範囲はどうなるかなどと、正解もなく本には決
して書いてないことを話してくれ、勉強になりました。

 弁護士や司法書士と話していると、判例はありますか、先例は………とすぐ
に思考停止して、自分の頭で考えずに、マニュアル探しをする方が多いのです
が、久々に正解のない話を堪能いたしました。


2017.10.25(水)【常識?】(藤沢・酒井恒雄)

 過度の運動をして失敗をした私ですが、反省を踏まえつつ、55歳くらい
まではキック・ボクシングの試合に出ようかなぁと考えています。

 試合といってもアマチュアなので、色々と防具を付けます。ただ、本気の
試合となれば、それなりのダメージを体に受けます。老後にガタが来る心配
もありますので、そうならないように計画的にリングを降り、あとは体と対
話をしながら、長く続けられるような体の動かし方に変えて行こうかと考え
ています。

 ちなみに、先月に行われた試合の最年長選手は65歳でした!常識では考
えられません。さすがにこの人の真似はできないと思いますが、可能性とし
てはあるのだなと思いました。

 健康や体のことに関心が向き始めたところに、タイミングよく「人体」と
いうNHKのテレビ番組が始まりました。たまたま番組の宣伝が流れたとき
に目にとまり、すぐに録画予約をしておきました。以前ですと、体がどうこ
うと宣伝が流れても、気にも留めなかったと思います。

 先日、その録画を見たのですが、驚きの連続でした。特に、脳が命令を出
して各臓器を動かしているのでは「ない」という事実には驚きました。今ま
で、体の各臓器は脳からの命令を受けて動いているだけと考えられていまし
た。しかし、実際には各臓器が主体となって様々なメッセージを発信してお
り、臓器同士が情報交換をして体の機能を調整しているのだそうです。

 この事実を発見したのは日本の科学者で、この発見のおかげで、新薬の開
発方法や病気の治療方法が大きく変ったそうです。インタビューに登場した
医師は、医学界のパラダイムシフトが起きたと語っていました。

 「常識」という考え方は、固定観念と紙一重なところがあります。体の仕
組みや機能に感心すると共に、常識にとらわれない姿勢の大切さも改めて感
じました。


2017.10.24(火)【日本登記法研究会・第2回研究大会】(東京・鈴木龍介)

 以前、ご紹介させていただきました「日本登記法研究会」ですが、第2回
の研究大会を平成29年12月9日(土)10:00~東京・四谷の司法書
士会館で開催することになりました。

 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/intro/accessmap.html

 前回(設立記念研究大会)は不動産登記関係の報告のみでしたが、今回は
商業・法人登記関係の報告も加わります。また、不動産登記関係につきまし
ては、最近、新聞やテレビなどでも頻繁に取り上げられている「所有者不明
土地」をテーマとした報告です。

 報告者は研究者(学者)と実務家(司法書士・土地家屋調査士)でして、
共通のテーマについて違った角度からアプローチいただけるものと思います。

 詳細や参加の申込みにつきましては、以下のウェブサイトをご覧ください。

     http://www.toukihou.jp/event.html

 なお、参加につきましては先着順(定員100名)となっておりますので、
お早めにお申し込みください。あわせて、これを機会に、同会への入会を検
討いただければと思います。ちなみに、今のところ、入会金や会費はありま
せん。

 入会申込書は以下からダウンロードください。

     http://www.toukihou.jp/pdf/entry.pdf


2017.10.23(月)【経験】(東京・古山陽介)

 酒井先生が運動推進派の仲間ということでホッとしつつ、金子先生と肩を
並べるまでには、商業登記のみならず様々な人生経験を積まなければならず、
まだまだ足元にも及ばないことを実感しています。

 業務のほうでは、会社法・商業登記の手続依頼からの流れで、付帯する不
動産登記の依頼も以前に比べると増えていて、ここ数ヶ月、「合併」「会社
分割(新設分割・吸収分割)」「事業譲渡」「剰余金の配当」「現物出資」
を原因とする所有権移転登記であったり、商号変更、本店移転に伴う所有権
登記名義人表示変更の依頼が全て同時にありました。

 不動産の数も多く、登記申請の管轄も全国津々浦々で、先週、ようやく無
事に全ての登記が完了して、ホッとしたと思ったら、2018年の1月1日、
4月1日を効力発生日とする組織再編の相談や依頼が本格的になってきて、
何となく年の瀬が近づいている気配を感じています。

 これからの不安定な日本経済にも負けない司法書士になるために、商業登
記の研鑽を積み、人生経験という武器を身につけ、身体は若々しく経験豊富
な中高年司法書士を目指して、今日もクライアントとの打合せに向かいます。


2017.10.20(金)【商業登記規則61条8項】(金子登志雄)

 本人確認証明書と一緒に新設された商業登記規則61条8項の一般企業の内
容部分を抜粋・意訳すると、

 「代表取締役又は取締役(登記所に印鑑を提出した者に限る。以下、代表取
締役等という)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等が辞
任を証する書面に押印した印鑑につき印鑑証明書を添付しなければならない。
ただし、当該印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一で
あるときは、この限りでない」というものです。

 この「取締役(登記所に印鑑を提出した者)」とは何のことでしょうか。株
式会社の平取締役は印鑑を提出しませんから、有限会社の一人取締役のことだ
ろうと思いませんか。

 違います。代表取締役Aが印鑑を届けているとき、印鑑を提出した者は、代
表取締役であるAではなく、「Aその者」です。ですから、Aが代表取締役を
辞任した場合だけでなく、取締役を辞任した場合も含む趣旨で、こういう規定
になったわけです。本項は代表取締役の辞任についての規定ではなく、印鑑届
出者の辞任についての規定というわけです。

 分かりにくい原因は、「登記所に印鑑を提出した取締役」にありますから、
「登記所に印鑑を提出した代表取締役の代表取締役又は取締役(以下、代表取
締役等)の辞任による……」とすれば、より通じやすかったかなと思いました。

 さて、いよいよ選挙ですね。安倍さんは本当に運のよい方です。こうも天気
が悪いと組織票の多い与党(自公)が断然有利になりますし、トップは嫌いだ
が投票先は西の平家という不思議な行動する方が多いので、これでモリカケ疑
惑もうやむやになり、驕る平家の時代が長期化するのでしょうか。東の源氏が
二大勢力として登場する時代はいつになるのでしょうか。


2017.10.19(木)【深刻な2025年問題】(金子登志雄)

 運動推進派の若い酒井さんや古山さんに、何十年後かに「あれ、だいぶお太
りですが、もうマラソンはしていないのですか」と聞けば、きっと「いやぁ、
やり過ぎたのか体調不良になったため、いまは走るのはやめています」と答え
ることでしょう。そこで、全く運動しない私と肩を並べます。人生、先に進め
ば皆同じです。

 人生の第4コーナーを回った私は人口の最も多い団塊の世代ですが、戦争さ
え回避してくれれば、8年後の2025年には5人に1人が75歳以上の後期
高齢者社会になります。年金はもらい続けられるのか、介護施設に空きはある
のかと将来不安の大きい世代ですが、消費税や医療費も大きく上がっているこ
とでしょうから、いまの若い人も他人事ではありません。

 日本経済も、酒井さんや古山さんの現在のような高度成長期はとっくに過ぎ、
もう走れない成熟高齢化社会です。たぶん、東京オリンピック以降には、公共
工事・土建業重視を国策とする日本経済もガタンと来て、成熟社会になったこ
との認識が庶民にも浸透することでしょう。

 年金で思い出しましたが、火曜日は東京の中目黒駅前で、年金男の長妻昭さ
んが選挙の関係で立って挨拶していました。彼は大学ゼミの後輩ですし(石破
茂さんも同じ)、彼が日経ビジネスの記者をしていた頃、M&Aについて取材
を受けたことがありますので、昔からの知り合いです。追い風の立憲民主党で
すが、2世でもなく、地盤も看板もなく、よく頑張っています。



2017.10.18(水)【運動ついての補足】(藤沢・酒井恒雄)


 先週の古山先生の投稿を拝見しまして、もしかしたら、読者の皆様に、「運
動=不健康になる」という誤ったメッセージを送ってしまったのではないかと、
ちょっと不安になっております………。

 以前の投稿の中に、不眠症状になってしまった要因として、「運動も裏目に
出た」と書きました。これについて誤解があるといけませんので、事情を詳し
く書いてみたいと思います。

 私も、古山先生と同類のようで(笑)、何かを始めると、とことんハマって
しまう性格です。私がハマってしまったのは、キック・ボクシングです。

 40代後半から始めたので、当初は基礎トレーニングや、サンドバッグを殴
る蹴るして、気持ち良い汗をかければいいと考えていました。しかし、練習を
重ねるにつれ、技術の奥深さが面白くなってしまい、そのうちスパーリングに
参加するようになり、結局、試合にも出場するようになりました。

 体に異変が起きたのは、今秋に出場する予定だった試合にエントリーする直
前でした。試合が近かったので、練習量を増やしていました。コーチから「酒
井さん、年齢を感じないですねぇ!」と言われることが快感で、調子に乗って
いました………。

 しかし、気持ちは20代になっていても、体は悲鳴を上げていたようです。
ごめんなさい、私の体………。また、競技の性質上、アドレナリンがすごく出
ますし、恐怖心もハンパないので、振り返れば、しばらく神経が休まる暇がな
かったと思います。

 そんな特殊?な状況もありますが、一番良くなかったと思われるのは、「過
度」の運動です。「適度」な運動をしていたら、いい感じで体が疲労して、不
眠の症状にもならなかったのではないかと思っています。

 そんな反省があり、体調管理に目を向けるようになりましたので、その第一
歩として、睡眠管理を始めたという次第です。今もジムに通っています。

 体を動かして汗を流すリフレッシュ効果は素晴らしいと思います。最後に、
運動推進派であることを宣言して、今回は終わりにしたいと思います(笑)。



2017.10.17(火)【債権法改正~経過措置~】
(東京・鈴木龍介)

 前回は、債権法改正(改正民法)の施行について取り上げましたが、施行の
前後の取扱い-経過措置-について、どうなっているでしょうか?

 施行の日の前後で現行民法が適用されるのか、それとも改正民法が適用され
るのか問題になるケースも少なくありませんが、経過措置については「附則」
に規定されています。

 では、この経過措置をもう少し詳しく見てみたいと思います。

 経過措置の基本的な考え方は、施行の日より前は現行民法が適用され、施行
の日より後は改正民法が適用されるということになります。ただし、この基本
的な考え方を常に適用すると予期しなかった不都合などが生じるケースもあり、
一定の調整を「附則」において定める必要があるというわけです。

 そこで、改正民法が平成32(2020)年4月1日(以下、年は省略し、
単に月日で表記します。)に施行されたと仮定して、いくつか具体的な例をあ
げて確認してみます。

 まず、変動制になる法定利息ですが、改正民法が適用されるのは、利息が発
生する債権が4月1日以前に生じたものかどうかで決まります。3月31日に
生じた債権の法定利息は固定制の原則5%であり、4月1日に生じた債権の法
定利息は変動制の3%です。つまり、もともとの債権の発生時が基準というこ
とになります。これは、経過措置の基本的な考え方に合致するものといえます。

 次に、保証契約前の公正証書作成の義務化ですが、4月1日以降に締結され
る保証契約に適用されます。もっとも、この公正証書は、保証契約締結の日の
前1か月以内に作成することになっていますから、施行の日以前である3月1
日から作成が可能となります。これは、経過措置の基本的な考え方を採用しつ
つ、実際の運用のための手当を加えているものといえます。

 そして、改正民法であらたに加わる定型約款ですが、4月1日以前の定型約
款に該当する取引にも原則として適用されます。これは、極端な話ですが、現
時点の定型約款も改正民法の適用を受けることになり、経過措置の基本的な考
え方の例外といえます。


2017.10.16(月)【ただし、この限りでない】(金子登志雄)

 本人確認証明書に関する商業登記規則61条7項の解釈で、さんざん「ただ
し………の場合は、この限りでない」は、本文に「………の場合を除き」とあ
るのと同じく本文全部を否定するものだ、本文の適用除外を定めたものだと主
張してまいりましたが、会社法124条3項にも同じ問題があることに気付き
ました。

 同項の内容は「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前
までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならな
い。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この
限りでない」というものです。

 これ日本語としておかしいと感じませんか。定款に基準日が定めてあるなら、
わざわざ基準日を定める必要はないのに「基準日を定めたときは」とあります。
おそらく、「基準日については原則として2週間前に公告が必要だが、例外と
して定款に定めてあるなら、その必要はない」という意味でしょうが、おかし
な文章です。

 それはさておき、その趣旨だという前提で、本題に戻りますと、私見では、
これは「株式会社は、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるとき
を除き、基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに、当該基準日及
び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない」と読むことになり
ます。

 ところが下級審判例に、定款で基準日の定めがあるというためには、定款に
定めた日と基準日との間に2週間を空けなければならないというものがありま
す。これは、上記のただし書は、公告が不要になるというだけを定めたもので、
2週間前までは生きているという解釈でしょう。

 しかし、こういう読み方をするなら、定款で定めたときは、2週間前である
必要はないが公告は必要だと2週間前の部分を否定したものだという解釈も成
り立ちます。他にもありそうです。

 やはり、「ただし、………場合は、この限りでない」よりも「………の場合
を除き」方式のほうが誤解を招かないで済むようです。


2017.10.13(金)【巻き沿い】(金子登志雄)

 政治のドタバタが続いていますが、いま選挙中なので、うっかりした発言は
控えますが、日刊ゲンダイだったかに、民進党前原さんの決断につき「小池に
はまって、さぁ大変」とあったのには、笑ってしまうと同時に、物書きの一人
として、こういうフレーズを作れる能力に感心してしまいました。

 政治の大変さは、他人を巻き沿いにすることです。政治とは生活そのもので、
別世界のことではありません。

 北との戦争を望む勢力が勝てば、私のような非戦派も巻き沿いになりますし、
逆に、我ら非戦派が大勝利すれば(ここ数年の「空気」では無理ですね)、今
度は前者が巻き沿いになり、我慢を強いられます。

 これでは公平ではないかとは思わないでください。前者の場合は非戦派に新
たな苦痛が生じますが、後者の場合は現状維持であり、戦争派に新たな苦痛は
ありません。現状の苦痛が延びるだけです。

 一方、政治家の下半身のスキャンダルでは、我々は巻き沿いにされません。
野次馬として楽しませてもらっただけです。プライベートの問題で政治家の資
質や能力とは関係ないことですから、これを投票基準にすべきではありません。

 いつもの愚痴ですが、日本国民はその教養度・知識度においては、おそらく
世界でトップクラスなのに、政治に対する判断力や権利意識、法治国家意識に
ついては前近代国家並みです。

  報道の自由度ランキング
   http://ecodb.net/ranking/pfi.html  
  トップの法治国家意識
   https://is.gd/Sna9pX

 今度の選挙は日本国の行く末を決める極めて大事な選挙であり、後世の歴史
に残る年になることでしょう。やはり、大方の予想のように、大政翼賛会政治
が行われ、少数派は生きにくい社会になるのでしょうか。



2017.10.12(木)【健康管理】(東京・古山陽介)

 最近、徒然(本欄)の世界では、運動が不健康という風潮になっているよう
ですので、声を大にしては言えないのですが、自分はランニングをすることに
よって、心身ともにリフレッシュできて、またランニングしながら案件の整理
もできるため、ランニングの時間は、自分にとっては大切な時間となっていま
す。

 ただ、とことんハマってしまう性格のせいで、気分転換程度のランニングの
域には収まらず、年に5回ほどフルマラソンの大会に出場し、その他にもハー
フマラソンの大会にも出て、さらには今年6月に100キロのウルトラマラソ
ンまで走ってしまいました。

 身体が動く限りは、司法書士業同様にマラソンも続けていけたらと考えてい
ます。

 フルマラソンのシーズンが始まる10月になったため、勝手にアスリートに
なった気分で、自分のシーズン開幕レースが待ち遠しい今日この頃です。

 ここまでの話だけですと、かなりストイックな生活をしているかと思われる
のですが、よく食べますし大酒飲みですので、自分の中では、バランスが取れ
て健康的な生活を送っていると解釈しています。



2017.10.11(水)【みなし解散】(藤沢・酒井恒雄)

 そろそろ、株式会社等のみなし解散の公告と通知がなされる頃かと思います。
過去のデータから予想しますと、今年も10月の中旬くらいに公告と通知がな
されるのではないでしょうか。

 そんな折、私が所属する支部の研修会で、みなし解散制度の概要と実務の対
応策について、お話をする機会を頂きました。みなし解散の通知が来るタイミ
ングは、新たな仕事が来るチャンスでもあります。

 しかし、今は、業務の多様化と専門化が進み、商業登記を殆ど受託していな
いという会員も少なくないようです。研修会に出席した会員にも尋ねてみまし
たが、しばらく商業登記を受託していないという会員の数は予想以上でした。

 久しぶりに来た商業登記の依頼が、「意味が分からない通知がきたのでなん
とかしてくれ。」というものだったら、かなり心臓に悪いと想像します。しか
も、相手は12年も登記を放置しているような会社とあれば、遠慮したくなる
かもしれません。

 一番のネックは、株主の特定でしょう。選任懈怠状態の役員の選任をするに
せよ、定款を変更して会社の機関をシンプルなものに変更するにせよ、株主総
会の決議が必要になります。

 株主の特定が不十分であると、株主総会の決議の効力も不安定になります。
株主名簿があれば、会社法の規定に則って作業すればいいのですが、税務申告
書の別表等が拠り所になってしまう場合は、決議要件との兼ね合い、株主リス
ト作成との兼ね合いを考えて、極力、株主総会決議の不安定要素を排除すると
いう方向で対応せざるを得ないでしょう。

 ケースにもよりますが、明確に株主の全員が把握できなくても、依頼人の要
望に対応できる場合もあると思います。株主の問題がクリアできれば、あとは
会社法の基礎を思い出せば十分に対応できると思います。

 みなし解散のタイミングは、機関設計の再考のタイミングにもなります。会
社法施行当時に一生懸命覚えた機関設計のパターンをもう一度整理しておけば、
突然、みなし解散の相談が来ても、かなり余裕を持って対応ができるのではな
いかと思います。


2017.10.10(火)【債権法改正~いつから施行?~】(東京・鈴木龍介)

 いわゆる「債権法」(=改正法)が成立しましたが、施行されるのはいつご
ろにとなるでしょうか?

 現時点で決まっているのは、改正法の公布日である今年6月2日から3年以
内に施行されるというところまでで、具体的な施行日は未確定ということにな
ります。

 では、これまでの経緯を含め、もう少し詳しく見てみたいと思います。

 平成21(2009)年10月に法務大臣から民法の債権関係に関して、そ
の諮問機関である法制審議会に諮問され、法制審議会の民法(債権関係)部会
で6年以上の期間をかけて議論がなされました(計99回)。議論の結果につ
いては、平成27(2015)年2月に法制審議会から法務大臣に対し要綱と
いうかたちで答申が行われました。

 その要綱を受け、法務省が法案を作成し、内閣法制局の審査後、平成27(
2015)年3月に通常国会に上程され、国会での審議が開始しました。その
後、政治の状況等により継続審議が続きましたが、平成29(2017)年4
月14日に衆議院で可決し、同年5月26日に参議院で可決・成立しました。

 国会で成立した改正法は、同年6月2日に公布され、公布の日から3年以内
に施行するとなっています。つまり、平成32(2020)年6月2日までに
改正法は施行されるということですが、具体的な日付については別途、政令に
より定められます。

 施行までの3年間というのは、他の法律と比較して長く感じるかも知れませ
んが、改正法が国民の生活にも大きな影響を与えるものですから、周知するま
で一定程度の時間は必要であるとされたものと思われます。



2017.10.06(金)【ご縁】(仙台・立花宏)

 東京に向かう新幹線の中、いつもの上京にはない緊張感がありました。

 その日、私は東京で開催される研修会に向かっていました。東京司法書士会
様が主催の平成29年度商事・企業法務研修会【後期】第1回の講師を務める
ためです。

 地方都市で仕事をしている私にとって、東京は特別なところという意識があ
りました。商業・法人登記の仕事も、私が経験したことのないような難しい仕
事が多いのではないだろうかという勝手なイメージを持っていたのです。

 心の中は、自分のお話しする内容が、そのような仕事をされている司法書士
の皆様のお役に立つのだろうかという不安な気持ちでいっぱいでした。

 この研修講師のお話しをいただいたとき、お受けするか、それとも遠慮させ
ていただくか、とても迷いました。自分に務まるかどうか、確信が持てなかっ
たからです。

 しかし、ESG法務研究会の先輩方があたたかい応援の言葉をくださいまし
た。そして、この研修の窓口となってくださった担当の方が、以前、私とお会
いしたことを覚えていてくださったことも、背中を押してくださいました。

 5年以上前だと思います。ある全国規模の研修会で彼と出会いました。いく
つかのグループに分かれてディスカッションを行う形式の研修で彼と同じグル
ープになったのです。彼は当時、既に全国的に活躍されていて、私はもちろん、
彼のお名前を存じあげていました。正直なところ、私は羨望の眼差しで、同じ
グループの彼を見ていたと思います。

 若い方なのに、とても自信にあふれており、そして、ディスカッションを主
導する彼を見ていて、それが過信ではなく、実力が伴ったものであることも思
い知らされたのです。いつか、彼に追いつきたい、そんな気持ちなったことを
覚えています。

 私のことなど覚えているはずがないと思っていたのですが、この研修会の打
ち合わせのために電話をくださった彼は、まず、その研修会でお会いしたこと
を覚えている旨をお話しくださいました。私は、とてもうれしく思うとともに、
まったく目立たなかったはずのグループメンバーにまで目を配っていらっしゃ
った彼のリーダーシップに感激すら覚えました。これもなにかのご縁と思いま
した。

 私は結局、講師のお話しをお受けしました。また、彼のリーダーシップに導
いていただいたのかもしれません。

 彼の司会で研修会が開会すると、私は緊張を解くための自分のルーチンを行
いました。少し余裕ができたため、会場を見渡すと、何人か、知人たちの顔も
ありました。おかげで、さらに気持ちが落ち着きました。

 研修会の前には、運営等を担当された皆様とご挨拶ができました。休憩時間
には、この徒然日誌で活躍されている古山先生にもお会いすることができまし
た。一度、お会いしてご挨拶したいと思っていましたので、得難い機会となり
ました。

 そして、研修会では、受講していただいた、たくさんの皆様に、私という存
在を知っていただけました。

 講師を務める研修会は、私にとって仕事場ではありますが、いろいろなご縁
ができる場でもあります。今回もたくさんのご縁ができました。

 今日、出会った方々は、きっとまたいつか、どこかでお会いすることになる
のだろうと思います。そのときを楽しみにしたいと思っています。


2017.10.05(木)【私の選挙権】(島根・根来川弘充)

 つい先日、衆議院が解散され、10月に衆議院議員選挙が開催されることに
なりました。

 私が住んでいる島根県安来市では、任期満了による市議会議員選挙がこの月
に予定されていましたので、思わぬ形で、月2回選挙が行われることになりま
した。

 衆議院議員ももちろん大事なのですが、今回の市議会議員選挙は、告示前な
のですが、世代交代が予想されており、いままでになく、高い関心を持ってい
ます。

 少子高齢化が進んでいく中で、20年、30年先のことを考えると、何か今
のうちからしておかなければという思いになり、おくればせながら、40を半
ばにして、ようやく社会に対する責任というものを実感しています。

 20歳になってから、与えていただいた選挙権ですが、歳をとるにつれ、重
みがましているように感じます。

 昔の私の投票は、今の私の投票の10分の1の価値もないのではとさえ思え
てしまいます。

 古くは、市民革命によって、多くの先人たちの犠牲の上に獲得した重い権利。
・・・・知識としてはありながらも、もう一度あらためて思い直して、10月
2回ある選挙にのぞみたいと思います。


2017.10.04(水)【睡眠②】(藤沢・酒井恒雄)

 睡眠に関する話の続きです。「睡眠」は、最近のトレンドの一つでもあるよ
うです。

 今年、都内において某コーヒーメーカーと某寝具メーカーが企画した「睡眠
カフェ」なるものが登場したそうです。期間限定だったようで、教えてもらっ
たときは残念ながら終了していました。

 教えて下さった方は行ったそうで、かなりの盛況ぶりだったらしいです。日
中に15~20分の睡眠(昼寝)をとると、仕事の効率が上がると言われてい
ます。

 そして、昼寝の前に一杯のコーヒーを飲むと、目覚める頃にカフェインが効
き始めるので、スッキリと起きられるのだそうです。それを実践してもらうた
め、コーヒーと寝具のプロモーションを兼ねて、睡眠カフェなるものを企画し
たようです。

 店内では、机に突っ伏したような格好で寝ることもできるし、寝具メーカー
のベッドや枕等を試しながら寝ることもできたそうです。

 仕事場で書類を作成している途中に眠くなり、眠気と戦って、結局寝落ちし
てしまったとき、目覚めるとパソコンのワードの画面に、意味不明の文字が並
んでいることがよくありますよね?(私だけでしょうか・・・。)

 結局、自分が何の作業をしていたか思い出す時間、始めから見直しをする時
間、そして無理に睡魔と戦っていた時間が、無駄な時間になってしまうことに
なります。

 また、そんな寝落ちをする私でしたが、ずっと眠気が来ないという恐怖の体
験をしましたので、それ以来、眠気が襲ってくることのありがたさを感じ、今
は、眠気を感じたら状況が許す限り、素直に応じるようにしております。

 ある欧州の国では、会社に出勤しても昼寝の時間には一旦家に帰り、昼寝を
した後に再度出勤するのが当たり前になっている聞いたことがあります。どこ
まで正しい情報か分かりませんが、そこまではしなくとも、短い昼寝の時間を
一日のスケジュールに予め組み込んでもいいのかもしれません。

 既に睡眠専用のスペースを設置している会社もありそうです。私の事務所に
はそのスペースがないので、机の上に突っ伏すことになりますが、そのまま寝
ていると、ただの「居眠り」と思われるので、「睡眠管理中」とか、「On Cha
rge」とか、なにか格好いい言葉を考えて、机の上にフラッグを立てて置こうか
と等と思案中です・・・。


2017.10.03(火)【ゲートキーパー法と機関・役員の登記】(東京・鈴木龍介)

 平成20年3月1日、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」、いわゆ
るゲートキーパー法が全面施行され、司法書士(司法書士法人を含みます。)
も特定事業者として、特定業務に関する本人確認と本人確認記録作成が義務づ
けられました。

 司法書士の特定業務には、会社の組織・運営・管理に関する行為や手続とし
て一定の商業登記申請が含まれますが、株式会社の機関・役員の登記について、
何が特定業務に該当するでしょうか。

 まず、ある機関、たとえば取締役会の設置や廃止は定款の変更を要するわけ
ですが、定款の変更は特定業務に該当し、当該機関の設置や廃止の旨の登記申
請は特定業務にあたります。また、取締役・執行役の選任や代表取締役・代表
執行役の選定は特定業務に該当し、当該就任(重任を含みます。)の登記申請
も特定業務にあたります。さらに、選定代表取締役から各自代表取締役への移
行による代表権付与の登記申請も特定業務にあたるとされています。

 一方で、それ以外の役員等である会計参与・監査役・会計監査人の選任は特
定業務に該当しませんので、当該就任の登記申請は特定業務にはあたりません。

 また、取締役や代表取締役を含む役員等の退任については、退任事由を問わ
ず、特定業務には該当しませんので、当該退任の登記申請は特定業務にはあた
りません。言うまでもないかもしれませんが、役員等の氏名・名称の変更や代
表取締役・代表執行役の住所変更による当該変更の登記申請は特定業務にあた
りません。

 ちなみに、定款の変更であっても登記申請を要しないもの-たとえば、取締
役の定数の定めの変更-に関して司法書士が関与したとしても、それは特定業
務に該当しません。


2017.10.02(月)【支店について】(金子登志雄)

 本支店一括請求の話題が出ましたので、支店に関して触れておきましょう。
支店については、多くの問題があります。

1.場所的概念か
 昔は会社といえば販売業が中心だったためか、支店は本店とは場所を異にす
る概念でした。営業担当地域(テリトリー)の相違を表していました。しかし、
いまは、本社と同一場所どころか、同じ場所に業種別の2つの支店さえ認めら
れています。支店の住所のあとに(〇〇支店)、住所(△△支店)などと表記
して区別するのが通常です。インターネット支店のようなものもあります。

2.支店の登記が必須か
 海外の支店については支店所在地で登記の方法がありません。そこで、当社
には海外網もあると、ハッタリで海外支店を本店で登記している詐欺師的会社
もあります。

 日本国内に支店を設け本店登記簿には支店を登記しながら、支店所在地では
登記していない会社もあります。知らないのか、意図的かは会社次第でしょう。

3.支店を登記する会社
 上場会社のHPを開くと、支店としていくつか列挙されていることがありま
すが、実際には登記されていないことがほとんどです。トヨタや日産ほどの大
規模会社でも支店の登記がありません。登記しているのは、銀行や損保など金
融機関が中心です。
 
4.そもそも支店とは
 支店とは支店だけで1つの対外的営業組織になっているものをいいますが、
中小企業で登記されている支店は名ばかりで、ミニ出張所程度のものが少なく
ありません。補助金をもらうためとか、それなりの理由があるようですが、支
店概念が形骸化されていることは間違いありません。

 登記しておく必要のない支店は、早期に廃止しておくべきでしょう。支店の
仕事が我々に回ってこなくなりますが、顧客に「意味のない無駄なことはやめ
よ」とアドバイスするのも我々の仕事だと思っています。


2017.09.29(金)【経由申請と審査権限その2】(金子登志雄)

 25日の後半部分がよく分からなかったというご意見をいただきましたので、
他の点を含め、今回は吸収分割を例にして組織再編の同時経由申請について説
明します。

 大阪のB社が分割会社となり東京のA社に吸収分割しました。この場合は、
東京法務局に、次の2つの申請書を提出します。同時の申請ですが、受付番号
は1番と2番のように振られます。

 ①A社申請書(東京法務局宛):添付書面にはB社議事録も含まれる
 ②B社申請書(大阪法務局宛):添付書面はB社印鑑証明書と登記委任状

Q1.なぜ東京法務局に2つの申請書を提出するのか。
 ②を最初から大阪に提出してもよいが、そうすると、吸収分割契約書やA社
の議事録を大阪にも添付しなければならず、添付書面が重複してしまう。それ
だけでなく、東京では受理、大阪では却下という矛盾した結果も想定される。
そこで、吸収分割の審査権限を承継会社を管轄する登記所である東京法務局に
一元化し、審査後に②は大阪に転送し、大阪にあるB社の登記記録に大阪法務
局が記録するようにした。いわゆる同時経由申請方式の強制である。

Q2.B社委任状・印鑑証明はなぜ①に添付しないのか。
 B社固有の添付書面であり、重複する添付書面ではないためである(これに
対して、B社議事録はA社申請の添付書面でもあることに注意)。

Q3.審査権限が東京にあるなら、B社の添付書面は東京で保存するのか。
 B社固有の添付書面だから大阪法務局に送られる。明文はないが、当然のこ
とである。

 以上は、登記情報666号63頁以下で解説しました。

Q4.B社の添付書面の原本還付の権限は東京法務局か大阪法務局か。
 これが今回問題になったわけです。もう何年も何回も会社分割の登記をして
きており、同時申請先の登記所から還付されてきましたが、今回の登記所は、
大阪法務局宛の申請書の固有の添付書面だから、大阪法務局から還付するので、
その返信用封筒がないと電話してきたわけです。要するに、郵送で還付を求め
るなら、返信用封筒を東京用と大阪用の2つにせよという電話でした。
 
 驚きましたが、一理あると思いませんか。しかし、なぜB社の委任状を添付
するかというと、それがないとB社の申請が不備になるからであり、また、印
鑑証明書を付けるのは、東京法務局にはB社の印鑑が届けられていないためで
す。つまり、これらはB社申請書の添付書面でありながら、東京法務局の審査
のためでもあります。

 B社の申請についても審査権限は東京法務局にあるのだから、還付権限も東
京法務局にあるというべきだと結論づけて25日に記載したわけです。大阪で
は東京の審査を受けて登記するだけですから、還付についても大阪の負担にさ
れたら大阪にも迷惑でしょう。

 今回も①申請の登記所から還付されましたが、登記の担当者は便宜的扱いで
希望に応じるが、納得しかねるといった雰囲気でした。

 ところで、皆様は管轄外本店移転で、②の委任状の郵送還付を求める際に、
封筒を移転元と移転先の2つに分けますか。これですら、移転元から還付され
ているはずです。  


2017.09.28(木)【取締役任期1年問題】(金子登志雄)

 26日(火) は、6月決算の当社(アクモス)の定時株主総会でした。

 他社にならい、出席者へのお土産を廃止したため、例年よりは参加者が少な
かったのですが、遠方の方も参加しやすいようにと午後3時開催にしたため、
まぁまぁの出席人数でした。

 決議事項の1つは、監査等委員でない取締役の改選でした。任期が1年だか
らです。もちろん、全員(4名)重任です。改選の意味があったのでしょうか。
改選ではなく任期の更新という制度があれば、登記しなくても済むのですが、
これだと司法書士が仕事の減少で困りますね。

 ところで、皆様は取締役の任期が1年であることにつき、どうお考えですか。

 株主総会の権限を強化し、社長の横暴を抑制することになりよいことだとい
うのが会社法の建前です。

 しかし、どこの会社でも実態は社長が取締役候補を決めているので、現実に
取締役を選任しているのは株主総会ではなく社長です。誰も社長に逆らえず、
株主総会は儀式に過ぎないという社会の現実があります。ちょうど日本株式会
社の安倍社長が総会の開会もせずに閉会してしまうほど横暴でも誰も逆らえな
いのと同じです。

 したがって、取締役の任期を1年に短縮することは総会ではなく社長の権限
の強化になります。口うるさい取締役をクビにしたくても1年待って、候補者
から除外し退任させてしまえばよいわけです。

 というわけで、現実社会からみると、社外取締役の増員を含め、米国風の制
度の改善が本当に日本企業の制度改善に役立っているのかという疑問を禁じ得
ません。

 米国という国は自分達の思想や制度が最も優れていると思い込み、世界にそ
れを強引に押し進めるところがあるので(パックスアメリカーナ)、文化の違
うイスラムや南アメリカ、東アジアでトラブルを起こしていますが、会社法の
改革にもその影響を感じます。



2017.09.27(水)【睡眠①】
(藤沢・酒井恒雄)

 先日出席した某会合の場で、話の流れから私が睡眠障害のような症状になっ
たことを話しましたところ、睡眠を管理するスマホのアプリがあることを教え
てもらいました。

 以前、リンゴ印のスマホに連動する腕時計の話を投稿しましたが、会合の出
席者の中に、私と同じ連動型の腕時計をしている人が2人いました。そのうち
の1人からアプリを教えてもらったのですが、もう1人も睡眠管理アプリを使
用していたのには驚きでした。

 それぞれ、フリーのシステム・エンジニア、企業のプロジェクトの責任者と、
ついつい睡眠時間を犠牲にしてしまう仕事をしている人達なので、いかに睡眠
に気を配っているかが伝わってきました。

 アプリをスマホにダウンロードし、眠っている間も連動型腕時計を装着して
おけば、あとは自動的に睡眠の記録をとってくれます。睡眠の記録といっても
単に睡眠時間だけではなく、夜中に一瞬目が覚めてしまった時間や、睡眠の深
さ等まで記録されます。

 早速、私もアプリを使って、何日か記録をとってみました。夜中に何回か目
が覚めたときに、置き時計でその時間を確認していたのですが、朝になって記
録を確認したところ、目が覚めた時間が正しく記録されていました。

 眠りが深かった時間については、自分の意識では確認のしようがありません
が、グッスリ寝られたと感じた日の記録は、眠りが深かった時間も多く記録さ
れていました。なかなかの精度のようです。

 正直、アプリを紹介してもらったものの、記録をとったところで何か効果が
あるんだろうか?とも思っていたのですが、実際に数字やグラフで自分の睡眠
の質を確認すると、睡眠に対する管理意識が変わりました。

 最近寝不足が続いたなぁという漠然とした感覚ですと、ちゃんと寝なきゃな
ぁという、これまた漠然とした目標しか立てられなかったのですが(これが体
調を崩す原因となりました。)、睡眠の質が悪いということが数値で具体的に
表示されますと、その数値の修正のために、具体的な目標が立てられるように
なります。可視化って大事なんだなぁと、しみじみ思った次第です………。



2017.09.26(火)【『渉外法務書式集』】(東京・鈴木龍介)

 今回は、少し宣伝となりますが、ご容赦ください。

 このたび、株式会社リーガルからソフト付書籍である『渉外法務書式集』を
刊行させていただきました。

 http://www.legal.co.jp/products/shougaihoumu/shougaihoumu_1.html

 若干、値が張るなという向きもあるかもしれませんが、私を含めた編者らの
これまでの実務等の集大成であり、随所にノウハウを散りばめたつもりでして、
下世話な話で恐縮ですが、おそらく渉外関係案件を1件でも手がければ元はと
れると思います。

 以下、内容の紹介を兼ね、本書の「はしがき」の一部を転載させていただき
ます。ご関心のある方は、是非ともよろしくお願いします。

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 近年、いわゆる渉外業務、とりわけ外国人や外国企業が日本で事業を展開し
たり、日本の不動産を取得等する「インバウンド(inbound)」案件が増えてき
ています。

 一方、渉外法務の現場では、諸外国と日本の法制度との調整を図るために、
案件に携わるプレーヤーが、良くいえば臨機応変に、悪くいえば場当たり的に
ケースバイケースで対応しているという現状がある中で、ミスなく具体的な書
式を作成できる書式ソフトがあれば、より効率的に業務が行えるであろうと考
え、本書式集を編集することにしました。

 本書式集の第1編(上巻)「不動産取引」では外国人等による日本の不動産
の売買を中心とした各種の書式を、第2編(下巻)「事業拠点の開設・運営」
では外国人等が日本で事業を行うために必要な各種の書式で構成されています。

 書式については、基本的に和文・英文・和英対照、そして具体的なイメージ
を想起することができるサンプル(記載例)を登載しています。
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2017.09.25(月)【経由申請と審査権限】(金子登志雄)

 商業登記は会社の本支店の住所地を管轄する登記所に申請するのが原則です
が、管轄外の登記所経由で申請する場合もあります。これを経由申請といいま
すが、旧住所地に申請する本店移転の場合を除くと、次の2つがあります。

 1つは、合併等組織再編の経由申請です。東京A社が合併存続会社になって
大阪B社を吸収するときは、大阪法務局宛のB社の申請は東京法務局経由にす
ることが義務付けられています。いわゆる同時経由申請といわれるものです。

 いま1つは、本支店一括申請です。高松支店を有する広島C社が商号を変更
した際に、高松法務局への支店での登記申請を本店での登記申請と一括して広
島法務局に申請することができます(これは任意です)。

 前者ではA社とB社の申請書の2つが同時に提出され、受付番号1番と2番
になり、2番で提出した大阪法務局への申請書が東京から大阪に転送されます
が、後者の本支店一括申請では申請書が一括した1つであり受付番号も1番だ
けになるため、登記の完了後には、広島法務局から高松法務局に通知がなされ
ます。高松ではこの通知の受領をもって登記の申請があったとみなします(商
登50条4項)。

 さて、日司連ネット(NSR3)に、異管轄の合併の際に消滅会社で本支店
一括申請が可能かという質問がありました。上記の例でいうと、大阪B社に京
都支店があった場合に、その本支店一括申請を東京法務局へ合併申請と同時に
することができるかという内容です。

 私はきんざい『商業登記法コンメンタール』168頁に同一管轄の合併に限
り認められると書きましたが、日司連ネットの情報によると、異管轄でも認め
られた実例があるとのことでした。

 しかし、これでは大阪B社京都支店の登記につき、本店所在地の大阪法務局
経由ではなく合併存続会社の東京法務局経由ということになり、商登法49条
1項の「本店の所在地を管轄する登記所を経由してすることができる」に反し
ないのでしょうか。却下事由である「申請につき経由すべき登記所を経由しな
いとき」に該当しないのでしょうか。

 肯定説に立った場合に、京都法務局に通知するのは、東京法務局でしょうか、
大阪法務局でしょうか。東京だとすると、京都に通知が到着したのが15日で、
大阪に申請書が到着したのが16日とすると、支店での登記が本店での登記よ
りも先の日になりますが、これは商業登記法の趣旨に反しないのでしょうか。

 思うに、経由申請というのは単に経由を認めただけでなく、申請書提出先の
登記所に申請内容全部の審査権限を与えたものです。東京法務局には大阪B社
京都支店の合併解散については審査権限が及ばないはずです。

 この経由申請の審査権限の面からみれば、とりあえずは異管轄合併での消滅
会社の本支店一括申請は否定されると考えておくのが無難でしょう。

 なお、先日、D県D社が分割会社になり、E県にE社を新設したところ、E
管轄法務局より、「D社申請に添付されたD社の印鑑証明書の原本還付が請求
されているが、分割会社を管轄するD法務局から原本を送る際の封筒が入って
いない」という電話がありました。

 つまり、E法務局の担当者は、新設分割の審査権はE法務局にあるが、分割
会社の原本の還付権限あるいは返却権限は分割会社を管轄するD法務局にある
と考えたのでしょう。

 こんなことを言われたのは初めてですが、そういう考え方もあるのかと妙に
感心してしまいました。ただし、Eの審査権限はDの登記内容だけでなく添付
書面の原本還付権限や返却権限を含むとみるのが素直な解釈ではないでしょう
か。実務の大勢も同様だから、いままで何も指摘されなかったわけです。


2017.09.22(金)【特例有限会社の特別決議】(東京・古山陽介)

 19日に鈴木先生が特例有限会社関連の記事を書かれていましたが、私も特
例有限会社について、1つ注意点を書きたいと思います。

 特例有限会社の株主総会議事録の確認依頼の際に、特例有限会社の特別決議
の決議要件を誤認されているケースがよく見受けられます。

 特例有限会社の特別決議の決議要件は、「総株主の半数以上であって、当該
株主の議決権の4分の3以上の多数をもって」行わなければならず、株式会社
の特別決議の決議要件とは異なることに注意しなければなりません。

 先日も、急遽、相談に乗ってほしいと紹介を受けた特例有限会社がありまし
て、その相談内容というのが、税理士の先生が作成した株主総会議事録を使用
して、目的変更の登記を自社で申請したところ、法務局から株主総会議事録の
補正の指摘を受けたが、登記官の説明に納得できないので、一度議事録を見て
もらいたいというものでした。

 登記官の指摘事項は、正にこの特別決議の要件(総株主の半数以上)が満た
されていない点であり、特別決議の決議要件と株式会社とは違うということを
お話して、誤解が解けたようでした。

 特例有限会社の議事録は、普段何気なく作成したり確認したりしてますが、
当たり前のことでもついつい見逃してしまいそうな点でもあるかと思いました
ので、自分への注意喚起の意味も込めて書かせていただきました。


2017.09.21(木)【無気力健康法】(金子登志雄)

 酒井さん、いつも役立つ投稿ありがとうざいます。私は大丈夫なようです。
生来の怠け者で「気力が先行し」などということはあり得ないからです。

 「無気力健康法」の実践者である私は、せっかく神様からいただいた体をい
じめること(運動)など、恐れ多いことだと思っていますし、心の酷使である
ストレスもよくないので、そういう仕事には近寄らないようにしています。

 先日、同じマンションの知人から「ローンを完済したので抵当権の抹消登記
をお願いしたい。ずっと金子さんに頼むつもりでいた」と電話がありました。

 私の返事は、「ごめんなさい。不動産登記の仕事はやめており、自宅の抵当
権抹消さえ司法書士の先生にお願いしたくらいなので」というものでした。

 商業法人登記分野でも医療法人や社会福祉法人などの登記依頼が来たら、私
のことですから、代わりの司法書士を紹介し、自分ではやらないでしょう。

 もちろん、ちょっと調べれば不動産でも何でもできる自信は十分にあります
が、調べること自体が億劫なのです。その代わり、好きな会社の登記に関して
は、ストレスがないどころか、やる気まんまんで、変わった登記や複雑な登記、
誰もやったことのない難解な登記依頼があれば、喜んで没頭しています。

 50代中旬までは、他に適任者がいなかったので、取締役管理部長としてス
トレスの多い総合的な仕事に従事していましたが、以後は、会社も大きくなり
人手も増えたので、会社の許可を得て、狭い領域の職人道に徹しています。

 今後、私が心療内科にかかるとしたら、仕事もなく毎日何もすることがなく
なった時でしょう。無趣味人間には、最も辛い日々です。その頃には神風が吹
いて会社法の大改正があり、また私のすることが増えると楽観することにより
心の平穏を保っていますが、期待どおりになりますかどうか。



2017.09.20(水)【病は気から?その2】(藤沢・酒井恒雄)

 私は、数週間前に、就寝すると必ず1時間くらいで目が覚めてしまい、その
後、朝方まで眠れないという状態になりました。そんな状態になりましたが、
通常通り業務をしていましたし、集中力を欠いてミスをする(軽微な補正はあ
りましたが、おそらく不眠のせいではないと思われます・・・。)こともなか
ったので、いつか正常に戻るだろうと考えていました。

 しかし、いつまで経ってもその状態が直らないので、さすがに、そのうち倒
れるのではないかと心配になり、心療内科で診察してもらうことにしました。

 初めて心療内科に電話をしてみましたが、多くの方が神経系の病に悩まされ
ているようで、予約がとれたのは1週間後の日でした。ところが、電話をして
から2~3日後には、ぐっすりと眠れるようになってしまいました・・。

 予約を取り消そうかとも考えましたが、何故、あのような状態になってしま
ったのか知りたかったので、診察をしてもらうことにしました。

 私の場合、気力に体力が追いつかなくなり、神経系統のバランスが崩れてし
まったことがわかりました。大きな原因は2つあったようで、1つは、不眠症
状になる前から、既に睡眠不足であった点、もう一つは、なんと栄養ドリンク
の摂取でした・・・。

 1日1本という摂取量は守っていたものの、ほぼ毎日、栄養ドリンクを飲ん
でいました。栄養ドリンクを飲むと、体の疲労感が無くなったように感じます
が、それは主にドリンクに含まれるカフェインの効力で神経が高ぶっているだ
けで、体の疲労が取り除かれている訳ではないのだそうです。

 栄養成分の摂取が疲労回復の手助けをするという効果も多少はあるようです
が、疲労回復には十分な睡眠をとるしかないそうです。元気になったつもりで、
睡眠時間を短くしていたのが悪かったのですね。

 また、よかれと思って行っていた運動も、運動量が多すぎて逆効果になって
いたと指摘されました・・・。ほぼ原因が分かったところで、後は心療内科の
先生と雑談になり、自律神経失調症やパニック障害のことを、いろいろと教え
てもらいました。

 病名を聞くと、自分には関係ないと思ってしまいそうですが、前回も書いた
とおり、風邪と何ら変わらず、誰でもかかる可能性がある病気のようです。

 「病(やまい)は気から」ということわざを辞典等で調べると、気の持ちよ
うで病は良くも悪くもなるという意味だと書いてあります。そして、気持ちが
滅入ると病も悪化すると書いてありますが、不規則な生活になりがちな現代に
おいては、気持ちが先走り過ぎても病になるのだという一文も付け加えた良さ
そうです・・・。


2017.09.19(火)【特例有限会社の代表取締役と登記】
(東京・鈴木龍介)

 純粋の株式会社である非取締役会設置会社の代表取締役の登記に関しては、
株式会社と擬制された特例有限会社の代表取締役の登記が参考になるといわれ
ますが、その異同を確認してみたいと思います。

 まず、両者ともに、各取締役が代表権を有し、取締役会設置会社のように代
表取締役の選定が必須ではありません。また、3つの代表取締役選定方法(定
款、定款の定めによる互選、株主総会)があることや、選定方法による代表権
の位置づけ(剥奪と付与)も共通であるといえます。

 一方で異なる点としては、非取締役会設置会社に限らず株式会社の取締役に
は任期がありますが、特例有限会社の場合、定款に別段の定めをしない限り、
任期はなく定期的な変更登記を要しません。

 また、株式会社の場合、仮に一人取締役であるときには、取締役の登記のほ
か別枠で代表取締役の登記がなされますが、特例有限会社の場合、一人取締役
やすべての取締役が代表権を有するときには、取締役とは別枠で代表取締役の
登記はなされません。したがって、そのような場合には、特例有限会社を代表
する取締役の資格は、「代表取締役」ではなく、「取締役」ということになり
ます。

 関連して、たとえば、2名の取締役のうち1名を代表取締役に選定していた
特例有限会社で、代表取締役でない取締役が退任したときには、取締役が1名
となることから、従来の代表取締役について、代表取締役の資格を消去する、
いわゆる氏名抹消の登記が必要になります。

 同様の設例で、代表取締役でない取締役が代表取締役となったときには、会
社を代表しない取締役が不存在になることから、従来の代表取締役について氏
名抹消の登記が必要になります。

 さらに、特例有限会社の取締役は住所付で登記され、株式会社の場合は代表
取締役だけが住所付で登記されるという大きな相違点があります。

 以上のような相違が生じた原因は、会社法が旧商法会社編と有限会社法を統
合したためです。

 旧商法時代の株式会社は必ず取締役会設置会社であり、取締役というだけで
は代表権がないとされていました。すなわち、取締役は取締役、代表取締役は
代表取締役という2元構成(地位分化型)であり、登記も別枠型でしたが、有
限会社では取締役というだけで代表権限を持つ各自代表を原則とする1元構成
(地位未分化型)であり、登記も1枠型を原則とし、取締役が複数で、その一
部を代表取締役に定めた場合に限り別枠型でした。

 これを会社法で統合し、非取締役会設置会社を株式会社に加えたため、地位
未分化型の1元構成でありながら、登記だけは取締役会設置会社と同様に必須
の別枠型にしたため、特例有限会社の登記との間に齟齬が生じたわけです。

 統合するには、やや無理があったのではないかとも思えますが、取締役会の
設置又は廃止が自由になった面からは致し方ない相違だともいえます。


2017.09.15(金)【社会の病は空気から?】(金子登志雄)

 立花さんが講演した9月9日は北朝鮮の建国記念日でした。何かあるかなと
いう「地政学リスク」で、株価も死の商人の銘柄を除いて様子見されていまし
たが、何もなかったので、今週は安心感が広がり値上がりしていました。

 しかし、最も警戒すべき隣国の韓国や敵国の米国ではマスコミを含めて静か
なものでした。日本でも、安倍首相や昭恵さんの動静をみていれば、大騒ぎす
るほどの切迫した状況ではないことがすぐに分かるのですが、モリ・カケ疑惑
から目をそらそうという力学が働いているのか、NHKはじめ、このままでは、
日本国の命運は「萬代」橋を渡れないかのように危機感を煽るものでした。

 これと先日の酒井さんの「病は気から?」に関連して、先日の日刊ゲンダイ
に面白い内容がありました。吉良上野介はよい人なのに、世の空気で悪人にさ
れてしまったという歴史家の解説記事です。

 記憶に基づいて紹介すると、浅野内匠頭は、最近の研究によると癇癪持ちと
いう病気が原因で吉良に切りつけたもののようで、吉良は浅野をいじめていな
い(浅野の接待役は2度目であり吉良の指導を仰ぐ必要も薄かった)、しかし、
世間の空気は仇討ちに動かない浅野側は何をしているんだというもので、幕府
も人気のない生類憐みの令への批判から世間の目をそらすため、吉良討ちの風
潮を黙認していた。また、吉良の親戚の上杉が吉良の助けに入ったら、これ幸
いと外様大名の上杉を改易にできたので、上杉も動くに動けなかった。仇討ち
後はフェイクニュースが横行し、赤穂浪士が英雄視され、吉良は大悪人とされ
てしまったが、とんでもないことで、善政を敷いた優れた殿様だったというよ
うな内容でした。

 真相はともかく、いつの世も情報弱者の庶民はこういう外部から吹かれる風
によってできた空気を真実だと思い込んでしまうものだという点に妙に納得し
てしまいました。冷静にみれば、場をわきわめずに刃物で無抵抗の老人に切り
つけた浅野に非があるのは明らかですが、当時の道徳観(喧嘩両成敗)では、
受け入れられなかったのでしょうか。

 いずれにせよ、世間の空気に従った思い込みをやめ、会社法や商業登記の解
釈でも大学者やお上の解釈を鵜呑みにせず、自分の頭で考えることが大切です
ね。お釈迦様も最後は「自灯明法灯明」といっています。

 ついでですが、未だに拘束されている籠池夫婦と喧嘩両成敗にしない幕府の
動きに異を唱え、下記に署名しました。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfZchtvZZAE6l0JbwrNGWl2yNQ5fZ2R3Ezgn_4ygC_SZGLRyA/viewform


2017.09.14(木)【橋を架ける】(仙台・立花宏)

 その日は朝早く起き、気持ちのよい陽の光を浴びながら、ある場所に向け、
散歩に出かけました。時折、ジョギングをしている方々を見かけます。気温は
それほど高くなく、運動するにはよいコンディションです。気持ちよさそうで、
うらやましく思えました。

 しばらく歩くと、目的の場所が見えてきました。萬代橋という橋です。新潟
市にある、信濃川の河口近くに架かる橋です。私はしばらく付近を歩きながら、
その橋梁の美しい姿に見入ってしまいました。

 萬代橋は、現在でも長さは300m余りありますが、昔は信濃川の川幅はも
っと広く、明治時代に架けられた橋は800m近い長大な橋だったそうです。

 橋ができる前は渡し船で渡っていたそうで、対岸との行き来は大変だったと
思われます。人々にとっては、とても不便だったでしょうから、橋が完成した
ときの新潟の皆様のよろこびはどれだけ大きかったのでしょうか。きっと、こ
の橋のおかげで、たくさんの方々が交流できるようになったことでしょう。

 橋の美しさに魅了されたあと、私は萬代橋を渡ってみました。歩きながら、
私は前日(9月9日(土))の新潟県司法書士会様の研修会のことを思い出し
ていました。

 光栄なことに、新潟県司法書士会様からご指名をいただき、講師をさせてい
ただいたのです。会場に入ると、たくさんの会員の方々が会場にいらっしゃい
ました。講師として、とてもやりがいを感じました。

 ところが、研修会に参加してくださったのは、私のいた会場に来てくださっ
た方達だけではなかったのです。今回はもうひとつ別の会場(上越市)が設け
られ、その会場にも講義が同時配信されていたのです。研修終了後、そのもう
ひとつの会場からご質問をいただいたりと双方向のコミュニケーションがとれ
ました。

 会場から遠い地域に住んでいらっしゃる会員の方にも会の事業に参加しやす
いようにしたい、たくさんの会員の方に参加してほしい、という新潟県司法書
士会の研修担当役員、そして、研修委員の皆様の気持ちが込められていました。
その熱意は私にも伝わってきました。

 会場にいる皆様もその熱意を感じたのに違いありません。とても熱心に講義
に耳を傾けてくださっているのがわかりました。きっと、もうひとつの会場の
皆様もそうだったに違いありません。

 新潟県司法書士会様では、この試みははじめてだったそうです。研修担当の
皆様には、いろいろなご苦労があったと聞きました。気苦労もあったことでし
ょう。

 研修会終了後、研修担当の皆様に懇親会にお誘いいただき、とても楽しい時
間を過ごすことができました。同時配信という試みも大成功に終わり、たくさ
んの会員の皆様にご参加いただいた素晴らしい研修会となったためか、心なし
か、研修担当の皆様は、とても達成感のある、誇らし気な顔をされていました。

 同時配信でふたつの会場を結ぶという試みは、ふたつの会場の人々をも結び
付けたように思います。

 「新潟県司法書士会様の同時配信という試みは、信濃川に架かった萬代橋の
ようだな」

 私は美しい萬代橋を渡りながら、そんなことを思いました。


2017.09.13(水)【病は気から?】(藤沢・酒井恒雄)

 先日、自律神経失調症やパニック障害について知る機会がありました。

 自律神経失調症やパニック障害と聞いて、皆さんはどんな症状、あるいはど
んな病気がだと思われるでしょうか? 

