合併再編等会社法手続の実績は最大級!【ESG法務研究会】

【お知らせコーナー】

*合併・再編・種類株式等の会社法手続のご相談は、「ご相談の窓口」にどうぞ。

                                *「マンガ司法書士&開業成功」の抜粋
  
               ※拡大画像はここをクリックください。↑mangasihoushosi.pdf へのリンク

◆◆お知らせ(1)◆◆

 『ずばり解説!会社の計算〜基礎から応用まで〜』(東京司法書士協同組合)が
出版されました。
      http://tsknet.jp/doc/topics/zubari_keisan1.pdf
    (目次)
      http://tsknet.jp/doc/topics/zubari_keisan2.pdf
    (正誤表)
      http://tsknet.jp/doc/topics/zubari_keisan3.pdf

 どなたでも(非司法書士でも)お申込みできますので、パンフ1頁の右下枠内に
あるとおり、【郵便局にある郵便振替用紙】により、早めにお申し込みください。
市販(書店販売)はされていません。

◆◆お知らせ(2)◆◆

 1月21日発売のビジネスロー・ジャーナル誌3月号の特集「会社法改正をど
う理解するか」に、金子が登場しています。ぜひ、ご覧ください。

  http://www.businesslaw.jp/contents/201203.html

【徒然日誌】

2012.02.09(木)【中間試案への論評その7】(金子登志雄)

 論評その7は、次の提案についてです。

--------------------------------------------------------------------------
(2) 発行可能株式総数に関する規律
 @ 株式会社が株式の併合をしようとするときに株主総会の決議によって定めな
  ければならない事項(会社法第180条第2項)に、効力発生日における発行
  可能株式総数を追加するものとする。
 A @の発行可能株式総数は、株式の併合が効力を生じた時における発行済株式
  の総数の4倍を超えることができないものとする。ただし、株式会社が公開会
  社でない場合は,この限りでないものとする。
 B 発行可能株式総数についての定款の定めは、効力発生日において、@の株主
  総会の決議に従って変更されるものとする。
--------------------------------------------------------------------------

 現行会社法は、「株式併合は株式併合、発行可能株式総数は発行可能株式総数」
というデジタル思考ですから、株式併合しても、発行可能株式総数に影響しません。

 旧商法時代は、株式併合のみを決議したときは、自動的に同一比率で発行可能株
式総数も減少するというアナログ思考でした。

 上記の中間試案は、発行済株式の総数1000株、発行可能株式総数3000株
の公開会社A社が2株を1株に併合し、発行済株式の総数を500株にしたときは、
発行可能株式総数も、その4倍の2000株以下に定めよという内容です。発行可
能株式総数は株式併合と同一比率の1500株にまで自動的に減少するというもの
ではないため、旧商法そのものとは相違しますが、それに近い内容で、旧に復帰す
る改正案といえましょう。

 A社が種類株式発行会社で、普通株式600株、甲種株式400株を発行し、そ
れぞれ発行可能種類株式総数が1500株、1500株のとき、普通株式の3株を
1株に併合したとき、発行済株式の総数は600株(普通株式200株、甲種株式
400株)ですから、その4倍は2400株です。

 発行可能株式総数を2400株以下にしないといけないわけですが、発行可能種
類株式総数はそのままでよいでしょうから、種類株式発行会社では、株式併合で発
行可能株式総数と発行可能種類株式総数の合計数が不一致の会社が多くなることで
しょう。

 法律上は何の問題もありませんが、世間一般からは奇異な感じを持たれてしまい
そうです。

 同時に、発行可能種類株式総数も変更すればよいわけですが、これについては、
「定款一部変更の件」という議題にしないとまずそうです(発行可能株式総数の減
少は「株式併合の件」の中で決議すれば、定款変更とみなされます)。


2012.02.08(水)【合併理解度テストその2】(金子登志雄)

 お待たせしました。下記の6頁の最もおかしな部分です。

  http://www.moj.go.jp/content/000057730.pdf

 2条2項に「甲が発行する株式数の合計に1株未満の端数株式が発生した場合に
は、これを切り上げることとし」とありますが、2条1項と矛盾しませんか。

 具体例で考えましょう。乙の発行済株式の総数が40株で、内訳はA11株、B
13株、C15株、乙の自己株1株だとして、乙の1株に甲の0.5株を割り当て
る合併だといたしましょう。

 乙の自己株式には割り当てられませんから、割当て対象は乙の39株です。これ
で計算しますと、合併対価は「39株×0.5=19.5」になりますが、会社法
234条の端数処理により、0.5株は切り捨てられ、結局のところ、合併対価は
19株です。

 具体的には、A5.5株、B6.5株、C7.5株になるところ、端数の合計が
1.5株となり、この合計の端数を切り捨て、A5株、B6株、C7株とし、切り
捨て後の端数合計の1株を売却処分し(234条2項)、その代金をABCに配分
します。

 このように合併対価は甲株式19株(5+6+7+1)が正しいのに、上記の契
約書では、19.5株を切り上げて20株だというのです。

 合併対価が20株だとすると、「乙の1株に甲の0.5株を割り当てる合併」で
はなく、「乙の39株に甲の20株を割り当てる合併」になります。最初からこう
いう合併であるなら、契約書2条1項の書き方と矛盾が生じます。

 いずれにしろ、法務省の内部で練り上げた契約書ではなく、合併に不慣れな方の
作文を公表してしまったのでしょう。

 もう慣れっこになってしまいましたが、小泉改革あたりから、官庁も手抜きが増
えました。自分の身は自分で守りましょう。


2012.02.07(火)【合併理解度テストその1】(金子登志雄)

 法務省のHPに合併契約書の見本があるというので、みてみました。下記の6頁
でしたが、この頁を一読して、おかしいところをみつけてください。貴方の合併あ
るいは会社法に対する理解能力がわかります。

  http://www.moj.go.jp/content/000057730.pdf

 何かみつかりましたか。 

 まず、合併契約書2条3項に「本合併に際して発行する甲の新株式に対する利益
又は剰余金の配当は、効力発生日から起算する」とあります。

 この「利益又は剰余金の配当」という表現は、利益が剰余金でないような書き方
で不適切です。会社法では、「利益の処分としての配当」という考え方を捨て、配
当は会社財産の払戻しと構成しています。したがって、その他利益剰余金を原資と
する配当とその他資本剰余金を原資とする配当は、ともに剰余金の配当です。

 また、この条項の記載では、配当の起算日を効力発生日としており、日割配当を
肯定するもので不適切です。会社法454条3項でも、株数に応じて割り当てよと
あるだけで、いつから株主になったかを基準としてはいません。会社法は日割配当
を禁じているということです。

 次に、3条ですが、合併で受け入れる合併効力発生日時点の株主資本等変動額は、
予想数値で、かつ概算でしか分からないはずなのに、「増加するその他資本剰余金
の額 金○○万円」と具体的数値で書いています。株主資本等変動額と合併契約書
3条の合計額との差は、どこに計上されるのでしょうか。その他利益剰余金などに
はなりません。会社計算規則35条2項本文に「利益剰余金の額は変動しない」と
あるとおりです。

 会社法749条1項2号イに「資本金及び準備金の額に関する事項」とあるとお
り、いくらになるか不明な「その他資本剰余金」については額を記載する必要がな
いのです。

 おそらく、この見本を作成した方は、合併契約時点の消滅会社のその他資本剰余
金の額をここに写して、その後の変動は、のちほど調整すればよいとでも思ったの
でしょうが、この合併契約の内容は、明らかに会社計算規則35条1項の合併です
から、消滅会社の利益勘定も含んだ株主資本等変動額から増加資本金と増加準備金
を控除したものがその他資本剰余金になります。

 今日のところは以上ですが、実をいうと、もっとおかしな部分があります。それ
は明日に回しますので、それまで皆さんも明日の内容を想像してください。


2012.02.06(月)【著書の「推薦の辞」】(金子登志雄)

 「会社法を司法書士の手に!」を合言葉に、全国の多数の司法書士を会員とする
「商業登記倶楽部」(神ア満治郎先生・主宰)のHPをみていましたら、「主宰者
からのお知らせ」欄で、会員を対象に、先生が『ずばり解説!会社の計算』につき、
推薦の辞を書いてくださっていることに気づきました。ありがたいことです(会員
向けのため一般の方にはみえません)。

 (商業登記倶楽部)
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~legal/public/STClub2.htm
  
 そこにもありましたが、会社法以降、登記申請の添付書面として「資本金の額の
計上に関する証明書」や「一定の分配可能額又は欠損の額が存在することを証する
書面」が加わったため、司法書士は嫌でも会社の計算を勉強せざるをえなくなって
しまいました。

 具体的には、吸収合併等で資本金の額を増加させる場合に、その額が株主資本等
変動額の枠内であること等を証明する必要がありますし、分配可能額や欠損の額ま
で計算することができないと商売にならなくなったのです。

 本欄読者で非司法書士の方はきっと「そんなことは会計の専門家である公認会計
士や税理士さんに計算してもらえばよいじゃないか」と思いませんでしたか。

 ところが、「株主資本等変動額」「分配可能額」「欠損の額」といっても、ある
意味で会社法上の専門用語ともいえますから、意味も通じない会計事務所さんが多
いのです。

 それどころか、平成13年の商法改正(いわゆる金庫株改正)から登場した「そ
の他資本剰余金」についても、何のことか意味も通じない街の会計事務所・司法書
士事務所・法律事務所が圧倒的多数でしょう。

 そんなことを知らずとも十分に暮らせる方はうらやましい限りですが、そのうち、
「そんなことも知らないのですか」と顧客の経理部や総務部にいわれる時代も遠か
らず到来することでしょう。会社法施行後6年が経過する本年5月1日までには、
ぜひマスターしていただきたいものです。

 ただし、司法書士の皆さん、私より詳しくなることだけはやめてくださいね。相
撲でいう「恩返し」を歓迎したいのですが、私はまだ引退したくはありません。


2012.02.03(金)【普通株式は種類株式か】(金子登志雄)

 先日、ある会社法関係の法律のプロフェッショナルと種類株式発行会社の定款に
ついて議論になりましたが、彼は、いまでも「普通株式は種類株式ではない」と思
いこんでいました。会社法施行後5年になろうというのに、まだ、こういう方がい
るのですねぇ。

 私作成の定款に「普通株主の種類株主総会」という表現があることに、どうも納
得しかるようでしたので、手持ちのパソコンで下記を開いて示しましたところ、
やっと納得していただきました。

  http://ir.chip1stop.com/pdf/C1S_Soukaishousyuu_20111026.pdf

 そもそも、【普通】株式という用語自体が【普通でない】株式を前提としており、
1種類しかないのであれば、単に「株式」といえば済むことです。

 著書にも書きましたが、工業高校や商業高校という専門課程の高校があるから、
普通高校があるので、「普通」も「普通という種類」に過ぎません。工業立国の国
であれば、ひょっとして工業高校を普通高校と名づけ、非工業・非商業の高校は、
文科高校とでも名づけられるかもしれないのです。

 普通株式も株式の種類ですから、A種種類株式などと名称を変更することも可能
です。

 種類株式のセミナーや会社の計算のセミナーでは、こういうABCから説明をは
じめるのですが、突然、想定外の話を聞くようで、驚かれる方も少なくありません。
今月も1つセミナー講師を引き受けていますが、そろそろレジュメを作らねば……・ 


2012.02.02(木)【新年会】(島根・根来川弘充)

 歳相応なのか、今年の1月から地元の青年団体の会長になることになりました
(30数名の小規模な会です)。今まで、長という役職は、小学校の学級委員長を
1回くらいしかしたことがない私も、会の代表として、他の団体の新年会に出席す
ることになりました。

 そこである団体の新年会で、来賓の方の挨拶で聞いたのですが、辰年というのは、
景気が良くなる年なのだそうです。2000年の時は、IT関連で上向きに、その
前は、バブル景気がはじまり、その前は、オイルショック後から上向きにと、昨年
は、大震災もありましたので、今年は、是非、復興景気で日本に活気がでるよう期
待したいということでした。

 言われてみて、なるほどとは思いましたが、新聞をみると国内は消費税増税、国
外はユーロ危機。年明けからあまり明るい材料がありません。ただ、何か分からな
いものに期待はしたいと思います。

 ところで、他の団体の新年会に出席させていただいて、席次や次第は、会ごとに
違うということがわかりました。自分の団体も含めて、数団体出席しましたが、そ
のすべてが大なり小なり、違っていました。おそらくはどれが正しいというわけで
もないのだと思いますが、長というものを委ねられると、細かい事が気になります。

 今年一年は、昨年以上に気をつかう年になりそうです。


2012.02.01(水)【ずばり解説!正誤表】(金子登志雄)

 東京司法書士協同組合のHPに、『ずばり解説!会社の計算』に関する校正漏れ
一覧(正誤表)を掲載してもらいました。

  http://tsknet.jp/doc/topics/zubari_keisan3.pdf

 こういうものは、顧客本位の出版社のHPに掲載されていることが多いのですが、
これをみて、「なぜ、こんな子供でも分かることを校正段階で発見できなかったの
か」と思いませんか。

 「及び」が「及ぴ」になっていたり、「 」とすべきところが[ ]になっていた
り、情けない限りですが、本では容易に発見できることも、校正ゲラの1枚、1枚
では、意外に見つからないものなんです。

 そのため、一般論ですが、市販本の初版には多くの誤植等が付き物であり、著者
の多くが、「ああ恥ずかしい、早くあの本がこの世から消えないかなぁ(あるいは、
早く増刷になり、間違いを直せたらなぁ)」などと思うものです。ひどいのになる
と、表紙に誤植があったりします(昔の拙著にもありましたが、ほとんどの方が気
づかなかったため、内緒です。富田センセの本にもあったとか)。

 市販本に比して、東京司法書士協同組合の出版物は、誤植が非常に少ないといえ
ます。それは、校正の回数(初校、2校、3校などといいます)を市販本より多く
しているからです。

 法律の制定などは、校正を何度繰り返すのでしょうか。ほとんど間違いがないの
は脅威です。

 念のため、商業登記法91条92条は、株式会社による株式交換や株式移転で新
株予約権を引継ぐための規定ですが、商業登記法126条2項は、これを合同会社
に準用しています。合同会社も株式交換の完全親会社になれますが、株式会社では
ないため新株予約権を引き継げるわけがありません。この誤植にお気づきでしたか。


2012.01.31(火)【自己株式の無償処分の可否】(金子登志雄)

 某MLで「自社株の寄附は可能か」という点が議論されていましたが、自己株式
の【無償】処分は、新株の無償発行と同様に、会社法が想定していません。

 会社法199条以下には払込期日等が定められていますし、新株予約権に関する
会社法238条1項2号のように無償を前提とする規定もありませんし、株式の無
償割当てという制度も別に定められているからです(同185条参照)。

 新株のゼロ円発行も自己株式の無償処分も不可能であるということは、いわゆる
有利発行の最下限は総額で1円ということになりますが、なぜ、無償が不可かとい
うと、そもそも募集株式の発行等は資金調達を目的とするものですから、無償では
意味がないということです。

 資本勘定(資本金・資本準備金・その他資本剰余金)にマイナスがないのと同様
に、株式価値にはマイナスもゼロ円もないという前提もあるでしょう。どうしよう
もない債務超過会社の株式であっても、株主有限責任の関係で何の義務もない限り、
無価値ということはありません。

 それに、自己株式は会社にとって財産ではありません。純資産の部の控除項目と
して計上されているのがその証拠であり、いわば純資産を払戻した見返り品であり、
新株発行の代用品でもあります。自己株式を外部に放出することは議決権を無償で
交付することと同じですから、この意味でも無償は不可能というべきです。

 さて、以上のとおり、いつもは「自己株式の無償処分は無理だ」と答えていたの
に、今度の『ずばり解説!会社の計算』111頁では、「株式の無償割当ては自己
株式の【無償処分】や自己株式の消却と同様に、その他資本剰余金の減額になりま
す」と無意識に書いてしまいました。株式の無償割当てと自己株式の処分を対比し
たいという気持ちが先走ってしまったようです。

 拙著の熱心なファンである司法書士さんから「先生は、この前、自己株式の無償
処分はできないといっていたのに、今度の本の111頁にはできるような書き方に
なっていますよ」と指摘されてしまいました。

 なお、この部分を含め、『ずばり解説!会社の計算』の校正漏れ一覧を今日明日
にも、東京司法書士協同組合のHPに開示いたしましょう。


2012.01.30(月)【種類株主総会の設置】(金子登志雄)

 種類株式発行会社の設立にあたり、上場会社の真似をして、定款で次のように
定めることにしました。

------------------------------------------------------------------------
(機関構成)
第4条 当会社には、株主総会及び取締役ほか、次の機関を置く。
    1.取締役会
    2.監査役。ただし、監査役の権限は会計に関するものに限定する。
------------------------------------------------------------------------

 しかし、この会社は種類株式発行会社ですから、一瞬、「当会社には、株主総
会、【種類株主総会】及び取締役のほか、次の機関を置く」という表現にしなく
てよいのかという不安が走りました。

 調べたところ、種類株式発行会社である上場会社も、上記第4条のような定款
の定め方になっており、種類株主総会に触れていません(例えば、雪印)。

 会社法を再確認したところ、第2編第4章「機関」第1節の見出しが「株主総
会及び種類株主総会」なのに、次の第2節は「株主総会以外の機関の設置」とあ
り、「株主総会及び種類株主総会以外の機関の設置」となっていません。

 一見、種類株主総会も株主総会の一種と考えて第2節のように定めたのかのよ
うですが、そうであれば第1節の見出しと矛盾しますから、おそらく種類株主総
会は種類株式発行会社にした後に登場する第2次的必須機関(条件付必要機関)
なので、第2節の見出しに記載しなかったのでしょう。

 同じことが、委員会設置会社の執行役にもいえます。もっとも、こちらは執行
役は委員会設置会社に含まれることが理由だともいえます。

 結局、「株主総会及び取締役のほか、次の機関を置く」という意味は、全ての
の株式会社を前提とした基本的な定めであって、任意に種類株式発行会社にした
場合や委員会設置会社にした場合の必須機関まで記載する必要はなく、上記のよ
うな定款の定めで問題ないとの結論にいたしました。


2012.01.27(金)【2種類の取締役】(金子登志雄)

 中間試案の論評は一休みして………、
 ある税理士さんが「会社法によれば、非取締役会設置会社の取締役が2人以上あ
るときの【業務】の決定は、取締役の過半数で決定することになる」と表現したの
で、私が「それは【業務の決定】ではなく、【業務執行の決定】というべきでしょ
う」と申し上げましたところ、何と、「条文では【業務執行】ではなく【業務】に
なっている」と反論されてしまいました。

 会社法の条文を確認しましたところ、確かに会社法348条2項には、「取締役
が2人以上ある場合には、株式会社の【業務】は、定款に別段の定めがある場合を
除き、取締役の過半数をもって【決定】する」とありました。

 ところが、取締役会設置会社に関する会社法362条では「【業務執行】の決定
は取締役会」とあるのです。

 整理いたしますと、次のようになっています。
--------------------------------------------------------------------------
【取締役会設置会社】
  業務執行の決定………取締役会
            ★【業務】の決定も含むのでしょう。   
  業務の執行……………代表取締役等の選定された業務執行取締役
  
【非取締役会設置会社】
  業務の決定……………取締役の過半数の決定
  業務の執行……………取締役(例外は定款の別段の定め)
            ★【執行】の決定もこちらでしょうか。
--------------------------------------------------------------------------

 こうしてみると、本来、取締役は取締役というだけで【業務執行】の決定も執行
もできるが、具体的に何をするかという【業務】の決定は、多数決で決定するのが
原則だということでしょうか。

 つまり「何を」するかは取締役の過半数の決定だが、決められた業務を「どう執
行するか」は取締役各自の権限であるのが原則だということでしょう。

 これが取締役会を設置すると、頭脳部分は取締役会になり、実行する手足部分が
業務執行取締役になるようです。

 旧商法・有限会社法時代は、有限会社では取締役と業務執行は分化していないが、
株式会社では分化していると説かれましたが、株式会社と有限会社が一体化した会
社法のもとでは、上記のように、取締役と業務執行は分化していないが、取締役会
を設置すると、取締役の業務執行権限が制限されると1元的に説明することになり
ます。

 しかし、やはり、われわれには、会社法施行以前のように、取締役会設置会社の
取締役と非設置会社(有限会社型)の取締役とは別の種類と2元構成で考えたほう
が分かりやすいですね。今更ながら、株式会社と有限会社を1つの法典に統一した
のは無謀だったのではないかと思ってしまいました。

 有限会社型株式会社を基本とする会社法に、企業統治だ、親子会社法制だ、など
という巨大企業の規律を加えようとする中間試案も、無謀だと思いませんか。


2012.01.26(木)【中間試案への論評その6】(金子登志雄)

 論評その6は、次の提案についてです。

--------------------------------------------------------------------------
2 株式の併合
(1) 端数となる株式の買取請求
  @ 株式会社が株式の併合(単元株式数に併合の割合(会社法第180条第2項
  第1号)を乗じて得た数が整数となるものを除く。)をすることにより株式の
  数に一株に満たない端数が生ずるときは、反対株主は、当該株式会社に対し、
  自己の有する株式のうち端数となるものを公正な価格で買い取ることを請求す
  ることができるものとする。
 (注2)買取請求をしなかった株主の有する株式のうち端数となるものの処理は、
   会社法第235条に定める手続によるものとする。
--------------------------------------------------------------------------

 株式併合とは3株を1株にするなど、株数を減少させる会社の行為です。これを
すると、1株主、2株主、5株主………など、3で割り切れない部分の端数が生じ
ますが、この端数は会社がまとめて売却などをして、その代金を端株の生じた株主
に分配するのが現行法の方法です。

 これでは安く売ることを強制することになるので、公正な価格での買取りも認め
ようという提案です。

 この差額がどの程度になるのか私には分かりませんが、端数部分の値段ですから、
それほど大きな金額にはならないのではないかと私は思っています。

 私の想像どおりであれば、買取請求を認めて、株式併合を複雑な手続にする必要
があるのかと思っています。

 どうも、中間試案はやたらと物事を複雑にするばかりだという印象があります。
素人に縁遠い会社法になれば、私の存在価値が増して商売繁盛になるかもしれませ
んが、愛する会社法が論理の一貫性を失い複雑怪奇になることには抵抗があります。


2012.01.25(水)【中間試案への論評その5】(金子登志雄)

 論評その5は、次の提案についてです。

--------------------------------------------------------------------------
1.支配株主の異動を伴う第三者割当てによる募集株式の発行等
(1) 株主総会の決議の要否
  公開会社が、ある引受人(当該公開会社の親会社等を除く。)に募集株式を割
 り当てることにより、当該引受人が総株主の議決権の過半数を有することとなる
 ような第三者割当てによる募集株式の発行等を行う場合に、株主総会の決議を要
 するものとするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする。
【A案】原則として株主総会の普通決議を要するものとする。ただし、取締役会が
  当該募集株式の発行等による資金調達の必要性、緊急性等を勘案して特に必要
  と認めるときは、株主総会の決議を省略することができる旨を定款で定めるこ
  とができるものとし、そのように定めた場合には、総株主の議決権の100分
  の3以上の議決権を有する株主が一定期間内に異議を述べない限り、当該定款
  の定めに基づく株主総会の決議の省略が認められるものとする。
【B案】総株主の議決権の4分の1を超える数の議決権を有する株主が一定期間内
  に当該募集株式の発行等に反対する旨を通知した場合には、株主総会の普通決
  議を要するものとする。
【C案】現行法の規律を見直さないものとする。
--------------------------------------------------------------------------

 増資の結果、第三者の傘下にはいることもあるので、株主の意思を確認すべきだ
という提案に反対する理由はないのですが、なぜ、いまさら、このような規定を設
けるのか不思議です。

 昭和25年改正の旧商法の時代から、ずっと公開会社の増資は取締役会の権限と
されていました(授権資本制の採用)。ここで例外を設け、更に定款でその例外を
定められるなどとしたら、例外規定の継ぎはぎだらけで、会社法がますます迷路状
態になります。

 授権資本制の原則を活かして、このような増資は取締役会の3分の2や4分の3
の賛成を要するとか、発行可能株式総数の発行済株式の総数に対する4倍制限を2
倍制限程度にして、株主割当てを除く大幅な増資は株主総会の開催を必須にするな
どの方策も検討したのでしょうか。

 提案の背景は理解できますが、もう少し検討の余地があるように思います。


2012.01.24(火)【ずばり解説!ずばり返答!】(金子登志雄)

 東京司法書士協同組合から『ずばり解説!会社の計算〜基礎から応用まで〜』が
予定どおり出版され、昨夕はこれに関わった組合役員の方々と打ち上げでした。

 事前予約注文数をお尋ねしたところ、思いのほか多く、本の中身も不明な段階で、
これだけ多数の方が予約をいれてくださったのかと、たいへんうれしく思いました。
本欄読者の皆様もきっと多数加わっているものと思い、御礼申し上げます。

 予約注文者はほとんどが司法書士のようですが(当然ですね)、市販されている
私の著書の読者は会計事務所が多いので、ぜひ、会計事務所にもご紹介をお願いし
ます。会計事務所にも新しい会社の計算をマスターしていただかないと、司法書士
との協働作業も円滑に進みませんので………。

 午後6時から打ち上げをはじめたためか、途中で私の顧客3箇所から携帯に電話
がありましたが、組合の方から「お客さんが携帯に電話してくるのですか」と驚か
れてしまいました。

 そうなんです、私は自他共に認める「携帯司法書士」です。ただし、事務所も持
てない貧乏司法書士という本来の意味(?)ではなく、人を待たせるのも人に待た
されるのも嫌いですから、不在や行き違いのない携帯電話を仕事の中心に置いてい
るということです。

 企業法務に従事して、もう20年以上ですので、ほとんどの質問は近くに六法や
マニュアル本がなくとも即答できますので、私にもお客様にも携帯電話が便利なん
です。

 まさに、「ずばり返答!会社法の質問〜携帯電話の活用〜」といったところです
が、携帯PCといい、電子申請といい、ものぐさで出不精の私には、実によい時代
になりました。おかげで、すっかりメタボになってしまいましたが………。


2012.01.23(月)【梅酒】(仙台・立花宏)

 15年以上前に閉じられ、それから開けられることのなかった蓋を開けると、中
に入っているその液体は、周囲にやわらかな甘い梅の香りを漂わせた。

 昨年末に、自宅の物置を片付けていたところ、昔、仕込んだ梅酒の瓶が目に入り
ました。成人になって、お酒を好んで飲むようになってから、一時期、果実酒造り
に凝ったことがありました。もう16,7年も前のことです。

 凝ったといっても自己流で、あまりおいしくは出来なかった記憶があります。普
通の梅酒じゃつまらないので、焼酎は芋焼酎、砂糖は和三盆と変なところにこだわ
って作ったのですが、素人が変にこだわるとあまりいいことはないようで、分量の
バランスが良くなかったのでしょうか。作ったのはいいものの、ほとんど飲まなか
ったような気がします。

 今回、蓋を開けたのは、そのとき作ったうちの1本で、飲めるのだろうか、腐っ
てはいないだろうかとおそるおそる蓋を開けたのですが、どうやら、大丈夫そうで
す。

 年末に、物置で目に入ったときは、おいしかったという記憶がなかったので飲も
うという気がおきなかったのですが、正月明け、とある新年会から帰宅して、なに
か一杯飲みたいなあ、と思ったとき、物置の梅酒のことが思い出されました。

 そこで、梅酒の瓶の蓋を開けたのですが、グラスに注ぎ、口に含むと、さわやか
な梅の香りが広がりました。そして、透き通った梅酒の甘さが快感でした。

 自分の味覚が変わったのでしょうか。でもそれだけでもないでしょう。きっと、
15年以上の月日が、少しずつ少しずつ、梅酒を変化させてきたのだと思います。
また、あの震災を乗り越えた梅酒だと思うと、感慨深くもありました。

 そして、思いました。この15年で、自分はどのように変化してきたのだろうか、
と。自分では変わっていないつもりでも、きっと、少しずつ変わってきたはずです。

 この梅酒のように、良い方向に変わってこれたのだったらいいな、と思うのと同
時に、これからの15年で、どのように変わっていけるだろうか、と心配になりま
した。

 司法書士としてはもちろん、人間としても、良い方向に変わっていけるよう、大
切な時間を積み重ねていきたいな、と思いました。


2012.01.20(金)【法務雑誌は中間試案特集】(金子登志雄)

 旬刊商事法務の新年合併号に引き続き、明日あたりに発売になるビジネスロ
ー・ジャーナル誌もビジネス法務(中央経済社刊)も、中間試案特集のようで
す。書店でお手にとってご参照ください。
 
 ビジネスロー・ジャーナル誌は、弁護士、大学教授、企業人、司法書士(私)
に対するインタビュー記事が中心でした。

 ビジネス法務はどうかと思い、中央経済社の親しい知り合いに電話し、確認
しましたところ、いくつかの大手法律事務所の弁護士さんを中心とする座談会
が中心のようです。

 もちろん、司法書士を座談会に登場させなかったビジネス法務には、冗談め
かして、クレームを申し上げておきました。

 中間試案の内容が国際的大企業を前提にした企業統治や親子会社法制につい
てですから、コメンテーターとして、大手法律事務所の弁護士さんが中心とな
るのは仕方ないとしても、おそらく、弁護士全員と司法書士全員に会社法のテ
ストを実行すれば、平均点は司法書士のほうが上でしょうから(会社法の事件
が少ないため街の弁護士さんは会社法に無関心であるのに対し、司法書士は商
業登記を通じて必須科目だからです)、今後は司法書士も、ぜひ座談会に登場
させてほしいものです。

 もっとも、大企業を顧客にし会社法に詳しい弁護士さんは、若くして司法試
験に合格し米国に留学した超エリートの方が多く、やたらと英語表現(スクイ
ーズ・アウトなど)を乱発する傾向がありますから、中小企業を顧客にしドメ
スティック(国内)専門の司法書士とは、会話が成り立たないかもしれません
ね。私も、会社法論議では負けなくとも、英語力で負けそうです。

 なお、参考までに、ビジネスロー・ジャーナルをざっと読んだ限りは、コメ
ンテーターの方々の多数意見は「総論賛成、各論反対」でした。つまり、「改
正の趣旨はよく理解できるが、この内容では……」という意見ばかりでした。


2012.01.19(木)【中間試案への論評その4】(金子登志雄)

 昨日届いた「旬刊商事法務」の新年合併号で中間試案を座談会で取り上げてい
ました。例の弥永教授や有名な中村直人弁護士らが出席し、難しい会話を繰り返
していました。

 しかし、ここでも議論の前提として想定している会社が1部上場会社など巨大
企業のように思われました。

 何度も繰り返しますが、わずかの数の会社のために、会社法のあちこちを増改
築する必要があるのでしょうか。かの中央経済社ですら、上場会社でありながら
資本金5億円以下で、従業員数100名以下の中小企業に過ぎません。

 さて、論評その4は、中間試案の「監査役の監査機能」に関する提案です。
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■監査役の監査機能
1 会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等の決定
【A案】 監査役(監査役会設置会社にあっては、監査役会)及び監査委員会は、
     会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等についての決定権を有
    するものとする。
【B案】 監査役(監査役会設置会社にあっては、監査役会)及び監査委員会は、
    会計監査人の選解任等に関する議案等についての決定権及びその報酬等
    についての同意権を有するものとする。
【C案】 現行法の規律を見直さないものとする。
2 監査の実効性を確保するための仕組み
  株式会社の業務の適正を確保するために必要な体制について、監査を支える
  体制や監査役による使用人からの情報収集に関する体制に係る規定の充実・
  具体化を図るとともに(以下、略)
--------------------------------------------------------------------------

 上記をみて、多くの方が「業務執行を決定する取締役が会計監査人候補を選び、
その報酬を決定しているのでは企業統治にならないから、監査役にその権限を移
譲することはよいことだ」と思ったことでしょう。

 しかし、これを認めると、「業務執行の決定は取締役会、監査役は業務監査が
任務」という伝統的な会社の統治構造が崩れるという反対意見があります。私も
監査役が株主総会の議案まで決定することに、現行会社法の建前が認めているの
かという疑問を持っています。

 そもそも監査役の人選ですら取締役会で決定し株主総会で選任するのです。そ
れを横において、会計監査人については監査役に決定させようとしても根本的な
解決にはなりません。監査役に人選能力があるかも疑問です。

 企業統治の強化のために会計監査人の権限を強化すれば会社の費用負担が増し
ますし、ほんと困ったものです。


2012.01.18(水)【中間試案への論評その3】(金子登志雄)

 論評その3は、中間試案の「社外取締役及び社外監査役に関する規律」の提案を
取り上げます。

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■社外取締役及び社外監査役に関する規律
(1) 社外取締役等の要件における親会社の関係者等の取扱い
  社外取締役の要件に、株式会社の親会社の取締役等でないことを追加しようと
  する提案
(2) 社外取締役等の要件に係る対象期間の限定
  社外取締役等の要件である過去に取締役等でなかったことの期間制限を設けよ
  うという提案
(3) 取締役及び監査役の責任の一部免除
 (1)のような見直しをすることとする場合には,次のとおりの見直しをする。
  @会社法第427条第1項に定める契約(責任限定契約)を締結することがで
   きる取締役及び監査役は,次のとおりとするものとする。
   ア 取締役のうち,株式会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その
    他の使用人でないもの
   イ 全ての監査役
--------------------------------------------------------------------------

 現行の社外取締役・社外監査役の定義では、親会社の取締役も社外性を有するだ
けでなく、1度でも取締役や従業員になると、社外性を永久に失うため、これでは
範囲が広すぎる・厳しすぎるという難点がありますので、この見直しは私も必要だ
と思っています。

 司法書士として気になるのは、上記(3)の非常勤取締役も社外監査役でない監
査役、つまり、「非業務執行」役員(非常勤取締役と監査役)であれば誰でも責任
限定契約を締結できるようにする部分です。

 このこと自体には賛成ですが、現行会社法の建て付けは、責任限定契約が定款に
定めてあれば、社外取締役や社外監査役の登記が必要だというものです。上記のよ
うな改正があれば、社外役員の登記につき責任限定契約を前提とする必要がなくな
るはずです。

 にもかかわらず、この点に関して、中間試案は一言も触れていません。このまま
改正されたら、登記に関する会社法911条との整合性が問題となるのではないで
しょうか。


2012.01.17(火)【中間試案への論評その2】(金子登志雄)

 論評その2は、中間試案の「監査・監督委員会設置会社」という新たな機関構成
を設けようという提案についてです。

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■監査・監督委員会設置会社制度
 取締役会の監督機能の充実という観点から、自ら業務執行をしない社外取締役を
複数置くことで業務執行と監督の分離を図りつつ、そのような社外取締役が、監査
を担うとともに、経営者の選定・解職等の決定への関与を通じて監督機能を果たす
ものとするための制度として、次のような機関設計を新たに認めるものとする。
(1) 監査・監督委員会の設置
 B 監査・監督委員会設置会社には、【監査役】並びに指名委員会,監査委員会
  及び報酬委員会を置かないものとする。
 C 監査・監督委員会設置会社には,会計監査人を置かなければならないものと
  する。
--------------------------------------------------------------------------

 要するに、監査役をなくして監査は社外取締役に委ねるという新たな機関設計を
設けようとするものです。委員会設置会社の簡易版とでもいうべき設計でしょうか。

 採用は任意ですから、反対する必要もないのですが、「これ以上、会社法を複雑
にしないでくれ。会社法は専門家のお遊びの道具じゃないよ」というのが私の意見
です。パソコンと同じで機能ばかり増やしても使いこなせるものではありません。

 わが国には、株式会社が100万社以上ありますが、そのうち委員会設置会社は
わずか100社足らずです(1万分の1足らず)。この監査・監督委員会設置会社
を採用する会社は、もっと少ないであろうというのが私の予測です。新し物好きの
会社がへたに採用しようものなら、「御社は悪い役員が多いから、企業統治に不安
があるのですね。たいへんですね」と皮肉をいわれかねません。

 いずれにしろ、企業統治は制度の改善でうまく行くものではありませんし、その
必要があるのなら、上場会社等を対象に特別法で定めるべきで、100万社以上を
対象とする会社法で定めるべきではないと考えています。国民の会社法が専門家の
会社法になってしまいます。


2012.01.16(月)【中間試案への論評その1】(金子登志雄)

 せっかくですから、少しずつ「会社法制の見直しに関する中間試案」の内容をこ
こでご紹介しましょう。

  ◇企業法務部の皆様、本欄を社内報告書用の参考にしてかまいません◇

 中間試案の最初は次の内容ですが、皆様はどれに賛成しますか。
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■社外取締役の選任の義務付け
【A案】監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)
   において、1人以上の社外取締役の選任を義務付けるものとする。
【B案】金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を提出しなけ
   ればならない株式会社において、1人以上の社外取締役の選任を義務付ける
   ものとする。
【C案】現行法の規律を見直さないものとする。
--------------------------------------------------------------------------

 最大の問題点は、会社の立場からは、「これでは余計な経費がかかるじゃないか、
うちは過去一度も不祥事を出していないのに、余計なとばっちりはやめてくれ」と
いうことでしょう。株主の立場からも会社の儲けが減ることは歓迎しないでしょう。
上場会社の株主総会でも「監査役4人は多過ぎる」というクレームを出す株主が少
なくありません。

 顧客企業サイドに立つことを重視している司法書士の私としては、当然に【C案】
に賛成です。

 ところで、【A案】又は【B案】賛成の方で、「社外取締役を選任すれば、それ
が登記され、この会社は企業統治に熱心なことがわかってよいことだ」と思った方
はいらっしゃいませんか。

 これはとんでもない誤解であり、会社法911条3項をよくみてください。特別
取締役制度採用会社(こんな会社が現実に存在しているのかも私は知りません)か、
定款に社外取締役の責任軽減を定めている会社でなければ、社外取締役である旨の
登記はされません。

 私の顧客の上場会社でも、社外取締役が存在しながら登記簿に表示されていない
会社がありますが、理由は上記です。

 ですから、社外取締役を登記したければ、責任軽減を定款に定めることも必要で
あり、【A案】【B案】の会社を前提とすると、役員登記と責任軽減登記の2つで
登録免許税が6万円かかります。年あたりの役員報酬を加えると、社外取締役1人
につき、少なくとも年間300万円以上の経費負担でしょうか。この1人が欠ける
と臨時株主総会を開催して後任を選任しなければなりませんから、補欠社外取締役
の選任も必要でしょう。この不況期には、実に痛い出費です。株主が100人なら、
1人3万円の負担です。

 こういうことを分かって会社法制部会は提案しているのでしょうか。ちなみに部
会には司法書士の代表は加わっていません。司法書士を会社法制【社外】部会委員
(?)に選任すると余計な経費がかかるからかもしれませんね。

 もっとも、企業社会の感覚を十分に分かっていない司法書士が多いので、人選を
誤ると、【A案】又は【B案】のほうが司法書士の仕事が増えてよい(表向きは、
企業統治の強化は正義だ)などと主張しかねませんけれど。

 参考:本文とは無関係ですが、貴重映像がネットに登場しました。どこの誰だか
  知りませんが、マニフェストを命がけで守れと、街頭で消費税アップの首相に
  異を唱えています。

   http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo


2012.01.13(金)【中間試案へのコメント】(金子登志雄)

 正月早々、先週の5日(木)にビジネスロー・ジャーナル誌から、「会社法制の
見直しに関する中間試案」について、コメントがほしいということで、インタビュ
ーを受けました。もちろん、私に対してだけでなく、学者や弁護士にも意見を求め
ているようですから、いわば私は司法書士の代表として声をかけられたのでしょう。

(ビジネスロー・ジャーナル誌)
       http://www.businesslaw.jp/

 事前に予告があったので、にわか勉強しておきました。

(中間試案の内容)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080089&Mode=0


 さて、当然ながら教科書や解説書はありません。つまり、権威ある誰かさんの意
見を参考に、いかにも自分の意見のように言うことはできません。

 白紙状態で中間試案を読み込み、内容を理解し、この内容で誰が得をし、誰が損
をし、どういう影響があるかなどを推理してコメントする必要があります。

 我田引水ですが、私の最も得意とする分野です。長年の読書嫌いの成果か、推理
力だけは鍛えられました。

 会社法制定時も、条文を読んだだけで、推理力でミニ解説を書いてしまいました。
それが下記「『会社法』法令集」の青字コメントです(あまり知られていませんが、
ここの「重要条文ミニ解説」は当ESG作です。「本書の利用にあたって」の部分
をご確認ください)。

(「会社法」法令集)
  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4502048801.html
  
 今度の中間試案に対するコメントも、試案を繰り返し読み、意味不明の部分は補
足説明を読み、コメントさせていただきましたが、少々、辛口のコメントになって
しまいました。一言でいえば、誰も困っていないのだから、微修正以外の会社法制
の見直しは不要である、というのが私の意見でした。

 他のコメンテーターは、どんな意見を出すのか、いまから興味津津です。21日
あたりの発売のようですから、ぜひ参照してください。恥ずかしながら、写真入り
登場です(眉毛まで白くなったせいか、老けた顔で写っています)。


2012.01.12(木)【福袋】(大阪・田中利和)

 新年あけましておめでとうございます。

 今年もテレビのニュースでもとりあげられていましたが,いろんな福袋があるよ
うですね。限定3名,お見合いができる福袋などもあったようです。

 さて、正月には、国道沿いにある大型の釣り具店に行って参りました。釣り具店
でも福袋が売られています。新春の大安売りです。ただし,私の目当ては,ダウン
ジャケットでした。

 ダウンジャケットは,デザインも重要ですが,どちらかといえば性能重視です。
シンプルでいて,釣りにも使え,街の中でもおしゃれに着れる,それが私の理想の
ダウンです。

 当日は,午前10時開店とほぼ同時に店に突入しました。私以外にも多くの釣り
バカたちが店に入ってきました。

 ダウンジャケットは,店の3階に売り場がありますので,私は,一気に3階まで
駆け上がり,他の釣りバカたちを置き去りにしました!

 売り場に着いて,すぐに,価格も手頃なダウンジャケットを見つけました。メイ
ドインジャパン! シンプルなデザイン! ダウンとフェザーの割合も,9対1!

 さわった感触も,薄手のペラペラではなく,相当,ダウンが詰まっているように
思えます。どこのメーカーのものか定かではありませんが,試着してみると,相当
暖かく,色は,やや光沢のある黒で,ジッパーの部分に赤色のストライプがあるだ
けです。これなら,シンプルで,釣りにも使えそうです♪

 しかし,シンプルなのは良いのですが,ゴミが入ったゴミ袋を,まとっているよ
うにも見えます(苦笑)。これでは,街の中でおしゃれに着るどころか,ゴミの日
に,これを着て外で寝ようものなら,ゴミと間違われてゴミ収集車に放り込まれか
ねません。

 散々悩んだあげく,今年の運がダウンしても困りますから、そのゴミ袋ダウンは
諦めて,福がアップするように福袋を買って帰りました。

 今年も皆様に福が来ますように。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2012.01.11(水)【法第25条を鋭く分析する!】(富田太郎)

 皆様、本年もよろしくお願い致します。

 昨年末は、名古屋、大阪、福岡、仙台・・・etcと仕事で全国行脚をしており
ました。もちろん、WP(ワーキングプア)の私なので、すべて日帰りという日程
で、各地の風情を満喫するなどは無縁でした。

 ところで、今回「東北新幹線」に生まれて初めて乗りましたが、このJR東日本
(注)、こんなにも恩知らずの会社とは思いもよりませんでした。

 実は! タバコを吸えなかったのです(怒、怒)!

