合併再編等会社法手続の実績は最大級!【ESG法務研究会】
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*「まんが司法書士開業入門」の抜粋

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2010.09.03(金)【設定していないのに設定登記?】(金子登志雄)
取締役会のある株式会社が株主総会決議で解散すると、事業を廃止したわけです
から、不要となった取締役や取締役会設置会社の登記などが法務局の職権で抹消さ
れます(商業登記規則72条)。
しかし、「取締役会を置く」という定款の定めまでが抹消されたとみなされるわ
けではありません。この定款規定は、冬眠状態になるだけです(規定は存在しても
効力がないため、一般に「空振り規定」と呼ばれます)。
解散しても清算結了するまでは、株主総会の特別決議で事業会社に復活できます。
これは「会社の継続」といいます(会社法473条)。
その際には、取締役を改めて選任しなければなりませんが、取締役会設置会社に
ついては、すでに定款に定めてありますので、改めて定める必要がありません。
では、職権抹消されていた取締役会設置会社の登記は、どうなるのでしょうか。
昨日、電話で質問されましたので、調べましたら、法務省のHPに、次のような
書式例がありました。
http://www.moj.go.jp/content/000011611.pdf
当然のごとく、上記の書式例でも、株主総会決議で定款変更を決議していません。
にもかかわらず、登記申請内容に、「取締役会設置会社/平成〇年〇月〇日設定」
とあります。
設定なんかしていないのに設定登記とは、どういうわけでしょうか。
冬眠から目覚めただけですから、「設定」という表現にも馴染めません。また、
頼んでもいないのに当局が職権で抹消したのですから、職権で回復してくれるのが
筋ではないでしょうか。
無料でしたら、われわれ司法書士も、いくらでも協力を惜しみませんが、この取
締役会の設定登記で、登録免許税が3万円も余計にかかるのです。最近は会務多忙
で本欄にご無沙汰のW先生の数日分の稼ぎにも匹敵する金額になるそうです。
この結果、ごく普通の中小企業が会社を継続すると、全部で7万円の登録免許税
となります。継続3万、役員1万、この登記3万です(商法時代は、取締役会設置
の登記は不要でしたから4万円でした)。
ちょっと、暴利すぎるように思いますが、過払い問題専門の司法書士さん、お国
相手に何とかなりませんでしょうか。私も、この仕事を受けたら、自慢の桜吹雪を
出して、啖呵の1つも切るつもりです。しまった! 昨日の本欄で、桜吹雪を消し
てしまった。
2010.09.02(木)【金さんの桜吹雪】(金子登志雄)
ときどき、メールで「金さん」と呼ばれます。つい、「キンさん」と呼ばれたよ
うな錯覚を覚えます。
というのは、私の背中には、みごとな桜吹雪が舞っているからです。同居の家族
からは、「老人性のシミでしょ。もう歳よ」といわれるのですが、30歳代の若い
頃からのものですから、私は自然にできたホクロの芸術と固く信じています。
ところが、還暦も過ぎると、誰も芸術品と評価してくれなくなったため、何かの
ついでに医者にかかった折、「先生、この桜吹雪、何とかなりませんか」と聞いて
みるのですが、病気ではないため、全く相手をしてくれません。
あるとき、皮膚科で液体窒素なるものでシミやほくろを殺してはがす方法を採用
した人から、その方法を勧められましたので、さっそく近所の専門医に行ってみま
した。一種の美容整形外科みたいなところです。
感激です。はじめて真剣に応対してもらえました。いままでの医者と違いました。
「こりゃ、みごとだ。ただし、こんなに量が多いと、液体窒素では無理だ。それに
跡が残る。レーザーで行こう」ということだったので、やってもらいました。
レーザーというのは、てっきりレーザーのメスがあり、グサっとやられるのかと
思っておりましたら(周りから馬鹿にされました)、レーザーの鉄砲で患部を撃た
れるのですね。
過去、何度も、人に背中を撃たれてきたので(?)、慣れたものでした。2回目
からは、麻酔(といっても、トクホンを張るようなもの)を拒否し、思い切り、連
発銃で撃たれましたが、入院も何もいらず、楽なもんでした。
もうすぐ、「金さん」を「カネさん」と素直に読めそうです。私には無縁(?)
のシミ、そばかすにもいいようですよ。ただし、心のシミには効果がないようです。
あしからず。
2010.09.01(水)【ドキッ! 誤字?】(金子登志雄)
ネットで情報チェックをしていたら、「泥仕合」という単語をみて、「ドキッ!
先日の本欄で『どろ試合』と書いてしまった………」と、ヒヤッとしましたが、泥
試合でもよいようで、ほっとしました。
恥ずかしながら、私は、こうやって漢字を覚えてきました。小中学生の頃から、
本は嫌い、漢字も大嫌いで、国語の成績はよくありませんでした。ただ、作文を書
いたり、手紙を書くのは、それほど苦痛と思ったことはありません。
そこで、作文や手紙を書いた後、数日後数か月後に、今回と同様に、何かの拍子
に、「あ、あの時、間違った字を書いてしまった、間違った表現をしてしまった」
と気づき、すごく恥ずかしい心境になり、これが積み重なって今日に至ります。
自分の意見を公表するということは、大勢の人の前で裸になるのと同じで、実に
恥ずかしいものです。本欄を書くことや出版をすることで、私の能力自体をみなさ
んに、押しはかられてしまうのです(だからこそ、こちらも勉強になります)。そ
の能力は、会社法の知識だけでなく、一般教養や文章表現力から漢字能力、誤字脱
字をしない能力まで含みます。
(芸能人や政治家はその発言や生活態度まで裸にしなければならないので、私が
徹底した反マスコミで有名人擁護をするには、こういった理由もあります。顔も出
さず戦っていない人は戦っている人を非難すべきではないと思っています)。
著作の前のほうでは「あり得ない」とし、後ろのほうでは「ありえない」になっ
ている、この頁では「第三者割当て」だが、別の頁では「第三者割当」で「て」が
ついてないなども気にし、著者も出版社の編集担当者も、数度チェックするのです
が、出来上がったものをみると、見落としが多々あります。ゲラでは気づかないこ
とも、本になると、やけに目につくものです。
最後は子供のように居直ります。学者の教科書だって、大手法律事務所の本だっ
て、いくつも間違い内容や誤字脱字があるじゃないか………と。だから、他人の本
で間違いをみつけると、仲間を発見して、うれしくなります。
先般は、会社法立案者が会社法を解説した商事法務の内容に間違いがあるのを発
見しました。登記記録例にも形式上のミスがあります。前者については、今月末発
売の「登記情報」に緊急投稿が許されました。ネタをもらったと同時に私の精神の
安定に貢献してくれて、しかも原稿料までもらえ、感謝です。
2010.08.31(火)【まやかし】(金子登志雄)
予想どおりというか、またもや、怪しい自作自演の世論調査なるものがマスコミ
各社に登場してまいりました。
さんざん特定人に対して根拠のない疑惑を取り上げて非難し世論を煽っておいて、
その後に真っ当さを装った世論調査なるものをして、「ほれ、世論がこれだけ貴方
に不信感をもっている」と責め立てる構図は、民主党政権になってからの大手マス
コミの常套手段になったかのようです。
菅さんも小沢さんにではなく、大手マスコミに対して「しばらく静かにしておれ」
と言ってくれていれば、もっと人気が上がったのに………。
こういうまやかしが先般ご紹介した計算規則14条です。今日は、裏からご説明
しましょう。
1.株式の募集も「取引」であり、仕入れたものを売るのと同じである。
2.自己株式を保有しており、株式の募集の際に、それを処分することは、仕入れ
値が自己株式の簿価で、売値が処分価格である。
「純利益=処分価格−自己株式簿価」となる。
3.自己株式の処分と新株の発行を同時に行ったときは、
「純利益=新株発行による調達額+自己株式処分価格ー自己株式簿価」
となる。
4.これを法律的に表現すると、
「資本金等増加限度額
=総調達額×新株式発行割合+総調達額×自己株式処分割合−自己株式簿価」
となる。
5.ここで自己株式をまとめると、
「資本金等増加限度額
=総調達額×新株式発行割合−(自己株式簿価−総調達額×自己株式処分割合)」
6.カッコ内が負だとすると、
「資本金等増加限度額
=総調達額×新株式発行割合−自己株式処分差損」
となり、計算規則14条1項の式ができました。
2の式も6の式も同じなのに、まやかしのように感じませんか。株式発行割合も自
己株式処分割合も計算する意味がないのです。計算する意味があるのは、自己株式処
分差損が生じない場合(ゼロ評価)のときだけです。
こういうまやかしは、おもちゃの「知恵の輪」を解くように楽しいものですが、世
論調査のまやかしに気づいている方が少ないのは残念なことです。
2010.08.30(月)【どろ試合】(金子登志雄)
民主党代表選は、残念ながら、どろ試合になってきました。正々堂々と政策で戦
ってほしいのですが、外野席の大手マスコミが、またもや使い古された「政治とカ
ネ」の問題で、小沢・鳩山攻撃を始め、菅さん側もそれに悪乗りし、争点がぼけて
きてしまったようです。
それにしても、イラ菅といわれ、元気・溌剌とした菅社長はどうしたのでしょう
か。つい、この間までは、鳩山・菅・小沢のトロイカ体制といわれ、鳩山前社長と
小沢専務が検察・マスコミ・米国連合に追い落とされてしまったため、その後を継
いで念願の社長になったはずなのに、社長になった途端に、脱鳩山、脱小沢路線を
敷いてしまいました。それだけならまだしも、脱・事業計画(マニフェスト)まで
進んでしまいました。
これでは、創業株主の鳩山さんや筆頭株主の小沢さんが怒るのも無理ありません。
もともと、市民運動出身で弁理士の菅社長、弁護士の仙谷副社長・枝野専務という
自由業コンビでは、司法書士の私同様に、人のいうことを聞かない唯我独尊の傾向
があり、経営に不向きだと思っておりましたが、当たってしまったようです。
当初は菅社長の脱小鳩路線をポーズと思って菅社長を支持していた民主党株主も、
菅社長の変質に気づいて怒り始めたので、その声に押されて筆頭株主の小沢さんが
やむにやまれず立候補したのだろうと私はみていますが、朝日新聞は「あいた口が
ふさがらない」と社説で酷評したようです。マスコミは、よほど、小沢社長では困
る理由があるのでしょうか。
………などと書くと、またもや「金子は小沢シンパか?」なんて思われてしまい
そうですが、私は、大手マスコミの社会の混乱を煽る世論誘導が許せないだけです。
せめて、マスコミに良心というものあるのなら、似非正義を振りかざして、民主党
の内紛を煽るようなことをやめて、菅さんと小沢さんがこの国をどうしたいのかを
取り上げて、どろ試合にならないように監視しろよ、といいたいのです。いっても、
無駄ですね。
こんなブログがありました。欧米のマスコミの評価からすれば、日本のマスコミ
報道は、ばかばかしくてニュース価値もないということのようです。
http://sumichi7878.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-0eb4.html
2010.08.27(金)【発行する株式の内容】(金子登志雄)
会社法107条は単一種類の株式しか発行していない会社の発行する株式につい
ての特別の定めとして、譲渡制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式の3つ
を定めています。
譲渡制限株式は、株式をこの人に譲渡したいが、OKかと会社の承認を求める必
要のある株式であるのに対し、取得請求権付株式は、会社で引き取ってよと請求で
きる株式、取得条項付株式は、会社の方から強制的に引き取れる株式です。
いずれも、株式の移転に関する内容であるため、会社法で、はじめて認められた
内容ですが、このうち、取得請求権付株式と取得条項付株式は、登記簿の「発行す
る株式の内容」という欄に記載されます。
21日土曜日の商業登記倶楽部のセミナーで、「発行する株式の内容」という欄
のある登記簿を見たことがない、どなたか見たことのある方はいらっしゃいますか、
と質問してみましたら、今週お2人の方から、実物を送っていただきました。とも
に、取得条項付株式の内容でした。
実例があるんですねえ。登記の位置は種類株式と同じく、資本金の欄の下でした。
内容は、ともに、役員や従業員が退職したら会社が株式を強制的に引き取れるとい
う取得条項でしたから、これならニーズがあるかもしれないなと思った次第です。
ということで、現時点では、取得請求権付の事例による「発行する株式の内容」
の欄のある登記簿は見たことがないということになりました。
ここまで来たら、自分で登記してしまったほうが早いかもしれませんね。これだ
け円高が進むと、会社に有利なように、「株主は、いつでも1株1米ドルで会社に
取得を請求できる」なんて定めるのはどうでしょうか。
2010.08.26(木)【親子げんか?】(岡山・山本直樹)
暑い日が続きますね。
いつもは温厚な方でも、いらいらしてしまう猛暑です。
さて、先日、親会社の担当者から子会社の変更登記手続の依頼を受けました。
親会社担当者A「子会社の社長と話をすすめて書類を準備してください」
山 本 「了解しました。連絡します」
〜子会社へ連絡〜
山 本 「親会社のAさんから商業登記の依頼がありましたので、ご連絡
しました。これこれしかじかで………(内容説明)」
子会社社長 「そんな内容のことは聞いてないぞ。勝手にきめるなよ(怒)」
山 本 「そうなんですか(汗) Aさんに確認します………」
〜親会社へ連絡〜
親会社担当者A「子会社の担当者には言っているんだけどな。しかも、株主は
こっちなんだから、言うこと聞かないといけないだろう
(ほんの少し怒)」
山 本 「お話がまとまったら連絡ください(逃)」
結局 兄弟会社の社長が、親子会社間の連絡の行き違いについて仲裁に入られ
たようでことなきを得ました。
(親会社の担当者が詫びをいれたようです………)
子会社(子供)の独立性をどこまで重んじるか。
なかなか難しい問題だなぁと思いました。
しかし、会社でも人間でも親子げんか? には仲裁役は必要ですね。
2010.08.25(水)【計算規則14条の思考】(金子登志雄)
23日(月)の投稿は、それなりに衝撃を与えたようですが、要するに、会社法
は、「取引(売買など)」の思考でできているということです。合併新株のことを
合併「対価」と呼ぶのが典型例です。
自己株式の簿価が3万円で、これを2万円で処分したら、1万円が自己株式処分
差損として、その他資本剰余金が減額されますが、これは、仕入れ値3万円の自己
株式を損を覚悟で2万円で売ったので、差額の1万円が損失として、資本性の剰余
金から減額されるということです。
新株を2万円で発行した場合には、仕入れ値が0円ですから、売値が2万円なら、
全額が儲けになります。これは、特別な儲けとして、資本金と資本準備金に計上す
るというだけです。
新株1株と自己株式1株を同時に合計4万円で売却したら、仕入れ値3万円で、
売値が4万円になるので、通算した合計の儲けは1万円だから、これを資本金と資
本準備金に計上するというのが計算規則14条1項です(注)。
なお、司法書士業務につき、仕入れ値がないから、新株の発行と同じじゃないか、
実によい商売だなと思われるかもしれませんが、こういうことを説明できるまでに、
また登記を円滑に完了させるまでには、多くの勉強時間と高額の費用を使ってまい
りました。それでも司法書士になれず、無念の涙を流した方も大勢います。
自己投資という高額な仕入れ値がありますので、決して仕入れのない新株の発行
と同じというわけではありません。また、当ESGメンバーの仕事ぶりは、お客様
から0円で原材料を仕入れても、匠の技で加工し、見事な製品にして、お届けして
おります。ちょこっと申請書類を書いて、法務局に横流ししているわけではなく、
建築加工業と同じ困難な作業をしておりますので、ご理解くださいますよう、お願
いします。
(注)種類株式の発行と、普通株式の自己株式処分による差損とでは、同時に行わ
れても、株式の種類が異なり、2つの取引(募集行為)となるので(会社法199
条1項1号かっこ書)、通算できないということになりそうです。これ、ちょっと
不合理な気しますので、何か、これにつき、ふれてある文献がありましたら、教え
てください。めったにないことなので、実務上の支障はないでしょうけれど………。
2010.08.24(火)【武蔵でないのに………】(金子登志雄)
土曜日は、司法書士界の大勢力である商業登記倶楽部の夏季セミナーで種類株式
につき、講演してまいりました。札幌や沖縄からの参加者もあり、相変わらずの盛
況でした。
その後の懇親会の折、またもや、「先生のところで会社法実務を修業したいとい
う人がいるのだが、人は募集していないのか」と聞かれました。最も、よく質問さ
れ、頼まれる内容です。
全国には、まだ、金子事務所は総勢30名以上の大事務所と大いなる勘違い(善
意の誤解)をしている人が少なくないようです。本欄をみている方はおわかりのと
おり、知名度と事務所が流行っているかとは全く無関係であり、私は、相変わらず
の1人事務所で、長屋の傘張り浪人と同じ生活です。
そこで、思い出しました。司馬遼太郎の短編小説に確か、「なぜ徳川幕府は、武
蔵を剣術指南に雇わなかったか」という内容があり、その理由として、「武蔵の剣
は武蔵独自の剣法であり、人に伝承できない。これでは徳川幕府も雇いたくても雇
えない。これに対して、千葉周作の剣法はマニュアル化されているので、北辰一刀
流は全国制覇できた」とありました(記憶に基づくもので内容は保証できません)。
私の会社法実務は、金子独自の流儀とはいえ、十分に他に伝承できる内容にして
あるのに、なぜ、私は大道場経営の千葉周作になれず、暮らしぶりだけの浪人暮ら
しの武蔵と同じ境遇なんでしょうか。
つらつら、考えるに、やはり、もの書き業などを兼任している「二刀流」がいけ
ないようです。気の毒に、私の一番弟子を名乗ってくれる富田センセも、もの書き
と二刀流で、やはり、1人事務所から脱皮できないようです。
でも、富田さんよ、もの書きのおかげで、数少ないとはいえ、われわれは超一流
の顧客に恵まれました。二刀流だからこそ、吉岡道場の追っ手にも勝てたのです。
国家公認の北辰一刀流の法務局職員集団と1人で渡り合うには、二刀流しかありま
せん。顧客の依頼を達成した「成果」こそわれわれの財産ですから、今後も、さら
に腕を磨くしかないようです。
2010.08.23(月)【計算規則14条1項の計算のまやかし】(金子登志雄)
会社計算規則14条1項によると、新株の発行と自己株式の処分を同時に行い、
自己株式処分差損が生じる場合には、資本金等増加限度額(資本金と資本準備金
に計上できる限度額)を次のように計算し、登記の際にも、この計算の証明書が
必要だとされています。
(具体例)
1株1万円で新株80株と自己株式20株の合計100株を募集したとすると、
株式発行割合は80%、自己株式処分割合は20%です。
金銭で80万円、現物で20万円を調達し、自己株式の簿価は1株あたり2万
円とします。自己株式処分では1株あたり1万円、総額20万円の損失です。
------------------------------------------------------------------------
【資本金の額の計上に関する証明書】
@ 払込みを受けた金銭の額(会社計算規則第14条第1項第1号)金80万円
A 給付を受けた金銭以外の財産の給付があった日における当該財
産の価額(会社計算規則第14条第1項第2号) 金20万円
B @+A 金100万円
C 株式発行割合
発行する株式の数80株
―――――――――――――――――――――――――=80%
発行する株式の数80株+処分する自己株式の数20株
D B×C 金80万円
E 自己株式処分差損(会社計算規則第14条第1項第4号) 金20万円
F 資本金等増加限度額(D−E) 金60万円
募集株式の発行により増加する資本金の額○○円は、会社法第445条及び会
社計算規則第14条の規定に従って計上されたことに相違ないことを証明する。
〇〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇 印
------------------------------------------------------------------------
資本金等増加限度額は60万円となり、資本金には30万円から60万円まで
計上でき、残りが資本準備金です。
実は、このケースでは、株式発行割合を計算する意味が全くないことにお気づ
きでしょうか。
自己株式処分差損とは、「自己株式の簿価−総収入額×自己株式発行割合」の
ことです。
したがって、上記の式は、
100万円×80%−(40万円−100万円×20%)であり、このカッコ
を外すと、
100万円×80%−40万円+100万円×20%
=100万円×(80%+20%)−40万円
=100万円−40万円
となります。これは、「総出資額−自己株式簿価」であり、株式発行割合を計
算する意味がありません。
ということを、ただいま発売中の「ビジネス法務」に書きましたので、ご関心
のある方はぜひみてください。秋に発売になる『(仮称)募集株式と種類株式の
実務』(『これが新増減資だ種類株式だ』の株式部分の改訂増補版)にも詳細に
書きましたので、出版はいましばらくお待ちください。
2010.08.20(金)【取締役会の決議によらなければならない】(金子登志雄)
会社法の条文のいくつかに、「取締役会の決議によらなければならない」と規定
しながら、取締役会のない会社では、誰が決定するのかにつき、何も規定していな
い箇所がいくつかあります。
典型例が自己株式の消却である178条ですが、株主総会で自己株式の取得枠を
決定した後に、具体的な取得方法につき決定する157条もそうです。
会社法学者の江頭先生や前田先生の本によると、ある個所では、取締役が決定す
ればよいとしながら、別の場所では株主総会だとし、統一がとれていません。また、
両巨頭で意見が違う箇所がいくつもあります。
しかし、私にいわせれば、考えすぎじゃないでしょうか、ということです。
常識からして、上位機関である株主総会が決定することを下位機関の取締役会で
決議することも「できる」と定めるならともかく、株主総会を差し置いて、「取締
役会の決議によらなければならない」と規定するとは考えられません。取締役会設
置会社の代表取締役ですら、定款で定めれば、株主総会で選任できます。
この表現は考えるまでもなく、本来は取締役や取締役会が決める業務執行行為だ
が、ことの重要性に鑑みて、取締役会があるなら、会議体で決定し、代表取締役だ
けで決めていはいけないという意味でしょう。取締役会がないなら、当然に取締役
が決めることだという考えが裏に隠れています。
会社法157条には、「前条の株主総会の決定に従い株式を取得しようとすると
きは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない」とあります。
これを前条の株主総会の決定を受けて、また株主総会で、その都度、決定せよと
いうのでしょうか。そんなことをわざわざ規定するでしょうか。にもかかわらず、
江頭本も前田本も、株主総会で決定すべきだと主張しています。
私は、もちろん、取締役会がないのなら、取締役の過半数で決定せよと読みまし
た。まともに読んでしまう性格のため、私は、学者に不向きのようです。
2010.08.19(木)【『常勤・非常勤』と役員報酬】(愛知・和出吉央)
先日、若手の税理士さんから、
「A社の常勤(平)取締役Xが、B社の代表取締役に就任してもよいのか?」と
いうご質問を受けました。
我々のように、会社法を中心に考える専門家からしてみれば、この質問に対し、
「会社法上、XがB社の代表取締役に就任することは何の問題もありません。」
と答えることと思います(競業・利益相反取引については度外視します。以下同じ)。
それは、会社法上も商業登記法上も、「常勤・非常勤」という区別はないからです。
しかし、この若手税理士さんの質問の意図は違うところにあったのです。
つまり、税理士さんの真の意図は、
「代表取締役というのは、会社の最高責任者であり、かつ、毎日業務を執行する
とともに、従業員の管理・監督もするのだから“非常勤”は考えにくい。その場合、
Xは、A社とB社の両者の“常勤”であるという前提で、役員報酬額を決めること
になるが、実態重視の税務の考えからすると、決定された報酬額に対し税務署から
待ったがかかる可能性が高いのではないか?」
いうことだったのです。
代表取締役社長が会社に出勤しなくても、携帯電話やノートパソコンがあれば、
どこでも仕事ができる時代ですし、実際も、何社もの代表取締役に就いている方は
山ほどいるわけですから、“常勤”にこだわる必要はまったくなさそうです。
問題は、税務署が、XがA社とB社から受け取る報酬“額”を損金として認めて
くれるか否かという点です。
なお、取締役以外の株主さんが存在する場合は、説明のつく報酬額を設定しなけ
ればならいことはいうまでもありませんね。
このあたりの、実際の仕事量・売上げ貢献度等を加味した、税務署・株主・銀行
等のステークホルダーを意識した役員報酬額の決定が、今回の若手税理士さんの腕
の見せ所というわけですね。
2010.08.18(水)【お盆】(島根・渡部浩義)
既にお盆も終わり、皆さまのほとんどが仕事に復帰された頃だと思います。いか
がお盆休みを過ごされましたでしょうか。
つい先日、【謹賀新年(マニア)】(2010.01.06掲載)という文章を投稿したと
思いきや、今年も既に立秋を過ぎ、暦のうえでは秋となり、盆を迎えてしまいまし
たが、我が家は、8月10日の朝には、早朝から家族3世代で盆を迎えるための墓
そうじに勤しみました。
親子でああだこうだといいながら近傍の竹やぶに入って、竹を切り出して、不細
工ながらも新しい「花立て」や「線香立て」をこしらえて墓所に立て、草をとり、
少々新しい砂を入れ、石塔を洗えば、日ごろ不信心な私でも手放しに気持ちが良い
ものです。
私どものところは、もともと土葬慣習のある地域でしたので、わが家の墓所は人
家のあるところからやや離れた場所に、近所数軒のものとともに集団で存在してい
ます。
わが家は幸いにして上記のように今のところは賑やかに墓所の手入れもできます
が、周囲の墓所にはここ何年も雑草が生い茂ったままのところや、いつの間にか石
塔がなくなった(片付けられた)墓所が目立つようになりました。また一方で、田
舎においても『墓守(はかもり)ビジネス』が結構盛況のように聞きます。
田舎の墓の風景ひとつとっても、現在の日本の社会の現状がみえるようです。こ
れは田舎の『限界集落問題』に呼応して都会に『限界団地問題』があるように、都
市部の墓所でも同じことが起きているのでしょうか?
誰もがこの世のお家にいる時間よりも、あの世のお家にいる時間の方がおそらく
は長いでしょうから、皆さんお墓は大事にしましょう。
今回はいつもに増して余計なことを書きますが、田舎にしばらく墓所を放置され
ている方がおられれば、たまには手を入れに帰ってあげてください。ご出身地の現
状やご自身を見つめなおすことのできる絶好の機会となるはずです。人寂しい田舎
に住む者からの差し出がましいお願いです。
2010.08.17(火)【併せて登記する義務】(東京・金子登志雄)
お盆休みは、いかがでしたでしょうか。
え、休みじゃなかった?
それは失礼しました。われわれ司法書士も同じでした。法務局が開いているのに、
司法書士が休むわけには行きません。もっとも、来客もなく、電話も少なく、事実
上の開店休業状態でしたけど。
さて、昨日の和出さんの投稿は、結局、「取締役会を置く」と定款に定めた時か
ら「取締役会設置会社」だが、取締役3人以上の存在と同時に登記を申請しないと
登記が受理されないということでしょう。
これを、われわれの世界で「併せて登記する義務」といいますが、当局によって
拡大解釈されてきた歴史があります。
たとえば、一時は、取締役会設置会社が解散したら、取締役会も自動的になくな
るのだから(登記簿から登記官の職権で抹消されます)、株式譲渡制限の「取締役
会の承認を得なければならない」という部分も手直ししなければ登記を受け付けな
いなどという見解が出されたこともあります。
これは誤った解釈です。解散によって、取締役会は冬眠状態になるだけで、なく
なるわけではないからです。会社の継続を決議すれば、冬眠から目を覚まします。
いまでも、取締役会のない会社が株式譲渡制限を廃止し公開会社になるには、取
締役会を設置し併せて登記しなければならないなどと主張されています。名著『商
業登記ハンドブック』245頁ですら然りです。
しかし、取締役会設置会社には、定款での任意設置会社と、法律上の義務として
「取締役会を置かなければならない株式会社」の2種類があり(会社法2条7号)、
公開会社は後者です。定款に取締役会を置くと定める前から、取締役会設置会社で
あり、このことについては、会社法立案者が旬刊商事法務で明言していることです
(第1774号91頁注13、94頁)。
したがって、取締役会の設置は後回しにして、譲渡制限の廃止だけでも当然に登
記できるというのが会社法の立場です。「併せて登記する義務」の拡大解釈は、避
けたいものです。
2010.08.16(月)【登記可能要件】(愛知・和出吉央)
取締役(A)1名の非公開会社(取締役会非設置)が、平成22年7月1日開催
の臨時株主総会にて、
第1号議案 取締役会設置(定款一部変更)
第2号議案 取締役B・Cの2名(追加)選任
の決議をしましたが、諸般の都合上、BとCの就任承諾が”7月15日”になさ
れました。
そこで、一瞬、以下の疑問点がわいてきました。
@ 会社法第331条4項には、「取締役会設置会社においては、取締役は、3人
以上でなければならない。」とあるが、上記の場合だと、第1号議案の取締役会
設置の効力は、取締役B・Cの就任承諾がなされ、会議体(3人体制)である取
締役”会”が機能することによりはじめて発生し、次のようになるのか?
「平成22年7月15日 取締役会設置」
「平成22年7月15日 取締役B・C就任」
それとも、
A 就任承諾するか否かは当人の意思表示しだいであり、第1号議案自体は、承認
可決されているので、次のようになるのか?
「平成22年7月 1日 取締役会設置」
「平成22年7月15日 取締役B・C就任」
Aであれば、手続上も実体上も、取締役会設置会社における取締役であることに間
違いないので、商業登記法61条3項が適用され、B・Cの印鑑証明書は不要になり
ますが、@だとすると、第2号議案の“承認可決”時点では、取締役会非設置である
ので、商業登記法61条3項でなく2項が適用されて、B・Cの印鑑証明書が必要と
なるかもしれない
・・・と思ったのです。
「かもしれない・・・」というのは、@はもとよりAの場合であっても、結局、法
務局への申請は7月15日の、B・Cの就任の効力発生を待った上で、取締役会の設
置とB・Cの就任登記を同時に申請しなければならず、その時点では、@でもAでも
取締役会設置会社であるということになりますので、商業登記法上要求される印鑑証
明書は不要であるからです。
つまり、実体上の取締役会設置の効力は、7月1日に生じているが、登記可能要件
が、7月15日になって生じたということです。
実際、Aにて登記完了済みであり、法務局への取締役の印鑑証明書の添付は不要で
した。
類似論点については、『商業登記全書 組織再編の手続〜法務企画から登記まで〜
金子登志雄先生 著』P441〜442に書かれていますので、そちらもご参照いただ
ければと思います。
2010.08.13(金)【世界記録更新か!140歳の戸籍!(その2)】(富田太郎)
昨日のA氏の140歳の戸籍も、実は50年以上前に行方不明になり、そのまま
にしていたことが原因でした(ただし、墓だけは作っていたそうな・・・)。
この場合、勿論、『失踪宣告の手続き』を行わなければならないのですが、
『それでは芸がない!不可能なことを可能にするのがプロの仕事だ!』
ということで、私はある秘策?をもって、死亡届を受理してもらうべく、市役所
と交渉することにしました(ニヤリ)♪
それは、
『世界最高長寿者(フランス人女性:ジャンヌ・ルイーズ・カルマン122歳)
の記載のあるギネスブック』と
『A氏の墓の写真』でした。
本件当事者達(弁護士・相続人)が嘲笑する中、ギネスブック片手に、市役所へ!
市役所曰く、
『世界最高長寿ですら122歳。140歳なんて生きているわけがない。確かに
気持ちはわかります。でも、ギネスブックと墓の写真では、駄目です。
まてよ? 墓があるということは・・・・。そのお寺に過去帳があるはず!』
富田、
『そうです。過去帳には、亡くなった日が書かれています。』
市役所、
『そうか! では、その過去帳の写しを持ってきていただければ、前向きに検討
いたします!』
この結果をもちかえったところ、当初、私を嘲笑していた当事者達も、
『さすが、富田センセは、生きた法律を知っている♪ やはり、どこか違う方だ
と思っていました♪』
と、手のひら返しの賞賛の嵐!
翌日、お寺の住職に事情を話し、問題の「過去帳」を見せてもらいました。
そこには!
『A氏、昭和●●年頃行方不明。生死不明』
としか書かれていませんでした(涙)。
・・・・・・・・・・・。
かくして『私の深遠なる交渉』は、無意味と化し、当事者達の間で、
『ギネスブックを根拠に、死亡届を出そうとした変な司法書士?』
という『笑い話』だけが残ることになりました・・・・(汗)。
・ ・・・・・・・・・・・・・・
今でも着眼点はよかったと思うのですが・・・・・(ため息)。
2010.08.12(木)【世界記録更新か!140歳の戸籍!(その1)】(富田太郎)
金子先生!
6日付本欄での影武者のご指名ありがとうございます(笑い)。
そこで、金子先生が『120歳程度は生きたいので〜』と書かれていましたが、
120歳どころか、私は140歳の生きた戸籍を見たことがありますよ!
数年前、相続(兄弟姉妹相続)の案件で、戸籍を収集していたところ、死んでい
るはずの直系尊属A氏(生きていれば140歳!)の生きた戸籍がでてきて、びっ
くり!したことがあります。
通常、死亡した旨を戸籍に記載するには、『死亡診断書』が必要です。事故・突
然死の場合のように、かかりつけの医師の死亡診断書を出してもらえないときは、
警察管轄(警察医)の『死体検案書』を出してもらうことになります。
これに対し、行方不明の場合は、『失踪宣告』の手続きをとらなければなりませ
ん(民法第30条)。家庭裁判所に申し立ててから、普通失踪では8ヶ月くらい後
に、失踪宣告がなされ、法的にその人物の死亡が認定されます。
勿論、この失踪宣告の手続きは、義務ではありませんが・・・・ほっておくと、
ギネスブック更新もの!の戸籍が残ります。
実際の『長寿者戸籍?』の中には、行方不明になったけど、『失踪宣告』の手続
きなど面倒!ということで、ほったらかしにされた戸籍が、かなりあるではないで
しょうか。
(注)その他に『高齢者消除』という戸籍整理手続きもありますが、実際の運用例
は稀なようです。
2010.08.11(水)【七人の出資者】(島根・根来川弘充)
私は、ドラマを見ると次回が気になるので、あまり見ないようにしています。
でも、今NHKで放映されている「ゲゲゲの女房」は、主役の武良布枝さんが、
私の地元である安来出身ということもあり、見ています。
物語は、水木しげるさんの極貧生活がずっと続いていたところ、ようやくそこ
から抜け出して多忙になっていくという展開にさしかかっているのですが、プロ
ダクションを立ち上げるところで、ちらっと、「信頼できる司法書士の先生を紹
介しましょう」と出版社の方が水木さんに勧めるシーンがありました。
「会社」と言えば「司法書士」と取り上げていただけたようで、少し嬉しい気
分になりました。
また、ドラマでは、「出資者が七人いる」というセリフも出てきました。今で
は1人でも会社を設立できますが、当時は、そんな時代だったのかと思いつつ、
その後の水木さんの活躍を誰もが知っているだけに、会社の株式の価値があがる
につれて、出資者間で問題にならなかったのか気にもなりました。
仕事柄、創業して40年、50年という会社のお手伝いをすることがあるので
すが、設立当時とは比べ物にならないくらい会社の価値が上がっています。
これらの会社も、大抵が7名以上の株主ですし、当然亡くなられている方もい
るケースがあり、速やかに株主が変わっているというわけではなかったようです。
一方で、今まで私が関わった会社で7人以上の出資者での設立された会社は、
一つもありません。40年、50年後は、あまり気にならない問題になるのかも
知れません。
(参考)平成2年の商法改正までは、設立発起人は7人以上が必要でした。
2010.08.10(火)【本人確認】(岡山・佐藤典子)
ご無沙汰しております。岡山の佐藤です。
最近の本欄で、カムイ伝のカムイが双子だったという話や、司法書士業界でも
コンプライアンスに関する研修が多くなったなどという金子先生の投稿を読んで、
知り合いの金融業者Aさんの話を思い出しましたので、久々に投稿させていただ
きます。
さて、最近は、銀行に行っても、市役所に行っても窓口に来た人が本人である
ことを確認するために、必ず運転免許証等の提示を求められますが、皆様もそう
されたご経験があることと存じます。
われわれ司法書士も、所有権移転登記や抵当権設定登記の業務を行う際して、
登記義務者の意思を確認すると同時に、印鑑証明書、実印、登記済権利証書のほ
かに、運転免許証を提示して貰って目の前におられる人が本人であることを確認
させていただいております。
やはり、そういうことの必要な金融業者のAさんも、運転免許証の写しも貰い、
いつも通りの手順で本人確認をしたのだそうです。
ところが、あとでわかったことには、本人が双子で、来た人は替え玉だったの
だそうです。免許証の写真と来た人は、双子だから当然そっくりで見抜けなかっ
たという世にも恐ろしい話ですが、それ以来、Aさんは、本人に戸籍謄本等も持
参して貰い、双子でないことを確認するようにしているそうです。
私が業務を行っていると、免許証の写真と目の前の本人がちょっと違うような
気がすることもありますが、免許証の写真と目の前の本人の顔を見比べながら、
「本物ですか〜?」とは、なかなか聞きづらいものです。
2010.08.09(月)【かわらぶき】(島根・渡部浩義)
お恥ずかしながら時々この欄に登場させる齢90才をすぎたウチの祖母ですが、
この方とても“筆まめ”です。また、書く文章を見ると旧字体の漢字をビッシリ
織り交ぜたペン一発書き文章で、およそ誤字脱字というのも見当たりません。
こうして日本各地にいる子・孫・知人様へ、暇さえあれば手紙を書いています。
パソコンを使い漢字変換、コピー&ペーストを駆使しても起承転々々、誤字脱
字、変換間違いだらけとなる私などは穴があったら点々々の心境です。
祖母は尋常小学校しか出ていないそうですから、戦前の教育が素晴らしかった
のか、学んだかつての子供たちが素晴らしかったのか・・・。
ところで、文化審議会は6月7日、常用漢字に196文字を追加、5文字を削
除して常用漢字を合計2136文字とする改定常用漢字表を文部科学大臣に答申
しました。パソコン変換が多用される今日の事情も考慮されての今回の久々の大
幅改定答申のようです。
あいにく私もヒマでしたので、新聞に掲載された上記追加196文字を、久し
ぶりに万年筆なぞを取り出してヌラヌラと書いてみました。久しぶりの手書き文
字は字の体裁にならないものですね。恥ずかしい。
そういえばカネのない学生時代に友人らと「りんご」「ぶどう」「ユーツ」等
の小賢しい漢字がどれくらい書けるかなどという空腹凌ぎの遊びをやっていまし
た。新聞等では「鬱」の字が上記196文字の中に入っていることが大きく取り
上げられましたが、私が意外にも今ごろ(?)と思った漢字には、「瓦」「亀」
「丼」などがあります。
話し転じて最近の建物登記記録の表題部構造欄には、永年の表記方法を改め
「かわらぶき」・「スレートぶき」などと表記されています。みなさんはどのよ
うな印象を持たれているのでしょうか。
これらの表記は最近の通達によってその表記方法が改められたものです。この
ごろ申請書を作成していていつも思うのですが、確かに万人が読めるための親切
といえば親切かもしれませんが、不動産を取得して登記手続でもしようと思うよ
うな人がおよそ「瓦葺」が読めないとは思えません。
やっぱり『かわらぶき』は『瓦葺』とするべきで、『かわらぶき』表記は公文
書をもって暗に最近の日本国民は総体的にバカ化してます、といっているようで
私は違和感を今だに感じるのですが暴論でしょうか。ただ、登記完了後の建物登
記事項証明書を成果品の一部として依頼者に交付すると、「最近は役所から出る
書類に勿体(もったい)がないね。」との指摘をたびたび受けますので、強(あ
なが)ち暴論ではないような気がします。
常用漢字に『瓦』もめでたく加えられたようですので、登記記録に『かわらぶ
き』ではなく『瓦葺』表記の復活を望みたいところです。暴論のついでに、そも
そも常用漢字の括りなど取り払って、漢字使用の適所には使える人はどんどん知
ってる漢字を使えばいいと思うのですが、こんなこと書くとどこかの業界の「魑
魅魍魎」に糾弾を受けることになるのでしょうか。
さて、今回の稿には誤字脱字、変換ミスはありませんでしたでしょうか?