 私は「心の病」という印象を持っておりました。「病(やまい)は気から」
とも言いますから、心が元気であれば神経系の病気になることはなく、気持ち
が滅入ったり、悩み事が多かったりすると、神経系の障害を起こすのだと思っ
ていました。

 しかし、これは誤解のようです。もちろん、心の乱れが原因で発症もします
が、体の機能の乱れから発症する場合が多いのだそうです。何の悩みもない、
ストレスも溜めていないと思っている人でも、睡眠不足や偏った食生活を続け
ていると、次第に体のリズムが乱れ、ある日突然、生活に支障が出るような症
状になるそうです。

 治療する場合は、一時的には投薬を行いますが、主には生活リズムを整えた
り、体力を回復させることを目標にするようです。誰でも、軽かれ重かれ、年
に何回かは風邪をひくと思いますが、その治療方法と変わらないのですね。

 風邪と同じように、誰でも神経系の病気になるようです。風邪は万病の元と
言うように、神経系の病気や不調も、甘く見ていると「うつ病」へと繋がるよ
うなので注意が必要のようです。特に、気力で乗り切ってしまう傾向のある方
は、たまには体の意見も聞いてあげた方が良いみたいですよ・・・。


2017.09.12(火)【取締役改選直後の取締役会】(東京・鈴木龍介)

 株式会社の取締役は定期的に改選する必要がありますが、代表取締役である
取締役が任期満了退任し再就任(重任)した場合、仮に同一人が代表取締役と
なるときであっても代表取締役をあらためて選定しなおさなければなりません。

 取締役会設置会社については、取締役を改選した株主総会の直後に取締役会
を開催し、そこで代表取締役を選定することになりますが、この取締役会をど
のように招集するかについては悩ましい問題があります。ちなみに、多くの会
社では、取締役会の招集について、定款(場合によっては取締役会規則)で招
集権者や招集期間や招集権者を定めています。

 たとえば、招集権者を代表取締役、招集期間を会日の3日前と定款に定めて
いる会社の場合、取締役を改選した株主総会直後の取締役会の招集は、誰が行
うことになるでしょうか。この時点では代表取締役は不在ということになりま
すので、会社法の規定(会366条1項)に立ち返り、あらたに就任した各取
締役が招集権者ということになります。被招集者は、当然、あらたに就任した
各取締役(監査役)です。

 次に招集期間ですが、改選した株主総会直後に開催される取締役会ですから
3日の招集期間を確保できないことは明らかですし、所定の招集手続を経るこ
とは不可能であるといえます。ただし、あらたに就任した取締役(監査役)全
員が当該取締役会に出席し、招集手続を経ていないことに異議がなければ(通
常、異議はないはずです。)、適法な取締役会として取り扱うことができます。

 一方で欠席者がいるような場合、前記のような取扱いをすることはできませ
んので、全取締役(監査役)候補者から、あらかじめ選任を停止条件に招集手
続を省略することについての同意を取り付けておくという方法が考えられます
(東京弁護士会『新・取締役会ガイドライン(第2版)』362頁(商事法務、
2016年)。

 取締役改選時における代表取締役の就任の登記申請に添付する取締役会議事
録には、「本取締役会は、取締役(監査役)全員が出席し、その同意により招
集手続を経ることなく開催された」といったように招集手続の瑕疵がどのよう
に治癒されたかを記載すべきであると考えます。


2017.09.11(月)【30年前】(金子登志雄)

 上記(8)の『会社法務書式集』の共著者である司法書士業務ソフト開発の
株式会社リーガルさんが今月で創業30周年のようです。ひとつの事業の寿命
は30年もありませんから、これは大変にすごいことです。

 思い起こせば30年前は、ちょうどパソコンが出回り始めた頃ですから、ち
ょうどよい時に創業したことになります。ポケベルは普及していましたが、ま
だ、インターネットも携帯電話も普及していませんでした。

 当時のパソコンは税務会計のソフトにはよかったのでしょうが、法務分野か
らみればワープロと大差なく、しかも、現在のパソコンと相違し、何頁でも書
けるものではありませんでした。そういう意味では、リーガルさんも創業の苦
しみを味わったことでしょう。

 30年前(昭和62年)には、私も会計士集団と株式会社日本M&A研究所
という日本初のM&A専門会社を創業いたしました。

 世間一般にはM&Aといっても通じず、通じる方には、会社乗っ取り専門会
社のように思われたり、時代遅れの弁護士会からは非弁活動の疑いで訪問を受
けたりの時代でした。当時の写真週刊誌に乗っ取り集団現るかのようなからか
い記事も書かれました。

 いまはM&A専門業者が上場会社にも出現している時代ですが、われわれは
設立が早すぎたのか、全く仕事がないため、講演活動や執筆活動が中心でした。
共著ですが、私の最初の書著『実戦M&A事典』を執筆したのもその頃でした。

 格安のシャープのワープロを使って書いていましたが、このワープロは画面
が小さく3行しか見えませんでした。それでも手書きの原稿用紙と比べて、書
いたり消したりが自由だったため、ずいぶんと重宝したものでした。

 本欄をみている方の中には、30年前などまだ生まれていなかったという方
もいらっしゃることでしょう。その方にとって、30年前は、はるか昔でしょ
うが、私にとっては、昨日と同じです。ただし、M&Aや合併等組織再編中心
の法務コンサルタントとしての私が誕生したのは、その頃ですから、私個人に
とっては、リーガルさんと同じく、絶好な時期の開業だったように思います。


2017.09.08(金)【商業登記バイブル本通読】(金子登志雄)

 今週は初投稿です。他の投稿者の皆様のおかげで久々に楽をさせていただき
ました。本欄を書くこと自体は苦痛ではないのですが、料理と同じで献立(ネ
タ)を考えるのが一苦労です。

 さて、先週は、松井信憲著『商業登記ハンドブック〔第3版〕』を通読して
みました(最後の嘱託登記部分を除く)。調べるためには、よく開くのですが、
通読ははじめてでした。

 考えながら読むため、本を読むのは人一倍遅いのですが、そこは私の専門分
野ですから、約700頁を3日で読めました。

 いまさらながら、大変な労作でした。商事法務や登記研究、登記情報の資料
も掲載され、まさに商業登記のバイブルでした。雑誌・登記情報の司法書士に
よる論考では、私ほか山本(浩司)、草薙、初瀬さんの名前も載っていました。

 あの分量をどの程度の時間をかけて書いたのかと、初版の出版時期を調べま
したら、平成19年6月でした。その他との順序は次です。

 1.平成17年6月
   会社法内容が発表されたばかりで、私が『これが新発想の会社法だ』を
  出版した時期でした。

 2.平成17年7月
   会社法立案者より『1問1答』出版。『1問1答』は国会答弁用のもの
  を本にまとめたものだと聞いたことがありますが、通常は、どの解説書よ
  りもこれが先に出ます。   

(平成18年5月会社法施行)

 3.平成18年6月
   会社法立案者が『論点解説 新・会社法』出版

 4.平成19年6月
   松井信憲著『商業登記ハンドブック』出版

 上記からもお分かりのとおり、金子流は「私はこう思う」を前面に出すため、
誰よりも早く出版することができますが、松井本は資料としての価値も重視し、
商業登記の百科事典にもしなければなりませんので、どうしても遅れた出版に
なります。それでも数年の時間が必要でしょう。それを松井氏は仕事をしなが
ら2年程度で書いてしまったわけですから、驚異というしかありません。

  不滅のバイブル本ですから、次の改訂が今から楽しみです。



2017.09.07(木)【属人的株式】(東京・古山陽介)

 会社法第109条第2項に基づく、株主ごとに異なる取扱いを行う株式、い
わゆる属人的株式に関する相談や依頼が今年に入って増加傾向にありますが、
先日、中でも珍しい案件に遭遇しました。

 株主が6人で、定款において、6人それぞれ議決権について取扱いが異なる
定めのある会社が、分割型分割による新設分割を行う(新設される会社の定款
にも同趣旨の属人的株式に関する規定を設ける)事例でした。

 属人的株式についても、同条第3項によって、種類株式発行会社とみなされ
るため、会社法第322条の種類株主総会も適用の対象となります。

 今回の事例は、6人の株主がそれぞれ議決権について異なる取扱いを受ける
ため、それぞれの「みなし種類株主総会」の決議も必要となる点がポイントで
した。

 最近よくみかける事例として、自社で属人的株式の規定を導入していること
を完全に失念していて、結局この規定を入れた目的や意図も分からずで、面倒
になるくらいなら規定を削除してほしいという会社が多い中、このクライアン
トは株主名簿の管理をしっかりしていて、みなし種類株主総会の決議について
も、きちんと理解されていました。

 登記には表れない属人的株式に関する規定については、注意が必要であるこ
とを再認識した事例でした。


2017.09.06(水)【蝉の鳴き声】(藤沢・酒井恒雄)

 夏らしくない日が続いたので、今年は残暑が厳しいのかなと予想していたの
ですが、もう秋の風を感じるようになってしまいました。すっかり季節外れの
内容になってしまいますが、今年は蝉の鳴き声を聞き、改めて感じたことがあ
りました。

 蝉の鳴き声は、夏らしくて好きだという人もいれば、あの鳴き声を聞くと余
計に暑く感じるので嫌だという人もいるようです。私は前者の方で、蝉の鳴き
声を楽しむ方だったのですが、どうも、以前のように心地よいと感じられなく
なっています。

 何故だろうと思い、鳴き声をよく聞いてみると、小さい頃から馴染んで聴い
ていた鳴き声の他に、「シャアシャア」という鳴き声が混じっていることが原
因だと気づきました。

 以前は、ミンミンゼミの「ミ~ンミ~ン」という声と、アブラゼミの「ジ~
ジ~」と鳴く声の二重奏が基本で、それにツクツクボウシの鳴き声が加わると
いう感じでした。

 ところが、いつしかこれに「シャアシャア」が混じって不協和音が発生し、
さらにはその「シャアシャア」の鳴き声が大きいため、ただの騒音に近いよう
に感じ始めたのです。

 「シャアシャア」の声の主は、クマゼミです。もともと、クマゼミは関西や
九州方面等に生息していたセミで、私が小さい頃には、関東近辺では見かける
ことがありませんでした。

 小学生の夏休みに京都の親戚の家に遊びに行ったとき、初めて実物のクマゼ
ミを目撃して、とても興奮したのを覚えています。いつの間にか、関東近辺に
も生息するようになったようで、その原因は、地球温暖化で気温が上昇し、生
息分布が北上したという説と、人工的な緑化等で関東方面に関西方面の樹木が
移植され、その根に幼虫が付いていて発生したという説があるようです。

 いずれにせよ、昔から聞き慣れていたアンサンブルではなくなってしまった
ことが、私には受け入れられないようです。

 思えば、蝉の声に耳を傾けるようなときは、聴く耳を持つ余裕があるときで
すから、ちょっとしたノスタルジー(昔を懐かしむ気持ち)に浸れなくなった
のが、一番嫌なのかもしれません・・・。


2017.09.05(火)【大会社・中会社・小会社】(東京・鈴木龍介)

 現行の会社法では、株式会社の規模(資本金と負債)に着目した「大会社」
と「大会社以外の会社」に区分されていますが、会社法制定前は、監査(権限
や機関設置等)に着目した「大会社」、「中会社」、「小会社」とに区分され
ていました。

 これは、会社法施行により廃止された「株式会社の監査等に関する商法の特
例に関する法律」(現場では「商法特例法」や「監査特例法」と呼ばれていま
した。/以下、「特例法」といいます。)に基づくものでした。

 では、具体的「大会社」、「中会社」、「小会社」というのは、それぞれど
のような会社であったかを振り返ってみたいと思います。

 まず、「大会社」ですが、資本金が5億円以上もしくは負債が200億円以
上の会社で、大会社の監査役は会計監査権限と業務監査権限を有するとともに、
会計監査人と監査役会(当時の「委員会等設置会社」を除きます。)を必ず設
置しなければなりませんでした(つまり、「中会社」や「小会社」は、任意で
監査役会や会計監査人を設置できませんでした。)。

 次に「中会社」ですが、資本金が1億円超~5億円未満(負債は200億円
以内)の会社で、中会社の監査役は、大会社と同様に、会計監査権限と業務監
査権限を有し、特例法ではなく当時の商法の規律に従うこととされていました。

 最後に「小会社」ですが、資本金が1億円以内(負債は200億円以内)の
会社で、小会社の監査役は、会計監査権限しかありませんでした。

 現行法との関係で問題になるのは、監査役の権限のところだと思います。つ
まり、旧商法・特例法下では、会社の区分により監査役の権限が強制的に定ま
り、現行法のような選択の余地はありませんでした。

 平成26年改正会社法で監査役の権限(会計監査限定)が登記事項となりま
したが、会社法制定前に設立された非公開会社である小会社で、その後に会社
の区分の見直しや定款変更をしていないということであれば、監査役の監査の
権限(会計監査限定)の登記をする必要があります。

 一方で、同じく小会社であっても公開会社ですと、監査役の監査の権限は業
務監査にまで自動的に拡大され、当該監査役の任期は会社法施行時(平成18
年5月1日)に任期満了しますので(平成17年整備法53条)、その退任・
就任の登記が必要(であった)ということなります。



2017.09.04(月)【ウイルス対策】(仙台・立花宏)

 このたび、事務所に新しい機械を導入することにしました。セキュリティル
ータと呼ばれるもののようです。

 事務所の業務にはメールがかかせません。また、インターネットでいろいろ
な情報を収集することも少なくありません。

 パソコンがウイルスに感染したら、業務に支障がでることはもちろんです。
それだけではなくて、ウイルスを拡散させ、お取引先様にご迷惑をおかけする
可能性もあります。

 また、パソコンには個人情報も入っているので、それが流出する可能性だっ
てあります。テレビ等で、コンピュータウイルス等の被害の報道を見て、なに
か対策をしなければと考えていました。もちろん、ウイルス対策ソフトは導入
していましたが、それだけで十分なのかと気になっていたのです。

 事務所のOA機器の面倒を見てくださっている会社の方に相談したところ、
以前、紹介していただいたセキュリティルータの値段がだいぶ下がっていたの
で、導入を決めました。値段が下がったといっても、私にとっては高価な機械
です。

 しかし、信用を得るまでは長い時間がかかりますが、失うのは一瞬だといい
ます。そのリスクを少しでも避けるためと、思い切って決断しました。

 5年リースでの導入なのですが、そのリース料をみて思いました。自分が健
康のために、それだけの額をつかっているだろうか。

 パソコンがコンピュータウイルスに感染するのも大変ですが、たとえば自分
がインフルエンザウイルスに感染するのだって大変なことです。自分の体調が
悪くて仕事ができないのもありますが、感染拡大を防ぐため、外出することも
できません。

 今年も、流行する時期の前に、インフルエンザワクチンを打つのを忘れない
ようにしようと思いました。パソコンにたとえると、それはウイルス対策ソフ
トでしょうか(ちょっと違うかもしれませんが)。

 そうすると、自分にとって導入できるセキュリティルータは何でしょう。ぱ
っとは思いつきませんでした。

 あまりお金はかかりませんが、適度な運動と、バランスのよい食事をこころ
がけようと思いました。


2017.09.01(金)【登記申請と印鑑】(金子登志雄)

 今日は防災の日ですが、東京以北の方は、先日のJアラートは、いかがでし
たか。ホリエモンが、こんなことで起こしてと怒っているようですが、いまや
北の将軍様とNHKは安倍政権の最大の支援者になった感がいたします。
   hthttp://lite-ra.com/2017/08/post-3420.html

 さて、新保さんのブログの代表取締役の重任と改印の問題は、印鑑とは何か
を考えさせられました。

1.商登法20条1項「登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印
鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。」

 印鑑は会社の印鑑ではなく、代表取締役個々の印鑑です。だから、代表取締
役が複数存在した場合に同一の印鑑を使うことができませんし、代表取締役A
が申請した登記を代表取締役Bが取り下げることもできません。

2.商登規則9条の2第1項「印鑑の提出をした者がその資格を喪失し、又は
改印若しくは印鑑の廃止の届出をしたときは、登記官は、印鑑記録にその旨を
記録しなければならない。」

 この規定だけでははっきりしませんが、実務上は、Aが代表取締役の資格を
喪失しても同時に再任されれば重任といい、印鑑を再提出せよとはされていま
せん。

 重任と同時に印鑑を変えた場合は、新代表取締役の新規の印鑑届出ではなく、
従来の印を「改印」したと扱われています。

 これからみると、いったん印鑑を提出した限り、印鑑には重任や再任に影響
されることなく、印鑑提出者が登記記録上代表取締役とされている以上、その
者の印鑑として有効に存在していることになります。

 ①A代表が代表取締役の任期中に改印した。
  ………A代表の印鑑は1つですから、新印鑑がAの印鑑になります。

 ②A代表がB代表と交代した。
  ………変更登記が完了するまではAは登記記録に代表取締役として存在し
  ますから、この場合は、登記所にはA印とB印の2つが存在します。交代
  事例ですから、同じ印鑑でも許されます。

 ③A代表が重任し、同時に改印した。
  ………②と同様に、重任前Aの旧印と重任後Aの新印の2つが存在します。

 新保さんを補正にした登記所は③につき、実体法の思考をして、Aの印鑑は
1つしかないと考えたようですが、登記上は重任登記が完了するまでは、Aは
そのまま登記上の代表取締役として存在しますから、重任前の印鑑でもよく、
また、①と同様に改印後の印鑑でも従来の代表取締役が改印したとみて、これ
も認められます。

 (このように、登記は実体法だけの思考では動きません。有限会社の取締役
が甲1人のところに乙を追加して甲を代表取締役にしたときは、乙の就任日を
もって甲につき代表取締役の就任登記がなされます。甲は取締役1人の時から
実体法上は代表取締役でしたが、登記上の代表取締役に就任したのは乙の取締
役就任時だからです。) 

 ここまではよいのですが、A代表が任期中にB代表を追加し代表者が複数に
なる事例で、同時にAが改印した場合です。

 ①の流れで、A新印とB印の2つとみるのか、重任とは無関係な印鑑の実務
を強調し、③と同様に、改印前A印、改印後A印、B印の3つが存在すると考
えるのかによって、商登規則61条7項ただし書の「変更前の代表取締役の届
出印鑑」の解釈が違ってきます。

 Aの改印が「代表取締役をBとする変更登記」に関係するものであれば(例
えば、社長印をAからBにバトンするため、商号変更と同時に代表者2名体制
にするため、Aも新商号印に変えるためなど)、登記完了までは3つの印鑑が
登記所に存在すると解釈することができるでしょうが、そうでない場合は、ど
うなるのでしょうか。

 きっと誰も断定することができないでしょう。こういう場合は。規則61条
7項ただし書の「変更前代表取締役の届出印」としては、Aの旧印と新印の2
つを押しておくのがリスク回避策の生活の知恵です。


2017.08.31(木)【地面師詐欺事件】(島根・根来川弘充)

 つい先日、大手業者が地面師詐欺にあい、63億という被害を受けたという
ニュースがありました。

 内容は、実際の登記名義人になりすまして、都会の一等地を売り、代金をだ
まし取ったというものです。

 登記に携わるものとして、どうしてこのような被害にあったのか、とても気
になりました。

 大きな取引ですから、たくさんの専門家が関わったと思います。それらを巧
みにかいくぐった犯罪手口とは、きっと、専門家だからこそ陥りやすい弱点が
あったのではないかと思えてしまいます。

 現在の不動産登記制度というのは、インターネットによるオンラインの申請
が原則です。

 私には、インターネット上の方が、なりすましが容易ではないかと考えてい
ます。結果、依頼者が登記名義人であるという確認作業は、今後ますます、困
難なものになると思います。

 しかし、少し話題になりました某学園の公有地払い下げの金額の何倍にもな
る金額を、あっさりと、だまし取ってしまった手口に、たとえ地価が安価な地
方の人間だからといって、不安に感じざるを得ません。


2017.08.30(水)【計算書類の閲覧】(藤沢・酒井恒雄)

 ある株主さんから、会社の計算書類の閲覧を請求したら拒否されたという連
絡が来ました。

 閲覧請求は拒否できるものなのか?と聞かれたので、会社の営業時間外だっ
たのかな?と思いつつ、原則として開示義務はあるが、拒否できる場合もある
と答えました。

 具体的にどうやって閲覧請求をしたのか聞くと、会社の顧問税理士に対して、
税務申告書の控えを見せて欲しいと言ったのだそうです・・・。

 以前の投稿でも書きましたが、税務申告書の会社用控えや議事録関係の書類
を、顧問税理士が保管している場合もあります。

 とはいえ、税理士の守秘義務、税務申告書には閲覧対象となっていない計算
書類も含まれている等、顧問税理士が開示を拒否するのは当然です。

 その株主さんが言うには、会社との関係がよろしくなく、会社に対して閲覧
請求をするのが嫌なので、顧問税理士に開示してもらおうと考えたのだそうで
す。

 ふと、会計参与のことが頭に浮かびましたが、話しぶりからして、それを知
ってのうえで閲覧請求をしたとは思えませんでした。念のため確認してみまし
たが、やはり顧問税理士は会計参与ではありませんでした。

 そんなやりとりの中、最近、会計参与を置いている会社に遭遇していないこ
とに気づきました。単に、自分との接点がなくなったからかもしれませんが、
実際、会計参与に対するニーズは減少傾向にあるのでしょうか?ちょっと気に
なっているところです・・・。


2017.08.29(火)【監査役の任期の変遷】(東京・鈴木龍介)

 監査役は、日本における最初の商法典である明治23年商法(明治23年法
律32号)から株式会社の機関として登場します。なお、同法下では監査役は
登記事項ではありませんでしたが、明治32年商法(明治32年法律48号)
から今日まで登記事項とされています。

 現行の会社法の監査役は、いわゆる定時株主総会終結時をベースとする4年
の伸長任期が原則となっていますが、当初からそうだったわけではありません。

 長い我が国の商法・会社法の歴史の中で、その任期についても幾度かの見直
しがなされてきました。

 まず、明治23年商法では2年以内のいわゆる確定任期と規定されましたが
(ちなみに当時の取締役の任期は3年以内でした。)、明治44年改正商法
(明治44年法律73号)で、それまでの確定任期と現行の伸長任期とを選択
することができるようになりました。

 昭和25年改正商法(昭和25年法律167号)では、監査役の権限が会計
監査に限定されたせいか任期は1年に短縮されました。しかしながら昭和49
年改正商法(昭和49年法律21号)で業務監査権限が復活し任期も2年の伸
長任期に一本化されました。なお、その際に、設立後最初の監査役の任期を1
年とする特則が加わりました。

 その後、監査役の地位の強化を図ることを目的に平成5年商法改正(平成5
年法律62号)では3年に、平成13年商法改正(平成13年法律149号)
では4年に、漸次、その任期は伸長され、現在に至っています。なお、設立後
最初の監査役の短縮任期の特則については、会社法制定時に削除されました。

 日本だけでなく世界の監査役の歴史に関心のある方は、現在、月刊監査役で
隔月連載中の高田晴仁慶應義塾大学法科大学院教授による「監査役の誕生-歴
史の窓から-」をご覧ください。



2017.08.28(月)【ベテランと新人】(金子登志雄)

 先日は、ある顧客上場企業の法務部から懇親会名目で毎年恒例の接待を受け
ました。我々司法書士を出入り商人扱いをする会社も少なくない中、外部の専
門家を非常に大事に扱ってくださる会社で常々有り難いと思っています。

 登記書類を取りに来いといわれたことなど一度もありません。常に先方が持
参してくださいますし、法務部に新入社員がいると挨拶に連れてきてください
ます。

 懇親会は先方が5人で新人の方(東大法学部卒)もいらっしゃいましたが、
旧商法時代のことをご存じないので、当然ながら十分に会話は成り立ちません
でした。彼は私の息子より年下ですから、仕方ありませんが、この世代差、経
験差、認識差はいかんともしがたいと思いました。

 何をいいたいかといいますと、最近の登記所は人事異動が激しく、商業登記
のベテランがいなくなり、当然、古くからの商業登記の伝統も知らず、旧商法
も知らないマニュアル人間が増え、しかも権力を持っているため、あちこちで
経験豊富な司法書士との見解の相違が生じており、困ったものだということを
いいたいわけです。

 常々、私は司法書士試験委員のように、登記所側と民間側(司法書士側)で、
ベテランを出しあって「補正判定委員会」のような駆け込み寺があればよいの
にと思っているのですが、お上の面子が先行し、難しいのでしょう。私的な組
織で無報酬でかまいませんから、法務省商事課に協力委員として、そういうの
を作ってほしいものです。このままでは悪貨が良貨を駆逐してしまいます。い
や、新人の外来種が従来の日本古来の健全な手続を絶滅させてしまうというべ
きでしょうか。これは国家的損失です。


2017.08.25(金)【民法学者と会社法学者】(金子登志雄)

 先日は、神崎先生のお誘いで先生のいう迎賓館において、商業・法人登記5
人委員会で暑気払いでした。鈴木龍介さんや山本浩司さんもお元気でした。

 鈴木さんは日本登記法研究会の事務局を務め、今後は商業登記についても開
始すると張り切ると同時にご苦労されているようでした。
    http://www.toukihou.jp/

 難物は民法学者と会社法学者がうまくやっていけるかでしょう。

 大学(民法学者)の恩師が、「商法学者は分からない点があると民法に戻れ
ばよいが、民法学者は哲学に戻るしかない、例えば、時効の研究者は『時とは
何か』と考えてしまう」といっていましたが、このように民法と会社法はかな
り学問としての性格が相違します。会社法専門の私は、もう20年以上も民法
の教科書を開いたことがありません。条文はみていますが。

 こうした学問の性格の差から、民法学者は自分達を高尚な学問を研究してお
り、実学の会社法学者を見下す傾向にあり、会社法学者は実社会に役立たない
研究をしている民法学者を世間知らずとでも思っている傾向がないとはいえな
いでしょう。

 もっとも、我々実務家自身は会社法学者に対しても、もっと社会を知るべき
だと思っていますから、こういう性格の異なる職業の一癖も二癖もある人々を
まとめてゆこうとしている鈴木さん達の努力は半端ではありません。私には、
男子トイレと女子トイレを別にするように、民法学者と会社法学者は一緒にし
ないほうがよいとしかいえませんが、どうなるのでしょうか。

 ただ、民事訴訟法や刑事訴訟法が学問と思われているのに対し、同じ手続法
の登記法がそう思われていないのは、実に残念であるため、日本登記法研究会
の成功は我々の社会的地位や生活にも影響してきます。

 ぜひ、研究の成果を法務省や法務局に伝え、おかしな登記先例(期限付解散
など)や解釈(本人確認証明書や株主リストの運用)に影響する組織に成長し
てほしいものです。



2017.08.24(木)【株主総会で代表取締役の選定】(金子登志雄)

 月曜日の本欄に関係した問題です。

 定款には代表取締役の選定方式につき何の定めがない非取締役会設置会社甲
で取締役ABC(代表取締役A)のところに、新取締役Dを追加する場合に、
Dの代表権はどうなるでしょうか。

 この甲では、株主総会で代表取締役を選定する仕組みを採用したわけですか
ら、Dの取締役選任の際に「代表権を有しない取締役」あるいは「代表取締役
である取締役」かを明記して選任しないと、登記所には通じません。

 ここで特に知っていただきたいのは、Aを代表取締役に選定した際に、AB
CのうちAを選定したことは間違いないのですが、議案については、①Aから
代表権を剥奪するか、②Bから代表権を剥奪するか、③Cから代表権を剥奪す
るかという3つがあり、3つの議案を一括して決議し、②と③が可決したとい
うことです。決して、1個の議案ではありません。

 したがって、Dの取締役の選任議案においても、Dから代表権を剥奪するか
どうかという議案が含まれており、ABCD4人のうちで代表取締役は誰にす
るかという議案ではありません。

 取締役会設置会社や互選代表制度採用の非取締役会設置会社で取締役を選任
する際は、最初から会社法又は定款で「代表権なき取締役」として選任してい
るため、上記のような問題は生じません。

 以上につき、実務家の方は感覚的に分かっていますが、学者本には説明があ
るのでしょうか。会社の意思決定には、会議方式と非会議方式の2つがあると
いう基本中の基本についても学者本で読んだ記憶がありません。

 読書家ではないので、うっかりしたことはいえませんが、これも私が権威あ
る学者本を読まない、信じない理由です。



2017.08.23(水)【計算書類の公告】(藤沢・酒井恒雄)

 株式会社の計算書類の公告は、電磁的方法により行うことができます。

 有価証券報告書を提出している会社を除き、計算書類の公告は必須なのです
が、公告掲載の手数料等を考えて、自社のホームページ等に掲載する方法をと
る会社も少なくありません。

 登記事項証明を見れば、「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要
な事項」として、計算書類に辿り着くはずのURLが分かります。しかし、た
めしにアクセスしてみると、繋がらない場合も多いです。繋がったとしても、
貸借対照表の要旨しか載っていなかったり、直近の事業年度分しか載っていな
い場合もあります。

 そんな状況のなか、ある依頼人の会社が電磁的方法による計算書類の公告を
採用していましたので、相談内容の流れもあって、URLにアクセスしてみる
ことなりました。

 そこには直近の事業年度に関する貸借対照表と損益計算書だけが載っていて、
公告を継続しておくべき過去の貸借対照表はありませんでした(ちなみに大会
社ではありません)。

 そこで「正しくは、公告(提供)以降5年間はそのまま貸借対照表を載せて
おくのですよ。」と伝えたところ、思いもよらぬ反論を受けました。依頼人曰
く、「先生、これは心意気なんですよ!会社の財務状況を積極的に開示する姿
勢を示しているんです!」とのこと。

 会社法の世界から離れていいのなら、「その心意気、伝わりました!」と返
事をしたかったところです・・・。

 多くの株式会社が計算書類の公告を行っていません。依頼人の株式会社も、
有効な公告(提供)をしていないので公告義務違反となるのですが、たしかに、
何もしていない会社と一緒にするのは忍びない気もします。以後、会社法の規
定どおりの公告(提供)に修正してくれることを期待したのですが、相変わら
ず独自路線を進んでいるようです・・・。


2017.08.22(火)【日本登記法研究会】(東京・鈴木龍介)

 今回は、実務や理論の話からはなれまして、「日本登記法研究会」という団
体について取り上げてみたいと思います。

 同会は、昨年の12月に研究者と実務家によって発足した、登記ならびにそ
の関連分野を研究する学術団体で、“学会”に近い位置づけといってよいと思
いますが、近将来的には名実ともに“学会”となることを目指しています。現
在は、不動産登記分野の研究を展開していますが、今年度からは商業・法人登
記分野の研究をスタートする予定です。

 同会では、年に1回、研究の成果の発表の機会等として研究大会を開催する
こととしており、前年度は3月に設立記念大会を開催しました。その様子や研
究報告の内容については法律時報2017年8月号(1115号)に掲載され
ていますので、ご関心のある方はご参照ください。
  https://www.nippyo.co.jp/shop/magazines/latest/1.html

 なお、今年度は平成29年12月9日(土)に第2回の研究大会を東京・四
谷の司法書士会館で開催する予定です。
 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/intro/accessmap.html

 現在、同会の会員数は研究者や司法書士を中心に約300名を数えますが、
趣旨にご賛同いただける皆様のご入会をお待ちしております。ちなみに、今の
ところ、入会金や会費はありません。

 入会をはじめとしました詳細につきましては、以下のウェブサイトをご覧く
ださい。
     http://www.toukihou.jp/index.html



2017.08.21(月)【代表取締役の互選と予選】(金子登志雄)

 土曜日の横浜の雷は、故郷の上州のものと同様に、一直線のイナズマで音も
ゴロゴロなどというかわいいものではなく、大木が割れるかのようなバリバリ
バリンでした。私は子供の頃に慣れているので何とも思いませんでしたが、驚
いた方もさぞ多いことでしょう。

 さて、先週木曜日の内容と若干似ているのですが、定款に代表取締役の互選
規定のある非取締役会設置会社で取締役ABC(互選代表A)のところに、新
取締役Dを追加する場合に、Dは互選に参加しなくてよいのでしょうか。

 Dを取締役に選任後、改めてABCD全員でAを代表取締役に選定する互選
をしなければならないが、同一人であるAを互選した限り、その互選は登記に
は不要だという見解もあるかもしれません(A説とする)。木曜日の『注釈商
業登記法』の内容は、この見解に近いと感じました。 

 しかし、互選は互選時点の取締役の権限であり、Dの追加で互選代表をAと
する有効な決定が覆されるわけはありません。取締役会設置会社で取締役を増
員した場合と同様に捉えればよいだけです。

 また、持分会社の新社員の加入との比喩でいえば、Dの就任承諾の中に「定
款を承認します。互選代表としてAを認めます」という同意があると推定され、
異時ですが、これで取締役全員の同意が揃うとも解することが可能です。取締
役としての入社契約ようなものです。

 これに関連して、ABC(互選代表A)において、Aはきたる3月31日に
取締役を辞任するので、3月20日に4月1日からの代表取締役はBだと互選
により予選し、3月29日の総会でDを4月1日からの取締役に選任した際の
Dの就任承諾には「4月1日からの代表はBであることに異議はない」という
入社同意が含まれていると考えられますから、この予選も肯定できるはずです。

 もし、Aを互選代表に選定した際、AB賛成、C反対であれば、4月1日に
取締役Dは「午前0時から新代表はBになっているが、改めて互選をし直そう」
と提案すればよく、予選代表Bを認めても特段の支障は生じません。

 新規の決定と既存の決定に新人が参加した場合の決定方式は厳に区別しなけ
れば、組織は成り立ちませんから、やはり、代表取締役の予選の先例は、間に
取締役全員の任期満了が介在したような場合に限るべきです。そうでないと、
上記のA説と同じ過ちをしているとしか思えません。

(参考)新保さんのブログに重要な内容がありました。コメントを含め都内の
司法書士は必見です。
 http://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/f0902b80b56e2b4992f9868186c17d2e



2017.08.18(金)【私の主張!就任承諾書の住所問題】(金子登志雄)

 最近、本欄を閲覧し始めた方には、昨日の内容の本人確認証明書の問題点が
通じなかった可能性がありますので、当局への「恩返し」第2段として、まと
めてみました。

 商業登記規則61条4項から7項までの要約は次のとおりです。
----------------------------------------------------------------------
④ 非取締役会設置会社の取締役の就任承諾書(再任を除く)には、印鑑証明
 書を添付しなければならない。
⑤ 取締役会設置会社の代表取締役の就任承諾書についても前項と同様である。
⑥ 代表取締役の選任議事録への記名押印者は印鑑証明書を添付しなければな
 らない。ただし、変更前の代表取締役が適法に会社実印を押したときはこの
 限りでない。
⑦ 取締役等の就任承諾書(再任を除く)に記載した住所氏名と同一住所氏名
 の本人確認証明書(公務員が職務上作成した証明書)を添付しなければなら
 ない。ただし、4・5・6項で印鑑証明書を添付する場合はこの限りでない。
-----------------------------------------------------------------------

 上記7項を「ただし書で印鑑証明書を添付する場合は、本文の本人確認証明
書の添付を省略できるが、およそ新規の就任承諾書には住所の記載が必要だ」
と解釈する某有力法務局見解があります。その結果、4項・5項の場合にも就
任承諾書に住所を記載しないと受理しないという運用がその法務局管轄でなさ
れています(5項につき、本局は、そこまでは求めていないようですが)。

 つまり、7項本文を「新就任の場合の就任承諾書には、住所を記載し(A)、
本人確認証明書の添付が必要だ(B)」と2つの文章で構成されると読み、た
だし書はBだけを部分否定したもので、Aは生きているので、4項等の場合で
も住所の記載が必要になったと解釈する見解です。

 この見解について、皆様はどう思われますか。私は、豐田真由子さんと同じ
く「違うだろーー、違うだろう!」と声を大にして叫んでいます。拙著の見解
と真逆であり、私の名誉にも影響しているためです。

 以下、反対根拠をまとめてみました。

1.制定経緯から
 従来は、就任承諾書には住所の記載が不要でした。住所は原則として登記さ
れないからです。例外的に、有限会社の取締役と株式会社の代表取締役につい
ては住所が登記されるため、その実在性と意思確認のため、印鑑証明書の添付
が要求されており(旧規則82・93条)、この場合には、印鑑証明書に記載
された住所をもって登記するのが一般的でした。現行商業登記規則61条4項
と5項が、これを踏襲していることは、上記のとおりです。

 ところが、これでは、印鑑証明書を必要としない取締役会設置会社の取締役、
4項で例外扱いされる新設合併及び組織変更による非取締役会設置会社の設立
時の取締役、監査役、執行役については、勝手に死者や有名人を取締役・監査
役等にすることもできてしまうと、消費者団体等から虚無人登記を防止するよ
う要請があったため、商業登記規則を改正し、これらの場合には、本人確認証
明書を必要とすることにしました。これが本改正です。

 法務省は本人確認手段として「住所」を利用することにしました。そして、
印鑑の場合に印鑑証明書と就任承諾書の印鑑を照合するのと同様に、本人確認
証明書の住所と就任承諾書の住所を照合するために、本人確認証明書を添付す
る場合に限り、就任承諾書に住所を要求したのです。

 この制定経緯からすれば、7項ただし書の際は、印鑑照合で本人確認するの
で、わざわざ就任承諾書に住所を記載する必要はないはずです。

 もし、7項が上記ABの2つのことを規定し、4項の場合にも住所の記載が
必要だとしたら、従来の長い伝統・取扱いを大変革することになります。そう
であれば、法務省より詳しい説明や十分な情報開示がなされていなければなり
ませんが、法務省から出された改正の趣旨は「取締役、監査役又は執行役の就
任の登記申請について、当該登記の申請書に印鑑証明書を添付することとなる
場合を除き、本人確認資料として住民票等の写しを求める」という、あっさり
したものでした。

 したがって、住所必要説は、事前開示もない不意打ちの運用であり、解釈に
よって規則を新設したのと同じことになります。民主国家の行政機関がするこ
とではありません。私が、「違うだろう!」と登記実務運転手さんに叫んでし
まう理由です。

2.文章表現から
 印鑑証明書も公務員が職務上作成した本人確認証明書の1つになります。で
あれば、本人確認証明書ともなり得る印鑑証明書を添付すれば本人確認証明書
は不要だなどという論理は日本語として成り立ちません。野菜であるキャベツ
を食えば野菜を食わなくてよいとする非論理表現と同じです(これは、山本浩
司司法書士が気付いた理由であり、私のオリジナルではありません)。つまり、
ただし書は、本文全部を否定したものです。

 「ただし、……この限りでない」という表現は、法令で、よくなされますが、
本文に「……の場合を除き」という本文全部を否定する意味であるのが通常で
す(短い文章は本文で「除く」「除き」とし、長い文章は「ただし書」にする
傾向があります)。7項の本文は1つの内容であり、本人確認証明書のみを否
定した部分否定だとは読めません。登記通達や法務省商事課の当初の解説文章
にも、文頭で「……を除き」という説明をしています。

 住所必要説によると、もし、7項本文かっこ書の「再任を除く」が、「ただ
し、再任の場合はこの限りでない」と、ただし書で規定されていたら、再任の
場合は本人確認証明書は不要だが、再任の場合でも住所の記載が必要になった
と解釈することになりますが、それでよいのでしょうか。

3.規定の位置から
 そもそも7項が4・5・6項のあとに位置するのに、7項の新設で前に位置
する4・5・6項の取扱いを変更するような解釈など通常あり得ません。

4.規定の見出しから
 商業登記規則61条の見出しは「添付書面」です。印鑑証明書や本人確認証
明書など添付書面についての規定であり、就任承諾書の必要的記載事項につい
て規定したものではありません。就任承諾書に住所が必要だと規定したい場合
には、商業登記法54条か商業登記規則61条以外に規定するのが筋です。

5.その他
 住所必要説は、まず住所記載の就任承諾書があって(前提として)、その住
所を証明するため本人確認証明書が必要だという素直な解釈をもとにしていま
すが、逆です。印鑑証明書の添付が要求されるから実印を押すのと同様に、本
人確認証明書の添付が要求されているから住所を記載するのです。

 もし、7項本文が「就任承諾書に氏名と生年月日を記載し、それと同一の氏
名・生年月日の本人確認証明書を添付しなければならない」とあったら、この
見解によると、4項の就任承諾書にも生年月日を要求することになりますが、
それでよいのでしょうか。

 極端な住所必要説は、4項で非取締役会設置会社の取締役が就任する場合だ
けでなく、5項で代表取締役に就任する場合にも住所記載が必要だとしますが、
代表取締役は取締役の中から定められるのであり、いわば再任に準じた地位で
あり、7項本文の内容と整合しません。

6.結論
 以上、どこからみても、某有力法務局見解は完全に論理破たんしています。
しかし、その法務局に申請するときは、我々も住所必要説で動かざるを得ませ
ん。信念を曲げての申請には辛いものがありますので、そろそろ軌道修正をお
願いしたいものです。司法書士会も何らかの対応を求めるべきでしょう。



2017.08.17(木)【私の主張!各種の同意方式】(金子登志雄)

 お盆休みも終わり、久々の本欄ですので、今回は、数日分の長文にしました。
私見によるミニ論文ですが、内容には自信があります。

 さて、9日付鈴木さんの「士業法人の社員加入の登記」の登記実務の運用(
新規加入者を含めた全員による同意書が必要)には愕然としました(全国的な
取扱いだとまでは思っていませんが)。会社・法人の意思決定には、会議方式
と方式自由の同意方式の2つがあることは、もう十分に通じると思っていたた
めです。 

 拙著の読者の方ならお分かりのとおり(学者本に書いてないのは学者の怠慢
です!)、会議方式は、所定場所に集まれという「招集」の手続が必ずあって、
所定場所に集合して会議(議論)が行われ、多数決で決議しますが、同意方式
は集まる必要も議論も必要とせず、ある結論に全員あるいは過半数が個々ばら
ばらに同意すれば足ります。同意の方式は自由です。