 ・JR東日本の新幹線は全面禁煙
 ・駅には喫煙ルームなるものがありましたが、非常に狭く、人がごった返してお
  り、とてもタバコを吸える状態ではありませんでした(通勤ラッシュの混雑し
  た電車の中でタバコを吸う雰囲気でした)。

 (注)なお、「たばこ特別税」は、旧国鉄債務に充当されている。

 調べてみると、JR東日本は、2007年から新幹線・特急列車の全面禁煙化を実施
しており、これは2003年に施行された「健康増進法」第25条を根拠にしているよう
でした。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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 健康増進法(平成14年法律第103号) 
 第五章 第2節 受動喫煙の防止
 第25条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、
    官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、こ
    れらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境におい
    て、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要
    な措置を講ずるように努めなければならない。
--------------------------------------------------------------------------

25条を読むと、あくまでも「受動喫煙を防止する〜努めなければならない」とあり、
「喫煙の全面排除の義務」とは書かれてはいません。

 つまり、元々の法の趣旨は「分煙の配慮義務」の訓示規定に過ぎないのに、いつ
のまにか「全面禁煙の義務化」であるとする解釈の歪曲化が横行し、合法であるはず
の喫煙行為は、あたかも犯罪行為であるかのように扱われています。

 一方、私は車を運転しませんが、車の排気ガスは、酸化窒素や浮遊粒子状物質によ
る大気汚染等、タバコの比ではなく深刻な問題なのに、ドライバーは喫煙者に比べか
なり寛大な措置が取られています。

 これぞ現代の魔女狩りです!

 金子先生!
 今年のESGは、会社法ではなく、この法第25条問題についての徹底的な勉強会を
しましょう!

  ・・・・・

 参加者(喫煙者)は二人しかいないので、無理かな・・・・。

 ところで、年初め、事務所の大掃除をしたところ、パソコン、窓、いたるところに、
タバコのヤニがついていました。

 あぁ〜いつも、換気扇の下で吸っているのに・・・・・(汗)。
 受動喫煙かぁ・・・・なるほどなぁ〜。

 ・・・・・・・・・・・・・・

 そうですよね。
 どんな正当な論理・美辞麗句を振りかざしても、やはり嫌煙家にとって、タバコは
嫌ですよね・・・・(反省)。

 まわりを気にしながらよりも、一人、事務所で気兼ねなく、「のんびり〜と吸う♪」
タバコが一番美味しいですね(つくづく)。

 今年も、タバコを吸いながら執筆に仕事に頑張っていきたいと思います♪


2012.01.10(火)【年末大掃除】(島根・根来川弘充)

 新年おめでとうございます。

 さて、昨年の話ですが、私の事務所では、29日を大掃除の日としました。

 私の中では、「大掃除」と普段の「掃除」で、分けている点が一つあります。
それは、「大掃除」の際は、廃棄か保存か迷ったときには、思いきって「廃棄す
る」ということです。

 仕事を始めた当時は、なかなか捨てきれなかったものが、10年目になると、
結構思い切り捨てられるようになりました。

 しかし、それでもやはり捨てきれないものがあります。それは、やはり専門書
などの書籍です。

 あまり、目を通さないうちに、法律が変わって役に立たなくなってしまう書籍
があったりするのですが、やはり、簡単には捨てれません。ということで、結局
は毎年保存する物が増えているというのが実情です。

 一昨年は、新たに物置を購入したのですが、すでに昨年末に捨てきれなかった
物で、半分近くが埋まってしまいました。このまま20年も続ければ、一軒家が
必要になりそうです。

 電子化された資料が増えているはずなんですけど、こういうときに、あまり実
感がありません。

 きっと、本年末も大量に捨てられない物が増えていることでしょうが、本年も
気持ち新たにがんばりたいと思いますので、よろしくお願い申しあげます。


2012.01.06(金)【忠臣蔵と企業統治】(金子登志雄)

 年末あるいは正月になると、テレビ映画に必ず登場するほど、日本人は忠臣蔵が
大好きですね。今年もありました。

 私も作り物の映画としては喜んでみていますが、子供の頃と違って大人になった
今は、場所もわきまえず、背中から無抵抗のお年寄りに刃物で切りつける殺人未遂
事件を犯した短気なお殿様をもったご家来衆は実にお気の毒なことだという考え方
のほうが強いです。

 家来も家来で、真夜中に凶器を準備し(凶器準備集合罪)、徒党を組んで他人の
家に押し入り(住所侵入罪)、目指す相手だけでなく無垢の多数に対してその寝込
みを襲って殺人罪を犯すなどもってのほかと思っていますが(赤穂の皆さん、ごめ
んなさい)、当時の道徳観では、そうでもしないと臆病な不忠臣と蔑まれ肩身が狭
かったのでしょう。吉良邸で巻き沿いで殺された多数の人々のことまでは、その後
の劇作等では完全に無視されているようです。

 さて、会社法改正の中間試案では、上場会社等に社外取締役を義務付けようとい
う動きがあります。不祥事を事前に防止するため、業務執行を監視させようという
企業統治の見直しの1つです。

 しかし、社外取締役候補を決めるのは取締役会(経営陣)ですから、監督される
側が監督する人を選ぶ限り、企業統治(法令遵守)に効果的かどうか疑問ですし、
それ以前に組織やその長が行き過ぎた行為を行っても、それを隠し続け、外に漏ら
さないのが組織に対する忠義という文化がある限り、問題の解決は遠いのではない
でしょうか。内部告発者に対する世間の目も極めて冷たいようです。

 法令遵守のエキスパートの集まりである日本の検察組織ですら、小沢・村木事件
では、証拠のフロッピーを偽造する、上司に対する報告書を捏造する、無関係な女
性秘書を10時間も拘束して保育園にも行かせないなど、組織に忠義(?)を示す
検事さんがいました。そうでもしないと組織の中で出世できない文化が日本社会の
組織文化になっていないでしょうか。

 所属組織よりも担当職務に対する忠誠心が優先し、宗教色の強い西欧の道徳観は
「神の意思に反しないか」のようですが、日本では「組織を裏切らないか」です。
こういう国で企業統治を推進するには、社外取締役は外国人や宗教家に限るしかな
いのではないかと、つい悲観的に思ってしまいます。

 本年は、間違った組織の指示を拒否し、臭いものには蓋をせずに根元から断つこ
とが真の組織愛だという道徳観(正しい忠義=企業統治)に切り替え、所属企業に
対してよりも企業統治への忠臣が少しでも増えてほしいものです。


2012.01.05(木)【謹賀新年】(金子登志雄)

 新年おめでとうございます。本日より、徒然日誌を再開いたします。
 
 さて、年末及びお正月休みは、いかがお過ごしでしたでしょうか。私は、例年ど
おり年末は群馬に帰省し、正月は横浜の自宅でのんびりと本年のことなどを考えて
いました。

 本年が政治的にも経済的にも激動の年になることは間違いないでしょう。
 
 政治的には、世界各国で指導者の交代時期になります。3月にはロシア、4月は
フランス、11月は米国、12月に中国だといわれています。日本でも首相が交代
するでしょう。4月には、検察・司法神話の崩壊を招いた小沢裁判の判決があり、
その結果次第では、今後の日本の民主主義の行く末に大きな影響があるでしょう。

 経済的には、ギリシャからはじまったヨーロッパ危機です。世界経済を牽引して
いる中国も一時の勢いを欠いてきました。日本国内でも震災復興が遅々として進ん
でいません。ここに冷や水をかける消費税アップが可決すれば、消費マインドは冷
え込み、ますます不況が進行することでしょう。

 しかし、そうはいいながら、街に出れば、皆、いい服を着て、居酒屋は混雑して
います(12月28日は事務所近辺の居酒屋のほとんどが満杯でした)。日本経済
の体力は、まだ余力があるのでしょうか。

 また、激動の時代こそ、既成秩序が崩れ、実力ある方にとっては、成功への絶好
のチャンスです。実力者揃いの当ESGメンバーにとっては、好機です。

 企業も生き残りをかけたグループ再編を促進するでしょうから、組織再編専門の
私にとっても、実力を示せる好機の年だと思っていますが、その前提として、営業
力に欠ける私や当ESGメンバーに、そういう仕事が舞い込むかどうかですね。

 ESG諸君、おそらく本年も「食わねど高楊枝」あるいは「働けど働けど……」
になりそうですが、志だけは高くもって生きましょう。

 本年も、やせ我慢メタボと自称ワーキングプアで構成される当ESGをよろしく
お願い申しあげます。


2011.12.28(水)【仕事納め】(金子登志雄)

 今日で法務局も店仕舞いであり、われわれ司法書士も意に反して(?)仕事納め
です〈不動産や相続の仕事が中心の司法書士は無理かもしれませんが………)。

 詳細には検討していませんが、本年を振り返ってみますと、大震災の影響かどう
かは不明ですが、設備投資の縮小で、司法書士は、皆、仕事の件数(量)が減少し
たのではないでしょうか。

 私も例年より手持無沙汰な時間が多かったように思います。ただ、幸いなことに、
大口の仕事が何件かありましたので、何とか無事に年を越せそうです。被災地の方
を思うと、これだけで十分に幸せですね。

 本徒然も、自分の都合では一度も休みませんでした。どんなに飲んで帰ったとき
も、旅行中であっても、決して休みませんでした。無理したわけではありません。
単に、1度休むと、気が緩んでサボり出しかねないので、休まないようにしただけ
です。

 ずっと続けていることとしては、お中元やお歳暮を過去1度も送ったことがなく、
いただいてもお返しもせず、失礼させていただいていることがあります。どうぞ、
金子は、そういうことを大の苦手とする人間だと思って、お許しください。

 全く季節感のない人間です。盆もクリスマスも正月も一切関係なく生きています。
明日も会社の関係で出勤しますし、明後日以降も事務所に行かないだけで、携帯電
話やパソコンは常時臨戦体制にしておきますので、どうぞご遠慮なく、ご連絡くだ
さい。元旦でも一向にかまいません。

 本年はお世話になりました。来年は、本年以上に厳しい年になりそうですが、当
ESGをよろしくお願い申し上げます。


2011.12.27(火)【収束宣言】(仙台・立花宏)

 先日、不覚にもインフルエンザに罹ってしまいました。

 毎年、インフルエンザの予防接種も受けていましたし、最後にインフルエンザに
罹ったのも中学生くらいだったと思います。また、健康にも気をつけているつもり
でしたし、もう、罹ることもないだろうと勝手に思い込んでいましたので、自分と
しては“想定外”の出来事でした。

 医師からは最低5日間、熱が下がってからも2日間は周囲に感染する危険がある
とのことで、その間は外出禁止です。

 自宅から出ないようにはしていましたが、当然のことながら、引継のため、所長
や事務所のメンバーから、私が抱えていた仕事の内容や状況の確認の電話が入って
きます。もし、自分ひとりで独立して仕事をしていたのだとしたら、こうはいかず、
お客様にもっともっとご迷惑をおかけしていただろうなあ、と思いました。
 そして、いつも以上に所長や事務所のメンバーに感謝の気持ちがわいてきました。
(この気持ちは忘れないようにしないといけませんね!)

 ですが、休みも3日目になると、事務所のメンバーから「体調はどうですか?」
「熱は下がりましたか?」との確認の電話が入り始めました。もしかしたら、いつ
から出勤できるのだ、という催促かもしれません。皆もたくさん仕事を抱えている
上に私の抱えていた仕事も割り振られたのですから、結構大変な状況のはずです。

 3日目の夕方にもなると、薬のおかげもあって、最高40℃近くあった熱も、平
熱まで下がっていました。のどをひどくやられたので、声はまだガラガラですが、
4日目には出勤しようと思えばできるような体調まで戻っていました。

 ”しかし、だからといって事務所に行ってもよいものだろうか。“

 私は、これで、熱も下がったとして、インフルエンザが治ったと収束宣言をして
よいものか迷いました。
 やはり、自分の体調だけでなく、インフルエンザを他人に感染させてはいけない
という社会的な責任もあります。安易な収束宣言は、周囲への危険を顧みない行為
ですし、また、周囲の人達を不安な気持ちにさせてしまうことになりかねません。

 結局、事務所のメンバーには申し訳ないと思いましたが、今週一週間は休む!と
宣言しました。

 ところで、先日、政府は、福島第一原発の冷温停止を発表し、事故の収束を宣言
しました。

 事故の収束は誰もが皆、待ち望んでいたことです。まして、現地の厳しい状況下
で働いている方々の大変な苦労を思うと、安易なことは言えません。

 しかし、原子力のことや、現地の状況等についてまったくの素人である私には、
判断しかねますが、事故発生からこれまでの発表を見ていると、今回の収束宣言を
信じてよいものか、やっぱりまだだったという発表があったりしないのか、個人的
には、まだまだ不安な気持ちです。

 この収束宣言が、本当に安心できるものであることを心より祈っております。


2011.12.26(月)【中間試案と江頭4版】(金子登志雄)

 北の将軍様は、予想どおり、死亡日が怪しくなってきましたね。わが国を含め、
どこの国でも、大本営発表については、まず、その内容の真偽につき、疑ってかか
ることが重要なようです。

 さて、3連休でしたが、いかがお過ごしでしたでしょうか。私は、のんびりパソ
コンで昔のドラマ(海外の海賊版?)を楽しんでいましたが、仕事がら、「会社法
制の見直しに関する中間試案」の勉強をはじめました。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080089&Mode=0

 会計限定の監査役であることが登記事項になるようですが、既存の会社に、どう
登記するのかという経過措置が気になるところです。経過措置次第では、せっかく
任期を10年にし、これで当分の間、登記をいじらなくてよいのかという想定が狂
ってしまいかねないからです。

 中間試案の結果を経て会社法が一部改正されますと、会社法の教科書も改訂版に
なります。ということは、教科書筆頭の江頭会社法はこの12月に第4版になった
ばかりで、私も購入したのに、来年中には第5版になるということでしょう。

 http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641136090

 有斐閣もうまい商売をしますね。第4版と第5版の両方を買わせようという魂胆
でしょうか。

 一般の方は第5版まで待って購入すればよいのでしょうが、われわれモノ書き、
あるいはセミナー講師は、執筆にあたり、「江頭憲治郎著『株式会社法〔第●版〕』
〇〇頁」などと引用する関係で、常に直近の版を手元に置かざるをえないのです。
これも必要経費として割り切るしかなさそうです。


2011.12.22(木)【弥永教授がこんなところに………】(金子登志雄)

 北の総書記の死亡につき、下記をみてください。

 http://www.youtube.com/watch?v=pSWN6Qj98Iw

 まるで、玉音放送を聞く終戦時の日本国民のようですが、人間って弱いものです
ね。ここまで洗脳されてしまうようです。この国では、インターネットも普及して
いませんから、海外の情報も入らないので、仕方ない面もありますが、それにして
も、ここまで………と思ってしまいます。

 この録画をみて、北の国民は自分の頭で考えないのかと思った方も多いことでし
ょうが、日本国民とて、マスコミ報道に影響(洗脳)されていないとはいえないで
しょう。

 私も、若い頃は、鈴木宗男や小沢一郎は金権まみれの悪い奴だと洗脳されていま
したが、いまは、世の中の仕組みも少しわかってきましたし、ネットの情報と大手
マスコミの情報を比較できますので、そう簡単には洗脳されなくなりました。

 そんなことを思っていた時、会社法や会計学の世界で知らぬ者のいない弥永真生
筑波大学教授(著書の『リーガルマインド会社法』は会社法の教科書になっていま
す)が小沢裁判で小沢側の証人に立ったようですね。本欄で小沢問題を時々取り上
げていましたが、会社法とは全く無縁の問題と思っておりましたら、こんなところ
に接点があったのかと驚きました。

 若い弥永教授(50歳)は、60代の江頭教授などの存在で、会社法では権威と
まではいわれていませんが、会計の世界では、権威のようで、それがゆえに、大手
マスコミの産経ニュースで大きく取り上げられたのでしょうか。 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111220/trl11122022180007-n1.htm

 検察審査会の議決の根拠になった捜査報告書が虚偽だったことにつき、とうとう
郷原信郎・元検事(56歳)も、一部の組織的な動きに堪忍袋の緒が切れたようで
すし、今年は、信じていたことが信じられなくなる想定外のことがよく起きる年の
ようです。

  http://www.comp-c.co.jp/pdf/111219.pdf

 無関心が一番平和でいられることは重々承知していても、北の国民のようにはな
りたくないものです。


2011.12.21(水)【総書記の死亡発表】(金子登志雄)

 マスコミ報道は、北朝鮮の金正日総書記の死去一色ですね。10月には、リビア
のカダフィ大佐が死亡しましたし、今年は歴史の大きな変わり目のようです。

 東西冷戦時代が終わり、同じアジアの社会主義国である中国やベトナムが市場経
済を取り入れ急速に発達しているというのに、頑固者の総書記の国は相変わらずの
軍事優先の計画経済で国家破綻状態です。しかも、総書記の死亡で重石を失ったた
め、今後、あの国がどこに向かって走り出すのかと不安が募ります。

 ところで、17日の深夜に死亡したというのに19日正午の発表では遅すぎると
思いませんか。28日の葬儀に外国の弔問団は受け入れないことも、不思議です。
ひょっとして、ほんとは、もっと前に亡くなっていたのをずっと隠し通していたが、
後継者の確定に意見がまとまったので、やっと発表したのではないかという一部の
推理に、私もやや傾いていますが、実際のところは、どうなのでしょうか。いずれ
にしろ、今後の推移を見守るしかありません。 

 さて、年末が近づきましたので、登記申請をお急ぎください。今日21日申請の
場合には年内に完了する(謄本が取得できる状態になる)と思いますが(商業登記
の場合です)、22日申請になりますと、法務局によっては、来年になる可能性が
生じます。法務局は28日までです。


2011.12.20(火)【剰余金処分の件】(金子登志雄)

 『ずばり解説!会社の計算』から、1つ問題を出しましょう。

Q:定時株主総会で剰余金の配当を決議するとき、「第○号議案 剰余金処分の件」
 とすることが多いのですが、なぜ、「剰余金配当の件」としないのですか。

--------------------------------------------------------------------------
A:剰余金の配当のみが議案であれば、「剰余金配当の件」でかまいませんが、同
時に別途積立金を取り崩したり、逆に繰越利益剰余金の一部の積立てを決議する
ような場合は、より広義の「剰余金処分の件」にしなければなりません。そのた
め、剰余金の配当のみが議案の場合も、「剰余金処分の件」とすることが多いの
です。

【剰余金処分議案の例】

 第2号議案 剰余金処分の件

  議長は、当期の期末配当及び剰余金の処分に関して、以下のとおりとしたい旨
 を述べ、議場に諮ったところ、満場一致でこれを承認可決した。

 1.期末配当に関する事項
  (1)配当財産の種類 
      金銭
  (2)株主に対する配当財産の割当に関する事項及びその総額
     当社普通株式1株につき金200円 総額200万円
  (3)剰余金の配当が効力を生じる日 
     平成〇年6月30日
 2.剰余金の処分に関する事項
  (1)増加する剰余金の項目及びその額
     別途積立金 100万円
  (2)減少する剰余金の項目及びその額
     繰越利益剰余金 100万円 
--------------------------------------------------------------------------


2011.12.19(月)【計算書類とは何か】(金子登志雄)

 上記「お知らせ」にご案内のとおり、1月下旬発売の拙著『ずばり解説!会社の
計算〜基礎から応用まで〜』が発行元の東京司法書士協同組合のHPのTOPIC
Sに掲載されています。

 目次をみればお分かりのとおり、私の講義レジュメと同様に「計算書類とは何か」
からはじまります。

 さて、計算書類には4つありますが、いくつ答えられますか。

 1.0個
   この段階の方が多数ですので、悲観する必要はありません。たぶん、計算書
  類の意味が通じないのでしょう。定時株主総会で承認する決算書類とか、財務
  諸表といえば、1つか、2つ、出てきませんか。

 2.1〜2個
   企業社会に属している方なら、2個は答えてほしいところです。

 3.3個 
   税理士や経理部員並です。

 4.4個
   勉強家です。

 もったいぶらずにお答えしますと、@貸借対照表、A損益計算書、B株主資本等
変動計算書、C個別注記表の4つですが、BとCは、会社法施行以降の新用語です
からともかく、@とAは常識的な計算書類だといえましょう。

 発売まで、あと1ヵ月。もう少しお待ちください。

 ★お客様各位★
  本日は、電波の悪いところに行っております。電話が通じない可能性がありま
 すので、できましたら、明日以降にご連絡くださいますようお願いします。


2011.12.16(金)【「望」年会】(金子登志雄)

 忘年会のピークですね。私も何度か経験しました。

 しかし、今年は東日本大震災や原発の惨禍でいまだに生活もままならぬ方が多い
ため、忘年会などしていてよいのかという気持ちがどこかに残ってしまいます。

 そんなことを会社の喫煙室で、同じ愛煙家に話しましたら、「来年はよい年にな
りますようにという希望を込めた【望】年会と思えばよいのではないでしょうか」
という返事がきました。さすがは愛煙家です(?)、いつも、あちこちで肩身の狭
い思いをさせられているためか、自分の慰め方を知っています。

 先週の金曜日の9日は、さまざまな打ち合わせを兼ねて、商業登記倶楽部主宰者
の神ア先生、司法書士会の有名人・鈴木龍介先生、受験界のカリスマ講師・山本浩
司先生などと【望】年会でした。

 神ア先生と鈴木さんは、「今度は何をしたい(何を出版したいなど)」と、いつ
も希望に溢れており、お元気そのものでした。私のように「もうネタ切れです。書
くものはありません。面倒くさいことは避けて通りたい」という後ろ向きの老人病
とは無縁のようでした。

 面倒くさがり屋だが、頼まれると頑張ってしまう私の性格を神ア先生も鈴木さん
もよくご存知のようで、「今度、金子さん、一緒にこれをやりましょう」と誘って
くださいますので、私も、つい「いいですねぇ。こういうふうにするといいかもし
れませんね」と応じてしまいます。企画・構成などという面倒なことをお二人が引
き受けてくださり、私は、職人の仕事をするだけなので、「それならば」というわ
けです。

 お二人に引っ張られて、来年も「(希)望年」になるよう頑張りましょう。

 なお、ESG諸君、私は面倒くさがりですし、富田氏などは土日もないワーキン
グプアですから、これじゃ忘年会は無理だとあきらめていましたが、地方のメンバ
ーが上京した折には、歓迎を兼ねて「望年会」をしましょう。来年になるかもしれ
ませんが。

 ★お客様各位★
  19日の月曜日は、電波の悪いところに行っております。電話が通じない可能
 性がありますので、20日以降にご連絡くださいますようお願いします。


2011.12.15(木)【健康診断】(仙台・立花宏)

 先日、毎年受けている健康診断を受診してきました。
 
 健康診断の受診項目のひとつに、胃の内視鏡検査があります。いわゆる、胃カメ
ラです。私はこの胃カメラを大の苦手にしていて、これがあるために、毎年の健康
診断が近づいてくると、憂鬱になります。

 とはいえ、何年か前の健康診断で精密検査が必要との診断を受け、胃の内視鏡検
査を受けて以来、毎年、この検査を受けています。精密検査の結果、異常はないと
の診断を受けたのですが、胃に粘膜下腫瘍というこぶのようなものがあり、経過観
察が必要との診断を受けたからです。無実とはいえないかもしれないが、無罪だと
いえばよいのか、それとも執行猶予といえばよいのか、とにかく、すっきりしない
状態です。

 さて、今年の健康診断も順調に進み、いよいよ最後の胃の内視鏡検査になったと
きのことです。私は医師の指示に従い、ベッドに横たわりました。まさに俎板の上
の鯉の状態です。

 「はい、カメラを、コクンって感じで飲んでくださいね。」

 という医師のアドバイスを受けますが、毎年のごとく、私ののどは、私以上に胃
カメラを苦手にしているようです。やはり今年もすんなりとはいきませんでしたが、
医師の巧みなカメラさばきにより、何度目かのトライでなんとかのどを通りました。
するするとカメラが食道を通り、胃の方へと進んでいくのがわかります。ここまで
くればひと安心です。

“このカメラは、少し前に話題になった、あの会社のものだろうか” などと考え
る余裕も出てきました。

 それと同時に、先日、設立した会社のことが思い出されました。

 依頼者が唯一の出資者で、依頼者のみが取締役の会社です。私は定款に定める取
締役の任期は法律上最長である、10年以内に終了する事業年度のうち最終のもの
に関する定時株主総会の終結の時までにしてもよいのではないかと思い、依頼者の
意向を確認しました。

 すると、依頼者は言いました。

 「私は長年、技術畑のサラリーマンをしてきて、会社の経営のこともわかりませ
んし、法律のことも素人です。会社の健康診断のつもりで、定期的に司法書士の方
にも、いろいろ相談にのってほしいですし、もう少し短くできませんか? そうい
う機会でもないと、ド素人の私は、知らないうちに法律違反をしてしまいかねませ
ん。ご迷惑かもしれませんが、設立手続きが終わったあとも、定期的にお付き合い
ください。」

 結局、その会社の取締役の任期は、2年以内に終了する事業年度のうち最終のも
のに関する定時株主総会の終結の時までと設定することになったのですが、私は正
直、驚きました。

 取締役の任期が来れば、たとえ取締役の方に変更がなくとも、登記をしなければ
ならず、費用がかかるため、任期はできるだけ長くしたいという依頼者がほとんど
です。もっとも、最初は短く設定しておいて、任期がくる前に任期を伸長するよう
に定款変更すれば、在任中の取締役の任期も変更されるため、登記をする必要はあ
りません。しかし、実際にそうする依頼者はほとんどいません。

 役員改選の手続きのタイミングでいろいろな相談をいただくことがあるのは確か
ですし、また、会社の方が持参された議事録や他の資料を拝見する中で、アドバイ
スできる点を発見することもあります。

 私は、これまで、依頼者と同じような会社の設立のご依頼をいただいた場合、依
頼者の意向もあり、任期をなるべく長く設定することが多かったのですが、
“もしかしたら、その会社の健康診断(の一部だとは思いますが)を受ける機会を
少なくしてしまっていたのかも知れない。そう思うのは思い上がりだろうか。“

 そんなことを考えていると、胃の方から胃カメラがのどの方へと戻ってきて、の
どをスルリと通って、検査は終了しました。

 検査結果は、特段の変化がないため、今年も経過観察となりました。

 あまり楽しいものではありませんが、健康診断は自分の健康状態の確認のためで
す。来年もすすんで受けなければいけないですね。反省!


2011.12.14(水)【企業内士業】(金子登志雄)

 昨日発行の日刊ゲンダイの記事に、弁護士の卵の3割が弁護士事務所への就職に
あぶれており、企業内弁護士を望む人が増えているとありました。その記事で知っ
たのですが、企業内弁護士の任意団体で「日本組織内弁護士協会」というのがある
のですね。2001年(平成13年)の設立だそうです。

     http://jila.jimdo.com/

 同協会の直近の調べによると、企業内弁護士数は588人、三菱商事の14人が
筆頭だそうです。

 この数字が大きいものか、小さいものかは人によって見方が異なるでしょうが、
少なくとも、企業内税理士、企業内会計士よりは圧倒的に少ない数字であることは
間違いありません。私自身も企業内税理士・会計士さんとは何度か名刺交換したこ
とがあります。

 企業内司法書士も数人面識があります。しかし、想像ですが、全国で100人も
いないことでしょう。その代わり、企業内司法書士【有資格者】は1000人を超
えるのではないでしょうか。試験に合格し資格を取得しても、独立業より会社員を
選択する若い人が多いですし、開業中の司法書士も廃業してから企業に勤めるだろ
うからです。

 これは、司法書士法で、「司法書士は事務所を設けなければならない」とあるた
めか、企業内司法書士に司法書士会が否定的であることも関係していると思います
(最近は運用がだいぶ緩和されているようですが、実情は知りません)。

 私が平成8年に東京司法書士会に登録する際も、私の兼任業務をみて、「勤めな
がら司法書士を登録することはできません」と拒否されそうになりました。私が怪
訝な顔をしたところ、すぐに気づいてくれ、「あ、失礼、貴方の場合は、従業員で
はなく会社の役員ですね。これなら問題ありません」と訂正してくれましたが、税
理士などと相違し、厳しいなと思ったものでした。

 私は企業内司法書士に肯定的です。圧力団体としての司法書士会の力を強めるに
は人数が多いほどよいですし、人数が増えれば自動的に司法書士会費が下がるだろ
うと期待しているからです。不純な動機ですが、企業内弁護士が法廷に立たないよ
うに、企業内司法書士も勤め先の登記申請に関与していない実情から、開業司法書
士にとって脅威の存在とは思えないからです。


2011.12.13(火)【TPP問題】(金子登志雄)

 昨日の続きですが、TPPに関するゲストスピーカーの1人は民主党の首藤信彦
議員(神奈川)でした。

 氏によると、民主党議員の8割がTPP参加反対派(4割)と慎重派(4割)で、
推進派は2割だそうです。氏は、「菅VS小沢」代表選のとき菅側についた人です
から、この問題は、「小沢VS反小沢」の問題を超えた日本の進路の問題であるこ
とがよく分かります。現状では、大手マスコミは推進派のようですが、地方自治体
や地方紙のほとんどが反対だそうです。

 氏は、TPPの勉強のため、米韓FTAを調べているようで、アメリカのFTA
履行法には、「アメリカの法律に触れるすべてのFTA規定はどのような状況にあ
ってもすべてのアメリカ人において無効である」と規定されているとのことでした。

 そこでの話ですが、日本では国際条約は憲法と並ぶくらい重要なものですが(日
本国憲法の国際協調主義)、アメリカでは州法が国の憲法や条約よりも上位にある
とのことでした。確かに、アメリカは合「州」国であり、日本の江戸時代のように、
各藩が独立国家のように行政に携わっている集合国家ですから、州法が頂点にある
という話も頷けます。

 またラチェット条項とか様々な不平等規定があり、例えば、TPPでも、アメリ
カにない車検を日本でするのはおかしいとか、遺伝子組換食品という表示はいけな
いとか、米国産牛肉に狂牛病が発生しても輸入を中断できないとか、日本の技術が
優れていたためにアメリカ製品が売れない場合にはアメリカ側のみ関税を課せられ
るとか………。

 こういう話はTPP推進者(為政者)としては不都合のため、ほとんど報道もさ
れず、「自由貿易はいいことだ、米が安くなることはいいことだ、平成の開国だ」
という論ばかりなのはなぜかという点で、原発、TPPに続く議論のテーマの最後
が日米関係になったわけです。

 結論から言えば、アメリカは自国の制度や文化を他国にも求める国だというだけ
でなく、盟主のアメリカ様を後ろ盾にして自身の権力を維持したいという日本人が
多いということのようです。

 東西冷戦時代ならともかく、これからは、それぞれ独自の文化を持つアジアの時
代だというのに困ったものですが、最大の問題点は、戦後60年間以上の平和が続
いた島国のため、日本国民自身の将来に対する危機感が薄いことでしょうか。


2011.12.12(月)【IWJの饗宴】(金子登志雄)

 忘年会時期ですが、10日土曜日は、IWJの饗宴に参加してきました。

 というと、どこかのプロレス団体のお祭りみたいですが、フリージャーナリスト
岩上安身さんを中心とする情報媒体の設立1周年記念パーティです。

  http://symposion.iwj-beta.com/

 上記のとおり、「原発、TPP、日米関係」などの時事問題に関心のある人間か
らみれば、NHKの紅白かと思えるほど知る人ぞ知る著名スターが続々と登場しま
すので、私もミーハーぶりを発揮し、第2部のパーティまで参加してまいりました。

 パーティは400人程度の参加者でしたでしょうか。主宰者の想定を超える参加
数だったようで、立食パーティなのに食い物にありつける余裕は、大人しい私には
ありませんでした。

 混雑でゲスト参加者との直接の会話は無理でしたが、間近で著名人をみることが
できました。その中で最も有名人は社民党党首の福島みずほ氏でしょう。想像以上
に小柄な方でしたが、原発問題を熱く語っていました。

 私の目当ての第1は、「真の法律家」の1人である理系頭の郷原信郎氏(元検事
でコンプライアンスの権威。陸山会問題や九州電力のやらせメール問題で活躍中)
を間近でみることでしたが、演説はなく、サックスの演奏での登場でした。

 目当ての第2は、「真のジャーナリスト」の1人である上杉隆氏でした。怖いも
の知らずで、不当な取調べをした検察官を実名で報道したりするため、痴漢等の冤
罪で、いつ権力から抹殺されるかと日々警戒し、電車に乗らないジャーナリストと
しても有名な方です。岩上氏とどちらが先に逮捕されるかという掛け合い漫才風の
挨拶に笑いと拍手が起こっていました。

 都合で出席できずビデオ画面での挨拶に登場したトップバッターは鈴木宗男氏で
したが、登場した途端、たいへんな拍手が一斉に起こりました。世間一般の常識世
界からみれば、犯罪者に拍手が起きるなど、異様な空間に思えることでしょうが、
既存メディアの報道に懐疑的な参加者からは、鈴木氏も政治犯の一人としてみられ
ているようでした。

 今回の饗宴に関心のあるのは年金生活者で時間とカネに余裕のある60歳代と思
っていましたが、参加者には30代、40代の若い方が多く、それも4割程度は女
性だったのが私には意外でした。おそらく原発問題で、子供の健康を守りたい女性
達の参加が多かったのでしょう。ゲストの矢ケア教授も、内部被曝こそ問題で、広
島・長崎の原爆症認定集団訴訟でも肯定されているのに、御用学者等はそれを認め
ていないと発言していました。


2011.12.09(金)【山あり谷あり】(金子登志雄)

 立花さんの投稿をみて、私も妹が欲しかったなと思いました。私は男3人兄弟の
真ん中です。おにぎりを落としたら、「半分寄こせ」と弟のを奪う関係だったかな。
これじゃ、感動を与えられませんね。

 さて、年末のNHKの紅白は、もう何十年もみていませんが、今回の出場者の発
表をネットでみて、びっくりしました。

 http://www.oricon.co.jp/music/special/2011/kohaku/index2.html

 第1に、芦田愛菜ちゃん(7歳)の出場です。

 こんなところにまで出させてはいけませんよね。働き過ぎですから大晦日くらい
は一家団欒で、のんびりさせてあげればよいのに………。

 愛菜ちゃんの推定年収は1説によると4億円とか。私の何十倍になるか計算する
気にもなれません。しかし、愛菜ちゃんも、振り返ってみれば、7歳が人生のピー
クだったということにならないように、今後の生き方が難しいですね。周囲で十分
に気をつけてあげてほしいものです。

 第2に、北島三郎さんの48回出場です。20代後半から連続出場ですから、偉
大というしかありません。企業で48年間も、ずっと頂点であり続けたところがあ
るのでしょうか。

 わが人生を振り返ってみれば、人並みに山あり谷ありでしたが、私の山は低く、
谷も浅いのに対し、↓の方の山と谷は、高く深いですね。

 http://www.youtube.com/watch?v=RvExVRpWQB4

 私に元気をくれる同世代の星ですから、また頑張ってほしいものです。


2011.12.08(木)【相談業務のあとで・・・】(仙台・立花宏)

 先日、ある団体が主催する登記相談会に、相談員として参加してまいりました。

 登記の相談会といっても、登記手続の相談だけというわけでもなく、その周辺の
相談を受けることも多くあります。

 その中で、遺言に関する相談がありました。

 内容は、現在、自分が住んでいる土地と建物が母親名義になっており、母親に、
その土地と建物を自分に相続させる内容の遺言を書いてもらいたいが、遺言書の作
り方を教えてほしい、というものでした。

 なんでも、兄弟姉妹が4名いるが、兄弟姉妹は大学卒業後、家からでて自由気ま
まに暮らしており、自分はずっと、父と母の面倒をみてきたが、数年前、父がなく
なり、母も高齢になってきた。そこで、万が一の場合に、その土地と建物を自分が
相続できるようにしておきたい、ということのようです。自分は大学卒業後、地元
に残り、ずっと父と母の面倒をみてきたし、家を守ってきた。だから、自分が相続
するのは当然だと思う、とのことでした。

 ただ、お話をお伺いしていると、どうやら、遺言のことはまだ、自分の思いつき
の段階のようで、遺言をしてもらうという当の母親にも、その遺言のことはまった
く話していない状態のようでした。

 私は、遺言のことや遺留分のことを説明した上で、当然のことながら、母親にそ
の意思がないと、遺言はできないことをお伝えしました。

 相談者の気持ちもわかるような気がしますが、そのことを相談されたら、母親は
どのような気持ちになるのだろうか。

 相談が終わり、そんなことを考えながら、相談会場の前の公園に出て、缶コーヒ
ーを飲みながら一休みしていると、目の前のベンチに、母親が作ってくれたのであ
ろう、おにぎりを頬張ろうとしている兄妹が座っていました。

 おそらく、お兄ちゃんは小学校の低学年、妹は幼稚園くらいでしょうか。

 ほほえましい光景だったので二人の様子を観察していました。

 すると、なにかの拍子に、お兄ちゃんが、これから頬張ろうというおにぎりを地
面に落としてしまいました。

 困った様子でおにぎりを見つめるお兄ちゃん、そして、さらに困った様子でお兄
ちゃんを見つめる妹の姿が目に入りました。

 私は、どうするのだろう、と二人を見ていました。

 「半分、あげる。」

 たどたどしい手つきでお兄ちゃんのために、おにぎりを半分に割ろうとしている
妹の姿がありました。

 「ぼく、食べたくない。」

 お兄ちゃんのプライドなのでしょうか。お兄ちゃんが小さな意地をはっています。

 「でも・・・。」

 妹の方は、どうしてよいのかわからず半べそ状態です。

 その時、私と同じように、二人の様子を見ていたおばあさんが笑って言いました。
「お兄ちゃん、妹さんが困ってるよ。食べてあげなよ。」
すると、お兄ちゃんはびっくりしたように妹を見ました。

 「半分、もらってもいいの?」
 「うん!」

妹は嬉しそうに答えました。

 しばらくして、その二人のお母さんらしき人が、やってきました。
「あれ、おにぎり落としちゃったんだ。でも、ちゃんと二人で分けて食べてたんだ。
お利口さんだね。」と、お兄ちゃんが落としたおにぎりを拾いながら、やさしく言
いました。

 母親は、仲好くおにぎりを食べている二人を見て、とても嬉しそうでした。

 親というものは、いつまでも子供達が仲好しでいてほしいと願っている。そして、
兄弟姉妹だって、お互いに幸せを願っているはずです。

 “さっきの遺言の相談の人も、きっと大丈夫だよ。”

なんの根拠もありませんが、目の前の親子を見ながら、私は自分自身に言い聞かせ
ました。


2011.12.07(水)【さすがプロの著作家♪】(富田太郎)

 先日、ある出版社のお手伝いで、合格体験記の選別作業を行いました。

 そこで感じたのは、
 ・自分に酔いしれているの??
 ・もう少し、読む人のこと考えたら???
 ・あくまでも、人に読ませるものだよ??
でした。

 人間、誰しもナルシスト的なところはあると思いますが、そのようなものは、
自分個人の日記などに書くもので、市販本には、もう少し「第三者に読まれるこ
と」を意識してほしいものだ・・・と痛感しました。

 ところで、先日、ある本に「与謝野晶子」の歌が出ていました。

 日露戦争末期の頃の歌の
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「ああ弟よ、君を泣く。君、死にたまふことなかれ。
  
   (中略)

 親は刃(やいば)をにぎらせて、人を殺せと教えしや」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
は有名で、歴史の教科書には、当時の反戦歌として取り上げられています。

ところが、その後、自分の四男が太平洋戦争に出陣する時には、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「水軍の大尉となりて、わが四郎、
 み軍(いくさ)に征く猛く戦へ」

(注)1.大意→海軍の大尉となって出征するわが子よ。猛々しく戦え。
   2.与謝野晶子の4男・c(いく)は、東京帝国大学工学部から海軍に
    入った(学徒出陣ではない)当時のエリートである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

などと、結構勇ましい歌を書いています。

 一部では、「彼女は厳しい国家権力の弾圧を受け、転向したのだ」と書かれてい
ますが、そもそも、この歌を書いたのは、太平洋戦争開戦直後の頃です(短歌雑誌
「 冬柏 」昭和17年1月号に掲載)。

 思うに、彼女はプロの著作家!
反戦思想家でも、好戦思想家でもなく、
『そのとき、そのときの時流を先に読み取り、いかに世間・読者に受けるか?』
 そのような観点で、書いたのではないでしょうか?
さすがプロですね♪


011.12.06(火)【福岡出張記その2】(金子登志雄)

 4日は博多駅周辺をちょっとばかり徒歩で観光してまいりました。まず行ったの
は、ラーメンスタジアムで有名なキャナルシティ博多です。ホテル、劇場、ショッ
プ、レストランなどがある巨大な商業施設ですが、お店が多過ぎてどこへ行ったら
よいやも分からず、ラーメンスタジアムだけみて退散しました。

 ラーメン店も10くらいありましたが、これも多過ぎて、どのお店がよいのやら
選択することもできず、また行列ができていましたので、これも早々と退散し、近
くの櫛田神社に行きました。ここは博多祇園山笠が奉納されている神社であり、以
前、丸田先生からもご案内されたことのあるところでした。

 続いて駅ビルに戻って、食事をし、丸善があったので、会社法コーナーに行って
みましたが、書名に「会社法」がつくものばかりで、合併等の各論の本はありませ
んでした(別の場所にあったのかどうかは未確認です)。書店の店員も会社法関係
の本のどれがよいのかを選ぶ能力がないので、書名に「会社法」がつくものを置く
しかないのでしょう。

 そこで思いましたが、いまの時代は、お店もラーメン店も書籍も、多品種過ぎて
素人には何がよいのか選択できなくなっているということです。ラーメンはラーメ
ンではないのです。〇〇店の〇〇ラーメンか、△△店の△△ラーメンは、別物だと
いうことです。

 昨日の話につながりますが、株式の種類も多種多様、組織再編も多種多様………
のため、専門家でないと、どれがよいのか選択できない時代になったことが、会社
法に対する勉強意欲を失わせている最大の理由ではないかと考えてしまいました。

 最近、同世代の人と、駅のトイレでさえ、使い方の説明書が張られている時代と
なり、和式トイレしか知らないでいると、流し方(最近はボタン方式が多い)にも
迷ってしまう時代になったねと話したことを思い出してしまいました。

 あれ、話が流れなくなってきてしまいましたが、まだ飛行機の時間に間に合った
ので、近くの承天寺(うどんやそばの発祥地のようです)と東長寺(福岡藩主黒田
家の菩提寺で空海創建のお寺のようです)の高さ16メートルの木造仏像などをみ
て、地下鉄の祇園駅から福岡空港に行き帰ってまいりました。


2011.12.05(月)【福岡出張記】(金子登志雄)

 土日は九州の福岡に行ってまいりました。当ESG会友の丸田幸一先生を中心と
する地元の司法書士有志の皆さんが運営している会社法ゼミナール(「金子ゼミナ
ール」と呼んでくださっているようで、ありがたいことです)での講義のためです。

 丸田幸一先生といっても、全国的には知らない方も多いでしょうが(ご本人も関
門海峡から東には関心がないと冗談をいっていましたが)、九州では、商業登記や
裁判事務などジャンルを問わず、専門家として有名な方です。

http://shi.shigyo.info/maruta/?mon=2010/02&PHPSESSID=5d31381558bc3e45dfe30af166ef1367

 上記のブログでお分かりのとおり、先生の主催する「法科村塾」では、歴史の話
題も挿入しており、その博識ぶりには、いつも驚かされます。私が先般訪問した福
井の歴史上の人物も、私はもう名前を忘れているのに、先生はスラスラと出してい
ました。

 丸田先生とも意見が一致したのですが、司法書士会等で熱心に研修を行い、商業
登記の知識の底上げをはかっていても、仕事として受ける案件が少ないために、町
の司法書士は「役員変更、設立、増資」までで、それを超えた複雑な内容は商業登
記専門の事務所でないと対応できなくなりつつあるという現状認識でした。

 会社法の施行以降、資本減少や組織再編で「会社の計算」の知識も必要になった
こと、種類株式や新株予約権は「会社の経営戦略」としてなされるため、ある程度、
経営への知識が必要になったことも原因でしょう。

 しかし、対応できないのは町の司法書士に限ったことではなく、弁護士も行政書
士も税理士も同じです。社会がIT化され年配者がついていけなくなったのと同じ
ようなもので、会社法手続も法律知識だけでは済まなくなってきたということです。

 時代が変わりつつあるわけですが、いずれ丸田「法科村塾」から高杉晋作や伊藤
博文が出てきて改革してくれることを期待しましょう。


2011.12.02(金)【司法書士と税理士】(金子登志雄)

 100%子会社同士の合併は、現在、無対価合併が主流ですが、それを司法書士
が行ったところ、会社の顧問税理士から「資本金合算方式でないと適格合併になら
ないから、更正登記をせよ」といわれて困ったとの話を某司法書士から聞いたこと
があります。

 会計に強い税理士のA先生にその話をしたところ、そう思っている不勉強な税理
士は、まだ相当程度存在するのではないかとの話でした。

 それを先日お会いした別の税理士B先生にぶつけたところ、「そういうことをい
う税理士は疑問に感じただけ、まだマシですよ。大部分の税理士は、会社がそうし
たのなら、きっと問題ないのだろうと思いこんで手続を進めてしまいますから」と
のことでした。

 怖い話ですが、気持はわかりますね。私も専門外の仕事を受けたら、とにかく無
事に終わることだけを最優先し、この機会にこの件に詳しくなろうなどと真剣に勉
強することはないでしょうから………、要するに、対処療法で済ませてしまいます。

 しかし、B先生とも話したのですが、全てに専門家になるのは不可能ですから、
こういう問題はあの先生、別のこういう問題は別のあの先生とジャンルごとに専門
家の知り合いを作っておき、いざという時に、その支援を得られるネットワークを
持っていないと、いつか事故を起こしてしまうのではないでしょうか。

 なぜ、税理士さんが勉強不足で済むかというと、法務局審査と税務署審査の時期
の差が大きいと思います。

 登記では、内容に不備があると受付されませんが、税務署ではとにかく受け付け
られて、数年後に過去の分までまとめて調査・審査されます。これでは、減資や合
併等の会計に関しては、司法書士のほうが税理士一般よりも詳しくなっているのも、
自然でしょう。

 そこで優秀な司法書士は相談する税理士を選ぶようになります。税理士が会社法
に詳しい司法書士を選ぶように………。ま、お互い様ですね。選ばれる司法書士に
なりましょう。


2011.12.01(木)【後見制度支援信託】(島根・根来川弘充)

 皆様「後見制度支援信託」というものをご存知でしょうか?
昨今、後見人が被後見人の財産を不正に流用する事件が多発しておりますが、度重
なる不正事件への対策として裁判所が積極的に導入を検討しているものです。

 概要は、被後見人の財産を信託させて、動かせないようにし、不正事件を予防し
ようというものです。

 様々な点で問題であると指摘はされていますが、それとは別に、信託という一業
種を国が支援することになることに、私個人として大きな不安を感じております。

 この制度により、大きな財産が集中することになろうと思います。大きな財産は、
市場経済では、大きな資本になります。

 現在、行き場のない資本が原油高騰を招いて経済の混乱を招いております。加え
て、EUをはじめとするヨーロッパ各国の経済危機もあり、将来の見通しはきわめ
て不透明だと思います。

 そこに被後見人の財産が、大きな資本となって影響を与えるとなると、あまり良
い結果を想像することができません。予想する最悪の結果は、金融の崩壊です。

 金融資産の価値がなくなってしまった場合、その損失を国が補填できるのでしょ
うか? どうしても「想定外の事態により・・・」という対応が予想されてしまい
ます。

 もちろん私の不安が行き過ぎているかも知れません。
しかし、「神話」がないということは、今年の大きな震災による一番の教訓として、
とどめておく必要があると思うのです。


2011.11.30(水)【ネクタイ】(金子登志雄)

 昨日の本欄は、富田センセにしては、めずらしくプアーな内容でしたね。バカに
なりきる練習でしょうか(17日本欄参照)

 さて、先日の某会議では、私の面前3メートル先に座っている方の時計が輝いて
おり、いかにも高級そうで、これが「金持ちかどうかは時計と靴をみよ」といわれ
るアレかと思いました。

 もっとも、その方はスタイルもよい弁護士さんでしたから、金持ちというよりも
オシャレで品の良い信頼感溢れる先生にみえました。今度お会いした時には、時計
の値段を聞いてみましょう。「夜店で買った」といわれるかもしれませんが。

 私も講演などをしますから、家内に「もっとオシャレしたら。ワタシが恥ずかし
いじゃないの」などといわれますが、面倒くささが先に立ち、服も時計も靴も庶民
派そのものです。その代わり、雨に打たれようが、泥がつこうが、買い換えればよ
いと思っていますので、気になりません。仕事に集中できます。

 オシャレといえば、大震災以降、節電対策のためネクタイをしないことが一般化
しましたが、いま皆様はどうしていますか。

 サラリーマン社会ではネクタイ着用に完全に戻ったようですが、自由業で、かつ、
ずぼらな私は、つい最近まで、ノーネクタイでした。8か月間、ずっとです。しか
し、最近は、さすがに首筋が寒くなり、ネクタイをするようになりました。

 ノーネクタイのときは、自分で自分の首を締めるなどもってのほかと思っていま
したが、ネクタイをするようになった今は、人に首を絞められるよりは自分で締め
るほうがマシだと自分を肯定するようになりました。

 場当たり的ですね。富田さんの真似をして、「プアーな内容で、失礼いたしまし
た(猛省)」。


2011.11.29(火)【名古屋出張記】(富田太郎)

 私は、福井ではなく名古屋出張記です。このところ、仕事で全国を飛びまわって
おり、先日は名古屋に行ってまいりました。

 私事で恐縮ですが、名古屋は高校時代1年間、新入社員時代(金融機関)の3年間
を過ごした懐かしきところです♪
 思えば、人生の一番多感な時期を過ごした場所です。

―某月某日(金曜日) ――――――――――――――――――――――――――

 朝9時、名古屋駅着。
(お客と)駅前のビルで打ち合わせ&会議・・・所要時間:2時間
終わると同時に、新幹線に飛び乗る。

 帰りの新幹線の中では、ただ、ただ、爆睡! 気がつくと、品川駅。
14時には事務所(東京都新宿区)に戻っていました。
・・・・・・・・・・・・・。

 名古屋の感想・・・・何もなし・・・・・(汗)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 12月は、大阪、福岡、名古屋、仙台に出張予定です。
日帰りですが・・・・(汗)。

 皆様、その折には、また出張記を書く予定です♪
楽しみに、お待ちください!