連日の猛暑に冒されており、それのみが心配です。
2010.08.06(金)【合併解散とは】(東京・金子登志雄)
100歳以上の長寿者として記録されていたが、実は、生存していなかったなど
という話がニュースになっています。
これ、いいですね。私も戸籍上だけでいいから、120歳程度は生きていたいの
で、息子に私の死亡を隠し続けるようにいおうと思っています。影武者は、富田君
とその後継者にお願いしようと思っています。ESGは永遠に不滅です。
さて、昨日は8月1日合併の登記が無事に終わった日でした。合併解散した会社
に、改めて合掌です。通常の解散と相違し、合併解散は清算手続がないので、8月
1日が命日になります。
にもかかわらず、7月決算会社なら、10月までには定時株主総会を開催すべき
だ、7月過ぎて合併したのだから決算公告をすべきだなどと言い出す方が法律家の
中にもいます。合併存続会社が代わってやるべきだというのです。
きっと、昔の通説である「人格承継説」の亡霊が、解散会社も合併存続会社の中
で生き続けているとでもいわせているのでしょうが、これではいつまで経っても解
散会社が成仏できません。
本欄で何度か書いていますが、合併というのは、解散消滅し、残った財産(権利
義務)の全部を合併存続会社に相続させるものであって、定時株主総会開催義務や
決算公告義務などという非財産的なものまでを引き継がせるものではありません。
貸借対照表や資本金なども会社の解散とともに消えてしまい、その中身が承継され
るだけです。
法務局に合併の登記を申請するのは、役所に死亡届を出したのと同じです。いま
だに生きているようなあきらめの悪い解釈から早く脱却し、事実を事実として受け
入れましょう。
2010.08.05(木)【40歳を過ぎてはじめておもしろくなる??】(富田太郎)
『20歳の顔は、自然の贈り物。
50歳の顔は、あなたの功績。
人は40歳を過ぎてはじめておもしろくなる。
かけがえのない人間となるためには、いつも他とは
違っていなければならない。』
(BY ココ・シャネル
出典:『シャネル−スタイルと人生』文化出版局)
先日、知人のAさんから上記の本を戴きました。
その本と一緒に、上記「ココ・シャネルの言葉のしおり」が入っていました。
要は、「40歳からが人生の勝負」ということでしょうか?
ココ・シャネルという人物、ファッションには無縁の私ですが、驚くほど劇
的で興味ある人生を送っています。
12歳の時に母親が他界。父に捨てられ、孤児院や修道院で育ち、苦労の末、
パリで「シャネル・モード」という帽子専門店を開店。
その後、ヨーロッパ有数のブランドにまでなるも、第2次世界大戦のとき、
シャネルは親独のヴィシー政権下で、ドイツの軍人と愛人関係になったりして
います。
当然、戦後、激しいバッシングにあいますが、不屈の精神で、アメリカに進
出し、巨大ブランドを確立。
最後は、87歳で亡くなるも、前日まで、パリの「コレクション」の準備中
だったそうです。
・・・・・・・・・・・
なるほど、このような人物であれば、40歳など、まだまだこれからだった
と思います。
ところで、「あわて者のAさん」!
この本、もうあと10年早く、私に贈って頂ければ、よかったのに・・・。
そう! 私は既に「50歳」を超えてしまっているのです・・・・(汗)。
「50歳の顔は、あなたの功績」・・・・・ですか? 確かに・・・。
この本を40歳の時に読まなかったからでしょうか?
私は、「なんの功績もない顔」になってしまいましたが・・・・(涙)。
2010.08.04(水)【Kさんへの返信】(東京・金子登志雄)
昨日の本欄に対して、さっそく、西日本在住の若手司法書士Kさんから、中小企
業向けの種類株式や持株会あたりをテーマにした本のリクエストが入りました。
Kさん、メール、ありがとうございました。
種類株式については、3年前に『これが新増減資だ種類株式だ』を出版していま
すが、そろそろ改訂時期なので、何か考えています。中小企業の持株会については、
内容が種々雑多すぎて本に馴染むかという不安があるため、期待しないでください。
ところで、Kさん、持株会は「権利能力なき社団」でなく、「民法上の組合」を
名乗ります。なぜでしょうか。
税金の関係です。社団で課税され、組合員個人で二重に課税されては困るので、
ストレートに個人問題に帰着させるためです。投資ファンドも、投資事業組合も同
じです。にもかかわらず、株主名簿上は1人とカウントします。
こんなことなら、いつでも書けますが、毎月、給与から天引きする厚生福利活動
の一環としての持株会から、単に株を買わされた持株会まであり、実態はまちまち
のようです。
某日のKさんのブログには「………に記事を掲載させて頂きました。たいした内
容でもなく、たかだが1頁なのですが、想像以上に大変でした。専門的な内容の本
を書かれる方は本当に凄いなぁと思いました」とありました。
わかっていただきありがとうございます。「想像以上に大変」で、命を削ります。
出版すればするで、「あ、あそこはこう書けばよかった」などと反省ばかりですし、
「ここは間違いじゃないか」という問い合わせが出版社に入ることもあり、気を抜
けません。読者の評価も気になります。
うれしいのは、問い合わせが一段落し、出版社から「好評のため増刷します」と
いう連絡が入ったときです。削られた命が回復します。
いずれにしろ、建築家や芸術家と同じで、自分の作品が形になることはうれしい
ものです。Kさんも、ぜひ「作品」を世に問うてください。協力します。
2010.08.03(火)【8月の作業】(東京・金子登志雄)
お盆休みがある8月は、仕事の閑散期だという業種が多いようですが、みなさま
のところは、いかがでしょうか。
会社法・商業登記専門の私のところも、例外ではなく、ぐっと仕事が減ります。
3月決算会社の定時株主総会が6月下旬に終わり、7月初旬はその登記で多忙にな
りますが、その反動が8月に来ます。
無趣味で、仕事大好き人間の私としては、ヒマを持て余す辛い時期ですが、例年
何をしてきたのかと振り返ると、非常勤役員を務める会社の決算期が6月のため、
9月の定時株主総会に向けた総会招集通知の準備などがありました。また、秋の著
作を集中的に執筆していました。
しかし、もう著作も20冊近くになり、ネタ切れ気味です。そこで、新しい試み
として7月中旬から社会人のための会社法入門のようなものをぼちぼち書き始めて
みましたところ、中央経済社のベテラン編集者から、いわれてしまいました。
「おやめなさい。全国の金子本ファンががっかりします。先生の本は、『目から
ウロコ! ああそうか、なるほど』と専門家に思わせきたところが評価されてきた
のに、その道を外したら、『あの男も堕落した』といわれますよ」。
そんなもんですかね。それだけでなく、いかんせん、既定路線ではないため、売
れるかどうか、さっぱり予測がつきません。
昔、売れると思って出した本が、さっぱり売れずに出版社に迷惑をかけたことが
あり、それがいまだにトラウマになっています。
で、相変わらず、「昔の名前ででています」や、何十年もシナリオが変わらない
「水戸黄門」路線で行きましょうか。早く、由美かおるの代役を探さねば………。
2010.08.02(月)【季節感のない長屋生活】(東京・金子登志雄)
暑中お見舞い申しげます。
季節がら、皆様からは、ご丁寧にも、お中元や暑中見舞いを賜り、いつもいつ
も、ほんとうにありがとうございます。
と同時に、毎度のことですが、私からはお世話になっている方を含め、どなた
に対しても、一切、お中元も暑中見舞いも出さず、失礼させてもらっています。
恥ずかしながら、私には季節感がありません。いつまでが暑中で、いつから残
暑になるのかも、これを書くにあたり意識した程度の社会人として欠陥人間です。
だからこそ、気配りが重要な商人世界から自由気ままな長屋の職人生活に亡命し
たともいえますが………。
欠陥人間でも、礼状くらい出すのが礼儀だとは重々承知しておりますが、それ
もしていません。いまや、「金子はそういう男だ。亡命者の金子に礼状は似合わ
ない」と皆様に思っていただくしかないと思っています。完全に居直り状態です。
季節感がないといえば、小学生時代は、同級生の9割が農家という片田舎に育
ったのに、稲穂と麦の区別もつかず、いつ頃が収穫期かも知らずに育ちました。
国語の授業で、俳句の季語についてもめっぽう弱かった記憶があります。早い話、
その頃から、季節には一切無頓着のようでした。
「三つ子の魂百まで」。この男は、もう治りません。今後も、季節感のない長
屋生活を維持しますので、ご了承くださいますようお願いします。
2010.07.30(金)【無配当の定款の定め】(東京・金子登志雄)
会社法の105条2項には「株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分
配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」とあり
ます。
この反対解釈から、「株主に剰余金の配当を受ける権利のみを与えない旨の定款
の定めは許される」のかという議論が司法書士の掲示板にありました。
文章からすると「A及びBは不可」は「AだけならOK」という意味になりそう
ですが、必ずしも、そうだと断定することはできず、私は否定説です。
理由は、剰余金の配当は典型的自益権であり、株式の内容であることに疑いの余
地はないのに、会社法107条がそのような内容の株式を認めていないからです。
また、沿革につき、商事法務1739号35頁に、商法時代に完全無配当の種類
株式が認められるかの議論があったので、105条2項が設けられ、そのような内
容の株式を認めたとあります。会社法108条1項1号・2号に対応して105条
2項が設けられているとも記載されています。
したがって、種類株式であればともかく、全株式あるいは全体を規律する内容と
して「株主に剰余金の配当を受ける権利を与えない」旨を定款の定めることは許さ
れないというべきでしょう。
105条2項は、一般社団の法律11条の「社員に剰余金又は残余財産の分配を
受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない」と対比して解釈し、
会社の営利性を宣言したものと解釈することにとどめるべきです。
2010.07.29(木)【世間という怪物】(東京・金子登志雄)
昨日と同じような内容ですが………。
相撲における野球賭博問題など何か不祥事が発覚すると、「世間をお騒がせして」
あるいは「世間にご迷惑をおかけして」という謝り方がなされます。そのたびに、
私は、この国では、世間という得体の知れない怪物が王様なのかと強い違和感を覚
えてしまいます。
世間の1員である私にとっては、相撲取りが賭博に関わろうと、芸能人が覚醒剤
に関わろうと、私個人は迷惑を受けていませんので、謝ってもらう必要は全くない
のですが、世間の代表者を気取るマスコミは、「説明せよ、謝れ」と追及し、お詫
びを引き出させようとします。まるで、マスコミに謝らせているかのようです。
公益法人にあるまじき行為だとか、相撲ファンの子どもの教育に悪いという問題
があることはわかりますが、相撲でも芸能でも地方巡業の関係で地元の興業を手配
する暴力団とのつながりは切っても切れない関係にあったわけですから、そういう
仕組みをどう改善するかこそが重要であって、いたずらに特定の相撲取りや芸能人
を批判し、世間様に頭を下げさせても何の解決にもなりません。
西欧はキリスト教の文化ですから、世間に迷惑をかけたかどうかよりも、神との
約束に反したかどうかが悪いことかどうかの基準なのに、江戸時代の檀家制度や明
治以降の町内会制度の発達した日本では、自分の属する集団(村や会社)に迷惑を
かけたかどうかが「いけないこと」の基準のようです。
相互監視(村八分)の世間に囲まれている日本社会の仕組みは、それはそれで犯
罪率の少なさに通じる長所の面もありますが、それほど大騒ぎする問題でもないこ
とに過剰に反応し、有名人の足を引っ張りすぎているような気がしてなりません。
一番の安全策が似非(えせ)世間であるマスコミの餌食にならないように、相撲
取りにならないこと、政治家にならないこと、有名人にならないことというのであ
っては、日本の将来に希望がもてません。
あれ、やわらちゃんは、スポーツマンで政治家で有名人だ。三つ巴攻撃に、どう
切り返すのでしょうか。日本をダメにするマスコミを投げ飛ばしてほしいものです。
2010.07.28(水)【倫理研修】(東京・金子登志雄)
司法書士が落し物をしないって? まさか!
あちこちで、「信用」「能力」という落し物をしている司法書士がいるじゃない
ですか。
そのせいか、24日の土曜日は、司法書士会館で、5年に1度の義務研修でした。
休日出勤手当はありません。研修テーマは、もちろん「倫理」です。
ほんと、ここ数年、リンリ、リンリ、コンプライアンスと鳴く暑苦しい夏の虫が
猛威をふるっていますが、みなさまの所属する組織ではいかがでしょうか。
日本社会は、たった1人が不祥事を起こすと、全員に影響し、研修が課せられ、
個人責任から連帯責任に転嫁され、75日を過ぎた最後はうやむやに終わります。
社会の「高校野球化(表面真面目主義)」ともいうべき嘆かわしい傾向です。
コンプライアンス研究の第一人者で、小沢問題でも活躍した郷原信郎(ごうはら
のぶお)元検事の『法令遵守が日本を滅ぼす』の中に、次のような感想があります。
経済社会にも片足をおく私も同意見です。どの社会にもある少数者の不祥事よりも、
社会全体の活性化こそ重要な時期なのに………。
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世の中が「法令遵守」に埋め尽くされる状況の中で、多くの賢明な組織人達は、
法令遵守という意味のコンプライアンスが、多くの弊害をもたらしていることに気
づき始めています。抽象的に法令遵守を宣言し、社員に厳命するだけの経営者の動
機が、命令に反して社員が行なった違法行為が発覚した場合の「言い訳」を用意し
ておくことに過ぎないこと、法令遵守によって組織内には違法リスクを恐れて新た
な試みを敬遠する「事なかれ主義」が蔓延し、モチベーションを低下させ、組織内
に閉塞感を漂わせる結果になっていることを感じています。
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2010.07.27(火)【司法書士の宿命とは】(東京・富田太郎)
今は昔。司法書士事務所に入って、最初に言われたことは、
「大きく頑丈な『カバン』を買いなさい。」ということでした。
仕事柄、「権利証、登記識別情報、印鑑証明書」等々、様々なものをお預かりす
るため、司法書士は、『カバンが命』です。
また、職業柄、絶えず重要書類を持ち歩いているため、『落し物』をしないよう
に注意する癖がついています。
私など、カバンを置いた後、次の場所に移動するときは、「下よし!左よし!右
よし!」と手で確認作業をする習慣がついてしまいました(苦笑)。
そのせいでしょうか?? 法務局で、『落し物』をよく見つけます。
(どこかの新人事務員さんが落としたのでしょうか? 帰ったら所長に怒られるぞ
ぉ〜。正直者の私に見つけてもらって感謝しなさい)。
・権利証 2回
・収入印紙 100万円相当
・・・・・・・・・・・・・等々。
もっとも、拾えば、拾うほど、今度は自分が落とすのでは? と心配になってし
まいます。
話は変わって、先日、お金をおろすため、某銀行に行きました。
席で待つこと10分。暑いので、場所を移ったところ、隣のおばさんに注意されま
した。次のような会話です。
「あんた『キャッシュカード』落としたわよ!」(←店内中に聞こえる大きな声)
「へ????すいません………(汗)。」
「注意しなさいよ!くどくど〜暑さでボケてるの!」(←結構憎たらしい口調)
「すいません………………(恥)。」
が???
手に取ると、私のものではなく、なにやら女性の名前の書いたカードでした???
結局、銀行の行員さんに「落し物」として渡しました。
ところが、さらに10分後。なんと!あの「おばさん」が、
「私のカードがない!ない!ない! 落としたのかしら(絶叫)!」
店内中、大騒ぎ!です。
どうやら、先ほどの『キャッシュカード』、「おばさん」のものだったようです
(笑い)。銀行のお客・行員らが爆笑する中、一人喜劇を演じた?「おばさん」、用
件が済むと、ダッシュでお帰りになりましたが………。
おばさん。覚えておいてくださいね。
司法書士は、絶対に物を落とさないのです(きっぱり)!
そのように宿命づけられた職業なのです!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな訳ないですね。皆さんも、くれぐれも『落し物』にはご注意を!
2010.07.26(月)【地方の成年後見人】(島根・根来川弘充)
司法書士の業務という訳ではないのですが、成年後見人に選任され、お年寄りや
障がい者の方の財産管理をされる方が増えています。
しかし、島根県では成年後見人のなり手が少ない実情があります。問題はいろい
ろあるかと思いますが、私は以下の点が主にあげられるであろうと思っています。
@ 絶対的に人数が不足していること
A 高齢者の割合が高いこと
B 福祉サービスが十分にないこと
C 資産価値が低いこと
これらは、いずれも「都会地と比較して」ということで共通します。つまり、総
じて「地域格差」が大きな問題であると言えると思います。
成年後見制度を必要とするお年寄りがいたとして、島根県では、まわりに選択で
きるほど十分な福祉サービスがあるわけでありません。また、仮にあったとしても、
選択できるほど財産を保有しているわけではありません。
そこに成年後見人がついたとしても、現状受けている福祉サービスを如何にして
継続するかで精一杯です。事務としては、施設入所の方で身上監護の面ではまず心
配いらない事案であったとしても、医療や福祉などの様々な制度の手続きがあり、
通帳を保管さえしていれば大丈夫というわけではありません。また、事務所から遠
方の方もおられ、一つの事務をするのに半日あるいは一日かかるケースもあります。
そして、これらの事務に対する報酬は家庭裁判所により決定されます。被後見人
の保有資産が少ないと、それに比して報酬も少なくなります。ケースによっては、
「月○千円」ということもあります。
資産がない方も当然制度を受ける必要があれば、当然選任されなければならない
のであり、このあたりは、やはり行政の支援がなければできないと思います。
乱暴な議論かも知れませんが、「相続税がかかるほどの財産をもっておられる方
が、資産を持っておられない方を支援すれば、税額が減額される」なんて、仕組み
ができないものかとも思ったりします。
某元首相の贈与税額を聞くと、あるところにはあるのですから、是非、うまくま
わしていただきたいものです。
2010.07.23(金)【何の年月日?】(東京・金子登志雄)
不況のためか、解散の依頼が増えていますが、平成22年7月31日の株主総会
で解散を決議し、清算人及び代表清算人を選任すると、
登記簿に、「平成22年7月31日株主総会決議により解散」
登記申請書に、「平成22年7月31日清算人及び代表清算人選任」
と記載します。
では、平成22年7月23日に平成22年7月31日をもって解散すると決議し
たら、次の●●に何が入ると思いますか。
登記簿に、「平成22年7月●●日株主総会決議により解散」
登記申請書に、「平成22年7月●●日清算人及び代表清算人選任」
つい、「23」と思ってしまいますが、次のように並べ方を変えて記載したら、
●●に何が入るでしょうか。
「株主総会決議により平成22年7月●●日解散」
「清算人及び代表清算人平成22年7月●●日選任(効力発生)」
「31」が入ることが容易にわかります。
つまり、この年月日は株主総会決議の日のことではなく、解散の日であり、清算
人及び代表清算人の選任の効力が発生する日です。
紛らわしい記載慣例を無視して、「株主総会決議により平成22年7月31日解
散」と年月日の位置を変えて申請してみようと思っているのですが、どこかにそん
な事例はありませんか。
2010.07.22(木)【カムイ伝】(東京・金子登志雄)
「ガロ」とはなつかしいですね。私の世代が高校生や大学生の頃に流行った漫画
雑誌です。貸本屋で何度か借りたことがあります。
「ガロ」といえば白土(しらと)三平の「忍者武芸帳」「サスケ」「カムイ伝」
などの忍者ものが有名でしたが、テレビ番組にもなったので、作品名を聞いたこと
のある方も多いことでしょう。
「カムイ伝」は、私が大学受験浪人中に毎月配本の単行本になり(全21巻)、
本屋に注文し、浪人仲間の間で回して熱心に読んだものです(そのためか、受験で
はみな悲惨な結果に終わりました)。
全21巻中、後半になると、配本がいつか不明という状態になり、全巻とも揃え
られなかったこと、読めなかったことが、いまでも残念に思うくらい、長編の素晴
らしい作品でした。
何と第1巻で、主人公のカムイが殺されてしまいます。信じられないことが起き
ました。第2巻以降はどう続くのでしょうか。
待ちに待った第2巻で、カムイが再登場します。生き返ったのかと不思議に思い
ましたが、主人公のカムイがいいます「弟よ、バカな死に方をして………」と(私
の想像の表現です)。
つまり、カムイは双子だったというわけです。確か、「忍者武芸帳」でも主人公
がすぐに倒され、代わりの主人公が同じ格好をして登場します。
「主役=不死身」というあり得ないウソをこの方法で解決したわけですが、その
発想に大いに驚かされたものです。忍法の種明かしもしますし、なぜか突然に狼が
登場し、狼の話が延々と続いたり、とにかく従来の漫画を超越した時代小説でした。
テレビ番組の「カムイ伝」は単なる面白い漫画ですが、単行本には思想が入って
いました。カムイの出自は、いわゆる部落民です。恥ずかしながら、「カムイ伝」
によって日本にそういう差別問題が根強く存在することをはじめて知りました。私
の世代では、学校でそのことを(あえて?)教えなかったからです。
いまでもブックオフにあるのか知りませんが、もし見つけたら、若い男性はぜひ
手にしてください。間違いなく夢中になり徹夜してしまうことでしょう。
2010.07.21(水)【一番じゃないと駄目なんですか?】(東京・富田太郎)
先日、司法書士の本試験が終わりました。
本年度の商業登記法の記述式問題は、「新設分割」でしたが、昨年と異なり、問
題自体に大きな欠点もなく、よくできた問題だったのではないでしょうか?
もっとも、ごく一部には、「(出題)予想を外した言い訳なのか?」「自分の権
威を守るためなのか?」、問題内容に批判をされている方もいますが………。
ところで、話は変わって、水木しげるの短編マンガに「一番病」という名作があ
ります。話の筋は「プライドの高い日本一を自負する棺桶職人が、昼夜休まず働き、
挙句の果ては、過労死し、自分の作った棺桶に入って死ぬ」というストーリーです。
この棺桶職人、「自分が日本一の棺桶職人だ、棺桶界の王者だ(一番病・エリー
ト病)」とプライドの高い人間として描かれています。実はこの作品、水木が、時
の漫画界のbP「手塚治虫」を皮肉った作品なのだそうです。
当時(1960年代)、水木は「ガロ」という雑誌で妖怪ブームをおこしたので
すが、業界bPを自負する手塚は、これが気に入らない。
手塚はある出版社パーティーの席で全く面識のなかった水木に話しかけ、
「あなたのマンガの絵は、雑で汚い」
「あなたの漫画くらいは、僕はいつでも描けるのですよ」
と言い放ったそうです。
水木はその場では全く反論せず、のちにこの体験をもとにして、「自分が世界で
一番で無ければ気がすまない棺桶職人」を主人公にした短編「一番病」を書いて、
手塚を風刺したそうです(あっぱれ!)。
【後日談】
手塚の死後、手塚治虫文化賞特別賞を水木が受賞。
水木の周辺が「本当に賞を受け取るの?」といったところ、水木曰く、「だって
賞金もらえるんだよ♪」
う〜ん・・・・大人ですね。
私も、単に批判するだけではなく、水木氏のように大らかに生きたいものです。
もっとも bPは………私にはまったく無縁の世界ですが………(涙)。
2010.07.20(火)【先輩、後輩】(東京・金子登志雄)
14日の本欄で、平成8年から司法書士だと書きましたら、あちこちから意外感
をもたれました。改めて、私はそれほど大きな顔をしてきたのかと反省しました。
開業して1年も経たないのに、東京司法書士会の渋谷支部で平成9年の合併法制
の改正について講演しましたし(ここの聴衆に富田氏がいたと彼のマンガにありま
した)、同時期の千代田支部全体の合併法制に関する検討会では、新人でありなが
ら、手をあげて「それは違うんじゃないですか」などと大勢の前で発言してしまっ
たため、それ以来、目立ってしまったようです。
通常なら「生意気な新人」して干されるところでしょうが、幸い、年齢が年齢で
したので(当時は40代後半)、「態度が大きい」と非難されることもなく、無事
に済みました。また、司法書士会自体に、「先輩、後輩」を重視しないオープンな
ところがあることに助けられた面もあります。
これに対して、弁護士さん同士が名刺交換するときは、「何期(合格)ですか」
という会話ではじまり、それを聞いて、お互いの距離を測る傾向があります。遅れ
て資格をとった人間には、この挨拶は苦痛でしかないでしょう。
司法書士は資格をとれば即開業できるためか、サラリーマンを定年退職した後に
資格をとって開業する方がいたりで、さまざまな業界からの参入がありますし、独
立開業するのに、弁護士ほどの年数を必要としないため、お互いのキャリアには、
あまりこだわらないようです。「ボス弁、イソ弁」という用語はあっても、「ボス
書士、イソ書士」(イソは居候という意味)は、今後もなさそうです。
2010.07.16(金)【会社とは何か】(東京・金子登志雄)
先週のみずほ総研での講演でもそうでしたが、一般社会人向けの講演のときは、
できる限り「会社とは何か」から話すように心がけています。
そこで、「会社も社団法人だ」というと、多くの方が驚かれるようです。正確に
いうと「営利社団法人」であり、この「営利を目的とする」点が会社の特徴であり、
一般社団法人や公益社団法人と相違するところです。
「営利目的というが、一般社団法人も宗教法人も司法書士法人ですら、どぎつい
金儲けに走っているじゃないか」といわれそうですが、金儲け目的と営利目的は意
味が違い、儲けた金を構成員(社員=社団の構成員)に分配できるようになってい
ないと「営利」とはいいません。
会社法には「株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利
の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」(105条)とありま
すが、非営利の一般社団の法律には、「社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける
権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない」(11条)となっています。
まとめると、次のとおりです。
「営利」………儲けを構成員に分配する目的。利益配当が可能。
「社団」………人の集合体(団体)の意味。構成員が1人でも(100%子会社
など)、明日は複数になれるので社団性を失わないとされる。なお、構
成員を「社員」というが、株式会社の株主がこれにあたり、従業員を意
味する「(会)社員」とは相違する。
「法人」………権利義務の主体になれる。法人でないと共有扱い。
この営利社団法人を経済的側面でみると「事業組織」であり、その事業組織に属
する「権利義務」を直接・間接に他に移転させるが組織再編行為です。吸収合併も、
権利義務を承継するものであって、社団法人自体が統合するものではないと説明し
たとおりです(昨日の本欄参照)。
2010.07.15(木)【合併とは何か】(東京・金子登志雄)
「4月1日に合併して消滅したのだが、消滅会社の決算につき存続会社で承認す
るのか、その後に決算公告を存続会社が代わってするのか」という質問をときどき
受けます。
プロである弁護士や司法書士でも、必要だと思っている方が少なくありません。
それは吸収合併が消滅会社の全部をまるごと引き受ける包括承継(一般承継)だと
信じているからです。
「合併とは複数の会社が1つになること」「法人格が統合すること」などという
説明からは、何でもかんでも承継されるように誤解されてしまいますが、合併は、
法人の中身である財産上の現実の権利義務を承継するものであって、法人自体を承
継するものではありません。
その結果、法人と不即不離の定款、役員の地位、許認可などは承継されません。
現実の財産を承継するため、財産に当たらない貸借対照表も資本金も承継しません。
私は、これを「合併して解散するのではなく、解散してから合併するのだ」と説
明しています。会社が解散すれば、定款も役員の地位も貸借対照表も消えてしまい、
現実の財産だけが残ります。この権利義務が包括的に承継されるのが合併です。
会社が解散したのですから、実務家の私は、こんなことは考えるまでもなく、当
然のことと「実感」で感じていますが、残念ながら、こういう基本的なことを書い
ている教科書や参考書は、全くといってよいほどありません。学者の怠慢なのか、
合併をわかっていないのか、どちらかですが、困ったものです。
2010.07.14(水)【法務キャリア】(東京・金子登志雄)
今年の司法書士試験(4日に実施)の商業登記書式問題は「新設分割」が出たよ
うです。組織再編に関係する出題は、これまでほとんどなかったため、組織再編専
門司法書士を名乗っている私としては、うれしいものです。
私が合格した平成8年は、吸収合併に絡んだ問題でしたが、吸収合併そのもので
はありませんでした。
問題文にA社の株主が、株主甲〇〇株、株主乙社〇〇株、株主丙………などと列
挙されていたのですが、何も感じず、読み飛ばし、次々と問題を解いていたところ、
確か登記できない事項を聞く設問があり、あてずっぽうで「監査役」とまでは想像
ついたのですが、理由が全くわかりませんでした。
試験後にわかったことは、上記の持株数から、乙社がA社の親会社であることを
読み取らせ、親会社である乙社の監査役が子会社であるA社の取締役に就任できな
いことを発見させる問題でした。
これで不合格を確信し、合格発表も見に行かなかったのですが、ありがたいこと
に、筆記試験の合格者にだけ送付される口述試験の案内が葉書で来たので、そこで
はじめて合格したことを知りました。あわてて、口述試験の勉強をはじめたのはい
うまでもありません。
もし、あのとき、運命の分かれ目である葉書が来なかったら、翌年も受験してい
たことでしょう。そこで合格したら、富田さんと同期になれましたが、不合格なら、
いま頃、富田「先輩」には口も聞いてもらえなかったことでしょう。
そうなんです。彼とは合格年次が1年しか違いません。ここに登場する島根県の
渡部さんなどは、司法書士としては私の大先輩です。
ただ、私の場合は、それまでも勤務先のM&A専門会社で法務担当の仕事をして
いたので、それを通算すると法務キャリアは私のほうがずっと長いため、偉そうな
顔をさせてもらっているという次第です。
2010.07.13(火)【四半期選挙の弊害】(東京・金子登志雄)
「参議院を制する者は国を制する」などといわれます。法律案も衆参で一致しな
いと成立しないからです。したがって、昨年の民主党の大勝で政権交代が行われた
というのは正確ではなく、今回の参議院で民主党が過半数を占めてはじめて政権交
代が完成するというべきでしたから、民主党の大敗の結果、政権交代はとん挫しま
した。参院議長も第一党の自民党になる可能性が高く、各委員会も同様でしょう。
原因は民主党のオウンゴールが主でしょうが、地力では、自民党と公明党連合軍
(1人区)のほうが上回っていますから、揺り戻しは当然であり、実力どおりの結
果というべきでしょうか。
この結果、いま実質的に政権を握っているのはどの党かといわれると、むずかし
いところです。こういう状態になると、実務を仕切る官僚の力がますます高まるこ
とになり、躍進したみんなの党が標榜する公務員改革も逆行することでしょう。
ご承知のとおり、上場企業は欧米式に四半期(3ヶ月)ごとの短期間に業績を開
示し、投資家の判断を仰がざるをえず、長期的視野に立った経営が難しいといわれ
ていますが、こと政治に関しては、もっとひどく、毎日のようにマスコミから取材
を受け、毎週のように世論調査なるものをされ、その内容も、業績計画(マニフェ
スト)の進行具合ではなく、現社長(総理)への支持率、次期社長に相応しい人は
………なんてものばかりですから、誰が社長になっても長期政権は難しいでしょう。
これでは、株価(国力)があがるはずがありません。
ところで、こんなときにこそ登場すべきはずの次期社長に最も相応しいとマスコ
ミ評価が高かったあの方は、どこに行ったのでしょうか。あの方もマスコミに潰さ
れた被害者のような気がしてなりません。
2010.07.12(月)【選挙結果】(東京・金子登志雄)
参議院の選挙結果は、衆参ねじれ国会ということになりました。都市部の2人区
以上では得票数で与党の民主党もよく頑張ったようですが、地方の1人区で自民党
の底力に負けたようです。また、菅さんの不用意な消費税発言の影響も小さくなか
ったことでしょう。
東京での蓮舫さんの得票数はすごかったのに、神奈川の千葉法務大臣の落選の理
由は何でしょうか。華(ハナ)があるかどうかの差でしょうか。また、比例区など
の結果をみると、政党別得票数では民主党が1番と思いますが、当選者数では自民
党がトップになったのは、選挙制度の問題でしょう。
いずれにしろ、これで民主党は衆議院で300議席をもっていても、参議院で法
律案が拒否され、安倍・福田・麻生自民党政権と同様の塗炭の苦しみを味わうこと
になりました。今後、首相がころころ変わる可能性を否定できません。
衆参のねじれは、日本人的バランス感覚といいたいところですが、会社でいえば、
社長(衆議院)と専務(参議院)の経営方針が異なり、内紛状態ということですか
ら、国家の運営の見地からは決して望ましいことではありません。同じバランス感
覚なら、民主党に4年間任せて、それでだめなら、4年後にまた政権の交代という
のが、政治の王道ですが、予算以外は衆参対等の2院制度ではこれはむずかしいの
かもしれません。
本欄らしく会社法の話でいいますと、取締役会のある株式会社では、取締役の最
低員数が3人になっている理由はなぜかということです。2人や4人の偶数であれ
ば、賛成・反対が同数になり、何も決まらないが、奇数であれば、決着がつくとい
うことです。
国会も2院制をやめて、参議院を廃止するか、あるいは参議院を2つに分けて、
3院制にしないと、何も決まらないという最悪の事態になりますが、これには憲法
の改正が必要です。現実には無理ですから、日本は今後も暗闇から抜け切れそうも
ありません。新しい社会の産みの苦しみはまだまだ続きます。
2010.07.09(金)【組織再編手続業務】(東京・金子登志雄)
先日の7日は、みずほ総研主催の組織再編のセミナーで、1日講師を務めまし
た。参加者は上場企業の経営企画部などの方を中心に約60名程度でした。
講義の折に、個人的な興味があったので、「このセミナーの前から、私の名前
を知っていた方は」と聞きましたところ、約1割の方が手をあげてくれました。
想像していたよりもずっと多く、たいへんうれしく思いました(その割に、私に
回ってくる仕事が少ないのはどういうわけでしょうか)。
そこでは、「弁護士さんは、けんかの助っ人が商売だから、問題が起きた時に
役立つ人であって、合併などの平和的な手続は得意分野ではない。組織再編の手
続は、相手の土俵で相手のルールに従って動かなければならないため、必ず司法
書士を介在させなければならない」と力説してきました。
合併手続の書籍は大量にありますが、いざ手続をする場合には、債権者異議の
催告書には押印が必要か、この書面の印鑑は実印か認印か、会社名の前に住所が
必要かなどなどにつき、質問されても、実際に手続を経験していないと即答でき
ることではありません。
公告を忘れて組織再編ができなかった上場会社、実務が認めていないのに学者
の見解で組織再編を実行してしまった上場会社、商法時代の知識で会社法では不
可能な簡易合併を強行してしまった上場会社………、いずれも「餅は餅屋」に依
頼しなかったゆえの失敗であることを話してきました。
少しは司法書士の宣伝になったと思っています。
(司法書士会の幹部のみなさん、ESGのメンバーは会務には参加しなくても、
こうやって司法書士の広報・宣伝に頑張っていますよ。こういう活動=出版を含
む=も評価基準に加えていただけませんか)。
2010.07.08(木)【また会計監査人】(東京・金子登志雄)
6日に某上場会社の会計監査人の重任の登記を申請する際に、登記情報と照会番
号を取得し、その照会番号をもって、会計監査人の資格証明書としました。
http://www1.touki.or.jp/gateway.html
ところが、翌日(昨日)、法務局から、「ただいま、〇〇監査法人は登記中のた
め、申請された登記の完了が〇〇日まで遅れます」との連絡がありました。
つまり、6日には登記中でなかったが7日には登記中になってしまったというわ
けです。こんなことがあるんですね。
これでわかったのは、「6日、照会番号………」と申請書に書いても、6日付の
登記内容が法務局に知れるのではなく、法務局が確認した日の登記内容で伝わると
いうことです。代表者事項の照会番号では、法務局が確認したら、その時に代表者
でなくなっていたなんてこともあり得るのでしょうか。
いずれにしろ、今月は、会計監査人の登記との相性がよくないようです。来年か
らは、7月の会計監査人の登記については、照会番号をやめるしかなさそうです。
2010.07.07(水)【中(なか)株】(東京・金子登志雄)
あずさ監査法人が有限責任あずさ監査法人と名称変更したことで、「有限責任」
と「監査法人」を分離した位置に置いてよいのかと驚いた人も多いようです。
その中で、条文まで調べた人は何人いたでしょうか。当ESGでは、2人いまし
た。私と富田センセです。
私は彼に「さすが一番弟子」と声をかけましたが、彼は「さすが暇人のセンセ」
と返してきました。
公認会計士法によりますと、「有限責任監査法人たる監査法人は、その名称中に
有限責任を使用しなければならない」(法34条の3、同施行規則18条参照)と
あるだけで、名称中の有限責任の位置までは規制していませんでした。
ですから、「もう有限責任です監査法人あずさ」でもよいのでしょう。
ちなみに、株式会社も商号の中に必ず「株式会社」を入れなければなりませんが、
「株式会社法務センターESG」(前株)でも、「法務センターESG株式会社」
(後株)でもよいだけでなく、「法務センター株式会社ESG」(中株?)でもか
まいません。東京の新宿区に実例もあります。
という話を仲間内でしましたら、会社法6条に「商号【中】に株式会社という文
字を用いなければならない」とあるので、中株が正規の方法だという意見が登場し
ました。う〜ん、なるほどです。
2010.07.06(火)【近くでの統廃合(その2)】(島根・渡部浩義)
参院選が公示され巷では激しい(?)選挙戦が繰り広げられつつあるようですが、
私の地元自治体ではこの選挙に絡み、登記所の統廃合問題とは別のショッキングな
統廃合問題がありました。
なんと、いままで町内各集落地域にほぼ均等に配してあった『選挙投票所』を効
率よく運用(?)するため相当数統廃合するというのです。廃止される投票所近傍
の集落に住む自らでの交通移動手段のないお年寄り方は、どうやって『自由な意思
(志)による投票』をすればよいのでしょう。まったくもって不可解、そして残念
な措置です。常に高い投票率を誇っていた島根県での選挙でしたが、これでは投票
率も軒並み下がることでしょう。
http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/shichoson/45sousenkyo/suii.html
「もう、ワシらは国の頭数に入っていないみたいだ。絶対に投票には行かん!」
と登記委任状に印鑑をもらいにお邪魔したさる宅にて、お茶飲み話にそのおじいさ
んは語気を強められました。
「参政権・選挙権は日本国憲法に………、」なんてまどろっこしいことを言うつ
もりはありません。またこうした今日の状況を作ったのも、他ならぬ私やこのおじ
いさんをはじめとする国民であることも間違いない事実でしょう。ただ、小さな地
域集落の小さな投票所の維持すらできないというのが、どうやら現在の日本国の本
当の『国力』であることは間違いないようです。
こうした地域に住む私たちの眼前で、「地域の声を、実情を、しっかり国政の場
に伝えます!」などと参院選候補者に絶叫されても、私たちは齢を重ねた老人や幼
い子供と手を繋いで顔を見合わせ、下を向いているほかありません。
「こうして地域やそこに暮らす人たちは次第に元気を失い、ひいては国そのもの
も元気を失っていくのだろうな………」などと、誰もいなくなった夕方の事務所で
思い耽っています。
2010.07.05(月)【登記中でも抄本をとれる】(東京・金子登志雄)
2日の金曜日も某上場会社の6月に行われた定時株主総会で決まった役員変更の
登記を申請するつもりでした。
すべて書類を作成し、あとは会計監査人である新日本有限責任監査法人の資格証
明書をオンライン申請で取得するだけだと思い、さっそく操作しましたら、なんと、
【登記手続き中】の表示で謄本をとれません(注:オンライン申請で取得したもの
自体は証明書類になりませんが、照会番号付のものを取得し、その照会番号を添付
書面の代用に使う方法があります)。
この時期に【登記手続き中】にして顧客の登記を妨害するなんて、なんという会
計監査人だと腹が立ちました(もっとも、トーマツも、あずさも同じでしたから、
監査法人も役員変更時期なんでしょう)。
これでは今日の登記申請ができません。困ったなと思いましたが、新日本有限責
任監査法人の管轄法務局は、当事務所のすぐ近くの東京法務局です。さっそく訪問
して、登記簿抄本を取得してまいりました。
あまり知られていませんが、登記中の項目以外の内容であれば登記事項証明書を
取得できるのです。ただし、管轄法務局以外では、どの部分が登記中かを知る方法
がありませんので無理です。管轄の法務局であれば、役員につき登記中とわかりま
すから、その他の事項については証明書を発行してくれます。会計監査人の重任登
記であれば、新日本が監査法人であり実在しているという証明だけでよいため、す
ぐに発行してもらえました。
これは会社でも同じであり、増資の登記中に代表者の資格証明書や印鑑証明書を
取得することも可能ですから、覚えておいて損はない知識でしょう。
2010.07.02(金)【監査法人の名称変更】(東京・金子登志雄)
きのうは、3大監査法人の1つである「あずさ監査法人」(東京都新宿区)が、
新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツに続いて有限責任監査法人
となり、名称を「有限責任あずさ監査法人」と変更した日でした。
この結果、6月下旬(たとえば28日)に定時株主総会をした上場会社で「あ
ずさ監査法人」を会計監査人としているところは、「6月28日(あずさ監査法
人)重任」と「7月1日あずさ監査法人の名称変更」という2つの登記をしなけ
ればなりません。
2回に分けて登記すると登録免許税は6万円、まとめて7月1日以降に登記す
ると3万円で済みます。
というわけで、私も、6月中に重任の登記をせず、きのうは、あずさ監査法人
の名称変更登記をじっと待っておりました。新宿法務局でそれが終わらないと、
名称変更を立証する書面が準備できないからです。
「1日で登記が完了するわけがないじゃないか」と思われるでしょうが、過去
のトーマツなどのケースでは、その日の早くに登記が終わっていたのです。全国
の企業に影響することですから、監査法人が管轄法務局と十分に事前に調整して
いたのでしょう。
その記憶(先例?)があるので、今度も同じだと思って待っていたわけですが、
残念ながら、今回はそういう調整がなかったのか、午後4時過ぎに私もあきらめ、
「重任」だけ登記を申請しました。その日のうちに登記申請したい事情があった
ので仕方ありません。後日、「名称変更」だけの登記をしますが、忘れられない
3万円になりそうです。
2010.07.01(木)【近くでの統廃合(その1)】(島根・渡部浩義)
八丈島の登記所が東京都心の登記所に統廃合される時代です。いまさら最近また
進むの登記所統廃合の流れに反対したところで仕方のないことでしょう。
私の事務所所在地管轄登記所(法務局支局)も、来年3月を目処に廃庁され、最
寄登記所(さらに約30Km先)へ統合される旨の内示が過日ありました。これで
島根でも内陸部の登記所はなくなり、残存する登記所は、すべて沿岸部に位置する
ことになります。
私は開業来17年間に、2度目の管轄登記所の統廃合を経験することになるよう
です。もっとも、近傍には開業来30余年、今回で4度目の統廃合経験というご同
業もおられます。
約10年前の前回の登記所統廃合の折には、私もその反対運動にかなり熱を上げ
ましたが、今回は正直なところ、もはやその気力もありません。地元自治体等にお
いても、強く大きな反対運動の機運の盛り上がりはなさそうです。
もっとも反対したところで、すでに方針が決定し、全国ですでに実施されている
『商業登記所80庁化』への流れや、庁舎統廃合の基準となる処理事件数を引き合
いに出されれば、当県の実績数では、松江地方法務局全体そのものが近傍庁へ統合
されてもよい状態です。
そして最近は『オンライン申請を基本とする新しい登記法制』という強い味方が
国にはついています。「いまごろ何を寝言いってるの・・・。」と世の大勢からバ
カにされるのがオチでしょう。
「採算や受益者規模を度外視してもやらなくてはならない『国のシゴト』がある。
ナショナル・ミニュマム保障だ!」なんて思っていましたが、普通の国民なら生涯
めったに利用することのない登記所の配置のことなどは、『事業仕分け』に象徴さ
れる時代にあっては“小さなこと”なのかもしれません。過日は、時機よく「国の
出先機関は原則廃止」などという見出しが新聞紙面に踊りました。
昭和の末期、登記簿コンピュータ化パイロット庁として指定された某登記所の地
元説明会にて、「昭和76年までに全国1192箇所の全登記所の電算化を終え、
コンピュータによる登記事務を実施します。」と、血気盛んに説明されていた某法
務局民事行政調査官の言葉が、前後の脈略もなく急に思い出されてきました。
いまさらながら残念ですが、世のうねりを受け入れるほかない、というのが最近
の心境です。人寂しい田舎での次の対応はどうあるべきでしょうか?