 例えば、株式会社の設立定款の作成には発起人が個々ばらばらに同意すれば
よく、一堂に集合した発起人会議事録などにする必要はありません(これは大
手法務局でも何度か経験済みであり全国的に通じます)。代表取締役の選定方
式である取締役の「互選」も、取締役の過半数が「誰某を代表取締役にする」
という結論に同意すればよく、互いに協議する必要はありません。

 ここで混乱しやすいのが「同意」という概念です。「協議」や「承認」(例
えば、合併契約の承認)とどこが違うのか。また、文字どおりだと、その前に
「提案」がないといけないのかなどといった不明瞭な部分がありますが、少な
くとも私法の領域では、同意には(承認も協議も)、深い意味がなく、賛成の
「意思表示」や「意見」と同義と考えて差し支えありません。ポイントは「全
員又は過半数の(意見の)一致」にあるからです(商登46条参照)。

 集団あるいは組織の構成員による同意方式(意見の一致方式)には、さまざ
まな発現形態があります。

1.協議方式
 民法の遺産分割協議においては、「協議」とあっても、ある結論に相続人全
員が同意すれば足り、協議せずとも、これを協議結果といいます。もちろん、
協議も可能ですが、一堂に集合することまでは求められていません。

2.契約(合意)方式
 民法の組合契約は「各当事者が………共同の事業を営むことを約することに
よって、その効力を生ずる」とありますが、これも同意方式を合意方式にした
だけです。例えば、ABCで組合契約を締結するときは、個々ばらばらに「組
合員はABCの3人で、その契約内容に同意する」といえば、それで組合契約
(合意)が成立します。会社の定款の作成が同意方式で、組合はその変則型の
合意方式というだけのことです。契約自由の原則には方式の自由も含まれます。

3.組織に加入する申込みと承諾方式
 既存のABCを組合員とする甲組合にDが新規に参入する際は、新組合を作
るわけではありませんから、新たにABCDで組合契約を締結し直すのではな
く、Dが甲組合契約を認識し加入の申込みをし、ABCがそれを個々ばらばら
に承諾(同意)し、かつ組合員は以後ABCDだという甲組合契約の変更に個
々ばらばらに同意すれば、これでABCDの組合契約が成立します。

 これはABCを社員とする持分会社にDが加入する場合も同じであり、AB
Cの同意の対象はDが加入することの承諾(同意)及び社員はABCDの4人
だとする定款変更に対する同意であり、Aの同意の対象は持分会社の社員にな
ることの申込みという同意です。

 組合に準じた持分会社では、定款が社員名簿にもなっており、そこに新構成
員を加える必要上、加入の同意は定款変更が効力要件になっているわけですが
(要式行為?)、理論的には定款変更が先で新構成員の加入が後ですから、新
構成員は定款変更の同意者にはなれません。

 (ついでながら、株主ABCの非取締役会設置会社においてDが株式申込人
として加入する場合も、申込みに対して株主総会の割当ての承認が必要ですが、
このように閉鎖組織に新構成員が加わる方式は全て新構成員の申込みと組織の
承諾という仕組みです。)

 以上のように、「同意」は場面場面で、「互選」、「協議」、「契約」、「
加入の申込み」、「加入の承諾」などと用語を異にしますが、議論を必須とし
ない各自の「意見の一致」という決定方式です。これに対応して、登記の添付
書面も、決定書、同意書、協議結果証明書、合意書、申込書、承諾書などとな
ります。

 キンザイの『注釈商業登記法』の第54条(旧商業登記法)の解説に「持分
の譲渡によらない入社の場合における総社員の同意があったことを証する書面
とは、新社員を含む総社員の同意があったことを証する書面であり」とあって
も、これは新社員の加入の申込みという同意書と、既存社員の承諾及び定款変
更への同意が揃うことという意味であると解釈すべきです。そもそも「総社員
の同意があったことを証する書面」は1枚に全員が同意した書面に限りません。

 ただ「持分の譲渡によらない入社の場合における」と誤解を招きやすい限定
をしたのは、同書のミスでしょう。旧商法73条には「社員は他の社員の承諾
あるに非ざれば其の持分の全部又は一部を他人に譲渡すことを得ず」(持分の
譲渡の場合は譲渡者を除く他の社員の承諾で譲受人は社員になる)とあるのに、
持分譲渡によらない場合は規定がないというだけで、持分の譲受けが加入の申
込みであり、「他の既存社員」の承諾で済むなら、持分譲渡によらない場合も、
その時点の既存社員の承諾で済むと理解するのが真っ当な解釈のはずです。

 定款で「新たに社員を加入させる場合には、総社員の同意を得なければなら
ない」と定めることが多いのですが、この総社員の同意には新たな社員も含ま
れるなどという解釈がどこの世界に通じるのでしょうか。本人確認証明書にも
なる印鑑証明書を添付すれば本人確認証明書は不要だというのと同じで、日本
語として成り立ちません。

 少々言い過ぎでしょうが、同書は、同意型には、上記1、2などの同一方向
に向いた意思の一致型(合同行為型)だけでなく、3のような加入の申込みと
承諾という相対立した意思の一致型(純契約型)があることに想定が及ばなか
ったのかもしれません。

 本欄で何度か取り上げていますが、前記した非取締役会設置会社の取締役の
就任承諾書にも住所を要求する本人確認証明書の解釈や、本人証明よりも第三
者の証明の方が証明力が高いのに株主名簿管理人作成の株主リストまでを否定
する見解といい、最近の一部の運用には、文面の真意や背景を読み取らず、文
言・文字どおりの対応が多く、当たり前の正論が通じにくくなりました。思考
停止のマニュアル人間が増加しただけでなく、書き手の不注意な文章(マニュ
アル元の不注意)がそのまま全国に広がって、おかしな解釈がはびこっていま
す。簿記やそろばんでいえば、貸借が一致しないのに、簡単に「ご明算」にし
過ぎています。

 山に登るには、いくつもの道があるのに、最近は当局の指定した1つの道し
か認めません。株主リストの作成は代表者の届出印でという依命通知も、登記
実務の伝統からして、第三者の証明を求めるには負担が大きいから、代表者の
届出印でもよいという緩和策を示したつもりだったのでしょうが、「それに限
る」と読まれても仕方ないマニュアル元(依命通知)の表現ミスだと私は思っ
ています。

 いずれにしろ、法令解釈は健全な社会常識であるというのが私の信念ですが、
もう少し一般社会にも通じる多様な解釈ができないものでしょうか。登記現場
を一般社会から隔絶したガラパゴスや鎖国社会にしてはいけません。

 当局の職員であろうと司法書士であろうと解釈の主役は個々の貴方です。権
威ある書籍や通知だからといって部分的には間違いもありますから、真意ある
いは勘違いを読み取らず全てを鵜呑みにしてしまうのは、自分が自立した主役
でないことを認めているのと同じではないでしょうか。書籍や通知にも失礼で
す。遠慮なく批判することは、相撲でいう「恩返し」であり、権威ある書籍や
通知に対する敬意の表明でもあります。

 以上、少々焦点ボケで脱線気味でしたが、最近は、わが愛する商業登記の世
界でも、この程度の過激さを出さないと耳を傾けてくれない現状がありますの
で、ご理解ください。



2017.08.10(木)【夏季休暇その2】(金子登志雄)

 酒井さんの投稿ではありませんが、夏季休暇、自分が中心の独立業では、確
かにどうするかは難しいですね。

 無趣味人間の私自身は、休んでいるより仕事をしているほうが楽なので、休
みたくはありませんが、この時期は商業登記の仕事もほとんどありませんし、
同居先の会社がお盆休みになるため、郵便物チェック程度の出勤にとどめ、あ
とは自宅で「待機」ということになりそうです。

 ただし、例年、値段の高いお盆休みを避けて8月上旬には家族が計画した旅
行にお付き合いしたりで、それなりに休暇はとっています。

 もっとも、私は修学旅行の中高校生と同じで、後ろに着いて行くだけの存在
であるため、旅先で何をみたとかの話はできません。だいたい旅行というのは、
お寺お城(海外なら教会と宮殿)と景色しかありませんので、それほど関心が
あるわけではありません。どちらかというと、旅先の風習のほうに関心があり
ます。日本の屋根の瓦は黒だが、西洋では橙色なので、絵になるなとか、木が
少ないから家は石やコンクリートで作るしかないのだろうとか………。

 実は、本徒然を含め、ここ何日かの徒然は海外旅行先で書いたものですが、
きっとお気付きではなかったでしょう。あるいは酒井さんの投稿が火曜日にな
って、鈴木さんのが水曜日になっていたため、いつもの金子と違うなと感じた
方もいらっしゃるかもしれません。

 時差の関係で旅先の深夜に仕事の電話やメールもいただきましたが、仕事の
電話は携帯電話にしていますし、常時ノートパソコンを携帯していますので、
ほとんどの方が気付かなかったはずです。

 実に便利な時代になりました。ノートパソコンさえあれば、日本どころか海
外にいても、即座に対応できます。唯一困難なのが、新規の仕事くらいです。

 ということで、私は郵便物チェックの出勤と自宅待機で、仕事用の携帯電話
とノートパソコンは年中無休ですが、外注先の本徒然ネット担当者(身内です)
がお盆休暇のため16日まで、本徒然をお休みにしますので、ご了承ください。



2017.08.09(水)【士業法人の社員加入の登記】(東京・鈴木龍介)

 司法書士法人をはじめとする、いわゆる士業法人の登記事項はそれほど多く
はありませんし、株式会社の役員変更や医療法人の資産総額の変更といったよ
うな定期的に登記を要する事項もありません。

 そのような中でも社員の異動(加入・脱退)の登記については、実務でしば
しば登場するものといえますが、今回は社員の加入のうち、あらたな出資によ
る場合―持分の譲渡によらない場合―の登記について、司法書士法人をモチー
フに検討してみたいと思います。なお、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことが
できる特定社員であるか否かについては考慮しないものとし、定款変更につい
て定款に別段の定めはないものとします。

 たとえば、A・Bが社員である司法書士法人に、あらたにCが社員として加
入しようとする場合、Cからの入社の申込みと司法書士法人の承諾―A・Bの
同意―が必要ですが、加えてそれは定款の変更となることから(司32条3項
4号)、A・Bの同意が必要です(司35条1項)。そのうえで、Cが社員と
して加入した旨―社員としてCの氏名・住所―を登記しなければなりません(
組登令2条2項4号)。

 設例のケースの登記申請の添付書面についてですが、通則的な規定として「
変更を証する書面」を添付しなければならないとされています(組登令17条
1項)。具体的には、司法書士法人の社員は司法書士でなければなりませんの
で日本司法書士会連合会会長が発行する資格証明書(平15・4・1民商89
1号通知)とCが社員として加入した事実を明らかにする書面(以下、「事実
証明書面」といいます。)を添付することになります。

 では、事実証明書面とは具体的に何かということについて、司法書士法人と
性質が類似し、多くの規定が準用されている合名会社の取扱いが参考になると
思われます。合名会社の社員の加入の場合の登記申請にも事実証明書面を添付
する必要があり(商登96条1項)、「定款変更にかかる総社員の同意があっ
たことを証する書面等」がそれに該当するとされています(平18・3・31
民商782号通達(84頁))。

 そもそも事実証明書面には、ⅰ)加入の申込み、ⅱ)加入の承諾、ⅲ)定款
変更の同意が内容として含まれている必要があります。実務上は、既存の全社
員と新たに加入する社員(予定者)が記名押印した同意書(以下、「全員同意
書」といいます。)を用いることが多いようですが(登研編集・書式精義全訂
5版(下)792頁)、全員同意書においては、あらたに加入する社員(予定
者)は前記ⅰ)の事実を認めるものであって、ⅱ)、ⅲ)についての承諾や同
意をする権限はありません(神﨑ほか・商登コンメ396頁)。

 そのように考えますと、既存の全社員の同意書―ⅱ)とⅲ)についての同意
―とあらたに加入する社員(予定者)からの加入申込書を事実証明書面とする
のが最も実体に即しているといえます。

 司法書士法人の社員加入の登記に添付する事実証明書面も合名会社のそれと
同様の取扱いであるといって差し支えないと考えます。

 一方で、便宜的ともいえる全員同意書以外は認めないという取扱いをしてい
る例があると聞き及んでいます。この取扱いは、『注釈商業登記法』(服部榮
三ほか、金融財政事情研究会、1983年)の第54条(旧商業登記法)の解
説中の「持分の譲渡によらない入社の場合における総社員の同意があったこと
を証する書面とは、新社員を含む総社員の同意があったことを証する書面であ
り」との記述を根拠にしているようですが、全員同意書以外を認めないという
ことではなく、あらたに加入する社員(予定者)の加入の意思表示を証する書
面の添付が必要であるという趣旨のはずです。

 また、合資会社のものですが、あらたに加入する社員の入社の意思表示をし
たことを証する書面を添付するのを原則としつつ、全員同意書で代替できると
いう見解もあります(質疑・登研118号(1957年)48頁)。

 今回、取り上げた件のみならず、画一的・硬直的に過去の事例にとらわれる
のではなく、実体を踏まえ理論的かつ柔軟に対応するスタンスが必要であると
思います。


2017.08.08(火)【夏季休暇】(藤沢・酒井恒雄)

 暑い日々が続きます。そろそろ夏休みの準備に入る方もいらっしゃると思い
ますが、我々の業界の夏休みは、お盆休みと同じ時期にとる場合が多いかと思
われます。

 今年の一般的な企業のお盆休みは、祝日の関係から、8月11日(金)から
8月16日(水)が多いらしいです。

 そんなことが頭にあったせいか、先日、何も考えずに公証役場に定款認証の
予約を入れようとしたところ、公証人が夏期休暇中だと言われドキッとさせら
れました。

 いつも、何かあったときに備えて設立日の前日までに定款認証を済ませるの
ですが、今回は設立日当日の認証となりました。

 いつも定款認証をお願いしている先生は、出張がある場合でも、午前か午後
のどちらかは公証役場にいるので、定款認証の当日に、午前と午後のどちらの
都合がいいか聞いて伺っていました。

 また、お盆休み近辺でしたら、夏期休暇についても確認したと思うのですが、
この時期はまだ休みではないだろうという先入観がありました。勝手な判断に
頼らず、しっかり確認をしておかないといけませんね。

 もっとも、大人数の事務所であれば、交互に休みをとったりできますので、
お盆の時期が休みというイメージはないのかもしれません。

 お盆の時期は混み合いますし、宿泊場所等の料金設定も高いので、お盆に合
わせて夏期休暇をとる人も減りつつあるのかもしれません。

 思い出せば、以前勤めていた会社は、お盆の時期とは関係なく、約2週間の
夏期休暇がありました。2週間の休暇なんて、ここ十数年とったことがありま
せん。

 その気になれば休めるのでしょうが、今のところ、その勇気はありません・
・・。ちょっとだけ、勤務時代が懐かしく思えます・・・。



2017.08.07(月)【商登規則61条5項1号】(金子登志雄)

 商業登記規則61条5項1号は、次のような内容です(分かりやすさを優先
して代表執行役と種類株主総会部分は削除しました)。

----------------------------------------------------------------------
 代表取締役…の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合
の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明
書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役…が登
記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

 一 株主総会…決議によつて代表取締役を定めた場合
  議長及び出席した取締役が株主総会…の議事録に押印した印鑑
----------------------------------------------------------------------

 要するに、株主総会で代表取締役を選定したときは、議長と出席取締役の全
員が個人実印を押して印鑑証明書を添付しなければならないが、前代表取締役
がこの議事録に会社届出印を押したときは、その必要はないという規定ですが、
次のことに気付きませんか。

 1.「議長及び出席取締役」とあるため、取締役が誰も出席しない株主総会
  もあり得ることを前提としている。その場合は議長だけの押印でよい。
 2.「前代表取締役」が会社届出印を押したときとあるため、この総会終結
  と同時に取締役を退任する者でも押印することができる。

 取締役会の場合は取締役以外は出席できないため、取締役会の議長は取締役
に限られますが、株主総会の議長の資格には規定がありません。株主総会の構
成員である株主か取締役にするのが穏当ですが、株主総会が第三者を選択した
場合にこれを違法とする必要はないでしょう。

 であれば、取締役選任議案の候補者を議長にすることもできそうですね。そ
の者が議長となり、定款変更し、代表取締役は総会で定められるようにし、自
分を代表取締役に選定し、議事録作成者となり個人実印を押す・・・問題なさ
そうですね。そこまでする必要もニーズもないでしょうが、株主総会とは何か
という点では勉強になります。


2017.08.04(金)【349条1項ただし書き】(金子登志雄)

 先週、仕事でお付き合いのある元特捜部検事さんと飲みましたが、弁護士と
違い検事の仕事は国家秩序の維持であり【正義を守ることではない】と自嘲気
味に語っていました。今週は、「お父さんを逮捕しないで」と叫んでいた籠池
さんの奥様まで逮捕され、ここまでするのかと見せつけられてしまいました。

 この件のコメントは、常識人であるため決してテレビがコメンテーターに呼
ばない理系頭脳の郷原元検事にお任せしましょう。
                   
                   https://is.gd/tTkX6R

 さて、相変わらず、会社法349条1項本文とただし書きとの差にこだわっ
ています。ルーツの有限会社法27条と比較してみました。

----------------------------------------------------------------------
(会社法349条)
1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役………を定めた
 場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を
 代表する。
3 株式会社(略)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会
 の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
----------------------------------------------------------------------
(有限会社法27条)
1 取締役は会社を代表す
2 取締役数人あるときは各自会社を代表す
3 前項の規定は定款若は社員総会の決議を以て会社を代表すべき取締役を定
 め、数人の取締役が共同して会社を代表すべきことを定め又は定款の規定に
 基き取締役の互選を以て会社を代表すべき取締役を定むることを妨げず
----------------------------------------------------------------------

 日本語としては、有限会社法が優っています。会社法349条3項では「定
款の定めに基づく株主総会の決議によって」と読まれる可能性があるのに、有
限会社法では、そういう誤解が生じません。

 また、有限会社法には、会社法349条1項ただし書きに相当する文章があ
りません。「前項」という表現も3項であり、2項ではありません。

 349条2項の「前項本文の取締役が2人以上ある場合には」から推測して、
1項本文は取締役が1人のときのことでしょう。

 最初から取締役が複数の場合は、有限会社法と同様に3項があるので、2項
には「ただし、代表取締役を定めたときは」とする必要がありません。

 1項ただし書の「他に」からして、やはり、この1項は「取締役が1人のと
きは、その者が株式会社を代表する。ただし、取締役を追加して、その新取締
役を代表取締役に定めた場合は、この限りでない」と読むしかないと考えまし
た。



2017.08.03(木)【とある納涼会でのお話】(島根・根来川弘充)

 島根では、例年、もしくはそれ以上に、暑さ厳しい夏を迎えております。

 暑さにともない、納涼会も増えてきているのですが、先日参加した納涼会で、
行政機関でお勤めの方とお話する機会がありました。

 その方のお話では、県内のある市で、市庁舎建替にあたり、古い庁舎の設計
図が出てきたのだそうですが、それが、どこか別の町の庁舎を書き換えたもの
であったそうです。
(この点、記憶が定かではありませんが、元となった図面に、別の自治体の名
前があったというお話でした。)

 そして、建設当時、建設資金は市が抱えていた大きな問題で、おそらくは、
図面の使い回しをしたものだろうと、また、同様のことは、他の自治体も行っ
たのだろうとのことでした。

 昭和に建てられた官公署で、似た物が多く何も感じたことはなかったのです
が、素材の選択肢が限られていただけではなく、当時の自治体もしくは市民の
方が、コスト削減のために、知恵を絞った結果だったのかと思うと、何か愛着
のようなものを感じるようになりました。



2017.08.02(水)【違
反している?定款規定(その3)】(藤沢・酒井恒雄 )

 先週、先々週と2回にわたって、中小零細企業の定款規定でよく見かけるも
のでありながら、各社においてその規定が守られていないと思われるものを、
勝手に書いてきました。

 いよいよ、違反している?規定の第1位の発表です。

 第1位(と思われる。)は、「株主総会議事録」に関する規定です。
----------------------------------------------------------------------
第●条 株主総会の議事については、法令に定める事項を記載した議事録を作
   成し、10年間当会社の本店に備え置くものとする。
----------------------------------------------------------------------

 この規定は、ほとんどの会社の定款に記載されていると思います。そうです、
定款の任意的記載事項ではありますが、定款に規定されてようが、なかろうが、
遵守しなければいけない会社法の規定です。

 実際、10年前の株主総会議事録を、全て保管してある会社はどれくらいあ
るのでしょうか?

 「先生、去年の株主総会議事録がどっかいっちゃったんだけど、控えとか持
っていませんか?」などという問い合わせが来ても、まったく驚きません。
(・・というより、よくある問い合わせです。)

 そして、「社長、平成○○年の株主総会議事録はありますか?」と尋ねて、
「うちにはないよ。税理士さんが持っているかもしれないから電話してみて。」
なんていう回答があっても、やはり驚きません。(実際、税理士さんが保管し
ている場合も少なくないです。)

 「あれ?会社の本店と税理士さんの事務所って同じフロアでしたっけ?」な
んていう嫌味が頭に浮んだりしますが、意味不明な嫌味と取られるので言いま
せん。

 「社長、本来は会社で保管しておくものなんですよ。」という助言に対して、
「へぇ、そうなの。」という軽い会話で終わってしまうのが大体のパターンで
す。

 守られていない規定だから、いっそ定款から削除しましょう!と言いたいと
ころですが、会社法第318条2項の条文を読む機会に比べれば、定款に目を
通す機会の方があるだろうということで、そのまま残しておくのがいいのでし
ょうね・・・。(おわり)


2017.08.01(火)【互選の意味】(東京・鈴木龍介)

 会社法では、たとえば、代表取締役の選定など、ある役職者の定め方として
「互選」というものがしばしば登場しますが、どのような方法によるかの具体
的な規定はありません。

 そこで、国語辞典を紐といてみますと“お互いの中から選挙して選び出すこ
と”とあります(新村出編『広辞苑(第6版)』1020頁(岩波書店、20
08年))。

 つまり、選ぶ母体である前提の資格者と選ばれる資格者とが一致する必要が
あるということで、たとえば代表取締役を互選する場合、母体である選定者は
取締役であり、被選定者も取締役ということになるわけです。

 もう少し整理してみたいと思いますが、A、B、C3名の取締役がいる会社
で代表取締役を互選する場合を例にしますと、まずA、B、C全員が一堂に会
した会議体が必要かといえば、それは求められません。

 ただし、会議体を開催して互選することを否定するものではありませんし、
各自が書面等で意思表示することや、いわゆる持ち回り方式でも差し支えあり
ません。

 次にA、B、C全員の一致が必要かといえば、登記実務上は過半数の一致が
あれば足り(南野雅司=三浦富士雄「各種の法人における代表権を有する理事
の選任又は選定の方法並びにこれを証する書面について」登研810号(20
15年)147頁)、A、Bの2名がAを選べばAが代表取締役ということに
なります。ただし、Cをまったく関与させずA、Bだけで選ぶことは許されま
せん。

 ちなみに、実務の場面では、全員一致で互選をしているケースがほとんどで、
法務局ホームページ『商業・法人登記の申請様式』中の「1-9株式会社役員変
更登記申請書(取締役会を設置していない会社において互選により代表取締役
を選定する場合に,役員の全員が重任)」における「互選書」のサンプルも”
取締役全員の一致”となっています。

  http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001188883.pdf



2017.07.31(月)【取締役の単複と代表制】(金子登志雄)

 会社法349条1項と2項は次の内容です。
----------------------------------------------------------------------
1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役………を定めた
 場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を
 代表する。
----------------------------------------------------------------------

 さて、皆様に質問です。1項ただし書は取締役が複数である場合を前提とし
ており、取締役が1人の場合を前提とした1項本文と整合しないから、このた
だし書は2項に置くべきだと思いませんか。

 こう質問すると、1項本文は取締役が1人の場合とは限らない原則規定だか
らという解答が予想されます。

 しかし、それだったら、取締役が1人のときの規定はどこにあるのでしょう
か。会社法420条には「執行役が1人のときは、その者が代表執行役に選定
されたものとする」とあるのですが………。

 また、会社法326条1項に「株式会社には、1人又は2人以上の取締役を
置かなければならない」とあり、「1人又は2人以上」なら「1人以上」と同
じことなのに、あえてこういう定め方をしている理由は、1人のときは1人で
決めればよいが、2人以上のときは過半数の一致で決めよなど、取締役が単数
と複数の場合では、規律(条文体系)が異なるので、こう規定しているのであ
り、会社法349条も1項が取締役が1人のときで、2項が2人以上のときの
規定ではないでしょうか。

 そこで、私の回答は、学者は別のことをいうでしょうが、この1項は「取締
役が1人のときは、その者が株式会社を代表する。ただし、取締役を追加して、
その新取締役を代表取締役に定めた場合は、この限りでない」と読みましたが、
いかがでしょうか。2項の規定内容からして、1項ただし書は2項にも適用さ
れ、その際は当初から2人以上の場合を含みます。

 ところで、松井信憲著『商業登記ハンドブック〔3版〕』401頁に次のよ
うにあります(【  】は本稿で付しました)。
----------------------------------------------------------------------
 定款に「当会社に取締役2名以内を置き、(取締役が2名あるときは)取締
役の互選により代表取締役1名を置く。」などと定めた会社(取締役A及びB、
代表取締役A)において、任期中にAが取締役を辞任したときは、残存するB
は、【定款の定めに従って】代表取締役となり、取締役Aの辞任、代表取締役
Aの退任及びBの【代表権付与】の登記をすることとなる。
----------------------------------------------------------------------

 これにつき、鈴木龍介さんと、ほんとに「代表権付与」の登記でよいのか、
松井388頁では、代表権付与は法定の効果であって、本件がそれに「準じる」
ケースとあるがどうかなどを話題にしたことがあります。

 私は、代表権付与とは取締役が複数存在する場合を前提としており、上記の
ような場合は使うべきではない、ましてや、上記は定款の効果であって、法定
効果ではないという意見でした。

 前記のように、会社法が取締役が1人のときと2人以上のときで規律を分け
ているため、代表権付与も取締役が2人以上の場合の問題だと考えています。
松井401頁も、取締役が1人になったという条件成就による定款選定代表取
締役が登場したのであり、就任の登記が妥当ではないでしょうか(代表取締役
Bの補欠代表取締役Aが条件成就により代表取締役に就任したのと同じ)。


2017.07.28(金)【譲渡制限「付」株式】(金子登志雄)

 会社法制定時には、取得請求権付株式、取得条項付株式といいながら、譲渡
制限株式は、なぜ譲渡制限「付」株式としなかったのか、不統一じゃないかと
思ったりしたものでしたが、単に、昔から譲渡制限株式と呼んでいたという理
由に過ぎないのでしょう。

 譲渡制限株式というと、いかにも譲渡自体を禁止するかのようですが、そう
ではなく、譲渡先につき会社の承認を要するというだけです。外国人の株主は
譲渡することができないという定めは株主平等原則に反し認められませんが、
外国人に譲渡する際は会社の承認を要するという内容であれば、まだ株主にな
っていない取得者を制限するものですから認められます。

 もう1つの機能は既存株主の持株比率維持があります。譲渡の結果、持株比
率第1位の株主が第2位に転落することになれば面白くありません。これは譲
渡行為よりも、主として譲渡制限株式の発行時に問題になりますから、株主総
会の特別決議が必要です。

 譲渡自体を禁止することも債権契約であれば当然に有効です。当事者間だけ
を拘束するもので、株式の内容にはなっていないからです。
 
 これにつき、最近は「譲渡制限付株式」というようになりました。役員の退
職金代わりに株式を交付し、一定の期間、譲渡を契約で制限するものです。リ
ストリクテッド・ストックともいうそうですが、覚えられません。

  https://jinjibu.jp/keyword/detl/801/
  http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428009/20160428009-1.pdf

 英語でいうと日本人はありがたく思うとでも経産省さんは思っているのでし
ょうか。日本語を大事にしたい私なら、「譲渡制限契約条項付株式」とでも、
名づけたかもしれません。



2017.07.27(木)【回避困難な補正事例】(金子登志雄)

 6月定時株主総会後の商業登記の書き入れ時も終わりましたが、振り返って
みると、全てを平成29年とすべきところ、一部分に28年が残っていたなど、
相変わらず上書きによるケアレスミスをしてしまいましたが、皆様はいかがで
すか。
 
 その中で、回避するのは難しい補正を2点ご紹介します。

1.委任状の印鑑相違については、会社実印がどういう印影かを知らない申請
 代理人の責任ではありませんが、委任状の印鑑は届出印だったが、代表者選
 任の取締役会議事録の再任代表取締役の印鑑は届出印らしきものだったとい
 うケースを経験しました。皆様は、委任状と印鑑と取締役会議事録の代表印
 と照らし合わせる作業をなさっていらっしゃいますか。私は明日からします。

2.住民票がコンビニ発行の場合は原本還付の際に裏面まで写しを提出しなけ
 ればなりませんが、就任承諾書などとともに、まとめて一斉にコピーしてし
 まうと、これに気付かないものです。今後はコンビニ発行のものが増えてき
 ますから、お互い気をつけましょう。私も明日から気をつけます。


2017.07.26(水)【違反している?定款規定(その2)】(藤沢・酒井恒雄)

 前回に引き続き、中小零細企業の定款規定によく見受けるもので、その規定
が守られていないことが多い定款規定を、独断で挙げてみたいと思います。

 違反している?規定の第2位は、「株主総会の議長」に関する規定です。

 第●条 株主総会の議長は、社長がこれに当たり、社長に事故があるときは、
    あらかじめ取締役の決定により定めた順序により、他の取締役がこれ
    に代わる。

 定款にこの規定があるにも関わらず、議場において議長を選出している場合
があります。もっともその場合、社長が議長に選出されている場合が多いので、
この点については目を瞑っておきたいと思います・・・。

 問題は社長に事故があるときで、社長に代わって議長となる取締役を「あら
かじめ」決めていることは、殆どないようです。よくあるケースは社長が死亡
してしまった場合です。

 取締役の員数を欠く場合に、新たに取締役を選任(及び就任)してから、社
長(代表取締役)を選定する場合があるのですが、取締役選任に関する株主総
会の議長が、あらかじめ決まっていたというケースに遭遇したことがありませ
ん。

 株主総会の招集手続きをした取締役が、当然に議長になるという暗黙の決定
があるかもしれませんし、株主総会の開会宣言の直前に、取締役の間で協議し
て「あんた議長やりなよ。」となれば、あらかじめ決定したことになるのかも
しれません。

 しかし、この規定は、社長の代わりに議長になる取締役の順序も決めておく
というものです。「順序」を削ってしまうか、「・・・社長に事故があるとき
は、議場において、出席した取締役の中から議長を選出する。」等とした方が、
実情に合うことが多いかもしれません。

 さて、いよいよ第1位ですが、それは次回に・・・。(つづく)


2017.07.25(火)【外国人の署名と証明書】(東京・鈴木龍介)

 代表取締役の就任の登記申請に添付する就任承諾書や選定議事録等には、原
則として個人の実印を押印し、個人印鑑証明書を添付しなければなりませんが
(商登規61条4項~6項)、該当者が外国人である場合、一般的に外国人に
は押印の習慣がないことから、就任承諾書等に押印することなく署名のみで足
りるとされています(外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律1条)。

 しかしながら、外国人だからといって何らの証明(書)も要しないというわ
けにはいきませんので、その代替として、署名についての証明である、いわゆ
る署名(サイン)証明書を添付することとされています。

 署名(サイン)証明書とは、その外国人の母国の行政庁(本国官憲)が作成
する、就任承諾書等になされた署名が本人のものであることを認証した書面を
いいます。

 たとえば、アメリカ人の場合、アメリカにある行政庁や日本に駐在している
アメリカの領事(大使館)が作成する書面ということになります。ただし、諸
外国の中には、必ずしもそのような認証制度がない国もあることから、本国の
公証人が作成した書面も認められています。

 また、手続上の便宜を図るという観点から、その外国人が居住する国に駐在
する領事(大使館)が作成した書面でも差し支えないとされています。さらに、
本国の法制上の理由等やむを得ない事情で、署名(サイン)証明書が取得でき
ない場合には、その旨を記載した登記申請人である代表取締役等の上申書と日
本の公証人が作成した署名(サイン)証明書によることが許されます(平26
・6・28民商100号通達(平29・2・10民商15号通達により一部改
正))。

 実務上は、その外国人本人が領事等の面前で自己の署名であることを述べる
宣誓供述書(Affidavit)を署名(サイン)証明書として利用するのが一般的で
す。

 署名(サイン)証明書は、通常、外国語によって作成されていますので、あ
わせて日本語の訳文を添付する必要がありますが、翻訳者には格別の制約はな
く、登記申請代理人である司法書士でも構いません。

 ちなみに、署名(サイン)証明書の記載例等の詳細については、拙著で恐縮
ですが『外国会社のためのインバウンド法務-事業拠点開設・不動産取引』(
商事法務、2016年)を参照いただければと思います。


2017.07.24(月)【存続期間の法理】(金子登志雄)

 7月も下旬になると、6月定時株主総会後の商業登記の書き入れ時も終わり
に近づき、また退屈な日々がはじまりました。

 さて、暇つぶしに、今年の司法書士試験をヒントに参考問題を作ってみまし
た。「存続期間 平成29年6月26日」と定款及び登記記録にあるとして、
次の問題にお答えください。

(問題)
 Q1:登記される解散日はいつですか。
 Q2:清算事務年度はいつから開始ですか。
 Q3:きたる平成26年6月26日終了をもって辞任しますという辞任届の
   場合に辞任日はいつですか。
 Q4:きたる平成26年6月26日終了をもって解散すると6月20日に解
   散を決議した場合の解散日はいつですか。

(解答)
 Q3とQ4は26日付で辞任・解散と登記しますが、Q1については、登記
実務で翌日の27日にしています。

 Q2の清算事務年度は会社法494条によれば、解散日の翌日からスタート
します。Q1の登記実務を前提にすると28日開始ですが、どうみてもおかし
いですよね。

 では、債権者異議申述の公告期間が6月26日までで、その期間満了日に資
本金2億円を1億円に減資する効力が発生するとしたら、減資の日はいつです
か。

 資本金2億円は26日24時まで、資本金1億円は27日午前0時スタート
ですから、この場合は効力発生日である27日付で登記します。

 このように終わりの日と開始の日(効力発生日)がある場合は開始の日であ
る翌日付にします。6月26日24時退任、27日就任を個別に登記せずに、
まとめて27日重任と登記する場合も同じです。

 Q3とQ4のように終わりの日で開始が問題とされない場合は終わりの日で
登記するのが正しいのに、存続期間の満了だけは、上記の減資の先例を受けた
ためか、清算事務開始の日を「存続期間の満了により解散」として登記するこ
とになっています。

 解散の効力が発生したのは27日だとの意見もあるでしょうが、解散日は事
業会社でなくなった日であり、清算株式会社がスタートした日ではありません。

 かねてより私は改めるべきだと主張していますが(商業登記法コンメンター
ルにも記載)、残念ながら、長い実務の伝統に阻まれ、自分の非力を感じるし
かありません。そのためか、本欄で子犬の遠吠えのように、憂さ晴らしあるい
は愚痴こぼしだけはさせてもらっていますけど。



2017.07.21(金)【合併法制の推移】(金子登志雄)

 立花さん、蜂騒動で大変でしたね。私も、小さな蜂に2度ほど刺されたこと
がありますが大事に至りませんでした。

 ところで、皆様は、毒蟻のヒアリと蜂のどちらが怖いですか。きっと、米国
で年間100人程度の死亡例もあるという前者だと答えるでしょう。

 でも、下記をみてください。この報道は全部嘘でした。

  http://news.livedoor.com/article/detail/13352418/

 ヒアリは中国から来るとの報道で、私は、これは反中国報道ではないか、い
や加計問題から目をそらすためかなどと、うがった見方をしていましたが、半
分は正しかったようです。北朝鮮のミサイル発射で電車を止めたり、最近の社
会の動きは実に怪しいことばかりです。印象操作が多すぎます。

 さて、先週13日(木)の夕方は久々に東京司法書士会でセミナー講師を務
めました。定員オーバーの申込みがあったと知り、まだまだ私も過去の人にな
っていないことを知り、安心しました。

 テーマは「やさしい会社の計算」でした。貸借対照表の実感もわかない人も
いるかと思い、基礎の基礎から話すつもりでしたが、冒頭で質問したら、そこ
まで重症な人はゼロであり、あてが外れてしまいました。さすがは東京会のセ
ミナーでした。

 会社法施行以降に受験した人は? と聞きましたら、約半数でした。もう額
面株式全盛時代の旧商法時代はどうだったと話す必要もないのかもしれません
が、合併で新株を発行したのに資本金が増えないでよいことを理解しない方も
いらしゃいますので、ここで説明しておきましょう。

1.額面株式時代(平成13年9月末まで)
  この時代は合併新株として額面5万円株式を100株を発行したら、額面
 総額の500万円以上を必ず資本金として増やさねばなりませんでした。そ
 のためには、合併による純資産増加額も500万円以上でなければなりませ
 んでした。

2.平成13年10月以降、会社法施行まで
  額面株式が廃止されたため、合併新株として100株を発行しようが、資
 本金を増やす必要はなくなりました。ただし、合併により純資産額は増加し
 なければなりませんでした。時価計算でも債務超過会社を合併することは許
 されませんでした。資本充実の原則に反するという理由です。

3.平成18年5月の会社法施行以降
  債務超過会社を吸収合併し合併新株を発行することが認められました。時
 価計算で債務超過であろうと、企業価値がマイナスの会社はあり得ないとい
 う考え方です。皆が価値のない会社と思っても、合併当事者が価値があると
 評価したのなら、それを肯定すべきだという考え方でもあります。

 こうして振り替えると、徐々に正しい方向に進んできたと感じませんか。法
務の世界は常に時代に遅れていることを知っておきましょう。



2017.07.20(木)【同居はご遠慮いただきたく】(仙台・立花宏)

 先月、庭の草むしりでの出来事について書きました。

 今年は植物の生育がよいのか、次から次へと雑草が生えてくるように思いま
す。なんとなく例年よりも多いような気がします。気のせいか、うちの庭だけ
ではなく、街の中の公園や歩道の植栽部分等でも、例年より勢いがあるように
思えます。

 ある朝、雑草が気になり、草むしりをしていた時のことです。怪しげな影が
ゆっくりと、庭木の方に移動していくのが見えました。その影は庭木の葉に隠
れたなにかに止まると、そのなにかの中に消えていきました。そのなにかは、
ソフトボール大の球体でした

 そう、蜂の巣です。

 私はぎょっとしました。つい先ほどまで、その下で草むしりをしていた場所
だったからです。

 その日、区役所に連絡したところ、駆除業者さんのリストをFAXしてくだ
さいました。そのリストにあった業者さんに連絡したところ、その日の夕方、
早速、駆除してくださいました。

 我が家は、今回の彼らにとっても、かけがえのない住処だったのだと思いま
す。前回の彼、ガマガエルを見つけた時は共存しようと思えました。今回の彼
らの住処を駆除したのは私のエゴなのかもしれません。ただ、今度の彼らは、
共存するには危険すぎる存在に思えてしまいました。

 インターネットで見てみると、ガマガエルも毒をもっているようです。前回
の彼も、それほど安全でもないのかもしれません。

 今回の彼らへと前回の彼へとの対応の違いはどこからきたのだろう。私は考
えてみました。

 おそらく、あちらから攻撃してくるかどうかの違いなのかもしれません。も
っとも、今回の彼らだって、こちらから住処を刺激したりしない限り攻撃して
こないのでしょう。彼らなりに、自分たちの住処、国の平和を守るための力な
のだと思います。

 今回の彼らのような生き方がよいのだろうか、前回の彼のような生き方がよ
いのだろうかと、両者の違いを考えていたら、ふと、そんなことを考えてしま
いました。

 数日後、今度は自宅の裏にまわり、雑草の処理をしていたところ、再び怪し
い影をみかけました。その影は、隅に立てかけてあった、伐採した木の陰の方
にすうっと消えていきました。どうやら、また別の彼らの住処があるようです。

 今年は、植物だけではなく、動物も元気なのかもしれません。私は再び、自
分のエゴを実行することになりました。


2017.07.19(水)【違反している?定款規定(その1)】(藤沢・酒井恒雄 )

 定款の一部変更を伴う登記手続きの依頼を受ける際に、定款規定全体を見直
したいという依頼を受けることがあります。

 その場合、依頼人が持参した定款を見ながら、文言の修正、足らない規定の
追加、余分な規定の削除といった作業をするのですが、定款の読み合わせをす
ると、「こんな規定があったんですねぇ。」とか、「この規定の意味が初めて
分かりました。」といった感じで、過去の定款違反行為が露呈します。

 特に中小零細企業では、定款規定どおり運営している会社は、めずらしいと
言っても過言ではないようです。

 そこで、殆どの会社の定款に規定があるものの、共通して守られていない定
款規定のベスト3を、勝手に挙げてみたいと思います。

 第3位は、「株主の住所等の届出等」に関する規定です。
----------------------------------------------------------------------
第●条 当会社の株主、登録株式質権者又はその法定代理人もしくは代表者は、
   当会社所定の書式により、その氏名又は名称及び住所並びに印鑑を当会
   社に届け出なければならない。届出事項等に変更を生じたときも、同様
   とする。
  2 当会社に提出する書類には、前項により届け出た印鑑を用いなければ
   ならない。
----------------------------------------------------------------------

 このような規定を多く目にすると思います。株主名簿への記載・記録の他に
(あるいは同時に)、株主の氏名・名称及び住所と印鑑を届け出る必要がある
という規定です。

 イメージとしては法務局に提出する印鑑届のようなものですが、実際に、印
鑑届出票のようなものを整備している中小零細企業は殆どないようです。

 これは、上記の第2項の規定にあるように、株主総会の委任状や、株主から
の株式譲渡承認の申出書等に、会社に届出た印鑑を押印させることによって、
本人からの委任、あるいは本人から申請があったことが担保されるという仕組
みです。

 社内や株主間で紛争の可能性がある場合は別として、株主全員と面識があり、
直接の連絡もとれるような会社であれば、そういった仕組みは不要ですよね。
どうせ守らない規定?であれば、バッサリと削除してしまった方がいいかもし
れません。(つづく)


2017.07.18(火)【商登規則61条6項ただし書と変更前の代表取締役】
                           (東京・鈴木龍介)

 商業登記規則61条6項は、代表取締役の就任登記に添付する選定議事録等
への押印と印鑑証明書に関する条文ですが、かなり、わかりづらい規定といえ
るのではないでしょうか。

 とりわけ、ただし書の「当該印鑑と変更前の代表取締役(中略)が登記所に
提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。」という、個人実
印と個人印鑑証明書を添付省略する例外規定の部分の適用の可否は、実務的に
も問題になることが少なくありません。

 そこで、この部分に関して。取締役会設置会社が取締役会で代表取締役を選
定したケースを例に考えてみたいと思います。

 まず、主体である“変更前の代表取締役”についてですが、再任(重任)し
た代表取締役は当然、該当することになりますが、代表取締役は退任したもの
の取締役としては留任した場合や監査役として就任した場合も該当します。

 つまり、代表取締役を選定した取締役会に権限をもって出席し、届出印を押
印していればよいということになります。したがって従来の代表取締役が取締
役を退任し相談役として取締役会に出席し、届出印を押印していたとしても本
規定の適用はありません。

 ちなみに、会計監査限定の監査役(会389条)については、取締役会への
出席義務はありませんが出席権限はありますので、本規定の適用があるという
ことになります。

 次に、“登記所に提出している印鑑”についてですが、取締役会議事録の印
鑑が届出印と同一であっても登記申請時に異なっていたような場合には、本規
定の適用はありません(平10・2・10民四270号通知)。

 一方で、代表取締役の重任登記の申請と同時に改印をした場合には、取締役
会議事録に改印後の印鑑が押印されていれば本規定が適用されるものと解され
ています(千葉和信「代表取締役の変更の登記の申請書への印鑑証明書の添付
の省略の可否」商事No.1516(1999年)28頁~)。

 つまり、ここでいう印鑑(届出印)とは、あくまで代表取締役の就任(重任)
登記申請の時点が基準ということになります。


217.07.14(金)【代表取締役の住所問題その2】(金子登志雄)

 今日はフランス革命の記念日ですね。民衆の生命をかけての力で自由を勝ち
取ったフランスと、敗戦で上から降ってきた自由を享受する日本との差を考え
てしまいますが、安倍内閣になってから報道の自由の世界ランキングは下がる
一方で、お隣の韓国にも負けています。へたなことをいえば、いうだけで共謀
罪でしょうか。

      http://ecodb.net/ranking/pfi.html

 さて、昨日の続きですが、追加根拠です。

1.代表取締役の就任承諾に添付する印鑑証明書には有効期限がない。

 昨日書かなかった理由は、商登法24条の却下事由に「申請書に必要な書面
を添付しないとき」や「申請書又はその添付書面の記載又は記録が申請書の添
付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき」に該当するのではないか
という意見が必ず出ると思ったから、記載を避けました。

 しかし、その印鑑証明書は印影の一致のために提出するもので、住所を証明
するものではありません。住所という無益な記載があるだけで、その部分は審
査の対象にならないはずです。不合致は好ましくありませんが、印鑑証明取得
後に住所を移転しており、現在はどこですと書けば、問題ないでしょう。

2.法定効果として代表取締役になる代表権付与の際に印鑑証明は不要です。

 これは昨日の投稿をみた司法書士山本浩司さんの指摘です。実務では代表権
付与の事例はほとんどないため想定もしませんでしたが、さすがはカリスマ講
師です。すみずみまで無意識に考えが及ぶようです。

 これらからして、代表取締役の就任登記には最初から住所の証明は不要であ
り、申請人が「ここが従所です」と申請した場所が住所ということでしょう。
ちょうど、本店所在場所につき会社が決定した場所が会社の住所になるように
………。


2017.07.13(木)【代表取締役の住所問題】(金子登志雄)

11日の鈴木さんの徒然は勉強になりました。

 マンション住民の私の印鑑証明書は「5-201号」ですが、自分が代表取
締役になって登記する際も、最近は「5号」でとめて「201」を省略して登
記することが多いのですが、いつもそのまま受理されています。

 ところで、代表取締役の就任の登記の際は印鑑証明書を提出し、住所移転の
際は証明書の提出が不要である理由は何でしょうか。2つ考えられます。

 1つは、そもそも代表取締役の就任登記の際は、最初から住所の証明は不要
だという考え方です。

 この考え方には「まさか」と思うでしょうが、不動産登記と相違し、商業登
記では住所の証明が要求されていません。印鑑証明書の添付は印影の一致のた
めであり、住所の証明のためではありません。

 住所まで登記される代表清算人については、印鑑証明書の添付さえ要求され
ていません。実際には提出しますが、それは印鑑届のためであり、代表清算人
の住所を示すためではありません。代表清算人をABの2名にして、Aだけが
印鑑を届ける場合は、Bの住所は何の証明書類もありません。

 仙台の立花さんから送ってもらった登記研究254号には「申請書記載の代
表取締役の住所が取締役会議事録に添付された印鑑証明書の住所と異なるとき
であっても、当該登記申請は受理して差し支えない」とありました。

 結論だけで理由までは知りませんが、この考え方の背景には、商業登記では、
登記申請人が示したものが住所であり、印鑑証明書に記載されたものが登記に
おける住所とは限らないという思考があるように思います。もちろん、虚偽の
住所の登記は違法ですが、その住所が「生活の本拠」であれば、法律上は問題
ないということでしょうか。

 いま1つは、最初の登記は印鑑証明書の住所と同一性を要するが、2度目の
登記に該当する住所移転の登記の際は不要だという考え方です。

 取締役等の再任の場合は本人確認証明書が不要です。代表取締役への就任の
登記は取締役の登記が1度目だとすると2度目の登記です。したがって、取締
役の再任と同様に住所の証明は不要だといえます(同様に、商業登記規則61
条7項を根拠に、代表取締役の就任承諾に住所記載を要求するのは法律上無理
があります)。

 上記2つの考え方の背景にあるのは、住所や氏名はその人を特定する要素に
過ぎず、「その人」が登記されていることは必要でも、登記はその人の住民登
録先の住所や氏名を証明するものではないということかと思います。

 いままで私は1番目の考え方に気付きませんでしたが、印鑑証明書では齊藤
や渡邊なのに、斉藤・渡辺でも登記することができることを考えると、最初の
考え方が正しいのではないかという気がしてきました。

 その意味で鈴木さんの投稿は新たな発見を導いてくれました。今後、この問
題につき議論が進化することを期待します。



2017.07.12(水)【性善説・性悪説】(藤沢・酒井恒雄 )

 組織のマネジメントにおいて、性善説をとるか性悪説をとるかという議論は、
明確な答えを出すことが難しい、永遠のテーマとなっています。

 大雑把な説明をしますと、「組織や経営のマネジメント」における性善説と
は、人間は、基本的に向上心があり、良心に従って行動する生き物なので、必
要以上に管理・監視をすることは逆効果になるという考え方です。

 一方、性悪説とは、人間は、放っておくとサボったり悪いことするので、管
理・監視を強化したり、不正等をしづらい環境にするのが効果的という考え方
です。

 先日、同業者との飲み会の席で、司法書士で構成する某団体について、組織
管理の方法に納得がいかないという話が出ました。不正が発覚したという理由
もあるそうですが、監視が強化されて性悪説に立った方針となり、団体の立場
を理解しつつも、やり方が違うのではないかという議論になっているのだそう
です。

 それを聞いて、たしかに、不思議な感じがしました。司法書士は国家資格を
有し、中央組織や地方組織に会員登録をし、法や倫理規定等を遵守して職務を
行っている「はず」です。各会員が法令を遵守していることを前提に組織が成
り立っているので、司法書士会は性善説をとっていると言えるかと思います。

 性悪説をとる組織であれば、法や倫理規定等の遵守は期待していないことが
前提になります。ちなみに、懲戒制度があるのは別の話です。性善説のマネジ
メントをしている会社や組織にも懲戒規定はあります。そう考えますと、やは
り我々は性善説の組織に属して職務を行っていると考えてよさそうです。

 ところが、その組織内(関連する組織)の中に、「監視しておかないと悪さ
をする。」という考えを持って運営する団体が存在すると、組織全体の方針に
矛盾が生じてきます。

 確かに、団体自身の信用問題がありますし、団体存続の危機と感じて、二度
と不正が起きない体制にしたいという気持ちも分かります。しかし、同じ資格、
同じ職務を行っている者で構成されている組織であるのに、かたや性善説、か
たや性悪説というのは、「組織としてどうなんだろう?」と考えてしまいます
・・・・・。



2017.07.11(火)【代表取締役の住所の登記】(東京・鈴木龍介)

 株式会社の代表取締役は氏名とともに住所を登記しなければなりませんが、
登記する住所については、代表取締役の就任の登記申請に添付する同人の個人
の印鑑証明書(商登規61条4項~6項)に記載されたものとするのが一般的
かと思います。

 もちろん、印鑑証明書どおり登記することで問題はありませんが、必ずしも
印鑑証明書の記載どおりに登記をしなければならないものでしょうか?