 ・・・・・・・・・・・・・・

 誰も、読みたくないですね・・・・。
こんなプアーな旅行記・・・・。

 金子先生のように宿泊付なら、書く材料もみつかるのでしょうし、また、その日
に選挙でもあれば、それを上手につなげて文章を作れるのですが、その日には何も
ありませんでした。

 皆様からは「多感な時期を過ごしたのなら、それを書けばよいのに」といわれて
しまいそうですが、とりあえずは、現在、仕事に追われ、無味乾燥な日々を送って
いますとのご報告です。

 ・・・・・・・・・・・・・・

 これが一番、私らしいですね・・・・(つくづく)。

 プアーな内容で、失礼いたしました(猛省)。


2011.11.28(月)【福井市訪問の余韻】(金子登志雄)

 土日はセミナー講師のため福井市に行ってまいりました。福井県司法書士会での
商業登記の講義です(幹事の皆様、たいへんお世話になりました)。

 福井市は若い頃に車の一人旅行で能登から鳥取に行く際に素通りした程度ですか
ら事実上の初訪問でした。

 飛行機を利用して福井市を訪問するには、石川県の小松空港を利用することにな
ります(この空港自体は、M&Aコンサルタント時代に、M&A案件の調査のため
何度か利用したことがあります)。

 小松空港から福井市まではバスで約1時間でした。宿泊でしたので、講義の翌日
の日曜日には、ちょっとばかり市内観光をいたしましたが、福井市は、さすがに幕
末の松平春獄で知られる城下町でした。

 勇壮な城跡(県庁)をはじめに養浩館庭園、織田信長の重臣・柴田勝家を祭った
神社(そこに織田信長の妹・お市との再婚で柴田の娘となった後の淀君である茶々
・初・徳川2代将軍の妻で大奥を作った江=ごう=の三姉妹神社もありました)な
どをみて、電車で滋賀県米原市経由で帰宅しましたが、帰宅後は福井市訪問の余韻
でNHKの大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」の最終回をみたことはいうまでもあ
りません。

 その番組後のテレビ・ニュースは大阪維新の会が勝利した大阪府知事選、大阪市
長選一色でしたが、戦国時代の近代兵器である鉄砲に類する現代の兵器は、テレビ
などマスコミではないかと思いました。

 現代は、マスコミを上手に利用できる者が天下取りの勝利者になれる時代のよう
ですが、選挙結果をみて、本当の実力者が天下を取れる戦国時代の方が公平だった
のではないかと思ってしまったのも福井市訪問の余韻でしょうか。


2011.11.25(金)【「町」の法律家】(金子登志雄)

 東京会の新人研修は13日間で、そのうち多い順にいうと、不動産登記4日間、
商業登記2日間、債務整理2日間でした。

 メイン業務のはずの商業登記が単独2位の地位を保てなかった理由の1つは、会
社法になって役員の任期が10年までとなり、めっきりと商業登記案件が少なくな
ったためでしょうか。

 債務整理と同じコマ数とは時代の流れを感じます。これから開業する人にとって
は、不動産の仕事はベテラン事務所にがっちり抑えられており、かつ商業登記案件
が少ないとなれば、債務整理でも始めざるを得ないのでしょう。債務整理から徐々
に裁判事務や簡易裁判所事件にかかわる司法書士も増えてきたと聞いています。

 商業登記2日間のうち、1日目が設立と変更登記、2日目が増減資になっており、
私の専門の組織再編までは含まれていませんでした。ますます、組織再編は司法書
士の中でも特殊な人間のする仕事になってきたということでしょうか。

 よく司法書士(行政書士)の宣伝文句として「町の法律家」といいますが、債務
整理や会社の設立等は、まさしく「町の法律家」の仕事だといえましょう。しかし、
この「町の」の意味が「依頼者は個人(住民)」という前提があるように思います。

 司法書士以上に「町の(ヨロズ)法律家」として活躍している税務会計事務所に
とっての「町の」の意味は、個人事業者や中小企業であって、司法書士の顧客層と
は必ずしも重なっていないように思います。

 司法書士が税務会計事務所と同様に、「中小企業」「個人事業」の顧客開拓に精
を出せば、もっと職域を拡大できると思うのですが、残念ながら、新人研修の商業
登記のコマ数でも分かるとおり、司法書士会全体の関心がそちらに向いていないよ
うです。

 貸借対照表などの勉強も必要で面倒だからという理由もあると思いますが、一番
大きい理由は、研修担当幹部の皆さん自身が企業法務にそれほど関心がないのでは
ないでしょうか。

 これ以上言うと、「じゃあ、お前が率先してやれ」となるので、やめておきます
が、新人の皆さん、税務会計事務所は企業法務に詳しい司法書士を求めていますよ。
商業登記のことも忘れずに頑張ってください。


2011.11.24(木)【新人研修講師】(金子登志雄)

 東京司法書士会のHPをみておりましたら、11月30日から新人研修が始まる
ようです。もう、そんな時期なんですね。

 講師は当ESGの初瀬さんなど、そうそうたるメンバーでしたが、新人さんに、
その価値が伝わりますかどうか。

 私は、新人研修の講師は頑として拒否しています。いろいろ理由はあるのですが、
私の講義内容は、実務で苦労した方を対象にしたものであることと、金子の話を聞
きたいという人にしか話したくない(義務で仕方なく参加する人達を相手にしたく
ない)という実にわがままな理由が主たるものです。

 こういうと新人をド素人扱いしている上目目線のように思われてしまいますが、
これは全くありません。新人には会社を定年退職した方など講師以上に人生経験の
豊かな方々もおられますし、私自身、48歳で新人研修を受け、司法書士としては
新人でも企業法務従事歴は講師以上に豊かだという自負がありましたから、一部の
講師の方々の「君達は………」などの発言に対して、反発したものでした。

 学校を出たばかりの新人から、企業法務コンサルタントから司法書士に転身した
方など多種多様な新人の方を相手に話すのは、実にたいへんだと思います。

 昔、学習塾の講師をしたとき、学長が「皆さんは生徒のことをいつか忘れますが、
生徒は一生忘れません。十分、気をつけるように」といわれましたが、私も新人研
修の際の講師の皆さんのことは、よく覚えています。

 講師の皆さん、事実上のボランティアなのに、嫌われたら損ですよ。上目目線だ
けは、やめましょうね。


2011.11.22(火)【公告文案】(金子登志雄)

 会社法2条に各組織再編の定義がなされています。例えば、吸収分割とは「株式
会社又は合同会社【が】その事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後
他の会社【に承継させること】をいう」とあります。

 株式交換も同様に「AがBに〇〇させる【こと】をいう」という文章形式です。
ところが、吸収合併と新設合併は特別で、吸収合併なら「会社が他の会社とする合
併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承
継させる【もの】をいう」となっています。

 お気づきでしたか。

 「………【こと】をいう」と「………【もの】をいう」は、どこが違うのかと考
えてみたことがありますが、単なる文章形式の相違でしょう。

 「合併」については説明不要という前提に立ち、吸収合併の場合は、合併の中で
「消滅会社の権利義務の全部を合併後存続会社に承継させるもの」と定義しただけ
ですから、Aが解散消滅しBに権利義務を吸収させる場合も、「BがAと吸収合併
する」という表現が不可能ではありません。

 ところが、吸収分割は「AがBに〇〇させる【こと】」という文章形式ですから、
吸収分割するのはAだけであって、「BがAと吸収分割する」という表現は不適切
だとされています。

 その関係で、債権者異議申述公告の「左記会社は合併して………」という公告は
よいけれど、「左記会社は吸収分割して………」という吸収分割公告はおかしいの
ではないかとのご批判を承りました。

 しかし、公告文案作成者の一人として説明させていただけば、ここは「左記会社
は吸収分割関係になって………」という意味に過ぎません。ここをこだわると、吸
収分割承継会社が単独で公告する場合を「吸収分割公告」という見出しにすること
自体も間違いになってしまいます(「吸収分割承継公告」というべきでしょう)。

 そもそも「合併公告」という表現自体に対しても「株主に向けた公告」と受け取
られるから「合併異議申述公告」とすべきではないかとの批判も大昔からあります。

 公告文案は、さまざま検討の上での結果であることをご理解くだされば幸いです。

(参考)
 明日は休みですね。大手マスコミには登場しない対談の視聴でもいかがですか。
  http://kochi53.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/11/tv_efab.html


2011.11.21(月)【プロ野球には興味はないが】(金子登志雄)

 土日は家族が野球ファンなので、一緒に、プロ野球の日本シリーズ(ソフトバン
ク対中日)をみて過ごしました。私自身は野球には関心がないため、なぜ野村監督
が解説しているのかとか、ソフトバンクの帽子のマークがSBではなく、Snにみ
えるのはなぜかなどと関係ないことばかりを注目してしまいました。

 ソフトバンクの大昔の前身が南海ホークスだったので、野村監督を解説に呼んだ
のかなとも思いましたが、あまりに古い話ですね。長島、王、金田の時代の話です
から………。
 ひょっとして、中日の落合監督と「恐妻家兼名監督」という共通性のせいかなと
も思いましたが、これはきっとうがった見方でしょう。

 帽子のマークは最後まで分からず、ネットで調べましたら、Snではなく、Sh
だそうです。ホークスのhでしょう。SBだとカレー屋さんと間違えられてしまう
せいでしょうか。

 しかし、今回の日本シリーズは、巨人騒動ですっかりかすんでしまいました。こ
ちらの騒動も私には全く関心がありませんが、しいていえば、騒動で名があがった
登場人物の中で渡邉恒雄氏と江川卓氏の動きには、ちょっと興味がありました。

 ナベツネ氏は自民党の大物(派閥の長)である大野伴睦の番記者を務めてから、
メキメキ力をつけ、政界のフィクサーとまでいわれるようになった人物ですが、な
ぜ、フィクサーになれたのかに興味があります。

 勝手な想像ですが、思想・考え方が偏っていないからでしょう。若い頃は共産党
員だったようですし(当時の真面目な若者としてはよくあることでした)、同じく
思想に融通性のある中曽根康弘・元首相と仲がよいことでも分かります。意外なこ
とに、靖国神社参拝問題では、参拝するなという立場のようです。

 エガワ氏は、巨人入団時の「空白の1日」で、すっかり悪役イメージがついてし
まいましたが(強引に自分の意見を押し通すことを当時は「エガワる」といいまし
た)、当時の記者会見で、記者連中が若いエガワ氏に食ってかかるような態度だっ
たのに、「まぁまぁ、落ち着いて」と発言するなど、穏やかに対応していました。
大学を卒業したばかりの若造なのに、何という大物かと驚いたものでした。

 ナベツネ氏もエガワ氏も、その存在感はすごいですね。その分、敵も多いことで
しょうが、マンガの登場人物として描かれることが多いところをみると、愛される
人物でもあるようです。

 あれ、本欄でもソフトバンクの優勝が巨人騒動でかすんでしまいました。ソフト
バンク優勝おめでとうで、締めておきましょう。 


2011.11.18(金)【取締役は誰が選ぶのか】(金子登志雄)

 昨日の投稿の「利益相反」ですが、昔、司法試験の勉強中に、そういう事件性の
ある問題ばかりを勉強していました。

 これこれこういう説と、こういう説があるが、私はこう考えるといった論述の勉
強ばかりでした。私がいまでも「自説の確立」にこだわり、人にも「登記の先例を
探す以前に、貴方はどう考えるのか」と求めるのは、この頃の影響でしょう。それ
が法律(解釈学)の勉強の王道だからです。

 しかし、反面で、司法試験の勉強には、会社の設立手続、相続の手続、根抵当権
手続など事件になりにくい手続問題は試験に出ないためか、弁護士さんがこれらの
手続に弱いのは、よく理解できます。

 私も、実務家養成試験である司法書士の勉強をしてはじめて、会社の設立や相続
というのが「実感」として分かった気がしました。足が地について来た感じでした。

 しかし、これでも、実務家として不十分です。 
 
 ところで、本欄を閲覧している法律家の皆様、株式会社の取締役は、誰が選任す
るものですか。代表取締役の場合は、どうですか。

 「取締役は株主総会が選任し、代表取締役は取締役会が選任します」というのは、
建前です。現実には、社長が「今度は〇〇君を役員にしよう。後任の社長は、△△
君にしよう」と決めるのです。株主総会や取締役会は、それを追認する儀式です。

 これがいけないことだというつもりはありません。こういう社会の実情を十分に
分かったうえで、それにどっぷりとつからずに、適切な法務アドバイスをできるよ
うにしましょう、法律だけでなく社会勉強も怠りなく、ということを若い先生方に
いいたかっただけです。

 あれ、若い先生が本欄に登場すると、すぐに小舅根性がでてしまうようです。そ
ういう嫌味な老人にはなりたくないと、ずっと思ってきたのですが………。


2011.11.17(木)【駆け出し司法書士/利益相反取引を考える】(仙台・立花宏)

 取締役が自己または第三者のために、株式会社と取引をしようとするときは、株
主総会(取締役会設置会社においては取締役会)の承認を受けなければならないと
されています。

 これは、取締役が会社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図ることを
防止する趣旨であるとされています。

 私は会社関係の登記の手続きをさせていただく割合が多い関係から、会社が所有
する不動産に関する登記手続きのご相談を受けることもあります。

 その場合、利益相反取引に該当し、会社の承認手続きを行っていただいた上で、
登記手続きをさせていただく機会もわりとあるのです。

 しかし、私のような地方で仕事をしている司法書士がお付き合いする会社は、大
株主が代表取締役で、他の株主がいたとしても、その代表取締役の家族のみといっ
た個人経営の会社がほとんどです。そのため、利益相反取引に該当するといっても、
代表取締役の利益イコール会社の利益のような状態なので、会社の承認が得られな
いはずもなく、正直なところ、あまり利益相反取引に関して会社法が規定した趣旨
が実感できずにいました。

 そんなある日、以前、勤務していた会社の元上司から、不動産登記のご依頼をい
ただきました。元上司が父親から土地の贈与を受けるという内容です。

 もともと、元上司は会社の法務関係を担当していたため、こういった不動産関係
業務についても詳しく、なんの前触れもなく私を訪ねてきたにもかかわらず、登記
に必要な一連の書類をすべて揃えてもって来ました。

 そして、その書類をポンと私に手渡すと、「じゃ、これで登記手続きをやっとい
てくれ。」と言って、事務所を後にしようとしました。

 「あ、部長、一度、お父様にもお会いさせていただけますか。本人確認、意思確
認が必要です。」

 「かたいこと言うなよ、立花。親父ももう年だし、足も弱ったのか、最近、あん
まり外出しないんだよ。」

 元上司には、以前、勤務していた会社で大変お世話になり、また、会社を辞めた
今も、ときどき、飲みに連れて行ってもらったりしています。

 司法書士として仕事を受任する以上、本人確認、意思確認を省略するのはもって
のほかです。しかし、お世話になっている元上司から依頼です。まして、誰からも
信頼される、誠実な方なのです。お父様の意思に反して勝手に手続きをするような
人ではありません。

 “どうしようか・・・。” 悩んでいる私がいました。

 司法書士としての私と、元上司の期待に応えたい私との間で、葛藤が続きました。
そんなとき、会社法が利益相反取引について規定していることが思い浮かびました。

 もちろん、会社法が規定している状況と、私のおかれた状況はまったく異なりま
すが、相反する2つの立場で物事を考えなければならないということは、こういう
難しい状況なのか、と思ったのです。

 こんなとき、司法書士としての私が「本人確認、意思確認は省略してよし。」と
承認したら、元上司の期待に応えたい私は、本人確認、意思確認を省略していたか
もしれません。

 会社法の規定は、前述のように取締役が会社の利益を犠牲にして自己または第三
者の利益を図ることを防止することが趣旨とされています。

 しかし、もしかしたらその他に、会社の承認を受けることにより、2つの立場の
間で、思い悩み、苦しい思いをする、そんな状況から取締役を解放してあげる、そ
んな意味もあるのではないか。そんな勝手な想像をしながら私は元上司に答えまし
た。

 「部長、本人確認、意思確認を省略するわけにはいかないんです。」

 私は司法書士です。本人確認、意思確認の省略を承認できるはずがありません。

 「そうか、立花を困らせるわけにはいかんな。じゃあ、今度の日曜日、自宅に来
てくれ。夕食を用意しておくから、どうせなら一緒に飲もう。」

 日曜日、元上司の家に伺い、元上司のお父様の本人確認、意思確認を無事終える
と、元上司のお父様も一緒に食事をして、思わぬ楽しい時間を過ごしたのでした。


2011.11.16(水)【氏名又は名称及び住所】(金子登志雄)

 会社法の条文の中に「氏名又は名称及び住所」という表現が多々登場しますが、
氏名とは個人(自然人)を前提としており、名称は法人を前提としています。

 商業登記法54条3項によると、法人の名称変更には証明書類が要求されている
のに、自然人の氏名の変更には証明書類が要求されていません。なぜでしょうか。

 どこにも明瞭な説明はありませんが、たぶん、法人は人工的な生き物で、名称が
違えば別人格という社会的なコンセンサスがあるためでしょう。鈴木〇子さんが結
婚して佐藤〇子さんになっても、〇子さんは〇子さんですが、松下電器産業とパナ
ソニックは、同一会社というイメージがありません。法人は合併等によって、大変
身することも可能だからです。

 次に、「氏名又は名称及び住所」という表現からもお分かりのとおり、法人につ
いても「住所」と使います。合併等の規定にも「存続会社等の商号及び住所」など
とあります。

 ところが、登記について規定する会社法911条では「本店及び支店の所在場所」
とあり、「本店及び支店の住所」と規定していません。これはなぜでしょうか。

 これについては、私を含め、多くの法律家が疑問に思いながら放置しているよう
ですので、本稿のついでに、疑問の解消を意図してみました。

 ★★司法書士各位は、ここで読むのをやめて、一緒に考えてください★★

 10分間考えた私の結論(推理)は、以下でした。

 会社法4条で「会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする」と規定して
います。この所在「地」とは、市町村(東京23区を含む)までですから、住所と
は、「〇丁目〇番〇号」という場所まで含んだ概念です。

 とすれば、「住所=所在場所」とも考えられますが、会社法911条が定めてい
るのは、「会社」の住所のことではなく、「本店」と「支店」の場所です。つまり、
本店と支店は会社の部分であって、会社そのものではありません。「会社の住所は、
その本店の所在地に」ありますから、支店の所在場所のことを住所といってはいけ
ません。同様に、会社の一部に過ぎない本店も住所といってはいけないのでしょう。

 いかがでしょうか。
 金子はヒマだなぁと思われてしまったかもしれませんが、せめて、本欄のネタ探
しで、毎日、大変なんだなと思ってくだされば幸いです。


2011.11.15(火)【任期は選任時からか】(金子登志雄)

 期間の定め方には「いつからいつまで」と「いつまで」という2つの方法があり
ますが、次の場合は、どちらだと思いますか。

1.会社法806条3項:
  消滅株式会社等は、第804条第1項の【株主総会の決議の日から2週間以内
 に】、その株主に対し、新設合併等をする旨並びに他の新設合併消滅会社、新設
 分割会社又は株式移転完全子会社及び設立会社の商号及び住所を通知しなければ
 ならない。

 これは、株主総会の決議の日から2週間以内という期限(締切日)を定めただけ
で、株主総会の決議の日から通知しなければならないという意味は含まれていない
とされています。

2.会社法332条1項:
  取締役の任期は、【選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関
 する定時株主総会の終結の時まで】とする。

 これをつい、任期は【選任時から………定時総会の終結時まで】と読んでしまい
ませんか。教科書にも「任期の起算点は選任時」などと書かれています。

 しかし、11月15日に選任され、11月17日に就任承諾したら、17日から
任期中になるのであって、15日は任期の終期である「定時株主総会の終結の時」
を計算するための起算日に過ぎません。

 選任時を任期の起算日だという表現は間違いではありませんが、選任されても取
締役になるまでは、任期中とはいえないわけですから、選任時は任期の【終期の】
起算日だと表現するのが正確だということに気づきました。

 言い換えれば、上記2つとも「いつからいつまで」型ではなく「いつまで」型で
すね。


2011.11.14(月)【重任概念】(金子登志雄)

 ここ1ヵ月ほど「重任とは何か」などにつき、商業登記倶楽部5人委員会(神ア
代表)や当ESG内部で、議論してまいりました。

 「重任」とは、商業登記特有の概念で「任期満了退任と同時に就任」した際に、
退任の登記と就任の登記の2つをせずに、重任という1つの登記で済ませてしまう
省エネ登記方式のことです。「辞任と同時に就任」した場合は重任とはいいません。

 たったこれだけの差ですが、いろいろ問題が生じます。

1.取締役は定時株主総会の終結と同時に退任するため(会社法332条)、その
 定時株主総会で再任を決議すれば、同時の退任・就任といえますが、代表取締役
 は取締役の退任と同時に任期切れし、その定時株主総会終結後の取締役会で再任
 しても、同時の退任・就任といえないじゃないかという勉強初期に誰でも感じる
 疑問があります。
  これについては、代表取締役の場合の「同時」とは「同日」も含むと割り切る
 しかありません。重任とは省エネ登記方式に過ぎませんし、もともと代表取締役
 自身には独自の任期というのがありませんから、登記の慣例とでも考え、深く考
 えないことです。

2.辞任と同時の就任の場合は、辞任によって、そこで任期を清算し、ゼロから新
 たな任期が始まるというイメージがあるのに、重任の場合は、「任期の延長」と
 いうイメージがあります。
  これが解釈に影響してきますが、その内容については、キンザイ「登記情報」
 の1月号に議論の成果を発表しますので、お待ちください。

(参)7日付本欄の【「すべて」か「全て」か】につき、仲間が理由を見つけてく
  ださいました。
  http://www.clb.go.jp/info/other/houreiniokerukanji.pdf

(参)8日付本欄の【BKD】につき、中野先生の演説場面を見つけました。実に
  面白い演説ですが、街頭演説なので、やや聞き取りにくいのが残念です。
  http://www.youtube.com/watch?v=fHz1dka-0u0&feature=player_embedded


2011.11.11(金)【報酬額の法則】(金子登志雄)

 数人の司法書士も同意してくれましたが、実際の司法書士報酬額には、次の法則
があるようです。

 1.不動産登記専門司法書士の会社登記報酬は安い。
 2.会社登記専門司法書士の不動産登記報酬は安い。

 この理由を考えますと、次になると思います。

 1.専門外の領域については、自信がないから、控えめの請求額になる。
 2.報酬額の相場もよく分からない。
 3.専門外の領域は付録の仕事であり、それで生活しているという意識がない。

 この「自信がない、それで生活していない」という意識は意外に大きいように思
います。

 専門領域で自信のある仕事であれば、「何でも質問してくれ」、「この議事録は
ここが変わっているなぁ。ここをこうすればよかったのに」などという感想を持ち
ながら、依頼者の要求に応えるため、仮に登記申請のみに関与しただけであっても、
議事録チェックなどをコンサルティングしたという意識あるいは誇りがあります。
「安心、安全」の登記申請サービスを提供したという自負があります。

 これに対して、専門外の仕事の場合は、預かった書類を下にマニュアル本をみな
がら申請書を作って登記しただけだという「代行」の意識が強く、いわば書類を代
わりに届けただけで、仕事をしたという意識が持てません。その結果、控えめの請
求額になってしまいます。

 司法書士であれば誰でも、「前の司法書士の先生は、〇〇万円だったのに」とい
われて困惑した経験があると思いますが、前の司法書士にとっては専門外の仕事だ
ったので、安かったのに過ぎず、事故のリスク付きだったわけです。

 専門領域の報酬額には「安全・保証付き」という保証料が含まれていますから、
前の司法書士より高いのは当たり前です。

 というわけで、会社登記専門司法書士の私に不動産登記の仕事を依頼してくださ
れば、ぐっとお安くできるのですが、来ないですねぇ。


2011.11.10(木)【日割り配当】(金子登志雄)

 3月決算会社が11月1日に新株を発行したとすると、この新株主に対する配当
金は11月から3月までの5か月分でしょうか。

 旧商法時代は、それが株主の平等だと考えられていましたが、会社法はこれを禁
じています(454条3項)。

 11月1日に株式譲渡や自己株式の処分で「新株主」になった者が1年分を受け
られるのに、新株の発行で新株主になった者が5か月分では不公平だともいえるか
らです。

 ここまでは企業法務に精通している者にとっては常識(?)ですが(皆さん、大
丈夫ですか)、先日、初めて優先株式を発行した会社から、「優先株式については、
日割計算でよいのですよね」と聞かれ、一瞬、不意打ちを食らったように、答えに
窮してしまいました。

 これは株式の種類が違いますので、「年365日計算」などと定めてあれば初年
度は日割り計算ですね。その定めがなかったら、どうするのでしょうか。たぶん、
種類株式の解釈(会社の合理的意思)で初年度は日割りでよいのでしょう。

 「日割り計算は11月1日からですか、翌日からですか」という質問もありまし
た。民法の翌日起算の例外は午前0時から始まる時と、年齢計算だけでしょうから、
11月2日起算で3月31日までの日数を計算し、365日で除すのでしょう。

 続いて、「来年は閏年ですが、2月29日も含めるのですか」という質問が来ま
した。

 ほんと、勉強になります。

 「顧客は最良の教師である」と、本欄上部にある『マンガ司法書士&開業成功』
の抜粋でK先生がいってますね。

 (まだまだ多くの論点があるのですが、それは別の機会に譲りましょう。)


2011.11.09(水)【利益処分案と株主資本等変動計算書】(金子登志雄)

 会社法立案担当者の解説によると、旧商法時代の利益処分案と損失処理案は、会
社法の株主資本等変動計算書に吸収されたということになっています。

 私も納得し、著書でも、そうに書いてまいりましたが、一昨日ご紹介した公認会
計士・税理士の有田先生から「1期ずれるじゃないか」という強烈な疑問を提示さ
れてしまいました。

 例えば、3月決算会社が平成23年6月の定時株主総会で株主配当を決議すると
き、旧商法の利益処分案・損失処理案は、平成23年3月期の計算書類ですが、会
社法では、この株主配当・損失処理は平成24年3月期の計算書類である株主資本
等変動計算書に記載されるわけです。

 旧商法時代も平成23年3月期の貸借対照表に配当済み・損失処理済みとされた
わけではありませんので、結果は同じですが、期ずれの指摘は鋭いですね。こうい
う指摘のある文献はあるのでしょうか。

 その他、貸借対照表は1時期の「財【産】状態」を表すものだという私の説明に
対して、会計の世界では「財【政】状態」と表現しますとの指摘を受けましたが、
これもプロの世界からの指摘だなと妙に感じ入った次第です。

 こういう知人・友人をもっていると、何かと助かりますので、企業法務に専門的
に従事したい方は優秀な会計士・税理士との交友も必要ですね。


2011.11.08(火)【BKD】(金子登志雄)

 10月31日の本欄(投稿者:田中司法書士)に「CEO(最高経営責任者)は、
比較的、よく耳にするのですが、COO、CFO・・・知りませんでした(汗) 
AKB・・・なら、知ってます(キッパリ!)」とありましたが、CIOやCTO
まであるらしいですね。

  http://nplll.com/archives/2005/12/ceocoocfo.php

 CEOやAKBをご存知の田中センセは、Bで始まるBKDをご存知でしょうか。
1月20日付本欄の【衝撃のTPP解説】に登場するTPP反対の論客・中野剛志
(タケシ)先生(元官僚で経済ナショナリズムの専門家)の命名だそうで、TPP
賛成議員を指すようです(昨日の日刊ゲンダイによる)。

 AKBがアキハバラなら、このBKDはバイコクドということだそうです。演説
中に冗談で発した言葉のようですけど………。

 この中野センセ、私は好きですね。御用学者が多いのに、物事をありのまま素直
に捉えて、「ダメなものはダメだ」と叫ぶ姿に、幕末の志士の姿がみえます。

 最近は、TPPが日本に不利なことは明らかなのに、こんなやさしいことをなぜ
分かってくれないのかとイライラが募っているようで、先般のフジテレビでの出演
でも、怒鳴ってしまったようで、ネットで批判されていました。

 さっそく、その動画をみてみました。

 http://commonpost.boo.jp/?p=18319

 「マスコミはいつもこうだ」とマスコミの世論誘導の姿勢に激したのだろうと私
にはみえました。

 小沢問題・九電問題の郷原信郎(ノブオ)弁護士(元検事、コンプライアンスの
専門家)といい、TPPの中野先生といい、正論を主張し、国を憂える志士が増え
れば、わが国ももっとよい国になれると思うのですが、敵も多いので、政治的暗殺
にお気をつけくださいと祈るしかありません。


2011.11.07(月)【「すべて」か「全て」か】(金子登志雄)

 土日は1月下旬に出る『ずばり解説!会社の計算』のゲラ校正をしておりました
が、1人では勘違いもあるため、いくつか共著書のある公認会計士有田賢臣(まさ
おみ)先生にもお手伝いをお願いしていましたところ、「株主資本等変動計算書は
新会計基準によると、『当期首残高』と当期末残高を比較するもので、『前期末残
高』と当期末残高の比較ではない」と指摘されてしまいました。

 計算規則96条7項にも「前期末残高」とあるため、まさかと思ってEDINE
Tで、当社(アクモス)、ソニー、新日鉄の株主資本等変動計算書を調べましたら、
やはり「前期末残高」と表記されていました。

 不思議なこともあるものだと、再度、有田氏の指摘を考えていましたら、「新会
計基準によると」とあったので、「計算規則の改正があったのだろう」と気づき、
確認しましたら、案の定、本年3月の改正で「前期末残高」が「当期首残高」に変
更されていました。

 その改正で、よく使う合併に関する計算規則35条等では、「すべて」が「全て」
に改正されていました(以前は「規定する」が「定める」に改正されたことがあり
ます)。

 こういう改正について、どう思われますか。
 「前期末→当期首」「すべて→全て」という内容面以外の改正で、市販されてい
る会社の計算本のスベてが、改正を反映していない古い本というイメージがついて
しまうのです。

 母体である会社法の条文では、「全て」ではなく「すべて」ですから(例:取締
役会は、すべての取締役で組織する)、なぜ会社計算規則を改める必要があったの
かと、大いに疑問です。生まれてまだ5歳なのに、もう反抗期なのでしょうか。


2011.11.04(金)【デモシカと学卒司法書士】(金子登志雄)

 今週の本欄は、久々に東京以外の司法書士の連続投稿でしたが、それぞれ内容に
も文章にも個性があり、楽しんでいただけたと思います。

 司法書士業界は地味ですが、タクシーの運転手と同じく、技術一本で生きられる
世界ですから、私を含めて、さまざまな業界からの参入者(吹き溜まり?)がおり、
みなさん個性的です。リーガルスターという司法書士劇団をみると、プロの出身か
と思われるほど演技が上手な方もいらっしゃいましたし、昨年の東京司法書士協同
組合の忘年会の余興には、何とドラーマーまでが登場していました。

 中には、なりたい職業への夢が破れ、あるいは生涯にわたりサラリーマンという
生活設計に予定外の事情が発生し、「仕方ない、司法書士でもなろうか」と勉強し
てなったデモシカ司法書士も少なくないことでしょうが、合格率2%台という難関
な国家試験ですから、「司法書士【でも】なろうか」ではなく、「司法書士になる
【しか】ない(他の道は考えられない)」といった筋金入りのデモシカのほうかも
しれません。

 共通点はみなさん地味で真面目で、政治家になろうなどという目立ちたがり屋や
野心家が少ないことでしょうか。逆に言えば、目立ちたがり屋などは、司法書士を
目指さないのかもしれません。

 デモシカであっても司法書士になったことを後悔している方はないと思いますが、
学校を卒業後何の仕事経験もなく司法書士になった若い人の中には、超零細な3坪
事務所に将来の夢を持てず、知らない世界である綺麗なオフイスで同僚が多数のサ
ラリーマン生活に対する羨望もあるようです。

 そんなときは脱サラのデモシカ先生に聞いてみることですね。明日の生活の不安
はあっても、嫌な上司がいないだけで十分に幸せだと説かれ、「こっちの水は甘い
ぞ、あっちの水は苦いぞ」といわれることでしょう。しかし、これじゃ人生勉強や
社会見聞にはなりませんね。


2011.11.02(水)【被災地の司法書士のつぶやき】(仙台・立花宏)

 先日、ある不動産取引の決済の立会をしてきました。

 不動産の購入者は、3月11日の東日本大震災で、住んでいらっしゃった自宅に
被害を受け、大規模半壊の判定を受けました。全壊ではないものの、とても住める
状態ではなく、これまで、親戚の家に身を寄せていらっしゃったそうです。

 こういったケースの場合、一定の要件がそろえば、今年4月27日に施行された
「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下、
「震災特例法」という。)が適用となり、あらたな建物の取得(その建物の敷地の
取得も含みますが、面積等の要件があります。)とその建物等を取得する資金の融
資を受ける際の抵当権設定に係る登録免許税の免税措置が受けられます。

 今回のケースの場合も、震災特例法が適用にならないかを検討し、法務局に照会
もしましたが、適用を受けることはできませんでした。

 というのも、震災特例法は、被災して滅失した建物の代替の建物を取得する際に
適用になるため、震災特例法の適用を受けるためには、震災により、被災建物が全
壊したか、または、損壊したためにその建物を取り壊していること(取壊しが完了
していることが必要)が要件となっています。

 しかし、今回の購入者の方は、大規模半壊の判定は受けていますが、被災した自
宅を、まだ取り壊していなかったのです。

 自宅が大きく被災したことと、震災時の津波の浸水地域でもあったため、新しい
生活のための中古の建物とその敷地を購入した、という事情だったのです。

 立会の際、購入者の方に登記費用の説明をしていると、仲介の不動産会社の方が、
「なぜ、震災特例法がつかえないのですか。」と、私を責めるかのように質問して
きました。

 事前に見積書を提示の上、震災特例法は適用にならないことは説明済なのです。
おそらく、不動産会社の方は、こちらが見積書を提示する前に、震災特例法が適用
になると購入者の方に説明していたのだろうと想像しながら、私は心の中で苦笑し
て、購入者の方に理由を説明しました。

 しかし、説明していると、不動産会社の方の言いたいこともわかるような気がし
てきました。購入者の方の被災した自宅は、取り壊す予定なのです。解体業者の方
に依頼はしているものの、解体業者の方も震災対応のため、なかなか都合がつかず、
解体できない状態なのです。

 被災地である私の地元では、被災して住居をなくされたりした方が自宅等を建築
するための建築工事の需要が高まっており、その工事をする技術者が不足していま
す。日本全国から技術者が集まってきているようですが、それでも足りない状況の
ようです。今、建築工事の請負契約をしても、工事を着工するのは来年中旬以降、
という建築会社もあるようです。

 私の自宅も、幸運なことに大きな被害はありませんでしたが、屋根瓦がこわれ、
屋根が損傷を受けました。その修理が完了したのはつい先日です。一部、崩れ落ち
たブロック塀はまだ、修理の目途がたっていません。4月上旬に建築会社に依頼し
てもこの状態です。

 また、屋根の修理についてはこれでも早かったほうです。周辺では、まだ応急措
置で屋根に青いシートがかかったままの家屋が多数あります。

 解体工事だって、きっと、同じ状況のはずです。

 はたして、このような状況でも、被災した建物の取壊しが完了していないと、震
災特例法は適用できないものでしょうか。

 私の説明後、その不動産の購入者の方は言いました。
 「司法書士さん、仕方ないよ。決まりだもの。私は幸運な方さ。知り合いには、
仮設(住宅)に入っていて、まだ、行き先の決まらない人も結構いるんだから。」

 決済の立会は無事、終わりましたが、私はなんともいえない無力感を感じながら、
事務所への帰路についたのでした。


2011.11.01(火)【サイバー攻撃と登記】(島根・根来川弘充)

 最近、大手企業及び官公所のコンピューターが、サイバー攻撃を受けていたとテ
レビ等で報じられました。大手企業にいたっては、軍事機密が漏えいした可能性も
否定できないのだそうです。

 また、こちら(島根)の地方紙では、金融関係でインターネットバンキングを利
用する際、情報が不正に取得され、被害がでているという記事も目にしました。

 このようなニュースを見ますと、インターネットが絶対安全であるという時代は、
まず来ないであろうと考えた方がよさそうです。なぜなら、防ぐ技術の進歩が、同
時に侵入する技術の進歩につながるという悪循環が必ず存在すると考えるからです。

 今、私達司法書士が業務としている不動産及び商業の登記は、データ化されてお
り、インターネットによる電子申請をすることが原則となっております。万が一、
いや、億が一にも不正に侵入されることがありましたら、不動産の権利が奪われた
り、会社が不正に乗っ取られたりされかねません。

 そのような事態になったときを考えますと、「想定外」だったと、解決に何もつ
ながらない発言をする時の指導者や責任者たちの姿が、安易に想像できるだけに、
不安が大きくなるばかりです。

 大震災による原発事故によって、「安全神話」が崩れました。「想定外」のこと
が起こった場合にどうするのか。

 これを考えることが、今後ますます重要な社会になるだろうと思います。


2011.10.31(月)【COO・・・・・・】(大阪・田中利和)

 すっかり,朝晩が冷え込む季節になってきましたね。

 先日,本欄にも書いた,「●●●●を紹介するポータルサイトの運営」を事業目
的とする設立登記が無事に完了しましたので,ほっと胸をなでおろしていました。

 実は,依頼者曰く,TPPに備えるために設立した会社でした。備えるといって
も,実際のところ,どうなるかはわかりませんが,事業が順調にいくことを願って
います。

 さて,設立登記が完了し,その余韻にひたっていた時,「議事録を作成したので
確認してください」という依頼がありました。

 早速確認したところ,

「・・・下記のとおり選任したので・・・・
        
       記 
 取締役副社長 甲野太郎 COO」

ん・・・・ ”COO” これはロゴ? なにかのマーク? 