2010.06.30(水)【脳は10%しか使われていない???】(富田太郎)
最近、物忘れが酷くなってきました。
ある日のこと。
合併の書類を作ろうとしたところ、なんと、官報原本が見当たらず(汗)。
探すこと1時間。いつものキャビネットにない、ない、ない………。
紛失したのか………………(涙)。どうしよう………。
意気消沈して、机に戻ったところ、目の前に「官報原本」が置いてありました。
私もボケてるなぁ………。
ということで、「脳を活性化する本」を読みました。なんと、あの天才科学者の
A・アインシュタインによれば、
『私たちの脳は10%しか使われていない』
そうなのです!
なるほど! あと90%全てを有効に使えれば、どれほど凄い能力を発揮できる
でしょうか!
ニヤリ♪ 『脳のトレーニング』をすれば、会社法において、あの金子先生に勝
てるかもしれない♪
ということで、その本に書かれている脳のトレーニングなるものを試してみまし
た♪
1週間後………………………気のせいでしょうか???
あんまし、「会社法」が理解できるようになったとも思えない………。
ほんとに、A・アインシュタインはそんなこと言ったのだろうか???
ということで、万巻の書物を読み漁ったところ(注)、
どうも、アインシュタインが、直接言ったのではなく、また仮に言ったとしても、
『もっと頭を使え!』程度の意味だったようです。
そして、後年、この言葉が一人歩きして、自己啓発セミナーなどで「根拠?と
してアインシュタインも言っているよ!」などと、利用されてきたようです。
(注)A・カラプリス「アインシュタインは語る」/W・ヘルマンス「アインシュ
タイン神を語る」
なお、科学的には、「脳は使われていない部分があるわけではなく、領域によっ
て強弱はあるものの、脳は全体各所で活動しているそうです。」
………………………
脳トレーニングして、会社法を理解しようとした私って・・・・・・・(恥)。
2010.06.29(火)【組長が書いた本】(東京・金子登志雄)
土日は、いま話題の山口組傘下の武闘派・後藤組の組長だった後藤忠政氏による
『憚りながら』(宝島社)を読んでみました。印税の全額が福祉に寄付されるとい
うことですし、法律を職業とする者として、こういう本は、必修科目だと思ったか
らです。
http://tkj.jp/book/?cd=01754701
暴力を否定しない姿勢には違和感がありましたが、「憚りながら」とはいえ、刑
務所入り8回の経験者で指詰めしている元やくざの組長が政界・創価学会・芸能界
の面々を「道徳的」に批判する内容が意外に面白く、一挙に読んでしまいました。
暴対法の施行以後、やくざ組織も相当追い詰められ自主規制しているようで、何
か事件を起こすのは、末端の末端のようです。確かに、「オレの背後には○○組が
いる」と脅迫していても、組のほうでは知らないことも多いでしょう。相撲の野球
賭博は、どのあたりがしていることなんでしょうか。
148頁の次の文章は私も全面的に賛成です。
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マスコミってのは、人を傷つける仕事なんだ、サツでもないのに、人を追い詰め
て、追い詰めて、最後には命まで取っちゃうんだからな。ヤクザでも、仇でない限
り、そんなことはしない。それで散々人を傷つけといて、会社を倒産させといて、
その記事が間違ってたら、数行で「すみません」なんて謝る。テレビだと番組の最
後に「お詫びして、訂正します」ってこれだけだ。そんなもんで済むのかよって、
いつも思ってるよ、俺は。
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報道で世論を煽っておきながら、「ほれ世論もこういっている」とマッチポンプ
で有能な政治家や企業を追い落とし、政治や経済を混乱させる大手マスコミは、ほ
んとにタチが悪いと思っています。やくざに批判されても仕方ないでしょう。
2010.06.28(月)【任意設置会社の強制】(東京・金子登志雄)
会社法328条により、公開会社で大会社(資本金5億円以上の株式会社)は、
「監査役会及び会計監査人を置かなければならない」とされています。
会社法2条の定義規定により、監査役会設置会社には、「監査役会を置く株式会
社」(任意設置会社)と「この法律の規定により監査役会を置かなければならない
株式会社」(強制設置会社)とがありますが、大会社は強制監査役会設置会社とい
うわけです。同様に、会計監査人設置会社にも任意設置会社と強制設置会社があり、
大会社は後者です。
ですから、上場企業でも、資本金5億円以下であれば、監査役会も会計監査人も
置く必要がありません。
ところが、JASDAQ(注:昔の店頭登録)等の上場会社は大阪証券取引所の
規則(JASDAQ等における企業行動規範に関する規則の特例)で、任意設置を
強制され、定款変更を余儀なくされました。
(例)
http://jds.jasdaq.co.jp/documents/tekiji/DMOPEYGTXVHIMDAA.PDF
(規則)
http://www.ose.or.jp/rules/ki_data/ki50.pdf
会社法では「任意」だが、証券取引所の規則で「強制」されたわけですが、これ
で監査役は3名以上が強制されるなど、企業側の費用負担も増大することでしょう。
経済の活性化が叫ばれているのに、世の中の動きは、規制、コンプライアンス、
企業倫理………という腹の膨れない束縛ばかりです。弁護士や会計士、司法書士に
とっては、飯の種になりますが、何かおかしいと感じるのは私だけでしょうか。
2010.06.25(金)【親子合併なのに買取請求】(東京・金子登志雄)
上場会社が100%子会社を吸収合併することにしました。さて、あなたが上場
会社の株主だとして、こういう合併に反対しますか。
しませんよね。外にある1事業部門を部屋の中に入れるだけの話ですから。した
がって、私も株主に反対されたという話は耳にしたことがありません。
ところが、次をみてください。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120100610032605.pdf
総額で27億円を超える買取請求でした。
これ、きっと合併に反対なのではなく、株を売りたいが量が多すぎるため、売り
出せば自分で株価を下げてしまうため、このたびの合併をチャンスとして、会社に
買い取ってもらったのでしょう。
合併に賛成だけど買取請求………、へんな制度ですね。27億円を払える会社も
たいしたものですけど。
2010.06.24(木)【「辞任」できない取締役?】(島根・根来川弘充)
先月、役員変更登記申請の依頼を受けたのですが、昨年12月末までに定時総会
を開かなければならなかったのに、遅れて今年4月○日に開いて新たな役員を選任
したという会社からの依頼でした。
取締役の人数は、定款で定めた数の最低数である3名だったのですが、今年3月
にそのうち1名から辞任届を提出されているとのことでした。
また、3名とも任期は、「任期中の最終の事業年度(平成20年10月1日〜平
成21年9月30日)にかかる定時総会終結」までとなっていました。
会社の担当者の方は、「(定時総会終結までなのだから)総会を開いた4月○日
まで任期がある」と思われていたようですが、定時総会は、一般的に定款で開催す
る日が定められています。
私が依頼を受けた会社は、「事業年度の末日から3カ月以内」と定められていま
した。
もし、定めた期間以内に開催をしなかった場合は、その期間末日をもって、任期
が満了になり、退任したことになります。
そして、期間を超えた場合は、定款で定めた期間満了日をもって退任したことに
なります。
そのため、取締役3名は、総会を開いた今年4月○日でなく、昨年12月31日
をもって任期満了により「退任」したことになります。
では、今年1月1日から総会を開いた4月○日まで役員は不在???
・・・ところが、そういうことにはなりません。
法律では、取締役が辞任や退任をしても、定款で定めた員数を欠くことになる場
合、次の取締役が選任されるまで、引き続きその地位を引き継ぐことが義務付けら
れています。
つまり、このケースでは、3名とも今年4月まで取締役であったということにな
ります。
しかし、実際に登記が終わると、旧取締役は「平成21年12月31日退任」、
新取締役は「平成22年4月○日就任」と登記されてしまい、平成22年1月1日
から平成22年4月○日まで、あたかも、取締役がいなかったかのように見えてし
まいます。
担当者の方は、登記完了後の登記事項証明書を見て、「法律で取締役であること
が義務付けられるのであれば、『平成22年4月○日退任』で良いのでは」と疑問
の様子でした。
確かにそうかもしれませんが、法務局にとっては、「昨年12月末までに選任を
しなかった」という事実の方が重要ということなのでしょう。
また、今年3月に辞任届を会社に提出した取締役も、その時点では、法によって
強制された取締役なのですから、実際には「辞任」は無効であったということにも
なります。
会社に「辞任届」を出せば「辞任」したことにならないケースもありますので、
辞任された役員の方は、登記簿まできちんと確認されることをお勧めします。
2010.06.23(水)【総会議事録の作り方】(東京・金子登志雄)
昨日あたりから、3月決算会社の定時株主総会が目白押しになりました。平素
はヒマな当事務所にも、「定時株主総会が終わったから役員変更登記を頼む」と
いった電話が入りはじめました。商業登記案件が最も多くなる時期です。
さて、株主総会議事録の作り方ですが、商法時代は「議長及び出席したる取締
役之に署名することを要す」と規定されていましたが、会社法になった現在は出
席役員の氏名と議事録作成取締役の氏名を記載するだけでよくなりました(実際
には議事録作成者が押印することがほとんどです)。
しかし、それなりの企業は規定が改正されたことを知りながら、相変わらず商
法時代の議事録作成方法に従っているようです。議事録を重々しくするためでし
ょうか。
この場合に、出席取締役全員を議事録作成者とすれば会社法方式にも適合しま
すが、実際には、議長(社長)を議事録作成者とし、それ以外の取締役は単に記
名押印しているにすぎない例が多いようです。
確かに、議長だけの記名押印では、「ほんとに総会を開催したのかいな」とい
う疑問をもたれてしまうことでしょう。それでも、出席取締役の記名押印さえ不
要にしたのは、株主総会は株主が出席しているので、ウソの議事録は作れないし、
取締役の発言の責任に影響する場面ではないという理由です。
この方式は、実は会社以外の総会議事録では、そうめずらしいことではありま
せん。私の居住するマンション管理組合の総会議事録も議事録署名人を選任して
おり、理事は署名していません。会社法方式では、議事録作成者を取締役に限定
していますが、たぶん、会社以外の法人の議事録の作成法が頭にあって、商法時
代の方式を変更したのでしょう。今は抵抗のある会社でも、便利さに変えられま
せんから、徐々に普及していくものと思われます。
2010.06.22(火)【24時と0時の違い(その3)】(金子登志雄)
会社の存続期間や新株予約権の行使期間が「平成22年7月1日まで」とあった
ら、「平成22年7月●日存続期間の満了により解散」、「平成22年7月●日行
使期間満了」などと登記します。
さて、この●には、何が入るでしょうか。
普通に考えれば、期限の満了した「1(日)」だと思うでしょうが、登記実務で
は「2(日)」にします。1日の24時に満了するのだから、効力は2日0時に発
生するという理屈です。「期間の満了日」(締切日)と「満了の効力発生日」(解
禁日)を使い分けているわけです。
しかし、理屈から考えても「1日24時」が満了時ですから、1日には登記でき
ないが、2日以降に「1日満了」として登記するのが筋ではないかと今でも思って
います。
「1日まで」が「2日」と登記されるのなら、「2日から」は「1日まで」とい
ってもよいではないか、「効力発生日に、その効力が生じる」も「効力発生日の前
日の最終」といってもよいではないかと、相変わらず、17日の本欄の問題に引っ
かかっている私でした。
2010.06.21(月)【24時と0時の違い(その2)】(金子登志雄)
17日の本欄で「効力発生日の前日の最終時(24時)」は「効力発生日の最初
(0時)」と解釈できないかと提言しましたが、別のところで同じ問題がありまし
た。
株主総会の招集通知は原則として会日の2週間前に発送しなければなりません。
6月30日(水)が定時株主総会であれば、発送日は15日(火)以前であって、
同じ水曜日の16日では不可です。なぜなら、発送日と総会日との間に14日間が
必要であり、16日発送では「24時間×14日」に不足するからです。つまり、
「2週間前」とは「中(なか)14日」という意味です。
では、7月1日を効力発生日とする吸収合併につき、「効力発生日の20日前ま
でに公告せよ」という会社法797条4項の場合は、いつまでに公告しなければな
らないでしょうか。
やはり、「中20日」必要のため、6月10日までに公告する必要があります。
ところが、電子公告の実例をみると、6月11日を公告開始期間にしている例が多
いのです。
つい先日まで、これはまずい公告だと思っていました。しかし、電子公告は、午
前0時には有効ですから、6月11日掲載でも「中20日」は満たしています。
つまり、20日前までの24時までに公告しなければならないのに、20日前の
日の0時に公告しているのです。これでも、「20日前までに」というのでしょう
か。これがよいのであれば(よいのでしょう)、株主総会の招集通知も16日付で
発送し、「0時に発送しましたが、いけませんか」といえるかもしれませんね。
2010.06.18(金)【合併と決算公告】(東京・金子登志雄)
決算公告をホームページや電子公告でした場合には、定時総会終結後5年間掲載
し続ける義務があります(会社法440条3項)。
では、この会社が途中で合併により消滅した場合には、残りの期間を存続会社が
引き継いで掲載し続けなければならないものでしょうか。
この点に関しては、私は、『親子兄弟会社の組織再編の手続』(87頁)でも、
『商業・法人登記300問』(336頁)でも、否定説を主張してきました。
ところが、先にご紹介した大手法律事務所の『組織再編』7頁には、「消滅会社
が負っていた会社法上の義務(10年間の会計帳簿保存義務、電子公告ないし会社
法440条3項に規定する措置による決算公告の5年間継続義務等)についても存
続会社が承継し、これを履行する義務を負う」とありました。
あまりに、あっさりと書かれているので、深い意味はなく包括承継を説明しただ
けだと信じたいのですが、真意は不明です。
思うに、合併とは複数の会社が1つに統合することではなく、合併のため解散し、
残った積極消極財産(会社法では「権利義務」)の全部を他社に承継させるもので
す。解散したわけですから、法人固有の定款や役員だけでなく、事業に関係する法
人固有の貸借対照表や資本金などという非財産的なものも一緒に消滅します。会計
帳簿は有形の資料として承継されますが、権利者不在で消極財産ともいえない決算
公告継続義務まで引き継ぐとは思えません。
利害関係者が過去5年間の事業成績を比較したいから、5年間の義務が課されて
いるのであって、合併であろうと何であろうと、会社が消滅したら、比較する意味
も価値もありません。役割を終えてしまいます。
合併によらない通常の解散にあっても、会社消滅後(清算結了後)には、清算人
が会計帳簿を保存しますが、意味のない決算公告継続義務までは負っていないと考
えられます(会社法508条参照)。
合併による会社の消滅でも、同様に考えないと、決算公告継続義務未了の会社を
吸収合併したら、存続会社の役員に義務違反の罰則の恐れが生じないでしょうか。
存続会社の公告方法が官報であったら、解散した他社の過去の決算を官報で公告せ
よというのでしょうか。
なお、葉玉ブログ2008年4月27日Q10も当然ながら否定説でした。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_e3fc.html
2010.06.17(木)【24時と0時の違い】(東京・金子登志雄)
合併消滅会社や株式交換完全子会社の株主が合併や株式交換に反対で、株式の買
取請求を行使すると「効力発生日に、その効力を生ずる」とされています(会社法
786条5項)。したがって、この反対株主には合併対価等を割当てできません。
であれば、ほとんどの会社が商法時代からの慣例で合併契約書等に、
「効力発生日【前日の最終】の乙の株主名簿に記載された乙の株主に対して………
割り当てる」
と定めているのはまずいのではないかということが、今年になってから主張されて
います(商事法務1893号17頁以下、一昨日ご紹介した『合併ハンドブック』
82頁以下、『組織再編』23頁以下など)。
買取請求を行使した反対株主も前日最終の株主に含まれ、割当対象になってしま
うように読めてしまうからです。
この合併契約の典型的表現については、私も『組織再編の手続』を執筆中に(平
成19年)、別の観点から、このままの表現で著作に掲載してもよいのかと大いに
迷いました。それは、効力発生日の前日を基準日として定めたことになり、基準日
公告が必要だという論に発展しないかとの不安でした(会社法124条3項)。
最終的には、もし、読者から、そういう疑問や批判が寄せられたら、「前日の最
終とは、効力発生日の最初」という意味だから、効力発生日の株主という意味であ
り、効力発生日の株主を確定するために別の日を基準日に定めたわけではないと主
張し反論するつもりでした。
これと同様に、株式買取請求の効力発生時である効力発生日の0時は効力発生日
前日最終時(24時)ですから、合併契約書等に上記のように規定しても、買取請
求をした反対株主には割り当てる必要はないと解釈できるのではないでしょうか。
つまり、「効力発生日前日の最終の乙の株主名簿に記載された乙の株主」には、こ
の反対株主は当然に含まれないという暗黙の了解が前提とされているはずです。
合併契約等を締結した当事者の真意や趣旨からの勿論解釈で、裁判でも勝てると
思っていますが、もし、買取請求を行使される恐れのある上場会社等では、合併契
約の条項を疑義のないようにしておく必要があるでしょう(もっとも、このような
会社が合併消滅会社や株式交換完全子会社になるケースは、ほとんどありません)。
2010.06.16(水)【サッカー世代と野球世代】(東京・金子登志雄)
世は、サッカーのワールドカップの話題一色ですね。カメルーン戦の勝利につい
ては、飛車角落ちの戦いだったと揶揄する傾向もありますが、素直に勝利を喜びた
いものです。
さて、この話題にもっとふれたくとも、残念ながら、私の世代(団塊の世代)は、
サッカーよりも野球に夢中になった世代であり、サッカーに対する関心はそれほど
高いとはいえません。
長島や王選手にあこがれた小学校時代でしたし、中学でもサッカー部というもの
はありませんでした。スポーツに堪能な者は、みな野球部かバスケット部でした。
私の弟の世代(昭和26年生以降)あたりから、徐々にサッカーブームになりま
した。昭和43年のメキシコオリンピックで釜本や杉山選手の活躍で銅メダルをと
ったことにより、ブームが急加速されました。
いまから考えると、日本人の気質が変わってきたのでしょうか。
日本ではスポーツや芸能観戦は、飲み食い、かつ、おしゃべりしながらするもの
でした。相撲も、歌舞伎もそうでした。野球もそれが可能です。ここは注目だよと
いう場面になると、それを教えてくれるスポーツです。
ところが、イギリスのスポーツであるサッカー(やボクシング)は一瞬も目をそ
らせません。ちょっと目をそらした隙に、「ゴール!」なんてことがあります。隣
の人と雑談し飲み食いしているヒマはありませんし、選手も野球と違って、「タイ
ム」ともいえません。
サッカー世代のESGメンバーは、みな土日も走り続けているようですが、野球
世代の私は、いまだに「タイム」ばかりです。年寄りには、野球道のほうが助かり
ます。
2010.06.15(火)【新刊・大手法律事務所本】(東京・金子登志雄)
この土日は、先月発売になった『合併ハンドブック』(商事法務)と『組織再編』
(中央経済社)を約半分程度読んでみました。前者は大手法律事務所の長島大野常
松法律事務所、後者は森・濱田松本法律事務所の先生方が執筆者です。
やっと出たかという思いです。学者や大手法律事務所の先生方は、保守的で、大
量の文献や論文を吟味し、検討したうえでないと、出版しない傾向があるからです。
お立場上、些細な間違いや勇み足を避けるようです。
無理もありません。会社法案の発表直後に、一部譲渡制限会社は非公開会社だと
雑誌に書いて、大恥を書いた学者先生もいらっしゃいました(当時はそういう説も
少なくありませんでしたが)。
この点、会計士・税理士さんは、失礼ながら、怖いもの知らずで、会社法の解釈
が十分に煮詰まっていない段階でも平気で解説本を出してしまいます。専門外のこ
とですから、間違っても平気なのでしょうか。
私は、法律の世界に生きていますから怖いもの知らずにはなれませんが、解釈が
十分に煮詰まっていない段階でも本を出す点は、会計士・税理士さんと同じです。
これは、私の性格が、大量の文献や論文を吟味し検討するよりも、何も読まずに
条文と経験だけで「ああだ、こうだ」と自問自答し解釈するのが自分に合っている
こと、人真似が嫌いで他説よりも会社法の「見方、考え方、捉え方」のほうに興味
があること、出版社の過酷な要求に喜んで応じてしまうことのせいでしょう。
これまでも、会社法が発表されれば、直ちに『会社法法令集』のミニコメントを
書いてしまいましたし、法務省の解説本『1問1答』より先に『これが新発想の会
社法だ』を出版してしまいました。平成19年には、まだまだ解釈が煮詰まってい
ないのに、本格的な組織再編の本(商業登記全書『組織再編の手続』)を出してし
まいました。
こうして、拙著には果敢に攻めた斬新な内容がある半面で、勘違いや勇み足部分
が生じる傾向があります。プラス面とマイナス面でプラスが大であればよいと思っ
て書いたわけですが、出版後には些細なミスも気になってきますので、これから、
上記2冊を通読し、拙著との見解の相違や勇み足部分を探そうかと思っています。
なお、上記2書は、第三者間かつ上場会社の組織再編の解説が中心であり、拙著
『親子兄弟会社の組織再編の実務』とはバッティングしませんので、ぜひどうぞ。
2010.06.14(月)【勝てば「菅」軍】(東京・金子登志雄)
田中真紀子さんが講演で「新しく首相になった人が『クリーンでいきましょう』
と言っているが、洗濯屋じゃないんですから。クリーンだけど何もできない人がリ
ーダーなんですか」と、クリーン政治を皮肉ったようですね。
テレビでは、名古屋の人気市長河村さんが、インタビューされて、「(菅さんの
小沢排除政治につき)そんなに嬉しいですか。新しいとか、反小沢とか、小沢さん
の親戚でもないのに関係ないでしょ。いつまでこういうことをやってんのか」と、
堂々と発言していました。
同じことを他の人が言うと、非難ごうごうになるのに(あの評論家の森永卓郎さ
んのキャラクターでも、テレビでの小沢擁護発言に対し、氏のブログに抗議の嵐だ
ったようです)、真紀子さんらは得な個性ですね。
こういう世間の異様な空気を市民運動上がりの菅さんはキャッチする能力がある
のか、「小沢さんはしばらく静かにしていてほしい」などとストレートに発言し、
人事もマスコミ受けする配置をし、支持率のV字回復を成し遂げました。
しかし、半面で小沢擁護の方々には、「そこまで言うか」と菅さんの憲法感覚や
人権感覚に疑問をもたれてしまったことでしょう。部外者の私ですら、偽メール問
題でじり貧になった民主党をここまで建て直した功労者に対して、もうちょっと礼
を込めた言い方があったのではないかと思ったくらいです。
と同時に、そんな甘い感情を示したら、支持率のV字回復もなかったでしょうか
ら、「勝てば『菅』軍」の政治の非情をみるようでした。猿は木から落ちても猿で
すが、代議士は選挙に落ちれば只の人です(大野伴睦)。
そのうち私も、ESGのメンバーから「金子さんはもう過去の人、しばらく静か
にしていてほしい」とストレートにいわれる日が来るのでしょうか。本欄への支持
率(閲覧数)が急アップしたりして………。
2010.06.11(金)【ライツ・イシュー】(東京・金子登志雄)
昨日、某上場会社の情報開示担当役員をしている友人と昼食をとったところ、
ライツ・イシューについて質問されました。
時々、政治談議もする友人でしたから、え、なに? ライス・イッシュー?
米国のライス前国務長官が日米関係で何か言い出したの?
え、ライト一周? 野球でヘマしてライトまで走らされること?
などとは発展しませんでしたが、よく話を聞くと、「rights issue」のことで
した。株式投資に強い関心のある方はすぐにおわかりだと思いますが、無関心な
皆さんは、何のことだと思いますか。
ヤフーの翻訳で、「right issue 」と打ち込むと、何と「正しい問題」と翻訳
されました。「ライトイッシュー」で検索したら、どうも「株主割当有償増資」
のことらしいとでます。
ヤフーの翻訳で、「rights issue」と打ち込むと、「新株の株主割当発行」と
出ました。
この「right」は、名詞であり「権利」という意味で、「issue」には「出版、
発行」といった意味がありますから、直訳すると「権利発行」ということになり
ます。要は「株主割当増資」のことですが、日本の証券市場や新聞では「新株予
約権の株主無償割当て」の意味で使うことがほとんどです。
公募増資や第三者割当増資では既存株主の権利が希釈化しますので(もらえる
配当が少なくなったり………)、ここのところ注目されている資金調達手段です。
私が役員を勤める会社でも、数年前に「株式分割+新株予約権の株主無償割当
て」を実行しましたが、当時は、ライツ・イシューなどといいませんでした(私
が知らなかっただけかもしれませんが)。
また、イシューではなく、イッシューではないかという気がしますが、「ライ
ツ・イシュー」が行き渡っていますので、司法書士の皆さんも頭に入れておく必
要がありそうです。
2010.06.10(木)【会社分割と根抵当権】(東京・金子登志雄)
不動産登記からは足を洗った私ですが、先週は、司法書士仲間に、表題の件で議
論を吹きかけました。
会社分割というのは、事業譲渡の組織再編版であり、A社が事業を分離して外に
出し会社を設立したり、その事業を他社に渡すものですが、民法の根抵当権の規定
では、会社を2つに分解するものだという発想に立っています。
根抵当権というのは、特定債権を担保する(普通)抵当と相違し、債権額が変化
する不特定の債権を担保するものです。一時的に債権額がゼロになっても、権利は
消滅しません(根保証も同じような意味です)。
さて、A社がB社に吸収分割し、C銀行からの銀行取引債務の全部を承継させた
とすると、既存のCA間の根抵当権関係はどうなるでしょうか。
民法398条の10第2項によると「元本の確定前にその債務者(A)を分割を
する会社とする分割があったときは、根抵当権は、【分割の時に存する債務】のほ
か、分割をした会社(A)及び当該分割をした会社がその事業に関して有する権利
義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社(B)が分割後に負担する債務を
担保する」とあります。
次の図です。
A 分割後銀行取引
/
A――――――――――――
【分割の時に存する債務】\
B 分割後銀行取引
つまり、「C−A」間の銀行取引上の債権関係が分割時までは従前通りで、分割
後は「C−A・B」という関係になり、Bが債務者として追加され、次のような登
記がなされます。
@登記の目的 何番根抵当権変更
原 因 年月日会社分割
変更後の事項
債務者 何市何町何番地 株式会社A
何市何町何番地 株式会社B
続いて全債務をBに承継させたので、用済みになったAを債務者から外すため、
次のような登記をするのだと一般的にいわれているようです。
A登記の目的 何番根抵当権変更
原 因 年月日変更
変更後の事項
債務者 何市何町何番地 株式会社B
債権の範囲 銀行取引
【年月日債務引受にかかる債権】
ほんとかいなと思いました。
このAの登記の発想は、【分割の時に存するAの債務】は、会社分割の債務引受
の効果として根抵当の「債権の範囲(銀行取引)」から除外されたので、改めて特
定債権として債権の範囲に加えなければならないというものです。
つまり、@の登記のAの銀行取引に属していた【分割の時に存する債務】を抜き
出して外に出し、Bの銀行取引以外の「債権の範囲」に加えたという登記です。
私は、そうではなく、Aの銀行取引債務がBの銀行取引債務に移動しただけだと
考えました。つまり、上記民法規定の【分割の時に存する債務】とは「分割時まで
はAの債務(既発生債務)」というだけで、それが分割当事者のBに帰属しても、
@の登記の「銀行取引」の中に属しているので、【年月日債務引受にかかる債権】
などを追加する変更登記は全く必要ないと考えました。
民法規定の意味はどちらなのか、いまだはっきりしていないようです。会社分割
を「法人の分割」と捉えた民法規定に問題があると当初から主張していましたが、
その思いを新たにしたところです。
2010.06.09(水)【ネコでも分かる乗数効果】(東京・富田太郎)
昨日の本欄を受けて、経済学部出身を証明します。
乗数効果とは?
@ 政府が、公共事業をして1億円使うとしましょう。
そうするとこの公共事業を受注した建設会社A社には1億円の売上げが発生しま
す。この時点でGDPは1億円増えます。ところが話はこれで終わりません。
この1億円のうち、一部はA社の貯蓄になるでしょうが、一部は建設のための原
材料購入のセンメント等の消費になります。
A ここで「限界消費性向(Marginal Propensity to Consume)」という用語が登
場します。
なにやら難しい用語のようですが、1億円収入が増えたら、そのうちいくら消費
にまわるか?ということです。
1億円収入のうち、7000万円をセメント原材料に使うのであれば、この消費
性向は0.7になります。そして、A建設会社は7000万円を消費(セメントの
購入)にあてたとします。
↓
B 受注を受けたセメント会社であるB社には、7000万円の所得が生じます。
B社には、7000万円の所得が生じますが、消費性向が0.7とすると、同様
に、4900万円の消費を行い、その消費を受注したC社は、4900万円の新た
な所得を生みます(第三次波及)。そしてこの波及はゼロになるまで続くことにな
ります。
つまり、1億円が公共投資として支出されると、その効果は、単に1億円に留ま
らず、次々と波及して行きます。このような、効果を乗数効果といいます(ケイン
ズ経済学の理論の一つ)。
実は、当時、このケインズ経済学をはじめて学んだ私は、感激したものでした。
経済学とは何と面白いのだと♪
文系であるにもかかわらず、この経済学を勉強するために、「微分方程式」等を
勉強し、アホな私は、得意絶頂となり、まわりに自慢しまくったものでした♪
もっとも、ようやく理解したと思ったら、『M・フリードマンらマネタリスト』
によって、ケインズ経済学否定理論が主流となり、トホホ……の状態になりました。
経済学とは何と冷酷な学問なのだ!
2010.06.08(火)【正直な菅新首相】(東京・富田太郎)
私自身は、現在は司法書士ですが、大学時代は法律とは無関係で経済学部の生徒
でした。
先日、大学時代の仲間と飲んだところ、「菅直人新首相」の話題になりました。
「経済が全く分からない。菅直人で大丈夫だろうか?」
そうです!
今年1月、自民党の林芳正氏の質問を受け、不安になるような答弁を行っていま
した。
林氏に「乗数効果」「限界消費性向」を聞かれた菅氏………全く答えられません
でした。当時、財務大臣なのに………(涙)。
乗数効果と限界消費性向については、明日の本欄で説明しますが、微分方程式を
使ったりします。
最近の菅直人氏は、「私は、微分方程式を、勉強している♪♪」と吹聴している
そうです………(汗)。
一部には、「今頃、何を言ってるんだ(怒)」と批判があるようですが、私には、
分かります♪ 分かります♪
微分方程式を勉強しているのですよね!
一度、基礎が分かるようになると、深く勉強したくなりますよね♪ 菅さん♪
自ら「微分方程式を勉強している」と吹聴する菅直人氏! 「イラ菅」どころか、
「素直で正直な方」と思いませんか?