 まず、住居表示実施地域における住所という観点から考えますと、たとえば、
「東京都港区赤坂一丁目2番3号グランドマンション101号」の場合、「赤
坂一丁目」の部分が“町名”、「2番」の部分が“街区番号”、「3号」の部
分が“住居番号”ということになり、その後に続く「グランドマンション10
1号」の部分は“方書”ということになります。

 住所は、“町名”+“街区番号”+“住居番号”をいい、“方書”は含まな
いとされていますので、代表取締役の住所を登記する場合、“住居番号”まで
で足り、「グランドマンション101号」の部分は省略しても差し支えないと
いえます。

 次に、登記申請に添付する個人の印鑑証明書という観点から考えますと、そ
の趣旨は、印鑑証明書を提出させることで同人の実在性を担保し、印鑑証明書
と議事録等に押印されている印鑑が合致していることで真実性を担保するため
です。

 もちろん、就任登記をする代表取締役について、添付された印鑑証明書と同
一人物である必要はありますが、住所はあくまで代表取締役を特定し、印鑑証
明書の住所と同一性を判断する1つの要素であり、同一性が確認できるのであ
れば、「赤坂1-2-3」という表記も許され、それが好ましいかどうかは別
として、実際にそのように登記されたものも少なくありません。

 なお、代表取締役の住所変更の登記申請には変更証明書を添付しませんが、
これは、そもそも代表取締役の住所に何らの裏付けも求めていないということ
で、その取扱いとも整合するものといえます。

 最後に、会社法で代表取締役の住所を登記事項としているという観点から考
えますと、その趣旨は、会社から被害を被った者が代表取締役の責任を追及す
る場面(会429条参照)や、登記懈怠等の過料事件の通知先を明らかにする
ためです。

 そうなると、たとえば大規模なマンション等で住所を容易に特定できない場
合には、方書に属す部屋番号まで登記すべきということになりそうですが、そ
れについては登記官の審査の対象ではありません。

 ちなみに、印鑑証明書が「赤坂一丁目2番3ー101号」になっていた場合
は、「3-101号」が住居番号だとされていますが、方書の場合は省略する
ことができて、この場合は「101」の省略が不可というのはバランスを欠く
ためか、「3号」で登記を受理されている実例もあります。

 結論としては、以上の点を踏まえつつ、住所として特定の場所を公示する際
に、どの範囲で登記するかは、登記申請人の意思が重視されているようです。


2017.07.10(月)【This is 優秀登記所】(金子登志雄)

 3月決算会社の6月下旬の定時株主総会の関係で、登記所も大賑わいです。
本人確認証明書だ、株主リストだ、代表取締役の辞任届は会社実印だなどとい
う改正があったので、改正に着いて行けない補正事例もさぞ多いことでしょう。

 7月7日(金)申請の登記完了予定日を調べましたら、次で各地でばらつき
がありました。

  7月14日(金) 高松
    19日(水) 東京、広島、仙台
    21日(金) 札幌、名古屋
    24日(月) 福岡
    28日(金) 大阪

 都議選の自民党敗因につき、豊田(真由子)、萩生田、稲田、下村の頭文字
をとって「This is 敗因」と永田町ではいうようですが、高松・東京(T)、広
島(hi)、仙台(S)は、営業日で10日以内であり、優秀でした。関東では千
葉が遅いので有名ですが、26日でした。

 なぜ、こんな差が生じるのかは不明です。この時世ですから、四国の高松は
安倍さん夫妻と親しく高松特区の特別な優遇措置がなされており、大阪や千葉
は嫌われているのかなどと、ついつい勘ぐってしまいますが、利権とは縁遠い
法務局業務では、これはないでしょう。人員数の配置がアンバランスとは思え
ませんので、理由は不明です。

 登記所ごとの効率性はあると思います。都内では原本還付も窓口で可能です
し、東京法務局の本局では、急ぎ案件とそうでない案件を分けたりして、申請
者の便宜をはかるよう対応してくれています(ぜひ、他も見習ってほしい)。

 われわれにとっては顧客が急がないのであれば、遅れても問題ないのですが、
中には、許認可の関係で、入札の関係で、従業員の社会保険の切替えでなどと
いった理由で急かされることも多く、多忙な登記所との板挟みになる日がまだ
まだ続きそうです。


2017.07.07(金)【直観の気付き】(金子登志雄)

 7月2日(日曜日)に司法書士試験があったようです。お仲間の山本浩司司
法書士(受験予備校のカリスマ講師)に問題文をみせてもらい、商業登記の記
述式試験問題に挑戦してみましたが、受験から離れた身としては難問でした。

 難問の理由は問題内容が難しいというわけではなく、制限時間内に隠し論点
に気付かなければならないからです。

1.謄本に譲渡制限として「普通株式及び甲種種類株式を譲渡するには会社の
 承認が必要だ」とありながら、定款変更で乙種種類株式を発行していました。
 →乙種は譲渡制限付きではないから、これで公開会社になったことに気付け
 ということのようです。
  実務では、これで公開会社になる旨を明記するでしょう。

2.存続期間として平成29年6月26日までとありました。その後に支店廃
 止を決議しています。
 →この決議は法定清算人が決議したという前提のようですが、実務家はきっ
 と支店廃止の前に定款変更を決議し、存続期間の定めを廃止したのではない
 かと考えて、余計な時間を食ってしまうでしょう。

 その他にも多々あり、到底、制限時間内にさまざまな問題点に気付けという
のは受験技術を鍛えていないと無理ですし、解答をみると、この「徒然」以上
の分量を解答用紙に書かねばなりませんでした。私には無理です。

 こんな徒然の分量でも、1つにつき、最低1時間は必要ですし、いまの国家
試験は私のように「じっくり思考型」は受からず、「感性」で解く頭の回転の
よい人しか受かりません。こういう感性型は実務では大失策をしかねませんし、
登記所との見解の相違による論争に勝てません。論理が浅いからです。

 国家試験がこうなったのは昭和50年代後半からですが、毎度同じ感想とは
いえ、いまの受験生は実に気の毒だなというのが感想でした。


2017.07.06(木)【画像の加工】(島根・根来川弘充)

 最近、いろいろな集まりで、画像を編集する機会があります。

 具体的に言えば、写真や動画に、別の写真や別の動画を加えていくといった
ものなのですが、ちょっとしたソフトを手に入れ、インターネットで方法を検
索すると、思った以上に、簡単でかつ、手の込んだことができます。

 私は、そんなにパソコンに詳しくはないほうと思っておりますから、本当に
詳しい人がされれば、もっと、高度なものができるのでしょう。

 つまりは、現実を写した画像や動画なのか、合成したそれらなのか、まった
く分からないものが、できるのではないかと不安になるのです。

 昔からのことわざで、「百聞は一見にしかず」といわれますが、そう遠くな
い将来に、「百聞も百見もたがわず」などということわざに変わるかもしれま
せん。



2017.07.05(水)【PDCA】(藤沢・酒井恒雄 )

 以前、アメフトのプロリーグであるNFLについて投稿しました。この組織
は、事業活動のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を実践していて、
毎年、試合のルール変更があると書いたのですが、今年も面白い変更がありま
した。

 それは、タッチダウン後のパフォーマンス規制を緩めるというものです。サ
ッカーでゴールを決めた後、ダンスをしたり、ユニフォームを脱いで雄叫びを
あげたりと、選手たちが様々なパフォーマンスをしますが、アメフトも得点を
した後に、選手たちがパフォーマンスをします。

 観ていて楽しいパフォーマンスならいいのですが、中には、首を切る真似を
したり、人種差別とも取られかねないダンスをしたりと、表現の仕方が問題に
なることがありました。

 アメフトは米国で人気ナンバーワンのスポーツです。不適切な、あるいは不
適切と取られかねないパフォーマンスがテレビ中継されると、犯罪、人種差別
など様々な問題につながる可能性があります。

 徐々に規制を強めていった結果、大げさな喜びの表現もペナルティの対象と
なってしまいました。違反した場合には、数百万円の罰金が課されます。高額
な報酬を得ているとはいえ、相当な額の罰金です。中には、毎回違反して、毎
回罰金を課されている強者もいましたが、ほとんどの選手が、控えめにパフォ
ーマンスをするようになりました。

 これには選手側からも不満が出ていましたし、試合を観る側も、なんだか盛
り上がりに欠けるということで、球団組織の代表が選手達の意見を聞いたうえ
で、規制緩和の方針を決めたのだそうです。

 そうは言っても、全て自由に表現できるようになるわけではなく、あまりに
攻撃的なものや対戦相手を挑発するようなパフォーマンスはペナルティの対象
にするそうです。

 具体的にどのようなパフォーマンスが許されて、どのようなパフォーマンス
がペナルティをとられるのかは、まだ分かりません。判断基準として、スポー
ツマンシップ、正々堂々たる試合、若いアスリートたちへの手本となることが
考慮されるそうですが、実際に判断するとき、その良し悪しの線引きは難しそ
うですよね・・・。

 判例法主義のお国柄なので、まずは実践して、判断例を蓄積させつつ、運用
を安定化させて行くのでしょう。この規制緩和が成功するかどうかは別として、
C(チェック・評価)&A(アクション・改善)の実行力には、いつも感心し
ています。



2017.07.04(火)【届出印の規制等】(東京・鈴木龍介)

 登記申請の前提として、代表取締役等会社を代表する者が会社の本店所在地
を管轄する登記所に届出印を提出しなければなりませんが、この届出印に関し
て法令や登記先例で一定の規制等が設けられています。

 まず、大きさですが、一辺の長さが1cmの正方形に収まるものは認められ
ず、かつ一辺の長さが3cmの正方形に収まらないものであってはなりません
(商登規9条3項)。つまり、小さすぎても大きすぎてもいけないということ
になります。

 次に印影ですが、照合に適するものでなければならず(商登規9条4項)、
印影が不鮮明なものや文字等が著しく複雑なものは照合に適さないため認めら
れません(昭52・4・20民四2503号通達)。

 ただし、必ずしも当該会社の商号や印鑑提出者の氏名と印影が一致している
必要はなく(質疑・登研167号(1961年)60頁)、極端な例ですが、
株式会社太田設備の代表取締役太田健一が、「鈴木」という印影の印鑑を提出
することも可能です。

 印鑑の提出者という観点では、1つの会社で1人の代表者が2つの印鑑を提
出することはできません。また、1つの会社に代表取締役が2人いる場合、ど
ちらか1人が印鑑を提出すれば足りますが、2人とも提出することもできます。
ただし、同一の印鑑を2人ともが提出することはできません(昭43・1・1
9民甲四2503号通達)。

 代表取締役の登記申請に関連して、たとえば、それまでAが代表取締役(社
長)として印鑑を提出していたところ、今般、Aは代表取締役(会長)となり、
あらたにBが代表取締役(社長)として、従来Aが提出していたものと同一の
印鑑を提出しようとする場合には、Aは印鑑の改印もしくは廃止をする必要が
あります。


2017.07.03(月)【事務所タイプ】(金子登志雄)

 全国民注視の都議会議員選挙は、驕る平家にお灸をすえる結果になったよう
です。その中で、うまく立ち回ったのが公明党でしょうか。国政では驕る平家
に安保でも共謀罪でも賛成し政権の疑惑にも目をつぶりながら、都政では小池
新党に加担し、両方とも与党を維持してしまいました。その評価については、
皆様にお任せし、私はノーコメントにしておきましょう。

 さて、先日は、商業登記の書き入れ時期ですが、知り合いの税理士数人の飲
み会に参加してきました。そこで、営業マンタイプの税理士は年間100万円
以上も交際費を使うだろうという話になり、隣に座った先生に「あなたは?」
と聞きましたら、笑ってゼロ円という答えでした。この先生は私と同様に典型
的な職人タイプでした(おそらく私同様に、お中元もお歳暮も送ったことがな
いでしょう。もらうばかりで申し訳ありません)。

 士業の全てにいえますね。営業マンタイプの先生はフットワークがよく、事
務所を空けることが多く、職人タイプは腰が重く、外出はほとんどしません。

 当事務所もそうですが、職人タイプ事務所は従業員がいないか1人程度のと
ころが多いようです。こういう事務所の売りは、所長自ら事務作業も行います
から、仕事の確実性と信頼性でしょうか。

 その結果、能力があれば顧客からだけではなく同業者からも信頼され仕事を
紹介されたりするため、顧客も少しずつ増えて行き、事務所を安定的に維持す
ることができます。

 営業マンタイプは事務員を数人以上使っているところが多く事務所もりっぱ
です。先生が仕事をとってきて、事務員に振るわけですが、中には全国を飛び
歩く先生もいらっしゃいます。

 それぞれの性格やタイプの差であり、どちらがよいと比較する問題ではあり
ませんが、職人タイプ事務所は新人があこがれる事務所ではないことだけは確
かです。事務所紹介と雑誌に登場することもありません。


2017.06.30(金)【講義スタイルはそれぞれ】(金子登志雄)

 昨日の立花さんの投稿で、講師というのも意外に面倒なものであることがお
分かりいただけたでしょうか。レジュメの作成その他で、数日から1週間は必
要です(その結果、講師はますます知識が確実になり、表現力も鍛えられるた
め、自分にも役立ちます)。

 立花さんに「お二人はどのような準備をされ、どのような気持ちで講義をさ
れているのだろうか」と尋ねられましたので、お答えしますが、昨日の立花投
稿に全部書いてありました。

 つまり、鈴木さんが「すべてが計算されつくされている」見事な講義だとし
たら、私の方法は正反対であり、全く計算せずに、行き当たりばったりの成り
行きまかせです。それでも、レジュメ作成には相当の時間をかけていますし、
そのレジュメに話したいこと忘れてはいけないことの全部を書いておきますの
で、レジュメの流れに従えばよいので、大きな脱線をしません。

 もちろん、私も計算したことがありますが、計算どおりに行った試しがない
ので、やめました。講義の前に声を出し時間をはかったこともありましたが、
実際の講義では、そのとおりになりませんでした。これは子供の頃からで、鈴
木さんのように、まずは設計図を作って………ということができません。走り
ながら調整していくタイプです。

 福岡の丸田先生からは私の話す内容その他につき「金子ワールド」といわれ
ていますし、他の方からも独特な金子節などといわれることがありますが、自
分の世界を前面に出してしまう傾向があります。もうこの歳ですから改める気
もなく、「金子ワールド」をご要望の講義しか受けないようにしています。

 立花さんも立花流を作るべきです。しいて私や鈴木さんを目標にしてほしい
ところがあるとしたら、それなりに受講生を眠らせないように、工夫している
ことでしょうか。時々、講師が話し始める前から居眠りしている受講生もいま
すけど、それもいいじゃないですか。



2017.06.29(木)【講師たるべく】(仙台・立花宏)

 最後の論点を話し終えると、最後まで話にお付き合いいただいたことに御礼
を述べ、マイクを置き、深々と一礼しました。

 司会の方が会場に質問を促したため、いくつかのご質問をいただきました。
質問の手があがるとドキリとしますが、心を静めながら、できるかぎり丁寧に
回答をさせていただきました。

 最後の回答を終え、司会の方に促されて控えの席に戻り、気が付くと、空調
の効いた会場であったにもかかわらず、全身にびっしょりっと汗をかいていま
した。

 これは先日、講師をさせていただいた研修会の最後の場面を思い出してみた
ものです。

 この1~2か月くらいで、いくつかの研修会の講師のお話しを頂戴しました。
まだまだ、無名で、講師としての実績が多いとはいえない私にお声がけいただ
けることは、とてもありがたいことです。

 この徒然日誌で、金子先生が応援のコメントをしてくださったり、友人が紹
介してくれたりと、まわりの方々のおかげと思います。

 おかげさまで、実績が少ないといっても、数えてみたら、ここ2、3年で両
手で数えてもたりないほどの回数を経験していました。ただ、慣れたかといえ
ば、まだまだ駆け出しの気持ちです。

 ご依頼をいただいたら、レジュメを作成したあと、一度、全体をとおして、
声に出して模擬講義をしています。講義内容が、研修時間に対して大きな過不
足はないか、内容の流れが悪いところはないか等、声を出してやってみると、
よりはっきりします。事務所は私ひとりだけなので、誰に気兼ねすることもあ
りませんが、もし誰かに見られたら、気味が悪く思われるかもしれません。

 研修会の日が近づくと、2、3日前から体調を整えるようにしています。
前日は早めに床に就き、布団の中で講義のイメージを膨らませます。

 当日は開会時間まで、他の仕事はせず、レジュメを読んで過ごします。そし
て、会場には早めに入るようにしています。もっともこれは、かえってご迷惑
なのかもしれません。

 別に立派な講師を気取っているつもりではありません。まだまだ、人の前に
立つのは慣れておらず、緊張と、そして、当日、最後まで無事にやりおおせる
のか、頭の中が不安でいっぱいだからなのです。

 多くの先輩たちの姿を見て、講師をする以上は、聞いてくださる方に満足し
ていただけるよう、努力を惜しんではならないということは承知しているつも
りです。

 久しく、お聴きすることができていませんが、師である金子先生のご講義は、
簡単とはいえない内容でもイメージがわきやすく、最初から最後まで話にひき
こまれ、長時間の講義も、あっという間に終わってまった感覚になります。

 また、この徒然日誌に登場される鈴木龍介先生のご講義は、とてもわかりや
すく、話し方も流暢で、優秀なアナウンサーの方とかわらないといっても言い
過ぎではなく、内容も最初から最後まで、すべてが計算されつくされている、
といった印象です。

 お二人はどのような準備をされ、どのような気持ちで講義をされているのだ
ろうか。いつも、そんなことを考えてしまいます。

 お二人のことを想定するなんて、とてもおこがましいことです。しかし、よ
り高いところを見て、私もいつか、そのような講義ができるようになろう、そ
んな気持ちで、これからも精進していかなければと思っております。


2017.06.28(水)【暗黙のルール?】(藤沢・酒井恒雄 )

 前回、AKB総選挙の話を書きました。翌日の金子先生の反応を読んだので
すが、どうやら私もサプライズをやらかしてしまったようです………。

 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、暗黙のルールで、毎週水曜日は
私が登場させて頂いております。

 暗黙のルールというキーワードをもとに、再びAKBネタを引っ張ります。

 AKBには「恋愛禁止」のルールがあると書いたのですが、AKB総選挙の
舞台で起きた騒ぎをきっかけに、運営サイドやメンバー間で、このルールの解
釈の仕方に幅があったことが分かりました。

 ルールを厳格に捉えていたメンバーは、違反が発覚した際にはグループを去
ったり、謝罪として自ら頭を丸めたりするのが当然だと考えていたようです。

 しかし、今回の渦中のメンバーは、恋愛禁止というルールは厳格なものでは
なく、意識の問題であって、それぐらいの心意気でいなさいという指針だと捉
えていたようです。

 なので、他人に暴かれる前に自ら公表してしまおうと思ったそうです。つま
り、恋愛禁止というルールは、明確なルールではなく、暗黙のルールだったの
ですね。

 前回、恋愛禁止は鉄の掟と書いてしまいましたが、それは私の勝手なイメー
ジでした。恋愛禁止であることを就業規則に盛り込んであれば、今回のような
混乱は起きなかったかもしれません。

 因みに、会社の就業規則に「社内恋愛禁止」を盛り込むことは可能だそうで
す。ただし、そのルールを破っただけでは懲戒・解雇事由にはならず、企業秩
序や風紀を乱して会社に重大な悪影響を与えた場合や、会社の信用を著しく失
墜させた場合など、一般的に見ても「非常識!」とか「あり得ない!」と思う
ような違反行為でないと、強制的な処分は出来ないようです。

 今回のケースは社内恋愛ではなく、社員(メンバー)のプライベート上の恋
愛が問題になったのですが、事業の内容や特殊な職業?であることを考えると、
就業規則をもって、運営サイドからの処分も可能な事例になり得たのかもしれ
ません。

 もっとも、実際は本人からグループ脱退の申し入れがあり、それを留意する
よう諭したらしいので、グループを運営する側からすると、悪影響や信頼の失
墜どころか、組織活性化の一つの材料になったと考えているようです………。



2017.06.27(火)【選任と選定】(東京・鈴木龍介)

 会社法は、結構、用語にこだわりをもっているような気がします。その代表
的なものとして、「選任」と「選定」があげられます。

 「選任」とは、ある者を会社法上の一定の地位を付与する行為をいいます。
具体的には取締役や監査役の場合、会社で何らの地位を有しない者を取締役や
監査役に「選任」するということになります。

 一方、「選定」とは、すでに会社法上の一定の地位にある者を、それを前提
に別の地位を付加する行為をいいます。具体的には代表取締役や常勤監査役の
場合、取締役である者を代表取締役に、監査役である者を常勤監査役に「選定」
するということになります。

 同様に一定の地位を剥奪する場合、前者を「解任」といい、後者を「解職」
といいます。

 ちなみに会社法前の旧商法では、前者と後者を区別することなく一律に「選
任」と「解任」という用語が使われていました。

 実務的には、議事録等での用語として、「選任(解任)決議」・「選定(解
職)決議」や「被選任者」・「被選定者」という使い分けが必要となります。


2017.06.26(月)【エリートの幸福度】(金子登志雄)

 権力に忖度して噓ばかりのテレビをみない私はニュースは専らネットにして
いますが、ユーチューブを開いたら、わずか14歳で将棋28連勝の快挙を達
成した藤井聡太君と、「このハゲー!」と男性秘書に罵声を浴びせて怒鳴りわ
めく豊田真由子議員のニュースが中心でした。前川前次官の記者会見は極めて
重要な内容なのに、ネットでも不都合な情報として大きくは取り上げられてい
ませんでした。

 豊田議員は東大法学部、ハーバード大学院、厚生官僚、与党・自民党代議士
と超エリート・コースを歩んできたのに、わずか42歳で一挙に過去の財産で
ある輝かしい経歴を無にしてしまいました。全国に知られてしまったので、今
後も落ち着ける場所は病院か海外しかないでしょう。自業自得とはいえ、あま
りに大きな代償でした。

 こういう事件をみると、超エリートでなくてよかったとつくづく思います。
エリートは幸せとは限りません。周りからチヤホヤされ、驕り高ぶる人間とな
り、いつか大きな失策をしてしまうものです。エリートでなければ、失策して
もニュースにもなりません。

 将棋の藤井君もたかが14歳で頂点に達し、これからが精神的にも大変でし
ょう。芸能人並みにマスコミに追いかけられており、自由に出かけたり、恋愛
するのも、見張られており、お気の毒です。

 司法書士の皆さん、お互い一流のエリートでなくてよかったですね。司法書
士程度の2・3流のエリートが人生での風当たりも少なくて済み、おごり高ぶ
ることもなく、最も安定して幸せでいられる位置にいるのではないでしょうか。


2017.06.23(金)【任期1年の効果】(金子登志雄)

 周知のとおり監査役設置会社である公開会社の取締役の任期は原則2年です
(監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社では原則1年です)。

 ところが、外国人株主の多い国際企業を中心に上場会社の多数は任期を短縮
して1年にしています。それに伴い非公開会社である子会社の取締役の任期も
1年にしたところが多く、都会の司法書士はこの時期、役員変更登記の依頼が
多く助かっています。

 もっとも上場会社の子会社といっても多種多様です。資本金数十億円の会計
監査人設置会社であり、親会社に対する剰余金の配当額を数億円も出すところ
から、株主が1名のため、取締役1名の非取締役会設置会社にしているところ
もあります。

 この差につき、あまり深く考えたことはありませんが、大規模な工場設備な
どを要する製造業と設備不要のサービス業(ITソフト関連など)との差でし
ょう。前者であれば資本金数十億円も納得できますし、後者であれば、資本金
1000万円でも納得できます。

 100%子会社は親会社の1事業部門も同じです。親会社の役員の任期に合
わせて1年とし、毎年、親会社の人事部が鉛筆を舐めながら、あの子会社の社
長は今度はどこに配置しようかと考えていることでしょう。

 1年ごとでは、やっと仕事に慣れ顧客の名前と顔が一致し始めた時期です。
これで任期満了では、仕事にも影響すると思うのですが、サラリーマンは大変
ですね。
 
 「二日酔いでも朝9時には必ず出社し、あとは医務室で寝ているのが正しい
サラリーマン道だ」と聞いたことがありますが、任期が短ければ、ますますこ
の忠臣道が必要かもしれません。



2017.06.22(木)【面従腹背】(金子登志雄 )

 AKB48グループの総選挙が当欄に登場するとは思ってもみませんでした。
新しい投稿者が加わり本欄も活気づいてきました。

 私の世代(60代後半)では、AKB48には無関心であり、そこでメンバ
ーの一人が何を言おうが、それに批判的意見を言う人たちには、「貴方の生活
と何の関係もないのに」と冷ややかにみてしまいます。

 ネット社会となり、有名人も隣の人のように感じ、しかも何をいおうが誰が
いったか分からない覆面の世界ですから、周囲から馬鹿にされることもなく、
面と向かって反撃もされないネットの一方通行の意見は、安全地帯から無抵抗
な人に銃を撃つかのようで好きになれません。準強姦被害者の詩織さんも、加
計問題の前川前事務次官もネットで、実に心ない中傷被害にあっています。

 何の関係があるのかという視点で報道をみる際に、私は、もし私が大阪地検
の検事であったら、命令に従い籠池宅にガサ入れしただろうか、もし私が官僚
であったら、「調査したがみつからなかった」などと上司に忖度した噓の回答
をするだろうかと考えてしまいます。

 雇われている立場でどう正義を貫くのかは実に難しいものです。ノーといえ
ば仕事を干され生活が成り立たず、家族にも迷惑をかけてしまいます。

 前記の前川前事務次官がインタビューに答えて座右の銘は「面従腹背」だと
答えたようですが(これについても中傷されています)、ガンジーの非暴力・
不服従にも通じる平和的抵抗の生活の知恵かもしれません。

 面従腹背を必要としない自由業の司法書士は実にありがたいですね。その代
わり身分保障もなく、わが身は自身で守らねばなりませんけど。



2017.06.21(水)【AKB総選挙と組織の行方】(藤沢・酒井恒雄 )

 先週の土曜日に、AKB48グループの総選挙がありました。AKB48グ
ループは秋元康氏がプロデュースする、アイドル・グループです。

 総選挙は、グループの運営側の意向とは別に、ファンが直接投票をすること
により、人気メンバーを選ぶという、年に一度の催しです。

 グループでは、現役の間は恋愛禁止という鉄の掟があるのですが、今年の総
選挙では、メンバーの一人が結婚することを舞台上で発表するという、前代未
聞のハプニングが発生しました。

 当然、その本人は、ファンやメンバーから批判を浴びることになったのです
が、批判の理由がなかなか興味深いものでした。純粋に、ファンの心を踏みに
じったという怒りをぶつける人達のほかに、グループの歴史に汚点を付けたと
か、グループの未来を奪ったといった、組織の存続が危ぶまれることに対する
批判も多かったのです。

 グループのルールを破ったとはいえ、法令違反をした訳ではありません。よ
って、企業不祥事と同じように考えてはいけないのかもしれませんが、組織が
正常に機能していないことを認識しつつも、対応が後手となり、実際に大きな
事件が発生して初めて、組織改革に真剣に取り組むというケースは、よくある
パターンだと思います。

 AKBグループの人気は、年々下降しているそうで、危機感を持っているメ
ンバーも多いようです。伝統や歴史がある組織に変化をもたらすためには、や
り過ぎと批判されるくらいの思い切った行動が必要とされます。

 今回のハプニングは、渦中のメンバーの個人的な問題と行動は別として、組
織全体のことを考えれば、再び活性化するチャンスが来たようにも思えました。
グループの未来を思ってこその批判は、視点を変えれば、安定志向であること
が表面化したと見ることもできます。

 外部環境の変化のスピードが速い昨今、このグループがどのように対応して
行くか、そして変化できるのか、ちょっと気になっています。余談ですが、渦
中のメンバーは、「人生を危険にさらせ!」という哲学の入門書を執筆してい
ます。まさかとは思いますが、もしかして・・・という気持ちも少しあったり
します。



2017.06.20(火)【兼職・兼業禁止】(東京・鈴木龍介)

 会社法では、取締役等になることができない欠格事由を規定するとともに、
取締役と監査役の兼任を禁止する規定を設けています。

 それとは別に国家公務員や地方公務員には、法律で兼職・兼業を禁止する規
定があります(国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条)。た
とえば家族的な資産保有会社に公務員である子息を取締役にしてしまうと、当
該規定に抵触し、思わぬトラブルになることもあります。

 なお、国会議員・地方議員・地方公共団体の首長は、一定の場合を除き、法
令上、兼職・兼業を禁止されていません(国会法39条、地方自治法92条の
2・142条)。

 一方で、民間企業においても、兼職・兼業を禁止する服務規程等があること
は少なくありませんし―最近は容認する方向も見受けられますが―、禁止まで
はされていなくても許可や届出が必要な場合もあります。

 したがって、他所に勤務する者を取締役等の役員に選任する場合には、あら
かじめ規程等を確認するとともに、必要に応じて許可や届出を怠らないように
しなければなりません。


2017.06.19(月)【みなし住所】(金子登志雄)

 某社(上場会社の子会社)の登記をしようとしたら、再任である取締役AB
Cの就任承諾書に必ずしも必要としない住所が記載されていました。Aはその
会社の代表取締役です。

 しかし、登記記録に記載されたAの住所は大阪(仮定)なのに、就任承諾書
の住所は会社の所在地である東京(仮定)でした。これはまずいですね。

 会社に問い合わせましたら、総務担当者の返事は、もうずっと前から東京で
すよ、登記記録が直されていないだけではないですかというもので慌ててしま
いましたが、Aさんに確認するよう求めたところ、結果は、今でも住民票の住
所は登記記録どおりであり、仕事の関係で東京に仮住まいしているだけでした。
単身赴任かもしれません。

 単身赴任に限らず、こういうことはよくありますね。私も学生時代は住民票
を群馬県の実家に置いたままにしたり、東京の下宿先にしたりと、その時の都
合で変えていました。

 さて、Aさんの住所は大阪でしょうか、東京でしょうか。

 民法によると、住所とは生活の本拠をいうとされていますが、Aさんが平日
は東京に住み、土日は家族のいる大阪に住んでいるとすると、どちらが本拠で
しょうか。

 こういう場合は会社の本店が取締役(会)の決定した場所であるのと同様に
本人が決めた場所が住所だというべきでしょう。

 Aさんは会社には平日の居場所を住所として届け出ていても、登記所には印
鑑証明書の住所を届出しているわけですから、登記との関係での住所は大阪を
指定したというべきでしょう。

 ついでながら、登記の代理申請の際は商業登記法17条2項で申請書に代理
人の住所を記載することになっています。昔、まだ司法書士資格を有しないと
き、役員を務める会社の登記申請の際に、代理人「(取締役)金子登志雄」の
住所として会社の住所で申請しましたら、いつもはそのまま受理されるのに、
補正になったことがありました。

 会社の住所ではなく代理人の住所を記載せよということです。登記に詳しく
なった現在では「そこが代理人の住所かどうかの証明は不要のはずだ」と反論
したかもしれません。


 代理人が司法書士の際は事務所の住所でよいのは先例があるためですが、こ
れも職務上のみなし住所ですね。住所は1つではないわけです。



2017.06.16(金)【守り神】(仙台・立花 宏)

 先日の日曜日、久しぶりに自宅の庭の草むしりや樹木の枝切りをしました。
油断していたところ、自宅の庭に雑草や樹木の枝が生い茂り、まるでジャング
ルのようになってしまっていたからです。

 天気が良いわりにはそれほど暑くもなく、庭いじりには気持ちのよい日和で
した。

 草むしりを始めようと奥の塀のあたりに近づいたとき、雑草の茂みからガサ
っと音がしてなにかが飛び出しました。おそるおそる見ると、大きなガマガエ
ルでした。

 ガマガエルは私が見ている前で悠々と移動し、近くの物置の床下に入り込ん
でいきました。どうやらそこは彼の庭でもあったようです。

 ガマガエルは、住み着いた家の守り神になるという話を聞いたことがありま
す。私は彼が自宅にいてくれたことに感謝しました。

 庭があまりにもすごい状況になっていたので、当初、雑草等はすべて刈り、
すっきりさせようと思っていたのですが、彼の姿をみて気が変わりました。

 私の自宅がある地域は、昔からある住宅街で、古い家が立ち並んでいたとこ
ろでした。しかし、最近は再開発がされ、現代的な住宅が立ち並ぶようになり、
私の自宅のような昔からの古い家は数えるほどしかなくなりました。

 現代的な住宅は、駐車場等のスペースをとり、敷地に建てられる広さいっぱ
いまで家を建てていますので、彼が気持ちよく過ごせるような茂みのある家は
少なくなりました。

 私の自宅は彼の自宅でもあるのでしょう。お互いの妥協点もあるだろうと、
私は庭の茂みはみっともない状態となっているところだけを整え、茂みはその
まま残すことにしました。

 そういえば最近、地球温暖化対策の枠組みから大国が脱退するという話題を
ニュースで聞きました。それぞれの国にはそれぞれの事情があり、いろいろ難
しいのでしょう。

 ただ、地球は人間だけの住み家ではありません。彼をはじめ、たくさんの動
植物たちとも、妥協点を探りながら、私達人間も我慢すべきところは我慢しな
ければならないのだろうと思いました。


2017.06.15(木)【詐害的会社分割?】(東京・古山陽介)

 先日、クライアントから突然、「会社分割の手続きについては、効力発生日
までは仮登記ができるのですか?」という意味不明な質問を受けました。

 この質問の回答だけであれば簡単なのですが、クライアントの担当者から事
の経緯等をもう少し詳しく話しを聞くことしました。

 その話によると、クライアントの取引先(債務者)に怪しい動きがあって、
当該取引先の履歴事項全部証明書を取得したところ、平成29/3/1付で同一商号
番地違いの会社に吸収分割をしている記録があり、当該取引先に問い合わせを
してみると、「それは仮登記であって平成29/6/1が本当の効力発生なので、こ
れから催告書を送るつもりでいた。」と説明を受けたとのことでした。

 クライアントの担当者が至急その取引先に事前開示資料の提示を請求し、分
割契約書、官報等の資料を送ってもらったが、よくわからないので自分の出番
ということになったというわけであります。

 それで、その資料を見てみると、違和感というか何か違うなといった勘が働
きました。

 1.分割対象事業の定義が『全ての事業に関する権利義務の一部』になって
  いる。
 2.分割対象債務が、分割会社の社長が分割会社に対して有する債務のみで、
  それ以外の債務は分割会社に残るようになっている。当然、プラスの資産
  はほとんど承継会社に移転している。
 3.承継会社の履歴事項全部証明書に上記2の趣旨が記録された免責の登記
  が入っている。
 4.後付で無理やり作成したと思われる覚書において、効力発生日の変更を
  しているが、取締役の決定書(取締役会非設置会社なので)がない、当然、
  効力発生日の変更の公告がなされていない。(クライアントが分割会社に
  確認済み)

 その他の指摘事項もいくつかあり、諸々相談者に伝えて、弁護士の先生と対
応を協議してもらうことにしました。

 後日、やはり詐害目的であったことはほぼ間違いないようで、対応について
は検討中という連絡をクライアントから受けました。

 こういった事例に遭遇したときに嗅ぎ分ける嗅覚が錆び付かないように、実
務の現場で自分の感性を磨き続けることの重要性を再認識させられました。


2017.06.14(水)【任期の見直し】(藤沢・酒井恒雄 )

 会社法が施行され、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指
名委員会等設置会社を除く。)においては、取締役や監査役の任期が最長10
年(選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主
総会の終結の時まで。)となりました。

 ここしばらくは、定期的な役員改選の仕事がグッと減り、とても寂しい思い
をしていたのですが、今年は10年の改選期に該当する会社も多く、若干活気
を取り戻したような感じになっています。

 久しぶりに目にした商号に懐かしさを覚えつつ、「失われた10年」の長さ
も感じているところです………。

 過去に設立や役員変更の依頼を受けた会社の中には、休眠中(事業活動は停
止しているものの、解散はしていない状態)の会社もそれなりにありましたが、
意外に多くの会社が存続していました。

 開業から5年間生き残る会社は約15%、10年後に残っている会社は約6
%というデーターもあるようですが、その数字とはかなり違う結果になってい
るようです。

 もっとも、不動産・資産の管理など、相続対策や、一族代々の収入源を確保
するための事業をメインとして、当初から10年以上会社が存続することを前
提にしている会社もあります。

 そのような会社は、純粋な事業会社とは性質が違いますよね。存続している
会社の中には、予想通りと言いますか、この10年間で生じた取締役の変更や
定款の変更が登記に反映されていない会社や、途中で決算期を変更したため取
締役や監査役の選任懈怠になっている会社がありました。

 会社法成立時には、「株主による取締役の直接の監視機能として、定期的に
取締役の改選手続きを行うことが重要であることにかんがみ、取締役の任期の
在り方については、今後の実務の運用状況を踏まえ、必要に応じ、その見直し
を検討すること。」と衆参両議院で附帯決議がされています。

 株主=取締役であるために監視機能云々という理由は当てはまらない会社も
多いですが、定期的な改選手続きのタイミングで発覚する組織運営上の不備等
も少なくありません。

 それと、株主総会決議を要する登記を申請する場合には、いわゆる株主リス
トの添付が必要になりました。制度趣旨からしますと、定期的に株主構成を把
握しておかないと意味がないような気もしますので、取締役等の任期について
は、そろそろ見直しが必要なのかなと思ったりしています。


2017.06.13(火)【業務の執行と職務の執行】(東京・鈴木龍介)

 会社法では、「業務の執行」と「職務の執行」は別の概念として整理されて
います(相澤ほか論点解説290頁)。

 「業務の執行」とは、会社の事業目的について具体的かつ直接的な活動を行
うことを意味するとされています。

 たとえば、事業資金の借入について取締役会で決定するのは「業務執行の決
定」であり、それに基づき、銀行と交渉し、実際に借入契約を締結するのが
「業務の執行」ということになります。

 一方、「職務の執行」とは、「業務の執行」を含む、すべての活動を指すと
されています。具体的には、取締役会の招集や株主総会議事録の作成は、いず
れも取締役の「職務の執行」ということになります。

 つまり、「職務の執行」は「業務の執行」より活動の範囲は広いということ
になりますが、その線引きは微妙なケースも少なくないように思います。

 なお、「業務の執行」をあまり広くとらえすぎると、社外性要件に抵触する
こととなり、社外取締役の活動に大きな制約を強いてしまうことにもなりかね
ないという指摘もあります(田中・会社214頁)。



2017.06.12(月)【上場会社の株主リスト】(金子登志雄)

 6月中旬になりました。今月は3月決算会社の定時株主総会が行われる月で
あり、私もそろそろ久々に忙しくなります。上場会社だけでなく、その子会社
も6月に定時株主総会を行うからです。

 上場会社の顧客もいくつかありますが、会計監査人の重任と社外役員の登記
の可否に気をつける程度で特別なことはありません。

 株主リストも特別なことはありません。上場会社の定時株主総会の株主リス
トは、上位10名まで書くものと思い込まれていますが、上場会社でもオーナ
ーや親会社があり、上位5人以内で議決権の3分の2以上を保有しているとこ
ろのほうが多いでしょう。

 また、同順位で複数人が株主の時、全員を列挙せよといわれていますが、上
場会社の上位10人のうち、同数株主はまずありません。気にする必要もない
くらいです。

 先日、面白い質問を受けました。法務省の株主リストの書式例の注記に「な
お、同順位の株主が複数いることなどにより10位以内の株主が10名以上い
る場合は、その株主全てを任意の形式の別紙を作成して記載してください。」
とあるが、10位が複数の場合なら分かるが、1位から9位までの間に同順位
が複数いた場合も同じかとの質問です。

 例えば、5位が5名いた場合は、14人(10位×1人+4人)になるので
しょうか。

 これはなりません。条文では上位10人であり、5位までで9人になります
から、6位までの10人の記載で足ります。


2017.06.09(金)【同時効力と登記申請の順序】(金子登志雄)

 資本金1億円のA社が7月1日付で1億円増資し、同時に同額を減資した場
合(資本金1億円→増資で2億円→減資で1億円の場合)の減資決議について
は、会社法447条3項で取締役(会)の決定で足ります。

 では、登記の順序を「資本金1億円→減資で0円→増資で1億円」にしたら
どうかというと、これは増資分を減少したわけではないと解釈され、取締役の
決定では認められないでしょう。結果は同じですが。

 取締役会設置会社で解散と同時に監査役を廃止したいという相談を受けまし
た。定款から監査役を廃止し、取締役会がそのままというのは、「取締役会設
置会社は、監査役を置かなければならない」という会社法327条2項との関
係から不自然であるため、取締役会も廃止し、譲渡制限規定の「取締役会の承
認」も「株主総会の承認」と変更しました。

 ここまではよいのですが、廃止を先に決議し登記すると、つまり「①非取締
役会設置会社化→②解散」という順序で登記申請すると、①につき、登録免許
税が7万円(取締役会廃止で3万円、監査役退任で1万円=資本金1億円以下
の会社を前提=、監査役廃止その他で3万)もかかります。

 解散を先に決議し定款変更を後回しにして、「①解散→②取締役会廃止、監
査役廃止、譲渡制限変更、監査役変更」だと、②は清算会社の登記事項の変更
だから、登録免許税法別表第1第24号(四)ニの「登記事項の変更」に該当
し、6000円で済むと考えました。

 しかし、この差が大きすぎるためか、すぐに、登記の先例で、その部分は清
算人に関してのみ適用され、それ以外は事業会社時代の変更と同じ登録免許税
だとされていることを知りました。

 そうすると、順序を変えても7万円の負担になるのかと思いましたが、取締
役会については商業登記規則72条で①の段階で職権抹消されるため申請する
必要がなくなり、合計4万円で済むようです。

 やはり、どういう順序で効力が生じるように決議したのか、どういう順序で
登記を申請するかは費用負担にも影響し重要なことでした。



2017.06.08(木)【印象操作】(金子登志雄)

 加計学園問題の告発で「時の人」になった前川喜平前文科省事務次官の高潔
さが今ネットで話題になっています。
 
 5月22日の読売新聞に「前川前次官 出会い系バー通い」と出たときは、
現役でもなく著名人でもない前次官のゴシップ記事を読売新聞ともあろう大手
がなぜこんなに大きく取り上げたのかと不思議に思われていましたが、今では、
前川さんが加計学園問題につき告発しそうだったので、安倍官邸が先手を打っ
て前川さんを貶めるために読売に書かせた印象操作だったというのがネットで
の定説になっています。

 愚かだったのは政治ジャーナリストとして著名なS氏でした。出会い系バー
に行き、前川氏の相手の女性に取材したとして、前川氏の買春の噂をテレビで
拡散しました。露骨な印象操作です。

 しかし、その後、前川さんの相手とされた女性が前川さんを貶める余りの報
道に我慢できず、両親と相談して週刊誌で「前川さんに救われた。手も握られ
たことがない」と前川さんの足長おじさんぶりを告白したため、形勢が一挙に
逆転してしまいました。

 ネット情報ですが、前川さんは教育関係者として昔から女性の貧困問題に強
い関心があり、夜間中学の先生などもボランティアで行ったりしているらしく、
出会い系バー通いもその一環だったようです。出会い系バーは、生活できない
若い女性のやむを得ない生活手段になっているからです。

 出会い系バーとはどんなところで、どういう女性が働き………については、
次のブログが比較的公平な内容でした。

  http://blog.livedoor.jp/oogesataro/archives/2101766.html

 上記ブログの後半には「前川さんクラスの上流階級は、高級で秘密の女性と
の出会い場所がいくらでもあるので、誰でも行ける低俗な出会い系バーなどに、
その目的で通うことなど考えられない」という趣旨が記載されていますが、私
もそう感じていました。上記のブログでも、悲しい女性が登場しました。

 読売新聞やS氏にこの程度の推理力がなかったとは思えませんので、やはり
分かっていながら、印象操作のため、あえてデマを拡散したのでしょう。権力
に睨まれても真面目に生きていれば、お天道様はみてくれているわけですが、
大手新聞も大手テレビも嘘ばかりの情けない社会になったものです。


2017.06.07(水)【善解?】(藤沢・酒井恒雄)

 ある商業ビルのパンフレットに、「当施設は震度7以上の地震でも大丈夫な
耐震構造になっております。」と書いてありました。これを読んだとき、「震
度7以上」でも耐えうるなら、際限なく、どんなに強い地震でも耐え得る建物
なの?という皮肉な考えが頭をよぎったのですが、よく考えると、間違った記
述でもないのかな?とも思いました。

 日本の気象庁が定める震度の最大級数は震度7です。そうなると、震度は7
までしか表現できないので、震度7以上という表現もおかしくありません。

 震度のほかに、マグニチュードという地震の大きさを示す数値があります。
震度は揺れの大きさを示すもので、マグニチュードは地震そのものの大きさを
示すものです。

 震度とマグニチュードの関係ですが、震源が深ければマグニチュードの数値
が大きくても震度が小さい場合もあり、震源が浅ければマグニチュードの数値
が小さくでも震度が大きくなります。

 ちなみに、地球上で起こり得る最大のマグニチュードは10で、過去最大の
マグニチュードを記録したのは、1960年に発生したチリ地震のマグニチュ
ード9.5だそうです。仮にマグニチュード12の地震が発生したら、地球が
真っ二つに割れるくらいのエネルギーになるらしいです………。

 さて、パンフレットの文章を読み直しますと、「このビルは、大地震であっ
ても耐え得る構造である。それを表現するのにマグニチュードという数値を使
用するのは困難である。また、耐震構造という言葉を使う以上、震度という表
現を使わざるを得ない。日本における地震の大きさを示す震度の最大数値は震
度7までしかないので、震度7以上という表現にしておこう。」という文章作
成の過程が見えなくもありません。

 ここまで読み込むと、善解(善意で解釈する)というよりは、深読みといっ
た方が正しいかもしれません。字句の間違いなのか、熟考した文章なのか、真
相は不明のままです………。


2017.06.06(火)【みなし役員】(東京・鈴木龍介)

 会社法における株式会社の「役員」とは、取締役・会計参与・監査役であり
(会329条1項)、「役員等」となると、会計監査人や指名委員会等設置会
社の執行役が加わります(会423条)。

 一方、法人税法における株式会社の「役員」とは、会社法のそれとは少し異
なり、会社法上の役員に執行役と清算人が加わるほか、実質的にその会社の経
営に従事する者が含まれるとされています(法人税2条15号)。つまり、会社
法・登記上の役員でない者も税法上は役員とみなされる場合があり、これを、
俗に「みなし役員」といっています。

 それでは、どのような者が「みなし役員」に該当するかということですが、
まず、会長・副会長・顧問・相談役など、その地位や職務等からみて他の役員
と同じく実質的に会社の経営に従事していると認められる者があげられていま
す(法人税法施行令7条1号)。