 確認したところ,「これはマークではありません。シーオーオーです」とのこと。

 ”Chief Operating Officer”の頭文字をとって ”COO”というそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E9%AB%98%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E8%80%85

 ”CEO”(「シーイーオー」最高経営責任者)は,比較的,よく耳にするので
すが,COO,CFO・・・知りませんでした(汗)
 AKB・・・なら、知ってます(キッパリ!)

 最近は頭文字をとったものが多いので困ります。というか,単なる私の勉強不足
ですね。

 ところで,”ESG” 皆様,大丈夫ですよね(^_^;)


2011.10.28(金)【2階は書斎】(金子登志雄)

 田中さん、立花さん、私の笛に応えてくださりありがとうございました。

 田中さん、
 ポータルサイトに限らず、コンピュータや通信関係では、やたら意味不明のカタ
カナ用語を使うので、事業目的の登記においても認められるのかと迷いますね。先
般は、事業目的にM&Aという単語があり、このままで登記されるか若干の不安が
ありましたが、何の問題もなく登記が完了しました。以前は、「企業買収」さえ否
定されていましたから、会社法以後、相当、緩和されたことが分かります。

 立花さんwrote:
 「私たち司法書士も同じではないかと思いました。二階で研究したことを一階の
仕事に反映し、一階の仕事で生じた疑問やアイデアを、二階で研究する、そんな生
活をしてはじめて、一人前の仕事ができるのだと思います。
 おそらく、金子先生や富田先生も、(後略)」

 はい、私や富田センセにとっては、1階が司法書士業務で2階が書斎(モノ書き
部屋)です。執筆活動で気づいたことを1階の実務で実行し、実務で疑問に思った
ことを2階で研究します。

 実務書や受験本を書くということは、ふだん勉強していない部分まで勉強しなけ
ればなりませんし、分かっていることも更に分かりやすい表現は何かと工夫を重ね
なければなりません。執筆量の多い富田センセや鈴木センセは、土日も休まず2階
に閉じこもっているようですよ。

 執筆など止めて本業に専念せよという方もいらっしゃいますが、立花さんのおっ
しゃるとおり、2階での研究があるために、他と差別化した仕事ができるのだと思
っています。たまに講演の機会に話しますが、私の上場会社の顧客の約半分は1階
建の司法書士が中途半端な知識でミスし、会社が困り果て、まわりまわって私のと
ころに駆け込んできた先です。中途半端な理解は何も知らないより、大きなミスを
するものです。

 中途半端な理解かどうかは、そのことに関する論文を書いていれば自分で気づき
ます。そこで自問自答がはじまり、解決すれば、1段とレベルアップできます。若
い立花先生も、ぜひ2階にいる時間を増やし、それを外部に発信してください。そ
れをみた私のような 小舅(こじゅうと)連中が「それは違うよ」と矢を発します
から、ますます立花先生の勉強が深化します。

 田中さんも立花さんも本欄への投稿もぜひ増やして下さい。たかが20行程度の
内容でも、1時間以上を費やしていることでしょう。何度も書き直すことが重要で
す。その時間の積み重ねが血となり肉となることは間違いありません。

 ※全国の若手司法書士で2階を充実させたい方の投稿を歓迎します。
  反論ややっかみの矢が飛んでくるかもしれませんが、命は保証します。


2011.10.27(木)【二階建ての家】(仙台・立花宏)

 「仕事っていうのは、二階建ての家みたいなもんだと思う。一階部分は、飯を食
うためだ。必要な金を稼ぎ、生活していくために働く。だけど、それだけじゃあ窮
屈だ。だから仕事には夢がなきゃならないと思う。それが二階部分だ。夢だけおっ
かけても飯は食っていけないし、飯だけ食えても夢がなきゃつまらない。」

 先日、書店に立ち寄った際、ふと目にとまり、今年の直木賞受賞作「下町ロケッ
ト」(著者:池井戸潤)を購入しました。読み始めると、とても面白く、一気に最
後まで読み切りました。

 主人公佃航平は、かつてロケットエンジン開発研究者として宇宙への夢を追って
いましたが、ロケット打ち上げ失敗の責任を問われ、研究者の道を断念します。

 そして佃は父親の経営するエンジン製作会社である町工場を継ぎますが、ロケッ
トへの夢を捨てきれずに、会社の中に、ロケットエンジンに通用する部品の開発研
究をする部門を設け、その研究で培った技術を、一般のエンジン製作に活かすこと
により、会社の業績を伸ばします。

 そのような中、佃の会社が取得していたロケットエンジンの部品に関する特許が、
大企業が計画するロケット計画に不可欠なものであることが判明し、その大企業か
ら、佃の会社が所有している特許を売却するように求められます。

 経営者としては、特許を売却すれば特許は手放しますが、大きな利益を得ること
ができ、会社の経営は安定します。しかし、特許を売却するのではなく、自分の会
社でその特許を使用した部品を製作し、その大企業に納品すれば、ロケット打ち上
げの成否という大きなリスクは伴いますが、自分たちの作った部品で、ロケットが
宇宙への飛び立つという大きな夢を見ることができます。

 経営をとるか、夢をとるか。佃の気持ちは揺れます。

 冒頭の言葉は、そんな状況の中、特許を売却して経営の安定をとるべき、との態
度をとる従業員に対し、佃が述べた言葉です。

 読み終わった後、ずっと、この言葉が頭から離れませんでした。

 もし、自分の趣味として研究を続けるのであれば、二階建の家の二階ではなく、
現実の世界を離れて、極端にいえば、別荘で行った方が集中してできるし、楽しい
のだろうと思います。

 なぜ、二階で行うのか。

 二階で行えば、二階での研究を一階での仕事に反映させるも容易ですし、一階の
仕事で生じた疑問やアイデアを、二階の研究に活かすこともできます。

 近い場所で行ってこそ、両者を密接に関係させるからこそ、夢も追えるし、生活
もできるのだ、ということなのだと思います。

 私たち司法書士も同じではないかと思いました。二階で研究したことを一階の仕
事に反映し、一階の仕事で生じた疑問やアイデアを、二階で研究する、そんな生活
をしてはじめて、一人前の仕事ができるのだと思います。

 おそらく、金子先生や富田先生も、そのように、公私の区別なく研究や仕事を行
っているからこそ、第一人者として活躍されているのだろうと想像します。

 いつか私も、金子先生や富田先生のようになれるよう、がんばりたいと思います。

 でも、そのまえに・・・。生活のための1階をしっかりさせたいと思います。


2011.10.26(水)【オチのないポータルサイト】(大阪・田中利和)

 先日,株式会社▲▲▲を商号とし,「●●●●を紹介するポータルサイトの運営」
を事業とする会社を設立したいとの依頼がありました。早速,同一商号を調査し,
準備を進めているところです。

 ところが,この「ポータルサイト」の意味がわかりません。依頼者に聞いても,
ピンときません。調べたところ,なんとかその意味が理解できました。

 ポータルとは、港(port)から派生した用語だそうです。門や入口を表し,特に
豪華な堂々とした門に使われた言葉で,Webにアクセスするために,様々なコン
テンツを有する,巨大なサイトをポータルサイトというようになったそうです。

 なお、Web全般を対象とした総合的なポータルサイトの他に、特定のジャンル
に特化し、そのジャンル内における各種情報を総合的に案内するタイプのWebサ
イトを、ポータルサイトと形容する場合があるそうです。

http://www.weblio.jp/content/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88

 さらに調べていましたところ,●●●●が商標登録されています。しかし,この
事業は,設立した会社が,その会社の広告媒体として商標を使用するわけでもなく,
商標自体を広告(紹介)しているので問題はなさそうですし,商標の権利を有して
いる者の了承も得られるようです。

 ところで,閲覧者の皆さん,本徒然の難しさはここからなのです。決して笑いを
狙っているわけではありませんが,ここからオチにつなげるまでが非常に難しいの
です!!

 私がこのようなことを言える立場ではありませんが,金子代表の徒然は,すばら
しいオチにつながっています。

 何の話でしたっけ? ポータルサイトですね。

 ん? そうか,この徒然が私を宣伝するポータルサイトとも言えますね!!
今後は,笛を吹かれたら(18日付本欄参照)、オチがなくても踊ってゆきたいと
思います(^_^;)


2011.10.25(火)【ヨモヤマ話】(金子登志雄)

 渡部さん、商業登記の神様といわれるコウザキ先生をカンザキ先生と読んでは、
イカンザキですよ。渡部さんに「ワタベさん」と呼びかけるようなものです。

 私の勝手な推測では、もともとは「カミザキ」だったのが(カミザキさんも存在
します)、いつしか訛って、「カムザキ→カンザキ」になった地域と、「カウザキ
→コウザキ」になった地域があるのではないでしょうか。あるいは、上崎さんとの
混同を防止したのかもしれません。戸籍には、ルビがふってありませんから、コウ
ザキ先生も、今日からわが家は「カミサキと称する」と宣言すれば、孫や曾孫の世
代では、「ウチはカミサキです」となるはずです。

 コウザキ先生は法務局ご出身ですから、「そもそも、“コウザキ・ミツジロウ”
さんの著書によれば………」と、法務局と戦っても名誉にこそなれ、被害はないで
しょうが、時々、「そもそも、“カネコ・トシオ”さんの著書によれば………」と
法務局で論争する方もいるらしく、これでは私は法務局から嫌われてしまいます。

 ところで、私は、「コウザキ先生と似ている」とよくいわれます。どうも、商業
登記や会社法が本当に好きなんだなというオーラを出しているらしいのです。

 昔、大阪で講演したとき、紹介者の司法書士土井万二さんから「酒の席でも商業
登記の話しかしない先生(と評判です)」と紹介され、苦笑してしまったこともあ
りますが、司法書士相手では、確かにそれはいえますね。

 しかし、酒の席でコウザキ先生や私の近くに座る司法書士が商業登記の話題を振
ってくるので、そう思われてしまうところもあります。今度は、ぜひプロレスの話
題でも振ってください。誰かさんに聞かされた耳学問は学習効果はありませんが、
政治プロレスの話なら興味があります。

 あの北海道出身のエネルギッシュな実力レスラーも権力闘争の犠牲で今や刑務所
内ですし、岩手出身の超実力レスラーもマスコミの扇動による魔女狩りリンチでリ
ングに上がることさえできない状態のため、政治プロレス・ファンとしてつまらな
い思いをしているところです。

 大男の米国人レスラーと対等に渡り合える国益重視の実力日本人レスラーを同じ
日本人の観客が足を引っ張っているのですから、実に愚かなことです。広島出身の
実力レスラー(カメイ)も、もっとリングにあげて働かせてほしいものですが、オ
バマ・レスラーが国内不人気を何事も言いなりになる日本への圧力で挽回しようと
しているので、TPPも寄り切られてしまうのでしょうか。


2011.10.24(月)【神ア満治郎先生】(島根・渡部浩義)

 もう二十数年も前の昭和の時代のことです。
 大学在学中の私は司法書士受験を志し、九州地方の司法書士事務所でアルバイ
ト補助者(本当はそんなことしてよかったのか?)として日々近傍の登記所を回
っていました。

 受験勉強も熱を帯びてきて知識も新鮮だったというより若気の至り、「剣術覚
えたての新撰組」のようなもので、提出した申請書類に貼られた補正付箋をめぐ
り調査係官や登記官によく論戦をしかけていました。

 どこの登記所であったかは今となっては記憶さだかではありませんが、間違い
なく商業登記申請での補正をめぐり受験生補助者としては引き下がれないことが
あり、「そもそも、“カンザキ・マンジロウ”さんの著書『図説 商業登記法』
によれば、そんな書類は添付する必要がないはずです! 」と調査係の職員さん
相手に熱弁をふるい、相当熱い論戦になりました。

 その私たちのやり取りの一部始終を横の机で聞いていた登記官氏が口を開き、

登:「わかったよ、おにーさん。アンタがそこまでいうなら添付なしでよかっ
  チャろーたい。」の言葉の後、「おい、そのまま登記記載に回せ。」と調査
  係氏に対する指示。

私:(その一言を聞き、内心『今日もやったーっ!』と喜び勇んでおりました。)

登:「でもね、“コウザキ・ミツジロウ”を“カンザキ・マンジロウ”と読んで
  いるようでは、残念ながら今年もまだ試験には受からんチャねー。」と笑顔
  で続けられ、

登:「そこのとこはコウザキさんの出身地管轄法務局としては是非とも補正して
  欲しいチャねー。」

私:「・・・・・。(えっ、そうなの、、、【わき腹に冷たい汗】。)」

 その後も神ア先生前掲の著書『図説商業登記法』は、「あのボリュームで、こ
の価格」ということもあって、版を重ねられるたびに購入して夜な夜な読み込ん
だ記憶があります。そして私たちの受験時代には誰もが読んでいた先生のペンネ
ームによるもうひとつの商業登記の名著も。今日、私が司法書士を名乗れている
のも神ア先生のおかげによる部分が大きいことは間違いありません。

 私が神ア先生にはじめてお目にかかったのは、島根に帰郷して開業した後の平
成の世になってからのことです。「こんなに精力的な方なのか・・・・!」とい
うのが強く印象に残っています。

 『サ行』の発音に独特の発音をもつ島根・出雲地方出身の私は、同じく『サ行』
に独特の発音がある学生時代をすごした北部九州地方に、とても親しみを覚えま
した。そしてご出身の神ア先生にもその独特の『サ行』発音があることに、失礼
ながら勝手に親近感を感じます。

 初めてお目にかかってから15年以上も経つと思いますが、今日もその精力的
な講義、執筆活動には圧倒され続けています。どうも最近、私は仕事がうまくい
かなくなり疲れてくると、頃合いよく神ア先生や金子代表にお目にかかる機会に
恵まれ、元気をもらって地元に帰るという傾向があるようです。


2011.10.21(金)【自己株式を処分しても分配可能額は不変】(金子登志雄)

 来年1月下旬出版の新著から1つご紹介しましょう。
臨時決算を経ない限り、自己株式を処分しても分配可能額は不変という原則です。

 ★分配可能額(100)=剰余金(200)−自己株式簿価(100)

において、自己株式80を【100】で処分すると、剰余金が20増えて(自己
株式処分差益)、自己株式が80減少しますから、

 ★分配可能額=220−20=200

です。自己株式80を【50】で処分すると、剰余金が30減少し、自己株式が
80減少しますから、

 ★分配可能額=170−20=150

です。いずれも分配可能額が処分価額(自己株式対価額といいます)の100又
は50だけ増えてしまいます。

 ということは、自己株式を処分すれば分配可能額を増やせることになりますの
で(純資産額が増えます)、こりゃまずいということで、自己株式処分があった
場合の分配可能額は、

 ★分配可能額=剰余金−自己株式簿価−自己株式対価額

になります(臨時決算を経た場合は、その必要がありません)。

 会社法461条2項の臨時決算部分を除くと条文が次のようになっています。
1号から3号と4号を控除してください。
-----------------------------------------------------------------------
 1 剰余金の額
 2 ………
 3 自己株式の帳簿価額
 4 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式
  の対価の額
-----------------------------------------------------------------------


2011.10.20(木)【地域格差】(金子登志雄)

 渡部さん、投稿ありがとうございました。

 確かに、地方の郡部地区には会社の数が少なく、商業登記の事件数も限られます
ね。バブルの頃は、地方からも東証マザーズなりの上場会社が登場したりして、地
元の司法書士があたふたしたこともあるようですが、最近は、そういう話も聞かな
くなりました。

 では、会社数の多い都市部の司法書士は、大量に商業登記案件を受託しているか
というと、そうとは限りません。多くの事件が老舗の事務所や営業力のある事務所
に流れてしまい、全く商業登記案件のない事務所も多数あると聞いています。

 東京のど真ん中に事務所を構える当事務所など、さぞ大量に扱っているだろうと
勘違いされている部分もありますが、もし、そのとおりでしたら、当事務所も大事
務所になっていることでしょう。いつも頼んでいる司法書士事務所がヘマでもしな
い限り、他の優秀な事務所に切り替えるなどという行動は、義理固い日本の企業は
しないものです。

 ところで、格差といえば、いま世界中で貧富の格差に対する抗議デモが起こって
います。日本でも、行きすぎた市場原理主義(新自由主義、小泉改革が典型例)で、
中間層がいなくなり、かつ地方が疲弊してしまったようです。

 これをもって構造改革が不十分だったとの見解もありますが、日本的な従業員を
大事にする終身雇用制や、地方を重視する政策が、ことごとくグローバルスタンダ
ードに合わないと米国から突き上げられ、大手マスコミもその尻馬に乗り、経済政
策で失敗した面も少なくないでしょう。製造業の派遣が認められて、正社員と派遣
社員という身分格差も生じました。TPPで、また失敗しそうですね。

 こういう面からみると、商業登記庁の統廃合も地域格差を増大させる一因なので
しょうが、都会にはオンライン申請に長けた司法書士が多いので、この際、東京法
務局を島根県に移転せよと渡部さんが頑張るなら、応援しますよ。


2011.10.19(水)【商業登記スペシャリスト養成塾】(島根・渡部浩義)

 一週遅れての報告です。
 過日の連休は、都内で行われた神ア満治郎先生主宰“商業登記倶楽部”の『商業
登記スペシャリスト養成塾関東教室』で“生徒”を務めてまいりました。
(2011.10.11付 金子代表投稿文参照)

 盛況でした。日本全国各地からの熱心な同職の参加者に交じり、久しぶりに神ア
先生はじめ当ESGの金子代表、会友である鈴木龍介先生らの講義を拝聴しました。

 司法書士の世界に身をおいた者であれば、上記いずれの先生の著作を見たことが
ない、話を聞いたことがないという人は稀でしょう。これらの先生方の精力的な生
講義を連続して伺えるのですから贅沢な時間を過ごしたことになります。

 私は勝手に、「神ア節」、「金子節」、「鈴木節」と呼ばせてもらっていますが、
どの先生も講義の運びのうまさはもちろんのこと、聞く者を惹きつけるそのしゃべ
り方(話術)にはそれぞれ独特のものがあります。こうした講義を年に何度もこな
される場数の多さや扱われた案件数の豊富な経験に裏打ちされている部分も大きい
とは思うのですが、練習されてどうのこうのではない、生来の持ち合わされた素質
によられる部分も大きいと思います。

 せっかくの名講義の連続であったにもかかわらず、商業登記所がはるか遠くに去
ってしまった田舎町から出掛けた昭和の合格者(私のことです)には、講義内容に
ピンとこないことが多くなりました。

 『商業登記所80庁化は司法書士にとってのチャンス』と唱えられる神ア先生あ
たりからは叱責をいただくのかもしれませんが、人数少なく高齢化の進んだ田舎で
は間違いなく商業登記案件はなくなりました。商業登記に関する相談案件すらここ
のところ私にはありません。
 
 私自身の地元での人気の低さ、営業活動のまずさもあるのかもしれませんが、田
舎の周囲環境をみれば如何ともしがたく、もはや最低でも市制を敷くような人のい
る場所でなければ商業登記案件は無いかのような錯覚すら覚えます。また、今回い
ま一人の講師であった草薙智和先生※のような若くて優秀な方の話を伺うと、間違
いなく東京という場所の“威力”と自分が過去の者になりつつあることを感じざる
を得ません。

 3日間毎日、講義が終わると宿泊先までの帰路、賑やかな夕方の東京の街をなん
となく地下鉄2駅分ほども歩きながら、『私自身の商業登記とのこれからの関わり
合い方もこの研修で見定めたい。』そんな思いも頭の中をよぎり始めました。

 まったくもって「スペシャリスト養成塾」や平素の「ESG法務研究会」の看板
に申しわけのない末席の“生徒”となりました。

  ※草薙智和先生のブログ http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/blog/


2011.10.18(火)【笛吹けども踊らず】(金子登志雄)

 富田さんは人気者ですね。昨日の閲覧数もいつもよりぐっとアップでした。

 それでいて「この『徒然』が大の苦手です。読み手の感想・望んでいるものが分
からず、正直、書く内容・路線が絞れないのです」などとは………。

 「相手がワルツを踊ればワルツを踊り、ジルバを踊ればジルバを踊る。相手の動
きがみえなければ1人で優雅に舞う」を実践しなければ………。

 本欄も、ブログや掲示板形式にすれば、閲覧者から直接さまざまなご意見をいた
だけるのでしょうが、それに丁重に反応していると時間がとられ本業にも影響しそ
うなので、それは今後もしないつもりです。

 もともと本欄は、勉強熱心な若い司法書士を応援しようと、彼らの広報欄のつも
りではじめたのですが、皆さん、忙しいのか、あるいは書くのが苦手なのか(これ
は想像以上に多いようです)、投稿が少ないので、それならばと私1人でも続けよ
うと、日々思い付いたことを書いているだけです。

 こういうのは「笛吹けども踊らず」というのでしょうが、私は、他人の意見を知
るよりも自分の意見を打ち立てることのほうが重要だと思い、読むこと(受信)よ
りも自問自答しながら書くこと(発信)のほうを重視してきましたが、多くの方は
前者こそ勉強だと思っているようです。書いて発表し、恥を書くことのほうが余程
よい勉強になると思うのですが………。

 さて、この2か月間、試行錯誤して書いた来年1月下旬発売の新著(東京司法書
士協同組合刊)の題名は、『ずばり解説!会社の計算〜基礎から応用まで〜』とな
るようです。『ずばり解説!』シリーズ第2弾目ということでしょう。

 皆さんの苦手な会社の計算に、ずばり切り込みました。易しいことを難しく表現
しているだけであることを具体例で説明しました。これを読んで会社の計算に詳し
い司法書士が増えると私は困りますが、分かりやすい本にしないと、私の評価が落
ちる………ジレンマを乗り越え、いつもどおり後者を最優先して相当踏み込んだ内
容にしましたので、司法書士各位は、「ずばり購入!」でお願いします。

 ※本欄に書いてみたいという意欲のある方は、メンバーに声をかけてください。
 

2011.10.17(月)【「へんなことに博識で〜 」失礼ですね(怒)!】(富田太郎)

 14日の徒然に、
「もちろん、へんなことに博識で、プロレス大好きT先生も驚いていました。」

へんなことに博学?? 金子先生! 失礼ですね(怒)! 困ります!


 ところで、本徒然も平成19年4月から始まり、もう4年半がたちました。土日、休日を除
き、毎日欠かすことなく継続しており、これはある面では凄いことではないでしょうか? ひ
とえに、文章好きの金子先生、島根のWさんのご尽力によるものだと思います。

 私などは、この「徒然」が大の苦手です。読み手の感想・望んでいるものが分からず、正直、
書く内容・路線が絞れないのです。

 ところで、ちょっと余談ですが、私の文章遍歴を・・・。

 初めて、公?の文章を書いたのは、勤めていた金融機関の社内報でした。新入社員だった私
は、社内報に、『プロレスの美学』というエッセイ(個人的にもらったプロレスラー「デスト
ロイヤー」からの手紙、プロレスラーの流血写真まで載せ♪ 村松友視ばり名文!)を書き、
「次号に続く!」としました。

 しかし、発刊と同時に、役員に呼びつけられ、「新人のくせに、わが社内報に、(下劣な)
プロレスのことを書くとは!(怒、怒)」と、その場で連載打ち切り・・・・(涙)。
(まぁ・・高尚な?『文藝春秋』に広告を出す会社だったからなぁ・・・・。そんなセンスだ
から、倒産したのかな??)

 いずれにせよ、そこで学んだのは、「読み手を意識した文章」を書かなければならないとい
うことでした。

 そして、本格的に書き始めたのは10年前。「法律受験雑誌」の連載でした。6年ほど連載し
ましたが、この雑誌、毎号、読者投票による「人気順位」が発表され、読者の嗜好にあわせる
ため、路線修正の連続で、まさに死に物狂いの執筆でした。

 ここでも学んだのは、「読み手を意識した文章」でした。

 ところが、ESGの徒然は、読者からの反響が分からず、修正のしようがないのです。そん
な折、先週、本徒然を愛読している友人からメールがありました。

 (私の文章に対する賛美・賞賛かな♪♪)

「最近の富田さんの徒然は、なにやら知識をひけらかすような引用が多すぎる。ようは、バカ
になりきれていない。『おれはバカなことを書いているけど、本当は知識あるのだよ』という
のが、ハナにつく」・・・・そうです・・・・(汗)。

 そうかなぁ・・・・? 心外だなぁ・・・・???

 あっ!!

へんなことに博識で〜」・・・・・

・・・・・・・・・

 なるほど!!

 確かに・・・誰も知らない本とかの引用が、このところ多すぎましたね。以後、注意します
・・・(猛省)。

 しかし、反省はしますが、「へんなことに博識で〜〜」は、ないですよね!(怒)。


2011.10.14(金)【自身の登記がないのに印鑑証明がとれる】(金子登志雄)

 表題は信じられない方が圧倒的多数でしょうが、あり得るのです。最近、経験し
ました。

 ある行政書士さん経由で、個人事業者Aさんから支配人Bの登記をしたいとの相
談を受けました。A個人は商号の登記をしていないそうです。

 会社の登記では、支配人は会社の登記簿にしますが、個人商人の支配人の登記は
独立の登記であって、個人商人の登記とは別です。したがって、何となく個人商人
の登記をしていなくても、支配人の登記はできるのだろうなと想像いたしました。

 ところが、支配人の印鑑届に対し、商業登記規則で「商人が支配人の印鑑に相違
ないことを保証した書面及び当該書面の印鑑につき登記所の作成した証明書で作成
後3月以内のもの」を添付書面として要求しているのです。

 上記のAさんに「登記所の作成した証明書」を要求するには、Aさん自身の商号
の登記が必要ですから、やはり、実務上は、支配人Bの登記に、本人Aの登記が必
要なのかと考えてしまいました。

 なら、印鑑届をしなければよいのか、その場合、支配人の解任の登記は誰がする
のかと考えて、ハタと気づきました。支配人の登記は支配人がするとの間違った思
い込みをしていたわけで、支配人の登記申請は使用者Aが申請するのでした。

 商業登記規則をよくみると、印鑑提出者の部分に「商号使用者、………、又は支
配人を選任した商人(会社である場合を除く。)」とあるではないですか。

 支配人の登記には「支配人を選任した商人」の印鑑届が必要で、その印鑑で支配
人の登記を申請すればよく、事前に個人商人の登記をしておく必要はないというこ
とです。支配人自身が印鑑を届けたいときにのみ、使用者の個人商号登記が必要と
いうだけでした。

 であれば、「自身の登記をしていないのに、印鑑証明がとれる」となります。き
っと、司法書士の数%も知らないでしょう。もちろん、へんなことに博識で、プロ
レス大好きT先生も驚いていました。

 なお、支配人の登記には、商号が不要です。記載欄もありません。では、どうや
って、ネットの「登記情報提供サービス」で謄本を取るのでしょうか。試しに支配
人の名前で検索してもダメでした。

 登記所に聞いたら、支配人の名前でよいそうです。私の場合は、たまたま支配人
の氏が「橋」(仮名)だったので、外字が理由で不成功だったようです。タカハ
シでは取れましたから。

(土日ヒマな人に)

 法律も生活も社会の1部です。貴方も、リトマス試験を受けてみませんか。

 http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/10/post_278.html#more


2011.10.13(木)【有償無償抱き合わせ増資】(金子登志雄)

 某著名大企業のストック・オプション(新株予約権)の開示に「剰余金の額を減
少して資本金または準備金を増加する議案が当社株主総会において承認されること
を条件として株式分割が行われる場合………」という文章が挿入されており、びっ
くりしてしまいました。

 なぜ、こんなことをすると思いますか。

 きっと、額面株式時代の発想でしょう。

 昔はほとんどの会社が、「額面×株数=資本金」でした。
 「額面5万円×2000株=資本金1億円」の会社が剰余金を100万円資本金
に組み入れると、「額面5万円×2000株<資本金1億100万円」になってし
まい、格好悪い(?)ということで、2000株を株式分割して2020株にする
ことなどが昔はあったのです。

 表題の有償無償抱き合わせ増資というのは、額面5万円で100株増資するとき、
1万円分は剰余金や準備金の資本組入れで補うから、1株4万円だけ払ってくれれ
ばよいなどという増資方法でした。

 その著名大企業の場合は準備金を増加する議案についても定めているため、額面
株式時代の発想だとは断定できませんが、剰余金を資本金や準備金に組み入れて、
同時に株数を増やそう(株式分割)などと考える会社があるのでしょうか。

 額面株式がなくなってから、この10月1日で、ちょうど10年です。世の中は
変われど、人の意識は容易には変わらない1つの例でしょうか。


2011.10.12(水)【代書屋冥利に尽きる】(金子登志雄)

 10月1日合併等の登記が終わる時期となり、依頼者から、あるいは相談にのっ
ていた司法書士等から続々と御礼のメールや電話をいただき、ただいま会社法・組
織再編専門司法書士「冥利に尽きる」という実感を味わっているところです。

 これは司法書士等の専門職がみな感じる感覚でしょう。感じたことがないとした
ら、貴方の仕事は単なるメッセンジャー(使者)並であり、専門家の裁量で、確実
・早期に仕事を完了させていないことになります。

 これに関して、代書屋という表現が司法書士の蔑称として使われることがありま
すが、私は代書屋という表現が嫌いではありません。弁護士の「代言人」に対して、
「文章で勝負する職業」というイメージがあるからです。

 登記申請書はパターンが決まっていますから、そう頭を使いませんが(連件申請
を除く)、議事録案や合併契約書案、定款変更案などで、どういう表現を用いるか、
どう簡潔にまとめるか、どういう順序・配列にするか、この会社ではどこまで詳細
な内容が必要かなどなど、結構、頭を使います。決して、書式を写しているわけで
はありません。

 大企業では、よく「この合併契約は、この定款案は複数の法律事務所のチェック
を受けていますから………」というのですが、われわれの目からは、つけ込み所が
満載のものが少なくありません。

 われわれは、数多くの合併契約や定款をみていますので、「目利き能力」が肥え
ていますし、それ以前に、弁護士さんの仕事は紛争回避(無効原因はないか、裁判
にならないか)であり、われわれの仕事は、それと同時に公証人役場や登記所とい
う関所をいかに通過するかであって、着眼点が違います。

 手形がなくても芸人などは芸を披露すれば関所を通れたとか。われわれは手形を
持っていますが、それと同時に芸を披露すると、関所の審査も簡単に済み、通過時
間を短縮できるものです。皆さん、芸を磨きましょう。


2011.10.11(火)【会社法446条1号】(金子登志雄)

 連休は都内で行われた神ア満治郎先生主催の商業登記倶楽部の関東教室の講義で
講師を務めてまいりました。

 相変わらずの盛況で、北海道や沖縄からも参加があり、久々に会友の鈴木龍介さ
んや島根の渡部浩義さんとも会ってまいりました。

 鈴木さんの講義はいつもながら流暢なのに、私の話は思いつくままあっちこちに
飛び、レジュメも誤植が多く、恥ずかしい思いでしたが、渡部さんによると、これ
が金子節なんだそうです。

 一番受けたのは、次の会社法446条(剰余金の額)1号の解説でした。
--------------------------------------------------------------------------
 最終事業年度の末日におけるイ及びロに掲げる額の合計額からハからホまでに掲
げる額の合計額を減じて得た額
  イ 資産の額
  ロ 自己株式の帳簿価額の合計額
  ハ 負債の額
  ニ 資本金及び準備金の額の合計額
  ホ ハ及びニに掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額
の合計額 
--------------------------------------------------------------------------

 これ、結論をいうと、イ・ロ・ハ・ニは何でもよいのです。ホに関する法務省令
(計算規則149条)の中に、「(イとロ)から(ハとニとA)を減じた額」とあ
るのです。

 つまり、イ・ロ・ハ・ニの全部が相殺されて、最終的にA(その他資本剰余金と
その他利益剰余金)だけが残り、会社法446条が上記のようにイ・ロ・ハ・ニを
規定した意味がないのです。まるで、社長がした約束(会社法の規定)をなかった
ことにしますと、単なる経理担当社員(会社法の下位法である法務省令)に反故に
されたようなものです。

 「馬鹿にするな! と暴動でも起こしたくなりませんか」と説明したら、受けて
くれました。


2011.10.07(金)【1号合併差損と2号差損】(金子登志雄)

 流れに任せて、今週は会社法795条2項1号と2号の特集にしましょう。

 旬刊商事法務1769号25頁によると、1号は次の@、2号は次のAに書き直
せます(この書き直し経路は、東京司法書士協同組合から来年1月中旬に出る拙著
で説明しています)。

 0>純資産増加額+合併対価(株式・新株予約権は除く)………@(1号)
 0>純資産増加額+社債対価………A(2号)

 @で合併対価があれば、純資産増加額がマイナスでも合併差損にならないことが
あるとしているのに、Aのほうで社債以外の合併対価を加算していませんから、合
併差損になります。な〜んだ、@の存在意味がないじゃないかと即座に思った方は、
相当に頭脳明晰な方でしょう。私には無理でした。

 その頭脳明晰な貴方にお尋ねします。@の存在理由を述べてください。これは、
推理能力です(こちらのほうは、私は即座に気づきました)。
 
 お気づきになられたでしょうか。

 合併対価がマイナスのときです。@で合併対価がマイナスであったら、Aで合併
差損にならなくても、@のほうで合併差損になるということです。

 では、合併対価がマイナスとは、どういうことかと、次に進みますが、社債など
負債項目の話ではなく、ここは「簿価債務超過事業」を合併対価にした場合です。

 めったにどころか、全くに近いほど、生じない事態でしょうけど、@の存在理由
はあるということです。
 
 会社の計算の権威である郡谷本などには何の説明もなく、通常の場合は、Aだけ
検討すればよいと書いてあるのは、以上の意味でしょう。

 会社の計算は、なぜか説明不足の本ばかりですから、推理力テストとでも思って
読むしかありません。知恵の輪か、クイズとでも思わないと、楽しめませんが、合
併差損では、もう2週間も楽しませて(?)もらいました。それでも、まだ、完全
には解けていませんので、しばし休憩し、延長戦に入ります。


2011.10.06(木)【株式、社債、新株予約権】(金子登志雄)

 昨日の続きですが、本欄読者から「会社法コンメンタール(商事法務)の解説に
よると、金銭等から株式、新株予約権、社債を除く理由は、分配可能額が減少しな
いから、との解説がありました」とのご連絡をいただきました。

 ご連絡ありがとうございました。しかし、せっかくのご好意ですが、私には意味
が分かりません。株式を対価にし、債務超過会社を吸収合併すると、その他利益剰
余金が減少するのですが、これは分配可能額の減少とはいわないのでしょうか。

 合併対価から株式、新株予約権、社債を除く理由は、既存財産が減少しないから
であって(そのため、この3つには新設型再編の対価能力があります)、「承継」
資産・負債に含まれないからです。

 しかし、社債は「負債の増加」に繋がります。社債対価による「のれん」の計上
を通じて承継財産にも影響します。

 おそらく会社法795条2項の合併差損の規定が「承継」負債・資産となってい
るため、承継していない社債を除外したのでしょうが、「既存財産の減少」と「負
債の増加」に差を設ける合理的な理由があるのかというのが、私の疑問です。
 
 なお、株式であっても、有利発行なら、会社が損をするので、株式だって同じだ
と考えた方はいらっしゃいませんか。これは間違いです。有利発行で困るのは既存
の株主であって、会社自身ではないのです。国債を発行すると国の痛みが増えるか
ら、増税という株式を発行し、国民に痛みを回してしまえという、どこかの増税論
者の考え方は、ここに根拠があります。

 ちなみに、コンメンタール(逐条解説)というのはドイツ語だそうですね。どう
りで、私には理解できないはずでした(英語では、コメンタリーだそうです)。


2011.10.05(水)【2号合併差損と数学能力】(金子登志雄)

 突然ですが、0>X+Y において、Yがプラスだとしたら、Xはマイナスでし
ょうか、プラスでしょうか。

 数学が苦手な方でも前者だとすぐに分かりますよね(試しにYに適当な数字3を
入れてみると、0>X+3 から、△3>Xが導けます)。

 さて、会社法795条2項2号の合併差損は、

  「合併対価(株式等を除く)>承継純資産額」

のときであり、株式等に含まれる社債を除外するのはおかしいと書きましたが(3
日付け本欄)、この規定は、最終的に、

  「0>純資産増加額+社債対価」

と書き直すことができます(旬刊商事法務1769号25頁。その証明は煩雑なの
で省略します)。私流に言うと、「0>株主資本等変動額+社債対価」と同じ意味
です(対価の一部を株式にした場合を前提にしています。そうでないと、のれんが
登場し、原則として純資産額に変動はありません)。

 やはり、おかしいですよね。株主資本等変動額がマイナスになれば、その他利益
剰余金が減少するのであって(計算規則35条2項)、そこに社債を足してプラス
になったら、「合併で純資産額は減少するけど、合併差損ではない」ということに
なってしまいます(社債を加算して株主資本等変動額自体をプラスにするわけでは
ありません)。

 社債によって生じた差損を救済するのなら分かりますが(どんな場合かは不明で
す)、現実には、社債がなければ差損なのに、社債を加算したために、総会の承認
決議を回避できるという逆効果になっているのではないでしょうか。

 念のため、会社法の母体になった現代化要綱試案には、「合併対価の存続会社の
簿価が承継する純資産額を上回る場合」とあるだけで、合併対価から社債を除外し
ていません。

 マイナーな部分ですが、私が何かとんでもない勘違いをしているのか、ぜひとも
専門家のご意見を伺いたいと思っているところです。


2011.10.04(火)【10月1日合併】(金子登志雄)

 昨日は10月1日合併・再編の登記申請日でした。ありがたいことに、3か所の
法務局で、数件の組織再編の登記を申請してまいりました。

 実は今年4月1日付の組織再編登記の受託がゼロでした。3月31日合併などの
仕事はあったため、実質はゼロとはいえないのですが、組織再編登記の書き入れ時
である4月1日に「組織再編の金子」が申請件数ゼロとは、実に情けなく、いよい
よ斜陽の始まりかと覚悟していたのですが、後半になりましたら、私が大好きな込
み入った複雑な再編の仕事がいくつか入ってきて、当事務所も活気づきました。

 吸収合併と種類株式による増減資・減準備金に、大幅な役員変更と本店移転、そ
れに株式交換や吸収分割、社外役員問題などが絡んでくると、楽しくなってしまい
ます。いずれも過去に何度か経験した内容で、私には目新しいものではありません
が、たまにしかお目にかかれないので、「ようこそ、いらっしゃいました。首を長
くして、貴方様をお待ち申しあげておりました」という心境です。
 
 複雑な再編の登記の仕方は、登記の順序をミスしたらアウトです。AB、BCが
合併するのに、ABを先に申請し、Bを解散させてしまえば、BC合併ができなく
なります。実体法的にみれば、AはBの権利義務承継者だから、AB合併を先行さ
せて、後にAC合併にしてもよいではないかと思いますが、登記では、おそらく認
めないでしょう。閉鎖したBの登記簿に「Cを合併」とは記載できないからです。
もとよりAの登記簿に「Cを合併」と記載するのも不自然です。

 とはいえ、登記申請は受験と同じで、合格発表があるまでは、落ち着きません。
こればかりは「慣れ」はないのかもしれません。今日から数日間は、法務局から電
話が来ないことを祈るばかりです。あれは事由の如何を問わず、ドキっとし、どこ
をミスしたのかと不安に襲われ、健康によくありません。過去の経験から、単なる
問い合わせでしかないことが多く、これが理由で、調査官がひっかかりそうな部分
につき、事前に説明書を添付するようになったという次第です。


2011.10.03(月)【2号合併差損】(金子登志雄)

 合併差損について規定する会社法795条2項について、真剣にその意味を探索
した方はほとんどいないと思います。私も同じでしたが、本を書くため、挑戦して
みましたが、同2号の「交付する金銭等(吸収合併存続株式会社………の株式等を
除く)の帳簿価額が承継資産額から承継債務額を控除して得た額を超える場合」の
意味につき、ここ1週間ほど悶々と考え続けてしまいました。よき参考資料がなか
ったためです。

 交付する「金銭等」とは合併「対価」のことですから、「合併対価>承継純資産
額」なら会社に入ってくるものより出て行くもののほうが大きいから、合併で純資
産額が減少することは誰でも分かります。

 不明点は、なぜ合併対価から「株式等を除く」のかでした。特に、社債を除く理
由が分かりませんでした。

 株式等とは「株式、社債及び新株予約権」のことですが(107条2項2号ホ)、
株式や新株予約権は貸借対照表の資産・負債ではないため、除外する理由は分かり
ますが、社債は負債項目です。

 吸収合併で受け入れる純資産額が100なのに、新規社債120を対価として交
付すれば、20の純資産額が減少するはずなのに(実際はのれんが登場するため相
当複雑です)、なぜ除外するのでしょうか。

 いろいろ考えた結果、社債は新たに会社で発生させるもので、既存の財産ではな
いため、「承継」純資産とはいえないことが根拠だとしか考えられませんでした。
会社法795条に「承継」資産・債務とあり、合併で変動(増減)する資産・負債
と表現していないのは、そのためのようです。

 資産に計上されている自己社債を対価にした場合も、既存資産の減少ですが、同
時に外部からの負債に変化するため、新規社債と同様に考えるようです。

 しかし、現金を対価にし、未払い現金を直ちに準消費貸借で負債に変更した場合
と大差がないと思いますので、社債を特別扱いする理由は、いまだ納得しかねてい
ます。


2011.09.30(金)【同一住所・同一商号】(金子登志雄)

 ご承知のとおり、現在では、類似商号は禁止されておらず、同一住所・同一商号
だけが禁じられています(商業登記法27条)。株式会社ABCとABC株式会社
は、マエ株とアト株という大きな相違がありますので、同一商号ではありません。
株式会社AbCとも同一とはいえないでしょう。

 これに関して、先般、面白い経験をいたしました。株式会社渡辺商店を株式会社
渡邊と変更したので(注:仮名です)、早速、登記を申請したのですが、誤って株
式会社渡「邉」で申請してしまいました(第1申請)。

 過ちに気づき、電子申請で行った第1申請の登録免許税が納付前であったことを
幸いに、また、急ぎの事情があったので、すぐに、株式会社渡邊で再申請しました
(第2申請)。

 この場合に、第1申請を却下してほしいと思ったのですが、未納付が確定するに
は時間がかかりますし、第1申請と第2申請が同一商号ということで、第2申請を
却下されても困りますので、法務局に相談しましたら、第1申請を誤字による補正
を理由に取り下げればよいといわれ、そうしました。

 @第1申請→A第2申請→B第1申請の取下げの順序です。

 しかし、Bの段階で辻褄があったとしてもAの申請段階では第1申請と同一商号
だから、厳密にいえば、却下事由になるのかもしれないと考えてみました。

 いや、渡「邉」と渡「邊」では同一商号とはいえないからセーフかな、いやBの
時点で同一商号問題の瑕疵が治癒されたと考えるのだろうかなどとも考えましたが、
登記所の運用を知ろうと元登記官で商業登記界の大御所の神ア先生に電話質問しま
したら、「取下げによって第1申請はなかったことにされるから(遡及効)、瑕疵
の治癒と考えるまでもない」とのことでした。

 登記は無事に終わりましたが、登記所が株式会社渡「邉」と株式会社渡「邊」を
同一商号と判定するかどうかについては、いまだ不明です。斎藤と齋藤はどうでし
ょうか。富田と冨田もありますね。


2011.09.29(木)【計算規則39条2項ただし書】(金子登志雄)

 株式交換で債権者保護手続が不要である新株式のみを対価にした場合は、計算規
則39条2項ただし書によって、払込資本のうち、資本金・資本準備金にしか計上
できず、その他資本剰余金に計上することができません。

 私の本でそう信じていた税理士で友人のT先生、改めて計算規則39条2項ただ
し書をみたら、あれ、「その他資本剰余金」が生じるじゃないかと思ったようです。

 次の規定です。【 】は私の挿入です。
--------------------------------------------------------------------------
 株式交換完全親会社の資本金及び資本準備金の増加額は、株主資本等変動額に対
価自己株式の帳簿価額【0円】を加えて得た額に株式発行割合【100%】を乗じ
て得た額【すなわち、株主資本等変動額】から株主資本等変動額までの範囲内で、
株式交換完全親会社が株式交換契約の定めに従いそれぞれ定めた額とし、当該額の
合計額【株主資本等変動額と0円との合計額】を株主資本等変動額から減じて得た
額をその他資本剰余金の変動額とする。
--------------------------------------------------------------------------

 T先生に、次のように返しました。
--------------------------------------------------------------------------
 株主資本等変動額から株主資本等変動額までの範囲内で定めた額とは、100か
ら100までの範囲内だから、100しか定められないという意味です。
 当該額の合計額である株主資本等変動額を株主資本等変動額から減じて得た額は
ゼロですから、「その他資本剰余金の変動額は、0円」とするという意味で、計上
できないという意味です。
--------------------------------------------------------------------------

 【 】部分がないと、T先生と同様に思ってしまう方も多いことでしょう。
 我ながら、こういう難解なデジタル表現をよく解読したものだと今更ながら思い
ますが、慣れてくると、知恵の輪を解くように面白いものです。こういうデジタル
表現だと減資も負の増資と表現しかねませんね。


2011.09.28(水)【相手がワルツを踊れば、ワルツを踊り〜】(富田太郎)

 先日、直木賞作家である村松友視の『私はプロレスの味方です』を30年ぶりに
再読しました。その本によれば、『プロレスの美学』とは、

「相手がワルツを踊れば、ワルツを踊り、ジルバを踊ればジルバを踊る」
(By ニック・ボックウィンクルの言葉)

の言葉に代表されるように、

「たとえ対戦相手が3くらいの実力しかなくても、(相手のスタイルに合わせ&よ
さも引き出し)8くらいの実力があるように見せてあげ、その上で10の力で勝つ」

ということのようです。

 そのような芸当ができるには、相当の実力が必要ですが、なにやら我々の仕事・
人生にも使える話だと思いました。

 ところで、常日頃、「政治家は自己顕示欲の塊で、少しは『プロレスの美学』を
勉強すればよいのに」と思っていました。

 前首相の菅直人が2010マニフェストで書いた『菅直人HISTORY』(市
民運動から総理へ)を読むと、自己賞賛・自己の業績美化一色で、自己顕示欲が相
当強い人間だと思ったことがあります(だから、党内がまとまらなかった)。

 さて、皆さん♪ ここで問題です。下記は野党時代のある民主党議員の発言です
が、誰だか?お分かりになりますか?