2010.06.07(月)【菅総理誕生】(東京・金子登志雄)
市民運動出身で弁理士(特許関係の国家資格)だった菅さんが総理になりました。
最近では、めずらしく政治家2世ではありません。
内閣支持率も民主党支持率も急回復ということですから、民主党参議院候補者も
ほっとしていることでしょう。
いまのところマスコミ向けの人事は成功のようですね。検察とマスコミに小鳩体
制が潰されたと思ったのでしょうか、いち早く「脱小沢」宣言をし、マスコミ受け
がよい反小沢といわれる仙石さんや枝野さんを幹部に抜擢しました。
仙石さんや前原さん、枝野さんは、失礼ながら党内では人気がいまいちなのに、
マスコミ受けするのは、反小沢だからというよりも、都会的センスが感じられるか
らではないでしょうか。親小沢の方々には、泥臭い土着日本人のイメージがあり、
女性や浮動票に支持されにくいようです。都会を選挙区とする菅さんは、このあた
りをよくみているようです。
ところで、菅さんの秘書だった松田光世という方が、現在、ジャーナリストをし
ており、いつも貴重な情報をツイッターで流しています。
https://twitter.com/matsudadoraemon
私も毎日みていますが、彼の見立ては、衆参同日選挙だそうです。総理が変わっ
たのだから選挙の洗礼を受けるべきだという建前論だけでなく、衆参同日選挙だと
政権選択の選挙になり、政治とカネの問題が吹っ飛んでしまうこと、かつ、自民党
に衆議院選挙の準備ができていないことだそうです。
まさかとは思いますが、さて、菅総理は大ばくちを打つかどうか。
2010.06.04(金)【定款についての誤解】(東京・金子登志雄)
3月決算会社の定時株主総会が近づいたためか、会社の憲法ともいうべき定款に
ついての質問がちらほら舞い込むようになりました。そこで、今日は、基本知識の
おさらいです。
ときどき、「定款変更したのだけど登記を頼む」という依頼を受けます。話をよ
く聞くと決算期等を変更しただけのことがあります。これは登記不要です。つまり、
商号とか事業目的など登記事項に係る定款変更したときだけ登記が必要だというこ
とです。
登記後に「現在の定款を取得してほしい」という依頼もあります。法務局に定款
が備えられていると思っての依頼です。残念ながら、法務局は定款まで管理してい
ません。外部に当社の定款として提出するときは、「以上は当会社の定款に相違あ
りません」と代表者が証明して提出すればよいだけです。
「定款を変更したので公証人役場で認証の手続をしてほしい」という依頼もあり
ます。しかし、設立定款以外は公証人の認証は不要です。
以上は司法書士にとっては常識的知識ですが、一般の方には馴染みのない知識の
ようです。そもそも会社の定款や登記簿謄本などみたことのない方のほうが圧倒的
多数だと思います。私もサラリーマン時代に、自社及び他社の定款も登記簿謄本も
みた覚えがありません。
経営者や総務部に配属にならない限り、このような知識を知る機会も必要もない
でしょうから、私どものお相手は、専ら経営者か総務や庶務の担当者になります。
たまには営業部長や工場長などともお会いしたのですが、会ったところで、「よい
お天気ですね」しか話題がないかもしれません。
2010.06.03(木)【重苦しい辞任】(東京・金子登志雄)
今日は法律ネタにしようと思いましたら、突然の首相辞任という政変で驚きまし
た。無血革命などと酔いしれた昨年の秋の政変から、たった8ヶ月での辞任です。
志半ばで、さぞ無念だったことでしょう。
首相になって以来、官僚・マスコミ・米国と既成権力と戦ってきたのに、ここに
きて、自らの対応のまずさもあって、社民党や身内の沖縄出身議員、参院議員から
も強い批判を受け、続投が困難になってしまったようです。
最後の辞任演説は名演説でしたが、「クリーンな民主党を」と叫び、小沢幹事長
や北海道の小林議員まで名指しで辞任のまき沿いにした点については、憶測を呼ん
でいます。
まるで小沢・小林はクリーンじゃないといっているようでひどいじゃないかとい
う見方と、これでマスコミなどの敵からの攻め手を奪って参院選挙に勝利しようと
いう戦略だという見方もあり、最後まで真意不明の不思議な発言をする方でした。
次の総理は菅さんが最有力候補のようですが、また、カネや女性問題などのスキ
ャンダルで撃ち落とされるのではないかと心配です。
諸外国では、公私混同しない限り、カネや女性問題で政治家を引きずり降ろすこ
とは決してしません。イタリアのベルルスコーニ首相などは、買春疑惑をものとも
せず頑張っています。フランスのサルコジ大統領も失言が多いのですが、「政治と
カネ、オンナ」程度のことでは、政治的失脚にはつながりません(小沢さんも生ま
れた国を間違えたのでしょう)。
政治家に異常なクリーンさを求める日本の政治風土では、大物政治家は育たない
のではないでしょうか。クリーンしか能のない人は、無能な政治家よりも有能な司
法書士を目指すべきです。
2010.06.02(水)【借金の額を減額などとは………】(愛知・和出吉央)
最近、新聞、テレビCM等で、見聞きすることが多くなったためか、中小企業の
社長・オーナー様から、よく次のキーワードに関するご質問を受けます。
“借金の額を減額”“過払い金が戻ってくる”
その際、私は次のように答えるようにしています。
「借金についての正しい知識を得られれば、借金を減額できたり、更には、貸金
業者に過払い金返還請求できたりすることがあります。
また、過去に完済して現在は借金が無い方であっても、完済から10年経過して
いなければ、過払い金の返還を請求し、支払ったお金(の一部)が戻ってくること
があります。」
では、“借金の額を減額”“過払い金が戻ってくる”とは、どういうことでしょ
うか?
「金利」が重要なキーワードになります。
金利を規制する法律には、「利息制限法」と「出資法」という2つの法律があり
ますが、利息制限法においては、金利は年15〜20%であるのに対して、出資法
では年29.2%と定められています。
金利に関して、なぜこのような2つの法律があるのか、その理由の説明はここで
は割愛させていただきますが、裁判では、原則として利息制限法の年15〜20%
の利息までしか認められていません。
これに対して、数年前までの消費者金融の金利は、出資法の29.2%を基準に
金利が設定されていました。
そこで、29.2%の金利を払っていた方が、弁護士又は司法書士に任意整理を
依頼すると、今までの取引をすべて15%〜20%に引き直して計算し、「それを
超える利息を返してくれ」と請求することができます。
その結果、借金の額が減る、過払い金が発生しお金が戻ってくる、ということが
ある訳です。
ただし、一つ注意しなければならないことは、過払金が発生したとしても、全額
戻ってくる保証は無いということです。昨今の過払い金返還請求の増加や法律改正
等により、貸金業者の業績は悪化しており、大手貸金業者であっても戻ってくる額
は50〜80%、中小の貸金業者となると、数%しか戻ってこないこともあります。
6月18日に改正貸金業法が全面施行され、今後ますます、貸金業者の資金力も
低下することが予想されます。
2010.06.01(火)【罷免と解任はどこが違うか】(東京・金子登志雄)
社民党の福島さんは「悪いことはしていないので辞任はしません。罷免してくだ
さい」と頑張ったようですが、効果抜群でしたね。すっかり筋を通した英雄になり、
社民党も党首が罷免されたと一致結束しました。半分は選挙対策の計算づくでしょ
うが、さすがは党首ですね。
しかし、株主総会で個々に選ばれた取締役と相違し、大臣は総理に任命された立
場です。任命権者と意見が相違したら、潔く辞任するのが筋で「嫌なら罷免せよ」
と啖呵を切るのは法律専門家(弁護士)の福島先生らしいとは思えませんでした。
連立の解消と大臣の罷免を混同しているのではないでしょうか。
また、鳩山首相の不信任決議にも賛成するとか。昨日までのお友達にそこまです
るのは、やり過ぎではないでしょうか。民主党支持者の反感を招くでしょうから。
さて、なぜ「解任」と使わずに「罷免」というのでしょうか。
憲法に理由がありそうです。すなわち、公務員、国務大臣、裁判官に「罷免」と
いう用語を使っています。憲法で言う公務員は、選挙で選ばれた公務員を意識した
用語であり、一般の公務員には「免職」という用語を使いますから(国家公務員法
など)、「罷免」は専ら大臣や裁判官に使うと思ってよいでしょう。
天下り取締役の解任の登記に「年月日罷免」とできないかなと会社法を調べまし
たら、やはりありませんでした。その代わり、「支配人は、他の使用人を解任する
ことができる」とありましたが、ここは一般用語では「解雇」ですね。
念のため、使用「人」は雇われる側で、使用「者」は雇う側です(民法625条
など)。日本語は難しいですね。
2010.5.31(月)【政局不安】(東京・金子登志雄)
この土日は政局が大きく動きました。普天間問題で、鳩山政権は米国及び米国一
辺倒の外務・防衛官僚に押し切られたのか、政治主導に期待していた多くの沖縄県
民を失望させただけでなく、社民党との連立も潰してしまいました。
鳩山首相も、官僚の協力もなく孤軍奮闘で県外を模索していたようですが、どこ
も他人事で受け入れそうもなく(「普天間の火の粉を全国にばらまくのか」と怒っ
た知事もいたとか)、同盟で結ばれた米国に「出ていけ」というわけにも行かず、
取り巻きは岡田外相も北澤防衛相も辺野古派ばかりで、閣内には社民党という強硬
な辺野古反対派がおり、しかも5月中に結論を出さねば、米国議会へのグアム移転
の予算提出が困難となり、米国との信頼関係が決定的に悪化するというタイミング
での辛い決断でした。
「あちらを立てれば、こちらが立たず」でトップとしては辛い決断だったでしょ
うが、この試合はまだまだ続いています。埋立案には知事の許可が必要ですし、環
境アセスメントの問題もあります。どんなに罵倒されようとも、放り出すことはで
きません。放り出されたら後任が不幸ですし、いまのところ、鳩山氏以上に沖縄に
力を入れた首相も見当たりません(期待が大きかっただけに、その信頼も地に落ち
た感じですが)。
ベストは無理でも、さらにベターを求めて邁進してほしいものですが、このまま
では、参議院選挙を前にして、一波乱ありそうです。こんなときは、政治力に長け
た小沢幹事長の出番なのでしょうが、検察・マスコミ・世論の包囲網で動きがとれ
ず、剛腕を期待できそうもありません(純法律的見地からは西松建設問題も水谷建
設問題も政治資金規正法も完全に無罪と思えますが、如何せん、すっかり大悪党の
レッテルを貼られてしまい表舞台に登場しにくくなっています)。
政界の一寸先は闇。政治の不安定(それによる景気の後退)がまだまだ続きそう
ですが、「米国」対「日本」の外交交渉には与党も野党もなく、諸外国では反米機
運が盛り上がり政府の後押しをするところですが、日本のマスコミは、米国と一緒
になって政府の足を引っ張り、政治家をからかい、混乱を煽ってばかりでした。早
く辺野古にしないとアメリカ様が怒るぞと煽っていたマスコミには、思いどおりに
なったわけで喜びこそすれ鳩山批判する資格はないと私は思っています。
2010.05.28(金)【解散手続の報酬】(東京・金子登志雄)
ここ1、2年、景気の後退のためか、会社の設立よりも解散を依頼されることが
増えました。
解散を決議し清算人を選任し、解散公告をするというのが最初の手続です。解散
公告というのは、下記のようなものです。
http://kanpou.npb.go.jp/20100527/20100527g00111/20100527g001110098f.html
なぜ、合併公告や減資公告のように、決算公告に触れないのかと疑問に思いませ
んでしたか。理由は、異議申述公告ではなく、債権申出を呼び掛ける公告だからで
す。期間も2カ月です。
意外に知られていませんが、この公告期間中に債務の弁済はできません(会社法
500条)。
ここで疑問に思うのが、じゃあ、電気代も水道代も家賃も支払えないのか、支払
うためには裁判所の許可を得なければならないのかという点です。
実際には支払っているようですが、法的に問題なしといえるのかははっきりしま
せん。単にトラブルになっていないだけかもしれませんし、こういう対価性のある
ものは同条の「債務」から除外されるという考え方もあろうかと思います。
もっと、身近なのは、解散と清算人の登記をした司法書士報酬や解散の公告代で
すが、この支払いを2カ月間拒否されては、われわれも困りますので、時には、先
払いをお願いするなりの方策が必要かもしれません。
2010.05.27(木)【悲惨な独立開業】(東京・金子登志雄)
某ML(メーリングリスト)に、せっかく弁護士になったのに、勤め口もなく仕
方なく独立開業したが、年収が100万円にも満たないという悲惨な話が掲載され
ていました。
いきなり開業しても仕事がないのは当たり前ですが、気の毒なのは収入の話では
なく、仕事を覚え修行する場所も、人脈を形成する機会もない点です。それがない
限り、今後の飛躍もむずかしいでしょう。
当ESGのお仲間には、いきなり開業した人はいないようです。多くが先輩事務
所で修業し、数年後に独立しています。私の場合は、形式的にはいきなりの開業で
したが、司法書士の仕事内容は十分に知っていましたし、いまでも継続している会
社役員の間にそれなりの人脈も形成できていました。また、役員報酬もあったので、
当初数年間の司法書士収入が200万円以下でも生活に支障はありませんでした。
もう1つ問題なのは、司法書士は「仕事がありませんか」と営業できるのに対し、
弁護士さんはできない点です。常に「武士は食わねど高楊枝」でいないと、顧客か
ら信頼されません。
一般の私人が弁護士に依頼することは一生に一度もありません。住宅ローンその
他で司法書士に依頼することは、かなりの確率であり得ます。税理士はもっと高い
確率です。経理部等への勤務も可能でしょう。
しかし、会計士や税理士も飽和状態だという話もよく聞かされますので、資格商
売を目指す若い人には気の毒な社会になりました。世代の運・不運は、資格商売に
も通じるようです。
2010.05.26(水)【毒饅頭】(東京・金子登志雄)
野中広務元官房長官が1か月前のテレビの番組で、歴代の自民党政権が官房機密
費を政治評論家などのマスコミ人に配って世論操作していたことを暴露したのに、
大きなニュースになっていませんね。いまこそお得意の「説明責任」の見本をみせ
てほしいものですが、マスコミ業界では触れられたくない話題のようです。
毒饅頭に日本人は弱いですね。いただいたお土産に現金が入っていても返すと角
が立つなどと、つい都合よく自分に言い聞かせてしまいます。いや、それ以上に、
とうとうオレも、こういうお土産をもらえる身分になったかと、かえって喜んでし
まうかもしれません。
しかし、ことは世論形成や民主主義の問題です。商取引の問題ではありません。
政治情報の伝達がカネで汚されているということです。絶対にあってはならないこ
とです。
この件に関しては、週刊ポストでジャーナリストの上杉隆さんが追及をはじめて
います。今週の同誌の書き出しは呆然とするものでした。広域汚染です。
以下、要約です。
テレビ局の大幹部から電話があった。「ウチの局で使っている評論家やコメンテ
ーターが該当しているのかチェックしなければならない」、(リストをみせてくれ
ないのなら)「何人か名前を挙げるから該当しないかだけいってくれないか」
私は渋々応じた。彼がテレビによく登場する著名な言論人の名前を挙げる。私は、
そのたびに、「ハイ」「ハイ」「ハイ」と頷いた。彼のうなだれた様子が、電話越
しにも伝わってきた。
(ご参考)
http://diamond.jp/articles/-/8183
2010.05.25(火)【沖縄基地移転問題】(島根・根来川弘充)
鳩山首相が、5月決着をつけると言っていたこの問題ですが、大方の予想どおり、
あまりよろしくない方向に進みそうです。
内閣支持率の一層の低下は避けられないとして、私自身は多少の意味があったの
ではと思います。
今までこの問題が取り上げられると、沖縄の方とそれ以外の都道府県の方と受け
取り方が違っているのではないかと感じるものがありました。
これは私の感覚によるもので具体的根拠があるものではありません。したがって、
誤解は多分にあるものと承知の上で述べますが、どこか自分には縁の遠い話と受け
取っている方が多かったのでないかと思うのです。
鹿児島県の徳之島が移転先の候補にあげられると、この島の町長らは一斉に反対
を表明しました。これがもし他の都道府県だったとしてもきっと同じ対応だったと
思います。
しかし、この対応は沖縄の県内移転であったとしても、日本全国で同じ対応がと
られるべきでないでしょうか。
日本に軍事基地があります。しかも他国の基地が。
冷戦構造がなくなってその役割は明らかに当初の目的と変わっているはずです。
今、他国の基地が存在しなければならない理由は何なのかには疑問があります。
少なくとも、戦後の異常な事態が当たり前のようになってしまっていた現状に、
今回の問題は一石を投じたのではないでしょうか。
2010.05.24(月)【印影】(島根・渡部浩義)
ご無沙汰しておりました。
さて、オンライン申請、電子認証の時代に「何をいまさら!」との声をいただ
くかもしれませんが、最近、法務局から交付される印鑑証明書の印影が悪いと感
じるのは私だけでしょうか。
特に大規模庁(局)において発給される日本を代表する大企業のものがよくな
いように感じます。不動産登記の立会いの現場等に会して、その企業の担当者が
もってこられた印鑑証明書と捺印書類を照合する段になり、「うっ、照合できな
い。」、「照合が極めて困難!」という機会が増えたような気がします。
かつて法務局で印鑑証明書を取得するという作業は、かなり神経を使う「仕事」
でした。相当に高い確率で、「証明できない!」と窓口の認証係官に証明申請書
を返されることがあったからです。
このHPをご覧の皆さま方で、かつて直接証明方式の印鑑証明書を法務局で取
得した経験があるという方はどれくらいおられるのでしょうか。直接証明方式と
は、印鑑証明書の交付のための委任状を添え、申請書と交付を受けようとする通
数枚の証明書用の台紙に実際に印鑑を押印して法務局窓口にもって行き、それに
証明認証してもらうというヤツです。
私が駆け出しのころ感じたこの印鑑証明書の認証係の方々に対する印象は、
「およそ性悪説にたって仕事している悪魔のような存在!」というものでした。
(当時の担当官の方々、本当にごめんなさい。)
申請書に押してある印鑑印影は、法務局印鑑ホルダーの中に収納してある届出
印鑑紙に押印された印鑑印影とは別のものである、今窓口を訪れている者は申請
人会社代表者または委任状に記載された申請代理人とはまったくの別人である、
といわんばかりの審査だったような気がします。
ある日の夕刻の人影がまばらになった法務局窓口で、「だいぶハンの押し方が
上手になったな。」と、近傍法務局の中では厳しくて有名だった初老の担当官に
声をかけられたことがあります。「妙な証明書を出せば、困るのはアンタ達だろ
う………。」
あれから約20年。「間接証明方式」そして「カード式」と、印鑑証明書ひと
つとってみてもその制度環境は大きく変わりました。現在の制度におけるクリア
な印鑑証明書の交付を受けるための肝は、『印鑑(改印)届出』書の提出が必要
な手続の際に、手続をする者が鮮明な押印をするか、そして法務局担当者がそれ
を可として受け付けるかという点のみにかかっています。
妙なこだわりや厳格すぎる審査は、商業登記所集中化の時代の繁忙大規模庁に
おいては事務の停滞を招くのかもしれませんが、依然として独特の印鑑照合の商
慣習や手続法制度をもつわが国にあっては、“形式面への配慮やこだわり”も今
一度見直す必要があるように思います。
「困るのはアンタ達だろう・・・」
あの名物担当官、たぶん本当はとてもやさしい人だったような気がします。
2010.05.21(金)【決算公告の決算内容】(東京・金子登志雄)
こんな質問を受けました。一緒にお考えください。中小企業の事案です。
「6月の定時総会の第1号議案で決算を承認し、第2号議案で損失処理(その他
資本剰余金を負のその他利益剰余金に振り替えること)を決議するが、決算公告に
は損失処理後の貸借対照表を掲載すればよいのか」。
もし、おわかりにならない場合には、次の事例はどうですか。
「定時総会の第1号議案で決算を承認し、第2号議案で剰余金の配当を決議する
が、決算公告では配当後の貸借対照表を掲載すればよいのか」。
もう、おわかりですね。
この会社の事業年度末が3月31日だとすると、損失の処理も剰余金の配当も、
それ以降に生じた事項であり、翌期(つまり当期)である平成23年3月期の決算
に反映する事項にすぎません。結論として、決算公告の対象は第1号議案で確定し
た内容までです。
なお、決算公告の貸借対照表(の要旨)には、「(当期純利益〇〇円)」を付記
するため、純然の貸借対照表とはいえません。これは、損益計算書の公告を省略す
る代用として、この付記を求めているためです(計算規則142条)。
2010.05.20(木)【打撃の錯誤】(東京・金子登志雄)
きのうご紹介した三宅議員転倒問題ですが、甘利議員にとっては三宅議員が転倒
するとは全く予期せざることだったという前提に立ちますと、これを刑法学説では
「打撃の錯誤」といい、甘利議員に故意の責任を問えるかという問題があります。
他の例でいいますと、AがBを狙い、殺意をもって銃を撃ったら、手もとが狂い、
全く予期せぬCを殺害してしまったという場合に、AはCに対して殺意がないのに
殺人罪を問えるかという問題です。
多数説(法定的符合説=団藤刑法など)は、「人を殺害しようとしてそのとおり
になったのだから殺人罪だ」と説きますが、有力説(具体的符合説=平野刑法)は、
「Cに対しては故意がないので、Bに対する殺人未遂とCに対する過失致死罪だ」
と説きます。
数学的思考をする私は、若い頃から、「相手が誰であっても、およそ人を狙った
限り」という大雑把な多数説の考え方には違和感をもっており、「およそ人」では
なく、相手は「狙ったターゲット」でなければならないという立場の有力説を採用
していました。
この考え方からは、甘利議員は三宅議員に対して故意を問うことができず、過失
(不注意)の責任が問題になります。
もっとも、以上は「予期せぬ対象(C)」に打撃を与えた場合であり、三宅議員
転倒問題では、予期の範囲内の目の前に存在するCだったため、本件は、打撃の錯
誤の事案には該当しないというべきでしょう。
2010.05.19(水)【三宅議員転倒事件】(東京・金子登志雄)
ご存知、三宅雪子議員の転倒問題ですが、なんと、あれは自作自演だという意見
が結構あるのですね。私の身近な友人にもいたので、さらに驚きました。そんなこ
とで、つい本欄で取り上げてしまいました(ネタ不足のため、ご了承を)。
家に帰って、もう1度みてみました。これがスロービデオです。
http://www.youtube.com/watch?v=LPpY_-fA-v0
みなさんは、どう思われますか。
さて、あなたは裁判官です。次の当事者の主張を吟味し、どちらが正しいかをご
判断ください。
(甘利議員)
http://www.amari-akira.com/act/20100514-1.html
(三宅議員)
http://yukiko-miyake.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-52bf.html
(甘利側証人=馳浩議員ブログ)
議員会館のエレベーターに、民主党の三宅雪子さん、松葉づえ姿で乗り込ん
でくる。えらいものものしい。
「どないしたの?」
「昨日の内閣委員会の強行採決で転んじゃって・・・」
と、痛々しい包帯姿。
「運動不足なんですかね、自分で転んじゃって、恥ずかしい・・・・」
と三宅さん。
スロービデオの最後の方の画面をみると、海老反りになって、足が惰性で高く上
がっています。これは、自作自演ではできないでしょう。女性にとっては、恥ずか
しい姿です。私には、押された男性の影響で足がもつれてバランスを崩し、顔から
つんのめったとしか思えませんでした。
甘利議員が三宅議員を直接倒したのではなく、三宅議員が転倒したのだというと
ころまでは認められても(その転倒の原因は甘利議員でしたが)、自作自演でわざ
と転倒したとみるのは、あまりに彼女に気の毒だと思いました。三宅議員が馳議員
に話したことも「あのような場面で立っていられず転倒した。恥ずかしい」という
話であって、自作自演で自ら転倒したという話とは違うと私は判断しました。
2010.05.18(火)【文字の記載間違い】(東京・金子登志雄)
きのうは不思議な経験をしました。「艾」(もぐさ・よもぎ)という字で申請し
たら、法務局から電話があって、そんな字はないといわれました。現に、こうして
パソコンで出てくる字です。
古い広辞苑や漢和辞典を引きましたら、草冠の下が「父」の字の右上の「ヽ」を
とったもののようです。法務局のコンピュータは、そちらの字のようでした。
先日は、お客様のパソコンでは「辻」の左上の点が2つでしか出ないといわれま
したし、パソコンソフトによって違うのでしょうか。いろいろありそうです。
商業登記申請では、こういう「字」の問題は結構悩みの種です。とくに、事業目
的の登記の記載ミスには神経を使います。「コンピュータ」か「コンピューター」
か、「フイルター」か「フィルター」か(イの大きさ)など………。
登記が終わると謄本がとれる状態になりますが、取得したらその場でチェックし
なければなりません。法務局側で登記漏れや間違い登記ということもあるからです。
法務局が手入力で登記簿に記入していた時代や、OCR用紙をスキャナーで読み
取っていた時代には、法務局側のミスも少なくなかったのですが、最近流行りの電
子申請になってからは、ミスの大半が申請人側の問題になってしまいました。
私も、つい最近、「平成22年辞任」というところを「平成21年」で申請して
しまい、更正登記をしたばかりです。
ケアレスミスといえばそのとおりですが、十分に注意しても、申請人も法務局も
依頼人の会社も気づかないこともあります。永久に気づかないでいただければ、何
の問題もないのですが、数年後に誰かが気づいてしまいます。
まぁ、政治資金規正法と違って、虚偽記載で政敵に告発されないだけマシかもし
れません。費用2万円(登録免許税)で更正できますから。
2010.05.17(月)【説明責任】(東京・金子登志雄)
みなさんは、浮気したことがありますか。残念ながら、私は強い願望を持ち続
けてきたのに、神様は一度も機会を与えてくれませんでした。
さて、貴方の留守中の自宅に、「奥さん、気をつけてください。ご主人が部下
の〇〇と浮気しています」という告発の密告電話があったとします。
次のような言い争いになることでしょう。
「貴方、浮気したでしょ。どうも帰りが遅いと思った」
「何、馬鹿なことをいうのだ。毎日、家庭のために夜遅くまで働いているのに」
「全部が仕事とは限らないでしょ」
「たまには同僚と一杯飲んで帰ることもあるけど」
「同僚って誰よ。名前をいいなさい。オンナでしょ」
「えーと、この前は、〇〇君と〇〇君だった」
「何で、即答できないのよ。ちゃんと説明してよ」
しかし、いったん疑われたら、何を説明しても無駄です。最後は「そう思いた
ければ、勝手にしろ」で終わりでしょう。深い溝ができました。
こういうときは、次のようにしましょう。
「失礼じゃないか。なぜ君は僕を信じられないのだ。浮気したというなら、いつ、
どこで誰と浮気したとはっきりいえ!」
「………」
「いえないのか!」
「同じ職場の〇〇さんよ」
「彼女に失礼じゃないか。で、いつどこで浮気したというのだ」
「………」
「具体的に質問してくれなければ、説明もできないじゃないか。〇〇と何もない
ことをどうやって説明したらいいんだ」
「ない」ことの証明は「悪魔の証明」といって証明不可能ですから、このよう
に逆襲するのが一番だと私は思っています。小沢氏も、同じ気持ちでしょう。
「なぜ、君らはそういう疑いをもったのか説明せよ」
「え、〇〇情報? その情報は信用できる筋か。その情報源がなぜ僕に疑いをも
つのか君らは考えなかったのか」と、小沢氏が疑う側の説明責任を求めたら、ど
うなるでしょうか。
最後は、「いや〇〇情報だけでなく、△△情報でもそうだ。ほれ、このとおり、
世論調査でも8割が疑っている」。
これでは疑う者の説明責任が果たされていませんね。結局は、堂々巡りで何も
解決しません。さらに溝が深まるだけで意味がないと私は思うのですが、「説明
責任」という錦の御旗の魔女狩り用語は、どうも好きになれません。
2010.05.14(金)【損失の処理と剰余金の処分】(東京・金子登志雄)
会社法452条に「損失の処理、任意積立金の積立てその他の剰余金の処分」
とありますが、さて、「損失の処理」は「剰余金の処分」でしょうか。
損失なんだから剰余金であるわけがないと考えた人は否定説で、いや損失も負
の剰余金だと考えた人は肯定説でしょうか。
では、「損失の処理、任意積立金の積立てその他剰余金の処分」と書いてあっ
たら、いかがでしょうか。
迷うと思いますが、実は、「その他」と「その他の」がキーワードです。
必ずしも厳密なものではありませんが、一般的に法令用語で「A、Bその他の
C」とあると、A、BはCの例示であり、「A、Bその他C」とあると、AとB
とその他Cは、並列関係です。
(「その他の」の例)
執行役又は支配人その他の使用人
株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行う者
相続人その他の一般承継人
(「その他」の例)
株式会社の資産状態その他一切の事情
株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項
命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者
したがって、「損失の処理、任意積立金の積立て」は「剰余金の処分」の例示
にすぎません。損失処理の次に「、」があるので、つい、「損失の処理」と「任
意積立金の積立てなどの剰余金の処分」と勘違いしてしまいますが、損失の処理
とは、「その他資本剰余金からその他利益剰余金への振替え」のことですから、
これも正真正銘の「剰余金の処分」です。
2010.05.13(木)【小沢不動産問題の本質】(東京・金子登志雄)
司法書士の掲示板で検察審査会で問題となった小沢氏の不動産問題を議論した
ところ、だいぶその全貌がみえてきました(もちろん一部は推測です)。
1.秘書社宅として世田谷区によい分譲物件があったので購入を決定したが、陸
山会ですぐにはカネを準備できず小沢氏個人から4億円弱を借りた。一時立替
金です。
2.陸山会では自前のカネを集めて銀行で定期預金を組んで、それを担保に4億
円を借りた。小沢氏への立替金は用済みとなったので返済した。
ここで問題が生じました。陸山会は「権利能力なき社団」であり、印鑑証明も
用意できないため、債務者になれないのです。そこで、借入れ名義は代表者個人
とし、小沢氏個人名義で借り、そのまま陸山会に又貸ししてもらった。
ここの実質は「陸山会」の借入れですから、帳簿にも「銀行借入4億円」と書
いてもよいと思うのですが、収支報告書には、生真面目に「小澤一郎から4億円」
と書いてあります(戸籍上は「小澤」です)。
3.マスコミ報道にはでてきませんが、対象物件は地目が「畑」でした。
ここで問題が生じました。所有権移転には農地法上の手続が必要だからです。
そこで、契約は「売買予約」にし、登記も仮登記にしました。登記上の制約から
陸山会名義にできないため、「小澤一郎」名義です。
登記簿には、次のようにあります。
平成16年10月29日 所有権移転請求権「仮」登記
原因:平成16年10月5日売買予約
平成17年 1月 7日 所有権移転「本」登記
原因:平成17年1月7日売買
本来であれば、1月7日に代金を支払えばよいのですが、売り手にせかされた
のか10月29日に支払いました。同日に売り手の担保が抹消されています。
4.上記からは、実質的には代金前払いの平成16年10月29日に所有権が移
転したといえても、法律的には、売買予約の完結権を行使した平成17年1月
7日に所有権が移転したわけですから、陸山会の収支報告書に当該土地を資産
として計上できるのは平成17年1月7日からです。
5.ただ、検察審査会は、上記のような複雑な処理は、小沢個人が大金をもって
いることを隠すためで、わざわざ金利年450万円まで支払って偽装している
と断じました。
6.しかし、小沢氏からの一時立替金を隠す必要もありませんし、小澤一郎から
借入金4億円と記載されているので、いかにも小沢氏個人が4億円をもってい
るような記載もあります。
また、実質は陸山会の借入れですから、銀行に陸山会が金利を支払うのは当然
のことです。定期預金担保なんかせずに、そのまま支払えというのは企業の資金
繰りを知らない人の論理ですし、個人からの借入金のままにし、小沢氏個人に金
利を支払えばよいじゃないかというのは、個人と団体との利益相反や財産の峻別
の点で、コンプライアンス上も望ましくありません。
以上のように、陸山会の処理は極めて適切なのに、結局は、権利能力なき社団
の不動産取得(それも農地=仮登記)、銀行借入れ方法、登記方法を知らない方
々が、いかにも財産隠匿したかのように勘違いしてしまったのが本件の本質では
ないかと私は考えましたが、いかがでしょうか。
なお、司法書士で興味のある方は「世田谷区深沢八丁目28番5、同番19の
土地」を登記情報提供サービスで閲覧してください。
2010.05.12(水)【五輪VSプロ野球】(東京・金子登志雄)
この表題をみて、ピンときた方も多いことでしょう。そうです、民主党の参議
員候補はオリンピック選手(柔道の谷亮子、体操の池谷幸雄、競輪の長塚智広=
茨城選挙区)なのに対し、自民党はプロ野球選手(堀内恒夫、石井宏郎=秋田選
挙区)です。ついでに、自民党の分派・たちあがれ日本はやはりプロ野球の中畑
清です(敬称略、以下同様)。
偶然でしょうか。きっと、プロ野球は、巨人及び読売新聞のドン渡辺恒雄氏の
影響で、自民党筋との関係が深いのでしょう。
過去をみると、アナウンサー(宮田輝、高橋圭三)、作家(石原慎太郎、青島
幸男)、俳優(山東昭子、扇千景、森田健作)、落語(立川談志)、漫才(横山
ノック、西川きよし)、プロレス(アントニオ猪木、大仁田厚)、ゴルフ(横峯
良郎)、テレビ有名人(大橋巨泉、丸山和也)、五輪(橋本聖子)………と、い
ろいろ思い出されますが、プロ野球界は誰かいたのでしょうか。
きっと、野球はチームワークのスポーツで、目立ちたがり屋には不向きなので
しょう。政治家になりたいと思うには、目立ちたがり屋でなければなりません。
政治家になるためには、政治家2世は別にして、官僚コース、地方議会からの
たたき上げコース、業界団体(労組含む)コース、政治家秘書あがりコースのほ
かに、上記のコースが開発されたわけですが、どれも難コースですね。一芸に秀
でなければなりません。
あ、もう1つありました。松下政経塾コースですが、こちらは入塾が難しそう
です。
こうしてみると、司法書士が政治家になるには、たたき上げコースしかなさそ
うですね。同職のみなさん、まずは地方議会で頑張りましょう。私には、そんな
元気がありませんけど。
※宮田輝、高橋圭三って誰と聞かれそうですが、NHKの看板スターでした。
2010.05.11(火)【まだまだ知らないことばかり??】(東京・富田太郎)
「投資事業有限責任組合の登記」というものがあります。VC関係の仕事をして
いると、頻繁に依頼のある登記です。
実はこの登記、ちょっとした矛盾点があります。
(1)「投資事業有限責任組合の登記」の無限責任社員が会社の場合、
東京都中央区日本橋一丁目3番5号
無限責任社員 ESGインベストメント株式会社
と登記されます。
無限責任社員である「ESGインベストメント株式会社の代表者」は登記事項で
はありません。
(2)かたや、この投資事業有限責任組合の印鑑証明書には、
無限責任社員 ESGインベストメント株式会社
代表取締役 小林一郎
と無限責任社員の『会社の代表者名』がでます。無限責任社員である会社の代表
者名は登記事項でないにも係らず、印鑑証明書には、記載事項となってしまってい
る………。ちょっとした、矛盾点ではないでしょうか?