 また、一定の同族会社において、その会社の株主と親族であるといった特殊
な関係にある従業員であって、会社の経営に従事していると認められる者があ
げられています(法人税法施行令7条2号)。たとえば、同族会社のオーナー
の長男が、たとえ役職としては部長(従業員)であっても経営に従事している
と見られれば「みなし役員」ということになります。ちなみに、経営に従事し
ているか否かというのは、微妙な部分もあり、実際の経営への参画の程度によ
って判断されます。

 この「みなし役員」がどういう場面で問題になるかというと、会社法・登記
上の役員でない従業員への賞与は、いわゆる税務上の損金(費用)になるとこ
ろ、「みなし役員」への賞与は、原則として損金(費用)計上が認められませ
ん。


2017.06.05(月)【氏名住所の登記上の価値】(金子登志雄)

 商業登記では役員等が法人(会計参与や会計監査人が法人)の際に、その名
称の変更には、それを証する書面の添付が必要ですが、個人(自然人)の氏名
や住所の変更の際には、その証明書の添付を要求する規定がありません。

 就任登記の際に証明書が要求されていないのに、変更の際だけ要求する意味
もないためです。

 現在は新規就任の際には本人確認証明書を添付しますが、それは実在性を証
明するためであって、住所や氏名を証するためではありません。また、代表取
締役の就任の際は印鑑証明書を添付しますが、それも本人の意思確認や実在性
の証明のためであり、住所や氏名を証明するためではありません。

 更に、取締役の桂小五郎さんが木戸孝允に改名したのに、すぐに変更登記を
しなかったところ、重任になったら、いきなり木戸孝允で重任登記することも
可能です。

 以上からして、私は商業登記においては、「誰が」は重要な要素であっても、
その人の「氏名は何、住所はどこ」というその人物を特定する要素はそう重き
を置かれていないのだと思っています。

 齋藤さんを斉藤で登記することも、一丁目2番3号を「1-2-3」で登記
することも可能ですから、木戸孝允さんが桂小五郎のままでも、その人が登記
されていることに変わりがありません。

 桂小五郎時代の彼の知り合いにとっては、ずっと桂さんであり木戸さんでは
ありません。住所についても、住民票の住所は4月に移転しても、生活の本拠
としては従前のままということもあります。また、これらの変更は会社自ら決
定したわけではなく、役員本人から届出られない限り、会社の知るところとな
りません。行政区画の変更と同様に外部事情です。変更後2週間以内に登記せ
よといわれても無理なところがあります。これらの事情も影響しているのでは
ないでしょうか。



2017.06.02(金)【かゆいところに手が届く書籍その2】(東京・古山陽介)

 最近、決算期が分散している傾向にありますので、毎月定時総会関係の依頼
が途切れることがなくなっていますが、やはり、これからの時期、その数はぐ
っと増えてきます。

 運営周りに関して毎年比較的よく質問を受ける代表例としましては、次のよ
うなものになります。

 株主総会
 ・招集通知の方法
 ・委任状の取扱い
 ・基準日後の株主の取扱い
 ・株主に相続が開始した場合の共有株式の取扱い
 ・書面決議

 取締役会
 ・定時総会後の取締役会の招集方法
 ・当該取締役会の議長
 ・代表取締役の予選の可否
 ・取締役会非設置会社の場合の取扱い
 ・書面決議

 多くの書籍は、表面的な記載に終始していたり、全ての問題に一冊で答えて
くれる書籍がないのが現状でしたが、最近発売された立花先生の「商業登記実
務から見た中小企業の株主総会・取締役会」は、上記の問題のほか、実務で気
になる論点をムラなく解説してくださっていて、これ一冊で多くの疑問が解決
される内容になっています。

 こうした素敵な書籍に助けられて、私の実務が成り立っていることを実感し
ています。


2017.06.01(木)【法定相続情報証明制度】(島根・根来川弘充)

 上記の制度が、5月29日から始まりました。これは、法務局が法定相続人
が誰になるかを証明する制度ですが、相続関係を調査するために必要な書類は、
申請人で用意しなければなりません。

 自分の戸籍であれば、取得は容易ですが、他の方の戸籍を請求するとなると、
利害関係を証明する必要があり、取得する市町村によっては、第三者が取得し
たことを本人に通知する所があり、思わぬトラブルになりかねません。

 このような制度が始まった背景には、相続登記がされない不動産が多数あり、
それを行政でフォローしようとする目的があるとのことですが、相続登記がさ
れない不動産には、いろいろな理由があると思います。

 私の経験での範囲になるのですが、法定相続人を特定できないという理由よ
りは、「遺産分割協議がうまくすすまない」という理由が多い気がしています。

 もちろん、当事者(法定相続人)がわからないから、遺産分割協議も出来な
いということになるのかもしれませんが、相続登記を促進するのであれば、も
う一つその先を考えてほしかったという思いです。

 昨今、老朽化した家を解体修繕できない空き家について、全国的な問題にな
りつつあります。不動産は、財産(資産)であり、資本主義社会では運用され
ることによって、価値が生まれます。今後、運用をどうするかという具体的な
議論が今後ますます必要になると思われます。


2017.05.31(水)【清算会社と株式譲渡制限】(藤沢・酒井恒雄)

 5月25日の投稿で古山先生が、5月26日の投稿で金子先生が、株式会社
が解散したら、株式譲渡制限規定の「取締役会の承認」を「株主総会の承認」
や「清算人の承認」と定款変更する必要があるのかという問題について、それ
ぞれ言及されていました。

 任意に定款を変更した場合を除き、定款を変更する必要はないというご意見
です。大多数の会社は何事もなく?清算手続きが進み、任意に定款変更をする
ことなく清算結了がなされていると思われます。

 私も、定款変更は不要と考え、そのほとんどが定款変更をせずに終わる事件
でしたが、中には、任意の定款変更を検討するケースもありました。

 以前、清算手続中の株式会社から、「ある株主から、株式の譲渡をしたいと
いう問い合わせが来たので、手続方法等についてアドバイスが欲しい。」と言
われたことがあります。

 清算会社であっても株式の譲渡をすることはできますが、まさか実際にその
ようなケースがあるとは思いもしませんでした。その会社には承認機関を取締
役会とする譲渡制限規定がありました。

 この場合、譲渡制限規定そのものは生き残り、承認機関に関する部分が空振
り規定となって、結果、原則に戻って株主総会が承認機関になると思われます
(商業登記法コンメンタールP.291にも同趣旨の解説あり)。

 よって、株主総会の開催が必要になるだろうと伝えたところ、相談者から質
問が来ました。招集通知を受けた株主から、株式譲渡の承認について、「なん
で株主総会決議が必要なんだ?」という問い合わせが来ると思うので、上記の
理由の説明と、定款変更は不要である旨を回答して差し支えないかという質問
でした。

 差し支えないか?と聞かれると、いろいろ考えてしまいます。疑義のないよ
う、定款変更をしておく方がベストのように思いました。また、定款変更の要
否の他に、承認機関が株主総会でもいいのかという問題も出てきます。

 清算会社で譲渡承認の件が議案になった場合、他の株主から「なんであいつ
は株式を譲渡するんだ?」「いくらで譲渡するんだ?」といった声があがり、
つられて株式の現金化を急ぐ株主も現れたりと、混乱が生じることも予想され
ます。

 定款を変更するには、どのみち株主総会の決議が必要になりますが、譲渡承
認のために決議をするよりも、承認機関の変更も含め、シレっと、清算会社の
内容に合わせて定款全体を変更した方が得策である場合もありそうです。

 そして、株式譲渡制限の定款規定を変更した場合には、その変更登記が必要
になります。ただ、清算会社は、事業活動を行っておらず、株式が流通するこ
とを想定していないと思いますので、そのような会社が株式の譲渡を制限して
いることを、広く一般に公示する必要があるのか、また公示の必要があるとし
ても、その承認機関が何処であるのかを公示する必要があるのかという疑問は
残るところです。



2017.05.30(火)【独立取締役】(東京・鈴木龍介)

 最近、ビジネス法務の世界では、「独立取締役」という言葉をしばしば耳に
することがあります。「独立取締役」が存在し、きちんと機能することで、会
社の企業統治は向上し、ひいては企業の価値も高まることにつながるというの
が多くの論調です。

 「独立取締役」とはどのようなものかというと、いわゆるソフトローである
上場規程に基づく存在で、会社法における社外取締役であって、一般株主と利
益の反しない独立性を有した取締役であると定義されています。

 個別具体的な判断は会社に委ねられていますが、一般的に、会社のメインバ
ンク・主要取引先の出身者や会社から多額の報酬を得ているコンサルタント等
は、仮に社外取締役の要件を充足した場合であっても、「独立取締役」には該
当しないとされています。

 上場規程においては、独立取締役を1名以上確保することの努力義務を設け
ています(上場規程445条の4)。また、金融庁と東京証券取引所でとりま
とめた上場会社の企業統治のガイドラインともいえる「コーポレートガバナン
ス・コード」では、独立取締役を少なくとも2名以上選任すべきであるという
指針を示しています。


 「独立取締役」については、その会社が上場している証券取引所に届出をす
ることになっていますが、会社法上の役位ではありませんので登記することは
ありません。


2017.05.29(月)【分かりにくい定義】(金子登志雄)

 土日は、暇つぶしに公開会社と譲渡制限株式の定義の分かりにくさにつき、
検討してみました。

 さて、「A又はB」という場合は、「A」「B」「A及びB」の3つを示す
ことがあります。大会社の要件である「資本金5億円以上又は負債200億円
以上」は、「資本金5億円以上及び負債200億円以上」を含みます。AかB
のいずれかが成り立てばよいわけです。

 しかし、AとBに重なり部分があると「及び」は使えません。

 例えば、「全部又は一部に定めがない」は「全部及び一部に定めがない」と
はいえません。全部に定めがなければ一部にも定めがないわけで、それは「全
部に定めがない」の1つです。「一部に【も】定めがない」も同様です。

 したがって、公開会社は、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲
渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設
けていない株式会社をいいますが、全部について【も】、一部について【も】
譲渡を制限しない会社と解釈してはなりません。

 そこで、勘違いさせないためには、「又は」よりも「いずれか」のほうが優
れています。

 公開会社とは、次のいずれかに該当する株式会社をいう。
 一.その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得につい
  て株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社
 二.その発行する一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得につい
  て株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社

 公開会社は、その発行する全部又は一部の【いずれかに】株式の内容として
譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを
設けていない株式会社をいうとしてもよいでしょう。

 次に、譲渡制限株式の「株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容
として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定
めを設けている場合における当該株式」ですが、株式の内容を定義するのに、
なぜ「株式会社が発行する全部又は一部の株式」とか、「株式会社が定めを設
けている」などと遠回し、かつ余計な表現を入れたのでしょうか。
 
 こんな定義をするから、これを公開会社の定義に挿入して、「公開会社とは、
譲渡制限株式を定款に定めていない株式会社」と勘違いされてしまうわけです。

 発行する株式には全部と一部(の種類)があっても、株式の内容にはその区
別がありませんから、単に「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社
の承認を要する旨を内容とする株式」で十分ではないでしょうか。

 もっとも、素人にも分かりやすい表現だと、我々専門家の仕事が成り立ちま
せん。そのため難解表現には日々感謝してます。本欄のネタにもなりますし。



2017.05.26(金)【解散諸問題】(金子登志雄)

 偶然にも、酒井さん、古山さんと解散問題が続きました。それだけでなく、
私も顧客から同じような質問を受けたばかりでした。

 解散公告期間中の弁済禁止規定(会社法500条)はおかしな規定です。家
賃も光熱費も支払っていけないのでしょうか。もろもろ債務不履行になってし
まいます。

 この規定があるため、私は解散から清算結了までの一切の費用及び報酬を前
払いしていただき、解散公告費用も当事務所で支払うようにしています。

 解散したら譲渡制限規定の「取締役会の承認」を「株主総会の承認」や「清
算人の承認」と定款変更しなければならないという見解に対しては、私は、取
締役会の承認と定めた会社法426条の責任免除規定の登記はそのままでよい
のか、事業目的は清算目的に変更しなくてよいのか、いいかげんなことをいう
なと反論しています。

 私の解釈は、例えていえば、玄関に「解散しました。代表清算人〇〇〇」と
張り紙してあるのだから、それで十分であり、家の中にある家訓(定款)に解
散と矛盾する内容があっても差し支えない、それは凍結状態になるから放置し
ておけばよい、気が変わって清算手続をやめて会社継続すれば、凍結が解消さ
れるので家訓(定款規定)を残しておく意味もあるというものです。

 こういうことは法令にもあります。例えば、会社計算規則には設立時資本金
の計算において設立費用を控除することができるという規定が存在しますが、
附則で控除額は「当分の間、零とする」と規定されています。

 きんざい『商業登記法コンメンタール』に書きましたが、商登法126条2
項は、合同会社が株式交換親会社になった際に完全子会社の新株予約権に親会
社の新株予約権を割り当てることを前提とした規定ですが、現在の会社法では
合同会社は新株予約権を発行することができないため、無意味な規定です。存
在はするも効力を有しない規定です。

 このように存在すること自体は認め、存在・不存在と有効・無効を区別する
のが正しい解釈だと私は信じています。


2017.05.25(木)【かゆいところに手が届く書籍その1】(東京・古山陽介)

 ここ数ヶ月、事業譲渡からの解散に関する依頼を多く受けています。解散手
続の際には、やはりお決まりの2つの問題が議論に上がります。

  1.期限付解散決議の問題
  2.解散に伴う定款変更(譲渡制限等の変更)の要否の問題

 1に関しては、金子先生をはじめとして様々な方面から反論が出ている通り
であり、私自身も納得はしておりませんが、「平成22年11月25日土手補
佐官事務連絡」を示すことによって、クライアントにはすんなり納得してもら
えます。

 ここ最近各クライアントとの間で議論となったのは、2についてでした。パ
ターンが3つあり、いずれの方法を選択するかであります。

 ① 定款変更決議を行い、かつ、登記申請も行う。
 ② 定款変更決議を行うが、登記申請は行わない。
 ③ そもそも定款変更の決議は不要(当然、登記申請もなし)。

 商業登記ハンドブックでは、原則①だが、②も却下はできないのでやむなし
といった論調で書かれているので、定款変更しなければいけないと考えるクラ
イアントの担当者が多かったようです。

 ただ、定款変更決議を行ったのであれば、やはり登記すべき事項に係る変更
については、登記申請はすべきであると考えますので、私の場合、②は選択肢
として提供しません。

 登記実務でも一般的ではあると思いますが、私の考えは③であり、その説明
を行うのですが、やはり納得してもらうための明確な根拠資料を提供しなけれ
ばなりません。

 一般書籍は、上記ハンドブックの論調の記載しかないのですが、このかゆい
ところに優しく手を差し伸べてくれている書籍があります。

 東京司法書士協同組合刊「ずばり解説!事例で読み解く商業登記」(現在は
中央経済社刊『事例で学ぶ会社法実務〔設立から再編まで〕』)です。

 当該書籍の該当頁のコピーを提供して、クライアントには安心して③で手続
を実施することに理解をいただくことができました。

 ※直近発売の「商業登記法コンメンタール」にも同様の記載があります。
こういった実務に直結している書籍は、クライアントの法務部には受けが良い
ので、お勧めの商業登記の書籍を尋ねられると、金子先生の書籍全般と回答し
ています。


2017.05.24(水)【債務の弁済?】(藤沢・酒井恒雄)

 会社の解散登記手続きを受託したとき、手続きの報酬等は、どのタイミング
で受領したらいいでのしょう?

 依頼人からの要望で、登録免許税等の実費を含めて、解散登記や清算結了に
至るまでの総費用を見積もって、予め請求書を発行することもあるかと思いま
す。そして、請求書を発行するタイミングは、その多くは解散決議が終わった
後(解散事由が生じた後)ではないかと思います。

 会社が解散すると清算手続きに入り、債務の弁済の制限がされることになり
ます(会社法500条、661条)。さて、そうなると報酬等の支払請求権を
有する債権者となった私は、清算期間中(公告・催告期間中)は支払を受ける
ことができないのでは? という疑問が湧いてきます。

 進めて関連する条文を調べて行くと、会社法施行規則第150条に辿り着き
ます。そこには清算結了の際の決算報告の内容が書いてあり、同法第1項第2
号には、「債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額」
とあります。

 つまり、債務の弁済と、清算に係る費用等は別物ということになっているの
です。これで疑問も解消か? と思ったのですが、次に頭をよぎったのが会社
法第28条第4号と会社法施行規則第5条です。

 乱暴な要約をすると、会社設立登記の登録免許税は会社が当然に負担する費
用だが、司法書士報酬は原則として費用にはならないという内容です。清算に
係る費用も登録免許税だけが該当するのか? と思えてきます。

 そうであれば、純粋な報酬部分の支払いについては、清算期間中(公告・催
告期間中)は受領できないことになりそうです。裁判所の許可を得て弁済を受
ける方法もありますが、そこまで考えなければならないケースは経験したこと
がないので、モヤモヤ感が残ったままになっています。



2017.05.23(火)【法人取締役】(東京・鈴木龍介)

 会社法施行前の旧商法では、株式会社の取締役の欠格事由として「法人」が
あげられていませんでしたが、法人取締役は、解釈上認められないとされ、登
記でも当然に否定されていました。

 それが、会社法では、「法人」を欠格事由として明文化し、法人は取締役に
なることができないということを明らかにしています。会社法の立案担当者に
よれば、理論的には法人の取締役は可能であることは認めながらも、政策的に
禁止したとしています(相澤ほか・論点解説280頁)。

 一方、所有と経営が分離されていない持分会社においては、法人社員が業務
執行社員になることができ、業務執行社員である法人については自然人である
職務執行者を選任することになっています。

 また、株式会社の役員等のうち一定の資格制限はあるものの、会計参与と会
計監査人については法人がなることができます。

 さらに海外に目を転じてみますと、おおむね日本の会社法における取締役に
相当するディレクター(Director)に法人がなっている例は珍しくありません。

 他方、実際の現場では、たとえば合弁会社の場合、法人の取締役-合弁会社
に出資している各社が取締役となる-を認めることに一定のニーズもあります
し、合理性もあるように思います。

 そのようなことから、法人取締役について、多様な選択肢や国際的なコンセ
ンサスという観点を踏まえ、株式会社法制の根源的な問題として再検討しても
よいかも知れません。


2017.05.22(月)【それぞれ申請とは?】(金子登志雄)

 ネタ元は日司連の掲示板ですが、Aが同一登記所管内のB及びCに吸収分割
した場合の登記方法につき、混乱があるようです。

 「この場合における分割会社の変更登記については、各吸収分割ごとに、各
承継会社がする吸収分割による変更の登記と同時にそれぞれ申請しなければな
らず」と平成19年12月18日民商2738号にあります。

 これを根拠に、某法務局が、
  ①B社申請(Aから分割)
  ②A社申請(Bに分割)、
  ③C社申請(Aから分割)
  ④A社申請(Cに分割)
と2セット4連件で申請すべきであり、
  ①B社申請(Aから分割)
  ②C社申請(Aから分割)
  ③A社申請(Bに分割、Cに分割)
という一括3連件は不可といっているようです。
 
 さて、皆さん、商号と目的につき定款変更した場合に、「登記すべき事項ご
とにそれぞれ変更登記を申請しなければならない」と先例にあったからといっ
て、申請書を2通にしますか。

 しませんよね。3万円の登録免許税が余計にかかり、依頼者に迷惑をかけて
しまいます。

 民商2738号は、各吸収分割ごとに各別に申請(「B及びCに分割」では
なく、「Bに分割」「Cに分割」と各別に申請)せよというだけで、申請書を
2通にせよという意味まではありません。一括申請を否定していません。

 この先例が誤解を招く表現だったためか、合併の平成20年6月25日民商
1774号には「なお、このように各合併ごとに登記すべき事項を登記の申請
書に記載すべきことは、存続会社が上記のような場合においてすべき変更の登
記の申請書を常に各合併ごとに各別のものとしなければならないことを意味す
るものではない」とわざわざ解説しています。

 本人確認証明書や株主リストの先例も誤解を招く内容でしたから、民商など
を発出する際には、5人以上で文章表現をチェックしてもらいたいものです。
人手が足りなければ、チェック係に私を雇ってほしいくらいです。無報酬でか
まいません。年の功を活用すべきです。


2017.05.19(金)【数学好きが有利な会社法】(金子登志雄)

 法律には、数学好きと歴史好きが適しているという昨日の続きですが、旧商
法時代はともかく会社法については、前者が圧倒的に有利です(会社法立案担
当者に理系人間がいたためでしょう)。その論理を読み解けば簡単に理解する
ことができます。

 会社法制定時には、一部の株式が譲渡制限付きは非公開会社か公開会社かと
議論されました。商法学者さえ、非公開会社だと説く人もいました。

 会社法の定義によると、公開会社は「その発行する全部又は一部の株式の内
容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款
の定めを設けていない株式会社をいう」です。

 これを「譲渡制限株式を発行すると定款に定めていない株式会社」と読むと
一部制限は非公開会社になりますが、全部が譲渡制限株式でない会社と一部が
譲渡制限株式でない会社(一部が譲渡自由である会社)と分析的に読めば、一
部の株式が譲渡制限付きは公開会社(種類株式だけ譲渡制限付きにしているよ
うなケース)だと分かります。

 会社法施行規則によると、「欠損の額」とは、「零」と「零から分配可能額
を減じて得た額」のいずれか高い額だと定義されています。

 数学好きは、「0(ゼロ)」と「0-分配可能額」のいずれか高い額であれ
ば、分配可能額がプラス(例えば5)なら「0」と「0-5=-5」で「0」
のほうが高いため、欠損の額は0円(=欠損ではない)という意味となり、分
配可能額がマイナス(例えば「-5」)であれば、「0-(-5)=5」だか
ら「0-分配可能額」が「0」よりも高い額となり、欠損の額は5(円)だと
なります。

 要するに、欠損の額とは分配可能額がマイナスのときのマイナスをとった額
のことに過ぎません(分配可能額が「マイナス100万円」であれば、欠損の
額は100万円であって、マイナス100万円ではありません)。

 欠損の額とは分配可能額が負の値の際の絶対値の額をいうとでも定義すれば
もっと分かりやすかったのでしょうが、そうすると0円は除外されますし、正
や負あるいは絶対値の定義規定が必要になると考えて、こういう遠回しの表現
になったのだと推測しています。

 数学好きの私にとっては、言語クイズみたいで実に面白いと感じますが、数
学嫌いの人には、人を小バカにした実に腹立たしい文章に感じるのではないで
しょうか。


2017.05.18(木)【法律は理系分野?】(金子登志雄)

 現在発売中の月間「登記情報」の編集後記の書き出しに「『法律は文系の中
の理系分野』と言われますが」………とありました。

 確かにその側面は大きく、数学好きか歴史好きが法律の勉強に適していると
しばしばいわれています。数学好きは法律解釈を数学的論理で行い、歴史好き
は法律の制定過程等の沿革から説き起こす傾向があります。

 セミナーでお世話になった福岡市のM先生も、滋賀県米原市のY先生も、歴
史に非常に明るい方でしたが、司法書士歴史愛好会でも作ったら、相当数が集
まるのではないでしょうか。

 知識が少ないため判断力だけで勝負している私は典型的な前者です。ただし、
物理・化学には興味もなく大の苦手で偏ったところがあり、理系とまではいえ
ません。きっと、覚えることが少なく鉛筆一本で済む数学が物ぐさな私に合っ
ていたのでしょう。仮に司法書士数学愛好会が出来ても、みな物ぐさで参加者
数名もいないかもしれません。することもありませんし。

 いま売り出し中の立花さんは、どちらのタイプに近いのでしょうか。

 東北大学教育学部出身ということで、真面目な性格の方ですから、きっと教
師志望だったのだろうと推測していましたが、東北出身の元・学校の先生に聞
きましたら、とんでもない勘違いでした。

 仙台には宮城教育大学があり教師志望はこちらを目指し、東北大学教育学部
は教育学や心理学の研究者を要請するところで教師志望とは無関係のようです。
卒業生の進路もほとんどが公務員や一般企業だそうです。

 これで立花さんが一般企業のゼネコンに就職したことも、からめ手から書き
起こす文章に読み手の心理を計算したところがあると何となく納得することが
できました。

 教育学・心理学は数学系か歴史系か分かりませんが、つぶしの利かない学問
で進路はどこでも通じるという意味では法学部と同じですし、何となく法律学
あるいはセミナー講師や物書き業には合っていそうですね。ますますのご活躍
に期待しましょう。


2017.05.17(水)【おやじとパパとお父さん】(藤沢・酒井恒雄)

 あっという間に5月も中旬です。GW(ゴールデン・ウィーク)は遠出をせ
ずに、近場の海や自然公園に出かけて終わりました。

 混雑している場所や行列が苦手なので、道路渋滞や人が集まるイベントは避
けたのですが、それでも普段に比べれば、かなりの混雑ぶりでした。

 海や公園では、沢山の親子連れに遭遇したのですが、子供たちが「ねぇママ」、
「ねぇお父さん」と親に話しかけている声を聞き、ふと「親の呼び方」につい
て考えを巡らせました。

 小さい頃、私は両親のことを「お父さん」「お母さん」と呼んでいました。
高校3年生くらいからは、「おやじ」「おふくろ」と呼んでいました。ちょっ
と親離れを意識して呼び方を変えたのですが、内心、なんか呼びづらいと感じ
ていたのを思い出します。

 ちなみに、小さい頃「パパ」「ママ」と呼んでいた人達は、お年頃になった
とき、やはり「おやじ」「おふくろ」と呼ぶようになるのでしょうか? そう
であれば、「お父さん→おやじ」よりも、「パパ→おやじ」のギャップの方が
大きい気がします。親としては、余計に寂しく感じそうですね。

 もっとも、最近では「おやじ」「おふくろ」という言葉自体、あまり使わな
いみたいです。小さい男の子や女の子が「パパ」と呼んでいる姿は微笑ましく
思います。

 やがて子供が大人になったとき、娘に「パパ」と呼ばれるのは、ちょっと嬉
しいような気もしますが、息子に「パパ」と呼ばれるのは何となく拒否反応を
示しそうに感じるのは、私だけでしょうか?

 おそらく親子の距離感に関係すると思うのですが、娘は嫁に出したくない、
息子はさっさと独立しろという、父親ならではの、自分勝手な考えを反映して
いるのかもしれません。

 ちなみに、私の妻は三姉妹なのですが、妻の父は娘たちに「パパ」と呼ばせ、
妻の母は「お母さん」と呼ばせていたそうです。妻は小さい頃、「うちはどう
して両親で呼び方が違うんだろう?」と漠然と思っていたそうです。お互い譲
らなかったところが面白いですが、何となくその理由を理解できた気がします。



2017.05.16(火)【書面による定時株主総会】(東京・鈴木龍介)

 定時株主総会は、少なくとも1年に1回、招集し開催されなければならない
とされています。定時株主総会では、事業報告等の報告事項と計算書類の承認
や役員等の選任といった決議事項で構成されます。

 それでは、定時株主総会を実際に開催することなく、書面で行うことはでき
るでしょうか?

 まず、決議事項に関しては、いわゆる書面決議によることで可能ということ
になります。

 一方で、報告事項に関しては、定時株主総会における、いわゆる会計監査限
定の監査役の報告(会389条3項)をどうするかという問題がなくはありま
せん。いわゆる書面報告は、もっぱら取締役からの報告が対象であり、監査役
からの報告については認められていませんので、定時株主総会で監査役の報告
をなしにすることができるかということです。

 以上のような疑義はあるものの、総株主の同意を前提とする書面報告につい
て、会計監査限定の監査役の報告義務をそこまで徹底することが会社法で求め
られているとは思えませんし、商業登記を含む実務でも、書面による定時株主
総会が利用されています。仮に会計に関する議案―計算書類の承認議案―に問
題があるとする株主は、当該議案についての書面決議に同意しなければよいと
いうことになります。

 したがいまして、定時株主総会を開催することなく、ひいては年に1度も株
主総会を開催しないという会社運営も可能であるという結論になります。なお、
この点に関しては、立花宏『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締
役会』75頁~(2017年、中央経済社)で詳細な検討がなされていますので、同
書をご参照いただければと思います。


2017.05.15(月)【新著の反響】(仙台・立花宏)

 少しドキドキしながらその新聞を開くと、事前に聞いていたとおり、紙面の
下方に書籍の広告を見つけることができました。そして、ある本もその広告の
中で紹介されていました。

 その新聞は先週5月12日(金)の日経新聞の朝刊です。

 実は、先日、出版させていただいた拙著『商業登記実務から見た中小企業の
株主総会・取締役会』が、中央経済社様が掲載したビジネス法務の書籍の広告
の中で紹介されていたのです。

 広告とはいえ、自分の本の名前が日経新聞の1面に掲載されるなんて、夢の
ようなことだと思いました。また、自分の本だからそう感じるのか、とても目
立つ場所に、そして、とても目立つ大きさで掲載されているように思いました。

 中央経済社様のご配慮にあらためて感謝を申し上げます。

 出版される前は、不安な気持ちばかりが先に立っていました。果たして、購
入してくださる方はいるのだろうか。思うように販売が進まず、この企画をご
提案くださった中央経済社の担当者の方をはじめ、中央経済社様にご迷惑をか
けることにならないだろうか。

 はじめての単独執筆でうれしいという気持ちよりは、そうした胃が痛くなる
ような思いの方が大きかったように思います。むしろ、出版になるのが怖かっ
たかもしれません。

 そんな中、たくさんの方々が、私を不安な気持ちから救ってくださいました。
出版のことをお知らせしたところ、ブログに紹介記事を載せてくださった方が
いました。出版後、早速、お読みくださり、感想を、それも過分なほどのお褒
めの言葉をブログにお書きくださった方もいます。

 お世話になった方々に書籍をお贈りしたところ、皆様からとても温かいコメ
ント、お礼状、そして、応援の言葉をいただきました。

 さらに、なんと、ある団体様が大量に一括購入をしてくださったという知ら
せを中央経済社の担当者様から伺いました。監修に金子先生のお名前があると
はいえ、私のような無名の新人が書いた書籍に目を向けてくださったその団体
様、そして、その担当者の方々に、いつか機会があった時、なんとお礼を申し
上げたらよいのか。あまりの感激に、言葉を見つけることができませんでした。

 自分という人間は、とても幸せ者なのだと思います。

 おかげさまで、インターネットでアマゾンや書店等の販売状況を見ても、順
調のように感じます。

 これも、監修をお引き受けいただいた金子先生をはじめ、たくさん方々のお
かげだと思っております。この場をお借りいたしまして、心より御礼を申し上
げます。ありがとうございました。


2017.05.12(金)【役員以外の交代の登記】(金子登志雄)

 取締役Aが4月30日に辞任し、Bが5月1日に就任しました。この場合は、
4月30日A辞任、5月1日B就任の登記になります。AとBでは別枠登記で、
Aの枠は抹消され、Bの枠が新設されます。

 株主名簿管理人Aが4月30日付で任務を辞退し会社も承認し、5月1日付
でBが株主名簿管理人になった場合はどんな登記になりますか。

 株主名簿管理人は役員ではありませんから、辞任や退任があり得ません。単
に株主名簿管理人の変更(交代)の登記であり、4月30日は無視され、5月
1日変更の同枠内の変更登記です。

 では、中間領域の持分会社の職務執行者の場合はどうでしょうか。例えば、
合同会社の代表社員甲株式会社の職務執行者Aが4月30日に辞任し、後任と
して5月1日付でBが職務執行者になった場合はどんな登記になりますか。

 一見、4月30日A辞任の登記でその枠が抹消され、新たに5月1日B就任
の登記になりそうですが、よく考えてください。役員に該当するのは甲であり、
甲は辞任していないのです。

 この場合は代表取締役の住所が変更したのと同様に、代表社員の登記事項の
一部に変更があっただけですから、同枠内の変更の登記であって、退任や就任
の登記ではありません。5月1日職務執行者Bに変更という登記です。

 もっとも、職務執行者が2名以上いる場合は、登記技術上、複数の枠で登記
されますから、この場合に限り、職務執行者の辞任の登記がなされます。複数
の枠のうち1つを抹消します。

 では、職務執行者としてPQの2人おり、4月30日にPが辞任し、後任と
して5月1日付でRが選任された場合は、どんな登記になるでしょうか。

 この場合は、4月30日P辞任で、その枠を抹消し、別枠で5月1日R就任
の登記でもよさそうですが、代表社員は1枠が原則のため、新枠を設けるのは
できるだけ回避すべきですから、Pの枠を使って5月1日Rに変更の登記にす
べきでしょう。少なくとも私はそうしています。

 ややこしいですね。以上は『商業登記法コンメンタール』に記載しています
が、いままでのコンメンタールと相違し、通読にも適しており、結構、お褒め
あるいは感謝の言葉をいただいております。立花本(商業登記実務から見た中
小企業の株主総会・取締役会)もアマゾンで絶好調です。「売れなかったら出
版社に迷惑をかける」というプレッシャーと日々戦っていた立花さんも、そろ
そろほっとしてもよい頃ではないでしょうか。



2017.05.11(木)【原子と人間】(島根・根来川弘充)

 つい最近、科学を勉強する機会がありました。

 中学生くらいまでしか、勉強しておらず、何十年かぶりに勉強しましたが、
とても新鮮なものを感じました。

 宇宙と私たち人間は、原子という物質からできており、私たち生物は、原子
にとっては、それらが形を変えていくための手段なのだそうです。

 ここ数十年間で、新たな元素が数多く発見されており、私が学んだ時代から、
20くらいは増えている気がします(もっと増えてるかもしれません)。

 「ニホニウム」など、日本にちなんだ名前の元素ができたことは、昔はきっ
と想像もしなかったことだと思います。

 同じ原子からできた生命体が、意思を持つと、いろいろな争いごとが起きる
のでしょうが、原子を基準にすると、ずっとその存在は、変わらないのですか
ら、大した問題ではないのでしょう。

 紛争解決のもっとも有効な手段は、裁判や司法制度ではなく、自然科学の中
にあるのかもしれません。


2017.05.10(水)【相続入社規定】(藤沢・酒井恒雄)

 合資会社の唯一の無限責任社員、あるいは唯一の有限責任社員が死亡した場
合、定款に、死亡した社員の持分を相続人が承継して入社する旨の規定がない
場合は、会社の種類が自動的に変更となり、以後、合同会社あるいは合名会社
として存続することになります。

 仮に、唯一の有限責任社員が死亡したときに、その後も合資会社として事業
活動を継続したいと考えている場合には、いわゆる「相続入社」の定款規定が
ないと、
  ①合名会社の設立、
  ②合資会社の解散・有限責任社員の死亡退社、
  ③合資会社の設立(有限社員の加入)、
  ④合名会社の解散
といった一連の登記手続きが必要になります。そうなると面倒だし、費用もか
さむからと、とりあえず相続入社規定は入れておこうと考える場合も多いかと
思います。

 ところが、この規定が問題となることもあります。以前、無限責任社員1人
(社長)、有限責任社員2人(社長の妻と子)という、3人家族が社員となっ
ている合資会社について、不仲になった子の退社に関する相談を受けたことが
ありました。

 定款を確認したところ、「社員が死亡した場合には相続人が承継入社する。」
という旨の規定がありました。このままですと、子が退社しても、親の相続が
発生した場合には再び会社に入社してしまう可能性があります。

 会社経営について、子に干渉されることを望まないのであれば、相続入社規
定は変更、あるいは削除しておいた方がよいと説明しました。結局、具体的な
手続きについては受託することなく、月日が流れました。

 そして、最近になって、妻が亡くなったと社長から連絡がありました。打合
せ時に持参した定款をみると、相続入社規定が入ったままでした・・・。

 登記事項証明書からは、子が退社した履歴が読み取れます。社長に、「この
定款規定があるから、またお子さんが会社に入社しますよ。」と伝えると、ハ
ッと思い出したような顔になりました。子は、散々揉めた挙句に自主的に退社
したそうですから、これから先のことが思いやられます・・・・・。
(以上、事情・登場人物はフィクションを交えてあります。)


2017.05.09(火)【書面決議等の電子メールによる同意】(東京・鈴木龍介)

 株主総会や取締役会について、決議省略いわゆる書面決議が認められていま
す。この書面決議の要件の一つとして、提案者に対して書面または電磁的記録
による同意の意思表示が必要です。

 それでは、電磁的記録による意思表示とは何を指すかというと、具体的かつ
現実的には電子メールによることが想定されます。ただ、電子メールによる意
思表示については、実務上の固有の問題点もあります。

 1点目としては、電磁的記録に、いわゆる電子署名等(会26条2項、会施
規224条)が必要かどうかということです。具体的には意思表示をしたファ
イルに表意者の電子署名等の措置を行わなければならないかということですが、
その方式を否定するものではないものの、必須というわけではありません。

 書面による場合でも署名や記名押印が義務付けられていませんし、電子署名
等が必要な場合には、たとえば取締役会議事録の場合(会369条4項)のよ
うに、法令でその旨が規定されています。

 2点目としては、書面決議については意思表示をした書面または電磁的記録
を会社に備え置かなければならないわけですが(会319条2項・会371条
1項)、電子メールによる場合、どのように備え置くか-その前提としてどう
保存しておくか-ということです。

 書面による場合であればその書面自体を保存しておけばよいわけですが、電
子メールは物理的なものではありませんからデータとして保存しておくという
ことになります。具体的には、そのデータを会社のサーバーに保存しておくこ
とや、CD-R等の電磁的記録媒体に格納したうえで保存しておくことが考え
られます。

 しかしながら、サーバーや記録媒体が備置期間中、必ずしも正常に機能し続
けるかは保証の限りではありません。そこで、備置きの趣旨が後日の紛争等の
ための証拠を残すということを踏まえますと、それらの方法をとるとともに電
子メールのデータをプリントアウトし、それに会社が証明する一文を付記する
という措置を講じておくのも一考ではないでしょうか。


2017.05.08(月)【就任承諾書と住所】(金子登志雄)

 再任を除き就任承諾書には常に住所の記載が必要かにつき、5月1日付本欄
で、不要説(多数説)の山本見解をご紹介しましたが、今日は、私も山本さん
に負けずに、いままで出していなかった別の根拠をご紹介しましょう。

 商業登記規則61条の見出しが「添付書面」になっていることです。すなわ
ち、同条は添付書面についての規定です。

 改めて、同61条7項の要約を示しますと、次のとおりです。
----------------------------------------------------------------------
 取締役等の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、就任を承
諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載
されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書を添付しなければ
ならない。ただし、第4項、第5項又は前項の規定により当該取締役等の印鑑
につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。
----------------------------------------------------------------------

 どこにも就任承諾書には、直接、住所を記載せよとはありません。就任承諾
書に記載した氏名と住所が記載された本人確認証明書を添付せよという添付書
面についての規定です(注)。

 つまり、本文は「①住所を記載せよ」という就任承諾書の記載事項あるいは
書式と、「②本人確認証明書を添付せよ」という添付書面を定めた2つの内容
を持った規定ではなく、添付書面についてだけの規定です。

  非取締役会設置会社の就任承諾書
   氏名のみの就任承諾書+印鑑+印鑑証明書
   ………これでは同姓同名者がいた場合に本人を特定できず、印鑑証明
      書を付ける意味がない。そこで印鑑照合の必要から、結果的に
      この印鑑は実印てなければならない。なお、登記に住所が必要
      な代表取締役の場合も、住所は印鑑証明書をみれば分かるので
      就任承諾書には不要である。

  取締役会設置会社の就任承諾書
   氏名のみの就任承諾書+印鑑+住所氏名証明書(本人確認証明書) 
   ………これでは同姓同名者がいた場合に本人を特定できず、本人確認
      証明書を付ける意味がない。そこで住所照合の必要から、結果
      的にこの就任承諾書は住所付でなければならない。

 このように就任承諾書に住所の記載が必要なのは、本人確認証明書との関連
性を証明するためであり、本人確認証明書を添付させる趣旨からの結果論に過
ぎません。言い換えれば、本規定をもって、就任承諾書には取締役会設置会社
かどうかを問わず住所の記載が必要だとする書面の記載事項を定めたものでは
ありません。

 念のため、商業登記法で「証する書面」とある場合は、議事録等と相違し、
その書面が多岐にわたるため記載事項は法定しないのが通例です。

(注)当初の原案では規則61条4項の「書面の印鑑につき」を受けて、ここ
でも「就任を承諾したことを証する【書面に記載した住所につき】……を添せ
よ」となっていました。そこで私がパブコメで「(この表現では)住所の記載
のない就任承諾書は認められないという運用がなされる可能性がある」と指摘
したため(パブコメ意見2として法務省HPに残っています)、現行案に変わ
ったものです。
 これからも分かるとおり規則の立案担当者は明らかに就任承諾書に住所が必
須とは思っていませんでした。「商業登記規則等の一部を改正する省令案の概
要」にも、「取締役、監査役又は執行役の就任の登記申請について、当該登記
の申請書に印鑑証明書を添付することとなる場合を除き、本人確認資料として
住民票等の写しを求める」と明記されています。
 残念ながら、この有力証人の立案者はもう転勤しています。


2017.05.02(火)【執行役員】(東京・鈴木龍介)

 上場会社だけでなく、中小企業でも「執行役員」という肩書の人を見かける
ことは少なくありません。

 「執行役員」とは、指名委員会等設置会社の執行役とは似て非なるもので、
会社法上の役員等ではなく、登記されることもありません。

 「執行役員」の法的性質は、大きく“雇用型”と“委任型”の2つに分類す
ることができます。

 雇用型は、まさに従業員であって、おおむね従業員の最高位として、一般的
には経営陣には該当せず、会社法上は「重要な使用人」として位置付けられる
ものと思われます。

 なお、この場合の「執行役員」は、いわゆる労働法制の適用を受け、税法上
も従業員として扱われるのが基本です。

 委任型は、従業員という立場ではなく、会社との委任関係に立ち、かなり取
締役に近いものといえます。この場合の「執行役員」は、取締役に関する規定
がどこまで類推適用されるかが問題になることが考えられます。

 どちらのタイプとするかは、もっぱら会社の実情と判断ということになりま
すが、無用なトラブルを避けるためにも執行役員規程等によりその位置づけや
処遇を明確にしておく必要はあると考えます。

 ちなみに、「執行役員」と会社法の役員である取締役を兼務することは可能
であり、そういった例は散見されますが、この場合は、会社法上の業務執行取
締役ということになります。一方で、最近は(代表)取締役でない「執行役員
社長」という役職が登場しています(倉橋雄作「「執行役員社長」の登場と実
務対応」商事法務2132号(2017年)15頁~)。


2017.05.01(月)【必見論考2点】(金子登志雄)

 就任承諾書と住所問題につき山本ブログの着眼点は実に面白い。必見です。

   https://plaza.rakuten.co.jp/yamamotokoji/diary/20170427/
   https://plaza.rakuten.co.jp/yamamotokoji/diary/20170428/

 商業登記規則61条7項の「取締役等の就任承諾書には住所を記載し、その
住所を証明する本人確認証明書が必要だ。ただし、4・5・6項で印鑑証明書
を添付する場合はこの限りでない(要約)」につき、東京法務局見解は、ただ
し書きで印鑑証明書を添付する場合は本人確認証明書は不要だが、就任承諾書
への住所の記載は必要だとするものです。

 これに対して、山本さんは、印鑑証明書は典型的な本人確認証明書であって
「本人確認証明書を添付せよ。ただし、本人確認証明書の1つである印鑑証明
書を添付した場合は本人確認証明書の添付は不要だ」などという日本語はあり
得ないと指摘したわけです。

 確かに、「健康のため果物を食え、ただし、リンゴを食えば果物を食わなく
てよい」などといわれたら、リンゴは果物でないのかといいたくなりますから、
やはり、このただし書きは本文全部を否定し、4・5・6項は印鑑照合を基準
とした代表権に関連する規定で、7項は住所の一致を基準とした取締役会設置
会社の取締役や監査役など代表権を有しない者を対象とした就任承諾書の規定
だというべきでしょう。

 この当たり前のロジックに気付いた山本さんは、やはりすごいです。ぜひ、
当局の方々にもみていただきたいものです。

 もう1つ、ぜひみていただきたいのは、月間「登記情報」直近号63頁以下
の我々(神崎・金子・立花・幸先)の論考「同時申請と組織再編の構造」です。

 同じ同時申請でも、組織再編、組織変更、管轄外本店移転でどう相違するか、
その理由は何かを明らかにしました。また、組織再編と株主リストの作成者に
ついても、かくあるべしという妥当性ではなく、却下対象かどうかの適法性の
見地から論述してみました。組織再編の登記に関心のある方は必見です。


2017.04.28(金)【ニューヒーロー】(金子登志雄)

 監修者の特権で、立花宏著『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取
締役会』(中央経済社)を26日に入手し、さっそく目を通してみました。

 私がみたのは昨年夏や秋の頃の立花さんの生原稿だったため、仕上がり状態
を早く確認したかったからです。

 最初から最後までざっと目を通したところ、改めて立花さんの努力に感服し
ました。参考図書が25冊前後もあり、市販されている株主総会・取締役会関
連のほとんどの本に目を通し、本書を書いているわけです。

 私の場合は、ものの見方・考え方・捉え方こそ重要だ、私はこう考えるとい
う点を前面に出すため、参考文献は少なくて済みますが、立花本は学者や弁護
士本に近く、多くの資料にあたって、目下これが問題とされ、こういう見解や
ああいう見解もあるが私は………と説明する王道の書き方でした。

 内容も登記に関連しない株主総会等の問題点にも触れられており、登記の本
を超えた優れた内容であることはいうまでもありません。しかも、お人柄のと
おり、繰り返し分かりやすく説明されています。

 皆様もぜひお手に取ってご検討ください。問題点が網羅されていますので、
きっと役立つはずです。

 藤沢の酒井さんもそうですが、いま立花さんの世代(40代後半)は、ちょ
うど油が乗り切った世代なのか、司法書士界でも、この世代の活躍が目立って
います。今後、次々とニューヒーローが誕生してくるでしょう。

 老兵は去るのみなどとは決していいません。この仕事は知識や経験が重視さ
れますし、頭の柔軟さでも、20歳も下の立花さんの世代にも、もっと若手に
も負けていないつもりですから。

(注)就任承諾書と住所問題につき強力な援軍現る。
  受験界のカリスマ講師山本さんのブログです。来週話題にしましょう。
     https://plaza.rakuten.co.jp/yamamotokoji/diary/20170427/


2017.04.27(木)【ヒーロー】(金子登志雄)

 酒井さんの投稿を受けて、私はヒーローを題材にしましょう。

 私の子供時代は、一般家庭には、アニメどころか、まだテレビ自体が存在し
ませんでした。高価過ぎたためです。その代わり、電器屋さんが顧客サービス
で、店先のテレビで、大相撲やプロレスをみせてくれました。

 栃錦(とちにしき)や若乃花時代でしたが、当時の全国的なヒーローは何と
いってもプロレスラーの力道山(りきどうざん)だったでしょう。悪役のアメ
リカ人プロレスラーの反則により初めのうちは力道山がやられているのですが、
最後はお得意の空手チョップで倒すパターンに大人も子供も興奮したものでし
た。

 大人になって、日本人プロレスラーは、アメリカやメキシコでは悪役を演じ
ていたことを知り、「なるほど、そういう仕組みなのか」と妙に納得するとと
もに、一般大衆は騙されやすい存在であることを強く感じました。

 現在の北朝鮮状況も、トランプと金正恩の八百長プロレスみたいなもので、
日本の報道では悪役の金正恩を倒せですが、北ではきっと悪役のトランプを倒
せでしょう。

 不思議なことに日本よりももっと切実な韓国の報道は実に静かだそうです。
いつものプロレスなのに、なぜ、日本人は、ああも大騒ぎしているのかという
のが韓国人の日本人に対する見方のようです。

 きっと安倍政権にとって、北朝鮮問題は、森友や加計学園スキャンダル隠し
の好機ですから、マスコミを上手に使っているのでしょう。内閣府のホームペ
ージには北のミサイルが飛んできた場合の避難方法が掲載されているようです
が、軍事評論家によると間に合うわけもない噴飯ものの内容のようです。

 本欄で何度か書きましたが、騙されやすい我々一般大衆も、たまには、ヒー
ローの桃太郎は鬼退治して宝物を奪ってくるが、これは中国や朝鮮を鬼と扱っ
た軍国主義物語だ、主君の仇討のヒーローである忠臣蔵は真夜中に徒党を組ん
で押し込み強盗のようなまねをして無抵抗な老人を殺害する物語だという冷静
な見方をしてみるのも必要ではないでしょうか。

 私のヒーローは、原発も環境破壊も拒否し、自然と調和し熊や鬼などの周囲
と仲良くする金太郎です。

(注:お知らせ)
 4月20日の注記部分(代表取締役の就任承諾書に住所記載が必要か)につ
き、26日に東京法務局を訪問した際、個人的に質問したところ、代表取締役
には不要だとの返答でした。東京法務局文書を忠実に受けとめた出張所の勇み
足だった可能性が大です。



2017.04.26(水)【ヒロイン】(藤沢・酒井恒雄)

 幼少の頃、いわゆるヒーローもののアニメや特撮番組をよく観ていました。
アニメなら、マジンガーZやガッチャマン、特撮なら仮面ライダーやウルトラ
マンなど、正義のためにカッコよく戦っている姿にワクワクしていました。

 男の子は何かしらのヒーローに憧れていたと思います。女の子はといえば、
特撮番組はなかったように思いますが、アニメでは、ひみつのアッコちゃん、
魔女っ子メグちゃんといった、魔法を使って悪い人たちをやっつけるヒロイン
たちがいました。

 そんな女の子向けのアニメのヒロインですが、今は、「プリキュア・シリー
ズ」が定番となっています。可愛い女の子たちが、不屈の精神で悪に立ち向か
うというものです。娘が小さい頃、一緒によく観ていました。

 シリーズが始まった当初から、女の子でありながらパンチやキックで敵を倒
していました。それがシリーズを重ねるにつれ、敵も吹っ飛ぶような強烈な打
撃攻撃をするようになり、男の子のアニメと何ら変わらない、血気盛んな感じ
になっていきました。

 子供は、ヒーロー、ヒロインの、真似をして遊ぶのが定番です。当時、娘は
幼稚園に通っていたのですが、園庭で男の子が、女の子の「プリキュア・パン
チ」をくらって泣いているという光景や、数人の女の子に追いかけ回されて泣
いている姿を見かけました。

 幼稚園に通うくらいの年齢ですと、体格的には男の子より女の子の方が大き
い場合も多いので、アニメを忠実に再現したようなパンチをくらったら、たま
ったもんではありません。「私たち、負けない!」と叫びながら追いかけられ
たら、どれだけ怖いことか・・・。

 女性が強い時代なんだなぁと思いつつも、昔のヒロインを思い出し、魔法で
解決していた時代を懐かしく感じていました。娘がプリキュアを卒業してから
は、今のプリキュアが何代目になのか、そもそもシリーズが続いているのかも
分からなかったのですが、現在もシリーズが続いているようです。

 聞くところによれば、最近になって、プリキュアたちが魔法を使うようにな
り、直接相手を攻撃することがなくなったそうです。そして、最新のシリーズ
では、スイーツを使って敵を改心させるという、斬新な解決方法をとっている
ようです。

 あの、女の子が男の子を泣かせていた光景は、きっとどこの幼稚園等でも見
られたと思いますので、それが問題視され、ソフトな内容に変更となったのか
もしれません。単に、視聴率を取れるといわれる「食」の要素を入れたかった
だけかもしれません。

 いずれにせよ、昔のヒロイン像が再び戻ってきたようで、ちょっと安心して
います。腕っぷしが強いヒロインや、傷だらけでボロボロになっているヒロイ
ンよりも、ニコニコ笑って、可愛らしく敵を降伏させるヒロインの方がいいで
す。これって、女性に対する幻想だと言われてしまうのでしょうか・・・?