<2003年有事関連法案の審議問題>

 有事法制の問題で与党とやり合っている時に、横やりが入ったことがある。
せっかく『ストロングスタイル』の試合で熱くなっているのに、『魔界倶楽部』
が乱入してきた。

※大意⇒有事関連法案を当時の与党自民党と真剣勝負の議論をしているときに、密
室政治に持ち込まれた。

<2008年民主党代表者選挙(無投票選挙)>

 今回の民主党代表選挙も 、『雪の札幌』 を思い出しました。藤波辰爾の待つリ
ングに向かう長州力が藤原嘉明のテロに遭い、試合ができなかった。
 私もぜひとも小沢代表と正々堂々と戦いたかった。リングに上がる前に、引きず
り下ろされてしまいました。今でも無念です。
「(俺は)かませ犬じゃない。」 なんてね。

(以上出典:東京スポーツ2008年9月4日号)

 『ストロングスタイル』『魔界倶楽部』『藤原嘉明のテロ』『かませ犬じゃない』
・・・・・この方は相当のプロレス通です。

 実は、これ『野田佳彦』(現首相)の発言なのです。
そうなんです!野田首相、知る人ぞ知る『プロレス通』として有名な方です。

 『プロレスの美学&虚実皮膜の世界』を知っている野田首相。
もしかしたら、相当の人物かも知れません! 期待大です♪

PS
 この話をESGの仲間全員にメールしたところ
 賛同者続出!話題騒然!と思いきや
 次の日、誰からもメールが返ってきませんでした・・・(汗)。
 我がESG、『会社法のお勉強』ばかりでなく、野田首相を見習い、もう少し
『プロレスのお勉強』もしたほうがよいのではないでしょうか(きっぱり)!


2011.09.27(火)【研修旅行紀】(島根・根来川弘充)

 大きな台風がつづいております。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げ
ます。

 先週、全国青年司法書士協議会の全国研修会で、浜松に行ってきました。少し大
まわりなのですが、島根から東京に一旦飛行機で出て、そこから新幹線で浜松に向
かいました。

 浜松までは、ひかりですと約1時間半でつきます。
 
 思うに、鉄道が出来たのが、明治時代といいますから、現在まで、わずか1世紀
ちょっとの間に、これだけのインフラが整備できた日本という国は、本当にすごい
国だと思います。

 あと半世紀後には、リニアモーターカーで、東京大阪間が1時間でいけるのだそ
うです。なんとか死ぬまでに一度は乗ってみたいと思います。

 行きの飛行機と帰りの新幹線では、富士山をみることができました。飛行機から
見る富士山は、小さい姿なのですが、あたり一面が雲に覆われていて、とても雄大
に見えました。

 また、新幹線から見る富士山も、いうまでもなくとても雄大でした。

 日本人の力、そして、日本の自然、改めて、どちらも本当に偉大だと思います。

 今年は、本当にいろいろな災害があります。これからもいろいろな災害があろう
と思いますが、きっとこの国は、立ち直ることができるだろうと、強く思いました。

 研修の内容は・・・、それはまた、機会があればということで(汗)。


2011.09.26(月)【台風15号とTwitterによる情報?】(富田太郎)

 皆様、9月21日の台風15号は、大丈夫だったでしょうか?
『東日本大震災』での教訓は、生かされましたでしょうか?

 企業などは早めに従業員を帰宅させたようですが、時すでに遅く・・・夕刻から
各鉄道機関が運転を見合わせた影響で、私の事務所のある新宿では、『帰宅難民』
の方々で溢れかえっていました。

 小田急沿線に自宅のある私も、運転再開と同時に、新宿駅に行ったものの、大混
雑しており殺気立っていました・・・(汗)。

・改札口の開放と同時に人々がなだれ込み、女性の悲鳴の声
・男同士のケンカも勃発

 一時は大混乱でした。
 結局、小田急はすぐに改札規制を行い(賢明な処置です)、その長蛇の列をみて、
私は帰宅を一時あきらめ、事務所に戻り仕事をしていました。

 ところで、昔は、交通機関等の情報・ニュースは、ラジオ・TVしかありません
でしたが、今は『Twitter 』などで生の情報が入手できるので、本当に便利な時代
になりました。事務所にいながら、『Twitter 』の投稿をみれば、小田急新宿駅の
生の情報が分かる♪

★夜11時過ぎ、女性らしき方の『Twitter 』

 『新宿駅をあきらめ、南新宿駅(注)まで歩いて行ったら、駅はガラガラ♪ 
来た電車もガラガラ♪ 私って勝ち組♪』

 の投稿を読み、半信半疑? で『南新宿駅』まで歩いて行ったら、本当に閑散と
しており、電車もガラガラ♪ 座って帰れました♪ なんだったの?? あの新宿
駅の混雑??

 なにやら、新宿駅で並んで待っている方々に申し訳ない気持ちで一杯でした・・。


(注)南新宿駅・・・新宿駅から徒歩6分ほどの隣駅。東京都統計年鑑によれば、
   東京都内では最も利用者数の少ない鉄道駅。

<後日談>
 今、『Twitter 』で話題になっているのは、台風当日の電車のアナウンスです
(真偽のほどは確かではありませんが・・・)。


★「皆さん申し訳ございません。私、運転士はこの仕事を選んだプライドがござい
 ます!皆さまを無事送り届けるまで頑張りますので、どうぞよろしくお願い致し
 ます。」(さすがプロ♪ 乗客感激!)

★「ただいま列車は多摩川の上空を通過しております・・」(台風かよ・・・?)


2011.09.22(木)【抱(き)合(わ)せ株式】(金子登志雄)

 甲が乙を吸収合併するとき、甲が乙の株式を持っている場合があります。これを
一般に「抱合せ株式」と呼びますが(会社法用語ではありません)、なぜ、こうい
う表現をするのかと、ネットで検索しましたら、こんな解説が目にとまりました。

--------------------------------------------------------------------------
 抱合せ株式とは、合併会社が保有する被合併会社の株式をいう。
 合併にあたり抱合せ株式に合併新株を割り当てることについて会社法上明文の禁
止規定がない。抱合せ株式に合併新株を割り当てた場合、その合併新株は自己株式
になる。なお、法人税法では、………
   http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_3667.html
--------------------------------------------------------------------------

 この「合併にあたり抱合せ株式に合併新株を割り当てることについて会社法上明
文の禁止規定がない。抱合せ株式に合併新株を割り当てた場合、その合併新株は自
己株式になる」は、完全な間違いです。

 合併対価の割当てに関する事項について規定する会社法749条1項3号に「吸
収合併消滅株式会社の株主(吸収合併消滅株式会社及び【吸収合併存続株式会社を
除く】)」と明白に規定されています。

 「会社法上」を「商法上」に直すと正しい内容になりますが、会社法が施行され
て、もう4年以上も経過しました。旧商法のことを全く知らない新人司法書士も増
えているのに、こういう文章をこの時点で目にするとは思いませんでした。

 なお、合併対価を割り当てられない合併消滅会社の自己株式と抱き合わせ株式の
ことを会社計算規則で「先行取得分株式等」といいます。抱合せ株式を吸収合併前
に先に一部を取得していたとみるのは理解できますが、消滅会社の自己株式がなぜ
「先行取得分」なのでしょうか。合併を見越して先に自己株式にしていたわけでは
ないでしょうに………。


2011.09.21(水)【急ぎ案件】(金子登志雄)

 会社の設立や合併登記案件は急ぎ案件が多いものです。慣れた法務局は気を利か
せて設立や合併案件を早期に終了させてくれますが、出張所や地方の法務局では、
こちらからお願いしないと、いつものペースにされてしまいます。逆に、面倒なも
のは後回しにされかねません。

 しかし、同職の方の申請と比較すると、私の申請は相対的に早期に終わるようで
す。同職からは「金子さんの知名度効果ですよ」といわれていますが、そうではな
く、審査で登記官が引っ掛かりそうな部分につき、先例のコピー等をつけて申請し
ますし、登記事項は、こことここですよと鉛筆で知らせるなど、サービス精神旺盛
な申請を心がけているからと信じています。

 その先例の添付や私のメモ連絡等で、「この代理人は十分に、この案件を研究し、
分かっているな」と安心してくれ、審査が円滑に進むのだと思っています。

 われわれは十分に調べて登記申請に臨みますし、意味の不明な点があれば顧客に
質問することもできます。ところが、法務局は、いきなり書面を出されて申請され
るわけで、ゼロから審査しなければなりません。議事録等に意味不明な部分があっ
ても、見知らぬ申請人や代理人に容易に質問できる立場にありません。そこに、こ
こは、こういう意味ですよ、ここはお迷いでしょうが、こういう先例がありますよ
と資料がついていれば、法務局の審査が円滑に進むのは当然のことです。

 登記を早く終わらせたいなら、自分が調査官になったつもりで、どこが分かりに
くいか、引っ掛かりやすいかを吟味して提出すると、いつもよりは1日くらい早く
終わるかもしれません。


2011.09.20(火)【敬老の日】(金子登志雄)

 連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。

 私は、脇目も振らず、頼まれ仕事の次の著作(会社の計算の本)のことをやって
いました。出版するのはよいが、1冊の本になるだけの分量を書けるか不安だった
ため、ここ1ヵ月ほど、ずっと試し書きを続けていたのです。

 新聞もテレビもメールもほとんどもみずに、ただひたすら書いていたため、やっ
と明るい兆しが見えてきました。200頁超えの目処がついてきました。

 ところで、昨日は敬老の日だったのですね。しかし、昔と違って、今は老人も若
い、若い。加藤茶さんなど68歳で再婚です。実にうらやましい。

 何かのテレビでみましたが、京塚昌子さんが「肝っ玉かあさん」で母親役をやっ
たのは40代初期だそうです。当時(1970年代)は、40代でおばさん扱いだ
ったのです。

    http://www.youtube.com/watch?v=LrjkBBtoIao

 ところが、黒木瞳さんの登場で、40代は、魅力ある世代に変わり、おばさんで
はなくなりました。

    http://www.youtube.com/watch?v=gKTc11doIyY

 いまや、アラフォーなどといって、人も羨む世代になりました。

 私の世代は、アラカンというのだそうですが(アラウンド還暦世代ということで
しょうか)、アラカンといわれ、鞍馬天狗のアラカン(嵐寛寿郎)しかでてこない
私は、精神的には敬老世代なのでしょうか。


2011.09.16(金)【支店廃止と登記所統廃合】(金子登志雄)

 先般、本支店一括申請で支店廃止の登記をしたことを書きましたが、でき上がり
の支店廃止登記の謄本をみて、びっくりしてしまいました。

 東京を本社とするA社には、北海道に札幌支店と室蘭支店がありました(本欄用
に場所を変えています)。札幌法務局に札幌支店の登記記録があり、室蘭の法務局
には室蘭支店の登記記録があるはずです。

 東京法務局に申請した支店所在地での登記内容につき、

 「登記記録に関する事項」
  平成23年9月1日札幌市・・・号の支店廃止

としました。

 この「登記記録に関する事項」に記載するということは、登記記録を閉鎖すると
いう意味になります。

 したがって、私の想定は札幌法務局の登記記録は閉鎖されるというものでしたが、
でき上がりの謄本は閉鎖されておらず、札幌支店に抹消線が引かれ、ないはずの室
蘭支店が記載されているではないですか。

 そうです、室蘭の登記所の商業登記部門が札幌法務局に統合され、札幌法務局の
登記記録に2つの支店が記録されていたのです。これでは、登記記録を廃止しては
いけません。

 札幌法務局の方が気を利かせて、私の申請内容を登記記録中の一部分の抹消と判
断してくれたものですが、登記所の統廃合は登記申請においても要注意ですね。神
奈川県ですら、商業登記庁は、いまや2つしかありません。


2011.09.15(木)【新株予約権の帳簿価額】(金子登志雄)

 新株予約権を行使し株式を手にしたときの株式の払込金額は、会社計算規則17
条により「新株予約権の帳簿価額+行使価額」です。

 問題は、この「新株予約権の帳簿価額」というものが、われわれには理解できな
いことです。

 当初から新株予約権自体が有償で発行されたのなら、例えば、1個100円とし
て発行されたのなら、100個発行した場合に1万円だと分かりますが、ストック
オプション目的で無償で発行されたときも、帳簿価額が生じるのです。

 例えば、「割当日から2年経過後から行使できる」という内容の場合には、これ
を「2年間真面目に働いたら、この権利をあげるよ」というインセンティブ報酬と
みて、その報酬を計算し2年間で按分し、当期分として決算期に1万円なりと計上
したものがこの帳簿価額です。

 比喩で言えば、給料のほかに2年分の報酬として100円分の新株予約権を支払
ったが、会社から100円が出たわけではないので、決算期ごとに当期に対応する
分をあたかも株式払込金の一部前受け分として純資産の部に計上しておくというこ
とでしょうか。

 このインセンティブ報酬の計算が高等数学のようで、司法書士には手に負えない
のです。専門の公認会計士さんに聞いても、○×■△………と答えるだけで、ご本
人もよく分かっていないようです(だから、聞くのは失礼になります)。

 ということで、ある方がおっしゃったように、新株予約権は誰にも分からないブ
ラックボックスですね。


2011.09.14(水)【自己新株予約権の消却】(金子登志雄)

 昨日、ご案内のように、自己株式の消却はその他資本剰余金の減少ですが(計算
規則24条)、自己新株予約権の消却や消滅は、どうなると思いますか。

 たとえば、自社発行の新株予約権(帳簿価額100円)を120円で購入すると、
純資産の部の控除項目として、△120と計上されます(新株予約権と相殺しない
計上方法の場合)。これを消却したときに、120円はどうなるかという問題です。

 会社計算規則には、自己新株予約権をゼロにせよといったようなことしか書いて
ありません。新株予約権は株主資本に属さないので、その他資本剰余金の減少とい
うこともあり得ません。

 会社法立案担当者だった中央経済社刊・郡谷氏の『会社法の計算詳解』(第2版)
247頁によると、

   新株予約権     100 / 自己新株予約権 120
   自己新株予約権消滅損 20 /

とありますから、損益計算書上の損益になります。

 しかし、こんなことを本に書いても、司法書士読者は「登記に関係ないですね」
という反応でしょう。私も、読者目線でない本は書きたくありません。司法書士読
者が喜ぶ「会社の計算」の原稿、今日も、ネタ探しに苦労中です。
 

2011.09.13(火)【自己株式の消却差益?】(金子登志雄)

 どこの誰だか知らない方に、「自己株式を消却したとき、簿価で消却するのか、
消却時点の時価で消却するのか。後者の場合に、差益が生じたら、その他資本剰余
金に計上することでよいのか。分かるなら早急に返事をくれ」というメールをいた
だきました。

 「この無礼者め!」と返事しようと思いましたが、実は、うつらうつら状態の夢
の中の出来事でした。

 頼まれている「会社の計算」の原稿のことをずっと考えているため、半夢の中に
も「会社の計算」が登場してしまいます(皆さん、原稿を書くということはこうい
う状態なんです。一時も頭から離れません)。

 真面目な質問だとしたら、ちょっと面白い問題ですね。

 この質問が愚かだなと思うのは、簿価100の自己株式を時価120で消却した
ら、その他資本剰余金は100を超えて120も減少するのです。差損が生じると
いうべきなのに、質問者は、自己株式の処分と混乱して、差益と思いこんでいるよ
うです。

 うん、時価が80のとき消却したら、20の差益が生じるじゃないかという質問
でしょうか(実際に書き始めると、こういう問題に気づいてきます。書くことで、
さまざまな発見ができ、実に勉強になります)。

 しかし、もともと100で取得したときに、資本の払戻し扱いされ、倉庫に置か
れている状態の株式ですから、消却に差損益の問題が馴染むのでしょうか。

 質問の答えですが、条文がありまして、会社計算規則24条3項に「株式会社が
自己株式の消却をする場合には、自己株式の消却後のその他資本剰余金の額は、当
該自己株式の消却の直前の当該額から当該消却する自己株式の帳簿価額を減じて得
た額とする」と規定されています。簿価基準であって、時価基準ではありません。


2011.09.12(月)【吸収合併の性格】(金子登志雄)

 吸収合併の性格については、平成9年の合併法制の改正までは、甲法人と乙法人
が合体して1つになるものだという「人格合一説」が通説でした。この極端な説に
よると、甲の資本金と乙の資本金も統合・合算するのであり、合併後の資本金を合
算額より少なくするには、同時に資本減少の手続をしなければならない、合併公告
も「合併並びに資本減少公告」とするのだと解かれていました。この極端な説を商
事法務という雑誌に発表したのが法務省のお役人だったために、残念ながら、登記
実務もこれに従っていました。

 その9年改正で、合併会社の資本金は、合併で受け入れた純資産額の範囲内で自
由に決めてよい(額面株式を発行しなければ増加資本金0円でもよい)とされ、吸
収合併とは、現実の事業を包括的に承継するものであって、資本金など計算上の数
値を承継するものではないという現物出資説が勝利を治めました。現物出資説だっ
た私も、やっと日蔭から日のあたる場所に出てこられました。翌年から、講演その
他で「正しい合併」について普及活動に従事したことはいうまでもありません。

 この人格合一説は、形のない「法人組織の統合」に着眼し、「甲と乙が法人統合
するから乙が解散する」と考えるのに対し、現物出資説は、現実に存在する「事業」
の取得に着眼して、「乙が解散して裸になった現実の事業が甲に吸収される」と考
えるものですが、吸収合併では定款も会社形態も承継されないことは明らかですか
ら、後者が正しいというべきでしょう。

 以上は、いずれも合併対価が株式に限られていた時代の話ですが、合併対価が柔
軟化された会社法の下では、合併対価は金銭でもよいわけですから、合併存続会社
甲の立場からは「事業の取得」、合併消滅会社乙の立場からは「事業の譲渡」とい
う現物出資の思考が基本であることはいうまでもありません。

 ちなみに、会社計算規則12条に「会社は、吸収分割、株式交換、新設分割、株
式移転又は【事業の譲渡の対価として株式又は持分を取得】する場合において」と
あります。事業譲渡(昔の営業譲渡)で株式を取得することなどあり得るのかと思
いませんか。この株式が取得会社の発行する株式の場合は、まさに事業の現物「出
資」のケースです(合併が加わっていないのは、会社が消滅するためです)。


2011.09.09(金)【本支店同時一括申請】(金子登志雄)

 今日は、司法書士以外の方には、たいくつな話です。
 
 さて、商号を変更したら、本店だけでなく全支店の所在地〈以下、全て管轄登記
所が相違するという前提です)でも登記が必要です。

   本店………………商号変更登記
   ABC支店………商号変更登記

 一部の支店を廃止したら、本店だけでなく該当する支店所在地でも登記が必要で
す。
   本店………………A支店廃止登記
   A支店……………A支店廃止登記(登記記録を閉鎖)


 これらを電子申請で登記申請する際には、「本支店同時一括申請」(本店経由で
支店での登記も一括して申請できる新しい仕組み)でできることは、商業登記専門
司法書士なら、みな知っている事実です。

 では、商号と目的を変更した場合には、本店の登記内容を商号及び目的の変更に
しますが、全支店の登記内容は商号変更のみにし、一括申請が可能でしょうか。支
店では目的の登記が必要ないため、本店と支店で登記内容がぴったり重ならないが、
一括申請に支障がないかという疑問です。

   本店………………商号変更、目的変更登記
   ABC支店………商号変更登記

 A支店の廃止(商業変更より先の日に廃止)とD支店の設置が加わった場合は、
どうでしょうか。

   本店………………商号変更、目的変更、A支店廃止、D支店設置登記
   A支店……………A支店廃止登記
   BC支店…………商号変更登記
   D支店……………D支店設置登記

 登記所に電話確認しましたら、OKだそうです。本店での登記と、個々の支店で
の登記事項に一部の重なりがあればよいのでしょう。

 若干の不安はありましたが、申請しましたら、翌日、登記所から電話がありまし
た。「あれ、OKと言ったじゃないか」と身構えて電話に出ましたら、「申請人の
社長の住所が違っているが、住所を移転したのか」という問い合わせに過ぎません
でした。「12号」を「20号」と誤記していたようです。


2011.09.08(木)【イメージチェンジ】(金子登志雄)

 野田新内閣の支持率が平均すると6割を超えているようですね。野田さんは不人
気の菅内閣の財務相でしたから、その責任の一旦もあるはずですが、それらを一切
忘れ、急に支持の方向に舵を切るわが国民のオメデタイ思考経路は、いったいどう
なっているのでしょうか。

 支持するにしろ、不支持にするにせよ、まだ野田内閣は何もしていません。支持
率調査をするマスコミもマスコミですが、支持するかどうかの材料があまりに不足
しています。

 支持率アップの原因は、何といってもイメージチェンジに成功したことでしょう。
徹底して党内最大勢力の小沢・鳩山グループを敵視し党内対立を煽った菅・仙谷路
線を捨て(表面上?)、挙党体制を築き、党内融和路線を敷いたことが好感をもっ
て迎えられたようです。

 口だけ達者で格好よい「金魚」路線よりも、泥臭い「どじょう」路線を表明した
のも庶民には好感されたようです。

 要するに、野田さんは不人気の菅さんの反対の行動をほんのちょっと採用しただ
けですから、これで支持率大幅アップでは、国民も舐められてしまうことでしょう。
逆にいえば、日本人の国民性を読んだ野田さんはお見事でした。

 私は支持に関しては保留中です。党内融和路線には一安心しましたが、そのうち
鎧の下に隠していた増税路線を打ち出すのではないかと危惧しています。不況の時
に増税では景気が悪化するばかりです。先般の煙草値上げでも、税収が20%も落
ちたとか。予想どおりです。
 
 また、何も知らない素人ばかりを大臣にした点に強い疑問を持っています。どう
せ素人を大臣にするなら、私を厚生労働大臣にしてほしかったですね。就任早々、
煙草の大幅値下げをぶち上げて、愛煙家のオジサン・お姉さん達の支持率をもっと
アップしてあげられたのに………。


2011.09.07(水)【二十歳の遺言】(岡山:山本直樹)

 以前、NHKで「青年の主張」という番組がありました(正式には下記サイト参
照ください)。二十歳の青年にテーマに沿った主張をしてもらうものでした。

http://ja.wikipedia.org/wiki/NHK%E9%9D%92%E6%98%A5%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8

 先日、二十歳の青年に「主張」ではなく「遺言」を書いてもらいました。

 青年は、事業承継の関係から祖父から「父が経営する会社の株式」の贈与を受け
ることになりました。当初は、祖父に青年に対して株式を相続させる旨の(青年は
祖父と養子縁組済)公正証書遺言を作成してもらう予定でしたが、株価の問題(贈
与税の問題)もクリアーできそうなので、生前に贈与を受けることになりました。

 私は「株式の譲渡」に関する書類を作成しながら、何か足りないなぁ、何かもれ
てるなぁという違和感を抱えていたのですが、遺言作成用に提出していただいた戸
籍を見てその正体がわかりました。

 青年のご両親は、離婚をしていました。株を譲りうけた青年(現在未婚)が死亡
した場合、相続権は実親及び養親にあります。しかし離婚をした実親間では事実上、
遺産分割の協議が難しいと思われます。

 通常、二十歳は遺言を書く(考える)年齢ではないのですが(注:民法961条
により15歳になれば遺言能力は認められています)。しかし、会社の株式という
重要な財産を譲り受けるためには、会社にとって必要なリスク管理をしなければな
りません。青年には、相続の手続の話をして、納得して遺言を書いてもらいました。
もちろん結婚して子供ができたら、遺言を作成し直す約束をして………。


2011.09.06(火)【原本還付】(金子登志雄)

 登記申請の添付書面(合併契約書や議事録、就任承諾書など)は、原本そのもの
を提出することになっていますが、原本の謄抄本(写し、コピー)に「原本(の内
容)に相違ない。申請代理人/司法書士〇〇〇〇・印」とし、原本とともに提出す
れば、原本を返してもらえます。これを原本還付といいます。

 商業登記に関して言えば、東京法務局や横浜法務局では、申請窓口で原本との照
合をしてくれ、即座に原本を返してくれますが、多くの法務局では、登記が完了す
るまで預ける慣習になっているようです。

 これにつき、20年近く前のことでしたが、東京地方裁判所で、ある非訟事件の
書類の届出を代行したとき(使者、一種の配達人役です)、裁判所書記官らしき方
から、「写しの提出で結構だから、原本は持ち帰っていいですよ」といわれました。

 私が、「すいません、私、弁護士ではないので代理権がありませんから、原本証
明できないのです」と応じたところ、「あなたねぇ、この書類とこの書類が同じ内
容であるという事実の証明に資格も何も関係ないでしょ(馬鹿なことをいうな)」
といわれてしまいました。

 ちょうど、書類の写しだけでなく、三文判も持っていたので、即座に「原本に相
違ない。金子登志雄・印」として原本を持ち帰ったことはいうまでもありません。

 この記憶がありますから、たかが事実証明のことに窓口還付を認めず、原本と写
しとの照合を登記の調査官の担当にするのは大げさすぎると私は思っています。
 
 窓口還付が認められないと、申請と原本の取得のために、2度も法務局を訪問し
なければなりません。司法書士の1時間当たりの単価は、うん万円ですから、実に
もったいない話です。全国の法務局で窓口還付がなされるよう、頑張りましょう。


2011.09.05(月)【熊本講演】(金子登志雄)

 金・土と熊本に行ってまいりました。熊本県司法書士会での会社法の講義のため
です(松本会長、今井研修部長はじめ、皆様、たいいへんお世話になりました)。

 台風のため、飛行機が欠航しないかという強い不安がありましたが、ラッキーな
ことに台風の間隙を突くことができ、羽田も熊本も曇り状態で助かりました。

 講義テーマは「計算の基礎と会社分割」という人気のないものでしたから、出席
者が少ないかもしれないと予想していましたが、例年になく良い出席率だったとの
ことで、私もほっとしました。

 参加者の皆さん、
 @株主資本、株主資本等変動計算書、株主資本等変動額の意味については、もう
  大丈夫でしょうか。
 A分配可能額、欠損の額、損失の区別は、いかがですか。
 B損失の処理も任意積立金の取崩しも剰余金の処分ということは大丈夫ですか。
 (以上、本欄を閲覧の方はいかがですか)。

 ABは今後の課題としても、@の「株主資本」は会社の計算を理解する上で、最
重要のキーワードですから、これだけは、今回で、ぜひマスターしてください。

 過去、九州は何度か訪問していますが、熊本ははじめてでした(これで全県を訪
問したことになります)。道路が広く、路面電車も走っており、開放感のある実に
良い町でした。市内には、加藤清正の熊本城、細川藩の水前寺成趣(じょうじゅ)
園もありますし、熊本県庁の敷地はまるで緑の公園でした。100メートル競走の
練習ができるほどの贅沢さでした。

 緑の多い町は落ち着きますね。都心にも皇居や日比谷公園があるので、救いにな
っています。


2011.09.02(金)【株主資本等の定義】(金子登志雄)
 
 会社計算規則2条3項30号では、株主資本等の定義として「株式会社及び持分
会社の資本金、資本剰余金及び利益剰余金をいう」とあります。

 株主資本には自己株式を含むはずなのに、なぜ、自己株式を加えていないのでし
ょうか。

 この理由につき、閃きました。やっと分かったような気がしました。

 8月25日の本欄で、要旨、次のような趣旨を書きました。
--------------------------------------------------------------------------
 会社法施行規則の定義規定に、計算書類等とは、「各事業年度に係る計算書類及
び事業報告(監査報告又は会計監査報告を含む。)」とありましたので(2条3項
12号)、私は、附属明細書は含まないものと思いこんでいました。

 会社法442条(計算書類等の備置き及び閲覧等)では、附属明細書を含みます
が、条文に「この条において「計算書類等」という」とありますので、「この条」
だけの例外かと思っていました。

 ところが、これは会社法施行規則内でのみ通じる定義であって一般化はできない
ようです。
--------------------------------------------------------------------------

 株主資本等も同様であり、会社計算規則の条文に出てくる「株主資本等」の定義
に過ぎず、そこでは自己株式を加える必要がありませんでした。

 株主資本等とは、「株主資本+等」であり、「株主資本と社員資本のこと」と思
い込んでいた私の誤りのようです。

 会社計算規則2条3項に、「【この省令において】、次の各号に掲げる用語の意
義は、当該各号に定めるところによる」とありますから、会社計算規則に文句をつ
けても仕方ありませんが、計算書類等と同様に誤解を誘導する定義ですね。きっと、
会社法立案者と法務省令の立案者が別人なのでしょう。


2011.09.01(木)【模擬体験をしよう】(金子登志雄)

 27日(土)は、商業登記倶楽部の夏季セミナーで「会社の計算」について講師
を務めてまいりました。

(商業登記倶楽部)
    http://www5a.biglobe.ne.jp/~legal/public/Introduce.htm

 北海道や沖縄からも飛行機で参加する方、参加者の中には80歳を超える方も数
人おられ、その熱心さに、いつも驚嘆してしまいます。

 私の講義内容は、毎度お馴染みの内容で、参加者の方から、もう聞きあきたとい
う非難があるかと恐れていましたが、全く逆で「金子先生の講義は、実に分かりや
すく、その日には『分かった』と満足するのですが、そのままにして何日かすると
忘れてしまいます」という声をよく聞きました。

 ありがたいことです。こういう方ばかりだと、来年も再来年も同じ講義内容にで
きます………というのは冗談ですが、上記の心境はよく分かります。ちょうど、パ
ソコンの操作の講義を受けて、「何だ、簡単じゃないか」と分かっても、自分で実
際にパソコンを何度か操作してみないと、知識が身に付かないのと同じだからです。

 そこで、ぜひお勧めしたいのは、お時間のあるときに、官報の資本金の額の減少
公告や合併公告で同時公告(横に貸借対照表が掲載されている公告)を眺めながら、
いろいろ推理して遊んでみてください。

(資本金の額の減少公告)
http://kanpou.npb.go.jp/20110826/20110826g00187/20110826g001870053f.html

 例えば、上記3段目の欠損てん補目的らしい資本金の額の減少公告は、資本金が
1000万円なのに資本金の額の減少額は2000万円です。きっと4000万円
の増資をし(2000万円の増資と思った方は推理力が足りません。登録免許税が
無駄です)、資本準備金への計上額2000万円は、次の定時株主総会で欠損添付
するのだろうかと推理してください。

(合併公告)
http://kanpou.npb.go.jp/20110826/20110826g00187/20110826g001870059f.html

 上記の合併公告でも、存続会社と消滅会社の住所が同じ、あるいは社長が同一人
物である点から、これは共通支配下関係の簿価合併だな、兄弟会社だとしたら、親
子会社だろうかなどと考えて、その手続を予想し、模擬体験していると、自然に知
識が身に付いてくるものです。へたな教科書を繰り返し読むよりも、ずっと実戦的
知識として身に付きますよ。


2011.08.31(水)【演説と文章のスタイル】(金子登志雄)

 29日のお昼にパソコンのスイッチを入れたら、ちょうど動画のユーストリーム
とやらで民主党代表選の中継をしていたので、みてみました。海江田さんの演説が
終わって、野田さんの演説でした。

 両親の生い立ちやら、貧乏だったやらの苦労話で、聴衆を飽きさせない話術はさ
すがだなと思いましたが、政策の話題が全く出ませんでした。大震災も消費税も演
説に登場せず、「これじゃ、プロの評価は厳しいだろう」と想像していましたら、
あにはからんや、第1回目の投票で前原さんより多い102票を獲得とは………。

 もし、これが論文(文章)だったら、どうでしょうか。著者が「私は、どこどこ
で生まれ、両親はこういう人で、子供の頃はこんな貧乏生活だった………」と延々
と書かれると、読者は「お前個人のことはどうでもいいから、早く本題に入れ」と、
いらいらしてしまうものです。

 こういう文章、多いですよね。まえがきが長く、いかにも、原稿を依頼されたこ
とが名誉でうれしくて仕方ないという雰囲気を醸(かも)し出している全く読み手
を意識していない独りよがりの文章です。

 少なくとも文章では、即本題に入るべきですが、演説の場合は、本題に関係なく、
体験を語る部分も、聴衆が頭を使わずに聞ける内容として、広く受け入れられてい
る現状があります。

 今週も私は某県で会社法の講義をしますが、試しに時間の8割を私の生い立ちや
苦労話にしてみようかな。少なくとも「難しくて分からなかった」という反応はな
いことでしょう。その代わり、袋叩きに合って、無事に帰れなくなる危険はありま
すね。

(ご参考)
 野田首相の評価は今のところ財務省(勝栄二郎事務次官)のカイライ内閣といわ
れてしまっているようですが、この勝次官こと、あの勝海舟のひ孫さんです。いつ
の日か、財務省を無血開城してくれることを期待しましょう。
    http://d.hatena.ne.jp/reds-suppo/20100731/1280550098


2011.08.30(火)【品性と知性と感性が同時に低レベルにある人?】(富田太郎)

 皆様、お盆休みはいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は、1日だけ休み、読書三昧の日?を送らせていただきました。

 面白かった本は『プロレス少女伝説 文春文庫(故)井田真木子』でした。
いろんなプロレスラーの生き様にスポットを当てたスポーツノンフィクションなの
ですが、その中で印象に残った言葉の使い方がありました。

 あるレスラーが、私的にも確執のある対戦相手に対して、
『試合中、(対戦相手のレスラーの)心を折ろうと思った。』
というフレーズでした。

 『心を折る』………もちろん、国語辞典にはでてこない新語で、もともとは『妥
協する。方向へ曲げる。気弱になる』(注)という意味で使っていた時代もあった
ようですが、ここでは『相手から気力を徹底的に奪い、立ち直ることの難しい心の
状態にする』という意味で使っているようです。 

 本来の使い方とは違うのでしょうが、うまい表現ではないでしょうか!
やはり、レスラーのような感性で生きている人間は、『生きた言葉を使う』と感心
した次第です。

(注)昭和初期の川端康成の小説『抒情歌』には『父は母の死に心折れて、私達の
  結婚をゆるしてくれましたの』とあり、『気弱になり妥協する』という意味で
  使っています。

 なお、前記『プロレス少女伝説』は、大宅壮一賞を受賞したそうですが、調べて
みると、選考委員の一人である『立花 隆』氏のみ、猛反対したそうです。

 立花 隆氏 曰く
『プロレスというのは、品性と知性と感性が同時に低レベルにある人だけが、熱中
できる低劣なゲーム。そんな題材を扱った本作品は受賞にふさわしくない』

・・・・・・・・・・・・・・・

 プロレスファンである私は、知性もなく、低レベルで低劣ですか………(涙)。

 もともと、小説家を目指していた『(プロレスを理解できない)立花 隆』氏が、
ルポ・評論の道に行ったのもわかるような気もしますね(つくづく)。

 いえ、知性もなく、低レベルでもいいのですが………(涙)。


2011.08.29(月)【2011年発 米騒動???】(島根・根来川弘充)

 震災の影響で、古米の相場が高騰し、米の先物取引の相場が72年ぶりに復活し
たそうです。

 経済を勉強していたことが少しばかりあるのですが、農作物の価格というのは、
取れればとれるほど安くなるものなのですが、需要と供給の差が広がるほど、一気
に跳ね上がってしまうという性質があるそうです。

 私の実家は幸い少ないながら田んぼをもっており、米は一応はあるのですが、食
べ物は、生活に直結するだけに、今後、騒動が起きるまでの混乱が起きないことを
切に願っております。

 ところで、昨今、農業を始めたいと会社から相談を受けることがあります。もっ
とも、会社によって、効率性が上がって収益がでるから・・・というよりも、経営
を多角化して、いろいろなことを挑戦してみよう、というベンチャー的な理由であ
る方が多いです。

 皆さん周りの目では、「農業では儲からないよ」と言われているそうですが、私
は、農業に明るい希望を持っております。なぜなら、世界規模では食糧難という現
実があるからです。

 いまでこそ、他国から安い農作物が入って価格競争になると、国産は弱い面があ
りますが、他国の生活水準があがれば、すべての価格があがるのですから、相対的
な差もなくなっていきます。

 特に、振興著しい中国は、十数億という莫大な人口を抱えています。中国国民の
生活水準が上がれば、とても他国に輸出をするどころでなくなると思うのです。そ
うすれば、輸入が減るのですから、国産の価値が高まります。

 今後、農業に目に付けている会社が、順調に発展をしていくことが、健全な日本
を示す、一つのバロメーターになるのではないでしょうか。社長の方々には、是非
頑張ってほしいと、これも切に願っております。


2011.08.26(金)【はじめての合同会社設立】(金子登志雄)

 都会では合同会社のニーズが少ないのでしょうか。私も私の仲間も経験していな
い人のほうが多いようです。

 地方都市での設立で都内ではありませんでしたが、今回、はじめて経験しました。

 最大の不安は定款でした。
 株式会社ではないため、公証人の認証は不要ですが、書面で定款を作成しますと
印紙4万円が必要のため、電子定款の作成にしたのですが、このまま法務局に提出
しても、ご本人の押印がないため、法務局から有効な定款でないと判断されるので
はないかという不安でした(株式会社も同じですが、公証人がチェック済みです)。

 そのため、本人の押印がある電子定款の代理作成の委任状を設立登記申請に添付
すべきではないのかと疑問を持ちましたが、これは、登記先例で、添付しなくても
よいとされていました。これは少々びっくりでした。

 第2に、定款で、「社員1名=業務執行社員=代表社員」と定めたのですが、本
人作成の定款であれば、自身で押印しているため、「業務執行社員=代表者社員」
の就任承諾書が不要なことは分かりますが、提出されるのは代理人である私作成の
電子定款です。就任承諾書が必要ではないかと考えましたところ、仲間から、その
とおりである旨の「登記研究」(雑誌)の回答を示されました。

 続いて、出資金の払込みは、代表社員が社員である自分から出資されたという自
作自演の証明書でよいのか、株式会社のように口座振込みが必要かにつき不安があ
りましたが、これも前者でよいことが分かりました。

 法務解釈の点では、このように、次々と疑問が解消したのですが、電子定款は、
ワードをPDFにして、私が代理署名(電子署名)し、CDに保管すればよいこと
までは分かっていましたが、その保管方法が大のパソコン音痴である私には分から
ず、困ってしまいました。

 USBにPDFの文章を保管するのと同じだと想定していましたが、そうではな
いのですね。説明する能力がありませんが、IT専門会社である当社の総務部長に
保管方法を教わり、保管いたしました(これがあるから、私は会社から離れて自立
できないのです)。

 テレビ番組で、小さい子に「はじめてのお使い」をさせるものがありますが、私
の「はじめてのお使い」も、親切なおじさん達のおかげで、無事に帰宅することで
きました。

(法務省の作成例に注意)
 合名・合資会社の設立登記の作成例に「公告をする方法」が抜けていることに気
づきました。法務省に「補正」通知を出す方法を知りませんので、ここに書いてお
きます。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/0101.txt
 http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI50/0102.txt


2011.08.25(木)【計算書類「等」とは】(金子登志雄)

 会社法で計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別
注記表の4つをいいますが、計算書類「等」の「等」とは何を指すのでしょうか。

 会社法施行規則の定義規定に、計算書類等とは、「各事業年度に係る計算書類及
び事業報告(法第436条第1項又は第2項の規定の適用がある場合にあっては、
監査報告又は会計監査報告を含む。)」とありましたので(2条3項12号)、私
は、附属明細書は含まないものと思いこんでいました。

 会社法442条(計算書類等の備置き及び閲覧等)では、附属明細書を含みます
が、条文に「この条において「計算書類等」という」とありますので、「この条」
だけの例外かと思っていました。

 ところが、最近、一般社団の法律129条に「計算書類等(各事業年度に係る計
算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第124条第1項又は第2項の規
定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)」とあるこ
とを知りました。

 会社法と違うわけがないので、改めて、計算書類「等」の意味につき、調べてみ
ましたところ、次のようなことが分かりました。
--------------------------------------------------------------------------
1.書類作成や監査対象の場面、株主や社員の閲覧書類の場面
  →→計算書類、事業報告、【附属明細書】、監査報告(会計監査報告)

2.株主や社員への提供場面(定時総会に提出)
  →→1から附属明細書を除外。

3.組織再編の事前備置書類で相手会社の計算書類等
  →→2と同じく附属明細書を除外。

4.裁判所の提供命令の対象
  →→計算書類及び附属明細のことで事業報告や監査報告は含まない。
--------------------------------------------------------------------------

 こうしてみると、会社法施行規則の定義は3の場合を意識した定義で、一般化は
できないようです(合併等では自社の場合は1で、他社の書類が3になります)。

 何のことはない、計算書類「等」とは計算書類「など」あるいは「ほか」という
ことで、場面ごとに書類の範囲が異なるようです。会社法施行規則の定義は、誤解
を誘導する定義ですね。


2011.08.24(水)【業務執行と決定と社外取締役】(金子登志雄)