(3)変更登記は不要でも、印鑑届出書の変更は必要
つまり、無限責任社員であるESGインベストメント鰍フ代表者が変わった場合、
「変更登記」の申請は不要ですが、「印鑑届出書」(廃印届と新代表者名の印鑑届)
を提出する必要があります。
つい、登記事項でないため、この印鑑届出書の提出については、忘れがちです。
私自身、司法書士になって、いろんな登記を経験していると自負していますが、
この論点については、いつも、忘れてしまい、その時になって、慌てて調べなおし
たりしています。
あぁぁ〜。何年経っても、まだまだ知らないことばかりです、私は………(涙)。
★話は変わって★
ところで、先日、鎌倉時代の禅宗の高僧『無学祖元』(鎌倉時代に宋から来日。
仏光派の祖、鎌倉円覚寺を開山。時の執権「北条時宗」などに影響を与えた)に関
する本を読みました。
今まで、この『無学』とは「学がない」と言う意味だと思っていたのですが(な
るほど、人間、一生修行だよなぁ〜)、 本を読むと、全く違い、この「無学」と
は………「もはや、もう学ぶものなし」(注)との意、だそうです(汗)。
(注)無学………仏教の真理を得て、迷いがなくなり、学ぶべきなにものもない最
高の境地
『もはや、もう学ぶものなし』………そんな意味とは知らなかった………(汗)。
………………
私も、早く、司法書士会の『無学祖元』になりたいものです(つくづく)。
2010.05.10(月)【株主“総”会を“争”会にしないために………】(愛知・和出吉央)
前回(4月7日本欄)、株主総会を開催しないことによる『怖さ』についてお話
しさせていただきましたが、今回はその『怖さ』を現実化させないために、最低限
『どうしたらよいか』についてお話させていただきたいと思います。
@ケース1
株主総会決議が『存在しない』ものと扱われないようにするために………
→必ず株主全員(議決権のある株主に限る)に対して招集通知を発送し、総会
当日には株主総会を開催する。
ポイント次のとおりです。
○原則として、株主総会開催日の1週間前(譲渡制限規定がない会社は2週間前)
までに書面にて招集通知を発送。
○毎年の定時株主総会(決算承認等)の場合は、法定の貸借対照表・損益計算書
等の書面を必ず添付する。
○出席できない株主のために、議決権行使の委任状も添付する。
○出席する株主がいないことが濃厚である場合(株主全員が委任状提出の場合も
含む)でも、急遽出席する株主を想定し、必ず開催日時に開催場所を確保し、
役員は待機する。
なお、会社法上、株主全員の同意を得た上で、書面によって株主総会を開催した
ものとみなす制度もあります(会社法第319条)。
Aケース2
株主総会の決議の内容や手続が『定款や法令に違反する』ものと扱われないよ
うにするために・・・
→社内の者の判断のみならず、弁護士・司法書士・税理士等の専門家に内容の
相談やチェックをあおぐ。
定款や法令に違反する内容になる(可能性がある)ということは、親族間・株主
間にてすでに争いが勃発しているケースが多いので、『冷静な判断』という意味で
も第三者的立場の専門家の意見を聞くことは重要だと考えます。また、ケースごと
の細かい判断は判例や先例等が重要となりますので、経験豊富な専門家の判断が重
要だと考えます。
招集通知すら発送していなかったり、開催日時に開催場所を確保していなかった
りとなると(ケース1)、原則として、将来的に無期限で株主総会の無効を主張さ
れることになります。
つまり、今、現時点での株主ではなく、将来、相続や譲渡等によりあらたに株主
となった株主から、法律違反を蒸し返される危険性があるのです。
弁護士・司法書士等の会社法専門家が増加の一途をたどり、インターネットで一
定の情報が入手できる今、株主に付け入る隙を与えるということは、会社の存続に
かかる問題に発展する可能性すらあるのです。
2010.05.07(金)【株式交換の対価】(東京・金子登志雄)
A社がB社の株式全部を取得し、100%子会社にする組織再編行為を「株式交
換」といいます。
このとき、B社の株式の取得の見返りにB社の株主に支払う対価は、A社の株式
でも、現金でも、新株予約権でも何でもかまいません。これを「対価の柔軟化(自
由化)」といいます。
ところが、対価がA社株式のときは、A社で債権者保護手続をしなくてよいのに、
A社の株式以外(現金など)のときは、必要だとされています(会社法799条1
項3号)。
これは、取得するB社株式の価値が100だとした場合に、それを過大評価して
150の現金を支払えばA社の財産が50も減少するが、対価がA社の株式であれ
ば、増資と同様にA社の既存財産の減少がないからだと説明されています。
ここまでは会社法に詳しい方であれば、どなたでもご存知の知識です。
先日、ふと対価がA社の新株予約権でも、これから発行して渡すだけだから、A
社の既存財産が減少しないじゃないか、なぜ債権者保護手続をする必要があるのか
と疑問に思ってしまいました。
で、『自己株式の実務処理』の共著者である有田会計士と高橋税理士に疑問を投
げかけ、お二人とのメール交換で、次のようなことだろうと結論づけました。
対価の性格にありそうです。つまり、新株予約権が対価のときも、A社の財産が
減少しないが、新株予約権を発行後直ちにA社で購入すれば、対価を現金にしたと
きと同じ効果を発揮できるので問題だ。つまり、脱法行為に利用されかねない。株
式を対価としたときは、自己株式取得の規制があるが新株予約権にはこのような規
制がない。よって、この点では、新株予約権は株式よりも、社債に近い性格がある
ので、新株予約権を対価にしたときも、債権者保護手続が必要だとしたのであろう
………、ということです。
立法者がここまで考えていたかは不明ですが、確かに株式対価と新株予約権対価
は同一には論じられませんね。
2010.05.06(木)【笑顔がかわいい共謀共同正犯】(東京・金子登志雄)
小沢氏に対する検察審査会の決定に「共謀共同正犯」という用語が登場しました
が、この意味はご存知でしょうか。
まず、犯罪を実行したものを「(実行)正犯」といいます。複数で犯したときに、
これを「共犯」といいますが、犯罪を起こす気にさせたものを「教唆犯」、見張り
など補助的に関与した者を「従犯」あるいは「幇助(ほうじょ)犯」といいます。
実行自体を複数で行った場合、例えば、1人がはがいじめにし、もう1人が殴る、
蹴るをすれば、暴行罪の共同正犯(「実行共同正犯」)になります。
以上が基本ですが、やくざの親分が子分と謀議し、あいつをヤレと指示したのに、
子分が正犯で親分が教唆犯というのはバランスを欠くという発想から、親分を正犯
にするために判例で認められたのが「共謀共同正犯」です。直接に犯罪の実行行為
をしたわけではありませんが、それに等しいということでしょう。
つまり、検察審査会は、小沢氏を絶対権力者(親分)とみて、小沢氏が政治資金
収支報告書の虚偽記載に主導的に関与した疑いがあると判断したわけです。
ただし、その内容は、秘書社宅としての不動産購入が04年なのに、政治資金収
支報告書への記載が05年になっていたという期ずれの問題にすぎません。
これを意図的な虚偽で犯罪とみるのか、単なる記載間違いにすぎないとみるか、
あるいは政治団体たる陸山会の収支としては05年が正しく記載間違いでもないと
みるのかは議論のあるところですが、政治資金の収支結果を透明にする目的の政治
資金規正法(規「制」法ではありません)に、この親分・子分の共謀共同正犯概念
が登場したことに私は驚きました。審査会のメンバーには、小沢氏が大悪党でやく
ざの親分並みにみえたのでしょうか。
確かに、あの迫力は、やくざ映画では親分が似合うかもしれませんが、フリーラ
ンスの渡辺乾介著『小沢一郎嫌われる伝説』を読むと、悪党の親分に似つかわしく
ない小沢夫人ののろけが記載されています。
「メディアも世間もひどいと思いません? だってそうでしょ。私の主人の人間
性がどうの、目つきや顔つきがどうだっていうじゃありませんか。私、かわいいと
思います。笑うととってもかわいいんですから、そう思いません? かわいいんで
すもの」。結婚記念日には何があっても早く帰る愛妻家だそうです。
2010.04.30(金)【資本取引と損益取引】(東京・金子登志雄)
明日から連休ですから、今日はちょっとむずかしい話です。
ときどき、「資本取引と損益取引」の定義につき、資本金や資本剰余を増減させ
るのが前者で、後者は利益剰余金を増減させるものだなど説明されていますが、こ
の定義は間違いだと思っています。吸収合併で利益剰余金が増減することもありま
が、まさか、この合併取引を損益取引とはいわないでしょう。
私は、両者の区別を損益計算書を通じた取引かどうかにおいています。わかりや
すくいえば、直接に貸借対照表(の株主資本)に変化を生じさせるのが資本取引で
あり、株主資本を元手に営業活動によって利益を得ようとする取引が損益取引です。
両者の接点は、原則として決算期末にしかありません。損益計算書の当期純利益
(又は当期純損失)が貸借対照表の株主資本の「その他利益剰余金」に組み込まれ
るからです。
したがって、3月決算の会社が4月から9月までに1億円の利益を上げたとして
も、この利益は「期間の利益」(会社法461条2項2号イ)に過ぎず、確定した
ものではなく、貸借対照表に計上されていませんから、純資産の部の内部での勘定
科目の振替えである「利益の資本組入れ」はできません。
ところが、この会社が10月1日に合併消滅して貸借対照表を合算する会社計算
規則36条の合併を行うと、この1億円の利益も合併会社の「その他利益剰余金」
に組み込まれ(会社法446条7号、計算規則150条1項5号)、その後であれ
ば、「利益の資本組入れ」が可能になります。
ただし、同じ合併でも、親会社が子会社を吸収合併したときに生じる抱き合わせ
株式消滅益は、合併会社の損益計算書の特別利益とされ、合併会社の株主資本変動
要因とされていませんので、この利益は資本組入れの対象にできません。
2010.04.28(水)【起訴相当と歴史の評価】(東京・金子登志雄)
小沢氏の陸山会問題につき、検察審査会は11人全員一致で「起訴相当」の判
断を下しました。これには実に驚きました。私が法律家のはしくれで、市民感覚
とずれているのでしょうか。非法律家の方の感想はいかがでしょうか。
事前予想では、世論調査の6割が小沢幹事長は辞めるべしという意見だったた
め、6:5か7:4の過半数で「不起訴不当」になる可能性もあるが、警察が被
疑者だった明石歩道橋事件などと相違し、今回は、検察としては起訴したいけど
嫌疑不十分で不起訴にしたのだから、これでは小沢嫌いでも「不起訴相当」にせ
ざるをえないだろうとの意見が多数でした。ふたを開けてみれば、全員一致で真
反対の結論です。
反小沢のマスコミには、予想以上の歓迎すべき結論でしょうが、客観的にみて、
今週の週刊朝日で、郷原元検事が「4億円不記載という政治資金規正法違反とい
うのは、そもそも刑事責任を問うような問題ではない」と述べていますし、この
事件を小沢氏を狙い撃ちした権力闘争と捉える見方が少なくないのに、11人の
中には1人もいなかったのでしょうか。
おそらく審査会の見解は、これだけ疑惑が報道されているのだから、白でも黒
でも、法廷で真相を解明すべきだというものでしょう。これが市民感覚のようで
すが、ことは刑事事件です。「疑わしきは裁判で」というのは近代刑事司法の大
原則に反します。有罪の確信を持ってこそ、起訴相当になるはずです。これでは、
裁判員制度も、マスコミの影響下に置かれた人民裁判になってしまいます。
残念ながら、日本社会では、推定無罪は無視され、「起訴=極悪人扱い」です。
数年後に裁判で無罪になっても遅いのです。小沢=有罪の前提で、7月の参議院
選挙への影響も少なくないでしょう。いわゆる甲山(かぶとやま)事件では、不
起訴不当という審査会の決定に対して、裁判所では一度も有罪判決がなされず、
無罪の確定までに25年もかかりました。
有名なリクルート事件は、いまでは、朝日新聞をはじめとするマスコミの異常
な報道により、本来、事件でないものが事件にされてしまった事件として評価さ
れています。それによって生じた政治的混乱(竹下内閣総辞職、参院選で自民党
惨敗)や日本経済の損失は、はかり知れません。
このように自民党自体がマスコミに煽られた世論によって大被害を被っていま
すから、ことは小沢支持か、反小沢かの問題ではありません。こういうのを政争
の道具に使ったのが、あの社会党ですが、いまの野党は建設的野党を目指すなら、
真似をすべきではありません。
米国でもただいま常軌を逸したオバマバッシングの嵐のようですが、10年後、
20年後の歴史は、いまの世相や今回の決定に対して、どういう評価をするので
しょうか。
2010.04.27(火)【安全地帯からの批判】(東京・金子登志雄)
民主党の小沢幹事長は決して人の悪口もいわない人として有名ですが(家訓だそ
うです)、私は、人の悪口は大好きです。ストレス発散になりますし、私の健康法
の1つです。ちょうど、サラリーマンが飲み会で上役の悪口で盛り上がるのと同じ
ようなものです。
しかし、「責任ある立場の人」を悪くいうことだけは意識的に控えています。こ
れは、主にM&A業務を通じて、経営トップという立場がいかに辛いものかを目の
当たりにしてきた経験からです。
経営トップというものは、われわれ「外野席の人間」と相違し、大量の情報をも
とにして経営判断し、その判断を誤れば責任をとらねばなりません。オーナーであ
れば、個人保証のため自宅まで失いかねない立場です。そういう責任をかけたぎり
ぎりの決断に対して、外野席の無責任な立場から、あれこれ論評することは失礼だ
と思っています。
同様に、政党のトップである鳩山首相批判や谷垣総裁批判も私は好きではありま
せん。きっと、自分も同じ立場に立ち、同じだけの情報をもとにしたら、同じ判断
をするのではないかという気がするからです。
で、私の悪口の矛先は、誤った報道をしても全く責任を取らないマスコミや、安
全地帯の外野席で勝手に吠えている無責任な人達に向かいます。
不思議なことに、こういう人達に限って、マスコミ人気が高く、テレビへの露出
も多いのです。誰とはいいませんが、すぐに政治家や評論家、コメンテーターの名
前がいくつか出てきませんか。
しかし、あのマスコミ人気の高い野党の政治家M氏は外野席から少数政党のトッ
プになったので、今後は批判を避けようと思っています。たぶん、今後は選挙や政
党維持のおカネで相当苦労するでしょうから………。
何はともあれ、われわれ庶民はボールの飛んでこない安全地帯で憂さを晴らすし
か術(すべ)はありませんが、せめて「責任ある立場の人」の苦労には思いを致し
たいたいものです。
2010.04.26(月)【事業承継の視点】(岡山・山本直樹)
書店に行くと数多くの「事業承継」に関する書籍があります。その多くは、現経
営者から見た法務・税務を取り扱った内容になっています。
先日知人の紹介であるセミナーを受講しました。
講師は、父親からホテルの経営を20代で承継し、倒産させた人でした。後継者
候補者でいた頃は、経営者にもなりきれないし社員にもなりきれない漠然とした不
安をかかえ受身の状態だったそうです。
実際に会社を継いでからすべての問題に直面しました。そして会社は倒産しまし
た。
考えてみると、よくある事業承継のケースだと思います。何がいけなかったので
しょうか?
それは、事業承継を「後継者の視点から見る」という視点が欠けていたことです。
事業承継のキーパーソンは、経営者ではなく後継者であり、経営者はそれを支援す
る関係であることをよく認識し、ボタンの掛け違いを防ぐことが大切なようです。
「事業承継」とは、
「後継者が価値を生み出すために価値あるものを受け取る超友好的な乗っ取りであ
る。」
(出典 後継者の軍師http://www.k-gunshi.co.jp/)
会社を継がせる人、会社を継ぐ人によく考えてもらいたい視点でした。
2010.04.23(金)【期限付解散】(東京・金子登志雄)
古い登記先例によりますと、株主総会で会社の解散を決議し3日後に解散する
のはOKとか、1週間後ならOKとあり、10日後や1か月後あるいは3か月後
はどうなのかについてはふれていません。あたかも不可のニュアンスです。
この先例は、解散事由に「定款で定めた存続期間の満了」というものがあるの
で、株主総会決議より数か月先の解散なら、それによるべきだとの学者の見解の
影響を受けたものです。
しかし、基準がさっぱりわかりません。1か月後がだめなら、29日まではよ
いのでしょうか。
また、合併解散なら、6月の定時株主総会で決議し、翌年の4月1日付解散と
いうことも可能なのに、通常解散だけは、そのような間を空けてはいけない理由
が不明です。「期限付」ではなく「条件付」なら、よいのでしょうか。
こんなことを疑問に思っていたため、「登記情報」570号(昨年5月号)で、
3か月先でも問題はないかという質問に対し、「問題はない(ただし、担当法務
局と相談し実行してほしい)」と「商業・法人登記Q&A」で答えました。
今般、1か月半先の解散の登記を申請しましたところ、やはり、この点が問題
になりましたが、「登記情報」の見解を示し、受理していただきました。
その間に官報をみましたら、この程度の期限付解散事例は、大量にありました。
とくに、4月1日版官報の号外に大量に掲載されていますので、同じ目に遭遇し
がちの司法書士は、インターネット版官報を閲覧し、必要なものを保存しておく
とよいでしょう(5月になると閲覧できません)。法務局への説得資料に使えま
す。
また、インターネットで検索すると、上場会社が子会社を解散する場合には、
3か月以上前に子会社の解散を親会社で決定し、情報開示し、子会社の総会を解
散日直近にしているだけでした。
やはり、解散には数か月の猶予期間が必要であり、上記の先例や考え方は実態
に全くマッチしていません。株主総会日から次の定時株主総会までの間なら(最
長1年)、何の問題もないというべきです。
2010.04.22(木)【経由申請と完了通知】(東京・金子登志雄)
一昨日の富田さんの事例が次で、昨日の根来川さんのいうオンライン申請だった
とします。
3月 1日、甲法務局に@A社の登記、AB社の登記を申請
3月12日、審査が終了し、@の登記完了、Aを乙法務局に送付
3月16日、Aが乙法務局に到着
3月19日、Aの登記が完了(謄本がとれるという意味)
この3月12日には、申請代理人のわれわれに@とA両方の完了通知が来ます。
そこで、「やっと終わったか」と思い、12日(金)又は15日(月)にA社と
B社の登記簿謄本を請求しますと、取得できたB社の登記簿謄本には、予定した登
記がなされていないことになります。
これで失敗した人も少なくないようです。とくに合併では、B社の解散謄本のは
ずが、まだ生きている謄本になってしまいます。
@とA両方の完了通知とは、甲法務局での完了を意味し、乙法務局の完了の意味
を含んでいないのです。乙法務局へは直接の申請はしていないので、乙法務局から
完了通知はきません。
コンピュータシステム上のこととはいえ、実に紛らわしいのですが、1度失敗す
れば、すぐに覚えます。
なお、本支店一括申請の場合も、「全部」につき完了登記が来ますが、支店での
登記はその日には終わっていません。
2010.04.21(水)【オンライン申請】(島根・根来川弘充)
今、登記は、インターネットによる申請、いわゆるオンライン申請(電子申請)
が可能になっています。
登記には、不動産登記と商業登記の二種類がありますが、不動産登記は、オンラ
イン申請が原則で、書面申請が例外的な扱いとなっているのに対して、商業登記は、
書面申請が原則で、オンライン申請が特例扱いとなっています。両者に違いはある
ものの、今現在は、どちらも書面で申請されていることが多いのではないかと思い
ます。
近々、私が住む島根県では商業登記の窓口が一か所になることが決まりました。
なぜ、商業登記ばかりがそうなるのかという点については、おそらく不動産登記に
比べて、申請件数の絶対数が少ないためと思われます。
このため、商業登記の申請ができなくなる法務局を管轄とする司法書士は、交通
費をかけて窓口申請をするか、電子申請をするか、郵送申請をするか、あるいは管
轄法務局の司法書士に復代理を委任して申請をするか、いずれかの選択を迫られる
ことになります。
このようにデメリットばかり増えるのですから、商業登記の窓口がなくなった司
法書士は、依頼を受ける事件の数が少なくなると危惧する方もおられます。
しかし、商業登記については、司法書士に頼らず本人で申請されている方も多い
です。
ですので、本人で申請している方の場合は、我々専門家以上に不便になったと実
感されると思います。
でも逆にいえば、本人が頼るところが減るのですから、ますます司法書士のニー
ズが高まるのではないかと期待するところもあります。
申請受付場所の減少は、いずれにしても結局はユーザーに負担を求めることにな
り、あまり喜べる状況ではありませんが、この逆境を機会として、企業にとって司
法書士の必要性が高まると良いと思います。
2010.04.20(火)【2週間以内の登記】(東京・富田太郎)
先日、金子先生が2週間以内の登記について書かれておられましたが、私は「あ
る事案」で、顧客にクレームを受けたことがあります。
事案は、某上場を目指す企業の株式交換でした。担当者からは、「必ず、法で定
められた2週間内に登記申請をして欲しい」といわれていました。
勿論、効力発生日の3月1日に申請♪
【事案】
株式交換完全親会社 A社(管轄 甲法務局)
株式交換完全子会社 B社(管轄 乙法務局)
通常、株式交換に関する変更登記は、B社においては、株主が変わるだけなので、
登記事項に変更はないのですが、今回はB社の新株予約権に代え、A社の新株予約
権を交付するため、B社においては、既存の新株予約権の消滅登記を申請しなけれ
ばなりませんでした。
【登記申請】
@A社の株式交換による変更登記
AB社の(株式交換による)「新株予約権の消滅登記」
この2つの登記は、甲法務局に申請し、審査が終わった後、AのB社「新株予約
権の消滅登記の申請」は、乙法務局に転送されます(経由申請)。
また、このB社の(登記簿上の)登記の日は、乙法務局に届いた日です。
実は、今回の登記,記載内容が膨大であったため、登記申請内容には問題がなか
ったものの、甲法務局内での記入に時間がかかり、Aの登記が乙法務局に届いた日
は、3月16日でした。
そうです。B社の登記簿には、「3月16日登記」と記載されたのです………。
完了後のB社登記簿を見た、A社、B社の法務部は大騒ぎ!
「先生!! あれだけ2週間内に登記申請してくれと言ったのに(怒、怒)!」
勿論、司法書士ならば、たとえ、経験皆無の新人司法書士であろうと、「経由申
請のため、登記期間に問題はない。」と誰でも分かる事案です。
(経由申請のため、登記簿の登記日の記載が3月16日であろうと、申請したのは
3月1日。よって、勿論、登記懈怠ではない。)
しかし、登記手続のプロではない当事者にとっては、当然、驚くべきことであっ
たのかもしれません(その後、両社に、経由申請について説明し、事なきを得まし
たが………。)
ところで、この登記期間の2週間以内。
最近、これには無理があるのではと思っています。小さな同族会社の書類ならい
ざ知らず、上場会社やその100%子会社など、取締役が多忙で、議事録捺印に時
間がかかったりします。
以前、取締役会をTV会議システムで行ったのはよいのですが、取締役が、日本、
アメリカ、カナダにおり、取締役会議事録の捺印に時間がかかったことがあります。
登記申請の内容により登録免許税は異なります。また、役員変更登記も、会社の
資本金の規模により異なります。なのに、登記期間は同じって………(涙)。
やはり、登記期間も会社の規模・案件の内容によって定めていただきたいもので
す。
2010.04.19(月)【書面により反対】(東京・金子登志雄)
4月1日の合併等では電子公告をした会社も多いことと存じますが、その簡易合
併公告では、決まり文句のように、下記のように記載されています。
記
1.本合併に対し反対の株主は、会社法第796条第4項に基づき、本公告掲載の
日から2週間以内に【書面により】、その旨をご通知下さい。
2.株式買取請求権を行使される株主は、会社法第797条第1項に基づき、合併
の効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、【書面により】、
株式買取請求権を行使する旨及び株式買取請求に係る株式の数をご通知下さい。
3.本合併に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から1箇月以内にお申し
出下さい。
これをみて、若手の優秀な司法書士から問い合わせがありました。
「会社法の条文を何度も検討しましたけど、会社法第796条第4項にも、会社
法第797条第1項にも【書面により】とありません。なぜ、上記の3には書面と
ないのに、1と2には書面とあるのでしょうか。会社法に反しませんか」。
この問いに答えられる司法書士は何人いるでしょうか。
簡易合併が認められた平成9年商法改正以後の新聞公告の主要は下記でした。
記
1.この合併は商法第408条第1項に定める株主総会の承認を得ずに行いますの
で、この合併に反対の株主は、本公告掲載の翌日から平成〇年○月○日までに書
面によりその旨をお申し出ください.
2.この合併に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から平成○年○月〇日
までにその旨をお申し出ください、、
もう、おわかりでしょう。商法では、簡易合併への反対も、反対株主の買取請求
も「書面を以て」と規定されていたため、その名残りです。債権者の異議について
は、商法時代から、そのような規定はありません。
会社法では書面に限定していないのに、「書面にて」というのはおかしいではな
いかと思う方もおられるでしょうが、これは「お願い」と考えれば問題ありません。
2010.04.16(金)【『会社法務書式集』出版】(東京・金子登志雄)
そろそろ大手書店にも並び始める頃でしょうか(ネットのアマゾンや楽天には
登場したようです)、中央経済社から、『会社法務書式集』を出しました。
http://shop2.genesis-ec.com/search/item.asp?shopcd=17262&item=978-4-502-99260-5
これは、司法書士や税理士に好評の下記のリーガル書式集CD版所蔵の書式の
うち厳選した247書式につき、解説を加えたものです。
http://www.legal.co.jp/products/syosikisyuu/kaisyahou.htm
http://www.legal.co.jp/products/syosikisyuu/kaisyahou2.htm
単なる議事録類や合併契約書書式などにとどまらず、定時株主総会招集通知や
議決権行使の委任状見本まであり、実務に非常に役立ちます。
お客様から、「あれはないか」と聞かれれば、該当頁をファックスすればよい
ので、サムライ業にとっては、この上なく便利なものでしょう。CD版と相違し、
4200円で済みますので、ぜひご利用ください。
しかし、あんまり売れてほしくないなぁ。これで私の仕事がまた減りそうです。
最近、よくいわれます。「全く経験がなかったのですが、先生の『親子兄弟会社
の組織再編の実務』などを利用したところ、誰に相談することもなく1人で合併
を無事完了することができました。ありがとうございました」と。
「名を売って収入を減らす」、これも天国へ行くための修行の1つです。
2010.04.15(木)【虎の威を借る狐】(東京・金子登志雄)
人を脅迫するとき、「オレのバックには、〇〇組がいる」と匂わす輩がいます
が、最近、腹の立つのが、「世論調査によれば」というマスコミ論調です。いか
にも、「オレのバックには、国民世論がある」といっているようなものです。
余計な枕詞を使わずに「当新聞は、これこれしかじかの理由で、鳩山内閣の政
策に反対する」あるいは「谷垣自民党はここがいけない」などと主張すればよい
のに、「世論調査によれば」と、世論のせいにして、政党批判をするのです。ま
るで、「みんなそういっているよ」という子供の論理ではないでしょうか。
そもそも、頻繁に行われる世論調査はあてになるのでしょうか。たとえば、首
相にしたい候補として、舛添氏が圧倒的1位という調査結果は、ほんとなんでし
ょうか。私の周りには、パフォーマンスの舛添氏よりも誠実さが感じられる谷垣
氏支持のほうが多いように感じますが、皆さんの周囲では、いかがですか。
世論調査の方法についても、「鳩山内閣は政治とカネや普天間問題で迷走して
いるとの批判もありますが、あなたは鳩山内閣を支持しますか」あるいは「自民
党の役割はもう終わったとの意見もありますが、あなたは谷垣自民党を支持しま
すか」などと聞かれて、「はい、私は支持します」と答えるわけがありません。
どの党を支持するかどうかに関わらず、世論の御旗のもとに、政治不信の風潮
を煽る日本のマスコミのレベルの低さに、ほとほと情けなくなります。
なお、この人(↓)は、私より過激でした。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/02/post_209.html
2010.04.14(木)【事後設立】(東京・金子登志雄)
株式会社Aが現金で株式会社Bを設立しました。Bの設立後2年以内に、AがB
に事業の一部を譲渡しました。これを事後設立といいます。事業の一部でなく、財
産の一部の場合にも事後設立といいます。
商法時代は、設立における、いわゆる財産引受の脱法行為になりかねないという
理由で、株主総会の特別決議と財産評価につき裁判所の選任する検査役の調査が必
要だとされていましたが、会社法になり規制が緩和され、株主総会の特別決議だけ
でよくなりました(会社法467条1項5号)。
とすると、B社では株主総会の特別決議だけでよさそうに思いますが、立法担当
者による『論点解説/新・会社法』(いわゆる「千問」)659頁によりますと、
それさえも不要だとされています。
理由として、親子間の事業譲渡だから、略式手続が可能だというものです。略式
手続とは、親子間の合併等において、子会社での株主総会を省略できる制度です。
開催しても親会社の議決権行使で可決するのは目にみえているためです。
これは間違いではないかと、会社法に強い弁護士さんから質問されましたが、私
も間違いだと思います。
第1に、千問が根拠とする会社法468条1項は、条文から明らかなとおり、事
後設立の467条1項5号に適用されません。いいかえれば、「事業の譲渡等」と
は、467条1項1号から4号までであり、5号を含みません。これは468条1
項本文カッコ書からも明らかです。
第2に、子会社での株主総会を省略できる略式手続は、事業譲渡と組織再編に限
定され、事後設立を含みません。もし、含むなら、事後設立にも、反対株主の買取
請求権を認めねば不公平です。
第3に、事業の一部譲受けは、全部譲受けと相違し、「事業の譲渡等」に含まれ
ていません。したがって、本来は、Bの株主総会の決議が不要であり、事後設立の
場合のみ株主総会の特別決議が必要とされています。
と、ここまで書いて、「千問」の最新の増刷版では、会社法319条を根拠に総
会不要に訂正されていることを知らされました。無駄な内容になりましたが、訂正
前の千問をお持ちの方が圧倒的多数と思い、このまま掲載しておきます。
2010.04.13(火)【2週間以内の登記】(東京・金子登志雄)
お客様から、よく「いつまでに登記しなければならないのか」と質問されます。
たとえば、「4月1日付で役員に変更があったのに、書類の準備が遅れている。
いつまでに登記しなければならないのか」といった内容です。
こういう質問を受けたとき、司法書士の深層の意識は、「少しくらい遅れても、
どうってことないですよ。1、2カ月遅れの登記はざらです」というものですが、
これは違法なので、「一応、2週間以内とされています」と建前で答えることに
しています(会社法915条1項など)。
登記簿にも、
平成22年 4月 1日変更
平成22年 4月●●日登記
などと記載されますので、2週間以内に登記していないことがばれてしまいま
す。
ところが、担当法務局の管轄外への本店移転では、2週間以内に登記したかど
うかが登記簿からみえません(管轄外の合併による「解散」なども同じです)。
東京のA社が4月1日に大阪に本店移転し、東京法務局に4月14日(2週間
以内)に登記申請したところ、21日に審査が終わり、大阪法務局に書類が転送
され、大阪法務局に23日に到着し、大阪での審査が27日に終わり、その旨の
通知が東京法務局に28日に到着したとします。
大阪に移転したA社の大阪の登記簿には「平成22年4月1日東京都………か
ら本店移転/平成22年4月【23】日登記」、A社の東京の登記簿には「平成
22年4月1日大阪府………に本店移転/平成22年4月【28】日登記/平成
22年4月【28】日閉鎖」と記載されます。
東京法務局に4月14日に登記申請したのに、登記の日が28日とされてしま
うわけです。もちろん、法務局の受付簿では、2週間以内に登記したことが判明
しますが、登記簿からはみえません。
大きな声ではいえませんが、コンプライアンス重視の上場会社でも、少しくら
い遅れて本店移転登記しても、大丈夫かな? もっとも、上場会社の本店移転の
多くが管轄法務局管内での移転です。
2010.04.12(月)【たちあがれ日本】(東京・金子登志雄)
こんな文字を目にしたとき、これを政党名と思った人がいるでしょうか。石原
都知事がバックの平沼・与謝野新党だと聞いてびっくりしました。必ず、「党」
という用語をどこかで使うものかと思い込んでいましたから………。
調べましたら、「改革クラブ」も政党でありながら、「党」を使っていません。
古くは、青島幸男氏の「二院クラブ」や徳田虎雄氏の「自由連合」もありました。
これらは、何となく政党らしい名称のため違和感がなかったのでしょうが、「た
ちあがれ日本」では、標語のようで、組織というイメージさえもありません。
やはり、「新党たちあがれ日本」などと、「党」の字を入れればよかったのに
と思うと同時に、自由民主党を自民というように、略称はどうするのでしょうか。
「たち本」では、書店の人にハタキで追いかけられそうです。
私だったら、「日本再生党」とか漢字を使うところですが、「みんなの党」を
意識し、ひらがな名にこだわったようです。
ネーミングだけでなく、メンバーが老人ばかりで新鮮味がないと批判されてい
る点については、私も老人の1人として、反論したくなります。私自身、40代
や50代の鼻たれ小僧の頃よりも、60代のいまのほうが判断力も仕事の能力も
上回っています。体力も減退した自覚はありませんし(昔からなかったから)、
ウエスト周りなどは周囲の人が感心するくらい、飛躍的に成長しています。
この際、当ESGも、明日から「たちあがれ司法書士」、略称「TSG」に変
更しましょうか。メンバーの鼻たれ小僧どもが反対するかもしれませんが。
念のため、ESGとは、表向きは、「エキスパート司法書士グループ」の意味
ですが、Eは、エキサイティングや、エンタープライズ(企業法務の企業)など、
いろいろな意味を込めています。
2010.04.09(金)【種類株式は設置か変更か】(東京・金子登志雄)
先日質問を受けた会社の商業登記簿謄本には、会社法107条の取得請求権付株
式につき、「発行する株式の内容」に内容とともに「年月日【設定】」と記載され
ていました。
法務省の登記記録例によりますと、「年月日【変更】」です。新たに種類株式発
行会社になり、会社法108条による純粋の種類株式を「発行可能種類株式総数及
び発行する各種類の株式の内容」に登記する場合も「年月日設定」ではなく「年月
日変更」になっています。
私も「設定」ではなく「変更」が正しいと思っています。なぜなら、すでに株式
を発行済みであり、それの内容を変更したり、今後発行する株式につき、株式の内
容を「追加変更」するだけだからです。
後者の1種類の株式を2種類にするときは、旧内容に新規内容を追加設定したと
いう側面はありますが、「発行する株式の内容」の内訳を1種類から2種類に変更
しただけで、既存の「発行する株式の内容」に、新規の「発行する株式の内容」を
追加設定し、「発行する株式の内容」を2つにしたわけではありません。
ところが、非譲渡制限の既存株式に譲渡制限の内容を加えると「株式の譲渡制限
に関する規定」という登記項目には「年月日設定」となります。
正しい意味では、「発行する株式の内容」の変更ですから、「年月日変更」とす
べきですが、譲渡制限株式は旧商法時代には種類株式とされていませんでした。ま
た、登記簿の項目が「株式の譲渡制限に関する【規定】」となっているため、「年
月日【設定】」のほうが語呂が合います。
登記記録も歴史上の産物ですから、これは妥協するしかないでしょう。
取締役会は「設置」で、「設定」はダメなのでしょうか。なぜ、取締役の死亡や
辞任を「年月日退任」でダメなのか、まぁ、いろいろあります。世の中、理屈どお
りには行かないものです。
2010.04.08(木)【法務局職員と司法書士】(東京・金子登志雄)
4月になり法務局でも人事異動があったと思いますが、いつも法務局職員総体の
優秀さに驚かされます。
司法書士は難関な国家試験を突破してきたのに、こと登記実務になると、法務局
職員のほうが詳しいことが少なくないのです。
原因はやはり実務経験(分量)の差でしょうか。
法務局職員は商業登記の調査の部署に配属になると、毎日、何件も同じような申
請をチェックし、わからなければ先輩や本局に問い合わせるなどして、1日8時間
も商業登記三昧の生活を送ります。
その多くが役員変更や商号等の変更、本店移転、設立などでしょうから、毎日、
基本動作を繰り返すため、自然に体で覚えます。
かたや、司法書士は、案件を受託したら、のんびり書式集でも見ながら、申請書
等を作成し、申請すれば、それで終わったという意識になり、体で覚えるほどには
なりません。
したがって、文書(メール含む)による相談ならともかく、電話による登記相談
などでは、司法書士よりも法務局職員のほうが正しい回答を出せるのではないかと
想像しています。なにせ、彼らは、登記簿という将棋盤が頭に入っているため、あ
の部分をこうして、別の部分をこうすれば王手だと読めるからです。
ただし、司法書士も経験を積めば、将棋盤が頭に入りますし、数年で部署が変わ
る法務局職員よりは分量の点でも実務経験が多くなります。電話相談でも、即断即
決が可能になります。
ベテランの私はこの域に達していると自負していますが、司法書士のあなたは大
丈夫ですか。
2010.04.07(水)【株主総会は開かなければならない?】(愛知・和出吉央)
表題の答えとして、もちろん、「開かなければいけない」です(以下、話を簡
略化するため、いわゆる書面決議の話は度外視します)。
といっても、実際には、未上場中小企業では株主総会を開催していない会社は
たくさんありますし、形式上開催しているものの、法的手続き踏んでいない会社
もたくさんあります。
このような会社は、家族経営であったり、経営が順調であったり、株主間の関
係が良好であったり・・・ということで、実際には株主総会の不開催や手続不備
を問題視する者がいないので、法律違反が浮き彫りになりません。
しかし、一度経営が傾いたり、株主間の関係が不仲になったりした場合は、深
刻な法的紛争を生じさせる危険があります。
例えば、議決権70%保有のA(代表取締役)と、30%保有のB(取締役)
とが不仲となり、株主総会でBが取締役を解任されたとしましょう。このとき、
BがAに対して反撃する材料として、それまでの株主総会の不開催や手続不備を
とりあげ、裁判沙汰にするということがよくあります。
このような場合、Bの狙いは、実は裁判で勝つことではなく、Aを面倒な裁判
に巻き込むことによって、Aから譲歩を引き出し、『Bにとって有利な解決』を
はかることにあります。
具体的には、Bは、解決(和解)の条件として、Aもしくは会社に対し、保有
株式を高額で買い取ることを要求するのです。訴えられたAもしくは会社として
は、法的に対抗する手段がまったくありませんので、Bの要求を泣く泣く受け入
れざるを得ないということになります。
優良な企業であればあるほど、(知らぬ間に)株式の価値は高額となっていま
すので、今回のような30%の買い取りとなれば、会社のキャッシュフローに大
きな影響を来たすのは必須でしょう(ただし、場合によっては会社法461条の
財源規制の問題はあります)。
実際に私は以前、「設立から現在まで(約10年)の役員報酬決定の株主総会
決議不存在確認の訴え」を起こされた会社からご相談を受けました。
弁護士さんを紹介し、何とか、最終的には和解となりましたが、これまでの約
10年間で内部留保がかなり積みあがっていたのに、一度も配当を行ってこなか
ったこともあり、当初の予想を遥かに上回る値段での株式買取りという結末とな
りました。
今は良くても将来のことは誰も分かりません。法律はきっちり守って株主総会
を開催しましょう。
2010.04.06(火)【馬糞の川流れ】(東京・金子登志雄)
品のない表現ですが、“まぐそ”の川流れという言葉をご存知でしょうか。永
田町用語で、求心力を欠き、散り散りばらばらになることです。いまは、権力と
いう求心力がなくなった自民党を指す用語として使われることが多いようです。
半永久政権と思われていた自民党も、奢(おご)れるもの久しからずの「盛者
必衰の理」に逆らうことができなかったのか、政権陥落後、離党者が続出してい
ます。「腐っても鯛」の踏ん張りくらいはみせていただきたいものです。
もっとも、民主党の鳩山、小沢、岡田氏らも、もともとは自民党の旧田中派出
身ですから、親米一辺倒の清和会(旧福田派)支配の自民党から政治改革を目指
して飛び出した独立派(アジア重視派)の経世会(旧田中派)の一部が民主党の
看板で盛り返し、逆転したともいえそうです。鳩山首相が普天間問題で米国の恫
喝に屈せず、素直にシッポを振らないのも、この流れで捉えられます。
政界の一寸先は闇といわれていますから、7月の参議院選挙はどうなるかわか
りませんが、盛んに既得権力の大手マスコミが民主党へのネガティブキャンペー
ンをしている割には、野党勢力が弱体化していますし、農協や医師会等の業界団
体が与党になびいていますので、いまのところは組織票で与党有利な結果に終わ
るだろうというのがプロの見立てのようです。
選挙というのは一種のお祭りですから、大手マスコミもスキャンダルと人間関