2017.04.25(火)【外国人の氏名の表記】(東京・鈴木龍介)

 近時は外国人が取締役等の役員に就任することも珍しくなくなってきました。
この場合、当然、その外国人を取締役等として登記をすることになりますが、
氏名については、商号と異なり、ローマ字で表記することが許されていません
ので、一般的にはカタカナに引き直して登記することになります。

 ちなみに、中国や台湾などの漢字圏の人については、日本で通常、使用され
ている漢字に引き直して登記をすることもできます。

 氏名の登記をするにあたっては、氏と名の間にスペースを挿入し、氏名の区
切りをつけることは許されませんが、中点「・」を用いることは認められます。
たとえば「John Adams」の場合、「ジョン・アダムス」というかたちで登記を
することができます。

 実際の問題として、カタカナに引き直す場合、基本的には日本語の発音によ
ることになるわけですが、たとえば 「Micheal」には、「マイケル」、「ミカ
エル」、「ミハエル」、「ミッシェル」といったように複数の発音の仕方があ
り、関係者からの聞き取り等により確認をしたうえで、登記をする必要があり
ます。


2017.04.24(月)【出版に至るまで】(金子登志雄)

 立花さん、新著の出版、おめでとうございます。きんざいの『商業登記法コ
ンメンタール』に続く2冊目の著書ですね。しかも、今度は単独著書、確実に
飛躍し、実に素晴らしい! これで1年間の苦労も報われたことでしょう。
    https://is.gd/zd5WU7

 監修者として私の名前も載せていただきありがたいことですが、私の氏名は
5文字もあり、3文字の立花さんよりも目立ってしまい、申し訳ない心境です。

 さて、仙台という大都市で開業とはいえ、地方都市で活躍の立花さんの出版
は多くの司法書士を勇気づけたと思います。ひょっとしたら、自分も機会があ
れば、著書を持てるかもしれないと思った司法書士も多いことでしょう。実務
書の執筆は、割りに合わずライバル本も多く容易なことではありませんが、ぜ
ひ立花本で、じっくりと研究してみてください。

 著作というのは、ちょうど画家にとっての絵や、建築設計士にとっての建物
と同様に、苦労した成果が作品という形で世に残るため、実にうれしいもので
す。私も初めての著書(昭和63年『実戦M&A事典』)の出版の際は、棺桶
に入れてほしいくらいうれしかったものでした。

 立花さんの出版は、私が斡旋したわけではありません。司法書士雑誌への彼
の投稿論文を中央経済社の編集者が目を付けたためでした。

 これが一番の早道です。自分で原稿を書いて出版社に売り込んでも実績がな
いと相手にされません。そういう方が多数いるからです。

 そのためには、司法書士でいえば、「月報司法書士」や「登記情報」などに
投稿し目立つ論文を書くことです。目立つとは、皆が関心を持つテーマにつき、
役立つ内容であることです。

 法律系の実務書の出版で定評のある中央経済社は、もう10年以上の付き合
いですが、編集部が常に雑誌等をウオッチしていますし、物書きの心を理解し、
非常に大事にしてくれますので、ぜひ皆様も挑戦してみてください。とりあえ
ずはお仲間を集め、共著の出版はいかがですか。



2017.04.21(金)【花を咲かせる】(仙台・立花宏)

 先週、仙台の桜が満開となりました。仙台の桜は、開花の便りを聞いたかと
思うや、それから何日か後には見事な花で満開になりました。

 天気も良かったので、週末、桜の名所である近所の高校の周囲をぶらぶらと
散歩してきました。その高校は校庭を囲むように桜が植えてあり、周囲の道路
からその桜を見ることができます。私は、年に一度、その美しい桜の花を見な
がら散歩することをとても楽しみにしています。

 あっという間に花を咲かせる桜は何時くらいから、その準備をするのでしょ
うか。インターネットで調べてみたら、なんと、前年の夏から準備を始めるの
だそうです。

 前年の夏に花芽が作られ、秋が過ぎ、冬の寒い時期を耐え、春になるといよ
いよ開花する準備を始めるようです。むしろ、冬の寒い時期がないとあの美し
い花は咲かないと書いてありました。

 桜というと美しい花ばかりに目がいっていました。しかし、それが咲くまで
に、長い時間をかけて見えないところで準備を進めていることを知り、自分の
無知を恥ずかしく思いました。そうした準備があるからこそ、多くの人々を魅
了する美しい花を咲かせることができるのでしょう。

 実は、昨年の桜の花が咲いた時期から準備を進めていたことがあります。準
備を始めたばかりの頃はまったく先が見えず、本当にゴールまでたどり着ける
のかどうか、心の中は不安ばかりというような状況でした。苦しい時期もあり
ました。

 しかし、そのお話しをくださった中央経済社の担当の方や校閲担当の方をは
じめ同社の皆さまのあたたかいご支援のおかげで、一歩一歩、前に進むことが
できました。

 進むべき道に迷ったとき、監修をお引き受けいただいた金子先生から、たく
さんの道標をいただきました。その道標を辿ることにより、進むべき方向を知
ることができました。

 そのようなたくさんのご助力をいただき、長い間の準備を経て、まもなくそ
の準備は花を咲かせます。はたして、その花は桜のように咲いてくれるだろう
か。

 その花の名は、

  『商業登記実務から見た中小企業の株主総会・取締役会』(中央経済社)

という下記の書籍です。遅くとも5月初旬には大手の書店にも並ぶはずです。

    https://is.gd/zd5WU7

 出版というチャンスをくださった中央経済社の担当の方、丁寧に原稿を見て
くださった校閲担当の方をはじめ中央経済社の皆さまのためにも、そして、金
子先生からいただいた、たくさんのご指導に感謝する意味でも、多くの皆様に
ご覧いただかなければならない。そんなプレッシャーを感じつつも、長い準備
期間を経て咲く花(書籍)がどのように咲くのか、今からとても楽しみにして
います。

 司法書士の皆さまをはじめ、中小企業を支援される専門家や、中小企業の法
務担当者の方々に、ぜひご覧いただきたいと思っております。



2017.04.20(木)【本人確認証明書と「視点」】(金子登志雄)

 なるほど、日本では左が右より上だが、こちら側からみると、右側が偉い人
になるわけですね。

 それでやっと分かりました、なぜ日本の物乞いは「右や左のダンナ様、哀れ
な私に施しを」といい、「左や右のダンナ様」といわないのかと不思議でした
が、物乞いからみれば、右のダンナ様が左衛門様なわけですね。

 以上は言葉のお遊びですが、どちらからの視点でみるかは非常に重要なこと
だと思っています。その方の立ち位置の問題です。思考の原点です。

 本人確認証明書ですが、どうも東京法務局見解は、就任承諾書の方向から印
鑑証明書や本人確認証明書を捉えているようで、商業登記規則の改正で就任承
諾書には住所を記載することになり、その住所を証明するために本人確認証明
書が必要になったと考えているようです。

 だから、本人確認証明書が不要である非取締役会設置会社の取締役の就任時
や取締役会設置会社の代表取締役の就任時には、印鑑証明書を添付するだけで
なく、その就任承諾書に住所を記載せよと主張しているのでしょう。

 しかし、これは間違いです。逆説的ですが、実印を押すから印鑑証明書を付
けるのではなく、印鑑証明書を付けるから実印を押さねばならないのです。そ
の証拠に管轄外本店移転で移転先に送付する印鑑届出用紙には実印を押せとあ
っても、印鑑証明書を添付しませんから、認印でも登記は受理されます。

 同様に、本人確認証明書を添付するから就任承諾書に、それと同じ住所を記
載するのです。住民票の住所が東京で、運転免許証の住所が横浜なら、前者を
添付した際は就任承諾書に東京の住所を記載し、後者の写しを原本証明して添
付する際は、横浜の住所を記載しなければならないのです。これで住所の一致
を証明するのです。

 本人確認証明書は実在性を証明するためであり、住所そのものを証明するた
めではないため、これで問題ありません。

 ① 法定の印鑑証明書の添付・・・印影の一致で実在性や真意を証明
 ② 本人確認証明書の添付・・・・住所の一致で実在性を証明

 ということで、①か②かであり、商業登記規則で①が要求されている場合に
は、就任承諾書に住所の記載は不要です。商業登記規則61条7項は基本通達
にあるとおり、「規則61条4・5・6項で印鑑証明書を添付する場合を除き」
と解釈するのが正しいといえます。

 ・・・と繰り返し主張しているのですが、東京法務局見解が出されてから、
もう1年以上も経過しました。まだ、私見は東京法務局には十分に通じていな
いようです。あるいは、通じているけど、急旋回をできないのか・・・。

(注)4月13日付本欄のQ4事例のCが新規取締役で、Cの代表取締役の就
任承諾の取締役会議事録の援用につき、このたび住所を記載せずに東京法務局
で受理されました。Cが既存取締役でも新規でも結論は同じはずですから、某
出張所と取扱いが違うのか、見過ごされたのかは不明です。


2017.04.19(水)【左衛門と右衛門】(藤沢・酒井恒雄)

 不動産登記に関連する話です。

 相続登記の依頼がありましたので、被相続人の出生に遡って、改正原戸籍等
を見ていました。

 あるところで、○左衛門さんという名前の方が登場しました。並んで○右衛
門さんという名前の記載もありました。

 どちらか一人だけの記載でしたら、特に気にすることもなく先に進んだと思
いますが、「〇左衛門」「〇右衛門」と並ぶと、どうも気になります。

 ちょっと寄り道をして、名前の由来をインターネットで検索してみました。
その結果、もとは朝廷内の役職名で、誰でも使用できる名前ではなかったとい
うことが分かりました。

 そのうち、朝廷にお金を払えば一般庶民も名前を使用できるようになり、さ
らに規律も緩くなって、勝手に一般庶民も使うようになったのだとか・・・。

 そして「左」衛門と「右」衛門の違いですが、日本では「左」の方が「右」
より位が高いとされていますので、左衛門の方が、右衛門より偉いということ
になります。

 手元の戸籍に目を戻すと、〇左衛門さんは、〇右衛門さんのお父さんである
ことが読み取れました。納得です。

 ちなみに西洋ですと、右の方が偉いとされています。オリンピックの表彰台
で、金メダリストの右側に銀メダリストが並び、左側に銅メダリストが並ぶの
も、右上位の表れだそうです。

 ちなみに表彰台の選手から見て右が上位という考え方なので、観衆からみる
と金メダリストの左側に銀メダリストが立ちます。

     https://t19.pimg.jp/012/234/219/1/12234219.jpg

 日本の場合も同じで、たとえば舞台では、演者から見て左が上と考えるので、
観衆から見ると右側が上手(かみて)、左側が下手(しもて)とよばれていま
す。スッキリしたところで、戸籍を読み進める作業を再開しました。


2017.04.18(火)【議事録の契印】(東京・鈴木龍介)

 書類作成の一般的なルールとして、「契印」というものがあります。これは
書類が複数ページにわたるときに各ページが正しく連続していることをあらわ
し、落丁や差し替えを防止するために行われるものです。

 具体的には、書類の押印者が各ページを見開きにし、前後のページにまたが
って押印をするか、いわゆる書類を袋とじにした場合には、袋とじ部分に押印
することになります。

 では、株主総会等の議事録の場合、この「契印」が必要になるかということ
ですが、会社法等の法令に格別の規定はありません。

 古い登記先例ですが、登記申請に株主総会の議事録を添付する場合で「契印」
漏れを理由に当該申請を受理しないことは相当でないとするものがあります
(大9・3・18民931号通達)。一方で、各ページの間に連続性が認めら
れないときには、添付書面の不備(商登24条8号)を理由に当該申請が受理
されないことがあるともいわれています(筧ほか・詳解2版(上)205頁)。

 次に、「契印」を行う場合、誰の印鑑が必要になるかということですが、た
とえば議事録であれば、その議事録に押印した全員で行うのが原則ということ
になると思います。

 ただし、法務局がwebで公開している「商業・法人登記の申請様式」の議
事録の注意書きには、“~契印は、議事録署名者のうち1名の印鑑で構いませ
ん。”との記述があります。

 ちなみに、登記申請書が複数ページにわたるときには「契印」を要するもの
としていますが、申請人(代理人)が複数名いるときには1名が「契印」をす
れば足りるという規定になっています(商登規35条2項・3項)。

 以上を踏まえ、スムースな登記事務の処理や無用なトラブルを避けるという
観点から、議事録には少なくとも署名義務者のうち1名は「契印」するのが妥
当であると思います。


2017.04.17(月)【「委員」の就任承諾書と住所】(金子登志雄)

 13日の本欄で要旨で次のように書きました。

----------------------------------------------------------------------
Q:取締役会設置会社甲(取締役ABC、代表取締役A)において、Cを代表
 取締役に選定した。Cの代表取締役の就任承諾書に住所の記載は必要か。
A:Cは既存取締役であり、代表取締役に就任しても再任に準じて商業登記規
 則61条7項の適用はなく住所の記載は不要である。ただし、商業登記規則
 61条5項により、印鑑証明書の添付が必要である。

 ・・・のはずでしたが、東京法務局は住所を記載し実在性を証明せよという
立場です。これで補正になりましたが、印鑑照合で実在性を証明しているのに、
追加で、また実在性を証明せよというのは、本人確認証明書に関する立法趣旨
に反すると思いませんか。
----------------------------------------------------------------------

 では、次の問題に東京法務局はどう答えるでしょうか。

Q:指名委員会等設置会社甲(取締役ABC………)において、Cを指名委員
 会委員に選定した。この指名委員の就任承諾書に住所の記載は必要か。

 間違いなく東京法務局は不要と答えるでしょう。理由は、規定がないからで
すが、規定がない理由は、指名委員は取締役であることが前提とされ選定され
る地位、言い換えれば、2度目の選任であり再任に準じた地位だからです。

 これは代表取締役も同じです。代表取締役の就任承諾書には住所が必要で、
指名委員会等設置会社の委員は不要だなどという矛盾した論理は、私には理解
することができません。

 しかし、法務局に「ノー」といわれたら、顧客に迷惑をかけてしまうので、
仕方なく妥協せざるをえず我々は弱い立場です。打開策として、当ESG法務
研究会でも安倍昭恵さんに名誉会長をお願いしたいのですが、まだお隠れのよ
うですね。新宿御苑の安倍総理主催の「桜を見る会」にはご出席したようです
から、国会はじめ我々の前にも出てきてほしいものです。



2017.04.14(金)【理屈と膏薬】(金子登志雄)

 2か月ほど前の駅売りの日刊ゲンダイに、ヤクザ問題に詳しいフリージャー
ナリストの溝口敦さんが面白いことを書いていました。

 「理屈と膏薬はどこにでもくっつく」(あるヤクザ組長さんの言葉)のであ
り、例えば、子分が喧嘩で他の組の者を殺傷し、こちら側が悪いとしても、先
手を打って「うちの者を懲役に行かせるような真似しくさって、どうしてくれ
るんだ」と相手の組を威嚇するのだそうです。そのド迫力に負けて、相手がな
だめに来れば、これで勝負あり………といった内容でした。

 要するに、喧嘩に勝つためには、理屈などいかようにも作れるという話です
が、なぜ、溝口さんがこんな記事を書いたかというと、ヤクザ並みに恫喝が得
意で喧嘩巧者のトランプさんに、ボンボン育ちの安倍さんでは勝てるわけがな
い、トランプの恫喝に負けずに、そちらが自動車に関税をかけるなら、こちら
は農産物にかけるぞ、米国国債を売るぞくらいのことをいわなければ、日本の
国益は守れないということをいいたかったようです。

 日本国民は政治家を選ぶときに、育ちがよい、カネに清潔だなど、まるで結
婚相手でも選ぶようなことを基準にしますが、そんな優男に、トランプ、プー
チン、習近平のような歴戦の猛者と対等に戦えるわけがありません。

 メキシコ大統領がトランプ氏の喧嘩を受けて立ったように、日本以外の国で
は、政治家を選ぶ基準が国益を守ってくれるかなのに、なぜ日本では、清潔な
どを基準にするのでしょうか。恐らく、明治時代から続く官僚主権国家のため、
上に立つ政治家が有能で喧嘩巧者だと官僚様が困るからでしょう。そこで、マ
スコミや教育を上手に使い、日本流政治家の資質を長い時間をかけて日本国民
に洗脳してきたのではないかと私は想像していますが、数年前の魔女狩りの小
澤バッシングを思い出すと、当たらずといえ、遠からずだと思っています。

 トランプ氏はシリア攻撃で北朝鮮にも恫喝しはじめましたが、1つだけ忘れ
ないでほしいのは、日本が朝鮮戦争やベトナム戦争で特需を得たのと同様に、
米国は米国の外で戦争があると米国経済が活性化することです。戦争は米国で
最大の公共工事だなどともいわれています。それだけ軍需産業の力があります。

 もう1つ注意すべきは南北を分ける38度線は休戦ラインであって、南と北
は依然として戦争状態だということです。北が戦争準備に明け暮れるのは北の
立場からは自然なことです。そういう北の存在は、ある意味では米国の利益と
して機能してきましたが、現在でも同様でしょう。危機を煽れば、中国へのけ
ん制になり、日本に軍備が売れるわけです。

 狡猾な歴代の米国政府はそう考えていたはずですが、トランプさんは北の将
軍様と同様に何をするか分からないところがあり、予測困難です。単に恫喝し
て国内人気を高めているだけだと思いたいのですが、このチキンレースは暴発
しかねないリスクがあり、不安が尽きません。


2017.04.13(木)【代表取締役の就任承諾書と住所】(金子登志雄)

 久々に就任承諾書と住所記載の問題です。次のQにお答えください。

Q1:取締役会設置会社甲(取締役ABC、代表取締役A)において、Dを新
 たに取締役に選任しました。Dの就任承諾書に住所の記載は必要ですか。
A1:商業登記規則61条7項により、本人確認証明書と同一住所の記載が必
 要です。

Q2:取締役会設置会社甲(取締役ABC、代表取締役A)において、取締役
 Bの任期が切れたので、Bを再選しました。Bの就任承諾書に住所の記載が
 必要ですか。
A2:Bは再任のため商業登記規則61条7項により住所の記載も本人確認証
 明書も不要です。

Q3:商業登記規則61条7項は代表取締役については触れていませんが、な
 ぜですか。
A3:代表取締役は取締役の中から選ばれるため「再任に準じる地位」だから
 です。

Q4:取締役会設置会社甲(取締役ABC、代表取締役A)において、Cを代
 表取締役に選定しました。Cの代表取締役の就任承諾書に住所の記載は必要
 ですか。
A4:Cは既存取締役であり、代表取締役に就任しても再任に準じて商業登記
 規則61条7項の適用はなく住所の記載は不要である。ただし、商業登記規
 則61条5項により、印鑑証明書の添付が必要である。

 ・・・のはずでしたが、A4については、東京法務局は住所を記載し実在性
を証明せよという立場です。これで補正になりましたが、印鑑照合で実在性を
証明しているのに、追加で、また実在性を証明せよというのは、本人確認証明
書に関する立法趣旨に反すると思いませんか。『商業登記法コンメンタール』
では批判的に記載しましたが、代表取締役についてまで及ぶとなると、A2と
A3の関係をどう考えているのでしょうか。住所は印鑑証明書に記載されてお
り、印鑑照合で就任承諾書との関連性は明白です。なぜ、無駄なことを求める
のかと理解に苦しみます。



2017.04.12(水)【幻想的な光景】(藤沢・酒井恒雄)

 アメリカがシリアの軍事施設を攻撃しました。駆逐艦から巡航ミサイルで攻
撃をしたそうで、フラッシュバックのように約26年前の湾岸戦争のことを思
い出しました。

 当時、私はOA機器メーカーに勤めていました。社員食堂で昼食をとってい
るとき、急に食堂に設置されているテレビの前に人だかりが出来ました。何事
かと思いましたが、近くに座っていた人が、「あ~、ついに始まったんだ。」
と話しているのを聞いて、状況を把握しました。

 アメリカによるイラクへの攻撃が始まったのです。航空機や艦船からの攻撃
の様子が、ほぼ生中継で放映されていたと思います。今回と同様に夜間の攻撃
だったので、赤外線映像のような感じの画面だったと記憶しています。緑色っ
ぽい薄暗い画面に、機銃掃射やミサイルが爆発した明かりがキラキラと光って
いました。

 とても幻想的で綺麗な光景だったのですが、なにやら重くて不気味な雰囲気
が漂っていました。そう感じたのは、画面がキラキラと点滅するたび、人の命
も消えているのか?と想像していたせいかもしれません。

 戦争の生々しい現場の映像もショッキングですが、あの幻想的な光景も、ズ
ッシリと心に重く圧し掛かってきます。状況が悪化すれば、再びあの光景を目
にすることになるかもしれません。そうならないことを祈るばかりです。



2017.04.11(火)【憧れのフリージャーナリスト】(金子登志雄)

 いつか、メチャクチャをやりかねないと思っていたら、トランプさんは貿易
問題ではなく、シリア問題で後先を考えずに突撃してしまいました。国内人気
が下降した起死回生策でしょうか。

 正直なアメリカ人らしいといえば、それまでですが、シリアのアサド政権が
化学兵器を使ったかの確証のない段階で、国連決議もなしに、他国に突撃した
わけですが、喜んだのは、アサド政権と対立しているテロ組織のイスラム国ら
であり、烈火のごとく怒ったのは、アサド政権の後ろ盾のロシアでした。また、
中立である中南米諸国等をも怒らせてしまいました。

 英仏を中心とした西側の報道だけみていると勘違いしやすいのですが、世界
全体でみれば米国の横暴とみるほうが多いので、トランプ・リスクに巻き込ま
れないよう日本政府も慎重に動いてほしいものです。そのうち、自衛隊も出せ
といわれることでしょう。

 ところで、他のネットをみていたら、一般の方が投稿した文章に「寿司はペ
ンよりも強し」とありました。現在の世相を実によく反映しており、妙に感心
してしまいました。

 報道機関の末端記者は安倍政権を追及したいのに、幹部が安倍総理にご馳走
になった弱みがあり、批判記事を書けないことを揶揄した表現ですが、政権の
代弁者である政治評論家の田崎史郎氏などは、ネットでは田崎スシローとまで
いわれています。

 しかし、大手マスコミの記者がふがいないためか、あるいは田崎氏のように
政権と親しいことを自慢し、一方の側からしか取材せずにコメントする評論家
が多いためか、最近はフリージャーナリストが大活躍です。今村復興相に食い
下がり「出て行け」とまでいわれた西中誠一郎さん、今週の週刊文春で「東芝
原発大暴走を後押しした安倍秘書官」を書いた大西康之さんなど、カネもない
のに大変な調査力です。森友問題追及の作家の菅野さんが嫉妬するほどの調査
力でした。

 フリージャーナリストとして有名な岩上安身さんや田中龍作さんも、取材費
用を支援者から寄付してもらい、沖縄や海外に飛んだりで、これまたネットで
大活躍です。

 こういうフリージャーナリストはテレビドラマの主人公にうってつけだと思
うのですが、自由を愛する者は常に時の権力から目の敵にされますから、テレ
ビも忖度してしまうのでしょう。岩上さんもテレビから干されてしまったよう
です。

 自由を愛しながらも腰の重い私にとっては、こういう調査力のあるフリージ
ャーナリストは、自分にない才能を持った憧れの存在です。家族はさぞ大変だ
と思いますが、フリージャーナリストに「ペンは剣よりも寿司よりも強い」こ
とを示してほしいものです。



2017.04.10(月)【お花見と季節感】(金子登志雄)

 先日は、日中に、たまたまお花見の名所である東京の目黒川沿いを歩いてみ
ましたが、人人人………でした。飲食店はどこも満員で、近くの中目黒駅やコ
ンビニのトイレは、男性トイレですら長い行列ができていました。

 混雑したところは苦手なので、すぐに裏道に移動しましたが、皆さんはお花
見はいたしましたか。………といえど、こればかりは開花時期の地域差があり
ますので、何とも答えられませんね。

 わが関東地域では、ピークが4月初旬ですから、中学校の卒業式の答辞で「
あの桜が咲き誇る3年前に入学して以来………」などと表現するのが定番です
が、南のほうでは「あの桜がすっかり散り落ちた」になりますし、北のほうで
は「あの桜がまだつぼみの時期に」となってしまい、桜を原稿のネタに使えま
せん。

 なぜか、学校と桜は相性がよいようで、クラスの半分前後が「上原」姓で、
本家、分家が飛び交う上州(群馬県)のド田舎で育った小学生時代は小学校と
中学校の間に、わが家があり、小学校の桜の木にのぼってよく遊びました。都
会の桜の木と違って、大木であり、名物の雷が落ちたこともありました。

 こういう子ども体験がありましたから、桜には慣れ親しみすぎて、お花見に
は関心が少ないほうですが、毎日のように車で営業していた信託銀行マン時代
(宇都宮支店で県内全域の法人担当)には、栃木県内の桜並木の道路を走った
爽快感や感動は今でも忘れません。あれはどこだったかは思い出せませんが。

  関東は春到来で、そろそろコートが不要になります。


2017.04.07(金)【株主リスト漏れ】(金子登志雄)

 4月の第1週も今日で終わりですが、4月の人事異動の登記はまだ終わって
いません。なぜかというと、登記書類が不足して、即時に申請できないことが
いくつかあったためです。

 ほとんどが株主リストでした。とくに、総務部あるいは法務部の担当者が優
秀だと議事録等を作成し、メールの添付ファイルで「チェックしてくれ。また
委任状も送って」と来るので、私も「これで内容的に問題ありません。委任状
を添付しました」と、いわれたことだけに反応し、株主リストの話題が出ない
ため、そのまま返信してしまうことがあります。

 そうしてお客様から送付された書類に株主リストがないことに気づくわけで
す。中には事前相談もなく「書類送ったからね。登記しておいて」というのも
ありますが、到着した書類には株主リストが入っておりません。

 そうなんです。相手が優秀だと、こういうことがよく生じます。優秀でない
と、「登記に必要な書類を教えてくれ」などと一切お任せで来るので、書類漏
れも生じないのですが………。

 次に多いのは印鑑届漏れです。社長が交代したのに、同じ印鑑を使う場合は
印鑑届を不要と思い込んでいるようです。つまり、顧客の発想は、印鑑は会社
が届け出たもので社長の交代では左右されないというものですが、登記実務で
は印鑑は代表取締役個人が届け出るものとなっており、A代表取締役がB代表
取締役に交代すれば、印鑑もB代表取締役として届け出しなければなりません。

 旧商法時代は10年1日のごとく同じことを繰り返していればよかったので
すが、最近の登記は毎年のように変化しているため、本人申請は危険になりま
した。今日も本人申請の会社の登記申請をチェックしていたら、監査役が交代
するのに監査の範囲を会計に限定する旨の登記に気付いていないことを発見し
ました。

 あちこちに落とし穴が掘られている現在の商業登記は、集中力が必要になっ
てしまいました。



2017.04.06(木)【映画「不思議なクニの憲法」】(金子登志雄)

 4日の火曜日は日司連ホールで、松井久子監督の「不思議なクニの憲法」と
いう映画を視聴してきました。

 映画というよりも、多くの人(自民党の船田元氏、伊藤塾長の憲法に強い伊
藤弁護士、小澤一郎を稀にみる世界的な政治家と高く評価するオランダ人の政
治学者で日本研究家のカレル・ヴァン・ウォルフレン氏など)にインタビュー
するドキュメンタリー風のものでした。

 最後に監督が壇上で挨拶していましたが、ドイツで上映した際はドイツ人の
若者が多数出席したが、日本では若者がほとんどみに来ない(日司連ホールで
も同じでした)、上映する際も憲法の映画ということで会場を貸してくれない
ところも日本では多いとおっしゃっていたことが印象的でした。

 同じ敗戦国でもドイツではナチスの行いの反省の上に立ち教育でも自分の意
見を持てる人間を育ててきたが、日本では、近代史の教育はほとんどせず、自
立した個人を育てず、政治や憲法問題に無関心な人間を育ててきたことが原因
のようなこともおっしゃっていました。

 確かにそうですね。日本では自分の意見を持つ自立した人間は協調性がない
とされ、女性も従順で「かわいい」ことが最優先されている不思議なクニです。
個よりも組織や集団、国を最優先する国民性です。

 これに関連して、籠池親子(特に長男)や作家の菅野完さんなどのツイート
をみていると、権力に対して物怖じせず、あちこちからの胡散臭いなどといっ
た集団リンチの中傷も気にせず、全面的に「個」を表に出し、安倍総理等を批
判し続けており、すごいなと感心してしまいます。

 あのデビ夫人や被爆体験者の美輪明宏氏もそうですが、右であろうと左であ
ろうと、こういう人間が100人に1人の割合でも存在すれば、もう少し世の
中もよくなるのかもしれないと思うこの頃です。

 なお、物書きの人は作家菅野氏の本質をつく発言が実に勉強になりますので、
ネットでのウオッチを勧めます。最近の発言では「紙を捨てたと言い張る側が
紙を提出してくる側を『嘘つき』呼ばわりする」という、極めて珍妙な光景」
という表現に、妙に感心してしまいました。

 紙ではありませんが、権力側の昭恵夫人も秘書の谷さんも雲隠れですが、カ
ネも力もない庶民の籠池親子は雲隠れも入院もできません。不公平なものです
ね。



2017.04.05(水)【時を超える存在】(藤沢・酒井恒雄)

 先日、司法書士試験の新規合格者向けの研修会がありました。丸一日かけて
の商業登記関連の研修会で、午前は株式会社の設立を中心としたグループ・デ
ィスカッション、午後は午前の内容を踏まえての統括講義というカリキュラム
です。

 先日登壇した司法書士の新人研修では、商業に関連する分野の業務にも興味
をもってもらうため、会社のライフサイクルについても話をしました。

 会社と信頼関係を築くことができれば、一度きりの仕事で終わることなく、
会社のライフサイクルの中で発生する、その時々の仕事も依頼してもらえると
いう趣旨の話です。

 会社の業績が上がっているときも、下降気味のときも、それに応じた相談や
仕事があります。そのサイクルが早い会社もあれば、ゆっくりとしたサイクル
で回る会社もあります。

 自然人の場合、年を重ねるごとに体力が落ちて行きますが、会社(法人)の
場合には、たとえ80、90歳になっても、そこから急に若返ったり、今まで
になく活発になることもあります。永遠に生き続ける可能性だってあります。

 講義の中で、ギネス認定もされている世界最古の会社について質問をしてみ
ました。会場からは、日本の「金剛組」だという声が聞こえました。正解です。

 次に、その金剛組の創業年数を訪ねてみました。100年?200年?それ
とも500年?さすがに知っている受講生はいませんでした。

 正解は約1,400年です。会場がどよめきましたが、私もこの数字を知っ
たときは、すごく驚きました。

 他の長寿会社も調べてみましたが、有名なところですと、羊羹のとらやが約
500年、スーパーゼネコンの竹中工務店が約400年、百貨店の松坂屋も約
400年だそうです。

 もちろん、創業当時から会社の形態をとっていた訳ではなく、途中に組織再
編があったりもしていますが、事業体としては今も生き続けているわけです。
自然人の寿命は長くても110歳前後です。ロマンティックな言い方をすれば、
会社は時を超えて生き続けているわけですよね。

 ちなみに、「ビジョナリーカンパニー」(著ジェームズ・C・コリンズ、ジ
ェリー・I・ポラス)という本があるのですが、邦訳の副題が、「時代を超え
る生存の原則」です。なんだかワクワクしませんか?会社って、やっぱり面白
いです。


2017.04.04(火)【アニメに思う】(島根・根来川弘充)

 先日、子供に連れられ、アニメの映画を見に行きました。

 昔からあるアニメなのですが、ストーリーや、新しいキャラクター、作図の
構成などは、どこかで見た感があり、何か新鮮なものを感じることができませ
んでした。

 もちろん、子供はとても喜んでおり、大人が対象でないから、当然のことと
いえば、それまでのことでしょうが、他の子供向けのアニメを見ても、同じよ
うな思いをすることがあります。

 何十年のアニメの歴史で、子供の支持をえられる傾向というものが分析され、
このような傾向になっているのかと思いますが、一方で、新しい作品は生まれ
にくい環境になっているのではないかとも思ってしまいます。

 今はよいのかもしれませんが、夢のある世界が、尻すぼみになってほしくな
いと思います。


2017.04.03(月)【光陰矢の如し】(金子登志雄)

 籠池氏証人喚問の際に若い弁護士が補佐してましたが、「あれは誰だ」と気
になっていた方も多いことでしょう。私も同じです。人権派か、ひょっとして
籠池氏と同じ右翼か、単なる知り合いの街の弁護士か………。

 少なくとも籠池さんと同じ大阪あるいは関西の方だと想像していましたが、
東京都の先生でした。私がよく行く麹町公証人役場の道路の反対側のテレビに
時々登場する紀藤弁護士をボスとする事務所でした。

  http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/20170331kougisho.pdf

 カルト問題に強い先生のようですから、その関係で紹介を受けて弁護を受け
たのかもしれません。籠池氏に支払能力があるか疑問なだけでなく、これから
は、森友問題の端緒を作った木村・豊中市議や作家の菅野氏と同様に、ネット
で様々に誹謗中傷されることでしょうが、帰国子女でバイリンガルで、しかも
ITに強い新時代の弁護士のようですから、めげずにご活躍に期待したいもの
です。

 さて、今日は4月の最初の営業日で当社の入社式です。毎年、この司法書士
の書き入れ時に入社式で時間を取られ私も辛いところですが、新入社員にとっ
ては生涯忘れられない記念の日ですから必ず出席して役員の一人としてお祝い
の言葉を述べるようにしています。

 今年の新人は平成6年当たりの生まれになります。私にとっては、昨日も同
じです。こうやって歳を取っていくわけで、光陰矢の如しですね。



2017.03.31(金)【委任状の日付】(金子登志雄)

 3月末日です。書き入れ時の3月下旬だというのに、本日申請予定の登記は
ありません。受託中の案件は、みな4月3日に申請する役員変更などばかりで
す。

 カンのよい司法書士なら、もうお分かりでしょうが、取締役の誰某が3月3
1日終了時に辞任し、後任の誰某が4月1日付で就任するという登記ばかりで、
今日は申請することができないのです。

 その案件の中には登記申請の委任状の日付(委任日)が3月〇〇日となって
いるものがいくつかありました。訂正印がありますが、さて、どうしましょう
か。

 昔はこれで補正扱いになることが少なくありませんでした。「登記の依頼は
登記申請が可能になってからするものだから、この日付では困る」というわけ
です。

 しかし、この理屈によると、4月1日効力発生の合併は4月1日になってか
ら受任しなければならず、朝一番の申請が困難になります。実務に支障が生じ
るだけでなく、3月中に4月1日の日付で委任状をもらうのは、大袈裟に言え
ば、ウソの日付になってしまいます。

 3月の日付の委任状であっても「登記申請が可能になる4月になってから申
請せよ」というのが暗黙の了解事項になっていることは常識ですから、法務局
の対応に多くの不満が寄せられていました。

 やっと我々の意見を当局も認め、登記情報645号(昨年8月号)8頁以下
で前補佐官の櫻庭氏が「委任状に記載された登記原因の内容等からみて、委任
状作成時に委任の内容となる登記原因が既に確定していると判断できる場合に
は、委任状の作成時期が登記原因となる事実の発生前であっても、当該委任状
によって適法な代理権の授与があったと判断することができると解される」と
書いてくれました。

 ということで3月の委任日付で4月に登記申請しますが、一抹の不安があり
ますので、鉛筆で「登記情報645号8頁で肯定されている」とメモ書きして
おきます。



2017.03.30(木)【寄付と「旨」】(金子登志雄)

 ヲタ言葉ではありませんが、皆様は「寄付」を何と読みますか。

 一般ニュースの森友問題を読んでいるときは自然に100万円の「キフ」と
読み、株式ニュースに関する情報を読んでいるときは自然に「ヨリツキ」と読
んでいる自分を発見し不思議な感覚です。

 文章にするときは、私は、前者につき「寄附」と書くことが多いのですが、
無意識に勘違いされないようにしているのかもしれません。

 ところで、皆様は文章で「………旨」を使いますか。法令や判例、通達など
では、「監査役を置く旨の定款の定め」、「代表取締役を定めることができる
旨の定款の定めは有効であると解するのが相当である」などと頻繁に使います
ので、私も書籍や論文では、よく使います。

 日常生活でもそうかなと思い、念のため、本徒然を検索したところ、私も他
の人も使っていませんでした。メールや手紙などでも使いませんが、そのこと
を意識したこともありませんでした。

 実は安倍昭恵夫人のフェイスブックに「そのようなことを行っていない旨、
秘書2名にも確認しました」などと、「旨」が2か所で使われているなどで、
これはご本人の文章ではなく、官邸の秘書官あたりの作文だろうといわれてい
ます。

 理系出身の元検事として著名な郷原さんも、すぐにこの文章は、「旨」以外
の部分を含め本人のものではないと気付いたようですが、さすが、理系出身の
分析力ですね。
     https://is.gd/u9j5zv



2017.03.29(水)【ヲタ言葉】(藤沢・酒井恒雄)

 先日、司法書士試験の新規合格者向けの研修会がありました。丸一日かけて
の商業登記関連の研修会で、午前は株式会社の設立を中心としたグループ・デ
ィスカッション、午後は午前の内容を踏まえての統括講義というカリキュラム
です。

 私は、午後だけ登壇させて頂きました。実務の観点から、非常に細かい部分
まで突っ込んだ内容で話をしましたが、改めて、自分はマニアックな仕事をし
ているのだなとの実感しました。それが「専門家」と言われる所以でもありま
すが、若者の言葉で表現すれば、完全に「ヲタ(=オタク)」です。

 そんなことを考えていたときに、ちょうどテレビ番組で、その分野に傾倒し
ている人しか分からない「ヲタ言葉」を表示し、ゲストがその言葉の意味を当
てるというクイズをやっていました。ゲスト回答者は、そういう意味か!と感
心したり、言葉を失ったりしていました。

 そこで、司法書士しか分からない言葉を思い浮かべてみたのですが、「メイ
ヘン」「センジュウ」「カリサシ」あたりは、おそらくヲタ言葉になるのでし
ょうね………。

 もっとも、何気なく使用している専門用語も、法律の知識を持っていない人
からすれば、「ヲタ言葉」に等しいかもしれません。例えば、合同会社の「社
員」と「従業員」の違い、株式会社の「株式」と「株券」の違い等、お互いの
話がかみ合わないことも多々あるかと思います。共通言語で話ができているか、
言葉の意味が通じているかという確認が必要ですね。

(金子注)
  オタクとヲタクの相違
     https://is.gd/sOz8Aj
       https://is.gd/0sVFAr
  不動産登記はしませんが、たぶん、次のような意味です。
   メイヘンは不動産権利者の氏名や住所の変更(名義変更)
   センジュウは専用住宅証明書
   カリサシは仮差押え



2017.03.28(火)【諸外国の後見制度】(東京・鈴木龍介)

 取締役の欠格事由の1つとして、「成年被後見人若しくは被保佐人又は外国
の法令上これらと同様に取り扱われている者」という規定があります(会社法
331条1項2号)。後半(又は~)の部分は、旧商法になかった会社法であ
らたに設けられたものです(会社法がグローバル化を目指した一例といえると
思います。)。

 その規定自体は、制限行為能力者が取締役になれないということで、特段疑
義はないのですが、諸外国で日本の後見制度と同様のものがどの程度あるのか
という点は少し気になるところです。

 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートが発行している『リーガ
ルサポートプレスvol.14(2016年)』の「特集 世界の成年後見」によります
と、多くの国で日本の後見制度と類似した制度があるとのことです。

 具体的には、ドイツ・イギリス(イングランド・ウェールズ)・アメリカ・
カナダ・オーストラリア・韓国が取り上げられています。ただし、当たり前と
いえば当たり前ですが、類似といっても、それぞれの国の事情や背景等により
異なる点は少なくないようです。

 たとえば、アメリカの制度は、法定後見として必要最小限の権限を後見人に
付与するという一類型のみということです。一方、韓国の制度は、日本と同様
に、法定後見が三類型と任意後見で構成されているということです。

 日本の会社にも外国人の取締役が増えているとはいえ、実務の現場でこの規
定が適用され、取締役を退任するという事態に遭遇することはレアであるとは
思いますが、仮にそのような場合、退任登記における欠格事由を証する書面で
は苦労しそうです。


2017.03.27(月)【応用力格差】(金子登志雄)

 森友問題では、昭恵夫人の携帯がなぜか水没したり、秘書の谷さんが南米に
赴任という情報が駆け巡ったりで、夫人自身への疑惑まで拡大してきました。
「忖度」はないと言い張る与党議員が昭恵夫人の国会証人喚問を断固拒否する
こと自体が総理に対する「忖度」だとしか私には思えませんが、総理に対する
忠誠の表明だとしても、「個」や「自立」を失い、情けないものです。

 さて、この3月には、3月決算の上場会社の子会社の人事異動で、現・代表
取締役のAは3月31日に取締役も辞任し、4月1日からは現・取締役Bが新
・代表取締役に就任という登記相談がいくつかありました。

 Aの辞任届には会社届出印でないと個人実印の押印と印鑑証明書の添付が必
要になったことを忘れずに顧客に伝えていますが、特別な反応はありません。
会社届出印の押印が困難ではないからです。

 それよりも、顧客の作成してくる議事録案では代表取締役Bの予選が多くあ
りました。「予選決議時点の取締役構成と4月1日時点の取締役構成が相違す
るので、登記が受理されるかリスクが大きいので避けたほうがよい」とアドバ
イスすると、4月1日付での電話会議の議事録案を考えるようですが、今度は
4月1日が土曜日であるため、すぐにあきらめます。

 そこで、4月3日付にすると、2日間、代表取締役が不在になります。取締
役の地位を喪失していますから、代表取締役の権利義務者にはなりません。ま
た、前・代表取締役Aが辞任しているため、代表取締役Bの選定議案の取締役
会議事録には監査役を含む出席役員全員が個人実印を押して印鑑証明を準備し
なければなりません。

 拙著の読者の方はもうお分かりでしょうが、こういうケースの場合は、会社
法295条2項に従い、定款変更し株主総会で代表取締役を選定すれば容易に
諸問題が解決するのですが、「いとも容易」と思うのは法務に通じた担当者だ
けのようで、法務部あるいは総務部全体ではありません。周囲の説得が面倒で、
最終的には、例年どおりの方式になることも少なくありません。

 デジタルデバイド同様に、法務知識の応用力格差も会社によって個人によっ
て差がありますので、相手に応じて臨機応変に対応するしかありませんでした



2017.03.24(金)【いつか来た道】
(仙台・立花宏)

 先日、仙台のある百貨店がその歴史に幕を下ろしました。昨年、創業70周
年を迎えたという記事を新聞で見かけた記憶がありますので、戦後間もない頃
に創業した百貨店だったようです。

 その百貨店には子供の頃から何度も訪れました。私が子供の頃は屋上に遊園
地があり、子供用のゴーカート等に乗って遊んだ記憶があります。また、食堂
の前に飾られていた三段重ねのホットケーキ(おそらく、食品サンプルだった
ろうと思います)にとても心惹かれた思い出があります。

 でも、一番、覚えているのは、夜9時に、その百貨店が鳴らしていたミュー
ジックサイレンです。山田耕筰作曲の「この道」でした。「この道はいつか来
た道(作詞:北原白秋)」ではじまる歌詞の曲というとぴんと来る方も多いで
しょう。

 子供の頃は、その曲が聞こえてくると、そろそろ1日が終わり、就寝の時間
なのだという気持ちになりました。

 いつの間にか、鳴らなくなったと思っていたのですが、昨年、30年ぶりに
そのミュージックサイレンを数日間だけ復活させて鳴らしたことが話題になり
ました。そのミュージックサイレンを覚えていらっしゃった方も多かったよう
です。

 仙台市民にとっては、いつも変わらず、仙台駅前にあった、とても思い出深
い百貨店ではあったのですが、名前を何度か変えるなどしており、その歩んだ
道は平坦ではなかったのかもしれません。

 インターネットで調べてみたら、当初は合名会社で発足し、合併等を行った
り、民事再生手続やその中で100%減資を実施し、ファンドから出資を受け
入れたり、会社分割を行ったりと、様々な手法を用いて、戦後の時代から平成
の時代へと歩んできたようです。

 この百貨店は、私が生まれたときには既に仙台駅前にあり、ずっとそこに存
在していたため、あることが当然のように感じていました。

 しかし、その歴史はつい先日、幕を下ろしました。この百貨店の歴史、歩ん
できた道の一部は、登記簿に記録されているはずです。この百貨店の来た道を
調べてみようかな。そんなことを思いました。


2017.03.23(木)【気になる表現その2】(金子登志雄)

>金子先生とお話しをさせて頂いたり、メールのやりとりをさせて頂くように
>なってから、文章の細かい表現も気になるようになりました(笑)。

 いいことですね。酒井さんは文章が上手ですから、ますます期待してしまい
ます(酒井さんの雑誌への投稿記事をみて、分かりやすい文章を書く方だなと
感心して、思わずファンレター代わりに電話してしまったこともありました)。

 物書きや法律家はみな文章にこだわります。こだわらなければ、本物とはい
えません。法律家にとっては、文章は飯の種ですし、文章は絵描きの絵と同様
に、書き手の「作品」だからでもあります。昔『実戦M&A事典』という書籍
の編集に従事したことがありますが、執筆者の弁護士数人の文章を手直しし、
何度か烈火のごとくお叱りを受けたものでした。俺の「作品」にケチをつける
のかというわけです。

 文章表現にこだわりながら会社法の条文をみていますと、新保さんのブログ
にありましたが、新株予約権で「払込みの期日」と「払込期日」が違うなどと
いうことにも気付きます。「定款を変更する」ではなく、「定款の変更をする」
で「定款の変更」でワンフレーズであることなどにも気付きます。

 「払込み」と「支払い」の相違もご存知ですか。「払込みの~」なら「支払
いの~」となりそうですが、法令用語では「支払の日」などとし「い」は使い
ません。

 若い頃、現在でもベストセラーが続く本田勝一著『日本語の作文技術』を読
んで以来、この文章は、なぜ、まずいのかも考えるようになりました。

 例えば、349条3項の「定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主
総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる」を、
「定款の定めに基づく株主総会の決議によって」と誤解して読む方もいます。

 これは「株主総会の決議、定款又は【定款の定め】に基づく取締役の互選に
よって、取締役の中から………」と順序を変えれば、誤解されずに済みます。
旧有限会社法27条3項では「定款若は社員総会の決議を以て会社を代表すべ
き取締役を定め、………又は【定款の規定】に基き取締役の互選を以て会社を
代表すべき取締役を定むることを妨げず」でしたから、誤解されない文章とい
う点では旧有限会社法が上回っていました(【】部分の「定め」と「規定」の
差に興味を感じませんか)。
 
 計算書類承認の「別段の異議なく」についても推測してみました。

1.実質は報告案件に近く、終わったものをいまさら反対してもどうにもなら
 ないという意識がある。
2.「選任の件」や「変更の件」ではなく「承認の件」とあるため、「承認」
 を受けて、別段の異議なく承認と受ける。
3.監査役の報告のあとに、承認決議することがほとんどのため、「報告→異
 議なし」という文章の流れになりやすい。
 
 ………あたりが理由でしょうか。合併契約承認の件は、終わっていないので、
「別段の異議なく」とはあまり使わないようです。



2017.03.22(水)【気になる表現】(藤沢・酒井恒雄)

 金子先生とお話しをさせて頂いたり、メールのやりとりをさせて頂くように
なってから、文章の細かい表現も気になるようになりました(笑)。

 いままで何の気もなしに目にしていたのですが、今、定時株主総会の議事録
の内容が気になっています。

 議事録の作成、レビューの依頼、申請時のチェック等、なにかにつけて目に
する機会が非常に多い定時株主総会議事録ですが、「決算承認の件」の議案と、
「役員改選の件」の議案で、議案が承認されたときの書きぶりが違う場合が多
くありませんか?