 先週17日付本欄の【責任限定契約と取締役会】を読んだお客様から、業務執行
と業務執行の決定の相違につき、質問をいただきました。

 非常に難しい質問で、専門家のわれわれ自身が明確に区別しているとはいえませ
んが、会社法の規定は、次のようになっています。

 1.業務執行には、業務執行の「決定」と「実行」の2つが想定されている。
 2.非取締役会設置会社にあっては、業務執行の決定も実行も原則として取締役
  の権限とされているが、取締役が複数のときは、業務執行の決定は協議事項に
  なっている(会社法348条)。同様の配慮から、取締役会設置会社にあって
  は、業務執行の決定は取締役会で、実行は代表取締役(及び業務執行取締役)
  の役割とされている(会社法362条、363条)。

 これだけ読むと、取締役会設置会社においては、全ての決定(判断、頭脳部分)
は取締役会の権限で、代表取締役は、それを忠実に実行するロボット・手足だから、
責任限定契約も取締役会の決定で契約を締結すべきだということになりそうです。

 しかし、代表取締役はロボットでも手足でもありません。お店の売り子が、この
人に商品を売ってよいかなどの様々な決定を日常的に行っているのと同じく、代表
取締役は日々の業務執行を大量に決済しています。

 この全部を業務執行の「決定」だとして、取締役会に付議していたら業務が円滑
に進行しません。そこで、【重要な】業務執行の決定は取締役会に付議しなければ
ならないが、それ以外の日常業務の決定や非重要な決定は、代表取締役に委ねられ
ていると解釈すべきことになります。その重要かどうかの基準は、取締役会規則に
定めておくのが通常ですが、その定めを作っていない会社にあっても、暗黙の了解
事項と考えてよいでしょう。

 責任限定契約の締結権限は会社法自体が取締役会マターとしていないと説明した
のが先般の内容でしたが、現実の会社の運営では、社長(代表取締役)がOKであ
れば、その部下である専務や常務や平の業務執行取締役で構成されている取締役会
での決定は、追認という儀式に近いところがあります。

 これではいけないということで、コンプライアンス(法令遵守)の見地から、昔
は業務執行の適法性を監督する監査役の地位を強化することで対応してきたのです
が(例えば任期を3年から4年に)、現在では、それも限界に達し、社外取締役制
度が設けられ、それで対応するようになっています。いうまでもなく、社外取締役
とは、「非業務執行取締役」で「社長の支配下にいた経験のない者」です(当社で
非常勤取締役の私は後者の点で当社の社外取締役になれません)。

 責任限定契約が取締役会決議事項かどうかを判断するにおいても、社外取締役を
含めた判断に委ねるほどの重要な事項かどうかという視点でも捉えられるでしょう。


2011.08.23(火)【報酬請求と持病】(金子登志雄)

 昨日の続きですが、報酬請求は、ほんとにむずかしいものです。

 とくに私の場合は、会社法務手続の経験が長いため、お客様に「そんなの簡単で
すよ」と、つい漏らしてしまうため、あとで、「あの男は簡単なことに、こんなに
請求してきた」と思われたくない気持ちが働き、高額の請求ができません。

 思い起こせば、はじめて自分で自分が役員となる会社の設立手続をした際は(昭
和58年頃で、まだ資格は持っていませんでしたが、当時から法律は詳しかったほ
うです)、日本法令のマニュアルをみながら、多くの疑問が生じ、友人の司法書士
に電話で相談しながら、数日かかって、やっと設立したものでした。

 今なら、会社の設立手続も全ての内容が決まっているという前提であれば、書類
作成だけなら1時間でできてしまいます。お客様に「何日かかるか」と聞かれれば、
午前中に公証人役場、午後に法務局で、「1日でOK」と答えてしまいます。

 もっと、もったいぶってもよいと思うのですが、報酬のことよりも職人かたぎが
前面にでてしまい、「私にお任せください」と胸を張りたくなってしまうのでしょ
うか。カネよりもプライドにこだわってしまうようです。

 前にも書いた記憶がありますが、昔、ある本で読んだことがあります。

 ある家庭で高級電気機器が動かなくなり、専門業者を呼んで直してもらったとこ
ろ、たったの5分でねじの1つが抜けていることを発見し、修理し、例えば5万円
を請求したそうです。

 依頼者は「たったの5分で5万円とはひどい」と怒ったところ、専門業者は落ち
着いて「お言葉ですが、この機器の故障箇所を5分で発見できるまでに、私は過去
これこれしかじかの勉強をし、経験を積んでまいりました。それがなければ、修理
に何日かかったか分かりません」。

 こんな余計な言い訳をするくらいなら、電気機器を預かって事務所に持ち帰り、
5分で修理し、わざと1週間後に「1週間もかかってしまいましたが、やっと直り
ました」とでもいって届ければ、お客様も「1週間で5万円、何と良心的金額」と
思ってくださるのでしょうが、そういうハッタリができていれば、当事務所も大事
務所になっていたことでしょう。会社法オタクで、先祖から受け継いだ職人かたぎ
(父方の祖父は江戸の桶屋職人)という遺伝子に組み込まれた病気のようですから、
死ぬまで直らないとあきらめています。


2011.08.22(月)【コンサルティング系事務所】(金子登志雄)

 19日の金曜日は、商業登記界の大御所である神ア満治郎先生のお誘いで、鈴木
龍介、山本浩司という、これまた業界の有名人と一緒に暑気払いでした。

 共通の話題はいつも、商業登記を通じて会社法専門家としての司法書士の地位の
向上であり、登記「作業」請負人に終わらず、会社法務コンサルタントを目指そう
ということです。

 当の私は、昭和62年に創業したM&Aコンサルタント会社時代からの延長で、
最初からコンサルティング中心であり、10年前までは珍しい司法書士の一人でし
たが、最近は、鈴木事務所や富田事務所はじめ、社外監査役に就任したり、上場会
社の法務やグループ再編の企画にまで進出している事務所も、都内では、そう珍し
い存在ではなくなりました。

 それでも、コンサルティング系「司法書士」事務所は、仕事を完成させないと報
酬にありつけないという成功報酬・請負業的要素が強く、公認会計士さんの監査業
務や弁護士さんの扱う紛争事件のように仕事の成功・不成功を問わず、働いた時間
分の報酬を請求できる委任契約的要素は少ないようです。

 成功報酬ですから成功までは必死に頑張りますが、コンサルティング系事務所だ
ったから無事に成功したのか、他の作業系司法書士でも容易に成功できたことかは
外部からは全くみえないため、「報酬額」については、十分に評価されないことも
コンサルティング系事務所の共通の悩みです。

 責任をもって安全かつ確実に仕事を終わらせたことと、たまたま無事に終わった
こととは、自ずから評価が大きく異なってよいはずですが、商業登記の司法書士報
酬はいつも数万円程度という思い込みに囚われている会社の担当者に遭遇すると、
コンサルティング系事務所の報酬は高く感じるようです。それを言われると、神聖
で真摯な努力を汚(けが)されたようで実に腹立たしい思いに駆られてしまいます。
思わず、報酬はいらないと怒鳴ったこともありました。

 逆に、弁護士さんや公認会計士さんを使い慣れている会社からは、司法書士に対
しても同じ専門職として遇してくれ、請求書を出すと、弁護士等の高額な報酬額が
頭にあるせいか、「こんなにも安くしていただき、申し訳ない」といわれることが
少なくありません。こういう会社の担当者に遭遇すると、1を依頼されても2や3
の仕事をして、その気持ちにお応えしたいと張り切ってしまいます。

 いずれにしろ、「貴事務所に頼んで、ほんとによかった」といわれることが私ど
もの次の「やる気」につながりますので、プライドの高いコンサルティング系事務
所は上手におだてて使うに限ります。


2011.08.19(金)【成仏できない事業年度】(金子登志雄)

 3月決算のA社の定時総会が6月29日に終わり、7月31日に解散しました。

   3月末                          7月末
――――|――――――――――――――――――――――――――――|―――
                      ↑定時総会

 さて、A社の最終事業年度は「平成22年4月1日から平成23年3月31日」
と、「平成23年4月1日から平成23年7月31日」のいずれでしょうか。

 8月1日からは「清算事務年度」というので、つい、後者が最終事業年度と思っ
てしまいますが、会社法によると、前者です。

 会社法2条24号によると、最終事業年度とは、「各事業年度に係る第435条
第2項に規定する計算書類につき第438条第2項の承認(…中略…)を受けた場
合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう」とあります。

 すなわち、最終事業年度といえるためには、その事業年度の計算書類(貸借対照
表や損益計算書等)が定時株主総会で承認を得ていなければなりませんが、「平成
23年4月1日から平成23年7月31日」については定時株主総会が必要とされ
ていません。解散時点の貸借対照表の作成は必要で、かつ、株主総会の承認も必要
ですが(会社法492条)、これは定時株主総会ではありません。

 最終事業年度の「最終」には計算書類の「確定」という意味が含まれているわけ
です。

 このA社が8月に合併契約を締結したとすると(解散会社でも合併消滅会社にな
れます)、事前開示書面たる計算書類も、最終事業年度のものではなく、492条
のものになります。合併公告に掲載する「計算書類に関する事項」も、「清算株式
会社です」と記載すればよく、貸借対照表の要旨を掲載する必要がありません。

 こうしてみると、「平成23年4月1日から平成23年7月31日」は、事業年
度を全うできず、「第何期」ともいえない挫折した中途半端な事業年度ということ
になりますね。成仏できるのでしょうか。


2011.08.18(木)【無対価株式交換と債権者保護】(金子登志雄)

 会社法799条1項3号によると、「株式交換完全子会社の株主に対して交付す
る金銭等(注:対価のこと)が株式交換完全親株式会社の株式………のみである場
合以外の場合」には、株式交換であっても親会社になる側で債権者保護手続が必要
だとされています。

 例えば、A社がB社を株式交換で完全子会社化する場合に、B社の株主にA社が
現金を交付する場合です。現金1000万円がA社から出ても、その代わりにB社
株式が1000万円分入ってくるのですから、A社の純資産額に変更がなく、債権
者を害することはないじゃないかとも思いますが、会社法は、B社株式を過大評価
することもあり得るとして、債権者保護手続を必要としたものです。

 対価の全部がA社株式であれば、A社の既存財産は減少しませんので、債権者保
護手続は不要です。

 さて、条文には、債権者保護手続が必要な場合を「対価が株式のみである場合以
外の場合」としましたので、無対価も含むでしょうか。

 含むという考え方は、次の発想です。

 株式対価
 非株式対価………無対価を含む。

 しかし、私は次のように考え、含まないという説です。
   
 対価あり
   株式(自己株式を含む)対価
   非株式対価
 無対価

 条文も「株式対価以外の全部」という意味ではなく「交付する対価が株式以外
の場合」と読むのであり、何らかを交付した場合と読めます。立法趣旨も、株式
以外の対価の場合は、過大評価をしてしまう場合があるからというもので、無対
価を前提としていません。

 なお、無対価の会計処理の原則は非株式対価扱いです。ややこしいですね。


2011.08.17(水)【責任限定契約と取締役会】(金子登志雄)

 取締役会が置かれた会社の「重要な業務執行」は取締役会の決議で決定し、代表
取締役の一存で決めてはいけないことになっていますが(会社法362条4項)、
何が重要な業務執行かについてははっきりしません。

 あるML(メーリングリスト)で、社外取締役等との責任限定契約の締結には、
取締役会の決議が必要かという議論になりました。

 真面目な方は、「契約=大事なもの」と発想するのか、あるいは責任を限定する
ことは会社に不利益になることだと発想するのか、取締役会決議必要説でした。

 しかし、会社法の条文をみますと、426条は「定款での定め+取締役会決議」
ですが、427条は「定款での定め+責任限定契約の締結」であり、取締役1人の
会社でも可能だとされています。

 また、「重要な業務執行」を例示している362条4項の7号には426条が記
載されていますが、427条は記載されていません。

 したがって、私は不要説でしたが、何か強力な支援材料がないかと探しましたら、
ありました。会社法立案者の葉玉匡美氏のブログ(会社法であそぼ)に、次のよう
にありました。
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Q21
 会社法第427条第1項の責任限定契約を締結できる旨の定款変更を行った後に
責任限定契約を締結する場合に、責任限定契約の締結について取締役会決議が必要
でしょうか? 会社法第362条第4項の「その他の重要な業務執行」に当たるの
でしょうか?
 投稿 ロニー | 2008年8月 5日 (火) 09時36分
A21
 私は、当たらないと思います。
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2011.08.16(火)【仕事はカレーライスのごとく】(金子登志雄)

 今日まで、お盆休みの方も多いことでしょうが、残念ながら、私ども司法書士は、
法務局が休みでない限り、ゆっくり休むこともできません。当グループのお仲間も、
みな事務所に出ていたようです。

 とはいいながら、私は昨日は事務所に出ていません。携帯電話と携帯PCで仕事
をすることが多く、私のいるところが事務所ですから、約束した来客や重要な郵便
物でもない限りは、事務所に行く必要もないからです(会社法務専門事務所だから
出来ることですね)。そのため、土曜日から昨日までは、生まれ育った上州(群馬
県)の田舎で、たいくつな時間を過ごしていました。

 数年前であれば、田舎であろうと、改正商法や会社法の著作を嬉々として睡眠時
間を減らしてまでやっているところですが、もう、ほぼ書き尽くしてしまいました。
「趣味=仕事」の私は、休みのほうがたいくつで疲れます。

 37歳の時でした。銀行時代の先輩に誘われて、一緒に投資顧問業を始めたので
すが、この仕事、人手が要りません。出勤しても私のすることがなく、居心地の悪
いことといったらありませんでした。それ以来というわけではありませんが、振り
返ってみると、「忙しい、忙しい」と不平たらたらの時間が誰かさんのように頭髪
で悩むヒマもなく、一番充実して幸せな時間だったように思います。

 今は、どんなに忙しくとも、嫌な上司もいない個人事業ですから、不平は全くな
く、健康と明日の仕事があるかどうかだけが心配の種ですから、もっともっと忙し
くなりたい心境です。

 T先生からは「金子先生は仕事が特別に早いから、いつもヒマだと感じているだ
けですよ。普通の司法書士が数日かかる仕事を1日で完成してしまうのだから」と
よくいわれますが、当然です。仕事を好きになれば、貴方も1日で片付けられます。
大多数の日本人(又は子供)のように、大好きなカレーライスであれば、2皿3皿
でも、簡単に食えてしまうのと同じことです。T先生がウーロンハイなら1日何杯
でも飲めるのと同じです。


2011.08.15(月)【8.15に思う】(金子登志雄)

 66回目の終戦記念日ですね。新しい日本が始まった年でもあります。あの敗戦
から日本は驚異的な復興を果たしました。

 日本人の底力だけが理由ではありません。東西冷戦時代にあって、米国が日本を
反共の防波堤にしようと支援したからであり、朝鮮戦争の特需もあったから、目覚
ましい復興を果たせたわけです。私の高校時代は、ベトナム戦争でした。ベトナム
が共産主義に落ちると、インドシナ半島全部が共産主義になるというドミノ理論が
猛威を振るっていました。

 しかし、東西冷戦が終わると、経済戦争の時代となり、日本は米国の強力な敵と
なってしまいました。いわゆる貿易摩擦問題です。日本はずるい国だといわれ、日
本の終身雇用制などの日本的美徳まで悪とされ、結局は経済の弱った米国に奉仕す
る役割を求められました。

 日本自身も米国の傘の下にいることの居心地のよさに安住し、常にお兄さんの後
に着いて行く自主性のない国になってしまいました。戦後政治も一貫して、米国に
守ってもらい、経済の成長を国是としてきました。カネは出すが命は出さないのが
日本の方針になってしまいました。

 通常であれば、日本も自前の防衛力を持って普通の国になれと米国が求めてきて
もよさそうなものですが、日本の平和憲法は米国にも都合がよく、何かあれば、ほ
ら中国や北朝鮮が日本を攻めてくるぞと脅かし、米軍基地の存在感を宣伝し、居座
ることができるのです。

 時代の趨勢をみて、日本の自立を進めようとした最初の偉大な首相が田中角栄氏
でしたが、米国の頭越しに中国と国交回復したりしたため、「ジャップめ!」と、
米国に嫌われ、世界中のどこの国も問題にされなかったロッキード事件で、潰され
てしまいました。その先兵が似非クリーン主義のマスコミであったのは現在と同様
です。

 その後をみても米国一辺倒の中曽根政権、小泉政権は長期政権を維持できました
が、普天間問題等で自立を目指した鳩山政権は袋叩きにあい、あっさりと潰されて
しまいました。それをみて長期政権を目論んだ管さんが自立派の小鳩勢力を排除し
TPPを言い出したのも、米国やマスコミを味方にしたかったからにすぎません。
 
 今年の3月11日、日本は第2の敗戦(国難)を迎えてしまいました。しかし、
もう戦争特需などはありません。米国も欧州も自国の経済危機で頭がいっぱいであ
り、円高に苦しむ日本を支援する気も力もありません。

 3・11敗戦は、8・15と相違し、すべてを失ったわけではなく、かつ、いま
だに原発放射能汚染は現在進行形で進んでいますから、内科的惨禍であり、自覚症
状が薄く、ここからの立ち直りは、相当厳しいように感じますが、少なくとも、お
めでたいワイドショー政治(ポピュリズム)から脱却し、自分の頭で世の現実を見
極めて、パートナーの米国とも上手に交渉し(米国も一枚岩ではありません。そこ
が米国の魅力です)、日本の復興を目指したいものです。


2011.08.12(金)【定款の作成日とは】(金子登志雄)

 先月、今月と、いくつかの株式会社の設立登記に関与しました。関西、中部、東
北地方での設立もあり、現地の知り合いの司法書士の協力を得て、公証人役場で、
電子定款の認証をいたしました。
 
 その際の電子定款の認証のとき、われわれは定款の最後を次のように締めます。

--------------------------------------------------------------------------
 以上、〇〇株式会社の設立のため、発起人の定款作成代理人である司法書士金子
登志雄は、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する。
 【平成23年8月1日】
     発起人 東京都・・・・ 〇〇〇〇
     上記発起人の定款作成代理人
          東京都千代田区神田小川町三丁目26番地
                   司法書士 金子登志雄 【電子署名】
--------------------------------------------------------------------------

 さて、この電子署名をしたのが8月12日だったとき、定款の作成日は8月1日
でよいのかが仲間内で話題になりました。署名した12日が作成日だとすると、8
月10日に出資金を口座に振り込んでしまった場合に、定款作成後の出資とならず、
登記申請に支障が生じてしまいます。

 会社法26条によれば、「発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名………
しなければならない」とされていますが、上記の問題意識を踏まえて考えた結果、
後日からみて署名がなければ有効な定款とはいえないが、作成日と署名日は当然に
異なってよいのではないかと思うようになりました。

 説明の便宜上、他の書類等を検討すると、次のとおりです。

(1)取締役会議事録
 取締役会議事録では、8月1日に取締役会で決議し、8月12日に議事録を作成
し、出席取締役全員が署名したとしても、議事録の作成日は決議日である8月1日
にします。

(2)新設分割計画
 新設分割計画や株式移転計画は、閲覧用に書面化することはあっても、内容の決
定自体を「作成」と表現しています(会社法762条ほか)。8月1日に代表取締
役が新設分割計画を決定したら、あとは取締役会や株主総会で承認するだけです。
この場合の「作成」は、計画を作ることをいい、作成日は内容の決定日です。

(3)株主総会議事録
 株主総会議事録では、8月1日に決議し、8月12日に議事録作成担当取締役が
議事録を作成した場合に、作成日を8月12日とすることが少なくありませんが、
それとは別に決議日を8月1日と明記します。

 こうしてみますと、本来の作成日は内容を発起人が決定した日であり、書面を作
成した日でも、その書面に署名した日でもなさそうです。

 考えてみれば、8月1日に登記申請し、8月12日に登記簿に記入された場合に
も、登記の日は8月1日です。

 定款の場合も、代理人が電磁的記録にしたのが8月12日というだけで、定款の
作成日は発起人が定款内容を確定させた8月1日が正しいというべきでしょう。

 別の言い方をしますと、作成には「内容の確定」と「書面化(電磁的記録化)」
と「書面への押印」の3段階があり、株主総会議事録の例でもお分かりのとおり、
後者の書面化や押印は本人でなくてもよいから、それを基準に作成日とするのは適
当ではないということです。

 したがって、上記の電子定款の文章は、株主総会議事録と同様に、「以上、〇〇
株式会社の設立のため、【発起人が8月1日に定款を作成】し、電磁的記録化の代
理人である司法書士は、本日(8月12日)、電磁的記録化したので、電子署名す
る」という意味でしょう。


2011.08.11(木)【0円出資の可否】(金子登志雄)

 ここ数日の暑さは、異常ですね。異常な汗かきであるTさんなどは、さぞ苦労し
ていることでしょう。

 私は、首筋に汗をかくタイプで、首がかゆくなり、夜中によく目を覚まします。
あせもクリームを塗って、かゆみを止め、扇風機を回して、再度、眠りにつきます
が、何とかエアコンだけは我慢しています。いつまで我慢しきれますか………。

 さて、商業登記倶楽部の実務相談室に、債権の回収が困難で価値のない金銭債権
の現物出資となる「時価0円出資」(資本金は増えないが新株は発行される)は認
められるかという質問がありました(デット・エクイティ・スワップの事例)。

 皆様はいかがお考えですか。私は無理という意見です。

 おそらく質問者は、親会社が子会社に「債務超過」事業を出資することは認めら
れているから、マイナスはよくて、ゼロはいけないというのは理解できないという
心境でしょう。

 しかし、この「親会社が子会社に債務超過事業を出資」は「簿価」であり、「事
業価値」としてはプラスを前提としていると私は考えています。

 そもそも募集株式の発行は資金調達を目的とするものであり、新株を発行し財産
を増やすためのものです。「簿価」でのマイナスやゼロは許されても(時価では財
産が増加)、「時価(又は価値)」でのマイナスやゼロを許容したら、制度趣旨に
合いません。

 もし、ほんとうに時価でも価値がないとお思いなら、ぜひ当グループに無償で譲
ってほしいものです。みんなで毎日、電話して、5%くらいは回収しようと思って
いますので………。


2011.08.10(水)【期間計算と「〜日まで」】(金子登志雄)

 セクシーにハゲた渡部さんとお会いできるのは、いつの日でしょうか。私の悩み
は髪ではなくイビキですから、私もセクシーにイビキをかくように努力しましょう。

 さて、新株予約権の行使期間が平成23年7月31日にまでになっていたが、こ
の日は日曜日であるから、民法142条に従い、満了日は翌日まで延びるのかとい
う質問がありました。第142条には「期間の末日が………休日に当たるときは、
………期間は、その翌日に満了する」とあるからです。

 皆さんはどう思われますか。

 これについては月刊「登記情報」578号(2010年1月号)に書いたことが
あり、私の意見は、「〜から1か月以内」、「〜から10日間」などという場合は
民法142条の適用があるが、「〜から平成〇年〇月〇日まで」と満了日を期日に
した場合は、民法142条の適用はないというものです。

 増資の払込期日は日曜日でもよいとされていますから、払込期間を「〜平成23
年7月31日まで」とした場合も、期間を伸長する必要はないでしょう。

 新株予約権の行使期間も十分に「期限日」を知って新株予約権者になったわけで
すから同じ解釈が可能だと思います(ただし、債権者異議申述期間の場合は、会社
が勝手に定めた期限であるため、民法142条の適用があると解されています)。

 ところで、7月31日が満了日だとすると、登記実務では「8月1日行使期間の
満了」と登記します。期間満了の効果が発生したのは、8月1日の午前0時だから
です。「満了日」と「満了の効力発生日」の違いです。

 しかし、「7月31日行使期間の満了」と登記するのが正しいのではないかと、
いまも思い続けています。8月1日以降にならなければ登記できないことは認めま
すが、平成22年の満了日は12月31日であって、平成23年1月1日と解釈す
るには違和感があるからです。


2011.08.09(火)【合格後の副作用−ハゲ−】(島根・渡部浩義)

 再び、暑くなってきました。暑いときに暑苦しさ炸裂の長篇です。

 親族の結婚式での集合写真が送られてきました。人相が悪いことは生来として、
私も御髪についてはいよいよ覚悟を決めなければならないようです。

 齢七十を超える父は白髪ながらもまだフサフサ、祖父も濃くはありませんでし
たが、ハゲではありませんでした。司法書士試験に受かるというのも、もともと
人生の予定にはありませんでしたが、自分がハゲるというのも全く人生の予定に
はありませんでした。『禿(ハゲ)』なんて他人ゴトのはずでした。

 最近、くだらない夫婦ゲンカの私の“売り言葉”に、家内が「だいたい、私は
お義父さんの頭髪を見て、『この人は絶対にハゲない』と思って結婚したのに、
わが親父ハゲ(注―家内の実父は薄い)で、わが亭主までハゲるなんて聞いてな
い!、詐欺だ!」と胸に突き刺さる“買い言葉”を文字どおり間“髪”いれずに
のたまい、『やっぱり、そんなこと思っていたんだ』と、相当に凹(へこ)みま
した。

 考えてみれば、司法書士試験に受かってから何かにつけ私の人生の方向が大き
く変わっていったというべきでしょうか。ハゲに関しては、その予兆は試験に受
かり有資格補助者として勤務していた頃に確かにありました。仕事が面白くも忙
しい、そして田舎出身の若輩者が扱うには高額で複雑、緊張する案件が続いてい
たバブル絶頂の二十数年前のあの頃・・・・。

 久しぶりの休日に床屋へ行くと、「あれー、この髪は白髪になる髪なのに、ハ
ゲの抜け方してますよ。最近何か悩み事でもあります? えらい、よーけ抜けま
すな。」と、突然そこの主人に言われました。

 『そんな馬鹿な・・・。』

 そのときは、さして気にもしなかったのですが、その後、たまに浴びる(基本
的に忙しく、あまり風呂に入らない生活をしていた。薄汚かったー。)シャワー
の折に、やけに肩や背中を髪の毛が伝い流れていくのを感じつつ、排水溝にたま
る髪の毛がさすがに無視できなくなりました。

 ある日、スーパーに買い物に行った折、薬局の前で賑やかに並んでいる育毛剤
の特売POPが目に入りました。

 『将来の守り代わりに一本試してみようか・・・。』
 ただ、二十代半ばの青年(私のことです。)にとって人目のなか育毛剤を買う
というのはかなり勇気のいる行為でした。また、ほかの薬品とは違って、育毛剤
はどれもが五千円以上とかなり高額なのです。懐具合のまだ怪しい若者(私のこ
と)にとっては、未来の髪の毛も大切ですが、明日の食費も大事なのです。

 結局、「新発売! 新成分配合でこの価格!! 育毛の科学を信じたい!!!」とい
うフレーズに誘われ、比較的手ごろ価格だった忘れもしないL社の『●●●デカ
ン』という育毛剤を買い、もやし・ネギなどとともに買い物袋に入れて、スキッ
プしながら帰路につきました。

 帰るなり、早速シャワーを浴び、いつになく念入りにシャンプーの後、買って
きたばかりの『●●●デカン』を頭皮にふりかけ、「これで将来の髪の毛も保証
されてたかな・・。」などとハミングなどして頭皮をマッサージしていると、流
れていた夕方のテレビのニュースが、「L社は薬事法に反してデータを捏造し、
『●●●デカン』を回収する・・・・云々」と、今まさにその商品の不祥事を伝
えているではないですか。

 「・・・・・・・!」 
 あまりに出来すぎではないのか。あの時、ケチらずに高い『カロヤン』にして
おけばよかった。
 「もう、育毛剤なんて買わん!」
 
 ちなみにそれから二十数年後の現在における先の夫婦ゲンカの折に家内の“買
い言葉”に対して応酬した私の再びの“売り言葉”は、「ハゲてやる。よりセク
シーにハゲてやる! ラテン系の世界では口ひげも相まって大モテだ。」と言う
のが精一杯でした。

 個人的には、結婚できたし、世継ぎも設けました。これ以上何を望むというの
でしょう。でも、この業界に生きる若い皆さんへ。どんなに忙しくても風呂には
入り、頭皮は清潔に保ちましょう。ないよりはあったほうが良いことは間違いあ
りません。たぶん。

 御髪も立派な、金子代表、T氏がうらやましい・・・・。


2011.08.08(月)【特別利害関係】(金子登志雄)

 7月22日付の本欄で、定款で定める株式譲渡の承認機関が代表取締役のとき、
代表取締役自身が譲渡する場合あるいは取得する場合は、利益相反問題は生じず、
承認不要ではないかと書きました。

 これにつき、利益相反の問題ではなく、代表取締役は、そのことに特別の利害
関係を有する者として、やはり承認できないのではないかとのご意見(異論)を
いただきました。
 このご意見には決定的な誤謬があるのですが、お気づきでしょうか。

 こういう問題は受験生のほうが強いかもしれませんが、会社法の条文をみても、
「【決議について】特別の利害関係を有する」(取締役、委員、者)とあり、特
別利害関係は会議体の決議の公正を担保する制度であって(369条2項など)、
株主総会、取締役会、委員会の決議の問題であって、株式譲渡の承認機関が会議
体でない場合には適用されません。

 「取締役の過半数の一致をもって承認」と定めても、これは会議体ではありま
せんから、適用されません。協議して決定する必要はなく、過半数の賛成があれ
ばよいという意味です(「互選」も協議は必須ではありません)。

 一歩譲って、会議体の決議だけでなく、業務執行機関の決定自体の中立性・公
正性を担保するものだと拡張解釈しても、「決定してはいけない」という事前予
防の効果を持たせるのは行き過ぎです。株式会社は営利法人であり、自己の利益
を追求して決定することは当然の行為だからです。

 それで不都合があれば定款を変更すればよいことで、特別利害関係の解釈でこ
の問題を解決すべきではないでしょう。


2011.08.05(金)【刑事裁判実務入門】(金子登志雄)

 土日を前にして、たまには、刑事裁判実務の勉強でもしませんか。講師は弁護士
でも大学教授でもなく、鈴木宗男氏の「階段」(ステップ)として逮捕され、懲役
2年6月(執行猶予4年)の刑を受けた佐藤優氏です。聞き手は、小沢一郎氏への
「階段」として逮捕され、先般の論告求刑で禁錮2年の求刑を受けた石川知裕氏に
お願いしましょう。

http://www.ustream.tv/recorded/16268248#utm_campaign=synclickback&source=deniedbyhost&medium=16268248  

 お2人には申し訳ないが、実に面白い。特に佐藤講師の話術は優れており、獄中
での生活の手引きだけでなく、自殺した松岡利勝元農水大臣との秘話をはじめとし
て疑惑を受けた方が追い詰められて行く様子や心理についても説明していました。
とにかく、その環境(マスコミにあることないことを書かれ、何を言っても誰にも
信じてもらえない自身の存在価値さえわからなくなる状況か)から、1日も早く脱
したくなるようです。

 小泉八雲の短編「はかりごと」の話(憎悪の目先を変えさせること)から、「菅
首相=ナルシスト論」もあり、1時間の授業ですが、全く飽きさせませんでした。

 石川氏への禁錮2年の求刑は、検事が最初から執行猶予でよいと思っており、禁
錮3年6月の求刑を受けた大久保秘書に対する検察の意図は実刑ということです。
(刑法25条により、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」が
執行猶予の条件です)。

 また、佐藤講師によると、裁判費用(弁護士報酬等)は2500万円程度もかか
るため(最高裁まで行く場合)、それが原因で、戦わずして冤罪を受け入れてしま
う方が少なくないようです。執行猶予であれば早く終わらせた方がよいとの打算で
す。これは、よく理解できます。普通の社会人は執行猶予を選択するでしょうから。

 過去の経歴が重視される政治家である石川氏は最後まで頑張ると決意したため、
『悪党』の本を出版し、裁判費用の足しにしようと思ったとのことでした。

 石川氏が逮捕されるとは誰も思っていなかった時期に、佐藤氏は逮捕間違いなし
と予言した人です。西松建設事件が生じる前に、民主党は政権をとれるが小沢一郎
代表は既得権力の妨害で総理になれないと予言したオランダ人の日本研究科ウオル
フレン氏といい、その社会の仕組みの本質を見抜く洞察力はどこから来るのでしょ
うか。学校の勉強では決して学べない能力ですが、ここまで優秀な頭脳を持ってし
まうと、権力側からは目障りでしょうね。地動説のガリレオのように………。


2011.08.04(木)【遅滞なく】(金子登志雄)

 立花さん、投稿ありがとうございました。

 立花司法書士から、「会社法499条で解散公告は解散後『遅滞なく』とあるが、
解散後どの程度の期間を空けてよいのか」と質問されたことがあります。

 会社法には、「遅滞なく」のほかに、「直ちに」(203条5項など)「速やか
に」(940条3項3号)という表現があります。

 いずれも国語の意味としては「すぐに」ですが、「直ちに」は、「何はさておい
ても、すぐに」で、「速やかに」は「準備ができ次第、早急に」、「遅滞なく」は
「準備ができ次第、なるべく早く」といったニュアンスでしょうか。「遅滞なく」
のほうが「速やかに」よりも若干遅めに感じます。

 解散公告は「遅滞なく」ですから(決算公告もそうですね)、解散直後に「直ち
に」公告する必要はなく、解散後のドタバタの整理がついてから、あるいは、弁済
余力があるのなら、必要な債務を弁済して債権者数を少なくしてから、公告をして
もよいと私は考えています。

 そのような理解でもしておかないと、商業登記規則第38条「登記官が申請書を
受け取つたときは、【遅滞なく】、申請に関するすべての事項を調査しなければな
らない」に違反した登記所ばかりになってしまいます(もっとも、調査は「遅滞な
く」しているが、それ以後の「交合」や「記入」で遅滞が生じているのが現状のよ
うですけど)。

 ところで、靴を知らない島があったとき、靴が売れると感じるか、売れないと感
じるかは、人それぞれですが、同様に、若いうちは、「遅滞なく公告しなければな
らない」を「遅滞なくしなければならない」と規制の方向から解釈する傾向がある
のに対し、私のようなベテランになりますと、「ねばならない」のは公告のことで、
これは「公告しなければならないが、直ぐにである必要はない」と規制緩和の方向
で解釈してしまいます。これは退化でしょうか。


2011.08.03(水)【木を見て森を見ず・・・】(仙台・立花宏)

 皆さま、はじめまして。仙台の飯川洋一司法書士事務所に勤務しております司法
書士の立花宏と申します。

 地元の司法書士会主催の研修会で金子先生に講師をお願いした際、研修会の担当
をさせていただきましたのがご縁で金子先生と面識を得ることが出来た幸運な登録
4年目の新米司法書士です。

 その金子先生から徒然日誌に原稿を載せてみないかというお誘いをいただき、ほ
んの少しもためらわなかった怖いもの知らずの図々しい新米司法書士でもあります。
どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、早速ですが、新米司法書士ということで、勤務している事務所に入所した
ばかりの頃の失敗エピソードをご披露させていただきます。

 とある会社から解散登記の依頼を受けて、無事、登記が完了し、依頼者に完了後
の謄本等の書類といっしょに請求書をお届けした時のことです。

 会社の登記を担当したのはこれが初めてだったので、とてもドキドキして会社を
訪問した記憶があります。

 依頼者から、無事、手続が完了したことに感謝の言葉をいただいたので、調子に
のった私は、「費用はなるべく早く、お振込みください!!」とお願いしました。

 すると、その会社の担当者は困惑したように、笑いながら言いました。
「すみません、すぐに支払えるものなら支払いたいのですが・・・。お支払いまで
はちょっと時間がかかるかもしれません。」

 いまほど図々しくない純真だった本当の新米時代だったので、その理由を聞くこ
ともできず、「登記が無事完了して、喜んでくれていたのになぁ・・・。」と不思
議に思いながら事務所に戻りました。

 その顛末を事務所の所長に報告したところ、目を丸くして、「本当に司法書士試
験に合格したの?」という顔で、あきれられました。

 ご存知の方も多いと思いますが、会社が解散すると、会社法第500条により解
散公告期間中は、裁判所の許可を得なければ債務を弁済することができません。そ
の会社も、債務の弁済を制限されている期間の真っただ中だったのです。

 司法書士に成り立てで、登記手続のことばかりに頭がいってしまい、その周辺の
法務について全く考えなかったお恥ずかしい失敗談です。

 以後、登記というのは全体の流れの一部分で、常に全体像を意識しながら仕事を
しなければならない、と肝に銘じた出来事でした。


2011.08.02(火)【待ちどおしい】(島根・渡部浩義)

 法務省所管試験は年に1回のみ開催で、しかも結果発表までの時間が長い。合格
レベルにおられる今年の司法書士受験生の皆さんは、受験後の何ともいえない日々
をこのところ送っておられるのではないでしょうか。
 今回も冗長で他愛もないワタナベのバカ話です。

 かつて私は司法書士試験の受験者でもありましたが、その後、土地家屋調査士試
験の受験者である時期もありました。両方の試験を受験してみての感想は、同じ法
務省の試験で、同じ「登記」という事象を扱う資格のそれであっても、まったくそ
の指向や思考方法が異なる試験であるというものでした。

 さらに続ければ、調査士試験は日曜日1日限りの試験であっても“ひやかし”で
受験する人が司法書士試験に比べれば極端に少なく、技術系の人々が会場にひしめ
く独特の雰囲気がありました。(合格率などという数字のトリックにだまされては
いけません。個人的には調査士試験のほうが難しいと思いました。)

 もともと文系で、司法書士試験から転じた私にとっては、とにかく暑い中での数
学的思考、計算能力の強化が課題でした。現在は、関数電卓の持ち込みも認められ
ていますが、当時はなんと“そろばん”と“計算尺”しか持ち込みが認められてい
なかったのです。すでにパソコンが広まりつつあった世であったのに。
 
 今年の司法書士試験では、記述式問題の論述事項が多く、解答時間が足りなかっ
たことがこのコーナーでもとりあげられていましたが、最後まで解けない、解答時
間が足りないというのはかつての調査士試験では常識でした。というか調査士試験
は、受験時間内には基本的に全部解答できないように問題を作ってあるということ
を、合格後に元試験委員の方から伺いました。

 当時合格レベルにあった人たちの常識は、@択一問題は必ず一読一発で解答を出
す、再読、見返している時間はない、そんな時間があれば、記述式問題にあてる。
A記述式問題中、建物問題は必ず満点をとる。B土地の記述式問題はできるところ
まで解答用紙が回収されるまで解き続ける、というものでした。およそ土地問題が
最後まで解けた者はなかったと思います(中には怪物もおられましたが)。何とか
図面を引き終え、汗まみれで面積計算をしていると、必ずタイム・アップ、ゲーム
オーバーになるのです。

 合格のレベルにあった者は大体こんな様子だったとも思います。ではどうやって
最終的に合否判定がついていたのでしょう。その元試験委員氏によれば、択一足切
り後の記述式解答採点の際に、その受験者が残した試験問題を見ていたというので
す。

 当時は現在と違って試験問題の持ち帰りはできず会場で回収をされていました。
受験番号、氏名を記して机の上に残していかなければなりませんでした。これが採
点の際に合否を分ける有力な資料だったというのです。対象受験者が問題文中の図
形に書き込んだ補助線や、余白に書いている演算プロセス、数字等を見て、基本的
にわかっていたのか、センスがあるのか否かを判定されていたらしいのです。

 そういえば、どこかの大手企業の面接試験において、面接試験官は、面接室で面
接している人事担当者ではなく、試験待合室前の廊下を掃除していた“掃除のオバ
ちゃん”こそが真の試験官だった、という真偽のほどは相当あやしい笑い話もふと
思い出しました。

 最後まで頑張ったか、自分なりに“隙”はなかったか。20数年前の受験生の常
識が、果たして現在の試験にも通用するのかわかりませんが、時間が足りなかった
のは多分誰もが同じはずです。往々にして、「出来た!」と思っていたときほど結
果が悪く、「しまった!!」と思っていると比較的結果がよいというのは、現在でも
変わらぬ試験においての“法則”でしょう。

 発表が待ちどおしい・・・。みなさんの吉報を期待しています。


2011.08.01(月)【商号変更と改印】(金子登志雄)

 8月になりました。1日は商号変更の登記が多いのですが、A社がB社に商号を
変更し、印鑑をA印からB印に変更するとき、司法書士の皆さんは、次の3つのう
ち、どんな手段を使っていますか。

 @ 先に従来のA印で商号変更登記を完了させる(「B社=A印」の状態に)。
  続いて、B印に改印する(「B社=B印」となる)。
 A 先にA社名で改印する(「A社=B印」の状態)。続いて、商号変更登記を
  完了させる(「B社=B印」となる)。
 B 先にB社名で「B社=B印」を届け出る。続いて、B印で、A社をB社に商
  号変更登記を申請する。

 @とAは、届出印を押して登記しているわけで、何の問題もありませんが、実務
上はBの方法が圧倒的多数でしょう。私も、合併と同時に商号を変更し、改印する
など、数え切れないほど経験しましたが、ふと、なぜ、この方法が許容されるのか
という疑問に襲われてしまいました。

 登記の面からみれば、まだ商号変更の登記が終わっていませんから、A社です。
そう考えると、A社の登記申請にA社の届出印を押さずに、無印のまま強引に商号
変更登記を完了させ、あとで辻褄を合わせただけではないかという疑問です。

 いや、申請人をB社にして「AからBに商号変更した」という登記を申請するの
だから、改印と考えずに申請人B社の印鑑を新規に届けたと考えればよいのだ(た
ぶん、この思考でしょう)、いや、A社の改印だが、商号変更登記申請と【同時】
にB印を届けたと考えればよいのだなどと、例によって、ああでもない、こうでも
ないと試行錯誤してしまいましたが、改印という前提に立った場合にも、やっと私
なりの結論がでました。

 「A社の印鑑としてB印を届けた」とか「B社の印鑑としてB印を届けた」とい
う発想自体をせずに、「法人番号〇〇〇〇番の会社の印鑑としてB印を届けた」と
考えればよいわけです。すなわち、「登記申請対象の【その会社】の印鑑を改印し
た」というだけで、「AことB、BことA」であり、「A社=B社」です。Aさん
が名前を変えてBさんになっても、同じ人であることに変わりがありません。

 A社とB社を別人と思ったから、おかしな迷いが生じたわけで、A社名で届け出
しようが(上記A)、B社名で届け出しようが(上記B)、いずれも可能であり、
どうせなら変更後のB社名で届け出るほうが事務上も便利だということでしょう。

 皆さんは、ふと、こんな疑問に取りつかれることはないでしょうか。解決がつく
までは便秘になったような憂鬱な気分ですが、解決すると、すっきりさわやかです。


2011.07.29(金)【文系表現と理系表現】(金子登志雄)

 会社法や計算規則をみるたびに、実に論理的表現だなと思うと同時に、因数分解
(デジタル化)し過ぎじゃないかと思わないでもありません。立案者に東大工学部
出身で理系頭の郡谷大輔氏〈現弁護士)がいたことの影響が大きいのでしょうか。

 剰余金の資本組入れは「剰余金の減少」と「資本金の増加」となり、減資は「資
本金の減少」と「資本剰余金の増加」になりました。損失の処理も「その他利益剰
余金の増加」と「その他資本剰余金の減少」の2つに分解され、転換株式の転換も
「A株式の取得請求」と「B株式の交付」に分解されました。

 しかし、この思考に慣れると結構面白く、増資や組織再編の計算でも、ちょうど
バランスシートの貸借を合わせるように論理を積み重ねて行く作業が必要となり、
ミスの防止になります。論理が一貫していないと、バランスが合いませんし、法務
局ではねられます。そこに感情が入り組む余地はありません。

 ところが、株主総会招集通知などで株主に増資や組織再編を行う理由を説明する
ときは、説得するシナリオを作って、「なぜ、いまこれが必要か(賛成していただ
かないと困る)」と株主の心情に訴えるような表現をします。さすがに文学的な表
現まではしませんが、株主の賛成を誘導するような文章にもなりがちです。