係ばかりに焦点をあてて、各党の内紛を煽り、政治不信を醸成するようなことを
やめて、国民全員がお祭りに積極的に参加できるよう、煽ってほしいものです。
2010.04.05(月)【独占の禁止】(東京・金子登志雄)
4月1日は久々に独占禁止法の届出が必要な合併登記を申請しました。グルー
プ内の合併ではないという意味です。
この場合は、登記の事由に「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第15条第2項の規定による届出は、平成22年〇月〇〇日受理された」と記載
します。根拠は、商業登記規則の110条です。
さて、「情報」に価値のある現代社会では、「情報の独占」にも多くの関心を
示す必要が生じています。
日本社会では、「記者クラブ」制度というものがどこにもあり(東証の兜倶楽
部が有名)、大手マスコミだけが加入でき、週刊誌やフリーのジャーナリスト、
外国メディアの記者は、記者会見にも出席できません。言い換えれば、大手マス
コミが1次情報を独占し、世論のリーダーシップをとっているわけです。そこに
権力とマスコミの癒着が生じ、権力はマスコミを利用しようとし、マスコミはそ
の見返り(特ダネなど)を求めます。情報のリークもその1つです。
それだけでなく、新聞社がテレビ局をも保有できるクロスオーナーシップ制度
が認められていますから、われわれ国民は、新聞とテレビで同一見解、同一情報
を垂れ流されているわけです。
これは非常に危険であり、情報の公正取引に反し、世論操作さえ可能になりま
す。民主党の支持率低下も、大手マスコミが一斉に「政治とカネ」ばかりを問題
にし民主党をバッシングしていることが大きな原因だといえましょう。もちろん、
社の方針でしょうが、個々の記者が「政治情報=政権党内の人間関係」と捉える
55年体制から抜け切れていないところもありそうです。
3月26日、とうとう鳩山首相の記者会見がオープン化され、「記者クラブ」
独占に風穴があきました。ここに至るのに、半年もかかりました。
http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/201003/26kaiken.html
これは、歴史に残る実に画期的なことでしたが、抵抗勢力の大手マスコミは、
面白くないのか、小さな記事しか掲載しないか、Y新聞のように無視に徹したと
ころもありました(全部、ネット情報でばらされています)。
早く全省庁(検察や警察も)で情報のオープン化がなされれば、われわれ国民
も、大手マスコミを通じた「情報操作」の対象ではなく、主権者国民として積極
的な意志形成ができますので、今後も「情報の独占禁止」をしっかりと見張って
いきたいものです。
2010.04.02(金)【原本還付窓口の独占】(東京・金子登志雄)
4月になり、東京では桜も満開に近く、いかにも春という気候になりましたが、
昨1日は、商業登記の書き入れ時であり、久々に法務局に行列のできる日でした。
東京法務局でも、原本還付専用の窓口が作られていました。
原本還付とは、登記の添付書面である議事録や合併契約書などの原本を示して、
コピーを提出して、原本を回収する手続です。合併等の申請では、添付書面が多い
ため、ちょっとした時間が必要です。
私も東京法務局管轄の合併が1件ありましたので、その手続を30秒程度で終わ
らせ、登記申請窓口にコピーを提出してまいりましたが、私の後続には、何と1人
で原本還付窓口を独占している事務所がありました。10件以上の申請をどさっと
出したためです。床に置かれたカバンには、溢れるほど大量の原本還付用の書類が
詰め込まれていました。
思わず、みとれてしまい、数分間、見学させてもらいました。「書き入れ時だと
しても、1日に10件以上も申請するほど流行っているとはすごいなぁ。どこの事
務所だろうか」という興味です。少なくとも、あの富田事務所でも、大手の鈴木事
務所(ESGの会友参照)でもないことだけは確かでした。
残念ながら、事務所名はわかりませんでしたが、事務所の知名度と流行っている
(稼いでいる)かどうかとは全く別問題であることが、ここでもわかります。
知名度はなくてもよいから、私も、次の書き入れ時期の10月1日には、原本還
付窓口を独占してみたいものです。
2010.04.01(木)【合併公告の今昔】(東京・金子登志雄)
きのうは、野暮用があって、何年ぶりかに公告屋(東京官報販売所)さんを訪
ね、いろいろ昔話をしてまいりました。
たとえば、100%親子会社の合併でいうと、昭和59年から平成9年までは、
次のようにしていました。
【合併並びに資本減少公告】
平成○年〇月○日開催の臨時株主総会において、左記会社は合併して甲は乙の
権利義務一切を承継して存続し乙は解散すること、また、甲は乙の全株式を所有
しているので、この合併にあたり乙の全株式を無償消却し、合併による新株の発
行及び甲の資本の額の増加は行わないことを決議したので、この決議に対し異議
のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
この公告内容の背景には、合併とは2つの会社が1つに統合することだから、
資本金も合算し、乙の株主も甲の株主として迎え入れなければならないのであり、
それをしたくない場合には、資本減少と株式の消却になるという極端な人格合一
説がありました。
人格合一説は当時の支配的見解でしたが、私は「甲固有の資本金が減らないの
だから減資ではない。乙株式に甲株式を割り当てないことは株式の消却ではない」
と抵抗していましたが、官報屋さんから「登記が通らなくても知りませんよ」と
いわれ、不承不承、いうとおりにしていたものでした。
もう1つ疑問だったのは、なぜ「平成○年〇月○日開催の臨時株主総会におい
て」などと記載しなければならないのか、債権者に向けた公告なのに、いつ株主
総会を開催したかなどを説明する必要はないというものでしたが、いまの会社法
は、この点に関しても、私の考え方と一致していますので、合併公告の内容に対
するストレスはなくなりました。公告漏れに対するストレスは相変わらずですが。
2010.03.31(水)【老後をどうする?】(東京・金子登志雄)
土日を利用し観光で沖縄県の石垣島に行ってきました。東京とのあまりの寒暖の
差のためか、ただいま鼻風邪気味です。
石垣島は緯度がハワイとほぼ同様のようで(沖縄本島よりも台湾に近い場所にあ
ります)、海はきれいで、人口が増加中とのことでした。もちろん、定年退職し、
石垣島に居住する人が増えたためです。隣には、西表(いりおもて)山猫で有名な
西表島があります。
私の知り合いに老後をニュージランドで生活している人がいますが、今後は、こ
ういう大橋巨泉さん的生き方がますます増えることでしょう。タイあたりもブーム
になるかもしれません。
ふりかえって、還暦を過ぎたわが身はどうすべきかを考えましたところ、私は職
人タイプですから、やはり日本で一生働き続けるのが合っているようです。幸い、
司法書士には定年がありませんから、健康でありさえすれば、仕事も可能でしょう。
ただし、こちらに仕事をする気があっても、顧客の方が、年寄りは相手にせずと、
自然に離れていく可能性が大きいため、その対策のためには、いずれは若く優秀な
イケメン司法書士と共同事務所でも構えないといけないかなとも思っています。
いや、まだ、こんなことを考えるのは早いですね。67歳で元気いっぱいの国家
公安委員長もいるくらいですから、私も、余計なことを考えずに、路上チューの相
手でも探しましょう。
2010.03.30(火)【微罪の冤罪】(東京・金子登志雄)
3月26日、17年半ぶりに足利事件の菅家利和さんの無罪が確定しました。
17年半という重たい時間ですから、気軽に「おめでとうございます」などとも
論評できません。
冤罪というと、死刑や無期懲役事件が話題になりますが、実は、重大犯罪以外
の冤罪は相当数あります。これは何かの弁護士アンケートにあったと記憶してい
ますが、典型例が微罪の痴漢でしょう。
逮捕され、拘束され、否認すればいつまでも保釈されず、とうとう、どうせ罰
金刑で済むことだからなどと自らを納得させ、妥協の結果として嘘の自白をして
しまうわけです。
自白が必要な単純な贈収賄罪もこれに近く、贈収賄の前に別件逮捕で使われる
政治資金規正法違反も同じようなところがあります。単純ミスの書き漏れも、故
意の虚偽記載にされてしまいます。どうせ執行猶予だと、自分を納得させてしま
うわけです。
おそらく、これを読んだ方は、自分の場合は最後まで戦えると思いでしょうが、
自白しないと、同僚や顧客、親兄弟・子供まで取り調べられてしまう事態に遭遇
して信念を貫けるでしょうか。きっと、「自分だけで済むのなら」と妥協してし
まうことでしょう。私が読んだ政治家関連の冤罪の本では、みなこれでした。
困ったことに冤罪を監視する任務のメディアが警察や検察以上に、「悪人」の
イメージを再生産し、事件とは無関係な眉唾のスキャンダルをも垂れ流し、法律
の処分の前に社会的制裁を加えてしまうことです。それを信じた庶民が、さらに
集団リンチに走る………、その世論の前に検察も立場上不起訴にできなくなる…
……、怖いものです。
いま問題になっている北海道の民主党小林議員にかかわる事件でも、オオム事
件で一躍有名になったジャーナリストの江川紹子さんによれば「政党支部宛の政
治献金であれば合法なのに、違法な政治家個人宛に献金すること自体が理解不能
です。金をくれると言っている人から泥棒するようなもの」と事件性に疑問を投
げかけていますが、こういう疑問はメディアには決して登場しません。
菅家さんの無罪判決を機に、少なくとも真相がはっきりするまでは、メディア
と一緒になって集団リンチすることだけは避けたいと改めて自戒した次第です。
2010.03.29(月)【決算期と役員任期】(東京・金子登志雄)
企業で最も多い3月の事業年度末が近づきました。
旧商法では「決算期」といいましたが、会社法では、「事業年度」といい、決
算期という用語を使いません。
さて、上場会社では、取締役の任期を1年とする例が多く、定款では「取締役
の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主
総会の終結の時までとする」と定めています。「就任後」ではなく「選任後」と
するのは、会社法の規律に従ったものです。
では、決算期を変更したときは、上記の取締役の任期はどうなるでしょうか。
3月決算を9月決算に変えただけなら(事業年度期間6カ月)、定款に従い、
任期は9月決算を承認又は報告する12月あたりの定時株主総会の終結までです。
当期を来年の9月30日まで(事業年度期間1年6カ月)にした場合は、どう
でしょうか。意外に知られていませんが、会社法では、事業年度の変更にあたっ
ては、会社法435条2項及び会社計算規則59条2項により、変更後の最初の
事業年度の期間は1年6カ月まで認められています。
このように決算期を変更すると「選任後1年以内に終了する事業年度のうち最
終のもの」が存在しないことになります。したがって、定款変更時に任期満了す
ると解釈されています。
そうすると、定款変更と同時に取締役を選任したら、選任と同時に任期満了し
て退任してしまうじゃないかという疑義が出るのは時間の問題でした。
これについては、もうすぐ発売されるキンザイ「登記情報」4月号で会計監査
人の任期について解説しますが、結論からいうと、最初の取締役の任期は「選任
後1年6か月以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の
終結の時まで」という定款変更があったとみるしかないでしょう。
2010.03.26(金)【大会社】(東京・金子登志雄)
資本金5億円以上の会社は大会社とされ、監査法人等の会計監査人が必須とさ
れています。
先般、3月決算の資本金5億円以上の株式会社の減資の効力が3月に発生し、
資本金が1億円になりました。
さて、この会社の会計監査人に関する次の@ABは、正しいでしょうか。
@ 会計監査人は、減資の効力発生と同時に地位を失う。
A 会計監査人の廃止の定款変更をすれば即座に廃止できる。
B 定時株主総会の終結と同時に自動的に廃止される。
いずれも正しくありません。会社法では決算期に資本金が5億円以上であれば、
大会社ですから、途中で減資しても、次の決算期の確定貸借対照表上に資本金が
5億円未満と計上されるまでは、大会社であり続けます(@とAは×です)。ま
た、大会社でなくとも、任意に会計監査人を設置できますから、定款から、会計
監査人設置会社を外さない限り、会計監査人は継続します(Bも×です)。
旧商法時代は、資本金が5億円未満になると、そのとき大会社ではなくなるが、
「その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、大会社特例
規定を適用する」などとしていましたから、Bは正解だったのですが、会社法で
は定款の効果として会計監査人が継続することになりました。
次の定時株主総会で会計監査人設置会社を廃止する定款変更が必要です。
(ご参考)
いまネットで、中央公論に掲載された「日本政治再生を巡る権力闘争の謎」
(カレル・ヴァン・ウォルフレン)が話題になっています。ヨーロッパ人からみ
た日本社会のシステムについての優れた論文です。
話題の1つとして、土日にでも、ご参照ください。
(その1)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100319-01-0501.html
(その2)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100319-02-0501.html
(その3)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100318-03-0501.html
2010.03.25(木)【既存メディアvsネット】(東京・金子登志雄)
私はみていませんが、22日のNHKで、「激震マスメディア〜テレビ・新聞の
未来〜」と題して、討論番組があったようです。ネット人口の増大で、既存メディ
アがあせりはじめたのでしょうか。テレビも見ない、新聞も読まないという人が増
えてきましたから………。
昔は、「ネット=若者」というイメージでしたが、いまや「ネット=年金世代」
というべきではないかと思うほど、老人達のネット能力が飛躍的に向上いたしまし
た。というより、ネットを利用できる世代が老人になってしまったというべきでし
ょうか。私を含む「団塊の世代」が還暦を過ぎていますから。
この世代は、子供の頃にテレビを知り、学生時代から新聞を熱心に購読していた
ため、テレビ情報、新聞情報、ネット情報を十分に比較できます。
即時性ならテレビよりもネットですし、多種多様な意見を知ろうにも、既存メデ
ィアの情報は、一色の色付きですから、参考になりません。ニュースも、情報源に
よる昔の「大本営発表」に近いところがあります。
これに対して、ネット情報も色付きですが、赤、青、緑………とさまざまな色が
あり、比較対象できる点で、知的好奇心を満足させてくれます。1つのニュースも、
あらゆる角度から検討できます。
一例をあげれば、既存メディアでは、鳩山首相は普天間問題に優柔不断とされて
いますが、アメリカに対する「のらりくらり」の戦略であり、決してアメリカの恫
喝に屈しない胆力のある人とのプロの評価もネットには登場します。大阪地裁で行
われている郵便不正事件は、ほぼ冤罪であることが、既存メディアに登場するかな
り前から詳細なネット情報で発信されていました。
ネット検索とメールしかできない私ですが、ネットを馬鹿にすると、情報格差が
ますます広がる感じで、暇さえあればパソコンの前に座っています。会社法の解釈
に関する質問情報などが、ネットにめっきり減ったことは、やや退屈ですが………。
2010.03.24(水)【理系頭脳と東大頭脳】(東京・金子登志雄)
テレビによく登場する元検事の郷原信郎(のぶお)弁護士の著作を読み始めま
したら、東大の理学部出身であることを知り、驚きました。三井鉱山出身で退職
して2年程度で司法試験に合格してしまったようです。
会社法制定に深く関わった郡谷大輔弁護士は東大工学部出身で通産省に入省し、
法務省に出向中に働きながら司法試験に合格しています。
やはり、理系の頭脳は法律の学習に合っているのでしょう。法律の論理は、数
学の解法に似た部分があります。
私も、どちらかといえば、理系の頭なので、法律が好きですが、司法試験は残
念ながら論文で何度も落とされました。これは理系頭の問題ではなく、東大頭と
私大頭の相違だと思っています。
なぜ、東大出身者が司法試験に合格しやすいかというと、どんな論文問題を出
されても、分からないなりに、落とされないように、うまく解答する能力がある
ことだと私は思っています。
典型的な私大頭の私は、問題の意味が分からない場合には、「時間がない、え
ーい、きっとこういう出題意図だろう、いけー!」と解答してしまうため、うま
く当たればホームランですが、そうでない場合には、玉砕してしまいます。こう
いう性格では、決して試験に合格するわけがありません。
その代わり、実務では、分からないときは、お客様に「どういう趣旨ですか」
と聞けますし、時間も十分にありますので、ユニークな私大頭のほうが問題解決
能力はあると思っていますが、負け惜しみでしょうか。
2010.03.23(月)【小泉進学塾と鳩山大衆塾】(東京・金子登志雄)
30代の頃、やむを得ず、進学塾に勤めたことがありますが、1か月も経ないう
ちに、あっさりと理由も告げられずクビになりました。あとで知った話では、私の
教え方が成績のよくない子の面倒をみる大衆塾型にあったためのようでした。
ご承知のとおり、進学塾は、有名校に何人入学させたかが勝負のため、優秀な子
供の成績を向上させることしか関心がなく、優秀でない子は単なる月謝をもってく
る生徒としてしか扱われません。過酷な競争社会ですが、優秀な子には、よい環境
だといえましょう。
最近、思うのですが、あの小泉構造改革は、進学塾型であって、一部の優秀な企
業の成績をさらに伸ばせば、ダメ企業は潰れる代わりに、産業構造が変わり、国全
体が富むようになるという発想だったのではないでしょうか。
しかし、結果は、ヒルズ族などが登場した反面で、貧富の差がますます広がり、
ワーキングプアや就職できない人が溢れてしまいました。地方も疲弊し、田舎の商
店街はシャッター通りになってしまいました。いわゆる「負の遺産」です。
それが原因で政権交代がなされ、民主党政権の政策は、ヨーロッパ型の「もちつ
もたれつ」の大衆塾路線になったようです。
どちらの路線も行き過ぎると不幸ですが、貧困や自殺者、犯罪がこれだけ増えた
現状では、どの政権でも大衆塾路線を採用し、国民全体の生活の底上げを目指すし
かないでしょう。
ところで、弁護士業界も、人が増え(3万人弱)、貧富の差が激しくなってきた
ためか、先般の会長選では、番狂わせの政権交代がありました(地方の反乱で、サ
ラ金問題等で有名な宇都宮健児氏が会長に当選)。
どの業界も国も、時代の転機ですね。坂本龍馬がもてはやされる時代です。
2010.03.19(金)【単元株式のルーツ】(東京・金子登志雄)
1単元1000株というのは、1口1000株で1議決権という制度です。こ
れで小口株主には株主総会招集通知を出す必要もなく、株主総会を効率的に運営
できます。
この単元株式制度は、額面株式時代は単位株といいましたが、昭和56年商法
改正で認められたものです。
その改正で、額面を5万円にしたのを機に、それまでの額面50円会社(上場
企業のほとんど)で、1000株以上所有していないと議決権がないということ
にしたのです。
とすると、それまでは上場会社の株主総会に参加する権利があったのに、それ
以後は参加できなくなったわけですから、既得権の剥奪であり、民主的といえな
いじゃないか、ひどい! 気の毒だ! と感じた方もおられるかもしれません。
実は、これは総会屋対策だったのです。たった1株しか持たずに、総会荒らし
が横行したので、総会屋等に対する利益供与の禁止規定とともに、この単位株制
度を設けたわけです。以後、総会屋は急速に消滅に向かいました。
昭和56年生まれの方は今年29歳です。つまり、29年前です。こういう背
景を知って、会社法を解釈できる人材も減ってきました。私のような年寄り司法
書士は、ますます希少価値になる、いいことですね。
2010.03.18(木)【髪型】(東京・金子登志雄)
私は古い人間であり、若い人のようなバサバサ髪には、抵抗がありますから、髪
は、きちんと7・3に分けています。典型的な右利きですから、右手で櫛をもって、
頭の左側から分けています。
ところが、右利きでありながら、7・3の右分けをしている方も少なくありませ
ん。みなさんの周囲にも、いるはずです。なぜでしょうか。つむじの問題だとは思
えません。
先日、試しに、右から分けてみようとしましたが、何度やっても、うまく行きま
せんでした。まさか、左手を使うのではないでしょう。
世の中、広いもので、野球のスイッチ・ヒッターのように、右にも左にも自在に
分ける器用な人がいるのですね。
この人でした。↓ ひょっとして、生来は左利き(?)。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201002/2010020801013
左の旧社会党から右の旧自民党や旧自由党出身者までも、まとめてしまう人です
から、頭髪くらいは、お手のものなのかもしれません。
枝野さんの事業仕分けは、左から7・3でしょうか、右からでしょうか。反小沢
だからといって、ともに否定し、オールバック(全部後退)だけは勘弁してほしい
ものです。そうなったら、丸刈りですね。
今日は、どうでもいいお話でした。
2010.03.17(水)【裁判員制度がはじまって】(島根・根来川弘充)
私の住んでいる安来市は島根県の一番東にあり、鳥取県米子市と隣接していま
す。
先月末から今月頭にかけて、その米子市で起きた大きな事件について、裁判員
制度がはじまって初の死刑が求刑されるかという裁判がありました。
事件は、税理士の方とその同居人が、自らが雇っていた事務所職員に殺害され
たというものです。
強盗殺人の罪に問われれば、「死刑」または「無期懲役刑」、殺人の罪に問わ
れれば、上記に「5年以上の有期懲役刑」が加わります。
検察側は、強盗殺人を主張したのに対して、弁護側は、長い間、被害者から不
当な扱いを受けたことに精神的に追い詰められたことによるためということで、
強盗目的ではなく、殺人罪であるとして争いました。
結局、裁判では、検察側は、強盗殺人でも、死刑ではなく無期懲役を求刑した
ことに対して、裁判員と裁判官も、強盗殺人であると判断して、検察の主張のと
おり、無期懲役刑の判決を下しました。
「被告人に強盗目的があったのか否か」
これがこの事件の大きな争点であったと思います。しかし、これは被告人本人
の認識の問題であり、被害者が殺されたという事実からだけでは、決して見るこ
とができません。
殺害された状況、そこに至った経緯等、いろいろな証拠から想像して、裁判員
の方々は、「もし、自分が被告人と同じ行動をとったならば、その時、強盗する
意図があっただろう」と判断されたのだと思います。
自分を被告人と仮定して、思いをめぐらすことは、大変な心労をともなったこ
とと思います。
一方で裁判員でなかった方々は、新聞等の報道で事件を見守ったことと思いま
す。そして、「もし自分が裁判員だったらどう判断したか」ということに、思い
をめぐらせたことと思います。
裁判員制度とは、「もし自分が○○だったら………」ということを誰もに問い
かけている制度なのだろうと感じました。
2010.03.16(火)【大政党は法人だった】(東京・金子登志雄)
「自民党や民主党は法人である」………〇ですか、×ですか。
私を含む弁護士・司法書士等の法律専門家の99%が×と答えるでしょうが、調
べましたところ、実は、〇でした。「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法
人格の付与に関する法律」により、法人格を取得できるのでした。
もちろん、登記もされ、自民党の登記簿謄本には、谷垣総裁と大島幹事長が代表
者として登記されていました。民主党の幹事長は代表権がないのか、鳩山代表だけ
が登記されていました。
目的は、自民党が「党の使命、綱領及び政策を実現すること」、民主党が「民主
党のめざすもの、基本理念等の実現を図る」であり、ともに1行でした。司法書士
からすると、これで目的の明確性があるのかとケチをつけたいところですが、他に
書きようがありませんね。
これで合点がいきました。自民党の借金は120億円以上といわれるのに、法人
でなくて、どうやって銀行融資を受けられたのかと疑問に思っていたからです。
与党であればともかく、野党のままで、この借金を返せるのかと、人ごとながら
気になります。昨日も、鳩山邦夫氏が離党しましたし、今後も与謝野氏などが続く
としたら、ますますじり貧傾向でしょう。
盛者必衰の理とはいえ、世の中、敗者には厳しい現実が待っています。いままで
マスコミは「集団リンチ」で民主党を叩いていましたが、風向きが変われば、「集
団いじめ」で、溺れる者に石を投げるのもマスコミですから。
2010.03.15(月)【資本金の額と増加した資本金の額】(東京・金子登志雄)
会社の登記の登録免許税は、登録免許税法の別表に規定されており、項目ごとに
決まっています。設立の場合は………、増資の場合は………というわけです。
吸収合併の登録免許税は、別表の「ヘ」の項目であり、「増加した資本金の額の
0.15%であり、これで計算した結果、3万円に満たない場合は3万円」だとさ
れています。
では、吸収合併で資本金の増加額が0円だったら、上記に従い、3万円でしょう
か。
これ、よく勘違いされますが、資本金の増加額が0円であれば、資本金の額の増
加とはいえないため、この項目は適用されず、商号変更や目的変更と同様に、別表
「ネ」の「その他の登記事項」の項目に該当し、3万円です。商号変更や目的変更
と同時に吸収合併した場合には、一括して「ネ」の項目に該当し、合計3万円とな
り、「ヘ」と「ネ」の2項目で合計6万円になるわけではありません。
資本金の額の「増加」とはいえないため、いわゆる「資本金の額の計上に関する
証明書」も、添付不要です。
ところが、新設合併(別表「ホ」)や新設分割(別表「ト」)の設立登記の登録
免許税は、「資本金の額の0.15%又は0.7%であり、これで計算した結果、
3万円に満たない場合は3万円」とあり、資本金の額0円を含みます。設立登記で
すから、商号変更や目的変更と同時ということはあり得ません。
では、資本金0円の設立であっても、「資本金の額の計上に関する証明書」の添
付は必要でしょうか。いまのところ、不要だとの先例もなさそうですから、添付し
たほうが無難です。
2010.03.12(金)【確定申告】(東京・金子登志雄)
確定申告の締切り日が近づいてきましたが、みなさまは、もうお済みですか。私
は身内に外注して、もう終わりました。
身内からは、「喜べ、税金が減ったぞ」と報告を受けましたが、その主たる原因
は売上の減少ですから、喜べたものではありません。ただし、その前年にはビッグ
な仕事があり、その反動が生じただけですから、まだ運のよいほうです。
この程度で深刻な顔をしたら、不動産登記専門事務所に、叱られてしまいます。
不動産登記専門事務所は、リーマンショック以来、相当の落ち込みのようですから。
また、弁護士も、人数が急膨張し、最近は、ノキ弁(軒先を借りて開業)やケー
タイ弁(事務所もなくケータイ電話で仕事)が増え、一部を除き、「弁護士=高収
入」という神話が崩壊してしまったようです。
その食えない新人弁護士さんが大量に司法書士の業務に進出してくるだろうと、
わが業界では恐れられていますが、多重債務や簡易裁判所の業務には影響があって
も、登記の分野では、大量の先例を知っている司法書士の独壇場であることに変わ
りはないでしょう。弁護士でも容易に進出できるものではありません。
会社法務を専門とする私の分野も、幸いなことに、経験が重視される分野ですか
ら、そう心配していません。かえって、弁護士さんが大量に進出してくれば、報酬
の相場も私の希少価値も上がるだろうと、私は歓迎です。
いずれにしろ、いまのご時世は、収入のことよりも、職があるだけで幸せですね。
司法書士は仕事がなくても「無職」とはいえません。これは幸せなんでしょうか。
2010.03.11(木)【出る杭を打つな】(東京・金子登志雄)
昨年秋に出版された、いま話題の元福島県知事佐藤栄佐久著『知事抹殺』、元リ
クルート社長江副浩正著『リクルート事件・江副浩正の真実』を読んでみました。
法律職の1人として、「読んでいません」とはいいにくいですし………。
佐藤優氏の『国家の罠』でも感じましたが、不思議なことに、取調べの密室で検
事に怒鳴られたり、壁に向かってずっと立たされたりの過酷な仕打ちを受けたのに、
佐藤知事も江副氏も最後には担当検事と友情で結ばれる関係になっていました。
敵と味方の関係とはいえ、真剣に向き合った奇妙な同士的結合が生じてしまうよ
うです。味方の弁護士とは1日30分程度しか面会できないのに、敵の検事とは土
日を含め夜の10時頃まで密室で向かい合います。この世に、人間は2人しかいな
いことになり、奇妙な連帯感が生まれるようです。これは、真剣にののしり合うほ
ど喧嘩した夫婦にだけ通じる奇妙な信頼関係に似た関係かもしれません(わが家で
は冷戦しか経験していませんので、わかりませんが)。
夫の側の検事のほうも、妻たる被疑者に、実に正直に「あなたは気の毒だ。けれ
ども、これだけマスコミが騒いでいる限り、このまま終わりにはできない。執行猶
予で終わらせるようにするから、とにかく、この筋書を早く認めたほうがよい」、
あるいは「上のほうがこう言っているから、すまないが、これを認めてほしい。私
の立場もわかってくれ」などと懇願することもあるようです。徐々に被疑者もこの
程度なら夫に協力しようという気になり、虚偽の自白をしてしまいます。これが大
間違いなのですが、それをしないと、いつまでも保釈されません。
筋書は上層部が作り、担当検事の仕事は、その筋書にそって自白調書をとること
のようです。筋書は、大物狙いが多く、リクルート事件の最終ターゲットは中曽根
元首相だったようですが、途中から、官房長官の藤波孝生氏に変わります。
読後の感想としては、名知事、名経営者、名官房長官(将来の首相候補)………
などなどが、ちょっとしたボタンの掛け違いからつぶされてゆくのは国家的損失だ
と思いました。
江副氏も就職採用問題や未公開株などの仕組みについて、検事や裁判官がいかに
無知かを嘆いていました。株価チャートの月足なども知らなかったようです。
マスコミを代表する政治や経済の素人がプロの政治家や経済人の平常の行動様式
も知らず、「株式投資=悪」「不動産所有=悪」「業者との付き合い=悪」「政治
献金=悪」「急激な企業成長=悪」などの世相(「妬み、僻み、やっかみ」の国民
世論?)に便乗し、有能な人材への集団リンチを煽るのは、まるで社会の混乱を求
める無政府主義者の破壊活動のようで、日本の将来が不安です。「出る杭はもっと
引張れ、応援しよう」という社会にはなれないのでしょうか。
2010.03.10(水)【プロキシーファイト】(東京・金子登志雄)
プロキ(または「ク」)シーファイト(proxy fight)という用語をご存知でし
ょうか。株主総会における委任状争奪戦のことです。
3月30日開催のサッポロホールディングスの定時株主総会を前に、同社の筆
頭株主である米国投資ファンド「スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラ
テジック・ファンド(オフショア),エル・ピー(2008年12月31日現在
では17.55%所有)」が10人の取締役の選任を求めて、株主提案し、委任
状の勧誘をしかけました。
http://spjsf.weblogs.jp/jp/
現経営陣側も当然、防戦しています。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120100305037084.pdf
これでサッポロ対スティールの戦いは3度目ですが(2度とも会社側勝利)、
スティールは、昨年、アデランスで勝利していますので、会社側も油断できない
ことでしょう。
これ、選挙に似ていると思いませんか。与党と野党が支持を求めて舌戦してい
るようなものです。選挙「戦」などというよりも「ファイト」のほうが、何とな
く、ボクシングなどのスポーツのようで、公正で明るくっていい用語だなと思っ
ています。
プロキシーファイトは、公職選挙ではありませんから、WEBでの戦いが自由
です。夏の参議院議員選挙も、WEB、ブログ、スイッターの戦いを認めてもよ
いと思うのですが、国政選挙で認められる日はいつになるのでしょうか。
2010.03.09(火)【公正証書遺言作成のすすめ】(愛知・和出吉央)
前回(2月3日本欄)、前々回(1月13日本欄)と遺言書のうち、“自筆”証
書遺言をテーマにお話しをしてきましたが、今回は“公正”証書遺言についてのお
話です。
ここで改めて、なぜ我々専門家は遺言書の作成をおススメするのでしょうか。
通常、ある人の相続人は、複数いる場合がほとんどです。その場合、相続人間の
財産の取得割合(相続分)が大きな問題となります。
民法では、法定相続分として一定の割合を定めています。
例えば、配偶者と子のみが相続人のときは、それぞれ1/2ずつ相続し、子が複
数いれば子の相続分である1/2を子の数で均等に分けます。
民法に規定があるので、必ず法定相続分で分割しなければいけないと思われてい
る方も多いようですが、決してこの法定相続分で相続を行わなければいけないとい
うことはありません。
遺言者が遺産分割の方法や相続分を遺言書で指定していれば、遺言書による相続
が優先することになるのです。
ただし、民法では、各相続人の最低限保証された財産の取り分を認めた遺留分と
いう制度があり、遺言がある場合でもこれを侵害することはできません(遺留分の
請求は、原則として相続開始から1年内に行わなければなりません)。
“法定相続(分)に優先する”つまり、『遺言者の最後の意思を実現することが
できる』という効果が、遺言書の最大のメリットと言えます。
そして、この『最後の意思を実現する』ための手段として、前回までの“自筆”
証書遺言に比べて、安全かつ確実な方法が、“公正”証書遺言なのです。
公正証書遺言の場合、各法務局に所属する“公証人”という法務大臣から任命さ
れた元裁判官や検察官、弁護士、司法書士といった法律のプロが、遺言者から聞き
取った遺言内容をもとに遺言書を作成し、その遺言書の原本を公証人が保管すると
いう最も「安全」で「確実」な遺言書です。
よって、前々回お話した自筆証書遺言の次の四つの問題点はすべてクリアするこ
とができます。
@遺言の内容・財産の特定が不明確になりやすい。
A法律上の形式要件を満たしていないことがある。
B遺言執行者の指定がされていないことがある。
C検認手続きが必要となる。
人生最後の一大事は、公正証書遺言で決めてみてはいかがでしょうか。
2010.03.08(月)【アリバイ】(東京・金子登志雄)
「平成16年2月25日午後1時に何をしていましたか。」
これに答えられる人は、まず、いないでしょうが、みなさんは、過去の手帳でも
みれば、おわかりでしょうか。
先日行われた元厚労省の女性・村木氏の法廷で、証人になった衆議院議員の石井
一氏は、「平成16年2月25日午後1時に倉沢被告と会っていただろう」との問
いに、「その日は成田市のゴルフ場にいた。メンバーは誰と誰で、スタートは何時
で」と事細かく説明して、「会っていない」ことを完璧に証明したようです。
年間6冊も手帳を買い替えるほど、あの顔に似合わず(失礼!)、その日の出来
事を几帳面に手帳をつけているようで、倉沢被告と会ったのは、平成16年に2回
とまで手帳からわかるようです。
http://www.hajimeishii.net/
勝手に名前を使われかねない政治家・企業経営者などの有名人は、常にリスク管
理していないと身を守れないのでしょうか。
当の私は、先週のことですら、わかりません。一応、手帳は常時携帯しているの
ですが、今後の予定や面会の約束を忘れないために、「3時役員会」「5時半〇〇
さん」などというメモに使うだけで、予定外のことは書きません。予定がなければ、
当然に、その日は白紙です。アリバイを証明できません。
しかし、たまに、全く知らない方から「〇〇会社の△△です。先般から、お願い
している登記の件ですが………」などという意味不明の電話が私にもかかってくる
ことがあります。私も、勝手に名前を使われているのでしょうか。
………きっと、自意識過剰ですね。東京には、金子姓の司法書士が9人いますの
で、どなたかと勘違いされたのでしょう。リスクは9分の1です。まだ、事細かく
手帳に記載する身分にはなっていないようです。
2010.03.05(金)【議事の運営】(東京・金子登志雄)
国会の予算員会で、肝心の予算を審議しないで、「政治とカネ」の問題ばかり質
疑応答していることに違和感はありませんか。
この不況に景気対策を議論しないで、何をやっているのだという庶民の意見が多
いのに、どうも、昔からの慣例? のようです。
では、株主総会で同じようなこと、つまり、議題に無関係な質問がなされたら、
どう対応すべきでしょうか。
会社法第315条(議長の権限)
@ 株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
A 株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す
者を退場させることができる。
したがって、「ただいまのご質問は本日の議題に関係がありませんので、却下し
ます」と議長がいえば済むことです。
議長がいわないのなら、答弁に立った社長が「お答えしかねます」といってもよ
いですし、何度も質問されましたら「先ほどご回答したとおりです。議題に関係の
ある別の質問をお願いします」ときっぱりと拒否すれば足ります。
議場での野次がひどければ、議長が「そこの方、退場を命じます」といってもか
まいません。
株主総会が近づきますと、上場会社の総務部では、想定問答を作ったり、このよ
うな練習をするため、予算委員会をみていると歯がゆくてなりません。
育ちのよい鳩山首相の馬鹿丁寧な応対が優柔不断にみえ、支持率も下がっている
ようですから、たまには、「何度もお答えしたとおりです(うるせえな、何度も同
じことを聞くな!)」と、毅然(?)として答えたら、強い首相のイメージが出て、
少しは支持率もアップするかもしれませんね。
ただし、翌日の新聞1面に「首相、とうとう居直る!」と出て、さらに支持率が
下がっても、私は責任を負えません。
2010.03.04(木)【センベツのご指導】(東京・金子登志雄)
富田さん、「よいしょ」投稿、ありがとうございます。相変わらず、クスッと笑
わせる文章が上手ですね。感心します。
>「餞別のご指導」だったのでしょうか?
よく、わかりましたね。そのとおりです。
ただし、「餞別」ではなく「選別」です。教えてすぐに理解できる人には、1を
聞かれたら、3まで教えています。また、他の面では、私が教えを請う立場ですか
ら、もちつもたれつです。
おかげさまで、『親子兄弟会社の組織再編の実務』は、昨日また増刷になりまし
た。専門書ですから、小説類と桁が違う恥ずかしい冊数ですけど………。
それでも、企業法務部や企業法務専門弁護士というプロの専門家に好評のようで、
「プロに評価される本」を目指してきた身としては、うれしいものです。
重要部分につき、あたりさわりのない内容では、「何だ、やはり司法書士の本だ
な。内容が薄い」などと評価されてしまいますから、表のノウハウについては、包
み隠さず書いています。
また、ノウハウなど隠しても、いつかは誰かが気づくものです。その誰かさんが
「このノウハウはオレが一番先に発見した」などと得意げに講演でしゃべったり、
本を出すと、私としては面白くありません。出版に携わる前は、過去、何度かこん
なケースがありました。
とはいえ、本には書きにくいノウハウもあります。いつか実行しようと思っても、
それに適した仕事の依頼がないので、実行できないノウハウもあります。
そうなんです。金子事務所の最大の課題は、複雑で難解で筋のよい(トラブル案
件でない)会社法・商業登記案件が、まだまだ十分ではないことです。そういう仕
事がもっともっと来れば、新たな発見や新ノウハウの開発が進むのですが………。
2010.03.03(水)【プロの世界とは】(東京・富田太郎)
先日、ある「将棋関係の本」を読みました。
弟子は、師匠の家に住み込みで修行を積み重ねることになるのですが、意外だっ
たのは、将棋の師匠は、弟子に稽古などをつけないことが普通で、将棋を指すとし
ても、回数的には1〜2回程度。弟子は、ひたすら師匠の身の回りの世話をしなが
ら、「師匠の技術」を目で盗んで成長していくそうです。
また、師匠も弟子に才能がないと分かると、「1局、将棋を指してあげよう」と
言うそうですが? 実は、この1局の意味は、
「あなたは才能がないから、将棋をやめて故郷に帰れ!」
(「お別れの餞別の将棋」)という意味だそうです。
厳しい世界ですね………(汗)。
将棋に限らず、職人・落語家・料理人等のプロの世界ではよく聞く話です。
師匠の技術を目で盗んで成長していく。また、師匠としても、長年かけて得た技
術・秘伝など簡単に教えることなどできないでしょう。これは、プロの世界の掟か
もしれませんね。
ところで、話はかわって、先日ある有名企業のA社法務部から、合併の案件がき
ました。
行ってみると、法務部担当者の方は『親子兄弟会社の組織再編の実務』(金子登
志雄著・中央経済社)をお読みになっていました(本にアンダーラインが一杯!)。
担当者曰く「この本は素晴らしい。多くの合併関係の本は、ありきたりのことば
かりで、本当に知りたいことが書いていません。この本は、知りたいこと・疑問に
思っていることが書かれています。まさに、合併案件のバイブルともいえる本です。」
と大絶賛されていました。
実は、私もこの本にはずいぶん助けられています。ご自分の「長年のノウハウ」
を惜しみなく書かれています。
しかし、普通、プロは「自分の長年の秘伝を惜しみなく書く」ことなど、できな
いのですが………、いずれにせよ、「合併のバイブル」ともいえる本ではないでし
ょうか??