 両議案とも、「賛成多数により」とか「出席株主の過半数の賛成により」と
なっている場合もありますが、決算承認に関しては、「別段の異議なく」とな
っている場合が圧倒的に多いかと思います。

 大多数の株式会社では決算承認が報告ではなく、議案になっていると思うの
ですが、何故、「総会は別段の異議なく承認した。」となっているのでしょう?

 自分の調べ方が悪かったのか、そして自分が無知なのかもしれませんが、明
確な答えが分かりませんでした。そこで勝手に理由を想像してみました。

① 株主が計算書類を読んだところで、計算書類の閲覧等をしていない以上、
 通常はその詳しい内容までは把握できない。よって明確に賛成できないとし
 ても、別段の異議がなければ賛成されたとみなされるから、このような表現
 になっている。

② 会社法施行前は、営業報告も承認事項に入っていたので、報告について賛
 否を表明するのもおかしいということで異議なくという表現になっていた。
 それが今でも続用されている。

 いかがでしょうか。①ですと、株主にとって難解である議案であれば、計算
書類の承認に限らず当てはまりそうです。そうなると、②のような気がするの
ですが、ほかに正解があるかもしれません………。御存じの方はいらっしゃい
ますか?


2017.03.21(火)【忖度(そんたく)】(金子登志雄)

 全自動忖度機という用語が広まってきたようです。政治家や上層部が直接指
示すると違法になるので、指示を受けなくとも、あうんの呼吸で官僚側や部下
が意図を忖度して動くことです。忖度できない者は出世することができません。

 しかし、KY(空気を読めない人)という用語もあるとおり、これは単一民
族の日本社会全体にいえますね。ビジネス社会でも有力者の誰々の紹介となれ
ば、対応が異なるものです。だから、政治家や有力者等と親しいことを自慢す
る人が多いのでしょう。

 ビジネス社会の忖度は、会社に損か益かが最終判断のため、検討してくれる、
検討結果が早くなるといった程度で、ある意味では潤滑油機能に過ぎませんが、
官僚の世界では、「自分の出世に損か益か」で判断され、国民の損得は度外視
されますから、今回の8億円値引き問題疑惑はうやむやに終わらせてはなりま
せん。

 念のため、銀行や法務局は「忖度」できないように頻繁に人事異動がなされ
ます。せっかく親しくなっても、3年もせずに転勤です。不正防止のため、そ
れは仕方のないことですが、商業登記に詳しくない人が人事異動で商業登記担
当になり、私のように、この道30年以上のベテランに「これは困る。補正だ」
と指示することもあるので、KYでない担当者は、いつ反論されるかと辛いと
ころでしょう。ご心配なく、私の方で担当者様のお立場を忖度し、丁重に説明
申し上げますので。



2017.03.17(金)【有限会社と株主リスト】(金子登志雄)

 森友学園問題は、政治ニュースから籠池氏個人のキャラをからかうワイドシ
ョーに意図的に(?)方向転換され、籠池氏1人が逮捕されて、トカゲのしっ
ぽ切りで終わるかと思っていましたら、籠池氏の反撃が始まり、新たな局面に
入りました。

 籠池氏は味方だと思ってい保守層の方々に手の平を返され次々と冷たくあし
らわれ、何と敵だったはずの『日本会議の研究』(扶桑社新書)の著者である
フリージャーナリストの菅野完(すがのたもつ)氏と最近は親交を深めている
ようです。

 人は窮地に陥ると、真相を話せる真の味方を求めるものですが、スジガネ入
りの味方を得て、籠池氏も、秘密を知るのは1人でなくなったので、力を得た
ことでしょう。窮鼠が猫を噛む場面に期待したいものです(注)。

 さて、今度、有限会社の案件で定款変更するのですが、有限会社の決議要件
は議決権の4分の3以上であるのに、株主リストは3分の2以上までですから、
何となく違和感を感じてしまいます。

 しかし、通常の株式会社であっても譲渡制限を設定する場合は、特別決議よ
りも重い決議要件ですが株主リストは3分の2までです。株主全員同意の書面
決議でも同様です。

 株主リストは総会決議等がなければ不要であることから、この点では従属し
ても決議の要件を満たしたものかを問うものではないため、この点では独立し
た登記の添付書面です。

 慣れるまでは違和感を持ってしまいますが、慣れると本質がみえなくなりま
すから、今は違和感を感じることが重要だと思っています。

 (注:土日にどうぞ)
    https://www.youtube.com/watch?v=q5UAlBr2AtA
    https://news.yahoo.co.jp/byline/akazawatatsuya/20170315-00068712/



2017.03.16(木)【和洋折衷】
(金子登志雄)

 監査役制度を採用しない監査等委員会設置会社がすでに700社を超えてい
ます。

 制度初期は、指名委員会等設置会社が1軍とすると、2軍のイメージのある
監査等委員会設置会社は敬遠されるだろうと思っていましたが、社外取締役を
置かない理由を事業報告書や総会招集通知に記載せよなどという推進制度が功
を奏したことと、社外取締役と社外監査役の両方を置かずに済み安上がりだと
いう点が歓迎されたのか、急膨張です。

 しかし、その子会社は依然として監査役設置会社でしょうから、グループ全
体でみると和洋折衷です。しかし、迷うどころか、結婚式はキリスト教、家を
建てれば神式の地鎮祭、葬式は仏教、アンパン大好きという日本人ではお手の
ものかもしれません。

 日常生活でこれだけ和洋折衷が溶け込んでいるのに、思想となると、反韓・
反中になり、日本人でない者は帰れなどと、「血」にこだわるのはなぜなんで
しょうか。

 経済の成長の面からみれば、人種のるつぼのほうが有利ですし、米国のシリ
コンバレーの発展は東西南北の文化が融合した場所だからと聞いたことがあり
ます。

 日本の成長のためには、思想的にも血液的にも和洋折衷になってほしいと思
っていますが、現下の教育制度では難しいでしょう。いつか、どこかの幼稚園
で、安倍総理頑張れ、トランプもプーチンも習近平も皆頑張れなどと宣誓させ

る時代が来ることを願っています。


2017.03.15(水)【監査役の英文呼称】(藤沢・酒井恒雄)

 以前の投稿で、鈴木龍介先生が常勤監査役の「常勤性」について書かれてい
ました。

 私も過去に、監査役への就任を打診された経験があり、社外ではなく常勤で
との要望でしたので、そこで初めて「常勤性とは?」と、慌てて調べたのを思
い出しました。

 日頃の業務では、役員の社外性について検討する機会はあっても、常勤・非
常勤の違いについて検討する機会は殆どないかもしれません。何かのキッカケ
があって、よく調べてみると、なるほど!ということも多いかと思います。

 そんなキッカケが先日訪れました。ある会社から、監査役の英文呼称が正し
いか見て欲しいという依頼があったのです。

 原案には、「Audit & Supervisory Board Member」と書いてありました。読
んですぐに「Board Member」の部分が気になりました。「Board Member」とい
えば会議体の構成員という意味になるかと思います。

 その会社は、監査役が1名の監査役会非設置会社でしたので、その部分が気
になると伝えたところ、参考にしたという文献を教えてもらいました。公益社
団法人日本監査役協会が平成24年9月に公表した、「監査役等の英文呼称につ
いて」というものです。

 監査役会が存在しない場合でも「Audit & Supervisory Board Member」とい
う呼称を推奨しており、監督機能は取締役会だけでなく監査役も含まれるので、
取締役会+監査役で「Supervisory Board」と捉えているそうです。なるほど!
ですね。ただし、監査権限が会計に関するものに限定されている監査役の場合
は、別の呼称となりそうです。

 レポートには、この呼称を推奨するに至った経緯が書いてあり、監査役は日
本独自の制度なのだなと再認識できます。なかなか奥深い内容になっています。
(協会ホームページ http://www.kansa.or.jp


2017.03.14(火)【2つの「再任」】
(東京・鈴木龍介)

 「再任」という用語は、どうも2つの使われ方がされているようです。

 商業登記規則61条4項(代表取締役の就任承諾書に関する、いわゆる個人
実印押印・印鑑証明書添付の規定)や7項(取締役等の、いわゆる本人確認証
明書添付の規定)の特則である“再任を除く”の「再任」は、再度選任され、
被選任者が就任を承諾して再就任したことを意味します。なお、この「再任」
は、登記実務上の重任に限られません。

 一方、会社法338条2項(会計監査人の任期に関する、いわゆる「みなし
再任」の規定)の「再任」ですが、これは再度選任(決議)されたことを意味
します。したがって仮にみなし再任となった会計監査人が就任を承諾しなけれ
ば、再度、就任したことにはならず、再就任まで擬制するわけではありません
(相澤ほか・論点解説417頁)。

 ここで、ふと疑問に思うのは、会計監査人の重任の登記申請で就任承諾書の
添付を要しないとしている点です(平18・3・31民商782号通達(58
頁)。

 これは、みなし再任となる会計監査人は就任を承諾するのが通常であろうと
いうことで、積極的な就任承諾書の添付は不要とし(松井ハンドブック3版)、
就任承諾については、擬制ではなく推定を働かせた結果ということになるよう
です。


2017.03.13(月)【設立時役員の選任時期】
(金子登志雄)

 あの悲惨な3.11から6年ですね。
 6年前の当時は、盛んに、現場視察した菅首相への批判がなされていました
が、情報が東電からも官邸に上がらず、専門家の見立ても全くアテにならない
状況下では、菅さんもよく頑張ったと思います。その様子は、ドキュメンタリ
ー風の映画「太陽の蓋」に描かれていますので、機会がありましたら、ぜひ、
みに行ってください。

   https://www.youtube.com/watch?v=b4F5GePHjNE
   http://eiga.com/movie/84500/theater/ /

 さて、今日は大安で設立の登記を申請しますが、その都度、感ずることがあ
ります。

 会社法38条1項に「発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立
時取締役を選任しなければならない。」とありますが、これは出資前は民法上
の組合と同様に発起人全員の同意を要する世界だが、出資後は1株1議決権の
資本多数決の営利社団の世界になるので、資本多数決で決めよという意味です。

 発起人が1人であるなら、出資前に選任しても何の問題もなく出資を条件に
選任したと解釈することができると一般社会の方はお考えでしょうが(私もそ
うです。)、現時点の登記実務の主流は杓子定規で、これを認めません(地方

の法務局では受理されることもあります。)。

 本店所在場所の決定などは、規定がないためか出資前に決めても受理されま
すから、おかしな登記実務ですが、登記は個別対応の司法の世界ではなく、杓
子定規で文面重視で一律対応という行政の世界が支配しますから、仕方ない面
もあります。

 文面重視ですから出資前に「出資の履行がなされることを条件に」と明記す
れば、きっとどこの登記所でも受理されると信じますが、単なる選任日付の問
題に過ぎないため、まだ実験はしていません。


2017.03.10(金)【ややこしい商業登記】(金子登志雄)

 3月1日申請の登記もほぼ全て完了しましたが、つくづく商業登記はここ数
年でややこしくて面倒になったものです。

 1.取締役の就任? えっと、印鑑証明だったか本人確認証明かな。
 2.代表取締役の辞任? えっと、届出印だったかな、認印かな。
 3.株主リスト? 印鑑は申請人の印鑑でよかったかな。

 添付書面が増え、しかも、その判別をしなければならなくなりました。

 私のように商業登記に特化していれば、この判別に慣れていますが、そうで
ない方にとっては、そのたびに、えーと、えーとになってしまうことでしょう。

 顧客から郵送で届く登記書類にも、漏れや印鑑相違が少なくなく、すぐに登
記申請に臨めないことが増えました。

 こうややこしいと素人の参入が困難であるため、我々にはありがたいことで
すが、司法書士の中にも「ややこしくて、報酬の少ない商業登記はやーめた。
地方では会社も少ないし」という撤退組が年々増えていることでしょう。

 講演でよくいうのですが、撤退するのは一向にかまいませんが、完全撤退で
はなく、商業登記に詳しい同職に仕事を回してください。共同申請でも窓口機
能でもかまいません。そうでないと、お客が依頼先に困り、しいては司法書士
全体の信用問題になります。

 ちなみに、不動産で十分に食える同職は、面倒な商業登記を私に回してくれ
ます。彼自身でするより、私なら20分の1の時間でできますので、早く効率
的です。私も不動産登記の仕事は仲間に回します。私にとっては、不動産はや
やこしくて面倒ですから。


2017.03.09(木)【質問の仕方】(金子登志雄)

 「デジタル」音痴の私も、誤字脱字を含む補正内容の登記を申請をしようと
した瞬間に警告音のなるスマホや腕時計があったら、ぜひほしいものです。

 さて、免責の登記で数年前にB法務局から東京法務局に質問したら、新設分
割登記に含まれると回答し、今回A地方法務局が同じことをしたら、別途だと
いう回答をしたこと、TPOや担当者によって回答が異なることは珍しくない
と一昨日書きました。

 もう1つ重要な理由があります。質問の仕方です。

 「登録免許税法の別表を仔細に調べたが、規定がみつからない。新設分割に
よる事業移転に含まれるともいえるので、課税することは困難だと思いますが、
いかがですか」と聞けば、「そうですねぇ。それは無理でしょうね。非課税で
よろしいのじゃないですか」という回答になり、「免責の登記は独立の登記で
あり、設立事項に含まれません。これを非課税にしたら、個人商号の場合とバ
ランスを欠きますので、やはり課税するのが正しいと思います。東京法務局の
どなたかが数年前に非課税とお答えしたようですが、いまでもそうですか」と
聞けば、「ご意見のとおり、別途課税が理論的だと思います」となります。

 質問するときは、「課税か非課税か教えてくれ」という単純に「イエスかノ
ーか」と聞けば、回答者に防衛本能が働き「ノー」となりがちです。上記のよ
うに「これこれしかじかの理由に基づき、こう思うがどうか」と聞くと、「あ
ぁ、十分に調べたうえで聞いて来たんだな。うっかりノーと答えると失礼にあ
たるし、反論されて恥をかくかもしれない」と無意識に思い、「よいのではな
いですか」となります。

 簡単なようでいて難しい方法です。私に対しても「これこれしかじかの理由
に基づき」と質問してくる方が少なくありませんが、この「これこれしかじか」
の部分につき質問者の勘違いや勉強不足がみえてしまうことが多く、「うっか
りノーと答えると失礼にあたる」という心境になれません。

 やはり十分に理論武装して質問をしないと、間合いをはかられてしまいます
ので、質問の達人になるのにも勉強、勉強ですね。


2017.03.08(水)【デジタルデバイド】(藤沢・酒井恒雄)

 「デジタルデバイド」という言葉をご存じですか? 「パソコン、インター
ネット、情報機器などを使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差
のこと。」だそうです。

 デジタルデバイドが生む格差としては、得られる収入や情報の格差、利用で
きるサービスの格差などが挙げられています。我々司法書士も、登記のオンラ
イン申請制度の導入当初は、オンライン制度に対応できるか否かで、受託の件
数や収入の格差が生まれるのではないかと心配された時期がありました。

 今はそんな話題を耳にすることもありませんが、実際に格差は生まれたので
しょうか?

 少し話題が変わります。私は、今年になって身の回りの物を一新したくなり、
長らく使用していたスマホも、買い替えることにしました。せっかく替えるの
だから、一番新しいものにしようと思い、リンゴ印のスマホを購入しました。

 聞くところによれば、このスマホは腕時計と連動して便利なこともできると
のこと。併せて専用の腕時計も購入しました。連動する腕時計では、スマホに
届いたメールや電話がチェックできるので、とても便利です。

 腕時計を使って電子マネーで買い物もできます。それだけでも十分なのです
が、更に私の知らなかった機能が備えられていました。

 ある日、仕事の休憩中に椅子にもたれかかっていると、警告音が鳴り響きま
した。地震警報の時になるような、大きな警告音です。発信源は腕時計です。
画面を見ると「緊急連絡」と出ています。きっと、自分が誤って、何かのボタ
ンを押してしまったのだと思い、画面を消して、再び椅子にもたれかかりまし
た。すると、また警告音が鳴ったのです。

 そこで分かったのですが、どうやら、手首を圧迫するような体制で椅子にも
たれていたので、一瞬、脈が止まった状態になったようなのです。それを腕時
計が感知して、「救急車呼ぶ?」と尋ねてくれたのです。

 機能の説明を調べたところ、やはりそういうシステムになっていました。危
機状態が続けば自動的に緊急連絡が発せられるそうです。GPSで位置情報も
分かりますので、何かあっても早期発見される確率が高いということになりま
す。これには驚きました。デジタルデバイドは、人の寿命にまで影響を及ぼす
ようです。


2017.03.07(火)【代表取締役の住所変更】(金子登志雄)

 任期10年の株式会社の代表取締役が5年前に住所を変更しましたが、放置
していたところ、この3月に任期満了し再任したとします。

 この場合、①住所変更登記、②重任登記の2つをせずに、新住所での重任登
記だけでも登記が受理されます。

 これにつき、合法的な中間省略登記だとみる見解が多数ですが、重任登記は、
旧住所での退任と新住所での就任登記であり、就任登記には正しい登記がなさ
れ、退任登記には、住所変更の登記よりも先に退任の登記を申請しただけです
から、中間省略登記とは相違すると私は考えています。

 また、この重任登記は「①退任、②住所変更、③就任」の登記を同時に、一
括して申請したともいえ、省略したのは住所移転の日だけで、新住所について
は登記をしています。

 この場合に限らず氏名や住所の変更には証明書類が不要です。なぜかを考え
ると、「誰が役員か」が登記の中心であり、住所は、その人を特定する要素の
1つに過ぎず、住所についても、住民票の住所、生活の本拠である法律上の住
所、連絡先である住所などさまざまあること、頻繁に住所を変えることも多い
こと、氏名の変更でも、鈴木A子さんが結婚して田中A子さんに変わっても、
やはりその方を特定するのに鈴木A子さんと記載しても特段の支障はないこと
が根拠ではないでしょうか。

 ちなみに、私も、住民票の住所は家族のいる横浜市内、平日寝泊まりするこ
との多い場所は、執筆場所として借りている東京都目黒区、連絡先住所は司法
書士事務所のある東京都千代田区です。どれも住所みたいなものです。

 例の本人確認証明書も現状は住所証明書と変わりがないのに、目的は、その
人の正しい住所を調べるためではなく、その人の実在していることの証明です
から、本人確認証明書と名付けられたと思っています。



2017.03.06(月)【免責登記の登録免許税】(金子登志雄)

 3月3日本欄の緊急注意をご覧いただけたと思いますが、新設分割による設
立登記と同一の申請書で免責の登記を申請しましたが、登録免許税は別途とさ
れ3万円を追加いたしました。

 下記のブログをみて安心して申請したのですが、残念でした。

 http://oshiken.blog.jp/archives/8550691.html

 上記には東京法務局の回答とありますが、私の申請先は、関東のA地方法務
局でした。しかし、そのA地方法務局は念のため上級庁の東京法務局にも確認
したそうですから仕方ありません。また、今後、実務が二転三転するかも知れ
ないが、今回はお願いしますという丁寧な要請でしたし、私も別途説に一理あ
るなと思いましたので応じました。5万円以上だったら、検討させてください
と答えたでしょうけど。

 そこで、土日にゆっくり考えてみました。

 会社法911条3項に設立登記事項が列挙されていますが、ここに規定され
ていない清算人の登記や支配人の登記などが、独立の登記だとされています。
免責の登記は会社法22条に規定され、会社分割でも準用されています。

 独立の登記の特徴は、原因年月日の登記がされず、「年月日登記」だけであ
ることと登録免許税が別途であることです。

 支配人の登記につき登記記録例をみましたら、設立と同時の場合は「年月日
登記」も記載されていませんでした。これは意外でした。独立していないじゃ
ないかと思ったわけです。それなら、設立と同時の支配人の選任の登記につい
ても、登録免許税を設立に含めてよさそうですが、これは登記研究で否定され
ていました。

 こうしてみると、免責の登記も設立とは別に必要だというA地方法務局見解
が正しいように思いますが、なぜ、設立の登記に含まれると過去に東京法務局
は回答したのかという疑問が生じました(念のため、TPOや担当者によって
回答が異なることはよくあることです。)。

 恐らく、登録免許税法の別表に、清算人や支配人は独立して課税額が規定さ
れているのに、免責の登記については規定がなく、本件では、新設分割による
事業の移転とともに行われるものだから、新設分割の設立に含まれると解釈し
たのではないでしょうか。

 免責の登記の課税額については、広島の幸先司法書士から資料として送られ
た「全訂第2版 詳解商業登記(下巻)」547頁では、解釈によって、その
他変更事項の「ツ」にしていましたが、「ツ」は設立後にしか適用されません
から、設立と同時の免責の登記には課税することはできないと解釈することも
不可能ではありません。「規定なくして課税なし」です。

 幸先さんは、その他事項の「ツ」なら、無対価吸収分割だと併せて3万円だ
から、新設分割とバランスを欠く面があるとの意見でしたが、確かにそうです
ね。単に金額だけ準用しただけで、「ツ」そのものではないとすると、ここで
も別途3万円になりかねません。

 ということで、独立課税説も非課税説もいずれも成り立ち難問です。A地方
登記所のいうとおり、今後、二転三転しそうですが、将来、非課税説が勝利し
たら、今回の3万円は返却してくれるのでしょうか。その時まで、今回の担当
者さんが転勤していなければよいのですが………。


2017.03.03(金)【免責の登記】(金子登志雄)

 3月1日に「新設分割+免責の登記」を申請しました。会社分割の登記後に
免責の登記をしたことは何度かありますが、同時の申請は初体験でした。

 そんなことができるのかと思った方も多いでしょうが、私はだめとはどこに
も書いていないということはできるのだと前向きに考えるようにしてます。自
己規制したら発見もありません。

 念のためネット検索したら、経験者の同職がおりましたので、確信して申請
しました。

 なお、前にも書きましたが、免責の登記につき、東京法務局発の書式例では、
「当会社は平成〇年〇月〇日事業の譲渡を受けたが、譲渡会社である株式会社
〇〇〇の債務についてはその責めに応じない。」であり、これ以外を認めない
登記所もあるので、それは「例」の1つにすぎないとメモ書きし、「吸収分割
を受けたが」や「新設分割を受けたが」という実例を添えておきました。

 ところで、この免責登記は抹消(廃止)することができないといわれていま
すが、実際にそうなのでしょうか。そうだとしたら、それは、実務の強いニー
ズもなく抹消できるという先例等がないだけで、抹消できないわけがありませ
ん。もし、そういう要請を受けたら、管轄登記所経由で先例を出すようにはか
るべきでしょう。

 私のところには、いまだ、そういう依頼はありませんが、あったら粘り強く
頑張るつもりです。採算には合いそうもありませんが、金子登志雄記念先例を
打ち立て、子供たちに褒めてもらいたいものです。
     https://www.youtube.com/watch?v=7WlLSn_h5n4


(緊急注意)
 設立と同時でも免責の登記は設立事項に含まれないため、登録免許税は別途
だとされました。登記所によって扱いがまちまちのようです。気をつけてくだ
さい。



2017.03.02(木)【インターネットと犯人探し】(島根・根来川弘充)

 先般、インターネットによる万引き犯探しが、問題となりました。

 その是非を論ずるのは控えて、結果的に、犯人が見つかった という事実が
残りました。

 私が受ける相談として、振り込め詐欺など、悪質商法被害に関するものがあ
ります。これに関する一番の問題は、加害者を特定するのがとても困難であり、
一度被害にあうと、その回復がほぼできないという点があります。

 その点、今回の問題は、加害者が特定できていない中でも、解決につながる
ことができる有効な手段がみつかったと言わざるを得ないと思いました。

 結果が出てしまった以上、今後、似たようなケースが増えると思います。

 法律家である以上、法を違反する、もしくは、その危険がある行為を支持す
ることは、やはりできません。

 守られなくなれば、もはや法は、その存在価値をなくします。言い過ぎかも
しれませんが、インターネットは、法を骨抜きにする危険があるのかもしれま
せん。


2017.03.01(水)【体の防御機能】(藤沢・酒井恒雄)

 私の住んでいるところは海が近いので、サーフィンをやっている友人が沢山
います。サーフィンをしたいがために、この地域に移り住んでくる人も珍しく
ありません。

 好きな人は冬でも早朝から海に入っています。当の本人は、サーフィンをや
ったことがありません。小さい頃から海に親しんでいましたが、素潜り専門で、
サザエやカニ等を取って遊んでいました。

 大人になってからは、オフロード・バイクが好きになってしまい、海とは反
対方向の山に走りに行っていました。天邪鬼(あまのじゃく)なのかもしれま
せん。

 先日、美容院の担当者と話をしているときに、サーフィンの話になりました。
その中で「サーファーズイヤー」という単語が登場しました。サーフィンのお
祭りとか、サーファーの年間最優秀選手のことかと思いきや、病気の名前なの
だそうです。

 「イヤー」は「Year」ではなく「Ear」の方で、冷たい海水が耳に入
ると、軟骨はそれを防ごうとし、段々と軟骨が隆起してしまうという病気なの
だとか。症状が悪化すると完全に耳の穴が閉鎖されてしまうそうです。

 人の体の防御機能って、すごいですよね。そういえば、そろそろ花粉症の季
節です。私はずっとこの症状に悩まされ続けています。仕事の集中力も削がれ
てしまうので嫌な時期です。

 花粉症も、体に異物(花粉)が入り込むことを防御するためにクシャミが出
たり、涙が出たりする症状なので、体の防御機能が働いている証拠ともいえま
す。それが過剰防衛となるからいけないのです。花粉は急迫不正の侵害者では
ないと自分に言い聞かせていますが、未だに体は言うことを聞いてくれません
………。


2017.02.28(火)【常勤性の判断】(東京・鈴木龍介)

 「監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。」
という規定がありますが(会390条3項)、会社法には「常勤性」の定義は
なされていません。

 通説では、原則として勤務する場所(通常、会社の本店)における営業時間
中、常に職務を行えるような態勢にあり、他の常勤の職を持つことは許さない
とされています。

 したがって、2社以上の常勤監査役の兼務はできないということになります
(江頭・株式(6)531頁ほか)。一方で有力説では、他に常勤の職があっ
ても継続的かつ一貫した職務を行えれば足りるとされています。したがって、
常勤監査役であっても、実情によっては子会社の常勤監査役等を兼務すること
も不可能ではないということになります(相澤ほか・論点解説404頁ほか)。

 では、現実的に、「常勤性」を充たす勤務形態とはどのようなものでしょう
か。通説に立ち、他に常勤の職を持たないという前提で、どの程度、会社に出
勤し、勤務していればよいかということは、ケースバイケースではあるものの、
現状、正規の従業員は、1週間で5日出勤し、1日に8時間の合計40時間の
勤務をするのが一般的であることを踏まえますと、少なくとも、その半分、す
なわち週3日・1日4時間以上で、結果として週20時間以上は勤務している
必要はあるように思いますが、いかかでしょうか。

 以上を踏まえますと、司法書士が常勤監査役となることは難しいかもしれま
せん。

 ちなみに、常勤監査役の勤務実態が「常勤性」を欠いていたとしても、常勤
監査役の選定自体が無効になるわけではなく、あくまで監査役の善管注意義務
違反の問題であると解されています(江頭・株式(6)531頁)。

 また、常勤性と社外性を錯綜しているような話を耳にすることもありますが、
前者は勤務態勢の問題であり、後者は会社法で規定される独立性の問題です。
ですから常勤の社外監査役もいれば、非常勤の社内(非社外)監査役も存在し
ます。


2017.02.27(月)【最高裁判旨に思う】(金子登志雄)

 既に京都の内藤先生のブログなどでご存知でしょうが、最高裁が次のような
判旨を出しました。
----------------------------------------------------------------------
 取締役会設置会社である非公開会社における、取締役会の決議によるほか株
主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有
効であると解するのが相当である。
----------------------------------------------------------------------
  http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/527/086527_hanrei.pdf

 拙著の読者の方は、会社法295条2項に「取締役会設置会社においては、
株主総会は、この法律に規定する事項及び【定款で定めた事項】に限り、決議
をすることができる。」とありますから、定款で「株主総会で代表取締役を定
めることができる」と定められるのは、常識じゃないかと思ったことでしょう。

 それだけでは困ります。最高裁判旨は「非公開会社」に限るようなニュアン
スである点を批判しなければなりません。会社法の条文でも、会社法立案担当
者の説明でも、非公開会社に限っていません。

 そもそも、公開会社か非公開会社かどうかも定款で定められるわけですから、
この最高裁判旨は誤解を招く表現だと思いました。



2017.02.24(金)【収入と所得】(金子登志雄)
 
 確定申告の時期ですが、司法書士各位は昨年の成績はいかがでしたか。私は、
多くの皆様と同様(?)に減収減益でした。受託件数は微減でしたので、大き
な案件が少なかったのでしょう。株と同じで、わが年収も、この10年間、上
がったり下がったりの波を描いています。

 ところで、減収と減益の差は把握していますか。増収・減収というのは売上
げのことで、増益・減益は利益(会社の場合は一般に「経常利益」、個人事業
主では「所得」)のことです。減収増益も増収減益ということもあります。

 昔、司法書士の年収は1400万円という予備校の宣伝に騙されたなどとい
う受験生が多かったのですが、売上げが1400万円であり、所得の話ではあ
りません。安倍政権が、安保戦争法案を平和安全法案、人権侵害の共謀罪をテ
ロ対策罪と説明しているのと同様に、広報宣伝用のレトリックですから、騙さ
れないようにしなければなりません。

 武力の戦闘は衝突、敗北による撤退は転進、敗戦は終戦………、日本語は庶
民騙しに向いた言語のようです。漢字の組み合わせで、いくらでも新語を作れ
ます。お役所言葉の「利活用」も最近は一般社会に浸透してきました。

 話を戻して、弁護士の場合はどうかと、ネットで調べましたら、平成27年
の平均年収は1094万円などとありました。いかにも高収入に感じますが、
別のところには、平均所得は400万円程度とありました。弁護士数が急増し、
軒下弁護士や携帯弁護士も存在する現状では、平均所得400万円のほうが信
ぴょう性があります。

 その程度の平均所得のしがない士業になるなら、サラリーマンとして出世し
て、美人の秘書と運転手付で、部下を数十人、数百人使う身分になるほうが生
きがいを感じる方も多いでしょう。

 私も頭ではそう思ってきたのですが、協調性に疎いマイペース人間ですから、
人間関係のわずらわしさから解放された今の仕事のほうが合っています。生活
さえできれば、収入や所得の多寡など、とるに足りぬ些細なことだと思ってい
るわけですが、減収減益が続き、生活できないほど追い詰められたらどうしま
しょうか。その時は、「あの人は今/敗軍の将、会社法を語る」でも出版しま
しょうか。


2017.02.23(木)【難解用語】(金子登志雄)

 鈴木さん、酒井さん、投稿ありがとうございました。

 お2人の投稿で思ったのですが、外国語の場合は翻訳文を付けるが、日本語
では、眩暈などの難読漢字のオンパレードでも翻訳文(?)は不要で登記所に
「勝手に調べろ」といえるわけですね。もっとも、申請代理人の我々も理解で
きず、登記所からの質問に答えられませんが。

 これに関連して、鈴木さんは上場会社の社外取締役をなさっていますが、取
締役会などでの会話内容の理解に当初は苦労なさいませんでしたか。

 どこの業界でも、業界では一般的でも社会一般ではそうでない用語があるも
のです(重任もその1つですね)。IT企業である当社(アクモス株式会社)
では、社内文書に、ICT、ISO、QMSなどという略語が頻繁に登場し、
慣れるまでが大変でした。本欄読者の方は、いかがですか。ISO程度は知っ
ていてほしい用語です。

 なぜ、苦労したかというと、我々法務人間は一語一語を大事にし明白に理解
ていないと困る職業だからでもあります。当社の株がドローンで上下した際も、
ドローンとラジコンのどこが違うかと調べてしまいました。

 ネットで調べれば即座に意味が通じるなら、定款の目的として記載すること
ができると一般にいわれていますが、限度がありますね。

 念のため、ICTはITと同じですが、最近は通信(コミュニケ―ション)
のCを入れてICTということが多くなりました。ICT教育の普及などと使
います。ISOはご存知だと思いますが、JIS規格の国際版(国際標準)み
たいなもので、その1つが品質管理に関するQMSです。やっかいなのは、工
業製品の規格だけでなく、情報管理やマネジメント分野についてもこういう規
格(基準)が導入されたことです。

 昔なら重い現代用語辞典でも開くところですが、ネットの普及で意味を調べ
るのが楽になりました。しかし、逆にいえば、ネットの普及で、こういう略語
が増えたわけで、いいことばかりではありません。



2017.02.22(水)【眩暈】(藤沢・酒井恒雄)

 数年前のことですが、仕事場で眩暈(めまい)を起こしたことがありました。

 自分の中では、眩暈というものは、急に立ち上がったりしたときに、一瞬ク
ラッとくる、あの感じのことだと思っていたのですが、それは立ち眩みであっ
て、眩暈ではないようです。

 その日、依頼人から受け取った議事録に目を通していたのですが、書面にピ
ントが合わなくなって来ました。「あれ?」と思いながら目を凝らしていたら、
クルっと文字が逆さまになったのです。驚いて目をそらし、再び議事録を見る
と、なんと議事録全体が逆さまになっています。そのうち、それがグルグルと
回りだして、やがて事務所内の景色もグルグル回り始めました。

 これは重篤(じゅうとく)な病気になったに違いないと、慌てて脳神経外科
に向かいました。病院は徒歩で行ける距離にあったのですが、景色がグルグル
回ってしまうため、まっすぐ歩くことができません。必死の思いで病院にたど
り着き、診断を受けました。結果、単なる眩暈だと診断されました。

 原因は、なんと「水分不足」。

 ストレス等も体調に影響した可能性があったようですが、主な原因はそれで
した。

 ちょうど今頃の時期で、かなり乾燥した日が続いていました。思い起こせば、
食事の時を除き、仕事中には一滴も水分をとらない日が多々ありました。

 医師の助言どおり、意識的に水を飲むようにしたら、眩暈は起こらなくなり
ました。

 あの、すべてがグルグル回って見えてしまう状況は、なった人でないと、そ
の恐ろしさが分からないと思います。夏場だけでなく、冬場もこまめな水分補
給が大切なようです。

 (注)かっこのルビは金子がしたものです。



2017.02.21(火)【外国語の議事録】(東京・鈴木龍介)

 皆さん、はじめまして。時おり、本欄で名前を出される鈴木龍介です。先般
は、新著『商業登記法コンメンタール』は神崎黄門の本で、私と金子先生は助
さん、格さんにされてしまいました。

 さて、昨今は経済のグローバル化等により外国人の株主や役員も珍しいこと
ではなくなりました。そうなると、株主総会等の議事録についても外国語で作
成する方が合理的なケースもあると思われますが、これを登記申請に使えるで
しょうか。

 残念ながら、これは無理だとされています。つまり、議事録等の会社法で規
定されている書面を外国語で作成することは許されず、仮に日本語の訳文をあ
わせて提出したとしても、そのような議事録等を添付してなされた登記申請は
受理されないということです。ただし、日本語で作成された議事録にその翻訳
文として外国語を併記したものを登記申請に添付することは許容されています。

 一方で、就任承諾書や辞任届といった会社法で規定されていない書面につい
ては、必ずしも日本語で作成しなければならないわけではありません。ただし、
外国語で作成された書面を登記申請に添付する場合には、あわせて日本語の翻
訳文を提出する必要があります。

 なお、翻訳者に特段の資格制限はなく、登記申請人である会社の代表者や登
記申請代理人である司法書士でも差し支えありません。翻訳のプロに翻訳させ
て、代表者や申請代理人が翻訳者になることもありますので、翻訳する能力が
あるかまでは問われません。



2017.02.20(月)【間接正犯】(金子登志雄)
 
 マレーシアでの金正男氏の暗殺は衝撃的でした。まだ毒物の特定も犯人全員
の確保もなく真相は不明ですが、私を含め誰もが、あの国の指令だと思ったこ
とでしょう。腹違いとはいえ、同じ兄弟で、こうも違うものでしょうか。警戒

心も希薄で愛嬌のある正男氏の冥福を祈らざるをえません。

 実行犯の女2人は、あの国の工作員ではなく、いたずら動画の撮影と思い込
んで、100ドル(1万円強)の出演料で参加した素人のようですが、それが
事実とすると、わずかな金で人生を棒に振ってしまいました。

 さて、本欄閲覧の司法書士の皆さん、この実行犯の女2人の罪名は何ですか。
殺人罪? いいえ、女2人は道具にすぎず、殺人の故意もないため、殺人罪に
は問えません。道具を使った男たちが正犯者です。いわゆる間接正犯です。

 弁護士だったら瞬時に間接正犯を思い浮かべたでしょうが、司法書士試験の
科目に刑法があっても実務ではほとんど無縁の司法書士は思い浮かべただろう
かと気になりました。

 日本の刑法では、この女2人が道具だと認定されると、道具を使った者が正
犯となり、道具には暴行の故意に基づく傷害致死罪にしか問えないと思います
が、これだけ世界中を震撼させた事件ですから、どういう刑罰になるか予想も
つきません。

 あの国の将軍様の指令だとすると(教唆犯)、相当追い詰められている証拠
です。金正男氏の保護者だった中国の面子をも潰したわけですから、ますます
四面楚歌の孤立の道を選択したわけです。

 米国だけでなく中国をも敵に回し、あの国の体制があと30年や50年も続
くとは思えませんが、窮鼠猫を噛むにならないことを祈ります。


2017.02.17(金)【社団の社員数】(金子登志雄)
 
 14日は当事務所近辺の大学時代のゼミ(民法)の後輩4人(弁護士2人、
社労士1人、ビル防災コンサルタント1人)とランチでした。昨年のOB会の
折、名刺交換したら、近所であることが分かり、他の人にも声をかけ、集まっ
たものでした。全員、50歳以上です。

 そこで、一般社団を経営しているビル防災コンサルタントさんが「一般社団
の設立には2人以上が必要だが、1人になっても解散しない」と発言したため、
「まさか、それでは社団といえないじゃないか」「でも、社団である合名会社
でも1人が許容されている」などといった話題になりました。

 あとで調べましたら、一般社団は、そのとおりでした。であれば、合名会社
のように、いつでも複数にできるからという理由で、1人でも設立することが
できるようにすれば簡単なんですが、やはり立法者も非営利社団には、「社団
=団体=複数」の原則の維持を重視したのでしょうか。

 この複数の概念ですが、募集設立では、発起人はAさん、株式引受人もAさ
ん(発起人1人、株式引受人1人)ということが許され、種類株式発行会社で
も、普通株主も種類株主もAさん(普通株主1人、種類株主1人)が許されま
すが、社団として社員(株主)数を計算する場合は1人ですね。こう考えない
と、合資会社で無限責任社員A、有限責任社員Aが肯定されてしまいます。

 立法政策の問題とはいえ、紛らわしいことはしてくれるなと思いましたが、
考えてみれば、昔の株式会社がそうでした。発起人7人が必要だったのに、設
立後は株主1人でもよかったからです。7人が1人になるのは紛らわしくなく、
2人が1人になるのは紛らわしいと感じる人間の頭脳も面白いものです。



2017.02.16(木)【東芝と定時株主総会】(金子登志雄)

 酒井さんは若くなくて50歳ですか。60代後半の私にいわせれば、あの東
京オリンピックを知らない人は若くないなどといってはいけません。

 さて、国策の原子力事業で巨額の損失を出した東芝のことが経済ニュースの
トップになっていますが、新著のコンメンタールには、「東芝」が登場します。

 138頁です。
----------------------------------------------------------------------
 定時株主総会には毎事業年度の終了後一定の時期に招集するだけでよいのか、
あるいは、計算書類の報告又は承認を議案として掲げないと定時株主総会とい
えないのかという論点がある。取締役等の任期は、「定時株主総会の終結の時
まで」(会332条1項等)とされているため、招集された株主総会が定時株主総会
かどうかによって任期満了時期に影響する。

 これについては、平成27年6月25日開催の株式会社東芝の株主総会で問題に
なった。計算書類の確定がその時期までに間に合わず、後日の臨時株主総会で
計算書類を報告することにし、6月25日に「第1号議案 取締役16名選任の件」
として 第176期定時株主総会が開催された。結果は、取締役の任期は、この平
成27年6月25日までとされ、登記も無事完了した。

 これから推測して、計算書類の報告又は承認を議案として掲げなくとも、掲
げたいが掲げられない事情を明らかにして一定の時期に開催した場合には、こ
れを定時株主総会として扱ってよいということであろう。
----------------------------------------------------------------------
 
 このまま行くと、数年後の新著の改訂版には【当時の】株式会社東芝と書く
ことになり、東芝の功績は、定時株主総会の解釈に貢献しただけだいうことに
なりかねないという不安がありますが、原子力事業の推進に国の関与があると
したら、また税金での救済になるのでしょうか。要注目です。



2017.02.15(水)【文章とイメージ】(藤沢・酒井恒雄)

 ここ数回、イメージに関することを書いてきました。

 ところで皆さんは、このブログに投稿している私の文章を読まれて、私がど
んな人物だというイメージを持たれていますか? 顔、髪型、背格好、そして
年齢は?