 法務局や裁判所では、法律のプロ同士の会話になりますから、いくら「……と思
われる」「……と推認される」などといっても、何の証拠や根拠も明示しなければ、
それこそ馬鹿にされてしまいます。まさに「出直してこい」です。ただし、法廷で
それをすることは、プロには通じなくても、素人の聴衆やマスコミには、「なるほ
ど、そうか」と思わせる宣伝効果はあります。

 情けないことに小沢秘書裁判は、どうもこの類に成り下がり、検察の面子にかけ
た世論に訴えるプロパガンダの場所になっているようです。東大理学部出身の理系
頭の元検事郷原信郎氏(コンプライアンスの日本の権威)が、この文系表現の論告
を痛烈に皮肉っていました。

    http://www.twitlonger.com/show/btqm95

 われわれも、理系頭の人間に馬鹿にされないよう、論理的な文章を心がけないと
いけませんね。 

(注)郷原ツイッターの中に出てくる「切り違え(尋問)」とは、AにはBが白状
したよとウソをつき、BにはAが白状したよとウソをつく取調べのことで、違法証
拠収集の典型的手段のことです。取調べを担当した前田検事〈村木厚子事件でCD
を偽造し逮捕)の行っていた方法です。


2011.07.28(木)【氏名の更正登記】(金子登志雄)

 商業登記法132条2項によると、「更正の申請書には、錯誤又は遺漏があるこ
とを証する書面を添付しなければならない。ただし、氏、名又は住所の更正につい
ては、この限りでない」とされています。

 先月も東京法務局で監査役の「【管】直人」さんを「【菅】直人」と更正登記し
ましたが(もちろん本欄用の仮名であり、どこかの国の首相とは一切関係ありませ
ん)、本条ただし書に基づき証明書類を添付しませんでした。

 取締役会設置会社の取締役や監査役の就任登記においては、氏名について何の証
明書類も不要であるため(非設置会社では印鑑証明書が必要)、この手の更正は少
なくありません。「橋下」さんを「橋本」で、「安部」さんを「阿部」さんで登記
してしまう類です。私の名も、よく「登志【男】」と誤記されてしまいます。

 この手の事例につき、商業登記倶楽部の会員情報で、何を勘違いしたのか、ある
法務局で証明書類を要求する登記官があったとのことですが、それは論外として、
商業登記倶楽部主宰者の神ア先生が「甲野一郎」を「乙野二郎」に更正する場合は、
相違が大きいので、証明書類を要求されても仕方ないだろうとおっしゃっていたの
が気になりました。

 これは「氏」と「名」の両方であれば証明書類が必要だという意味ではありませ
ん。「氏、名又は住所」という「A又はB」というときは「A or B」だけでなく、
「A and B」を含むからです。

 「甲野一郎」と「乙野二郎」では、更正前と更正後で同一人と推測できないとい
う意味であって、島根の「渡部浩義」さんを「渡辺弘義」と誤記した場合とは相違
します。住所でも、「横浜市中央区……」を「横浜市中区……」と証明書類なくし
て更正できても、「東京都中央区……」と更正する場合は証明書類が必要のことが
多いでしょう。

 なお、この「氏、名又は住所」とは個人限定で、法人は含みません。法人の場合
は「名称、商号」ですし、「主たる事務所、本店」だからです。しかし、組織再編
に関する会社法の規定(749条など)は、会社でありながら「住所」とあり、登
記に関する911条では「本店の所在場所」としています。会社法749条などの
表現は、更正しなくてよいのでしょうか。


2011.07.27(水)【山中で考え改め………】(島根・渡部浩義)

 暑かったのですが急に思い立って、休日に中学生の息子を従え、先祖からの山林
の手入れに出かけました。

 拙い我流の方法ながらも、親子で下草を払い、間伐や枝打ちをしました。作業の
合間に谷川のほとりに腰をおろし、それまでの作業の成果をみれば手放しで気持ち
がよいものです。最近はまともに口も利かなくなり、出かけるときは不機嫌そうな
顔をしていた息子ですが、一体何を思ったでしょう。

 「これからは、これをお前の持ち物として使うように。」
 今から30数年も前に、頻繁に一緒に造林山行きをしていた私の祖父から、手鋸
(のこ)と鉈(なた)を渡されました。私がまだ小学校の高学年の頃の話ですが、
大人から一人役の手間数として認められたような気がして、素直にうれしかったこ
とを思い出しました。

 当時は所有山林の手入れに来る人々で、山の中も結構にぎやかだったように思い
ますが、このだびは誰にも会うことはありませんでした。人も入らなくなり、山の
中は荒れました(もっとも、自然本来の山の姿に戻りつつあるというべきでしょう
か。)。人づてに聞く、隣と境界を争って薪を切り、木を植えていたとう時代がう
そのようです。

 休憩中の眼中に入ってくる、ありがたくも樹木が茂り、木漏れ日の谷川に水が流
れる景色を眺めていると、最近読んだ書物にあった記述が思い出されました。
 
 それによれば、ペリーが来航した当時の関東地方は薪を切りつくしてハゲ山の連
なる国だったとか、また別の書物よれば、人口60億超の世界が水を奪い合う日が
そう遠くない未来に到来する(あるいは既に到来している?)という記述です。

 そのほかにも山の中の様子を見れば、「世の中(環境)は本当に大丈夫か?」と
思われる変化をたくさん見つけることができます。

 少し昔のことは忘れて、今現在「潤沢にある」、「得意である」と思っている事
柄が案外“脆い”ということは、このたびの震災以後、国民の誰もが感じたことだ
と思います。

 平素の私の業務を省みても、1uあたり数十円という人間の勝手な「評価額」に
慣らされ、また、「効率」という言葉に代表されるような現在の経済的価値観・尺
度にのみとらわれて「評価や経済的効用の低い山林の相続や売買の登記などに、そ
んなに費用をもらえるものか」とずっと思っていました。が、山林を所有し管理す
ることにも大きな社会的意義もあるのではないかと、最近考えを改めつつあります。

 せめて私が日常業務であたる書籍や使用する用紙のパルプ分にはなるくらいの石
高(こくだか)の木材は育てたいものだと思いながら、休憩後の作業に戻りました。 
最近は、お金を払って汗を流す世の中のようですが、時々は額に汗して我が家の将
来のしかけも作っておきたいと思います。


2011.07.26(火)【監査役の性格的適任姓】(金子登志雄)

 地デジの関係で、先日からテレビがみられません。これで、とうぶんの間、テレ
ビ情報が得られなくなりました。まぁ、平素、テレビや大手新聞は日本を悪くして
いる元凶だと批判していますから、どうでもいいことですが………。

 さて、法律問題ではなく、性格面での監査役の適格性としては、協調性に欠けて
いることも含まれるかもしれません。皆が右だと言っているときに、「待て、右は
危険だ。いまは左だ」と言えなければ、監査役は務まりません。

 私自身は、飲み食いの付き合いもよく、協調性はあるほうだと思っていますが、
集団行動は大の苦手です。組織に合わないから司法書士という自由業を営んでいる
とも言えるのであり、案外、このひねた性格は監査役に合っているかもしれないと
も思っています。

 そんなことを思っているとき、これを読みました。

 http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/07/post_268.html#more

 覚えている方も多いでしょうが、当時は薬害エイズ事件の安部医師は極悪人扱い
でした。いまでは、冤罪扱いされています。

 あの頃は、マスコミの煽りを受けて、日本中が「安部を吊るせ」と集団ヒステリ
ーになっており、安部医師の味方は1人もマスコミに登場しませんでした。マスコ
ミを無批判に信じていた私自身も、安部医師へのリンチに加担していたようなもの
でした(やはり、テレビは悪の権化です!)。

 いまは大手マスコミとは違う情報がネットで流されますから、小沢問題もホリエ
モン問題も、原発問題も、多様な情報や意見の中から選択できますが、テレビや大
手新聞しか読まない真面目な方は、一方的な偏った情報しか入手できないわけで、
無意識に集団ヒステリーになっていないでしょうか。

 真面目であることは、時にして犯罪です。当社の監査役に就任するにあたり、ま
すますひねた性格の長所を発揮して監査しようとの思いを強くいたしました。

 ところで、ネットのない時代には、このような社会的関心ごとの事件に関与した
検事は、退官後、皆、大手企業に高額な顧問料で迎えられていましたが、先般の日
刊ゲンダイによると、小沢事件を主導した検察幹部の大鶴氏は、大手法律事務所へ
の就職にも苦労しているとか。冤罪捏造事件の首謀者を迎えた法律事務所と思われ
たくないようです。

 「善」だと思われていたことが、たったの数年で「悪」に変わる時代にあって、
道を誤らないことは至難の技ですが、ひねた目が再認識される時代になったともい
えそうです。大いに、ひねましょう。


2011.07.25(月)【監査役と司法書士】(金子登志雄)

 6月定時株主総会後の登記実務も終盤時期です。ほとんどの会社で登記が終わっ
ていると思いますが、会社の方でも司法書士に任せきりにせずチェックを怠らない
ようお願いします。前年の申請書に上書きしたために、平成23年を22年で申請
し、そのまま登記されてしまったり、荻原さんが萩原さんになっていたりのケアレ
スミスは、意外に多く、司法書士も法務局も見過ごしてしまうものです。

 さて、私が当社の取締役から監査役に代わることにつき、「金子も歳だから、前
線から外されて、監査役に変わったのだろう」と思った方も少なくないでしょう。

 業務執行の適法性の「お目付け役」で、監査役の権限は想像以上に強大ですから、
ある程度の年齢が必要であることは否定できません。

 監査役の権限のうち、他の監査役の選任に対する同意権は、黄金株と同じく拒否
権と解されていますし(会社法343条)、地位の安定のため、任期も徐々に伸長
され、平成5年の改正で、2年から3年に、平成14年だったかの改正で、3年か
ら4年になっています。

 上場会社では、最近は、コンプライアンスの観点から、専門知識を持った弁護士
や公認会計士が「社外監査役」になる傾向が少なくないようですが、残念ながら、
司法書士はまだまだ少ないようです。弁護士・会計士は全国で3万人以上だが、司
法書士は2万人程度という「数」の事情もあるでしょうが、まだまだ世間からの認
知度が低いのでしょう。

 上場会社でありながら、法定公告を忘れて株式分割や会社分割ができなかった会
社をみると、もっともっと司法書士の監査役への参入を認めるべきだと私は思って
いますが、肝心の司法書士サイドでも、会社の実情に強い方が少なく受入れ体制が
整っているといえるかは疑問です(それでも、会社法手続については、平均的弁護
士さんより平均的司法書士のほうが圧倒的に詳しいといえます)。

 いや、重責の監査役になるくらいなら、気楽な抵当権抹消や役員変更登記の仕事
を増やしたほうが利口だと思っている司法書士が多いのかもしれませんね。それは
それで、極めて賢明な選択と私も思いますが、チャレンジしない人生は面白くない
ともいえます。

 監査役になり取締役会に出席することで、企業がどのような仕組みで動いている
のか、企業法務はどの程度の位置づけにあるかなどがよくわかり、司法書士業務に
も深みが増しますので、積極的にチャレンジしましょう。


2011.07.22(金)【代表取締役の譲渡承認】(金子登志雄)

 最近、「株主1名で取締役も1名」という個人会社の設立の仕事を何件かいた
しました。

 譲渡制限規定は、「当会社の株式を譲渡により取得するには、【株主総会】の
承認を受けなければならない」がよいか、「当会社の株式を譲渡により取得する
には、【代表取締役】の承認を受けなければならない」がよいかと確認しますと、
多くのケースが後者を選択します。

 さて、後者の場合に、代表取締役自身が譲渡人や譲受人になるときは、その承
認はどうなると思いますか。

 ほとんどの法曹が、これは利益相反だから、代表取締役自身は承認することが
できず、本則に戻って、株主総会の承認になるとの見解のようです。

 私は、その見解には当初から批判的であり、こういう場合は承認があったと考
えればよいという考え方です。定款に定めた趣旨からも、そういえると考えてい
ます。

 そもそも、利益相反というのは、自己が利益を得て会社自身が損をする可能性
のある行為をすることですが、株式譲渡の承認は総会屋など会社の好まない者が
株主となることを防止するための「既存株主」保護の制度であって、「会社」自
身の利益を守るものではありません。ここで、なぜ利益相反という問題が生じる
のか私には理解できません。

 おそらく、反対説は「会社の利益=既存株主の利益」と考えるのでしょうが、
やはり、会社と株主は人格も利益も別の存在というべきでしょう。

 とはいえ、このような反対意見がありますので、依頼があれば、私は「当会社
の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない。
ただし、代表取締役が譲渡又は取得する場合は、承認(を)したものとみなす」
と定めるようにしています。

 もっと簡単に「当会社の株式を【代表取締役以外が譲渡又は取得するには】、
代表取締役の承認を受けなければならない」としてもかまわないのですが、譲渡
制限株式の定義からして、「承認を要しない」よりも「承認(を)したものとみ
なす」という表現が適当です。


2011.07.21(木)【一人事務所(または職人肌事務所)VS 大手事務所】(富田太郎)

 先日、某上場会社の法務部の方が、面白いことを話されていました。

 「有名&大弁護士事務所・司法書士事務所等の場合、事務所が有名でも、担当の
センセによって、実力差があります。だめな担当(センセ)に当たると一苦労です
〜。その点、富田センセの事務所は一人なので(きっぱり!)、担当が代わること
もないので安心できます。」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ほめ言葉か否かは、微妙ですが、『職人肌のセンセ♪』と言っていただけたのだ
と解釈しています。

 まぁ〜、一人事務所は、『仕事・知識・技術』に専念していればよいので、私に
は最適かもしれません。

 もっとも、この手のタイプの事務所は、まずは大きくなることはなく、また、人
を雇うと悲劇となるケースも稀にあります。

 私が、最初に勤務した司法書士事務所のボスは、かなり『勉強家&自信家の方』
でしたが、絶えず、事務所スタッフと知識を競うので、事務所は殺伐としていまし
た。

 ところで、話はかわって、先日、ある本(『究極の人間洞察力』小林吉弥・講談
社文庫)を読んでいたら、田中角栄の次の言葉が出てきました。

 「赤坂、新橋でも、料亭の女将で店を大きくするのは、どんな奴か分かるか?
『仲居さん』『女中さん』あがりだ。ダメなのは『芸者さん』あがりだよ。」
(原文ママ)

 この言葉、同時代の政治関連の本(『自民党戦国史』伊藤昌哉・ちくま文庫)に
も出てくることから、田中の言葉というより、当時の派閥の経営者(首領)の間で
は、かなりポピュラーなものであったと思われます。

 つまり大意は、

 「芸者あがりの経営者は、なまじ『顔に自信』があるため、いつまでも店の若い
娘と競おうとする。だから、店(経営)は、絶えずガタガタしている。
 その点、仲居さんあがりは、経営だけに専念するため、店も順調に発展していく」
ということだそうです(BY『自民党戦国史』による解釈)。

 この言葉、司法書士事務所経営にも通じる、非常に含蓄のある言葉だと思いませ
んか?

 ・・・・・・・・・・・・・・

 もっとも、Kセンセのように、会社法研究には興味あるけれど、事務所を大きく
することに興味のない方にとっては、何の意味のない言葉ですが・・・・。


2011.07.20(水)【デジタル残酷物語 其の壱】(島根・渡部浩義)

 「国の方針により、2011年7月24日正午をもって渡部家からテレビがなく
なります。これで勉強に身が入る環境がやってきます!」
 そう子供に父(私)は伝えていたのに、世のジジ・ババはまったく孫にろくなこ
とをしません。地デジ対応型液晶テレビが続けて3台も我が家にやって来ました。

 『アナログ放送終了まであと●日』という、最近画面左下にでる字幕が邪魔だと
思いながらも相変わらずアナログブラウン管電視台を私が視聴していると、廊下を
挟んだ隣の祖母の部屋から聞こえてくるデジタル波電視台の音声が明らかにワンテ
ンポ遅れて聞こえてくることに気づきました。

 後日、その筋に詳しい顧客P氏に、その疑問をぶつけると、「地デジは遅れるで
ー!」の一言。私はどうも明瞭に説明が出来ないのですが、どうもデジタル放送電
波(12セグ)を画像・音声処理するにあたっては受信機(テレビ)の処理エンジ
ンの能力の差がでるらしいのです(詳しい読者の皆さんは、このわかったようなよ
くわからない私の説明を笑ってください。)。さらに、CATVなどで受信してい
る世帯などにあっては、CA局での受信機器のスペック(処理能力)によって、さ
らに音声画像が遅れることもあるらしいのです。

 私:「では、デジタル放送で流れている時報は遅れた誤った時報なのか?」と
   続ければ、
 P:「最近、7時とか12時のニュースの始まりに『プッ、プッ、プッ、プー』
   という発信音付秒針付時計映像の時報がテレビで流れてるかー?」との一言。

 そういわれてよくよく気をつけて見ると、あのお馴染みの時報映像は最近ありま
せん。朝夕とも7時のニュースは、いきなりアナウンサーの第一声またはテーマ音
楽とともに始まるのです。

 私:「じゃあ、私たちがデジタル放送で見せられている画面左上の時刻表示は、
   正確には、遅れた誤った表示なんですか?」
 P:「たぶんね。でも、誰もが携帯電話や電波時計を持つこのご時勢で、テレビ
   の時刻表示が数秒遅れて誰が困る?完全地デジ化完了後には、あるいは送信
   元で予め遅れを計算して早め時刻表示を送波するかもしれんが、そんなこと
   は総務省コールセンターにでも聞いてくれ・・・・。」
 私:「・・・・・」

 どうやら『デジタル』ならなんでも『アナログ』に優位ということでもないよう
です。私など、『デジタル』と聞いただけで、控えひれ伏してしまうような傾向が
ありますが、その考え方もどうやら誤った物事の捉え方のようです。

 ところでデジタル波になると、特に都市部で難視聴世帯が増えるとか。放送内容
の質のことといった小難しいことはさておき、テレビも満足に視聴できない新たな
地域の発生という『残酷物語』も発生しそうです。

 それにしてもアナログ放送は本当のところどうなるのか、来る7月24日正午が
少し楽しみです。山あいのシホーショシは今からコーフンしながらその時を待って
います。ヒマだからでしょうか。


2011.07.19(火)【冥利に尽きる】(金子登志雄)

 連休中は、なでしこジャパンのW杯優勝という明るい話題がありました。清楚な
なでしこどころか、ひまわりのように燦々と輝いていましたね。お見事でした。

 さて、13日から、「今度は監査役ですか」というメールを数人のお客様からい
ただきました。

 日本経済新聞で、上場会社の人事異動の情報をみている方が思っていた以上に多
いようです。そこに、当社(アクモス)の人事異動の情報が小さく新聞に載っただ
けですが、あの人も、この人も、私が9月下旬の定時総会で取締役を任期満了し、
監査役に変わることを知っていました。

http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10106888/20110712199102.pdf

 この異動は会社が成長し、人材も増え、「業務執行」の面で、私を必要とする場
面が少なくなったという意味ですから、創業役員冥利に尽きます。

 思い起こせば、平成8年に株式公開したとはいえ、赤字の零細企業で将来性だけ
で公開させてもらったため(そういう制度がありました)、役職員も総勢10人程
度でしたから、総務も広報も株主対応も総会運営も私1人で行っていました。業績
が思うように伸びず、株式掲示板で「死ね」などとも書かれ、毎日のように株主か
らの電話に対応しておりました。

 それが社長(公認会計士)の才覚で、株式交換等を駆使して異業種に進出し、今
は総勢200人以上で黒字体質になっています。総務も広報も株主対応も総会運営
も別の担当者がおり、私の役割は唯一、法務チェックだけになっていましたので、
取締役である必要はなくなりました。これで、今以上に、好きな司法書士業務に邁
進できますし、他社の支援にも動きやすくなりました。

 ところで、私と同時期に補欠監査役になる西山氏は、私と似た経歴で、20年近
く前に大手都市銀行の副支店長の地位を捨て、M&A業界に飛び込み、M&Aや株
式公開を支援する業務を長く続けてきた方です。つい最近まで、上場会社の役員だ
ったのに、今は前々から親しいモノコキューテックスというベンチャー企業の管理
本部長に転身しています。

 同社は、つい先日も日経産業で取り上げられたばかりの優秀な省エネ技術をもつ
会社で、看板等の照明の節電を得意分野とする将来が期待できる会社ですので、ご
紹介いたします。ぜひ、ご支援ください。

   http://www.monoco.co.jp/img/data/news_110713.pdf
  (会社HP)
   http://www.monoco.co.jp/index.html
 
 登記だけでなく、一緒に成長しようと思えるお客様が増えてくると、企業法務専
門司法書士冥利に尽きるというものです。


2011.07.15(金)【レトルトカレーの教え】(金子登志雄)

 13、14と仕事で宮崎県に行ってまいりました。9日の青森行きといい、久々
に「私は、全国区の司法書士」という気分を味あわせていただきました。

 宮崎は、蒸し暑くなく過ごしやすいところですね。南国に「避暑」に行ったよう
な不思議な気がしました。

 さて、小沢一郎秘書だった石川知裕議員が『悪党・小沢一郎に使えて』を出版し
ましたので、世界に通じる傑出した政治家で悲劇の男小沢一郎に興味が尽きない私
としては、早速、購入して読んでみました。もちろん、「悪党」とは、既成権力か
らみた表現で、ここでは褒め言葉として使われています。

 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4022508914.html
 
 石川氏は小沢一郎に20年間も仕えていたので、最も「人間・小沢一郎」を知る
人物ですが、この本によると、「元側近」「元番記者」の語る小沢評は都市伝説の
類で、ほとんど間違いのようです。

 小沢の心臓病の持病の程度や、中国批判者であること、なぜ外国人秘書を多く抱
えているのか、飲み食いの行き付けの店は居酒屋「庄や」である理由など、ここま
でばらしていいのかと思うほど様々なことを石川氏が語っていました。

 人間小沢につき、こんな話もありました。
--------------------------------------------------------------------------
小沢がいきなり怒り出した。
「おまえ、まだ、これ、大丈夫じゃないか」
小沢はゴミ箱から未開封のレトルトカレーを取り出した。
「でも、先生、それは賞味期限切れていますよ」
「何を言ってんだ。まだ食えるだろう」
(中略)
「おまえはこれからいろんな人と出会う。人と付き合っていると、悪口を言う人も
いれば、いいことを言う人もいる。だが、人がどう評価しようと最後は自分で判断
しなければならない」
(中略)
「あのレトルトカレーだってそうだろう。賞味期限は人が決めた基準だ。温めてみ
て食べて大丈夫だったらそれでいいじゃないか」
--------------------------------------------------------------------------

 面白いことを言うオジサンですが、還暦世代以上は、だいたい、こんなものです。
賞味期限など昔はなかったため、自分の鼻と舌で判断していました。そもそも、賞
味期限というのは、消費期限とは意味が違い、もう食えないという意味は含まれて
いません。

 今、「小沢はもう終わった」という評価を小沢を恐れる守旧派のマスコミが意図
的に流していますが、さて、小沢一郎氏自身の賞味期限は、どんなものでしょうか
(裁判自体は、秘書の供述調書を裁判所が検察の意図的誘導として却下したため、
無罪が確実な情勢になっています)。


2011.07.14(木)【会社法319条,株主の提案?】(大阪・田中利和)

 受験生の皆様,お疲れ様でした。
司法書士の試験の話題が出ましたので,私も続きたいと思います!

 7月2日,私は,以前に勤めていた事務所の所長に,「今年の受験生の慰労会は,
7月8日(金)にしましょう」と提案したところ(その事務所には受験生が2人い
ます),7月4日に「どこもいっぱいで予約がとれません」と返事がありました。

 さらに,「7月6日,7月7日,7月12日,13日あたりの都合はどうか?」
という連絡があり,私は「いずれも動けそうにありません」と返事をしました。

 その後,待てど暮らせど連絡がありません。心配をよそに,翌日,メールが届き
ました。

 「きっと,店を探しておられたんだ♪ どこの店に決まったのかな?」と思いつ
つメールを開封すると,
 「今回は他のメンバーの都合もあり,7月7日に決定しました。せっかく連絡を
くれたのに申し訳ない」とのメールが・・・・。

 「えええええええええ,慰労会を提案したのは私なのに,その提案者の都合に合
わせてくれないなんて(涙)」  

 しかも,私は大阪,他のメンバーは京都,店も京都のはず・・・。仕事を終えて,
京都へ駆けつける予定だったのに・・・。

 ところで,会社法319条には,「取締役又は株主が株主総会の目的である事項
について提案した場合において,当該提案につき株主の書面又は電磁的記録により
同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったも
のとみなす。」と規定しています。

 私もESG法務研究会のメンバーの”はしくれ”,今回の件を,上記規定にあて
はめてみました!

 私の提案(7月8日の開催) → 他のメンバーの一部不同意 → 他のメンバ
ーからの新たな提案(7月7日又はその他の日に開催)→ 私は,当初から不同意
のはず! 

 そうだとすると,7月7日に開催する”決議”があったものとみなされませんよ
ね!

 といっても,,”後の祭り”・・・。会社法の理屈はとおらず,予定どおり開催
されていました。

 7月17日(日)は,京都・祇園祭りの山鉾巡行です。
 そうだ! 気を取り直して,”前の祭り”に行ってこよう♪

 http://www.union-net.or.jp/cu-cap/atonomaturi.htm

 受験生の皆さん,クールダウンも必要です。今はゆっくり休んでください。


2011.07.13(水)【司法書士試験】(島根・根来川弘充)

 7月3日(日)に、司法書士試験が開催されました。島根は、松江一か所が受験
会場なのですが、100人前後の受験者がいたそうです。

 今年の試験は、書式の問題が大変難しかったらしく、また、時間のかかるものだ
ったと聞いております。

 一年に一回しかなく、また筆記でほぼすべてが決まり、合格率が2.数パーセン
トと言われる難関な試験。
 いつ出口があるのかわからない試験に挑みつづけることは、受験される皆様には、
精神的、肉体的、経済的に、大変な負担があると思います。私も数度経験したから
こそ、もう二度としたくないと思います。

 振り返ってみますと、私が合格した年は、合格者の正解率は、60パーセント代
だったと言われる試験でした。私は、おそらくそのギリギリでしたので、正解率が
低かったからこそ、運よく合格できたのと思います。(しかし、実力なく合格した
ものですから、その後が日々勉強で大変なのですが………)。

 最近、司馬遼太郎作『坂の上の雲』を読み終えました。日露戦争の日本海海戦の
際、旗艦出雲の参謀をつとめた者が、この海戦の勝因を「6割は運、4割も運。た
だし、残りの4割は、人間の力で開いた運」と言っています。

 考えてみれば、勝敗がつくものは、「運」でしか決まらないものかもしれません。
合否が必ずつく試験も、きっと同じなのだと思います。

 今回、もし、不合格だった方は、「運」が悪かったと割り切って、次の「運」を
切り開くべく、勉強を頑張ってほしいと思います。


2011.07.12(火)【2つの国・青森】(金子登志雄)

 土曜日は青森県司法書士会のお招きで会社法の講義に行ってまいりました(西
澤会長ほか皆様、お世話になりました)。

 会場は青森市ではなく弘前市でした。青森県は、地域が広いので、県庁所在地
で県司法書士会の研修をするとは限らないようです。また、宿泊する会員が多い
様子でした。

 地域が広いという意味では、青森県の西部地区は旧・津軽藩で、八戸(はちの
へ)などの東部地区は旧・南部藩の領地だったそうです。

 帰宅後ネットで調べましたら、津軽藩(正しくは弘前藩)のほうが南部藩(中
心は盛岡藩)よりも「機を見るに敏」だったようで、豊臣秀吉対北条氏では秀吉
側につき、関ヶ原では徳川側、戊辰戦争では新政府側で、広域の南部藩より地位
が高くなったようです。情報収集力と判断力に長けていたのでしょうか。

 その居城・弘前城を歩いて観光し、続いて特急で青森駅に行き、駅前の新鮮市
場で海鮮丼を食し、8月のねぶた祭りのねぶた作りの準備と青函連絡船の跡地を
観光し、飛行機で帰ってきました。

 あのねぶた、製作費が2000万円もかかるものがあるとのことでした。祭り
が終われば廃棄処分です。実にもったいない話ですが、だからこそ、みる価値が
あるというものです。
 
 8月2日−7日がねぶた祭りです。このあたりに青森で仕事があればよいので
すが………。
  http://www.nebuta.or.jp/
 

2011.07.11(月)【私的『平成23年度 司法書士試験』の感想】(富田太郎)

 先日、『地獄の黙示録・特別完全版』(フランシス・F・コッポラ)のDVD
を見ました。

 この映画、公開時(1979年)は、2時間ほどの映画でした。

 元々は4時間ぐらいの長さだったのですが、あまりに長すぎ『商業ベースにの
らない』ということで2時間に短縮したそうです。そのため、『内容的には、哲
学的な部分が、分かりにくく、意味不明の場面』が多々ありました。

 ところで、『特別完全版』は53分の未公開シーンが追加されていたため、監督
の真意が、よく分かるものでした。

 ただし、『よく分かったけど・・・・・長かった。』

 初公開時、観客のことを考え、2時間に短縮したのは、正解だと思いました。

 でも、作り手の気持ちは、よく分かります。
私も入門書なのに、P1000に及ぶ本を作ってしまったり・・(汗)。

 完璧で、内容のあるものを作ろうとすると、長くなってしまうのです・・・。
芸術肌のコッポラも、作っているうちに、完璧を求め、観客のことを忘れたのか
も・・・。

 えっ??『お前が芸術肌? コッポラと一緒にするな!何様だぁ!』 
・・・・・失礼しました!(反省)。

 ところで、7月3日は司法書士試験でした。

 今回の商業登記書式、実に良い問題でした。
問題文を読んだだけでは、全体像が把握できず、後半の別紙を、じっくり読み込
むうち、徐々にキーポイントが分かる仕掛けでした。

 『解いていて、ワクワク♪ まさに、長編推理小説!稀に見る良問でした。』

 が、受験生の評判は『量が多すぎる。時間がなかった。分かっていたけど解け
なかった。』と、私の感想とは裏腹に、『不評』でした。

 なるほど、私は時間をかけて解いたのですが、受験生にしてみれば、『限られ
た時間で、あの膨大な内容を解く』のは、かなり無理がありますね。

 ・・・・・・・・・・

 もしかして、今年の商業登記書式の出題者は、『コッポラ』のように、『観客
(受験生)のこと&時間配分』を忘れ、完璧な問題を作るのに没頭し・・・・芸
術肌の方だったのでしょうか?

 本当に、『客観的なものを作る』ことは、難しいものだと思いました(つくづ
く)。


2011.07.08(金)【定款条項と想像力】(金子登志雄)

 いくつかの会社の定款を同時にみる機会がありました。中には、株主数名の未公
開中小企業でありながら、定款に次のように定めていました。

--------------------------------------------------------------------------
第*条
 A 会社法第309条第2項に規定する株主総会の決議は、【議決権を行使する
  ことができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し】、出席した
  当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
--------------------------------------------------------------------------

 これに付き、貴方の感想は、次のどのタイプですか。

A:「珍しい内容だが、定足数の原則は議決権の過半数なのに定款で3分の1まで
  緩和できるのだから、会社法を知り尽くしたよくできた定款内容だ」。
B:「よくみかける内容で何が問題なのかよくわからない」。
C:「こんな定めは実態を知らない愚かな内容だ」。

 「珍しい内容か、よくみかける内容か」の論では、Bの勝ちです。上場会社のほ
ぼ100%がこの内容でしょう。

 なぜか。個人株主や外国人株主が増えて、定足数を満たさず、定款変更議案が流
れてしまうこともあったので、商法を改正し、平成15年4月から定足数の緩和を
認めたものです(拙著『これが新商法だ!これが新登記だ!』157頁)。

 従って、定足数の充足に苦労していない中小企業では定める必要がないどころか、
定めてはいけません。株主甲の持株比率60%、乙丙各20%のとき、甲が海外出
張中に乙丙だけで定款変更も増資もされてしまったら、乗っ取りが完成です。こう
いう想像力もないA説は、法務コンサルタントして失格であり、私はC説です。

 では、続いて、次の定款内容に問題がありますか。
--------------------------------------------------------------------------
第*条 補欠取締役の選任決議は、当該決議後【10回目に開催する定時株主総会
   の開始の時まで】効力を有する。
--------------------------------------------------------------------------

 これも愚かです。

 補欠役員とは欠員が生じた場合のベンチに座っているピンチヒッター役員のこと
ですが、なぜ補欠役員を予選しておくかというと、上場会社のように株主が何千人、
何万人といる会社では容易に総会が開催できないからです。すぐに総会を開催でき
る株主数名の中小企業では補欠役員制度は不要です。

 また、「当該決議後【10年以内に終了する事業年度うち最終のものに関する定
時株主総会の開始の時まで】とする」と定めたつもりでしょうが、上記の定め方で
は、年2回決算の会社や、事業年度を変更し、1年に2回定時総会を開催した場合
に、予定とは異なった結果になります。

 この「〇回目に開催する………」は、上場会社の定款にもありますが、分かって
いるのでしょうか。法律の運用も着き詰めれば、知識ではなく、使う人のセンスや
想像力のように思います。

 もっとも、センスや想像力があっても仕事が豊富に来るかどうかは、別の能力が
必要ですから、世の中、うまくできていますね。


2011.07.07(木)【任期計算】(金子登志雄)

 取締役の任期につき、次の問にお答えください。

--------------------------------------------------------------------------
(問)12月決算だった甲社(定款に任期の定めはない)は、平成23年2月の定時
 総会で決算期を4月に変更した。続いて、この平成23年4月期の定時総会は平成
 23年6月12日に開催された。
  @平成22年2月20日重任の取締役Aの任期はいつまでか。
  A平成22年5月1日就任の取締役Bの任期はいつまでか。ただし、Bは平成
   22年2月20日の合併承認総会兼定時総会で選任され合併の効力発生日の
   5月1日に就任した者である。
--------------------------------------------------------------------------

 これ、3日に行われた司法書士試験記述式問題のほんの一部を取り出したもので
すが、つい、「取締役の任期は2年だから昨年就任したばかりの取締役の任期満了
時期は来年であり、今年ではない」という思い込みにとらわれてしまいます。

 しかし、よく考えると、平成22年2月20日の2年後は平成24年2月20日、
その直近の最終の決算期は平成23年4月、その定時総会は平成23年6月12日
です。@のAは、この6月定時総会で任期満了です。
 任期計算は「選任時」基準であって「就任時」ではありませんから、AのBも同
じく平成23年6月12日開催の定時総会の終結と同時に任期満了です。

 落ち着いて考えれば、どうという問題ではありませんが、緊張している試験会場
で、これに気づかないと、パニックになってしまうことでしょう。

 さて、私の顧客で、9月決算を3月決算に変更し、この6月に定時総会を迎えた
会社がありました。その議事録によると、平成22年4月1日就任の取締役Cが再
選されているのです。

 会社に問い合せましたら、「12月開催の定時総会と今回の定時総会で2回目の
定時総会だから、任期満了になる」と思っていたようです。「選任後2年以内に終
了する………」を「選任後2回目の」と勘違いしていたわけです。

 しかし、さらに話を聞けば、就任は平成22年4月1日でも、選任は3月でした。
ということで、結果オーライで、会社の議事録は正しかったのです。

 4月1日とか、1日付就任の役員の選任時期には、警戒信号を発令させるよう気
をつけないといけませんね。


2011.07.06(水)【会計監査人の重任登記】(富田太郎)

 6月の定時株主総会が終わり、このところ、毎日のように登記申請をしていま
すが、いつも焦ってしまうのが大会社(主に上場会社)で毎年必要な会計監査人
の重任登記です。

 重任登記の際に添付する(会計監査人)の資格証明書である登記事項証明書は、
「その監査法人が実在していること」が分ればよく、膨大な役員区まで記載され
たものまでは不要とされています。

 が・・・毎年、この時期、なぜか『有限責任あずさ監査法人』は、登記中で、
いつも重任登記に添付する登記事項証明書が取得できず、イライラしてしまいま
す。

 そこで、今年こそは!と、例年の反省に立ち、7月1日の朝、「有限責任あず
さ監査法人」の一部事項証明書を取得しました♪

 聞くところによれば、同日午後、同法人は、なにやら登記申請をしたようで、
その後は、昨日まで登記事項証明書を取得できなくなったそうです。

 ぎりぎり、セーフでした♪ 

 しかし、この「有限責任監査法人」の登記事項証明書の添付、何とかならない
かなぁ〜。実在を証するために添付するのなら、法務局が調べればすぐ分かるこ
となのに・・・・。

【おまけ:素朴な疑問】
 インターネットの登記情報で検索すると『あずさ』と入れても該当なし?
なぜか????『有限責任あずさ』と入力すると、でてきます。
『あずさ』を除く
『有限責任』『監査法人』の部分は、株式会社にあたる法人格?のようなものだ
と思っていましたが・・・・。
 これも、毎年、同じ失敗を繰り返し、焦ってしまいます・・・(涙)。


2011.07.05(火)【会計監査人【設定】会社】(金子登志雄)

 昨日は閲覧件数が急上昇したと思ったら、カリスマ講師の山本先生のブログから
でした。
    http://plaza.rakuten.co.jp/yamamotokoji/

 受験生の皆様、ようこそ。

 3日の商業登記記述試験は分量が多過ぎて、たいへんでしたね。専門家の私でも
時間内に終わらせるのは無理です。「それが試験だ」といわれれば、それまですが。

 内容面については、面白い内容が多かったので、おいおい本欄でも取り上げるつ
もりですので、たまには閲覧してください。

 さて、昨日の続きですが、負債が200億円以上になると大会社になりますから、
会計監査人の設置が義務づけられます(会社法328条)。

 そこで、
「会計監査人設置会社に関する事項」
「原因年月日」平成23年6月●●日設置

 と登記申請しましたら。法務局から電話がありました――「【設置】で申請され
ていますが、登記記録例によると【設定】になっていますので、修正してよろしい
ですか」。

 もちろん、私にとっても顧客にとっても、どうでもいいことですから、「ご指摘
いただきありがとうございます」との御礼とともに、即座に承諾しましたが、これ
「いやだ」と答えたら、【設置】で登記してくれるのでしょうか。

 おそらく、【定款に】会計監査人の【定めを置いた】という意味で「設定」にな
るのでしょうが、「設置」でも間違いだとは思えません。もし、「設定」が正しい
というのなら、「セッテイ」や「せってい」も間違いでしょうか。

 調べてみました。
「設置」……支店、外国会社の営業所、株主名簿管理人
「設定」……〇〇設置会社、株式の譲渡制限に関する規定

 株主名簿管理人も会計監査人との比較でいえば「就任」としたいところですが、
株主総会で選任するわけでも、役員でもないことが影響しているのでしょう。

 株式の譲渡制限に関する規定も、本来であれば、他の種類株式と同様に「変更」
とすべきところ、ずっと「設定」にしてきたという理由でしょう。

 これらは理屈ではなく、運用又は慣例の問題ですが、以前に会計監査人を設置し
たときは、私も「設定」で登記していました。今年は、慣れてしまい、登記記録例
をみずに、「設置」と思いこんでしまったのでしょうが、こういう経験をすると、
2度と間違わなくて済みますね。

 紛らわしいので、私の頭の中に、しっかりと、〇〇【設置】会社ではなく、〇〇
【設定】会社とインプットしておきました。


2011.07.04(月)【負債200億円大会社】(金子登志雄)

 フランス大統領選の有力候補でIMFの前専務理事ストロスカーン氏(62歳)
がホテルで女性客室係(32歳)に性的暴行をしたとして逮捕されていましたが、
やはり冤罪の疑いが濃厚になりました。女性の証言のウソが目立ってきたからです。

 これ、私、最初から冤罪だと思っていました。理由は簡単です。同世代だから分
かりますが、62歳ともなると、そんな元気がないからです(ああ、情けない!)。
ましてや、地位も名誉もある方が面識のないホテルの客室係などに引っ掛かるわけ
がありません。地位も名誉もない私ですら、電車の中では、痴漢の冤罪にならない
ように気をつけているくらいですから。

 小沢潰しの日本の陸山会裁判といい、政治的謀略による「オンナまたはカネ」の
冤罪は、各国共通なんでしょうね。真実を見抜く目を持ちたいものです。

 さて、資本金が5億円未満でも、負債が200億円以上であれば「大会社」とさ
れていますが、これを「とんでもない赤字会社」と捉えるのは、冤罪そのものです。

 先般も登記に関与しましたが、ほとんどが不動産関係の会社であり、不動産業界
では、100億や200億の取引も少なくなく、当然、借入れも大きくなり、借入
れが大きいということは、それだけ事業活動が活発だということです。

 司法書士になる前(平成年度の初期)、私はM&Aコンサルタント会社の法務担
当役員でしたが、当時、M&Aの取引(ディール)で数十億円動けば、日本国内の
M&Aとしては、相当規模の大きい案件でした。

 そのとき著名不動産会社の担当者が「ほう、われわれの業界では100億といっ
ても、誰もびっくりしません」といっていましたが、不動産取引では、100億円
の土地に90億円の担保が付いていても、100億円で取引し、負債は引き継がれ
ないのに対し、企業売買では、負債を引き継ぐという相違もあるでしょう。

 バルブ期には、不動産の地上げで急成長したバブル紳士の社長が、「この間、銀
行の人に会ったら、カネを借りてほしいというので、名刺代わりに100億円を借
りてあげた」などと私に話してくれたこともありました(その方はいまは消えてい
ます。自己破産?)。

 いずれにしろ、負債が200億円以上となり大会社になったら、お祝いと会計監
査人をつけなければなりません。譲渡制限会社であれば監査役会までは不要です。
いったん会計監査人設置会社になったのですから、翌年に負債が減少し、大会社で
なくなるような恥ずかしいことをしないよう(?)、しっかり応援しましょう。


2011.07.01(金)【組織再編と社外性の喪失】(金子登志雄)

 1日です。全国で合併等の組織再編が大量になされていることでしょう。え、組
織再編専門家のお前はどうかですって………。ノーコメントです(傷口に塩を塗る
ような質問には答えられません)。

 さて、社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会
社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去
に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他
の使用人となったことがないものをいいます(会社法2条15号)。

 まだ登記の経験はないのですが、この社外取締役が社外性を喪失したとき、例え
ば、業務執行に従事することになったり、子会社の使用人になったときは、「平成
〇年〇月〇日業務執行」とか、「平成〇年〇月〇日子会社の使用人就任」などとし
て、社外取締役の登記を抹消申請することになっています。

 では、A社がB社と合併し、B社の子会社であるC社がA社の子会社になったと
き、Aの社外取締役が10年前にC社でアルバイトしていたことが判明したとき、
何と表現するのでしょうか。

 合併の効力発生日をもって「平成〇年〇月〇日子会社の使用人就任」でしょうか。
でも、就任したのは10年前です(雇用関係なのに「就任」はおかしいじゃないか
という問題は横に置きます)。したがって、「平成〇年〇月〇日合併により過去に
子会社の使用人就任」でどうかと法務局と相談することになるでしょう。

 同一企業グループ外との組織再編が増えてきましたので、いつかこういう登記が
問題になるであろうと予測していますが(社外監査役が定員に満たなくなり、困る
企業も出てくるかもしれません)、ご本人としては、合併の結果として過去の犯罪
がばれてしまったよう不思議な気分に陥ることでしょう。

 このように社外性の要件は大昔の過去まで問うので、厳しすぎるように思います。
せいぜい、過去10年間程度にとどめるべきでしょうし、使用人についてもアルバ
イト程度は除外すべきでしょう。

 私、40年以上前の学生時代に日本通運で、宛名書き程度のアルバイトをいたし
ました。現行の会社法を前提とする限り、もう、私は、日本通運の社外取締役にも
社外監査役にも永久になれません。どおりで、日本通運から声がかからないはずで
す。あのアルバイトは大失敗だったのかと悔まれてなりません????。