(PS)
ある休日のこと。
『相互保有状態にある合併案件』で、疑問が生じたので、わが師、金子先生に質
問したところ、お休みにもかかわらず、懇切丁寧に教えていただき、詳細な説明、
資料まで一杯戴きました♪ さすが! わが師匠です。感謝♪ 感謝♪
・・・・・・・・・・・・・・・・
あっ!! ひょっとして、まさか
「あなた(富田)は、会社法の才能がないから、もうやめなさい!」
という、「餞別のご指導」だったのでしょうか???………(汗)。
2010.03.02(火)【騙されない年齢】(東京・金子登志雄)
先月26日には、事務所の近くで開催された、ある政治シンポジウムをみてきま
した。パネリストとして鈴木宗男議員や、人権派弁護士として有名な安田好弘弁護
士が参加していましたので、生でみたいと思ったからです。
そこで、鈴木宗男議員が面白いことを発言しました。
「昔、私は、疑惑のデパートといわれ、現地の人達が『ムネオハウス』と呼ぶ豪
邸を作ったなどと糾弾されました。しかし、ロシアでは英語が通じると思いますか。
ハウスなんていうわけがないじゃないですか。あれはこれこれで………」
いわれてみれば、そのとおりですね。聴衆も大笑いでした。
ロッキード事件の田中元首相に渡った5億円も、英国大使館の裏の路上でとか、
公衆電話ボックスのところで授受されたと報道されましたが、あれも「面倒だから
どこでもいいや」と被告人側が検事の誘導に応えた結果のようです(田原総一朗氏
による)。
最近では、「石川議員に全日空ホテルの喫茶店で紙袋にいれた5000万円を渡
した」との報道がありましたが、そんなまずい金を目立つ場所で渡すわけがありま
せんし、紙袋では重くて無理であることは明らかです(約5キロです)。
われわれ法務の世界でも、有名な学者の本に、荒唐無稽な解釈があっても、それ
を信じてしまう人が少なくありません。
人のことはいえません。私も若い頃は活字になったことや報道されたことに疑い
をもつことは少なかったように思います。
還暦を過ぎた今は、どんな偉い学者や評論家が何をいおうが、メディアでごく自
然に報道されようが、「まさか、常識的にみて、それはおかしい」と反応できるよ
うになりました。
みなさんは、いかがですか。早く、歳をとりましょう。
2010.03.01(月)【官報公告の豆知識】(東京・金子登志雄)
合併公告や資本金の額の減少公告は、会社債権者に対して、「この合併(又は資
本金の額の減少)に異議があれば述べよ」という内容です。
債権者を名宛人にしますから、定款に定める公告方法が日刊新聞紙であろうと、
電子公告であろうと、必ず官報に掲載しなければなりません。
官報には、本紙と号外があり、文章だけの合併公告等は本紙に掲載され、貸借対
照表の要旨と一緒に合併公告等をするときは、号外に掲載されます。そのため、本
紙の場合は1週間前に掲載を依頼すれば足りますが、号外では2週間前に依頼する
必要があります。
2月26日掲載で文章だけの資本金の額の減少公告を依頼していたため、同日の
午前にインターネット版官報の本紙で、「どれどれ間違いなく掲載されているかな」
とチェックしましたら、何と掲載されていませんでした。
http://kanpou.npb.go.jp/
あせりました。いまから掲載依頼しても、公告日数が足りず、予定の期日に登記
はできない………、困った………。
すぐに、親しくしている公告窓口の担当者T氏(公告に非常に詳しい人でESG
ではいつもご指名しています)に電話しました。
T氏、「あ、ごめんなさい。営業日で2月の最後の日は、公告掲載数が多いため
(注:4月1日合併が多いためでしょう)、文章だけの公告も号外に一部を回しま
す。ご依頼の公告も、号外の〇〇頁に掲載されています。」
「そんなことがあり得るのですか。本紙の頁数を増やせばよいじゃないか。」
「本紙は32頁と決まっているんですよ。」
………はじめて知りました。2月最終日だけの特例でしょうか。
なお、解散公告は文章だけでも、号外に掲載されることにご注意ください。1週
間前の予約では無理ということです。
2010.02.26(金)【「品位」に思う】(島根・根来川弘充)
先月相撲のことを書いて、今月は書く予定でなかったのですが、横綱朝青龍の引
退という大きな事件がありました。しかもバンクーバー五輪での某代表選手の服装
問題とあり、両者に通じるものを感じましたので取り上げたいと思います。
両者が受けた批判はいずれもスポーツの実力とは別のものに対してでした。スポ
ーツである以上、競技者は頂点を目指すことは当然のことです。
両者はいずれも競技のルールに従わなかったわけではありません。むしろ結果を
出しているのですから、他の者よりも真摯に取り組んでいた証だと思います。
では、なぜ批判されなければならなかったのでしょうか?
私が思うにはスポーツの理念が彼らを拘束したのだと思います。それぞれのスポ
ーツの組織にはそれぞれ理念があります。その理念はいずれも崇高なものです。
一競技者としてならば、その理念を感じることはないのですが、トップに立つと
その競技の顔になります。それはその組織の顔でもあります。
トップに立った者の一個人の行為は、組織として捉えられてしまうため、批判の
対象になってしまうのだと思います。
今回当事者となった二人は、「そんなことを後から言われても…」と思うかもし
れませんが、おそらく入会手続きをするときになんらかの署名をしていると思いま
す。(つまり、組織の規約などを承諾しているということです)。
「理念が個人の自由な行為に拘束を与える」という点について、この問題をかえ
て、その是非を考えると、どこかほっとするものを感じます。
もし、強者がどんどん行為を許されてしまうならば、弱者はそれを抑える術を持
ちません。「理念」が強く働いたことは健全な社会の証だと思います。
2010.02.25(木)【マスコミの説明責任】(東京・金子登志雄)
今週の「週刊朝日」を購入したところ、起訴された石川知裕衆議院議員へのイン
タビュー記事が掲載されていました。数日前は、確か日刊ゲンダイにも掲載されて
いました。
実に不思議です。
酒井法子事件や押尾学事件では、テレビのワイドショーはじめ、あれほど本人を
追いかけまわしていましたし、朝青龍問題でも、ハワイにいてどうのこうのとマス
コミで取り上げているのに、あれほど大騒ぎした政治資金規正法違反の石川議員問
題では、三大新聞もテレビも、本人が釈放されたというのに、全くインタビューし
ていません。なぜでしょうか。
まさに「いまこそ説明責任を果たせ」とテレビに引張り出せばよいのに、週刊朝
日と日刊ゲンダイを読んでいない多くの国民には消化不良が残ります。
小沢・石川問題につき、これまでのマスコミの姿勢をみていると、日刊ゲンダイ、
週刊朝日、東京新聞、海外マスコミ(米ニューヨークタイムズほか)などが検察捜
査に批判的であり、その他の日本の大手マスコミ全部が検察寄りでした。
いまこそ報道の中立性を証明するために、石川議員にインタビューすべきなのに、
全く動きがありません。これは反小沢の急先鋒の人からみても、その人が自由主義
者である限り、不公平に思うことでしょう。
週刊朝日によると、小沢氏に対するテロの危険があるとのこと(これは私も前々
から感じていました。1月21日付本欄【物騒な世相】)。小沢氏は毎週、記者会
見しているのに、いまだに説明責任の場を設けないと攻撃されています。
テロを誘発しかねない大手マスコミの報道姿勢に対して、魔女狩りによる人権侵
害の怖さを感じているのは私だけでしょうか。昔のイエスの方舟事件や豊田商事事
件の反省はマスコミにはないのでしょうか。説明責任はマスコミにも求められます。
(参考)
イエスの方舟事件=千石イエスという宗教家が家出娘たちをたぶらかして逃亡生
活を送っているとマスコミで大キャンペーンがなされましたが、事実は、家出娘が
千石のおじちゃんを巻き込んで親から逃亡していた事件。
豊田商事事件=悪徳商法の豊田商事非難のマスコミ報道に誘発されて、その社長
が白昼堂々とテレビカメラの前で殺害された事件。犯人は英雄気取りでした。
2010.02.24(水)【新聞−ここにも格差?−】(島根・渡部浩義)
唐突ですが、島根には全国紙の夕刊が配達されません。
現在、日本全国に夕刊の配達されない地域はどれくらいあるのでしょうか。
また、島根は東部地域は大阪から、西部地区は九州から新聞が配送されます
(ただし、日経は全県下、九州から配送)。同一県内で、配送元が違う新聞を読
んでおられる県は、全国にどれくらいあるのでしょうか。
しかし、最近はネットの時代。ネットによるニュースの配信によってか、新聞
各紙ともに紙媒体の新聞発行部数は減少傾向にあるようです。確かに全国紙、地
方紙問わず新聞各社は、リアルタイムで新しい記事をネット配信もしており、パ
ソコンを使いこなせる人には紙の新聞をとる必要はないのかもしれません。
私は、出張の折には、そこで必ずその地域の地元紙と、我が家で取っている全
国紙を買うことにしています。これを家に持ち帰ってゆっくりと読むのが楽しみ
です。
地方紙には、その地域の特色ある話題や独自の問題が記事になっており色々と
参考になることが多く、唸らさせられることしきりです。では、家にもある全国
紙もなぜ買って帰るのかといえば、出かけた地域のそれと、我が家に配達された
ものが、その日どれくらい紙面構成が異なっていたのかを比べながら読むのが好
きだからです。
ご存知のように、新聞は同じ工場出荷分でも、ニュースの入稿状況と印刷・出
荷時間(版)によって、かなり紙面構成が異なってくるようです。工場から遠い
地域への出荷分は、当然に印刷時間が早くなるわけですから。私も、我が家に届
いていたものと一面から紙面構成が随分と違うものも、過去何度か手に持ち帰り
ました。
子供のころ、我が家に届く新聞のスポーツ欄のプロ野球試合結果は、およそ
「7回」以降が空欄で「試合経過中」の文字があったように記憶していますが、
最近は編集・印刷技術や道路整備状況など配送環境も良くなったからでしょうか、
延長戦の試合でも全経過結果が載ったものが配達されています。
ただ、残念に思うのは、やはり東京あたりで手にする新聞と島根の私の家に配
達される新聞とでは読み比べると、今でも随分と情報量に開きがあることや、同
一紙でも内容・論調まで違った記事があったりすることです。
たとえば日経。これは、前日の夕刊を読んでいることを前提とした翌朝刊の記
事が多々ありますし、土曜日の附属紙『日経PLUS1』など、うちに来るそれ
の中央8〜9面は全面が通販広告なのに対し、東京駅で手にするそれは、同一面
にわかりやすくて身近な生活経済情報が満載!
また、同紙の地方面に目を転ずれば、かたや疲弊する地域経済と破綻寸前の財
政記事、かたや好調な企業の特集記事や潤沢な財政指標に関する記事が目白押し。
やはりこんなところでも都市部(首都圏)優位なのでしょうか?
2010.02.23(火)【急ぎ働き(いそぎばたらき)】(島根・渡部浩義)
池波正太郎の人気小説『鬼平犯科帳』によると、「急ぎ働き」とは盗賊一味が、
目的の店(たな)に周到な準備もなく正面きって押し入り、そこに居合わせた人々
を問答無用で殺傷し、金品を奪って逃げ去る強盗手法をさすようです。
私たち司法書士も、関係者を殺傷することはないにせよ、時々「急ぎ働き」を依
頼者から求められることがあります。
「とにかく急いで、急いで、」を連発される依頼者は、その裏に事情を抱えてお
られることが多く、私たち資格者は注意をしなければならない案件ということにな
ると思いますが、過日もこの「急いで!」を連発される地元出身の相続案件の依頼
者がお見えになりました。
「相続人の間の話は整っている。『相続放棄』手続をとってもらったうえで、相
続登記手続をお願いしたい。できれば1週間以内に。」とまくしたてられ、私も、
「事情を伺ったかぎり、必要な戸籍類の収集・調査だけでも急いでも3週間はかか
ると思います。ご兄弟(相続人)も多いようですので、急がれるのであれば、各相
続人さんの戸籍等抄本や住民票は、各自で取ってもらって下さい。被相続人様に関
する必要な戸籍・除籍類は、こちらで収集しますが、これも蓋を開けてみないとど
れだけの書類が必要になるのかわからず、絶対的な時間のお約束はできませんが…
……」と答えると、「わかったから、とにかく早く!」と依頼者。
案の定、この被相続人氏は、生前に日本各地に転籍を繰り返しておられ、私も各
地役場との間で速達郵便による職務上請求を繰り返すこととなりました。そして、
依頼者にもやはり時間がかかる「見込み」を伝えました。
数日後、事務所に届いた郵便物の中に、この依頼者からの書留郵便があることに
気づき、開封してみると、「〜貴殿が相続書類の調査に手間取っている間に、株式
市場は混迷を極め、特にJAL株にいたっては『紙くず』となり………。もとより
田舎の不動産にはすでに財産的価値はなく、当方も興味をもってはおりません。
………もはや貴殿との信頼関係もなく、依頼を解除したい………。」
JAL株のことなどこちらも聞いていません。うちの応接で依頼者から出た話は、
専ら不動産と僅かな預貯金があるという相続の話であったはずです。
「急げ!急げ!」の裏にある真の事情を充分にインタビューできていなかった、
準備している図表を用いてした相続放棄手続の流れの説明も理解してもらえてはい
なかったようです。
私の聞き取り能力や、説明能力が決定的に不足しているのでしょうか?
相続手続に株式相場変動や一企業のその時々の特殊事情を出されても、ただ困惑す
るばかりなのですが………。田舎司法書士、無力なり。
2010.02.22(月)【世論】(東京・金子登志雄)
19日金曜日は、神奈川県司法書士会で会社法の講義でした。神奈川県では会社
法施行後はじめだったため、うれしく思いました。私も県民ですから。
さて、みなさまは、「世論」を何と読みますか。
私の小学生時代は「セロン」と教わりました。「ヨロン」は、「輿論」と書くか
らです。しかし、最近は、「世論=ヨロン」が一般化したようです。国語検定でも、
ヨロンというルビで合格するのでしょうか。
ネット検索によると、「輿論は多数意見」、「世論は全体の気分」という意味で、
本来は意味が相違したが、1946年の当用漢字表の公布によって、輿論が使えな
くなり、以来、輿論も世論に吸収されたようです。
最近は、内閣支持率や政党支持率などで頻繁に世論調査の結果がでますが、マス
コミ不信による調査拒否も多いようですので、結果は確固とした「多数意見」では
なく、「世間の風潮(空気)」ではないでしょうか。
この程度でしたら、私の周囲の数人に聞けば容易にわかりますが、残念なのは、
意見のうちの多くがテレビのワイドショーあたりからの受け売りで、真に自分で考
えた意見なのか疑問な点です。
ユニークで面白い意見を出すのは、自分の意思でテレビもみない、新聞も購読し
ないという年金生活者の中高年の意見です。彼らは、一日中、インターネットで、
さまざまな意見や情報を収集し、海外メディアの意見まで調べているため、ワイド
ショーのコメンテーターあたりを軽蔑し、確固とした自分の意見をお持ちのようで
す。あたかも、町の研究家のようです。
さらに最近は、ツイッターとかいうもので、即時に情報が全国に流れるようにな
りました。情報源がワイドショー程度の方の意見では、ヒマで時間たっぷりの中高
年の前では、全く歯が立たないようになってきたようです。ネットやツイッターに
よる井戸端会議が世論を先導する時代も、そう遠くないのかもしれません。
2010.02.19(金)【「分割」の概念】(東京・金子登志雄)
1株を2つに分けることなどを株式分割といいますが、これだけだと、0.5株
と0.5株にするのか、あるいは0.6株と0.4株もよいのかなどと感じないで
しょうか。
そうではなく、1株を2株(や3株あるいは1.2株)にするなど株数を増大さ
せる行為を株式分割といいます(逆が「株式の併合」)。
とすると、今度は、誕生日が同じ株式が2つできるのかと思いませんか。
これも間違いで、正しくは、同じ内容の株式を「追加発行」して1株の価値を薄
めるのが株式分割です。内容は同じ株式でも、誕生日は違う株式が発行されるわけ
です。旧株と新株との関係は、母と子の関係ですが、身長も体重も一致します。
会社分割(新設分割を前提)も同じです。本によっては、「会社を2つに分ける
こと」などと説明されていますが、正しくは、誕生日の違う会社をもう1つ追加で
新設することです。母と子の関係です。
ただし、株式分割は細胞分裂のようなものでDNAも一致しますが、会社分割の
場合は、母の一部分を外に出したのであり、「分離」行為です。A事業とB事業を
営む会社がB事業を独立させる分離行為です。DNAは、母と子では一致しません。
身長も体重も違います。
では、りんごの分割はどうか。これは、誕生日も一致します。
「分割」という概念は、多義的です。
2010.02.18(木)【私の少数意見】(東京・金子登志雄)
昨日の投稿で思い出しましたが、政治資金で不動産を買うことは、ほんとにいけ
ないのでしょうか。どうも、背景に「不動産=悪」(土建屋=悪も同じ)という風
潮があるようで、不動産登記で飯を食っている業界の1人としては、違和感を禁じ
えません(私は会社登記専門ですが)。
インターネット上では、「私は政治資金収支報告書を3度もチェックしている」
と国会で豪語した自民党の町村信孝氏までが政治資金で不動産を購入していたこと
をばらされ、非難されていました。たった1000万円程度の物件です。
私は、政治家が事務所や秘書の住宅として賃借するより購入したほうが有利だと
判断したのであれば、それを認めたいと思います。政治資金にゆとりがあれば、定
期預金でなく、株式投資や不動産投資にも回したくもなるでしょう。才覚があるの
なら、どうぞご自由にと私は思います。
話変わって、冬季オリンピックのスノボーの國母選手の服装や態度が非難されて
いますが、私には、開会式にチューイングガムを噛みながら行進する外国選手のほ
うが気になりました。
しかし、私は、そこで考えを止めます。「あいつを参加させるな」という論には
決して与しません。高校生時代に、テレビではじめてビートルズをみたとき、「何
だ、あのだらしなさは。日本のテレビなんかに登場させるな」と思ったことがあり、
その苦い反省がありますし、生き様や文化は人・国それぞれだと思うように心がけ
ているからです。
「あれもいけない、これもいけない」といわれれば、世の中、息苦しくなります。
本心を隠し、表面上だけのいい子になってしまいます。「私には関係ない、私は私、
人は人」でよいのではないでしょうか。でも、きっと、少数意見でしょうね。
2010.02.17(水)【登記からみた「小沢一郎・陸山会問題」】(富田太郎)
最近の新聞によると、小沢一郎氏の資産の不透明さについて報道されています
(以下、本年2月9日付毎日新聞による)。
東京南青山のマンションは、
@元々、小沢一郎個人が2000年12月に取得。
Aその後、2001年12月、小沢一郎が同氏の政治団体『陸山会』に
3320万円で売却。
Bしかし、2009年6月、またもや『陸山会』から小沢氏に売却
つまり、不動産の物権変動は、小沢一郎→陸山会→小沢一郎と移転したことにな
る。
Cただし、登記簿上は、小沢一郎のまま
と報道されていました。
先日、この件で、友人から
「なぜ、ずっと登記名義が小沢一郎のままだったのだろう? 確認書なんか作らず、
きちんと、登記していれば疑惑も晴れたのに? 不動産の移転費用・登録免許税と
かケチったのかなぁ?」
という質問を受けました。
実は、法律上、一部の学会・学校の同窓会など、法の規定がないため法人格を与
えられていない団体を「権利能力なき社団」といい、今話題の政治団体「陸山会」
もこれに該当します。
このような「権利能力なき社団」も、不動産を取得できますが、「陸山会」とい
う名義で登記することができません。つまり、「陸山会」自体が法人として登記さ
れていないからです(法人登記されていないため、登記申請に必要な住所証明書・
印鑑証明書とかを添付できない)。
この場合、陸山会が、不動産を取得した場合、次の@かAの方法で登記するしか
ありません(通常は@の方法で登記することが一般的です)。
@陸山会の代表者個人名義(「小沢一郎」個人名義で登記。
「陸山会代表者 小沢一郎」のような肩書き付の登記はできない。)
A構成員全員の共有名義
よって、実体上「小沢一郎個人から陸山会に」と不動産が移転しても、登記上は、
「小沢一郎→小沢一郎」になってしまうため、このような移転登記は受理されない
ことになります。つまり、登記簿上は、ずっと「小沢一郎」のままです(参考:登
記研究572号 テイハン)。
でも、権利能力なき社団であっても、その名で供託はできます(供託規則14条
3項)。
また、民事訴訟法29条によれば、代表者の定めがあれば、訴訟法上の当事者能
力が認められています。
なにゆえ、不動産登記だけは、登記名義人になれないのでしょうか・・・。
難しい問題ですが、大いに議論の余地があるのではと思いませんか?
・・・・・・・・・・・・・
すいません。今回は笑いがなく、真面目な話でした・・・・・(汗)。
2010.02.16(火)【「会社法」法令集第7版】(東京・金子登志雄)
おかげさまで、当ESGがミニ解説を担当している中央経済社刊の『「会社法」
法令集』が第7版になりました。
http://shop2.genesis-ec.com/search/item.asp?shopcd=17262&item=978-4-502-99150-9
会社計算規則の改正があったために改訂されたわけですが、会社法の条文集の中
では、一番売れており、われわれも喜んでいます。司法書士業務にとっては、第6
版でも十分ですが、税込2520円ですから、ぜひ最新のものに切り替えてくださ
いますようお願いします(著書とまではいえませんから私欲ではありません)。
思い起こせば、このシリーズの最初は『会社法「現代化」法案』でしたが、中央
経済社から会社法の条文集を出すと聞かされた私が、「そんなの出版とはいえない
じゃないですか。法務省案を本にするだけなんだから。やめたら」と冷水を浴びせ
たところ、担当者からも、「何とか特徴を出したい」といわれ、「1行解説のミニ
コンメンタールはどうですか。そういう条文集があれば私もほしい」といったのが
はじまりでした。
法律家の間で最も売れている判例付き六法である『模範六法』(三省堂)の判例
部分をミニ解説に置き換える方式であれば、売れると思ったわけです。
そこまではよかったのですが、「先生、やってくれますか」といわれ、引くに引
けず、徹夜に続く徹夜状態で頑張りました。
それを中央経済社が何と採算度外視で680円で売り出しました。これには本当
にびっくりしました。出版社ですから、著者のいない本を高く売れないというプラ
イドだったのでしょうか。
以後、会社法施行規則なども加わり現在に至りますが、会社法本なら中央経済社
というイメージが付くことに、本条文集は大いに貢献したのではないでしょうか。
2010.02.15(月)【宗教家の強さ】(東京・金子登志雄)
土日は群馬県に帰省しました。久々に雪景色でした。
行き帰りの電車の中がたいくつなので、途中のブックオフで本を探していたら、
たまたま有名な『国家の罠ー外務省のラスプーチンと呼ばれて』(元外交官・佐藤
優著)があったので、遅ればせながらと思い、購入し、読み始めましたら、検事と
の奇妙な友情や真剣勝負に引き込まれてしまい、一気に読んでしまいました。
そこでは、検事が「これは国策捜査だから、戦っても無駄だ」「国策捜査は『時
代のけじめ』をつけるために必要だ。あなたは運が悪かった」とまで話すくだりも
登場し、そこまで種明かしをしてくれるのかと驚きました。
ここでいう「時代のけじめ」とは、森内閣から小泉内閣になり、国際協調路線か
ら、親米かつ排外的ナショナリズム路線になり、前者の鈴木宗男氏や佐藤優氏を人
身御供にしたことを指します。
イスラエルとロシアが近い関係にあるなど優れた分析や内容が多々ありましたが、
驚きなのは佐藤氏の記憶力のよさ(映像が頭に焼きつくタイプのようです)と意志
力の強さです。他の被疑者がみな検事のストーリーを簡単に認めたり、人のせいに
して逃げるのに対し、彼は保釈も希望せず、532日も独房で頑張って否認し続け
ました。それも無理せずに、独房生活を人生の経験として受け入れていました。
彼自身は宗教家かどうか知りませんが、大学は神学部ですし、独房生活でも聖書
を愛読したようです。
日本人の文化は「和」や「調和」であり、「他人(隣近所や同僚)の目」ですが、
宗教家や西洋の文化は人の目よりも「神の目」を意識するのか、他人にどう思われ
るかよりも、「神の意思=良心」に反しないことを優先するから、強いのでしょう
か。
いずれにしろ、宗教家に限らず信念が日常生活に溶け込んでいる人は、強く逞し
いものだと思いました。法律解釈は、時代の流れ(国策)で変化するところもあり
ますので、専門が民事・刑事に限らず、法律家にはお勧めの本だと思いました。
2010.02.12(金)【法律解釈の多様性】(東京・金子登志雄)
司法書士や弁護士に対して、「あの六法全書の条文をすべて覚えたのですか」な
どと聞く方が少なくありません。「法律の勉強は記憶である」と誤解されているよ
うです。
覚えることが多いことは事実ですが、法律学の中心は「解釈学」であって、相手
を説得するための理論構成です。裁判も、原告と被告が直接議論するのではなく、
それぞれが「当方の主張はこうで相手の主張のここがおかしい」と、裁判所を説得
する争いです。
法律解釈の手法も人それぞれです。理系頭の私は条文相互間の論理で解釈します
が、歴史頭の方は条文の生まれた背景などから論じます。会社法で言えば、私は企
業活動の自由を推進する方向から解釈するのに対し、企業は悪という発想で規制の
方向から解釈する人もいます。温厚に解釈する方も、原理主義で解釈する人も、完
全に自分に都合のよいように勝手に解釈する人もいます。
このたびの石川衆議院議員起訴の問題でも政治資金規正法の解釈につき、それぞ
れの立場から解釈が出されています。
1.もともと、政治資金のオープン化を求める法律であって、小沢氏個人と陸山会
との資金の出入り(立替金など)の記載漏れなどは、うっかりミスの形式犯に過
ぎず処罰の対象にならないという考え方(従来はこの運用でした)。
2.政治資金の流れを正確に書く必要があり、それを書かなかったことは「虚偽記
載」であり、民主主義の根本の法律に違反した重罪だという考え方。
テレビ番組などでは、元検察官の間でも、1の石川議員無罪説と2の重罪説とで
激論がなされていることは周知のとおりですが、最近のインターネット情報による
と、菅副総理の元政策秘書でジャーナリストの松田光世氏(政治資金規正法の改正
にも関与していたようです)が、次のような解釈を打ち出しました。
松田氏のtwitterから抜粋です。
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そもそも「規制」法ではなく、「規正」法。政治資金そのものを規制するのでは
なく、政治資金の自由を確保しつつ、収支を公開することで、衆人環視の下で政治
がゆがめられることのないようにするのが立法の趣旨。
政治資金規正法は、すべての「寄付」を記載することを義務づけているが、「借
入金」は、政治資金規正法4条の定義でいう「財産上の利益供与」ではないので
「寄付」ではない。規正法上は政治団体の保有資産等報告に書けばいい。
「入出金」は、政治団体の帳簿に記載することが義務付けられているが、収支報
告書には、寄付のみを抜き出して記載する。そこには違いがあるのは当然で、そこ
まで公表すると政治活動の自由が損なわれるという与野党の暗黙の了解の下で、政
治資金規正法は運用されてきた。検察は今回、その一線を越えた。
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この松田見解によると、「立替金=収支」という前提に立つ従来の激論は根底か
ら崩れます。新解釈ではなく、最初からそうだったという解釈ですから、衝撃でし
た。いままでの議論は、政治資金規正法の素人同士の議論だったのでしょうか。
さて、皆様はどう思いますか。ここで、政治資金規正法の条文を確認したとして
も、その人の思想や経験・知識あるいは性格や立場が解釈に微妙に影響してきます。
法律解釈というのは、一筋縄では行かないことをご理解いただけたでしょうか。
2010.02.10(水)【【取締役の2年確定任期(その2)】(田中利和&梅田幸志)
田中:きのうの続きですが、会社法第332条第1項には、「取締役の任期は、
選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結
の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮する
ことを妨げない」と規定されています。
さて、「取締役の任期を2年とする」と確定任期を定款に定めることは、この
「ただし書」に該当するでしょうか。
梅田:きのう話しましたとおり、確定任期と不確定任期とでは、どちらが長期か
短期かは簡単には比較できません。例えば、選任後2年を過ぎて本条1項本文の株
主総会が開催された場合には、株主総会日(法定期間)よりも前に任期満了するた
め、短縮規定となり、選任後2年よりも前に本条1項本文の株主総会が終結した場
合には伸長規定になります。
田中:具体例でいいますと、3月決算会社で平成20年6月25日に選任された
取締役の任期は平成22年6月25日までですが、今年の定時株主総会が6月26
日以降に行われれば「短縮」になりますが。6月25日以前に行われれば、短縮に
ならないということですね。
梅田:そういうことです。したがって、短縮となった場合には結果的に何も問題
が生じないでしょうが、伸長となってしまった場合には、不適法な定款の定めとな
ってしまいます。委員会設置会社でも、会社法第332条第3項により、「取締役
の任期を1年とする」と定款に定めたい場合には、同様の問題が生じます。
田中:そんなに脅かさないでくださいよ。
梅田:われわれの顧客である非公開会社では、会社法第332条第2項により、
この問題は生じません。短縮も10年以内の伸長も自由だからです。ご心配は無用
です。
2010.02.09(火)【取締役の2年確定任期(その1)】(田中利和&梅田幸志)
会社法第332条第1項には、「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事
業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定
款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない」と規定され
ています。
この「2年以内に終了する」は「定時株主総会」ではなく、「事業年度のうち最
終のもの」を修飾し、定時株主総会が2年以内に行われる必要はありません。
さて、みなさん、「取締役の任期を2年とする」と定款等に定めることは、この
「ただし書」で許容されるでしょうか。
こんな疑問が生じ、次のような会話をいたしました。
田中:突然ですが、梅田さん、この332条ただし書きの「短縮」とは、どうい
った場合のことをいうのでしょうか。
梅田:面白い問題なので、検討してみました。
結論から言うと、取締役の任期を、1年とか2年とかという確定期間で定めるこ
とは、一見、短縮規定のように思われるでしょうが、そうでない場合もあり得ます。
本条ただし書の「短縮」の対象である「任期」には、次の2種類の概念があるため
です。
@ 確定期間………1年(間)とか、15か月(間)とか。
A 不確定期間……定時総会の終結時までとか。
田中:会社法の規定は、A型ですね。
梅田:したがって、「取締役の任期を2年とする」と確定期間を定めた場合に、
Aの不確定期間と、どちらがより長期か、短期かは簡単には比較できません。
田中:言われてみれば、確かにそうですね。では、「取締役の任期を2年とする」
という確定期間と、会社法第332条第1項本文の不確定期間とは、どちらが長期
又は短期になりますか。
梅田:本欄読者の司法書士のみなさんにも考えてもらいたいので、この答えは明
日にしましょう。
田中:いいですね。いつも、管理人の金子代表に、せっかく書いた投稿をボツに
されていますから、1回では引き下がれませんからね。
2010.02.08(月)【欠損と損失】(東京・金子登志雄)
5日の金曜日は東京司法書士会第2ブロック(江戸川支部など)のセミナーで講
師を務めました。テーマは、いつもどおり会社計算規則の改正です。
力を入れたのは「欠損」と「損失」の相違です。これに関しては、どこにもはっ
きりとした解説がなく、混乱気味ですが、目下の私の理解は次です。
次のような「純資産の部」があったとします。
資本金 1000万円
資本剰余金 1000万円
資本準備金 (1000万円)
その他資本剰余金 (−)・・・・A
利益剰余金 △600万円
利益準備金 (200万円)
その他利益剰余金 (△800万円)・・・・B
自己株式 △100万円・・・・・・・C
欠損というのは、剰余金の分配可能額(昔流にいうと利益配当限度額)が負の場
合であり、分配可能額は上記でいうと「A+B+C=△900万円」ですから、欠
損の額は900万円です。
損失というと、一般的にBを指し、損失補てんとは「A→B」の振替えをいいま
すが、利益勘定の合計が600万円なのに、資本勘定から利益勘定に振り替える損
額が800万円というのは不当ですから、600万円ということになります。
つまり、損失額は800万円なのに、損失補てん額は600万円というべきなの
か、損失概念自体が利益準備金を含んだ概念で600万円なのかは、はっきりして
いません(後者で考えた方が妥当だと考えています)。
いずれにしろ、上記の例で欠損てん補の名のもとに、利益準備金から200万円、
資本準備金から600万円を取り崩す事例が多いようですが、正確な意味で「欠損」
てん補するなら、資本準備金から自己株式分を含め700万円まで取り崩せます。
自己株式の存在する会社での欠損てん補の場合は、この点に気を付けるべきです。
2010.02.05(金)【3種類の商号変更】(東京・金子登志雄)
たまたま同時期に、@有限会社の合同会社への組織変更、A有限会社の株式会社
への移行、B有限責任中間法人の一般社団法人化の相談を受けたことがあります。
いずれも法人としての同一性は維持されるのですが、登記手続上は三者三様です。
@「有限会社の合同会社への組織変更」
有限会社は株式会社の一種であり、合同会社は持分会社の一種です。したがって、
「動物」が「鳥類」に変化するほどの会社の種類の変更となります。
「変更」とは、旧が消滅し、新が生成することでもありますから、法律上も、解
散と設立となり、有限会社の登記簿を閉鎖し、合同会社の新登記簿を起こします。
その結果、印鑑カードも新規に作成し、旧カードは失効します。ただし、実質は、
商号変更に過ぎないため、法人としての誕生日は維持されます。
A「有限会社の株式会社への移行」
有限会社も株式会社の一種ですから、同じ動物界の中の変化であり、猫が虎にな
るようなものです。法律上も名実ともに「商号変更」とされています。ただし、商
法時代から登記簿が有限会社と本来の株式会社のそれとで別々になっていたため、
登記手続上は、旧登記簿の閉鎖と新登記簿の作成が必要となり、@と同様です。
B「有限責任中間法人の一般社団法人化」
法令に基づく名称変更であり、登記簿をそのままに名称だけを変更します。「虎
太郎」改め「トラオ」になるようなもので、登記上の法人番号も引き継がれます。
実質はすべて同じですが、@ではガラッと会社形態が変更され、Bでは単なる名
称が変わるだけなのに対し、中途半端なAは、移行前の平取締役には住所が記載さ
ているが、移行後には住所が抜かれるなどの差が生じ、最もややこしい手続になり
ます。事業目的を同時に「変更」し、同時に増資したのに、登記上は「設立」です
から変更年月日を記載しないなどという問題も生じます。
2010.02.04(木)【執筆者としてのプライド(パート2)】(東京・富田太郎)
ある日のこと、『不動産登記の仕事』で銀行に行きました。いつものように、登
録免許税等をもらい、お札を数えていたところ、懇意にしている銀行の担当者から、
「あれっ???富田さん。金融機関のご出身じゃなかったのですか??」
つまり、「なに、この人?? 金融機関にいたのに?? 札束、数える手先が、
ぎこちない??」と、あまりの私の不器用な? お札の数え方に、思わず目を疑っ
たようでした(涙)。
私は金融機関出身といっても、総合リース会社出身で、在職中はお札など数えた
ことがありません。銀行員さん!不器用で悪かったですね!(怒)
話は変わって、昨年のNHKの大河ドラマで有名になった「直江兼続」には、次
の有名な話があります。
その昔、江戸幕府の頃、江戸城の応接の間にて、各大名が雑談をしておりました。
そのとき、かの『伊達政宗』が、手に入れた「珍しい小判」を自慢し♪これを順に、
各大名にまわし、見せびらかしていました。
が、『直江兼続』のところに、まわってきた時、なぜか、彼は直接手には取らず、
扇子の上に小判を載せました???
正宗曰く (兼続は陪臣のため、遠慮しているのか? と思い)
「苦しゅうないぞ、直江殿、手にとってご覧あれ!」
兼続曰く 「私の手は『戦の指揮を取る軍配』を持つためのもの(きっぱり)!
かかる卑しきもの(小判)など、手に取りたくはありません!」
兼続は、そういうと、扇子の上の小判を、ポンポンと宙に跳ね上げたのちに、さ
らに勢いをつけて伊達政宗に投げ返したそうです(ご立派!)。
この有名な話、細かな部分が異なったりすることから、後世の創作だと思います
が、この兼続の「崇高な気持ち」、私にはよく分かります。
私の手は、「お札を数える」ためのものではなく、『神聖な著作を執筆する』た
めのものです!
ふん!「お札を上手く数える」ことなど、全く興味もありません(きっぱり)!!
銀行員さん!お分かりになっていただけたでしょうか(ニヤリ)???
・・・・・・・・・・・・・
すいません。不器用な人間の「負け惜しみ」ですね・・・・。
司法書士の不動産業務では、頻繁にお札を数える局面があります。
あぁぁ〜、私もお札を、かっこよく、上手く数えてみたいものです(涙)!