 私の書いている文章は、若い人が書いていると想像される方が多いようです。
しかし、私の実年齢は50歳です。これを知って、皆さんがどう反応したかは
分かりませんが、驚かれた人もいるかと思います。

 驚かれた理由が、元気・活気がある文章だからだと嬉しいですが、なんだか
落ち着きのない文章だから………だとちょっと傷つきます。もっとも、子供の
頃は、落ち着きがなくて怒られてばかりでしたから、未だにその名残が文章に
表れているのかもしれません。隠そうと思っても、なんとなく書き手の雰囲気
がにじみ出てしまうのかもしれません。

 以前、とても力強い文章を書く方の講演会に行ったのですが、あまりに物静
かに話されていたので拍子抜けした経験があります。しかし、柔らかな口調と
は裏腹に、芯の強そうな目をされていて、その内面の強さが文章に出ているの
だなと思いました。

 このブログに投稿されている先生方の中で、実際にお会いしたことがあるの
は金子登志雄先生だけです。文章から伝わってくるように、とてもパワフルな
方です。

 まだ、お会いしたことがない先生方は、自分の中で勝手な人物像が出来上が
っています。いつかお会いしたとき、どれだけ想像と近いのか、はたまた、ど
れだけギャップがあるのかと、密かな楽しみになっています。


2017.02.14(火)【取締役会の廃止と譲渡制限】(金子登志雄)
 
 登記実務に従事する上での立ち位置の話題です。7年前に本欄に書きました
が、ネタ切れのため、焼き直しです。

 さて、定款に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなけれ
ばならない」と定めている会社が定款変更で取締役会を廃止したが、この譲渡
制限の「取締役会の承認」部分をそのままにした状態で取締役会の廃止を登記
することができるでしょうか。

 小川・相澤編著『通達準拠/会社法と商業登記』81頁は、「併せて承認機
関を取締役会とする定めも改める必要がある」との見解です。定款変更義務を
述べただけで登記が受理されるのかについては触れていませんが、松井信憲著
『商業登記ハンドブック〔第3版〕』375頁には「現在の登記実務上は、取
締役会を廃止する定款変更の効力自体は生じていること、株式譲渡制限規定は
役員区の登記ほど機関設計と密接な登記事項ではないこと等に鑑み、却下はし
ないものとして取り扱われている」との説明です。

 どうも登記現場は、登記は仕方なく受理するが、定款を変更しないのは困る
というニュアンスです。

 当『商業登記法コンメンタール』248頁以下では、要旨「実体法解釈から
すれば、取締役会の廃止により、本規定の『取締役会の承認』部分は効力停止
状態(一般に「空振り規定」という。取締役会を再設置すると有効に戻る)に
なり、会社法の原則に戻って、承認機関は株主総会になったと考えられている
が、定款を変更したとまではみなされるわけではないため、登記申請義務が発
生していない。(中略)併せて登記する義務や同時申請が義務付けられている
わけでもない」というものです。温情で却下しないのではなく、却下すること
自体が不可能だとの立場です。定款変更義務については触れていませんが、そ
れは会社がどういう趣旨で取締役会を廃止したかによるでしょう(そのうち、
また取締役会を設置するつもりなら、変更義務はないというべきです(※)。

 上記からもお分かりのとおり、登記の現場は登記記録内の整合性(登記記録
の美学?)などを重視し、会社法解釈から若干離れる傾向があります。当コン
メンタールは、実体法解釈を前提に登記について論じる正攻法を採用していま
すので、受験生や若葉マーク司法書士にも向いていると思っています。

(※)この趣旨であれば、定款の附則にでも、「定款〇条(譲渡制限規定)に
おける「取締役会」は取締役会を再設置するまでは、「株主総会」と読み替え
るものとする」などと定めて置けば、疑義が生じないことでしょう。


2017.02.13(月)【代表権の規定】(金子登志雄) 

 報道によると、安倍・トランプ会談は大成功したかのようですが、マスコミ
不信の私は、喧嘩上手なトランプ氏がご機嫌だということは、安倍さんを御し
やすい人物とみたのではないか、今後が怖いと想像してしまいました。

 さて、国の代表ではなく、会社の代表の問題ですが、会社法349条1項は
「取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役……を定めた場合
は、この限りでない」というものです。

 取締役としてAB2名を選任したら、ABとも代表権を有するのを原則とす
るが、Aを代表者に定めた場合は、Bには代表権がないという定め方です。

 それはよいのですが、A1人(代表権あり)のところに、Bを追加して選任
する際に、すでに代表権を有するAにつき「代表権はAにあり」と再度定める
のは実に不自然であり、「Bには代表権なし」と定める方法を採用するのが通
常です。しかし、これでは、349条1項ただし書の文言とぴったり一致しな
い方法であることがずっと気になっていました。

 少し考え直してみました。「ただし、他に代表取締役を【定めていた】場合
は、この限りでない。」と読めば、黙ってBを取締役に選任するだけで、自動
的に「代表権なき取締役」と扱うことができます。登記実務もきっとこれで対
応してくれるでしょう。


2017.02.10(金)【新著に関するブログ】(金子登志雄)
 
 宣伝を兼ねて、この6日に私、7日に立花さんが新著『論点解説/商業コン
メンタール」につき本欄で触れましたが、おかげさまでアマゾンでも予約販売
が好調です。

 著者の幸先さんも書いてくれました。
   http://sssh.jp/kosaki/

 外国会社に強い著者の草薙さんもブログを更新です。
   http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/

 読者の司法書士さんも取り上げてくださいました。ありがたいことです。
   http://d.hatena.ne.jp/gen-mai/20170206/1486334633

 上記の読者のブログに「金子先生は、多筆と言うのか、次々と新しい本を書
かれるので、できるだけ選んで買うように心がけているのですが、他の本を読
んでいると、買ってなかった本の説明が牽かれてあることが多く、結局、数年
経ってから、探して買うようなことが多くて困ったもんです。」とありました。

 ほんと、困ったものですね。費用負担させて申し訳ないです。しかし、今度
の本は金子本というよりは神崎本です。私と鈴木さんは神崎黄門を手助けする
助さんと格さん役に過ぎません。

 最初の本を除くと、出版というのは自分の意思で積極的に行うことはなく、
ほとんどが出版社からの依頼です。神崎先生の場合は、有斐閣、テイハン、キ
ンザイ、中央経済、加除出版などなどから多くの依頼が入るのでしょう。
 
 私の場合は中央経済との結び付きが強いため、東京司法書士協同組合を除く
と同社しかありませんが、担当の編集長さんが、時々飲みに誘ってくださいま
す。そこで、酔いが回ってきた頃、「先生、そろそろ次の本を出しましょうや。
今度何にしますか」と断れないように誘ってくるのです。トラップです。

 中央経済に対しては、私も出版に応じてくれたという恩義がありますし、私
自身も新本を出さないと、「あの人は今」と噂されかねないプレッシャーが常
にあり、法改正や登記所の運用に疑義を感じると、新ネタができたと出版社の
要求に応えてきました。

 著作が読者に評価されないと困るので、ご期待に応え、金子流ノウハウを惜
しみなく書きました。読者からは「かゆいところに手が届くこの本で手続を完
璧にこなせた。先生に質問せずに済んだ」と喜ばれますが、本来なら私に相談
として回って来る仕事が激減してしまいました。

 ああ、本など書かなければよかった、仕事の犠牲が大きすぎる………という
のは冗談で、収入増よりも金子方式を全国に普及し、それを残したほうが私の
生きた証(あかし)になり、私なりの社会貢献になると思っています。ノウハ
ウなんてものは、いつか誰かが気づくものであり、隠しても意味がありません。

 というわけで、今後も可能な限り普及・啓蒙活動に励みますので、せめてわ
ずかな印税収入程度にはご協力くださいませ。



2017.02.09(木)【任期計算】(金子登志雄)

 上場会社では、決算期末日付で子会社の人事異動(役員変更)を行うことが
少なくありません。

 さて、皆さん、子会社の監査役Aは決算期末日の平成26年3月31日の選
任・就任でした。定款の任期規定は「選任後4年以内に終了する事業年度のう
ち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」という内容です
が、Aは本年の定時株主総会終結と同時に任期満了退任するでしょうか。

 「4年後=平成30年3月31日」以内だから、前年である本年の決算期に
関する定時株主総会終結時までの任期だと思いませんか。

 これ時々問題になります。私自身も登記の経験がありますし、質問されたこ
とも何度かあります。答えは、来年の定時株主総会の終結時までで、今年は登
記する必要がありません。

 顧客の総務部から電話がありました。「先生から説明を受けて今年は登記不
要だと分かりましたが、上層部に上手に説明することができません。何か文献
でもありませんか。それを示したいのですが」と。

 文献はあるでしょうか。すぐには思いつきませんでしたが、はたと「そうだ、
新著に書いた」と思い出しました。

 『商業登記法コンメンタール』202頁
----------------------------------------------------------------------
 選任後○年については、民法に従い、初日不算入の原則で計算する(民法1
40条)。したがって、例えば、事業年度の末日である平成X年3月31日に
選任した監査役の任期(4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関す
る定時株主総会の終結の時まで)は、平成(X+4)年3月31日までの事業
年度に関する定時株主総会の終結の時までである。
----------------------------------------------------------------------

 選任日:平成26年3月31日
 起算日:平成26年4月 1日(民法140条1項)
 応当日:平成30年4月 1日(起算日に対応する日、民法143条2項)
 満了日:平成30年3月31日24時(応当日の前日、民法143条2項)

というわけで、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものは、平成
30年3月31日になります。

 会社ですぐに新著の注文を出してくれたことはいうまでもありません。


2017.02.08(水)【会社のイメージ】(藤沢・酒井恒雄)

 前回、会社は実在するものではないので、目に見るものとして表現した場合、
ビル等の「建物」として表現されることが多いと書きました。自分はどうだろ
うかと振り返ってみたのですが、やはり会社=建物とイメージするようです。

 仕事の際に、依頼人の本社へお邪魔したことがあれば、建物がイメージとし
て現れることもあるでしょう。しかし、自分の事務所に来て頂いて手続きをす
る場合も多いので、本社の外観を知らない会社も沢山あります。それにもかか
わらず、ふと本社のイメージが湧いてくることがあります。

 その建物は、依頼人の態度や相談の内容次第で、煌びやかな外観だったり、
ダークな感じの外観に変化します………。先入観の塊で出来上がった本社像で
す。当然、実際の本社の外観や社内の雰囲気、実際の事業活動が順調であるか
否かとは関係がありません。勝手に作り上げた本社像は、様々な判断を誤らせ
る危険があります。

 仕事の経歴を重ねて行くうちに、先入観とは切り離して物事を考える術も習
得できるようになるとは思いますが、現場に行って目で確かめて、肌身で情報
を感じ取るのが一番ですよね。

 僕は、仕事の内容とは関係なく、工場を見せてもらったり、取り扱う製品を
見せてもらったり、サービス等の説明を聞くのが好きです。

 以前は、迷惑を顧みず、ちょくちょく現場に顔を出しに行っていました。最
近は、バックオフィス的な仕事が増えましたので、比例して事務所から一歩も
外に出られない日が増えました。相変わらず商業登記関連の仕事は楽しいので
すが、ちょっとしたジレンマも感じつつあります。



2017.02.07(火)【仙台城跡からの景色~
  『論点解説 商業登記法コンメンタール』の執筆に参加して~】
                          
 (仙台・立花宏)

 今年の元旦、私は仙台城跡まで散歩に出かけました。仙台城跡は戦国武将伊
達政宗の居城があったところで、伊達政宗の騎馬像があることで有名です。標
高130m程のところにあり、仙台市内や太平洋を一望することができます。

 私の自宅からだと、徒歩で片道40分くらいかかりますが、大好きな散歩コ
ースのひとつです。今年の正月は天気も良く、私はとても晴れやかな気持ちで
仙台城址からの景色を楽しみました。

 そして、1年前の元旦のことを思い出していました。1年前の元旦も仙台城
址に散歩に来ていました。はっきりとは覚えていませんが、今年程は天気がよ
くなく、また、寒かったように記憶しています。雪もちらついていたかもしれ
ません。そしてなにより、今年のような晴れやかな気持ちで仙台の街を眺めた
わけではなかったと思います。

 昨年の正月、私はある作業に参加させていただいていました。金子先生や広
島の幸先先生とメールで意見交換等をしながらの作業です。その作業は『論点
解説 商業登記法コンメンタール』の制作でした。

 私にとってその作業はとても勉強になり、楽しいものでした。しかし、金子
先生はもちろんのこと、広島の幸先先生のなされる発言やご意見もとてもレベ
ルが高く、私はお二人についていくのがやっとという状態でした。そうしてい
るうちに、最後までお二人との作業についていけるだろうか、という不安な気
持ちで心がいっぱいとなってしまい、ふらっと散歩に出かけたのです。目的地
はありません。なにも考えずにぼんやりとした気持で歩き続けたら、行きつい
たのが仙台城址だったのです。

 そして、そこから仙台市内を望みました。自信をなくしていたせいか、その
景色はとても寒々しく感じました。それどころか、私の生きてきた街、私の成
長を見守ってくれて来た街、仙台が私を叱っているように感じました。

 金子先生は私を誘ってくださいました。『論点解説 商業登記法コンメンタ
ール』の執筆に東北から参加しているのは私だけのはずです。ここで脱落して
は、せっかく金子先生がくださったチャンスを無駄にしてしまうことになりま
す。

 私は、お二人が作業を続けられているであろうときに、散歩に出てしまった
ことを恥じました。そして、執筆作業が終わったらまたこの場所に来ようと思
い、仙台の街に向かい深々と頭を下げ、自宅へと踵を返しました。

 あれから1年。お二人のご配慮のおかげもあり、なんとか最後まで責任を果
たすことができました(と思っております)。

 今年の正月には担当作業は終わっており、いよいよ出版へと向かっていまし
た。そんな時に、再び仙台城跡を訪れたのです。そこから見る仙台の街の景色
はとても優しく感じました。私にニッコリと笑いかけてくれてさえいるように
感じました。

  『論点解説 商業登記法コンメンタール』 

 いよいよ、発売です。分かりやすい解説がなされており、きっと、皆様の実
務にお役に立つものと信じております。


2017.02.06(月)【近日発売:商登法コンメンタール】(金子登志雄)

 トランプ大統領は予想以上に滅茶苦茶ですね。大統領令に反対意見を述べた
司法のトップをクビにしたりで法治国家も怪しくなりました。政権の中枢はお
友達と身内ばかりです。こんなときは安倍さんもネギを背負って会いに行かな
い方がよいと思うのですが、何を要求(命令?)されるのでしょうか。

 さて、長らくお待たせしました。丸1年以上もかかりましたが、キンザイの
『論点解説 商業登記法コンメンタール』がやっと近日中に発売になります。

   https://store.kinzai.jp/public/item/book/B/13059/

 著者は神崎満治郎先生のほか9名の全国の司法書士ですが、私と仙台の立花
さん、広島の幸先さんの3人で「株式会社」部分全部を担当し、「持分会社」
部分は私1人で担当しました。持分会社部分は他の方に依頼したかったのです
が、都合のつく方が見付からず、原稿の締切りの時間が迫っていましたので、
やむをえず私が担当しました。書くスピードだけは、人一倍早いからです。

 株式会社部分は3人の共著とはいえ、分担執筆ではなく合作です。私が下書
きし、そこに論点漏れ等の調査を担当していただいた立花・幸先さんから、こ
の論点を追加すべきだ、ここは分かりにくいからこう表現しましょうなどの加
筆や訂正をしていただきました。そのため、何度も何度も書き直し、持分会社
を含めて500頁を超えてしまいましたが、最終的には320頁強に圧縮いた
しました。

 定説に対して私が疑問を提示しても、一緒に検討してくれ、お互いに刺激的
なやり取りができました。協議の結果、株式会社の清算の際に定款を添付する
のは、定款に清算人会がないことを証明するためだという定説(?)にも証明
原則の見地から疑問が生じ、我々の見解を披露することができました。

 松井信憲著『商業登記ハンドブック〔第3版〕』など優良図書が多数ある中、
本書の特徴は登記を申請する企業側・実務家の目線で書かれていることでしょ
うか。解説内容も他書とは切り口が相違するため、他書では理解困難だった部
分も本書では「なるほど。そういう意味だったのか」とご理解していただける
ものと確信しております。

 逐条解説本ですが、同じ人間が会社部分全部を担当しましたから、最初から
の通読にも適しています。商業登記法46条から92条までで1つの「株式会
社法」になっていますので、読む実務書入門としてもご利用することができ、
受験生の方にも役立つことでしょう。

 分量の点でそれなりの値段になってしまいましたが、実務にも受験にも役立
つことが多々あり、十分に採算に合うものと自負しておりますので、ご利用の
ほど、よろしくお願いします(注:ネット上、販売価格として税込7344円
と表記されているところもありますが、正しくは6480円です)。


2017.02.03(金)【専門店(事務所)】(仙台・立花宏)

 店に入ると、いつものように目指す木箱の前に行き、在庫の有無を確かめま
した。木箱にはコーヒーの生豆が入っています。私のお気に入りのコーヒーで
す。

 注文しようとカウンターの方を振り返ると、店長さんがタイミングを合わせ
たようにカウンターからこちらに歩を進めます。

 「いつも通りでよろしいですか?」
 「ええ。お願いします」

これで注文終了です。

 メンバーカードに私の好みの焙煎度合等が記録されているのですが、その確
認も不要のようです。定期的に購入しているおかげか、カードの記録を見るま
でもなく、店長さんの頭の中には私の注文情報がインプットされているようで
す。

 店長さんはコーヒーの生豆をボウルにとり、そして高速焙煎機に向かいまし
た。このお店はコーヒーの生豆を購入すると、希望すれば、その場で希望の度
合いに焙煎し、そして挽いてくれるコーヒーの専門店です。

 コーヒーの関連商品もおいていますし、お店でコーヒーを飲むこともできま
すが、喫茶のメニューはコーヒーのみ(※)。紅茶もありませんし、菓子類も
提供しません。

 きっと、コーヒー豆に対する目利きや、焙煎技術等に揺るぎない自信をもっ
ているということなのだと思います。手を広げず、自信のあるもののみを提供
するという姿勢に潔さを感じます。

 このお店の創業は平成15年です。それからずっとこのスタイルで続けてこら
れました。そのスタイルに共感し、信用を感じて通い続けるお客様がいらっし
ゃるということだろうと思います。

 私は昨年7月に独立し、自分の事務所を構えました。商業・法人登記に特化
した事務所にしたいという希望をもっています。ありがたいことに、これまで
ご依頼いただいたお仕事のほとんどは商業・法人登記です。

 先ほどのお店のように、お客様が通い続けてくださるような事務所となるよ
う、精進していきたいと思います。

 商業・法人登記への揺るぎない自信を備え、手を広げない。そして、たとえ
ば、お客様(会社)の名前を聞けば、「今年は役員改選の年だったな」とか、
「住居表示の実施があったから、本店の変更登記が必要だな」と、ぱっと思い
浮かぶような、お客様のことをよく理解している、そんな商業・法人登記専門
の事務所となりたい。

 先ほどのお店のスタイルをみて、そんなことを思いました。

(※)夏場はアイスコーヒーも提供しています


2017.02.02(木)【平成時代】(島根・根来川弘充)

 年明けから、「平成が来年30年で終わる」という大きなニュースがありま
した。

 年号をあらわすとき、日本では、西暦か元号なのでしょうが、天皇陛下の在
位を基準とする元号の方が、いろいろなことを思い出す時に、なにか暖かいも
のを感じます。

 例えば、「明治時代からの建物」、「大正時代のファッション」、「昭和時
代の流行化」など………。

 これらを西暦に置き換えると、まったく受ける印象がちがってしまいます。

 また、元号が変わることによって、自分の中での歴史の教科書に、新たなペ
ージが加えられるような気にもなります。

 私にとって、平成という時代は、まちがいなく、一番長く生きた時代(今の
ところは)になります。

 この時代が、果たしてどのようなイメージのものなのか、今では、まだピン
ときませんが、あらたな元号になって、その時代で年を重ねることによって、
徐々に見えるものだろうと思います。

 時代の切り替わりを、予め知ることができるというのは、そんなに経験でき
ないことだと思います。誰もが、新しい時代のためにいろいろと準備をして、
良い先例となればと思います。



2017.02.01(水)【会社って何?】(藤沢・酒井恒雄)

 2か月前くらいでしょうか? たまたまテレビのスイッチを入れたときに放
映していた、NHKの番組に見入ってしまいました。

 「サピエンス全史」という本の特集だったのですが、全世界的に売れている
本のようです。その本の中で登場するキーワードは「フィクションを信じる力」
だそうです。

 番組冒頭に「会社って何だろう?」という問いかけがありました。会社は、
「会社」という目に見えるものが存在するわけではない、オフィス=(イコー
ル)会社というわけでもない、働く人たちの集団=会社でもない、法務局に会
社があるわけでもない(これは勝手に付け加えました………)、

 つまり「会社」は実在するものではなく「フィクションだ」というのです。
「フィクション」という言葉を訳すと「架空」となります。(本の中では「虚
構」と訳されているようです。)

 架空という直訳では、あまりイメージが良くないですが、「創作による架空」
という意味合いがあるそうなので、そう理解すれば、なるほど会社はフィクシ
ョンだということになります。

 我々法律の専門家は、日常的に「自然人」「法人」という言葉を使いますし、
その意味も理解していますから、会社がフィクションであることについては違
和感を覚えないと思います。

 しかし、会社に勤めている人にとっては、「会社って何ですか?」という問
いかけは、相当な混乱を招くようです。それでも、フィクションを信じる力が
あるから、会社に行く、会社で働く、会社の成長に貢献する、会社からお金を
もらうという、日常の生活に疑問を持たないでいられるのだとか。仮に会社が
実在するものとして、それを形にした場合、各々が表す会社というものは、ど
れくらいのバリエーションがあるのでしょうね。

 イラスト等では、会社は「建物」として表現されることが多いですよね。最
近は、本社・営業所等に出勤しない仕事スタイルも増え始めていますから、今
後、そういった表現にも違和感を覚えるようになるのでしょうか………。

 このエピソード以外にも、もっと面白いことが書いてありそうなサピエンス
全史ですが、放送があって以来、どこの書店でもずっと売り切れ状態でした。
やっと書店に並び始めましたので、これから買って読んでみたいと思います。


2017.01.31(火)【年末年始 雑感2】(東京・古山陽介)

 年末年始の申請の中には、設立の案件も数多くありました。その中の1件で、
まさかの同一商号同一本店に出くわすことになりました。

 クライアントに確認したところ、7年くらい前にサイドビジネスをやろうと
作った自分の会社であることが分かり、一安心でした。『株式会社〇〇』とい
う商号で会社を作ったはいいが、特に活動をすることなく、休業の届出をして
いたことをすっかり忘れていたとのことでした。

 余談ですが、結局、商号を『株式会社〇〇2』で設立しました。(『○○』
は同じ名前で、思い入れがある用語のようでした。)

 改めて、設立登記の申請ほど、オンライン申請は便利だと実感します。パソ
コンでポッチとすれば受付がなされて、設立の効力が生じ、晴れて会社設立と
なるのですから。

 同日に複数の会社の設立登記があろうとも、時間を気にする必要もありませ
ん。あとは、定款認証もオンライン納付等が可能になれば、更に便利になると
感じるのは私だけでしょうか。


2017.01.30(月)【年末年始 雑感1】(東京・古山陽介)

 年末年始に相当数の商業登記の申請があり、書類の返却も含めてようやくひ
と段落といったところで、年末年始に感じたことを書きたいと思います。

 新設合併以外の組織再編関係の案件もそれなりの数がありましたが、数ヶ月
前までは手探りだった株主リスト問題もどうやら落ち着いたみたいで滞りなく
完了しました。

 ただ、先日、金子先生も書かれておりましたが、合併の消滅会社の株主リス
トを存続会社の代表取締役が証明することへの違和感は拭えず、合併案件の全
てのクライアントから間違いじゃないか?と確認がありました。

 特にグループ会社ではない会社の子会社同士を合弁の趣旨で合併する案件で
は、それぞれの親会社から強い抵抗がありました。

 それでも、最終的には、登記を通すためには先例(民商99号依命通知)の
解釈に従わざるを得ないというところで渋々印鑑を押してくれました。

 登記官の方は、消滅会社は解散してしまうのだから、存続会社が証明責任を
負うべきと通り一遍の主張をされますが、株主リストを消滅会社の代表取締役
が解散前の日付で証明したとしても、結局は存続会社が一切の権利義務を承継
することによって、この証明書についても最終的な責任は存続会社に引き継が
れることに変わりありません。ですから、証明書の作成をどちらの会社でする
かは問題にならないのであり、もう少し柔軟な取扱いをしていただけると助か
るのですが、しばらく、この運用が変わることはないのでしょうね。


2017.01.27(金)【互選の概念】(金子登志雄)

 今日は古山司法書士の投稿を掲載する予定でしたが、昨日の投稿のように互
選概念で疑義が生じましたので、その話題にします。

 会社法599条3項は「持分会社は、定款又は定款の定めに基づく【社員の
互選】によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定め
ることができる。」という規定です。

 これにつき松井信憲著『商業登記ハンドブック〔第3版〕』 612頁の注2
には、「互選の主体については、①社員全員なのか(法599条3項の規定振
り)、②業務執行社員なのか(書式精義第4版828頁、947頁の表、10
05頁、小川秀樹・相澤哲『通達準拠会社法と商業登記』287頁(金融財政
事情研究会、2008)、解釈が困難である。この点を理由に登記申請を却下した
例は聞かないが、一般に、互選という言葉は、選任母体と被選任資格とが一致
する状況を意味しており、業務執行社員の中から代表社員を定めるという局面
では、私見ではあるが、会社法599条3項を上記②の趣旨として運用するの
が穏当であるように思われる。」とありました。

 確かに、互選とは一般に自らも被選任者になれる場合の意味ですが、業務執
行社員ではない社員も社員であることに変わりがなく、潜在的には業務執行権
を有していますから、この場合も互選という用語を使ってかまわないと考えま
すが、いかがでしょうか。つまり、過半数の決定の選挙用語を互選として使っ
ているだけです。

 ちなみに旧商法76条は「業務を執行する社員は各自会社を代表す但し定款
又は【総社員の同意を以て】業務執行社員中特に会社を代表すべき者を定むる
ことを妨げず」でした。

 旧商法では定款あるいは業務執行社員とは無関係に「総社員の同意」で代表
社員を定められましたが、会社法では常に定款経由で代表社員を定めることに
なっています。そこで、定款で総社員の同意ではなく総社員の過半数の同意で
ある互選でよいとしたのが会社法だとは考えられないでしょうか。

 もし、松井説ほか多数説の見解が正しいとするなら、会社法立案者があまり
にお粗末です。訂正云々(デンデンと読んだ一国の指導者もいるようですが)
の話ではありません。私は意図的な内容だと思っています。


2017.01.26(木)【任期の概念】(金子登志雄)

 新保さんのブログ「司法書士のオシゴト」で知ったのですが、平20・11
・21民商第3037号に「定款に業務執行社員に係る任期の規定がある合同
会社において、当該定款規定による業務執行社員の任期満了後、直ちに当該業
務執行社員が業務執行社員に再度指定された場合には会社法第915条第1項
に基づく業務執行社員に係る変吏の登記をする必要はない」とあるのですね。
合同会社の仕事は少ないので、全く知りませんでした。なぜ、こうなるのでし
ょうか。

  http://blog.goo.ne.jp/chararineko

 まず、株式会社と合同会社を中心とする持分会社の決定的相違は、所有と経
営が分離しているかどうかです。株式会社は株主である必要のない取締役に経
営を委託する仕組みですが、持分会社は社員自ら経営に従事する仕組みです。

 前者の取締役は外部の「役員」といえますが、直接経営に従事する業務執行
社員は社員であって外部の役員ではありません。前者には就任・退任登記がな
されますが、業務執行社員は「加入・退社」です。そのため、任期という概念
に馴染まないのではないでしょうか。

 合同会社の社員がABC3名で、定款でABを業務執行社員に定めたときは、
いかにも選任したかのようですが、「社員は、定款に別段の定めがある場合を
除き、持分会社の業務を執行する。」という会社法590条1項からすると、
定款で業務執行社員を定めたというよりも、定款で業務執行に従事しない社員
を定めた(業務執行権の剥奪)が正しい解釈だと考えます。

 したがって、業務執行社員ABの任期を定めた趣旨は、Cが業務執行に従事
しない期間を定めたことになり、期間満了後には、原則に基づきCを業務執行
社員にする登記(登記上は業務執行権付与)がなされるのでしょう。

 業務執行社員は株式会社でいう各自代表権を有し、定款又は定款の定めによ
る社員の互選で、代表社員を選べます。互選の場合は業務執行社員と代表社員
の地位が分化しているようにみえますが、社員(ABC)の互選であり、業務
執行社員(AB)の互選ではありません(会社法599条3項)。社員の過半
数の同意と同じ意味で、社員自身が選んでいますから、地位が分化したとは言
い難いところがあります。

 こう考えると、原理原則は「社員=業務執行社員=代表社員」であり、業務
執行権や代表権はもともと備わっているもので、それを定款で剥奪する仕組み
だと思われます。であれば、代表社員Aの任期も、期間満了後には、原則に基
づきBに代表権付与とするのだと思いますが、事例があるのか不明です。

 新保さんが難問に挑戦中ですから、お任せしましょう。新保さん、横やりで
ごめんなさい。ネタ枯れなもので………。

(注)会社法599条3項については、規定文言とは相違し、互選の意味合い
から、社員ではなく業務執行社員が選任母体だという見解が多いようです。松
井信憲著『商 業登記ハンドブック〔第3版〕』612頁注2参照。


2017.01.25(水)【アメフトその4】(藤沢・酒井恒雄)

 アメフトの話はもう止めようと思ったのですが、つい先日、面白いことがあ
りましたので書かせてください。

 アメフトも他の球技と同じく、相手より点を多く取れば勝ちとなります。主
な得点方法ですが、ボールを持ってゴールラインに走り込む、あるいはゴール
内でボールをキャッチすればタッチダウンで6点、タッチダウン後にボーナス
で蹴ることができるキックでゴールが決まればさらに1点が追加されます。

 タッチダウンを狙えない時などは、遠い距離からキックしてゴールを狙いま
す。この場合、成功したら3点が入ります。ゴールキックを蹴る選手は、蹴る
ことだけの専門家であるキッカーです。

 以前も書きましたが、攻撃の花形はクォーターバックで、その年俸は目が飛
び出るほどの金額です。かたや、キッカーの年俸は、チーム内で下から数えた
方が早いくらい低い場合がほとんどです。

 そんな事情のなか、試合が接戦となり、残り時間も僅かになりますと、最後
にキックが成功するか否かで、勝敗が分かれることが多々あります。

 キックが成功したとき、キッカーはチーム全員から褒められ、祝福されます。
しかし、キックを失敗してしまうと、相手チームの歓喜の雄叫びを聞きながら、
重たい雰囲気の自陣に戻っていかねばなりません。

 サッカーのPK戦に似ているところもありますが、大きな違いは、その大事
な場面に登場してキックを蹴るのは、チームでたった一人のキックの専門家だ
というところです。

 キックに失敗し、うなだれながら自陣に戻って行くキッカーを見ていると本
当に心が痛みます。そんなキッカーの姿をテレビで観ていた妻が一言。

「給料が安いのに重い責任を負わされるなんて、まるで司法書士みたいね。」

 これを聞いて、僕はさらに心が痛みましたが、同業者の皆さんはどう思われ
ますか?(笑)


2017.01.24(火)【極端な株式併合の影響】(金子登志雄)

 トランプ大統領に関するネット評価をみてみますと、彼の保護政策や移民排
斥、白人優越や女性蔑視発言に対してマイノリティや知識人、開放的な海外線
沿いに暮らすハリウッドスター達は将来の不安を口にするのに対し、中西部の
貧乏な白人達は既得権益を破壊してくれそうなトランプ氏に好意的のようです。

 既得権益の破壊は歓迎すべきことですが、日米貿易摩擦、米中貿易摩擦、米
国とドイツを中心とするEUとの貿易摩擦は深刻な問題に発展し、共倒れにな
らないかと心配です。トランプ氏はまるで米国が他国の被害者かのように述べ、
米国庶民の支持を得ていますが、中南米に対する米国の長年の搾取、中東に対
する干渉など、外からみると米国自身の自業自得が大きいように思います。

 さて、現在、極端な株式併合の事案(キャッシュアウト)に関与してますが、
結構、多方面に登記が発展し実に興味深いです。

 例えば、発行済み100万株、1単元100株、新株予約権1個100株で
目的たる株数10万個だったとし、この会社が100万株を1株に併合したと
します。

 発行済みは1万株ですが、1単元100株が維持できません。施行規則34
条で、率にして200分の1(50株)が上限ですから単元株も廃止すること
になるでしょう。

 新株予約権の目的たる株数は0.1株になってしまいます。これも目的達成
不能で消滅の登記が必要でしょう。

 あちこちに飛び火し、まるでトランプ氏のツイッターのような株式併合です。
報酬だけは併合圧縮されないよう頑張らないと………。



2017.01.23(月)【変化を求めた国と変化できない国】(金子登志雄)

 とうとう超問題児のトランプ氏が米国大統領に就任しました。世界情勢にと
っても大バクチです。旧来の体制や伝統の破壊が吉とでるか、凶とでるか。就
任時の支持率は歴代最下位ですから、結果がでる前に辞任するか………。平穏
無事でないことだけは大方の予測どおりでしょう。

 先のみえないことを心配しても仕方ありません。確実なことは従来とは違っ
た結果になるということですから、吉とでるよう祈るしかありません。

 さて、日司連の掲示板で「1か月先の解散はなぜ不可か」「先日付委任状は
まだ問題とされるのか」などという投稿がありました。数年に1度繰り返され
る話題であり、それだけ先例が非常識だということです。

 解散までに準備が必要ですから3か月先あたりを解散時に設定するのは企業
社会では常識ですが、当局は登記期間の2週間を超えるものは期限付解散とし
て否定しています。

 2月1日に本店を移転するなどと決議したり、2月1日に合併すると決議し、
その日が近づいて来たら、司法書士に登記を委任します。1月27日に委任状
を作成したら、日付を1月27日にするのは当然のことです。その日に委任状
を作成するのに、2月1日付にするのは、日付が虚偽ですが、当局はそれを望
んでいるのでしょうか。

 合併の依頼を受けたので、顧客に合併消滅会社の合併承認の株主総会議事録
に必要な株主リストは誰が作成すると思うかと聞いてみれば、100%が消滅
会社の代表取締役以外考えられないと応えます。これが常識です。ところが、
当局は合併会社の代表取締役を作成者にせよといっています。合併前に株主リ
ストを権限のない者に作らせてよいのでしょうか。そうしないと、合併効力発
生日の9時には書類が間に合わず登記申請することができないのですが。

 常識に合わない登記先例や運用は永久に批判され続けます。現実社会の結果
を公示する商業登記の運用が現実と遊離しているのは、先例を変更する勇気が
ないからです。伝統にがんじがらめの日本では、トランプさんは現れそうもあ
りません。こういう意味ではアメリカの若さがうらやましいですね。



2017.01.20(金)【期間短縮の同意と株主リスト】(金子登志雄)

 同じ期間短縮の同意でも、譲渡制限設定や組織再編等に関する反対株主の買
取請求期間の短縮の同意と総会招集通知期間短縮の同意では、株主リストの要
否が異なります。

 次の性格の差が原因です。

 総会通知短縮・・・総会自体の成立要件、議決権行使株主に限定
 買取請求短縮・・・個別議案の有効要件、議決権株主に限定されない

 商登規則61条2項の株主全員リストは議決権の有無を問いませんので、こ
の点からしても、総会招集通知期間の短縮には馴染まないことが分かります。

 もっとも、上記2つとも登記の添付書面になることはめったにありません。
通常、期間を遵守したと善解されて登記申請が審査されるからです。添付書面
になるのは、昨日記載とおり、設立直後など、明らかに法定の期間を守ってい
ないことが読み取れる場合に限られます。

 ついでながら、普通株式の一部を配当優先株式に変更するような場合の株主
全員の同意は、議決権を問わないため、株主全員リストが必要です。普通株式
の一部を無議決権株式に変更するような場合は不利益を受ける株主だけの同意
であるため、株主リストは不要です。



2017.01.19(木)【総会招集通知期間短縮の同意】(金子登志雄)

 周知のとおり、株主全員の同意があるときは、会社法300条により、株主
総会招集通知期間の短縮(や招集通知の発送等を省略)することができます。
この期間短縮の株主全員同意ですが、問い合わせがあったので、株主リストと
の関係を考えてみました。

 まず、登記の添付書面として、この期間短縮の同意書が必要な場面があるの
かと考えてみました。というのは、期間短縮に同意するということは、少なく
とも株主総会に委任状出席するでしょうから、そうなると、株主全員が株主総
会に出席しているわけです。この場合には、株主全員が出席して議決権を行使
しているので、期間短縮の同意書を登記の添付書面とする必要はありません(
Aのケース)。

 したがって、期間短縮の同意書が登記の添付書面になる場合としては、期間
短縮には同意するが、株主総会に委任状出席さえしないという特殊なケースで
しょう。例えば、株主10名で会社を設立したばかりなのに、翌日に株主9名
出席の株主総会で定款変更等を決議し、直ちに登記申請した場合です(Bのケ
ース)。

 登記研究468号98頁にも「株式会社の役員変更登記申請に、株主総会の
招集期間短縮につき株主全員の同意を得た旨の記載のある株主総会議事録を添
付しても、株主総会に全員出席していることが認められない場合は、その変更
登記申請は受理されない。」とありました。

 次に、Bのケースで、この期間短縮の同意に商業登記規則61条2項の株主
全員リストが必要かと問題ですが、必要だという見解もあるでしょうが、私は
不要説です。

 第1に、期間短縮の同意が総会議事録内に記載されているAのケースでは不
要なのに、期間短縮の同意が総会とは別になされるBのケースでは必要だとい
うので論理が一貫しません。

 第2に、この期間短縮の同意は総会の成立要件であって、個別議案に向けら
れたものではありません。ちょうど、総会の定足数が足りない場合に定足数の
緩和を証明するために定款を添付するのと同じく、総会招集の手続に瑕疵がな
いことを証明するために株主全員の同意書を添付するものであって、商業登記
規則61条1項の「〇〇〇がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの
原因が存することとなる申請については、申請書に、〇〇〇を添付しなければ
ならない。」という側面であって、同2項の「登記すべき事項につき………全
員の同意を要する場合には」という場面ではありません。

 この期間短縮の同意書の添付根拠として商業登記法46条1項(登記すべき
事項につき株主全員の同意を要するときは)が使われるとしても、それは他に
適当な根拠がなかったというだけのことで、この期間短縮の同意は個別の登記
事項に向けられた株主全員の同意ではなく、総会自体の成立要件であることを
改めて再認識すべきです。


2017.01.18(水)【アメフトその3】(藤沢・酒井恒雄)

 アメフトの試合を観ていると、指名委員会等設置会社が日本では普及しない
理由が分かるような気がしますが、組織論も日本には馴染まないものがあると
思ったりします。

 最近の流行?で日本の企業が導入している組織形態は、米国流が殆どではな
いかと思います。それもそのはず。組織戦略や経営戦略のアドバイザーは、M
BAの勉強を米国の大学でして来た人達だからです。組織の研究も米国におい
てのものが多いですから、そもそも国民性が違うということを念頭に置く必要
があります。それとアメフトが何の関係?と思われるかもしれませんが、試合
ではこんな光景も見られます。

 アメフトの花形選手は、クォーターバック(QB)です。そのQBのプレイ
を阻止すべく、守備側選手が襲い掛かってくるのですが、それに対して体を張
って守るのがオフェンスライン(OL)の選手たちです。QBは大学卒業後間
もない若い選手が先発出場することが珍しくありません。

 一方、OLは比較的ベテランの選手が先発出場します。QBが高校生の頃に、
OLはすでにプロで大活躍しているという例も多く、QBが「昔テレビで観て
いた人と一緒に試合が出来て光栄だ。」とインタビューで話したりします。そ
んな2人の間柄ですが、試合となると、そんなの関係ねぇ~って感じになりま
す。OLがQBを守りきれずにミスをすると、QBはそのOLに向かって「お
い!しっかり守れや!」と怒鳴ります。

 昔テレビで観ていた大先輩に向かって・・・です。

 気合いを入れるために「おい、たるんでるぞ!」と、OLの頭(ヘルメット
越しですが)を叩いたりします。

 昔テレビで観ていた大先輩の頭を・・・です。

 でもこれは特異な光景ではありません。そこには、「与えられた仕事を遂行
する」という単純な理屈だけがあります。QBには、ミスは叱る、攻撃選手を
鼓舞する、そして勝利に導くという役目があります。そして、そのことをOL
も理解しています。内心は腹が立っていたとしても、それが試合に影響したら
「プロ」ではなくなるので、その後も淡々と試合は続いて行くのです。このよ
うな人間関係や仕事意識は、日本人である私たちには、なかなか受け入れづら
いですよね・・・・・。文化が違うよなぁ~などと、試合の行方とは全く関係
のないところに感心しつつ、米国流の組織形態の導入に失敗した企業のことが、
頭に浮かんだりするのです。


2017.01.17(火)【株主リストの続報その2】(金子登志雄)

 予想どおり、原田先生からブログでの回答がありました。
     http://shihoushoshi.main.jp/blog/
----------------------------------------------------------------------
 今回は単純に資本金計上の2分の1の根拠として添付するだけなので、登記
すべき事項につき,株主総会の決議(種類株主総会の決議)等を要する場合に
該当せず、添付不要となります。
----------------------------------------------------------------------

 という説明(当局の説明?)でした。

 しかし、株主総会議事録を添付する根拠は商業登記法第46条第2項の「登
記すべき事項につき株主総会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添
付しなければならない。」です。これは松井ハンドブックもテイハン書式精義
も認めるところです。

 この規定に該当しながら、同一文章の商業登記規則第61条第2項の「登記
すべき事項につき株主総会の決議を要する場合には、(株主リストの添付が必
要である)」に該当しないという論理は、理屈大好き人間には通じません。

 したがって、私は、やはり、形式的には規則61条2項に該当するが、新株
予約権の発行の段階で、その株主総会議事録の真正は担保されているため、そ
の実行段階である本件のようなケースまで拡大解釈すべきではない。現に、6
1条9項で資本金計上証明書まで添付させるのだから、これで十分だという政
策的配慮から、規則61条2項を縮小解釈したものだと考えます。

 理屈はともかく結論はありがたく受け入れさせていただきます。


2017.01.16(月)【株主リストの続報】(金子登志雄)

 土日は風邪で不調でした。それでも煙草もやめず、不摂生ですから、完全に
治るまでは3週間程度かかります。悪いお友達みたいなもので、しばらくお付
き合いしなければなりません。

 さて、東京都港区の原田先生のブログの1月12日号に、次のようにありま
した。
        http://shihoushoshi.main.jp/blog/
----------------------------------------------------------------------
 新株予約権の行使の際の、資本金計上の2分の1の根拠として添付する株主
総会議事録には、株主リストは、少なくとも東京管内では不要が確定したよう
です。地方は、そもそも新株予約権の行使の登記の件数が少ないと思いますの
で、過信すると危険なので、お気を付け下さい。
----------------------------------------------------------------

 初耳でした。新株予約権の登記は慣れていますが、公開会社が多く、新株予
約権の行使の際に、株主総会議事録を添付したことがほとんどないからです。

 はじめは、株式報酬型ストックオプション事案で、株主総会議事録は役員報
酬の決議だから、取締役会議事録の代わりに株主総会議事録を添付しても、株
主リストは不要だという回答ではないかと半信半疑でしたが、原田先生が間違
うわけがありません。

 理由は分かりません。登記すべき事項(資本金の額の増加)につき決議した
株主総会議事録であることに変わりがないが、新株予約権の発行の登記の際に
株主リストを添付したから、発行後の行使の際はその都度添付する必要はない
という解釈しか思いつきません。


2017.01.13(金)【株式の発行価額と払込金額】(金子登志雄)

 今日は13日の金曜日ですね。どうでもいいことですが。

さて、次の条文を比較してください。
--------------------------------------------------------------------
 旧商法第284条の2(資本、払込、剰余金)
1 会社の資本は………発行済株式の発行価額の総額とす

 会社法445条
1 株式会社の資本金の額は、………、設立又は株式の発行に際して株主とな
 る者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
---------------------------------------------------------------------

 さて、増資に際し、1株の発行価額20万円と取締役会で決議したところ、
人気が過熱して、1株30万円で引き受けられ払込みがなされました。資本金
計上額はいくらでしょうか(2分の1を資本準備金に計上するという前提)。

 旧商法時代は1株20万円の2分の1の10万円が資本金になり、残りの2
0万円が資本準備金になりました。会社法ではこれが無理になり、1株15万
円を資本金に計上しなければなりません。発行価額と払込み財産額の相違です。

 これが理由で、会社法施行以前には新規上場時に資本金額の数倍の資本準備
金を計上する会社が多かったのですが、会社法施行後にはこれが無理になりま
した。

 旧商法は譲渡する側から見ていたのに、会社法では取得する側から規定が整
備されたのと同様に、ここでは、発行側からではなく払込側から規定されたわ
けです。

 旧商法と対比してみると、会社法の面白さが倍増しますが、それは旧商法を
知っている人に限られ、いまの若い人に求めるのは酷ですね。


2017.01.12(木)【株式の発行と資本金】(金子登志雄)

 今年になってから、なぜか正月休みや土日の休日であっても、メール質問が
来るようになりました。本欄で、私が年365日無休の自動販売機商法を営ん
でいると繰り返し発言していたことが知られてきたのかもしれません。

 合併で新株を発行するが、なぜ資本金を増やさなくてよいのかという質問が
ありました。皆様はこれにどう答えますか。条文上の根拠、理論上の根拠の両
方からお答えください。

 条文上の根拠ですが、会社法445条1項によれば、「株式会社の資本金の
額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、株式の発行に際して株主とな
る者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。」とする
とありますから、原則として出資額の全額を資本金に計上しますが、例外とし
て「この法律に別段の定めがある場合」とあります。そして、5項に「合併、
吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転に際して資本金又は準備金として
計上すべき額については、法務省令で定める。」とあり、組織再編の場合は、
例外とされています。

 理論的根拠は、設立や増資は資金調達(資本の充実や増強)ですが、組織再
編は組織の再構築であり、資本の増強とは限らないこと、また、組織再編の対
価である株式が無額面株式だからです。

 いまだに株式を発行したら資本金を増やすという思い込みがあるのかという
と、平成13年10月以前の額面株式主流時代の発想から抜け切れていないか
らです。

 合併等の組織再編であろうと額面(例えば5万円)株式を1000株発行し
たら、額面分の5000万円は必ず資本金に計上しなければならないというル
ールがあったため、「株式の発行=資本金が増える」というドグマから抜け切
れていないのです。

 この額面株式主流時代でも、合併対価を無額面株式にすれば、資本金を1円
も増やさないことが可能でしたが、無額面株式はほとんど普及しておらず、そ
ういうアイデアに気付く人もいませんでした。

 無額面株式発行会社は上場会社でも外資系を中心に数社しかありませんでし
た。外資系ではないのに、無額面株式発行会社は、当社アクモス1社だったと
記憶しています。こういう面では当社は最先端企業であり、平成13年の額面
株式の廃止や平成18年の会社法の施行を先取りしていたといえましょう。業
績が最先端でなかったので、苦労しましたが。



2017.01.11(水)【アメフトその2】(藤沢・酒井恒雄)

 前回に引き続き、アメフトの話です。

 出場選手は、攻撃側11人、守備側が11人です。一見、サッカーと同じよ
うに思えますが、一つのチームで攻守11人ずつなので、合計22人、更にキ
ック等のシーンで登場するスペシャルチームもいますし、控えの選手も含めま
すと45人もの選手が試合に出場します。相手選手を含めますと100人近い
選手がいることになります。

 そんな中で一番の花形選手は、クォーターバック(QB)という攻撃の司令
塔です。攻撃の中心となり、捕球専門の選手(WR)にボールを投げたり、走
るのが専門の選手(RB)にボールを渡したりします。

 そして、そのQBに戦術を伝えるヘッドコーチがいます。さらに、そのヘッ
ドコーチに各プレイの分析結果や、次のプレイについてアドバイスをする、専
門コーチやコディネーターがいます。コーチ陣は無線(最近はタブレット端末
を多用しています。)でやりとりし、戦術をQBに伝えます。

 QBは、伝えられた戦術とプレイを基に攻撃を実行しますが、戦況によって
は自身の判断で、攻撃方法を変えたりします。とても大がかりな感じなのです
が、僕はこれを見て、あることに気づきました。

 「これって、委員会設置会社型の組織では?」

 現在、会社法では指名委員会等設置会社という名称になりましたが、要は、
各取締役会があって、それぞれ専門的に判断した事項を、執行役に実践させる
という組織形態です。

 コーチ陣は各取締役会、QBは代表執行役という感じです。(ちなみに、金
子登志雄先生は、プロ野球の組織構造が、委員会設置型会社のようだとおっし
ゃっていました。)ちょうど今がシーズン中なので、テレビ等でアメフトの試
合をやっていたら、チラッとフィールドの状況を観察してみてください。この
ような組織を緻密で合理的だと思うか、それとも面倒で煩雑だと思うか・・・
・・。僕は、指名委員会等設置会社が日本では普及しない理由が分った気がし
ました。そんな見方をすると、もっと面白いことが見えてきたりもします。

                              <つづく>


2017.01.10(火)【成人式と高齢問題】(金子登志雄)

 昨日は成人の日でした。総務省の統計によると、平成29年1月1日現在の
新成人は123万人だそうです。

 私の世代=昭和22~24年までの第1次ベビーブームに生まれた現在67
歳から69歳である団塊(だんかい)の世代。全共闘や連合赤軍世代でもあり
ます=が成人に達した頃は246万人程度でしたから、半減したことになり、
これだけでも若者の減少が分かります。田舎の小中学校の学年のクラス数も私
が在籍した頃より半減しているようです。

 少子高齢化の進展で年金がパンクするので、高齢者の定義を75歳以上にす
る動きがありますが、司法書士からみれば、成年後見の市場が急拡大するビジ
ネスチャンスでもあります。

 一方で、団塊の世代が75歳以上になるころは、日本経済も疲弊し、一般庶
民には成年後見を依頼することのできるだけの資産が残っていない可能性も大
きいように思います。わが世代の老後も安泰というわけではありません。特に、
老老介護が深刻な問題になるでしょう。

 高齢問題は個人差があり難しいですね。私は、幸か不幸か、まだ子供も独身
で「おじいちゃん」と呼んでくる孫もいないためか、自分が高齢だという意識
は希薄です。電車の中で立っていても誰も席を譲ってくれません。

 一番、歳を感じるときは、30代後半の人と対等の立場で会話していて、た
またま年齢あるいは親の話になったときでしょうか。「あれ、先生は私の父と
同世代ですね。先生より〇歳下ですが」などと現実を示されると急に自分の歳
を意識してしまいます。………笑わないでください。そのうち貴方もそうなり
ますから。


2017.01.06(金)【酉年】(島根・根来川弘充)

 新年おめでとうございます。

 「酉年」がはじまりましたが、昨年12月上旬、地元の焼き鳥店が閉店しま
した。30年以上、続いたお店で、市外(県外)からも多数お客さんも集める、
地元では有名なお店でした。

 また同じようなお店ができるまでには、同様の年月を要するだろうと思いま
す。町にとって大きな損失だったことは間違いありません。

 司法書士として、事業承継は関心のあるところであり、お店がうまく引き継
げられる方法が、なかったかと今でも考えさせられます。

 ちょっとしたことがきっかけで、その店の大将と親しくさせていただき、お
店の徳利を記念にいただきました。この正月、その徳利でお酒をいただいてい
ます。

 無力な私としては、酉年で新たな人生をスタートされる大将そして女将さん
のご多幸を祈念したいと思います。


2017.01.05(木)【アメフトその1】(藤沢・酒井恒雄)

 新年おめでとうございます。

 さて、前回の続きですが、私は、アメリカン・フットボール(以下、アメフ
ト)の試合を観るのが好きです。

 米国では人気ナンバーワンのスポーツで、そのプロ組織はNFLといいます。
全米チャンピオンを決める試合はスーパーボウルと呼ばれます。名前は聞いた
ことがあるのではないでしょうか。

 ハーフタイムショーでは有名なミュージシャンも登場(過去にはマイケル・
ジャクソンも出演しました)し、それは豪華絢爛な催しなのです。

 あまりに人気が高く、多くの人が観に行きたいと思っているので、警察の「
おとり」に利用されたりします。手配中の犯罪者宛てに「スーパーボウルのチ
ケットが当たったので引き取りに来てほしい。」という通知を送ると、まんま
と現れて御用となるケースが後を絶たないそうです。嘘のような本当の話です。

 ルールも面白いです。覚えるまでが一苦労なのですが、一度覚えてしまえば、
ハマること間違いなしです。

 そして、なんと毎年ルール変更があります。前年度の試合で、怪我人が多け
れば、翌年の試合では反則となる行為が追加されたり、前年度に面白くない試
合が多ければ、接戦になるようにルール変更がされたりし
ます。

 きちんと事業活動のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を実践し
ているのですね。PDCAを掲げつつも、PDCの繰り返しばかりしている会
社って少なくないですよね? そんな会社の社長は、NFLを見習って欲しい
です………。
                              <つづく>


2017.01.04(水)【謹賀新年】(金子登志雄)

 新年おめでとうございます。本年も相変わりませず、本徒然につき、よろし
くお願い申し上げます。

 年末年始休暇はいかがお過ごしでしたか。私は相変わらずテレビを拒否しN
HKの紅白もみず、ひたすらPCの前に座って、仕事と趣ねた書き物をしたり
の生活でした。

 書き物の途中では、気分転換に、ユーチューブというものをよく見ていまし
た。映像付情報源であり、読書よりずっと分かりやすく、かつ面白く、これで
は本が売れなくなったのがよく分かります。

 今回は、日本の雇用環境の急速な悪化の実体やらのドキュメンタリー風のも
のから、ユーチューバーといわれる若者がネットにあふれる架空請求やヤミ金
と戦う姿などを集中的にみていました(下記の検索に「架空請求」などと入れ
ると大量に出てきます)。
       https://www.youtube.com/?gl=JP&hl=ja

 ユーチューバーは、架空請求やヤミ金などのネット広告などに、果敢に電話
し、気弱い視聴者らしく振舞い、最後は撃退する様子を自ら映して公表してい
るわけですが、いまの若者は実にたくましいですね。相手がヤクザでもモノ怖
じせずに、からかっていました。こういうのを善良な老人達がみるようになれ
ば、オレオレ詐欺への対処法なども学べ、被害者が減るのに………と思いまし
た。

 話は変わり、元旦にいただいた年賀状には「今年の抱負」や「年初の誓い」
を書いてくださった方も多数おられました。私はそれをすると自分の意思の弱
さを再確認するだけでしストレスが貯まりますので、誓わない方針を維持して
きましたが、本年は会社法等の改正もなく、執筆依頼もなく時間があり余りそ
うですので、何か勉強してみようかなとは思っております。続くことやら。


過去徒然

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