2010.02.03(水)【裁判例からみた自筆証書遺言の問題点】(愛知・和出吉央)
前回(1月13日本欄)、「自筆証書遺言の不備」というテーマで自筆証書遺言
の「怖さ」をお伝えしました。今回は、その「怖さ」を、裁判例を通してさらに具
体的にお伝えしたいと思います。
―偽造が問題となった事例(一澤帆布工業事件)―
自筆証書遺言が偽造されたのではないか!?この点が問題となった最近の事例に、
一澤帆布工業事件があります。この事例を単純化すると、以下のとおりです。
舞台は、京都の人気老舗かばん屋です。先代が亡くなったのですが、顧問弁護士
が先代から預かっていたという自筆証書遺言には、「三男に家業を継がせる」旨記
載されていました(「@遺言」とします)。三男は先代とともに会社に入っていま
したから、この遺言は順当なものに思えました。
ところが、約4か月後、某銀行に勤める長男が、新たな自筆証書遺言があると主
張をしたのです。そして、その新たな自筆証書遺言には、「長男に家業を継がせる」
旨が記載されていたのです(「A遺言」とします)。
2つの遺言が出てきて、一澤帆布工業は大騒ぎとなり、長男と三男の争いは裁判
所へ持ち込まれました。裁判では、A遺言が偽造されたものかどうかが最高裁まで
争われた結果、“A遺言は偽造されたものではない”という結論に至りました。つ
まり、長男が勝利したのです。
これで一件落着かにみえましたが、実はこの事件はこれでは終わらなかったので
す。敗れた三男に代わり、今度は三男の妻が長男を訴えました。訴えた理由は、
「A遺言は偽造されたものである」。つまり、三男の妻は、三男と長男が裁判で激
しく争った争点を、三男に成り代わってもう一度裁判で争おうとしたのです。
この新たな裁判もまた最高裁まで争われました。以前、長男の勝利という判決を
下した最高裁ですが、何と今回は「A遺言は偽造されたものである」と判決を下し
ました。つまり、三男(の妻)が勝利したのです。
―結局何が言いたいかー
『もし、この2つの遺言が公正証書遺言だったら・・・』
長男と三男の争いは裁判にまではならなかったに違いありません。
公正証書に偽造という事態は起り得ません。法的には、あとに残した公正証書遺
言が有効となるのです。
一澤帆布工業事件は、結局、三男が勝利した形で終結しましたが、一連の争いに
よって、親族関係のみならず、経営面でも大打撃を受けてしまいました・・・。
残された家族へのラブレターが、紛争を生んでしまわないよう、しっかりと公正
証書にて遺言を残したいものです。
2010.02.02(火)【女子の涙】(岡山・山本直樹)
先日、弟の家に遊びに行ったところ、2歳になる姪(めい)から、夕食もそこそ
こに「遊んで〜遊んで〜」とせがまれたため、一緒にたっぷりと遊んであげました。
結構、疲れるものです。
姪も喜んでくれたのか、帰り際に、玄関先でわんわんと泣いてくれました。
・・・「本当に帰って欲しくないだなぁ。なんだか嬉しいなぁ。若い女の子を泣か
せちゃった」と、なんともいえない幸福感に浸りました。
後日、知人に姪の写真を見せながらその話をすると、
「なに馬鹿なことを思っているのですか。山本さんね、おもちゃ売り場で、子供が
泣いているの見たことあるよね? あれ何で泣いてるか分かるよね?
そう、おもちゃ買ってもらえないからです。おもちゃが手に入らないからです。
要するに、山本さんの姪が泣いたのは、『おじさん』という『大きなおもちゃ』が
手元から離れていくからですよ!!! それだけのことです」
何という説得力ある説明でしょうか。私は、大きなおもちゃにすぎませんでした。
いつも真実は見えにくいものです。若い女の子の涙には気をつけねばなりませんね。
2010.02.01(月)【職業と品格】(東京・金子登志雄)
朝青龍がまた事件を起こしたようですが、横綱をやめさせるべきでしょうか。
相撲に関心のない私は、「ヒール(悪役)がまた世の中をお騒がせしたか」と思
うだけで、それ以上に発展しませんが、報道では厳しい制裁(マスコミ制裁)がな
されているようです。
同じスポーツでもプロレスの世界では、ここまでは厳しい制裁を受けないでしょ
うから、品格が要求される職業の厳しさを感じてしまいます。
実にまずいことに(?)、司法書士法第2条にも「司法書士は、常に品位を保持
し」とあり、われわれにも、「品位」が求められています。それも「常に」です。
同僚諸君、酔って大声を出したり、電車の中でいかがわしい週刊誌を広げるのは、
司法書士法違反ですぞ。
ところで、非司法書士の皆様は、司法書士に品位や品格を求めていらっしゃいま
すでしょうか。弁護士・税理士に対してはどうですか。
おそらく弁護士に対しては、「少々品格は欠くが実力のある弁護士」を優先し、
「品格は十分だが実力は不十分な弁護士」には依頼しないでしょう。勝つか負ける
かの勝負の際には、どうしても実力が優先されてしまいます。
念のため、当・金子事務所は、実力はそれなりに備わり、最低限の品格も備えて
いるつもりですので、どうぞご安心ください。
というよりも、たまには品格を踏み外したくとも、酒も弱く若気の至りとも無縁
の年齢になってしまいました。ただひたすら、高級傘張り浪人の道に精進しており、
いまや、剣の道も忘れ、酒の席でも会社法の話しかしない面白みのない奴といわれ
ています。
2010.01.29(金)【株主全員と総株主】(東京・金子登志雄)
会社法の条文を仔細に読むと、@「株主の全員の同意」、A「株主全員の同意」、
B「総株主の同意」という3種類の言い回しが登場します。
どこが違うのでしょうか。法律条文は無意味なことをしませんから、背景に何ら
かの理由があるはずです。調べたことがあります。
@「株主の全員の同意」・・・株主総会招集の手続を省略する場合や、総会決議
を省略する書面決議に使います。ただし、この株主は、議決権株主など一定の
株主を指します。
A「株主全員の同意」・・・・主に定款変更の条件に使うようです。たとえば、
株主総会の特別決議で定款変更するだけでは足りず、追加して株主全員の同意
を要するなどという場合です(取得条項付株式への変更など)。この株主は、
定款変更で不利益を受ける株主を指します。
B「総株主の同意」・・・・・多数決(株主総会決議)で決定してはだめだとい
うときに使うようで、組織変更や取締役の責任免除のときに使います。この場
合は、議決権に関係なく全ての株主を指します。
沿革的理由もあろうと、旧商法を調べましたら、@については、「全ての株主の
同意」とあり、Bの責任免除が「総株主の同意」とあるだけでした。それ以外は、
会社法で新設された規定だからです。
まとめると、次の関係です。
@「株主の全員の同意」・・・株主総会の一部又は全部の省略の場合
★注:この場合の「株主」は議決権の存在が必要。
A「株主全員の同意」・・・・定款変更の特別決議の補完
★注:不利益を受ける株主保護規定のため、議決権は無関係
B「総株主の同意」・・・・・多数決に馴染まない場合
★注:議決権は無関係
Aの定款変更ですが、全員の同意を得るのなら、株主総会決議を必要としなくて
もよいように思うのですが、B型の規定ではないため、形式上は必要なのでしょう
(相澤ほか『論点解説 新・会社法』80頁)。@の書面決議と兼ねさせることに
なるでしょうか。
ちなみに、合名・合資会社などの持分会社では、Aの定款変更も「総社員の同意」
です。なぜなら、持分会社には「社員総会」というものがありません。基本中の基
本ですが、旧・有限会社法に「社員総会」とあったため、いまだに勘違いしている
方が少なくありません。ESG諸君は、大丈夫ですよね。
2010.01.28(木)【政治とカネ】(東京・金子登志雄)
「政治とカネ」の問題が騒がしいようですが、それとは全く無関係に、友人との
会話中に評論家の「小室直樹」氏の名前が出ましたので、よく名前は聞くが、どん
な人かとネット検索しましたら、Wikipediaに、次のようなエピソードが
紹介されていました。ロッキード事件の田中元首相に絡んでのテレビ発言です。
「政治家は賄賂を取ってもよいし、汚職をしてもよい。それで国民が豊かになれ
ばよい。政治家の道義と小市民的な道義はちがう。政治家に小市民的な道義を求め
ることは間違いだ。政治家は人を殺したってよい。黒田清隆は自分の奥さんを殺し
たって何でもなかった」
仰天でした。テレビでこんな乱暴な発言を堂々とする知識人がいるとは………。
しかし、人生の達人である年配者の中には、本音では同じように思っている人も
多いのが現状です。「黒猫も白猫もネズミをとる猫はいい猫だ」というわけです。
会社経営でも、程度問題ですが、少々は公私混同しても、会社の業績を上げている
社長のほうが、清廉潔白だが会社の業績を上げられない社長よりは、よい社長と評
価されるでしょう。
政治評論家の田中良紹(よしつぐ)さんのブログ「国会探検」にも、次のように
ありました(1月19日付「成熟政治と未熟政治」)。
「私が知る限り先進民主主義国で政治家に求められているのは『悪人であること』
である。何故なら国家の富を狙う他国から国家と国民を守るため、『騙し』や『脅
し』が出来ないようでは安心して政治を任せられないからである。国民の暮らしを
守り、外国と渡り合える力を持つ政治家なら、多少のスキャンダルなど問題にしな
い。それが『成熟』した国の考え方である。」
1月27日付「権力闘争の構図」でも、ロッキード事件では世界中に賄賂がばら
まかれたのに、要人が逮捕されたのは日本だけだと嘆いていました。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/01/post_206.html
以上の考え方には異論も多いでしょうが、政治や企業経営には、そういう要素が
大きいことも事実ですね。みなさんは、どう思われますか。きっと、年代によって
意見が大きく異なるのではないでしょうか。
なお、以上は、小沢問題とは全く無関係ですので、念のため。
2010.01.27(水)【がんばれ!「隠岐の海」】(島根・根来川弘充)
本年初投稿です。本年も皆様よろしくお願いします。
さて、大相撲の初場所では、朝青龍が優勝して盛り上がりましたが、わが島根県
では、別の力士で盛り上がりました。それが「隠岐の海」です。今場所は、十両の
2枚目で10勝5敗と好成績を残し、来場所の新入幕が確実になりました。
新聞によれば、郷土力士の新入幕は88年ぶりだそうです。この88年の間に、
島根県出身の総理大臣が二人誕生していますから、如何に珍しいことか分かってい
ただけると思います。
この「隠岐の海」、順調に番付が上がっていったわけではありません。幕下1枚
目で好成績を残し十両確実といわれたときには十両に上がれず、そこで奮起して次
の場所、幕下全勝優勝して十両昇進を決めました。
しかし、怪我をしてしまい二場所連続負け越して再び幕下へ………。そこから一
場所で十両に復帰して二桁勝利。そして先場所、2勝6敗くらいまでいって、「今
場所は負け越しか」と思っていましたら、そこから勝ち越しました。
今場所は、なんと初日から6連勝!!! これは十両優勝も…なんて期待をした
ら、その後3連敗………。
いままでは、残念ながら結果を新聞でみるしかない状況でしたが、それでもドキ
ドキしながらみていました。これからは、ダイジェスト放送(幕内以上を深夜にし
ています)でみることができそうです。
名前のとおり、隠岐の島町出身で24才。まだ若いですし、大銀杏も似合うなか
なかの男前で、スター性を感じています。是非、新入幕と言わず、大関、横綱と駆
け上がって欲しいものです。
みなさんも是非、注目してください。
2010.01.26(火)【執筆者としてのプライド】(東京・富田太郎)
その昔、俳優の『田宮二郎』は、映画界から追放された時期がありました。原因
は、彼の主演映画『不信のとき』(大映)の映画ポスターの「名前の順列問題」でし
た。
何と!! 主演であるはずの『田宮二郎』は、当初の映画ポスターの「名前の順
列」は4番手扱いでした。この順列に不満を抱いた彼は、当時の大映『永田社長』
と喧嘩をし、その結果、映画界を追放されたのです。
この行動については、人により評価が分かれますが、私は、『俳優のプライド』
として立派なことだったと思います。
話は変わって、本欄で紹介されましたとおり、『商業・法人登記300問』(神
崎満治郎、金子登志雄、鈴木龍介編著 テイハン)が出版されました。
http://www.teihan.co.jp/new/newtitle0912.htm
(皆様、お読みなられたでしょうか? 素晴らしい本なので、是非ご覧ください。
私、富田も2問ほど担当させていただきました)。
但し、本を手にしたときの、正直な感想は、私は、たった2問しか担当しておら
ず、その他大勢の執筆者の中の一人にしか過ぎず、「口が裂けても、私も書いた」
とは公言できないなというものでした。これは、執筆に従事する者としての「私の
プライド&美学」です(きっぱり)!
ところで、先日、某法務局の相談コーナーへ行きました。
なんと、なんと! 目の前の相談員の方の机に『商業・法人登記300問』♪
が、置いてあるではないですか!
お聞きしてみると、相談員さん「自費で買いました。内容もしっかりしています
ね。」
富田:「ニヤリ♪ 実はその本、私も!! 私も!! 書いているのですよ♪
ほんと、大変だったなぁ〜♪♪ (←よく、言いますね)」
相談員さん:「富田さんも書かれているのですか??」
富田:「はい!! 私も書きました(きっぱり)!!」
・・・・・・・・・・・
私は、卑怯者ですね・・・・(汗)。あぁ〜、私は到底、『田宮二郎』には、な
れません・・・・(涙)。
2010.01.25 (月)【法律家への神話】(東京・金子登志雄)
注目の「検察対小沢氏」の天下分け目の直接対決は、23日に第1回戦が終了し
ました。大手メディアの報道ではサンズイ(汚職)の大疑獄のような取扱いですが、
今のところ軽罪である政治資金規正法問題しか表面化していませんから、まだまだ
第2回戦も第3回戦もありそうです。
これ以上の政治的混乱はうんざりですが、今回ほど検察(及びマスコミ)に対す
る信頼が失墜したことがあったでしょうか。応援団のはずの検察OB(郷原信郎氏)
や、自民党の河野太郎氏のブログ(ごまめの歯ぎしり)、佐々木知子元自民党参議
院議員(元検事)のHPでも批判されている始末です。
同じ法律の世界(司法)で生活するものとして、検察への信頼の失墜は残念な限
りですが、西松建設がだめなら水谷建設と次々に変わる検察のシナリオや、強引な
捜査では、批判されても仕方ないでしょう。
冤罪確実な足利事件でも「検察=正義」という神話が崩れつつありますが、身近
なところでは「弁護士=全法律のプロ」という神話も、この数年の消費者問題や会
社法問題で崩れつつあるようです。よく「弁護士さんに会社法の相談したら、詳し
くないので驚いた」という話を聞きます。
しかし、これは、弁護士さんなら、法律の全部に詳しいと思う方がおかしいので
あって、どの弁護士さんにも外科・内科と専門分野がありますから、その専門分野
以外を質問しても期待した答えを得られるわけがありません。
もっとも、会社法専門の私も、「司法書士=不動産登記のプロ」という神話をが
たがたに崩している張本人の一人です。神話は、情報社会には合わないようです。
2010.01.22(金)【会社法319条の提案権者】(東京・金子登志雄)
会社法319条によると「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について
提案をした場合に、株主の全員がその提案に同意すれば株主総会の決議があったも
のとみなす」(要約)とあります。
この規定につき、会社法の教科書では最も権威があるといわれる江頭『株式会社
法[第3版]』338頁に、この取締役の提案は取締役会決議によらねば総会決議取
消の瑕疵(かし)を帯びるとあるが、本当かとの質問を受けました。
確認しましたら、そのとおりでした。しかし、天下の大御所の意見に対し、私は、
実務家の立場から、その必要はないと回答しました(商法時代から立法担当者見解
も同じです)。
株主総会は、
@取締役会による招集の決定(298条4項)
A代表取締役による招集手続(299条)
B開催・審議(議論)
C多数決による決議(309条)
と進行します。
本規定は、
A:取締役又は株主が議案を提案
B:株主全員が個々に同意
であって、上記@ABCを省略し、Cがあったとみなすものです。いわば、一連の
手続を不要とした「略式株主総会」ともいうべきものです。
言い換えれば、「会議体である株主総会ではない」のに株主総会の決議があった
ものとみなすものですから、議案の決定を含む@も不要です。それゆえにこそ、株
主の提案についても、株主総会の場合に必要な「総株主の議決権の100分の3以
上の議決権」を保有していることや「裁判所の許可」を要件としていません。
それどころか、提案者の株主は議決権なき株主でもよさそうです。株主全員の同
意に主眼があって、極論すれば、提案者が誰であるかに重きが置かれていません。
会社法(旧商法も)で「取締役」とあるときは、代表権を有する取締役を指すこ
とが多いのですが、ここは、株主総会の関係者として取締役と株主が提案者として
規定されているだけでしょう。
2010.01.21(木)【物騒な世相】(東京・金子登志雄)
静かに穏やかに暮らしたいのに、なんとなく物騒な世相になってまいりました。
マスコミの小沢バッシングに触発されたのか、インターネット上では、辞めろコー
ルが飛び交い、とうとう民主党に銃弾が送られたようです。先般は、高崎駅で愚か
者が小沢氏に接近し、「おらぁ、山形に帰れ」と怒鳴った事件もありました。
小沢氏が岩手であることも知らないこの手の愚か者は、報道による世間の空気の
変化を察知し、誤った義憤のもとに行動を起こすのでしょうが、小沢問題を「政治
改革派VS官僚主権派(霞が関)」の関ヶ原の戦いとみる人が多いのに、早とちり
には困ったものですが、それ以上に、その早とちりをけしかけるような報道ぶりに
恐怖を覚えてしまいます。
そういえば、その昔、鈴木宗男議員に対するバッシングのときも、ソ連のムネオ
ハウスがどうのこうのとか、師である中川一郎を自殺に追い込んだ裏切り者などと
報道されたなと思い出し、鈴木氏のホームページをみてみましたら、やはり報道に
怒りをぶつけていました(19日付)。
「私の場合も、検察は最初から『鈴木ありき』で、『ムネオハウス』、『北方領
土での三井物産ディーゼル発電供与』、『アフリカODA』で捕まるとリークし、
鈴木は悪い奴だと世論誘導した。8年前のやり方と今回の石川代議士、小沢幹事長
の件も同じではないか。裏付けのとれない一方的リークを載せること自体、公平で
ない。」
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201001.html
当時は、私も鈴木氏を極悪人と思い込んでしまったので、上記の愚か者と大差あ
りませんでしたが、昔の「イエスの方舟事件」等の経験を踏まえ、過熱報道の際は、
意識的に冷めた目で判断するように心掛けています。幸い、いまはインターネット
でマスコミ報道と相違する情報も大量に得られるようになりました。
かの米国では、ただいまタイガーウッズ・バッシングのようですが、やはり噂の
たぐいや、あることないことを記事にしていることも多いことでしょう。マスコミ
は、嫉妬心の強い庶民のニーズ(?)に応えて、芸能人や政治家あるいは各界の成
功者のスキャンダルやバッシングが大好きのようですが、こうして有能な人たちが
次々にマスコミの餌食になって潰されていく姿をみると、いやな世相だなとつくづ
く思います。
2010.01.20(水)【常任代理人】(東京・金子登志雄)
上場会社が100%子会社を吸収合併する際は、簡易合併という制度を利用し、
株主総会の決議を経ずに行うのが一般です。その代わり、株主には、〇〇会社と合
併しますよという通知を公告をもってし、株主に異議があれば、「合併に反対だ」
とか「株式を買い取れ」という権利が与えられています。
100%子会社を吸収合併するのに異議があるわけはない、もし、合併に反対で
あれば市場で売却すればよく、わざわざ面倒な会社に対する買取請求を行使するこ
とがあるわけがないと、ずっと思われていました。
ところが2年ほど前から、簡易合併する旨の情報開示をすると、ほぼ確実に「合
併に異議を出す場合の手続について教えてくれ」という問い合わせが株主から入る
ようになりました。
担当者としては、真っ青です。想定していないことが起きて、今後どうしようか
とパニックになります。
実は、これは外国に居住する株主等の日本国内における代理人(常任代理人とい
います)の仕業(しわざ)であり、株主本人が反対した場合の手続を事前に知って
おきたいというだけの話です。
なら、「私は御社の株主の代理人で〇〇といいますが、株主本人に簡易合併のこ
とを詳細に連絡したいので、異議を出す場合の手続等につき、知りたいのですが」
と丁重に連絡すればよいのに、いきなり「いつ合併に反対すればよいのか」などと
いわないでほしいものです。
これから3月や4月に合併する会社の方は、もし、そういう電話がありましたら、
「電話のかけ方の勉強をしてから、出直してこい」と怒鳴りつけてもかまわないの
ではないでしょうか。
2010.01.19 (火)【新株予約権と株式分割その2】(東京・金子登志雄)
15日金曜日の本欄で「新株予約権1個1株3万円につき、1株を3株に株式分
割すると、株数のみが変わって、1個『3』株3万円になる」と書きました。
では、新株予約権1個1株1万円の場合は、1個3株1万円になるということで、
よろしいでしょうか。
通常の感覚であれば、そのとおりということになりますが、実例では、そうなり
ません。というのは、株式分割があった場合の行使価額が「新株予約権そのもの」
の行使価額の調整式になっておらず、「新株予約権の目的となる株式1株あたり」
の行使価額の調整式になっているからです。
本件でいうと、株数は3倍の3株、「1株」あたりの行使価額1万円は3分の1
である3333.33………となるところ、小数点以下を切り上げて、3334円
にすると定めるのが圧倒的多数です。そうすると、1個3株1万2円となり、株式
分割したために、1個あたりの行使価額が2円も増えてしまいます。
当初から、これはおかしい、新株引受権から新株予約権に変わって何個と数える
ようになったのだから、行使価額の調整式も新株予約権自体の行使価額の調整式で
あるべきだと個人的には思ってまいりましたが、私の知る限り上場会社の実例の全
部が新株引受権時代からの慣例で「1株あたり」の行使価額の調整式になっている
ため、最近では、慣行優先で私自身も対応するようになりました。やはり、お客様
には、他社と変わった特別なことをお勧めできません。
上記についても、『商業・法人登記300問』に記載済みです。
http://www.teihan.co.jp/new/newtitle0912.htm
2010.01.18 (月)【すごいぞ!プレートル氏】(島根・渡部浩義)
私は楽譜はまったく読めず、楽器も弾けませんが、たまには、音楽の話でもいか
がでしょうか。
近時の元旦の夜に楽しみにしている番組に「ウィーン・フィル ニューイヤーコ
ンサート」中継があります。
特にここでのアンコール曲の定番になっている『ラデツキー行進曲』(作曲:ヨ
ハン・シュトラウスT世)の演奏が、音楽素人の私には楽しみです。今年のコンダ
クターは、ジョルジュ・プレートル氏であり、昨年の元旦に続いての登場でした。
http://www.universal-music.co.jp/classics/release/m_topics/umcl200801/uccd1203.html
もう、ジョルジュといったら、大きな身振りやタクトはさして使わず、茶目っ気
たっぷりに片手5本の指先の動きと、唇の動き、左右に軽く振る腰の動き、そして
必殺のウインクで、奏者らはもとより何百人という会場の聴衆の手拍子をも操って
しまうのです。見事としかいいようがありません(御歳すでに85歳!さすがフラ
ンス人!)。会場にいる奏者、聴衆の誰もが楽しそうで幸せそうです。
このジョルジュ氏の指揮の様子は、平素、ESG金子登志雄、富田太郎の両氏ら
が『会社法』に取り組み、これを操る様子に通じるものがあるように思えましたが。
命あるうちに一度は、自称“サックスプレーヤー”の家内とともに、仕立てのよ
い服を着て、ウィーンの古い石畳の町並みを散策し、ホール全体が芸術品のような
ウィーン楽友協会大ホールのシートに腰掛け、ニューイヤーコンサートは無理にし
ても、ウイーン・フィルのコンサートに接してみたいものです(そういえばウイー
ンでは、かのフェルメールの傑作の1枚『絵画芸術[Tbe-Art of Painting]』も、
私を待っているはずです。)。
私も、プレートル氏のように洒脱な“身のこなし”で操れるような仕事の上での
「得意分野」を何かひとつ開拓したいと念じた今年の正月休みでした。
おかあちゃん、今年は「女房『笛吹き』、亭主『ホラ吹き』。」との地元での私
に対する評価も変じさせて、少しでも“ウィーン”に近づけるように仕事を頑張る
からね。
2010.01.15(金)【新株予約権と株式分割】(東京・金子登志雄)
新刊の『商業・法人登記300問』につき、さっそく知り合いから「他の本に書
いてない視点が数多くあるので、助かる」と、お褒めの言葉、要するに、お世辞を
いわれました。
1つご紹介しましょう。
Q88 新株予約権と株式分割(その1)
当社は1個につき1株を与える新株予約権を発行していますが、このたび、1株
を3株にする株式分割を実行することにいたしました。これで3個3株になると理
解してよろしいでしょうか。
A
新株予約権の個数は不変です。1個3株になるだけです。
【解脱】
株式分割は株数を増加させる方法であって、新株予約権の個数を増加させるもの
ではありません。
「発行する新株予約権の総数/〇〇個 なお、新株予約権1個あたりの目的とな
る株式数は1株とする。ただし、……に定める株式の数の調整を行った場合は、同
様の調整を行う」
などと定める例が多いのですが、これは「株式の数」の調整であって、新株予約
権の個数を調整するものではありません。
たとえば、1個1株で、1個あたりの行使価額が3万円だったとします。これが
3個3株3万円になるとすると、行使価額が1個1万円に減額してしまいます。株
式分割前は、1個につき3万円を用意しなければならなかったのに、株式分割後は
1個につき1万円というのは、不当というべきでしょう。
よって、1個3株3万円になり、「1株」あたりの行使価額は1万円になるが、
「1個」あたりは3万円のままであると考えるべきです。
〔金子登志雄〕
2010.01.14(木)【『中小企業の法務リスク対策』の紹介】(岡山・山本直樹)
私の知り合いに中小企業のサポートを熱心にしている司法書士がおり、昨10月
に『中小企業の法務リスク対策』を上梓しましたので、ご紹介させていただきます。
http://shop2.genesis-ec.com/search/item.asp?shopcd=17262&item=978-4-502-98730-4
中小企業の抱えるトラブルを未然に防止するための考え方・ノウハウが書かれた
書籍であり、あるときは法律を武器に、またあるときは法律の常識を超えたアイデ
アで問題を解決(問題が発生しないよう対策を)していく内容です。
「経営者と相続」に関しては、種類株式の活用や遺言の活用方法が、「株主」に
関しては名義株や行方不明株主対策など実務的に非常に悩ましい問題に関する解決
指針や株主間契約の活用など新しい提案もされています。
また株式の譲渡に関する課税の考え方がストーリー仕立てでわかりやすく説明さ
れています。
中小企業の経営者はもちろんのこと、中小企業をサポートする資格者にもぜひ読
んでいただきたい書籍です。
本書籍にも書かれていることでありますが、どんなに形式上よい制度設計をして
も、中小企業の経営環境においては、会社と株主間に争いがあったり、経営権をめ
ぐる紛争が発生した時点で、経営的には敗北であり、制度設計をする上で、会社と
株主あるいは株主同士の利害を適切に調整し、紛争予防や経営方針の合意形成に主
眼をおくべきであることを心がけてアドバイスしたいものです。
2010.01.13(水)【自筆証書遺言の不備】(和出吉央)
先日、相続登記の仕事で、自筆証書遺言の記載内容をめぐって法務局とひと悶着
ありましたので、今回は「自筆証書遺言の不備」というテーマで、一般的なお話を
します。
自筆証書遺言は手軽に作ることができるというメリットがある反面、以下のよう
な形式上・手続上の問題点やデメリットがあります。
@遺言の内容・財産の特定が不明確になりやすい
例えば、「私の所有する自宅裏の土地を長男○○に与える」という遺言だった場
合、どの不動産を与えるのか特定できないので、名義変更(登記)もできないとい
う可能性があります。
類似事例で、今、法務局へ問い合わせ中です。
実務的な話になりますが、結局、相続全員の実印押印+印鑑証明書添付の「この
土地に違いない旨」の上申書で登記を通してもらうことになりそうです。
(せっかく遺言を作成して手続を省略化しようとしたのに・・・)
A法律上の形式要件を満たしていないことがある
法律で定められた形式要件に反する遺言は無効とされます。
【無効例】
* ☆押印(認印可)がない。
* 1枚の紙に夫婦が共同(連名)で遺言をしている。
* 日付の記載はあるものの「平成○年○月吉日」となっている。
* 訂正があるが、その部分に署名押印がない。
B検認手続が必要となる
家庭裁判所にて検認手続を済ませなければ、不動産の名義変更(登記)等、一定
の手続ができません。また、長い間検認申立をしないままですと、遺言書の隠匿に
あたり、相続欠格事由に該当する可能性もあります。
上記のように、自筆証書遺言には形式上の多くの問題や落とし穴があります。
さらには、誰にも知られない(第三者が関与しない)が故に、裁判例に見られる
ように、筆跡(偽造)問題・意思(能力)問題等がつきまとうこととなります。
次回、裁判例を取り上げた一歩踏み込んだお話をしたいと思います。
2010.01.12(火)【『商業・法人登記300問』出版】(東京・金子登志雄)
テイハンという登記関係の書籍では老舗で権威のある出版社から、表題の単行本
が出版されました(今週中には全国の大手書店に並ぶことでしょう)。
http://www.teihan.co.jp/new/newtitle0912.htm
私もお誘いを受け編集側の1人として名前を連ねていますが、自分でも多数の項
目を執筆しただけでなく、当ESGの会員・会友の大勢のメンバーにもご協力をお
願いし、執筆していただきました。その結果、1年以上もかかって、やっと出版に
こぎつけた苦労の結晶です。
こういう書籍は、通読する必要がなく、問題点ごとに検索して利用できる点で、
司法書士や法務局職員等のニーズに合っていると思います。とくに、法務局の相談
コーナーにあると便利だと思いますが、ありがたいことに、すでに都内の某法務局
では、法務局職員が自腹でご購入済みだとの話も伺っております。
昔、実力派の某司法書士が「法務局職員が読む書籍は必ず購入せよ、さすれば電
話で〇〇本の何頁をみよで話が通じる」と話していたことがありますが、テイハン
の出版する本には、この要素が多く、本書も、その1つになることでしょう。ぜひ、
司法書士各位には、事務所に一冊必備をお願いしたいものです。
なお、登記の本とはいえ、登記の周辺部分についても、多くの論点を挿入しまし
たので、法律事務所や会計事務所あるいは企業の法務部にも役立つ本だと思います
ので、ぜひ、書店にてご検討くださいますようお願いします。
2009.01.08(金)【自然体が一番】(東京・金子登志雄)
昨日の富田氏の投稿ではありませんが、精神の安定には大望(?)を抱かず、「頑
張らないこと、無理しないこと」が一番です。
「1年の計は元旦にあり」と努力目標や無理な計画を定めても、どうせ3日坊主で
できないことは明らかで、「何と意志薄弱だ」と後悔するくらいなら、最初から、目
標も計画を立てないに限るというのが私のオレ流です。
生活面においても、現状をありがたく受け入れています。
私の子供の頃は、テレビもなし、トイレは家の外で汲み取り式、飲料水は井戸水、
風呂は薪、冷蔵庫もなし………でしたが、今は、蛇口をひねればお湯が出てくる、ト
イレは水洗、深夜でもコンビニが開いている………、もう別世界の天国です。ありが
たいことです。
いつも、こんな調子で生きていますから、司法書士になって10年以上なのに、い
まだに1人事務所です。開業以来一貫して、のんびり助走中で、飛び立つ気配さえあ
りません。
先日、上場会社の総務部長さんがわざわざ来所してくれたのに、お茶出しの従業員
もおらずで、申し訳ない思いをいたしましたが、それを仲間に語ったところ、「金子
先生の理想は、上級傘張り浪人(職人)でしょ。浪人に従業員がいたらおかしいです
よ」と慰められました。
そうでした。私の生きざまは、どこにも仕官せず、ひたすら傘張り技術を磨くこと
でした。「健全なる法務能力は、健全なる1人事務所に宿る」です。誰も相談相手が
いないからこそ、必死で考える………、これが勉強になるのでした。
2010.01.07 (木)【謹賀新年(新年の抱負)】(東京・富田太郎)
皆さんは、新年にあたり「今年の目標・抱負」として、何を計画されたでしょう
か?
私は、今年こそは、
@土日はきちんと休み、WP生活から脱却すること
A単行本「楽学 会社法」を完成させること
です♪
ところで、正月休み中、久々に古典を読んでいました。そのなかで、面白かった
のが、「デキムス・ユニウス・ユべナリス」(Decimus Junius Juvenalis 古代ロ
ーマ時代の風刺詩人)に関する本でした。
ユべナリス?? 誰? その人??
彼のことを知らない人でも、彼の次の有名な言葉はご存知でしょう♪
☆『健全なる精神は健全なる身体に宿る』
・・・・が、どうもこの言葉、諸説はありますが、本来のユべナリスの主張する
ものとは、全く違うものだったようです。
元々の彼の言葉は(『風刺詩集』第10編)、
★『健やかな身体に健やかな魂が願われるべきである』
というもので、大意は、「美人、金持ちになることを祈っても、なかなか手に入
りにくい。また、たとえ手に入ったところで、かえって、心配事が増えるだけ。
(もし、願うとすれば)『慎ましく心身の健康だけを願う』といった程度にしてお
きなさい。」といった意味のようです。
または、詳細は省略しますが、他にも『当時の若者が筋肉ばかり鍛えていて、精
神の鍛錬を怠っているのを嘆き、それを皮肉った風刺』の意味もあったようです。
・・・・・・・・・・・・・
なんと!!もともとは「大望を抱くな!」という意味だったようです。
それが、時代を経ていくうちに、ナチス・ドイツを始めとする軍事政権がスロー
ガンとして「健全なる精神は健全なる身体に宿る」(身体が健全であれば、精神も
また健全である。よって、身体を鍛えなさい。)の意味で使い出し、戦後は、スポ
ーツ指導者達によって、世間に流布されていったようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・
なにやら、「立派な格言」と信じていたのに、本来の意味は「大望を抱くな」と
は・・・。
すいませんでした・・・。正月から、気の抜ける話で・・・・(汗)。
(PS)
年末、我がESGの御大からメールがありました。
その内容は、「昔は、病気になっても近くに医者はなし。ひたすら安静にするの
みだったが、今は便利になって天国です。これ以上、何を要求する必要があります
か。欲があるとすれば、このささやかな天国を満喫したいのみ。」
この「ささやかな天国」とは、きっと「会社法」のことでしょう。
この御大、まさに、現代の『ユべナリス』ではないでしょうか・・・・(汗)。
2010.01.06 (水)【謹賀新年(マニア)】(島根・渡部浩義)
みなさま明けましておめでとうございます。よいお正月を過ごされたことと思い
ます。今年は「寅駈ける」、よい意味で躍動的な年となりますように願いたいもの
です。
さて、何でも“1番”を目指し、獲得したいというのは普通の人間の心理だと思
います。唐突ですが、公職選挙法に基づく選挙投票が行われる際、その投票所にお
いて、最初に投票する人に与えられる“ある特権”をご存知でしょうか。
それは、その投票箱の中が空っぽであるということを立会人と確認することがで
きる(しなければならない)ことだそうです。
大学生時代にこの話を聞きつけ、初めての国政選挙(たしか衆議院議員選挙だっ
たと記憶します)において一番乗りをめざし、投票開始時刻の午前7時よりも1時
間も早い6時ごろ、友人達とにぎやかに投票所に出かけましたところ、既にそこに
できている長蛇の列に唖然としたことがあります。
「にいちゃん達、若いのに早起きやなー。しかも、選挙に来るとはたいしたもん
や。」と並んでいるお父さんに声をかけられました。「あのーっ、1番になるには
何時ごろ並べばいいんでしょうか。」と尋ねれば、「箱の中が見たいんかい? だ
ったら、昨夜のうちに並ばなーな、難しーでー。」 「・・・・・・・。」
ところで、私が司法書士の業界に勤務者として入った20年以上も前、「今年は
何箇所の登記所で登記の当年第1号の受付番号を取得できるか、」ということに燃
えていた頃がありました。不動産登記のみならず商業登記でもダブルで取得したい。
提出先が大規模庁か否か、何時ごろ庁舎玄関前に並べばよいか、付近にどのような
同業の事務所があり、そこにどのような職員がいるか、また、数庁狙いたいときは
どのように行程をとるか...。 若かった!
が、この“受付第1号取り”にも思わぬ“伏兵マニア”が存在していたのです。
某登記所における私のライバルは、さる大学の教授でした。この方、権利の得喪を
きたさない自分の所有地の『合筆登記』を、毎年御用始めの日に提出され、まんま
と第1号登記証を取得の後、間髪入れずに『合筆抹消登記』を提出されるのです。
そして、毎年この繰り返し...。 完全に脱帽です。
当時、1120庁あった登記所も、現在では484庁(不動産管轄庁−2008.
9.1現在)。しかも、当時と決定的に違うのはオンライン申請制度が導入されて
いることです。狙って第1号は取れなくなっています。今年も、昨年12月28日
の午後5時15分から午後8時までの間にオンライン申請された登記申請が、コン
ピュータのお導きにより、多くの登記所において本年第1号の受付番号を取得した
ことでしょう。
今年も、島根からよろしくお願いします。
2010.01.05(火)【謹賀新年】(東京・金子登志雄)
新年おめでとうございます。
正月の天気は大荒れでしたが、ご家族とともに穏やかな日々を過ごされた方も多
いことと存じます。
わがESGのお仲間もそれぞれの休暇を満喫したようですが、私も高校時代まで
育った群馬県(北部ではないため雪は積もりません)に帰省したり、家族と一緒に
食事に外出したりで、正月ばかりは、いつもの「一人マイペース」を封印いたしま
した。
さて、正月のテレビによると、初売りの福袋に長い行列ができている様子が大き
く取り上げられ、不況はどこの国の話だという感じでした。
思わず、当ESGグループも福袋を出すと、行列ができるかなと思ってしまいま
した。本年は、昨年の後半からの延長で企業の基盤を固めるための増・減資とグル
ープ再編が増えそうですから、「増減資、組織再編、それに伴う不動産登記」など
の安売り券や司法書士指名券を入れた福袋などはいかがでしょうか。各種のプロが
揃っており、全国の司法書士とも提携できますが………。
しかし、テレビに映る行列は若い女性ばかりでした。司法書士業務の商品(?)
は、女性に魅力がなさそうですから、イケメンの独身司法書士を揃えても、行列は
無理そうですね。
小細工をせずに、本年も地道に王道を歩みましょう。本年も、相変わりませず、
当ESGグループをよろしくお願いします。
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