2011.06.30(木)【プロは1日にしてならず】(金子登志雄)

 6月最後の日になりましたが、鳩山さんとの合意文書を反故にして、菅さんは居
座ったままですね。お得意のウソで危機を乗り越え菅さんはますます元気で、鳩山
さんの負けというのが、マスコミ上での定説ですが、自分の頭で考える皆さんは、
どう思いますか。

 メディアは政治音痴で、菅さんはますます追い詰められているとみるのは、ジャ
ーナリストの田中良昭さんです。大勢の意見に迎合しないで、自分の頭で考える田
中さんの見方は、「独立した自由人の思考」という意味で、参考になります。

 http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/06/post_266.html#more

 さて、元男性の自由人・カルーセル麻紀さんの入院に関するネットニュースの下
に、彼女のオフィシャルブログのタイトル名が掲載されておりました。

 「女は1日にしてならず」
  http://ameblo.jp/carrousel-maki/

 「ローマは1日にしてならず」をもじったものとはいえ、小さい頃からの偏見と
闘い、やっと、りっぱな女になった人だからこそ使える言葉だなと妙に感心してし
まいました。

 これに関連して、先日のお客様は、元銀行員の方でした。当然、司法書士につい
ても詳しく、用件は、現在お勤めの会社で企画中の組織再編の相談でした。

 「はじめてのことで、何からはじめてよいか分からない」

 こういう質問を受けたときの私の返事はいつも同じです――「ハンコを押すだけ
です。契約書も公告も私が全部の案文を作りますから」。

 私としては、「ご心配なく」と安心させるための発言でしたが、元銀行員さんの
反応は、「へー、司法書士さんというのは登記だけするのかと思っていた」。

 いわれてみれば、そのとおりであり、昔はそれが普通でした。今は、そういう古
きよき時代ではなく、相次ぐ商法改正・会社法の制定で、実体法の比重が高くなっ
ていますし、当ESGメンバーのお仲間のように合併契約書(案)どころか、株主
総会の招集通知(案)まで作り、会社の非常勤役員まで兼ねてしまう今風の司法書
士もぼちぼち登場してきています(この点は、当ESGが先鞭をつけたと自負して
います)。

 登記申請だけでなく、登記の前段階から関与していますと、お客様から登記と無
関係なことも、さまざま質問されますので、それに即答できなければ、頼りない司
法書士で終わってしまいます。「ちょっと、お待ちください」といって別室で本を
調べ、答えるようではダメです。

 そのためには、多くの経験を積むだけでは不十分であり、次に起こるであろう問
題点を先読みし、解決策を想定できるだけの推理力も必要ですから、日々鍛錬し、
腕を磨かねばなりません。

 その方法としては、司法書士という第三者的地位に安住せず、自分が当事者にな
ったつもりで、「この場合はどうしよう、あの場合はどうしよう」と自分の問題と
して、1日24時間、それに集中することだと私は思っています。

 まだまだ私も修行中ですが、女だけでなく「プロも1日にしてならず」ですね。


2011.06.29(水)【定時株主総会集中日】(金子登志雄)

 今日は3月決算上場会社の定時株主総会の集中日ですね。東証傘下の上場会社の
うち41.2%が本日の開催のようです。

 なぜ、集中日は6月最後の30日ではなく、1日前の29日であるのか、お分か
りですか。有価証券報告書の提出期限が6月30日だからです。

 さて、定時総会の報告事項ですが、ほとんどの会社が次の方式です。
--------------------------------------------------------------------------
報告事項
1.第☆期(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)の事業報告及び連結計
  算書類並びに会計監査人及び監査役会の連結計算書類監査結果の報告の件
2.第☆期(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)計算書類報告の件
--------------------------------------------------------------------------

 連結計算書類を作成していない会社では、次のようになります。
--------------------------------------------------------------------------
報告事項
 第☆期(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)事業報告及び計算書類報
 告の件
--------------------------------------------------------------------------

 上場会社は会計監査人設置会社ですから、上記のとおり計算書類が報告事項にな
っているのであり(会社法439条)、会計監査人設置会社でない中小企業では、
計算書類につき株主総会で承認しなければなりません。時々、上場会社の真似をし
て、計算書類を承認議案にしていない会社がありますが、気をつけましょう。

 ついでですが、計算書類は4つあります。貸借対照表、損益計算書と何と何でし
ょうか。答えは計算規則59条1項にあります。

  http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18F12001000013.html


2011.06.28(火)【簡易合併の要件(最終回)】(金子登志雄)

 猿の駆除中に猿だと思い猟銃で撃ち人を殺してしまった気の毒な事件が和歌山で
ありました。刑法の勉強で出てくる(異なる構成要件間の)「客体の錯誤」であり、
故意の殺人罪に問うことはできず、(業務上)過失致死罪になります。

 さて、簡易合併の登記申請の添付書面でないのに、添付書面と思い込む「解釈の
錯誤」につき、昨日まで4回にわたって説明してまいりましたが(ネタ切れしてま
したので助かりました)、5回目となる最終回の今回は、法令の構造や証明責任の
点から検討してみましょう。

 簡易合併に関する法令の構造は次でした。
--------------------------------------------------------------------------
 会社法796条
 3項:合併で受け入れる純資産額が5分の1以下のときは、株主総会の決議を要
    しない。ただし、負債超過の受入れの場合は、この限りではない。
 4項:株主の一定数が反対したときは、株主総会決議を必要とする。
--------------------------------------------------------------------------
 
 証明責任の原則からすれば、規定の「本文」は原告が証明する本証事由であって、
「ただし書」部分は被告側が証明する反証事由だとされています。言い換えれば、
申請会社は、本文の簡易合併が可能である旨の「積極的要件」である純資産額要件
を証明すれば足り、特別事由でも生じない限り、株主総会を開催しないことの有効
性が推定され、簡易合併ができない旨の「消極的要件」である負債超過問題の証明
責任はないということです。

 ところが、簡易合併に反対株主が登場すると、特別の事情が生じるので、上記の
4項については証明が必要だということになるでしょうか。まさに商業登記法80
条2項の規定内容そのものです。

 公開会社の募集株式の発行を思い出してください。いわゆる有利発行のときは、
取締役会で増資を決議できませんが、「有利発行でないこと」は登記申請の添付書
面ではありません。

 こう考えても、負債超過かどうかの問題は、合併の事前備置書面の閲覧で分かる
ことですし(「債務の履行の見込み」についても開示事由です)、反対株主の買取
請求という防衛策もありますから、株主に不利な解釈とはいえないでしょう。

 私も、簡易合併の登記申請の際には、「なお、合併差損は生じません」と書くこ
とが多いのですが、「書かないより書いたほうが丁寧」ということと、「書かない
と違法だ」ということとは、厳格に区別しなければなりません。


2011.06.27(月)【簡易合併その4】(金子登志雄)

 23日に根来川さんが、「政治家は危機感が足りない」と書いたのに、最も危機
感の塊でいてほしい原子力安全・保安院の西山審議官に女性問題が発覚………。

 個人的には、あの年齢でも、あの顔でも、若い女性が相手をしてくれるのだと、
世の男性に自信と勇気を与えてくれた西山氏に感謝していますけど、世界に対する
日本の顔になっている現状を踏まえると、もっとTPOをわきまえてよ、といった
ところでしょうか。

 さて、簡易合併に関する下記の@式は、残念ながら、存続会社のA社が債務超過
であれば、A式に直せません。
-------------------------------------------------------------------------
   100株×A社の1株当たり純資産額   1
   ――――――――――――――――― ≦ ―  ・・・・・・@
        A社の純資産額        5

 「A社の純資産額=発行済株式の総数×A社の1株当たり純資産額」より

   合併対価の株数100株   1
   ――――――――――― ≦ ―  ・・・・・・・・・・・・A
   A社の発行済株式の総数   5
-------------------------------------------------------------------------

 その理由は、A社が債務超過だと、次だからです。
1.1株当たりの純資産額の最低額は、0円とされている(会規25条3項)
2.純資産額の最低額は500万円とみなされている(会規196条)

 つまり、存続会社であるA社が債務超過の場合に、分子も分母もマイナスであっ
ては困るため、分子の「A社の1株当たり純資産額」がマイナスの場合は、0円と
し、分母が500万円未満のときは500万円とされています。

 500万円を発行済株式の総数で除しても、0円にはなりませんから、分子と分
母の基準が異なり、@式はA式に書き直せないということになります。

 ここで面白い問題が生じます。
 発行済株式の総数200株のA社が合併新株を400株も発行する大きな合併で
も、A社が債務超過で公開会社であれば、@式の分子はゼロになるため、簡易合併
の要件を備えてしまいます。

 簡易合併とは合併存続会社からみて相対的に小さな合併だから、株主総会の承認
を得ずに済むというのが簡易手続のはずですが、こういうケースもあるのですね。

 簡易合併に反対する株主が大勢出現するでしょうから、制度的な歯止めはなされ
ていますけど、簡易合併の要件の分子である「合併対価の株数×1株当たりの純資
産額」において、「株数0株」(無対価)ばかりに着眼し、「1株純資産額0円」
に誰も着眼しないことについては、私は不思議でなりません。やはり、私が変なの
でしょうか。それとも、どこかに見落としがあるのでしょうか。


2011.06.24(金)【簡易合併の要件その3】(金子登志雄)

 合併存続会社がA社で合併対価がA株式のみのとき(仮に100株とする)、
簡易合併の主たる要件は次でした。

   100株×A社の1株当たり純資産額   1
   ――――――――――――――――― ≦ ―  ・・・・・・@
        A社の純資産額        5

 この式をみて、数学的頭脳をお持ちの方は、

 A社の純資産額=発行済株式の総数×A社の1株当たり純資産額 より、
上記@式は、

   合併対価の株数100株   1
   ――――――――――― ≦ ―  ・・・・・・A
   A社の発行済株式の総数   5
  
と書き直せるのではないかと思ったはずです。

 1株当たり純資産額も分母の純資産額も合併契約時が基準(会社法施行規則25
条、196条)とされていますから、対価が株式のみであれば、原則として、書き
直しが可能だといってよいでしょうし、現に、対価が株式しか認められなかった商
法時代の簡易合併の要件は、この株数基準でした(ただし、比率は20分の1)。

 なぜ、会社法で純資産額基準になったかというと、合併対価が株式に限られなく
なったためです(対価の柔軟化)。また、平成13年の金庫株改正で自己株式の存
在が大ぴらに認められ、自己株式を計算の外に置く商法時代の基準が合わなくなっ
たことも背景理由でしょう。会社法における純資産額は自己株式を控除項目とした
数値ですし、1株当たりの純資産額も自己株式を除いた数値とされているからです
(会社法施行規則25条)。

 さて、会社法で合併対価を商法時代と同様に株式に限定したとしても、A社の事
情次第では、上記@式をA式に書き直すことには問題があります。
 それは月曜日の話としましょう。


2011.06.23(木)【「危機管理」より「危機感」を】(島根・根来川弘充)

 昨今の新聞の一面は、管総理の退陣についてばかりです。批判は、もっぱら管総
理に対するものが多いのですが、退陣した後、どうなるのかが見えず、その後も迷
走が続く気がします。

 内閣不信任決議案が提出された頃、「大連立」構想も同時に騒がれていました。
個人的には、少し期待をするところがありました。

 今回の大災害は、各党ともに予測できたものではありません。ですから、当然そ
れぞれのマニフェストにも書かれているところはなく、非常事態に接し、全政党が
何ができるかを考え、速やかに、かつ、効果的に政策を打ち出すことに何の支障も
ないだろうと思っていました。

 しかし、残念ながら、大連立には、「『期限』や『政策合意』が必要だ」とのこ
とで、結局実現することはなさそうです。

 今回の被害は、死者行方不明者は25000人を超え、また、原発も考えると、
何万人、何十万人にも及んでいます。戦後の日本で、最大の被害と言えるとも思い
ます。

 もし、これが戦争による被害であったとしても、政争は起こったのでしょうか。
私は、おそらくそれは起きなかったのではないかと思います。

 災害なら起きるが、戦争なら政争が起きないとしたら、何の違いでそのような結
果になるのでしょうか。

 戦争であろうが、災害であろうが、被害を受けた多くの方がいる事実に変わりは
ないのですから、国民の生命財産を守ることが政治の使命であるなら、同じ結論が
出てしかるべきだと思います。

 被災地では、今後の生活に目処が立たず、自ら命を絶つ人まで出てきています。
原発事故等、災害に対する内閣の危機管理が間違っていたことで、多くの被害を出
している責任を追及されていますが、政争による政治空白で、さらに被害が拡大す
る責任は誰が誰を追及するのでしょうか。

 未曾有の非常事態でありながら、政争をおこなう政治家には、とても危機感があ
るとは思えてなりません。


2011.06.22(水)【簡易合併の要件その2】(金子登志雄)

 昨日の説明は、分かりにくかったかもしれません。簡単にまとめますと、次のと
おりです。

1.簡易合併の要件としては、@会社法796条3項本文の純資産額5分の1要件、
 A同ただし書の負債超過ではないこと、B同ただし書の対価が譲渡制限株式で存
 続会社が非公開会社でないこと、C同4項(簡易手続に反対の株主が一定数存在
 しないこと)の4つが必要である。

2.しかし、商業登記法80条2号は「会社法第796条第3項本文に規定する場
 合には、当該場合に該当することを証する書面(同条第4項の規定により吸収合
 併に反対する旨を通知した株主がある場合にあつては、同項の規定により株主総
 会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないことを証する書面
 を含む。)」と規定し、1の@とCの証明しか要求していない。

 以上のとおり、明文上、1のBを証する書面は、登記の添付書面でないことは明
らかです。

 したがって、「簡易合併の要件を満たすことを証する書面」という表題は、正確
ではなく、正しくは「簡易合併の要件を【一部】満たすことを証する書面」という
べきでしょうか。

 ところで、負債超過でないことの意味については、昨日も書きましたが、消滅会
社の貸借対照表の話ではなく、合併直後に貸借対照表を作成したら、存続会社の純
資産額が減少していないかという基準です(会社法施行規則195条)。

 その際の証明が必要だとしたら、次のような証明書になるでしょうが、数字が固
まらない間に、この証明を要求すると、数字の正確性を重んじる会社は困るのでは
ないでしょうか。

 (1)合併直後総資産額          金〇〇円
 (2)合併直前総資産額          金〇〇円   
 (3)合併直後総負債額          金〇〇円
 (4)合併直前総負債額          金〇〇円
 (5)(1)−(2)−{(3)−(4)}  金〇〇円≧0円

 さて、皆さん、兄弟会社間の合併で、消滅会社の貸借対照表は次だったとします。
    
  資産 800万円 | 負債         900万円
           | 資本金       1000
           | その他利益剰余金 △1100

 存続会社は合併対価として、現金200万円を交付しました。負債超過の合併に
なるでしょうか。

 兄弟会社の合併だから簿価で受け入れ、しかも100万円の債務超過だから、簡
易合併が無理なことは明らかじゃないかと思いませんか。

 間違いです。次の仕訳です。

    受入れ資産 800万円 | 受入れ負債 900万円
    のれん   300   | 出た現金  200 

 このように、負債超過かどうかは一筋縄では行きません。会計処理によっても大
きく異なるのです。負債超過でないことの証明を登記に求めたら、街の司法書士で
は対応が困難でしょう。法務局も審査ができるかどうか………。

 簡易合併については、まだ続きますが、明日の徒然担当は、根来川さんです。


2011.06.21(火)【簡易合併を証する書面】(金子登志雄)

 司法書士界で最も有名な横綱ブログといえば、京都の内藤先生のブログです。閲
覧数では、東京の新保先生のブログも知る人ぞ知る幕内クラスです。ブログ形式で
はありませんが、本徒然など閲覧数では足元にも及びません。序二段クラスです。

 今日は別の話題にする予定でしたが、上記2大ブログで、登記に必要な「簡易合
併を証する書面」の必要的記載事項につき、意見が異なったようですので、本徒然
も、急遽、予定を変更し、序二段の身分もわきまえず、参戦することにしました。
というのは、新保先生のブログに茶々を入れた責任が私にあるからです。

 まずは、下記をお読みください。

(新保先生のブログ:6月17日) http://blog.goo.ne.jp/chararineko/

(内藤先生のブログ:6月20日) http://blog.goo.ne.jp/tks-naito

 会社法796条3項ただし書に該当しない合併であること(負債超過の合併でな
いこと、抱きわせ株式消滅損の発生しない合併であること)が「簡易合併を証する
書面」の必要的記載事項かどうかで、意見を異にしています。

 新保先生は、当初、負債超過について触れるのは面倒だと書いていましたので、
私が書かなくても問題ないと指摘しました。新保先生も理解してくださりブログを
修正しました。私には、その責任があるわけです。

 論点は、商業登記法80条の「会社法第796条第3項【本文】に規定する場合
には、当該場合に該当することを証する書面」の解釈です。

 会社法796条3項の該当部分を要約すると次のようになっています。
--------------------------------------------------------------------------
【本  文】:
  会社法第795第1項から第3項までの規定は、純資産額要件が5分の1を超
 えない場合には、適用しない。
【ただし書】:
  会社法第795条第2項各号に掲げる場合(負債超過)は、この限りでない。
---------------------------------------------------------------------------

 内藤先生は、「会社法第796条第3項【本文】に規定する場合」を「簡易合併
が可能である場合」と解釈なさるようで、ただし書の負債超過でない旨も証明事項
だとのお考えのようですが、それだったら、商業登記法80条がわざわざ「第3項
【本文】」と規定するとは思えません(略式合併の場合も、会社法第796条第1
項【本文】に規定する場合」と、【本文】である旨を明記しています)。

 商業登記法80条は、文字どおり「株主総会を開催しなければならない場合の会
社法795条1項から3項までの規定は、純資産額要件が5分の1を超えない場合
には、適用しない」という意味であって、あえて言えば、負債超過でも簡易合併は
可能だという内容です。そして、ただし書で、負債超過の場合を否定しているので
あって、ただし書の内容を本文と一体化して読む必要はないと考えます。

 こう解釈することは、旧商法時代の解釈とも整合します。旧商法・旧商業登記法
では、消滅会社が債務超過でなければ簡易合併も可能だとされ、抱きわせ株式消滅
損の発生しない合併であることの証明は不要でした。現行商業登記法もこの延長に
あるというべきです。

 例えば、A社がB社を1000万円で設立し、100%子会社のB社の純資産額
が800万円のとき無対価で吸収合併するときは、旧商法時代には債務超過会社の
合併ではないので、問題なく簡易合併が可能でした。A社が受け入れたのは、プラ
ス800万円の財産だからです。

 会社法では会社法施行規則195条があるために、受入れ財産ではないのにAの
有するB株式(抱き合わせ株式)が合併で消滅することを理由として、最終的にA
の純資産額が200万円減少することを根拠に、簡易合併を不可としました。

 合併とは本来、直ちにAの貸借対照表を変動させる取引とされていますが、この
200万円は損益計算書の特別損失であり、本来であれば決算期に他の損益と通算
した純損益としてA社の貸借対照表に反映するものです。その意味では、旧商法の
取扱いが会計処理としては妥当なのでしょうが、結果は不合理だと考えて、合併に
よる損益を合併手続に反映させるために会社法施行規則195条が設けられたもの
です(と私は推測しています)。

 正真正銘の負債超過で共通支配下関係の兄弟会社間合併であれば、資本金計上証
明書や株主資本等変動額の面から、負債超過かどうかが判明します(無対価の場合
は無理ですが)。

 また、第三者を吸収合併する「支配取得」の案件では、消滅会社が簿価債務超過
でも、のれんを計算して負債超過の合併とは扱いません。

 このような沿革や会計処理の基本からしても、会社法796条3項が「本文」と
「ただし書」を使い分けていることが理解できるのではないでしょうか。
 
 簡易合併でも債権者保護手続はなされますし、負債超過かどうかの証明には合併
登記で近づかないというのが商業登記法の一貫した姿勢だと私は解釈しています。


2011.06.20(月)【種類株式と単元株式その3】(金子登志雄)

 今週は、3月決算会社の定時株主総会が順々に開始される大事な週だというのに、
知らないうちに昨日から左肩を筋違いで痛めてしまいました。40肩・50肩とい
いたいところですが、アラ(ウンド)還(歴)世代ですから、それは過ぎました。

 まぁ、パソコンも右手の中指1本で打つ何事も自己流人間ですから(これで本も
書きました)、仕事には全く支障ありません。

 さて、自己流人間は、時として人の気づかないおかしなことを考えてしまいます。

 種類株式発行会社の単元株式数は、

 単元株式数 | 普通株式 1000株
       | A種株式  100株

などと登記しますが、

 単元株式数 | 普通株式 1000株
       | A種株式 取締役選任議案については、10株
              それ以外は、100株

というのは、認められないのでしょうか。

 単元株式数 | 普通株式 1000株
       | A種株式  100株
         ただし、株式分割又は併合をしたときは、次の算式による。
         新単元株式数=分割・併合前単元株式数×分割・併合の比率

という調整式入りは、いかがでしょうか。

 どの本にも書いてないでしょう。

 上記の議案別の単元株式数については、単元未満株式とはどちらをいうのか不
明になりますし、調整式入りも、「算定方法」を肯定する規定がないため、おそ
らく「ノー」と当局は答えるでしょうが、こういう質疑応答がないのも不思議な
気がします。やはり、私が変なのでしょうか。


2011.06.17(金)【種類株式と単元株式その2】(金子登志雄)

 逮捕され起訴猶予になったロック歌手・内田裕也さんが弁護士料を払えない言い
訳として、「ロックの宿命で経済的に貧困状態」と言ったそうです。71歳でこれ
ですから、幸せな人生ですね(周囲はたいへんだ!)。

 さて、「会社法専門司法書士の宿命で経済的に貧困状態」の私がした昨日の質問
――A種株式を普通株式に転換(取得請求)するときは、転換比率をA種株式1株
につき普通株式10株とする。だから、A種株式の議決権は普通株式の10倍にし
たいが可能ですか――の回答ですが、

 この質問に、「可能だ」と答えるためには、「1単元0.1株」を肯定しなけれ
ばなりません。しかし、これは法の想定外であり、認められません(【普通】株式
が1単元1000株であるところ、【A種】株式につき10倍の議決権である1単
元100株にするような場合は肯定することができます)。

 元来、単元株式制度は、株主管理コストの節減を目的とした制度(たった1株し
か所有しない株主にも株主総会の招集通知を送るのはコスト負担が大変だ)であり、
1単元100株などと定めることによって、議決権の個数を減らそうというもので
す。「1単元=複数の株数」でなければならず、1株の議決権を増やしては本末転
倒です。

 「1単元2.5株」といった小数も認められないでしょう。1株1議決権が原則
であり、整数の複数株式(複数議決権)を1個の議決権にしたのが単元株式数だか
らです。

 ついでに、次の質問です――「普通株式 20万株、A種株式 800株」のと
き、A種株式1単元1000株と定めることは、可能ですか。A種株式の議決権が
なくなりますが………。

 会社法施行規則第34条により単元株式数の上限は、「千及び発行済株式の総数
の200分の1に当たる数」です。分母は発行済株式の総数で、発行済【A種】株
式の総数ではありません。もう結論はお分かりですね。

 来週こそ、「会社法専門の宿命で経済的に貧困状態」の老人司法書士に福の神が
舞い込みますように………。皆様もご一緒に祈ってください。


2011.06.16(木)【種類株式と単元株数】(金子登志雄)

 こんな質問を受けました――A種株式を普通株式に転換(取得請求)するときは、
転換比率をA種株式10株につき普通株式1株とする。だから、A種株式の議決権
は普通株式の10分の1にしたいが可能か。

 私の回答は――議決権については議案ごとにあるかないかを定めることはできて
も(例えば、役員選任議案には議決権がない)、議決権0.1個というような分量
的制限はできません。このような場合は、単元株式制度を採用し、1単元10株と
A種株式に定めることになります。

 ここでハタと迷いました。われわれ実務家は常にゴールを見据えて動きますから、
A種株式1単元10株をどう登記するのかという疑問です。会社法188条に「単
元株式数は、【株式の種類ごとに】定めなければならない」とあるからです。

 この解釈につき、旧商法時代の法務省の回答では、【全種類の株式それぞれに】
との意味合いだと捉えているようで、この見解を前提にすると、「普通株式1単元
1株、A種株式1単元10株」と定めることになります。

 しかし、【株式の種類ごとに】とは、【株式の種類に応じて個別に】という意味
に過ぎないでしょうから(例えば、会社法199条5項の「募集ごとに」)、無関
係な普通株式に触れずともよいとは考えられないでしょうか。仮に【全種類の株式
それぞれに】という意味だとしても、「普通株式には単元株式数を定めない」と定
めることも可能ではないでしょうか。

 旧商法時代に、「1単元1株」と定めることは、端株制度を不採用という意味が
込められていましたが、端株制度が廃止された会社法の下では、その意味もありま
せん。また、仮に1単元1株と無意味な定めをするのに、わざわざ株主総会による
定款変更決議までは不要ではないかという疑問もあります。

 と書いたところで、単元株式に関する別件で仲間内にメールしたら、富田氏から
松井信憲著『商業登記ハンドブック〔第2版〕』40頁に、私の見解で問題ないと
あることを教わりました。法務省見解に変化があったようです。全くの別件での連
絡だったのですが、偶然に「単元株式といえば、こういう議論がある」と彼から教
えてもらったものです。

 勉強嫌いの私は何もみずに、条文だけで、ああでもないこうでもないと考える省
エネ・タイプですが、受験指導本を書く富田氏は、多数の文献に目を通し、権威あ
る根拠のあり場所をよく知っているので、非常に助かります。

 さて、私から皆様に質問です――A種株式を普通株式に転換(取得請求)すると
きは、転換比率をA種株式1株につき普通株式10株とする。だから、A種株式の
議決権は普通株式の10倍にしたいが可能ですか。


2011.06.15(水)【冊子株券】(金子登志雄)

 ただいま、種類株式を定款に定める準備をしておりますが、原案は法律事務所が
作成したものですから、あらゆる場合を想定した長文の内容になっています。

 新株予約権に関して5月17日付け本欄で書きましたが、この種類株式にも他の
株式への転換条項につき、決まり文句の「当社が合併、会社分割又は株式交換を行
う場合及びその他これらの場合に準じて株式数の調整を必要とする場合は、当社は、
取締役会において必要と認める株式数の調整を行うことができる」といった内容も
記載されていました。

 しかし、こういう漠然とした内容では、会社法が許容する「算定方法」(例えば、
会社法108条2項5号ロ)としては耐えられる内容ではありませんから、ほとん
ど無意味な定めです。それでも、横並びの悪慣例の決まり文句ですから、定めてお
かないと不安があるのか、挿入しておくことが多いようです。

 この長文を登記簿に表すと、2頁程度を占めてしまうと思うのですが、登記記録
には分量の制限がないので、まぁ、よしとしましょうか。

 問題は株券です。株券には「株式の種類及び内容」を記載することになっていま
す(会社法216条)。A4用紙並の大きさの株券に小さな文字で書きこまない限
り収まらないでしょう。

 ということで、われわれ司法書士は、登記簿記載を前提に可能な限り簡潔明瞭な
内容にしようと思ってしまいますが、リスク管理が重視される今日では、すべてで
長文になる傾向がありますから、この際、保険証券のように「冊子株券」にするの
も1つの手かなと思い直しました。また、そうせざるをえないでしょう。

 一体、どんな株券を作るのかなと楽しみにしておりましたら、残念なことに、種
類株式を設定するのを機に株券を廃止したいという依頼を受けてしまいました。

 種類株式発行会社の株券を巡る裁判では、そのうち「株券何頁によると………」
という陳述が登場するのかもしれませんね。


2011.06.14(火)【1発屋芸人】(金子登志雄)

 たまたま土曜日にテレビをみておりましたら、一発屋芸人の収入を話題とする番
組をやっており、流行っていた頃は月収が何百万円だったが、ブームの過ぎた今は
20万円以下という方がほとんどでした。

 浮き沈みの大きいたいへんな職業だなという思いとともに、注文があってナンボ
の司法書士であるわれわれも、その他の受注産業も、飲食業も、多かれ少なかれ同
様の部分がありますので、笑ってみていることができませんでした。

 不動産バブルの頃は不動産専門の司法書士は、笑いが止まらず、これが永久に続
くだろうと思っていたことでしょうし、つい最近では、債務整理専門の司法書士が
脱税で捕まるほど儲けていたのに、いまやブームも去り、お先真っ暗であろうと推
測します。

 浮き沈みの高低は、不動産や債務整理ほどではありませんが、私のような会社法
案件・商業登記専門司法書士も、あの一連の商法改正時代や会社法施行直後を思い
出し、「あの頃はよかったなぁ」と過去を懐かしがっている始末です。

 やはり行きつくところは、こつこつと地味な努力で生活の糧を得るということで
すが、当ESGメンバーも全員が途中廃業もせずに、人並みの生活を送れているの
は、不動産であれ、商業登記であれ、顧客に真面目な努力が評価されているためで
しょう。

 司法書士の仕事のよいところは、日々の積み重ねである経験が財産になるという
ことで、こと仕事の面においては、「あの若い頃が懐かしい」と思う必要がないこ
とでしょうか。

 そのためにも、流行りすたりを超える腕(技術)を磨かねばなりませんが、その
腕には表現力や文章力も含まれます。本徒然に積極的に投稿して、それを鍛えよう
とするお仲間が少ないのは、ややもったいない気がしないでもありません。


2011.06.13(月)【政治評論家という職業】(金子登志雄)

 先週の週刊誌は、内閣不信任案に関するドタバタ特集の感がありました。

 記事は、おおむね「政治評論家の〇〇氏によると………」といった具合で、複
数の政治評論家のコメントを中心に構成されていました。いつものパターンです。

 しかし、そんな名前の政治評論家の存在は全く知りませんし、コメント内容が
ひどいものでした。単に菅・鳩山・小沢氏らに対する漠然としたイメージや好き
嫌いで評論しているだけで、ジャーナリストように足で取材したとか、経済評論
家のように何らかの資料に基づいて分析したというものが全くありません。井戸
端会議での声の大きいオバサンの域を全く出ていませんでした。テレビのワイド
ショーと同じです。

 こういう有名でない政治評論家さんは何で生活しているのでしょうか。あの程
度の内容で、報酬がもらえるとは、到底思えませんでした。

 もっとも、マスコミに登場する政治評論家も大差ないですね。元政治記者が多
いようですが、政局に対して、いかにも裏事情を知っているかのように適当なコ
メントをしているだけで、議会制民主主義に精通しているとか、欧米の政治状況
と比較して日本の政治を論じているとかの知的要素が全く感じられません。単に、
傍若無人に政治を断じて視聴者のうっ憤晴らしに協力している、いかがわしいオ
ジサン達に過ぎません。

 傾聴に値する意見を出す評論家やジャーナリストは、時の政権に批判的な意見
をいうことが多いため、テレビ等のマスコミの世界では敬遠して登場させません。
日本のような巧妙な「思想管理社会」にとっては、政治評論も「口によるプロレ
ス」になり下がってしまったのでしょうか。

 あ、まずい、本物のプロレスに失礼じゃないかと、愛好家のあの方に叱られそ
うです。今週も、無難に会社法運用評論家として、会社法でも断じましょうか。


2011.06.10(金)【補欠監査役と後任監査役】(金子登志雄)

 会社法336条3項に、「定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠
として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとするこ
とを妨げない」とあるため、多くの会社がこれを定款に定めています。

 では、たった1人の監査役Aが任期を2年残して辞任し、交代にBが就任すると
きに、このBの任期はいつまでかというと、そう単純ではありません。

1.補欠監査役として選任
 
 Bが「補欠監査役」として、予選されていれば、この定款の定めによりBの任期
は、あと2年です。

 会社法329条2項に「役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役
員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる」とあ
るとおり、「補欠監査役」は、法律や定款で定めた員数を欠いた場合の補欠であり、
予選で定めておく監査役の待機者です。Bもこれに該当します。

 予選で定めておくことによって、改めて臨時株主総会を開催し、欠員を補充する
必要がなくなります。逆にいえば、株主総会招集回避型の補欠です。

2.退任監査役の補欠として選任

 「本総会の終結をもって監査役Aが辞任するので、その補欠としてBを監査役に
選任したい」と株主総会で選任した場合は、どうでしょうか。

 予選ではないため会社法329条の「補欠監査役」ではありませんが、補欠とし
て選任されていますので、定款の定めにより、このBの任期も、あと2年です。

 念のため、1の場合の株主総会の議案は「補欠監査役選任の件」ですが、2では
通常どおり「監査役選任の件」となります。監査役の法定(又は定款)員数を欠い
た場合でなくとも可能です(監査役が甲乙のところ、乙が辞任するので丙をという
場合など)。

3.退任監査役の後任として選任

 株主総会で定める際に、「本総会の終結をもって監査役Aが辞任するので、その
後任としてBを監査役に選任したい」と選任した場合は、どうでしょうか。

 専門家の司法書士を含め勘違いしている方が非常に多いのですが、後任として選
任するだけでは補欠として選任したことになりませんので、このBの任期は、通常
の任期となります。


2011.06.09(木)【補欠監査役の選任議案】(金子登志雄)

 3月決算会社の上場会社の定時株主総会が近づき、各社の総会議案が分かるよう
になってきましたが、最近は、監査役を4名以上の体制にする上場会社が多いのか、
補欠監査役の選任議案のニーズが少なくなった印象があります。

 その最大の理由は、毎年、補欠監査役の選任を議案にすることが面倒だからでし
ょう。会社法施行規則96条3項本文に「補欠の会社役員の選任に係る決議が効力
を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、【当該決議後最初に開催す
る定時株主総会の開始の時まで】とする」とあるからです。

 しかし、よく読むと、「定款に別段の定めがある場合を除き」とあります。定款
で定めれば、毎年、選任する必要はないのです。

 では、その期間は、何年間有効かと申しますと、公開会社の「監査役の任期は、
選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結
の時までとする」(会社法336条1項)が補欠監査役にも適用されますから、公
開会社にあっては、一般に「補欠監査役の選任に係る決議の効力は、選任後4年以
内に終了する事業年度うち最終のものに関する定時株主総会の開始の時までとする」
と定めます。

 その4年間に補欠監査役の人柄などに問題が生じることもありますから、選任決
議の取消も可能です(会社法施行規則96条2項6号)。

 監査役会設置会社では、半数以上が社外監査役であることを要しますから(会社
法335条3項)、監査役が4名であっても、社外監査役が2名の場合には、補欠
監査役を選任したほうが安全です。ご検討ください。


2011.06.08(水)【人間力】(金子登志雄)

 とうとう経団連も菅首相を見限ったようですね。その某新聞報道の締めの言葉と
して「政治には力強いリーダーシップが必要だ」との米倉経団連会長の言葉を取り
上げていました。

 新聞も無責任ですね。力のあるリーダーの下には、ヒトもカネも集まるのが自然
の成り行きなのに、やれ「あの集めたカネは黒いカネに違いない。カネで子分を集
めるのは邪道だ。クリーン政治を」などと、成功者に対する庶民の嫉妬心を煽って、
力のあるリーダーを次々に潰してきたのは、マスコミ自身ではないでしょうか。

 さて、力のあるリーダーの1人である小沢氏について、雑誌等に小沢は海部総理
のことを「担ぐ御輿は軽くてパーがいい」といったとんでもない奴だなどと批判し
てきた政治評論家・田崎史郎氏が、なぜか、こんな論考を出しました。

--------------------------------------------------------------------------
 政治家には、人に仕えるタイプと、ポストに仕えるタイプがいる。菅の周りにい
る人たちはほとんど、その役職に就いているから菅を支えるというポストに仕える
タイプだ。これに対し、小沢の周りにいる人たちは小沢に惚れ込み、仕えている。

 その求心力をもたらしているのはおそらく小沢の「人間力」だ。菅の人間力はな
いに等しいが、小沢には十分にあると見なければ、この政局における議員の動きを
理解することができないのではないか。

      http://gendai.ismedia.jp/articles/-/7447
--------------------------------------------------------------------------

 確かに、菅執行部に党員資格を停止され閉門蟄居の身でありながら、今回、不信
任案賛成者を70名以上も集めたのですから、カネ以外の力というべきでしょう。

 私も、2年前の西松建設事件以来、小沢氏に興味をもち、本欄のネタ探しを兼ね
て、小沢氏の著作などを読みましたが、常に批判に晒されている政治家にはよくあ
ることですが、マスコミが作った虚像とは大違いで、実に魅力に溢れる人でした。

 腹が立つほど私と正反対なんです。決して人の悪口をいわない、弁解もしない、
弱音も吐かない、人のせいにしない、愛妻家で結婚記念日には家に早く帰る………。

 私が勝てるのは、せいぜい善人「顔」くらいでした。私と同様に、小沢氏の力強
さを感じる人が多いのか、こんな題名の本さえ出ています。

(泣かないあいつが憎らしい)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=%8B%83%82%A9%82%C8%82%A2%82%A0%82%A2%82%C2

 また、日本国憲法を実によく勉強しており、西欧の人権感覚をもっていると同時
に、付き合いもよく義理人情に厚い人でした。「頭は西洋人だが、首から下は土着
日本人」と郷里の岩手ではいわれているようですが、この土着日本人的部分が田崎
氏のいう「人間力」なのかもしれません。

 唯一、愚かな質問をする不勉強な記者に対しては冷淡な対応をするので、それが
評判を悪くしている理由の1つになっていますから、ひょっとして、田崎氏も、若
い頃に、冷たくされて小沢嫌いになったのかもしれません。

 ちなみに、「担ぐ御輿は軽くてパーがいい」といったのは、小沢氏の盟友の平野
貞夫氏です。それでも、「それは平野が言った」ともいわないで今日に至ります。
どこかの首相のように、すぐに他人のせいにする人だと、私も少々優越感を感じる
ことができるのですが………。
 

2011.06.07(火)【解散会社の定時株主総会】(金子登志雄)

 菅首相の退陣が決まったら、マスコミは早速、次期首相は枝野か岡田かなどと
言い出しました。普通に考えれば、辞任詐欺の共謀共同正犯の責任を負う方々で
あって、到底あり得ないことだと思うのですが、何を考えているのでしょうか。

 さて、その話は横に置きまして、3月決算会社の定時株主総会の時期が近づき
ましたが、5月に解散した会社の定時株主総会の準備はどうすると思いますか。
例えば、監査役は監査報告を作るべきでしょうか。

 3月末日の決算期を過ぎて解散したのだから、当然に監査報告を作り、定時株
主総会を開くべきだと、つい思ってしまいます。

 しかし、解散すると、会計監査人設置会社の場合には、会計監査人も自動的に
不在になり、監査役は会計監査に困ってしまいます。また、解散すると取締役が
1人もいなくなり清算人と交代します。株主総会の招集を決定する取締役会もな
いこととされ、総会を招集する代表取締役もいなくなります。

 清算人が招集を決定し招集すればよいじゃないかとも思いますが、清算人には
そのような権限がありません。

 清算会社にも定時株主総会というものがありますが、それは清算「事務」年度
(事業を行わないので事「業」年度とはいいません。解散の翌日からスタートし、
1年間ごとです)の決算の承認の問題です。

 いろいろ考えますと、通常の事業年度を前提とした定時株主総会は開催しなく
てよいことになります(税務申告は別問題)。

 会社法509条によると、決算公告に関する会社法440条3項が適用される
とあり、一瞬、びっくりしますが、これは解散前に定時株主総会があった場合の
ことでしょう。

 こうしてみると、解散した途端に別会社になると考えた方がよさそうですね。
 

2011.06.06(月)【百術は一誠に如かず】(金子登志雄)

 菅さんの退陣偽装問題がたったの数日で予想どおりの展開になってきました。

 当初は、一杯食わされた鳩山さんの友愛に対する非難が大きかったようですが、
勝負はあの1日で終わりません。案の定、菅さんは追い込まれてきました。

 「してやったり。これで政権の危機を乗り越えた」と、当初は、ほくそ笑んで
いた菅さん側に対する鳩山さんの怒りは大きく、それが津波のように与野党議員
を巻き込み、いまや菅さんは四面楚歌の状態です。もう、菅さんは解散もできま
せん。最大の武器を鳩山さんに奪われたわけです。

 信じがたいのは、菅さんを取り巻く政権幹部の人心を読めない戦略です。この
ペテン(?)作戦は、菅・岡田・仙谷・枝野さんらが前日夜に練ったようですが、
当初は何を勘違いしたのか、「勝てば官軍」で、「松木だけでなく欠席した小沢
も除名せよ」などと実に威勢がよかったのに、ここ数日のあまりの逆風に、最近
では「夏までには辞任するだろう」と、風よけの発言が目立つようになりました。

 やはり「百術は一誠に如かず」(小沢さんの座右の銘)で、市民運動家(菅さ
ん)や弁護士(仙谷・枝野さん)さん特有の口先勝負の百術が世論からも見破ら
れるようになってしまったのでしょう。口先で小沢攻撃をしていた頃は、それな
りに世論の支持があったのに、口先が保身や他者への責任転嫁に変わり、とうと
う詐欺・ペテンとまで非難されるようになってしまい、さすがの菅応援団(実は
反小沢・鳩山)のマスコミも手を引きはじめたようです。

 「国民生活第1」の旗を降ろし、口先ではノーサイドといいながら、挙党体制
を構築せず、民主党を泥沼の内戦に導いたのは、小沢攻撃・鳩山排除をすれば、
マスコミが応援してくれて、長期政権になると目論んでいた菅さん側ですから、
ここは、いさぎよく辞任してくれないと、民主党どころか、国民が不幸です。国
難のいまは、なおさら早期収束が必要です。

 反小沢・鳩山のイエスマンで周囲を固めた報いとはいえ、最後(PSの論評で
は「最期」が使われていました)は、イエスマンにも見捨てられそうな菅さんを
みていると、憐れを感じます。次期総理には、「信義のある政治」を行える人を
望みたいものです。

(PS)
 この非常時に権力闘争とは何だと怒っている貴方に。
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 この国では「民主主義」をまともに教えていないから、民主政治について国民
の多くはとんでもない勘違いをしている。「政局はけしからん」とか「権力闘争
ばかりしてなんだ」と言うが、民主主義政治とは国民を守るために権力闘争をす
る事を言うのである。国民に主権があると言う事は、自分たちの生活を守ってく
れないと思ったら、権力者を「ころころ変える」権利があるという事である。
------------------------------------------------------------------------
 http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/06/post_264.html#more


2011.06.03(金)【三方一両損】(金子登志雄)

 菅内閣不信任案は土壇場で否決され、何とも後味の悪い結末でしたが、いったい、
だれが勝ったのでしょうか(以下、敬称は省略します)。

1.居座ることに成功した菅が勝った――でも、大勢の前で辞任表明させられまし
 た。もう、誰もいうことを聞かなくなります。不信任案が可決寸前で人望がない
 ことも世界中に知れ渡ってしまいました。

2.辞任表明に追い込んだ鳩山が勝った――でも、土壇場で反対に回り、筋を通さ
 ない人というマイナスイメージが残りました。「一定のめどがたったらやめる」
 などという菅の偽言に、またもや、はめられたお人好し、あるいは、またもや、
 小沢を2階に上げて梯子をはずした人というイメージを持たれてしまいました。

3.辞任表明に追い込んだ小沢が勝った――不信任案賛成派を70人以上も集め、
 さすがは小沢という評価が、不信任案を可決できず、一転して、小沢は終わった
 という評価に変わってしまいました。ご本人も悔しい思いでしょう。

4.辞任表明に追い込んだ谷垣自民党が勝った――大差で否決されたので、何のた
 めの議決だったのかと思われてしまいました。谷垣も立場がなく、影が薄くなっ
 てしまいました。

 もし、不信任案が可決したら、最もメリットのあるのが谷垣自民党でしたから、
それを回避したという点では民主党の成功だったのでしょうが、菅も鳩山も小沢も、
上記のとおりダメージを受けました。

 三方一両損で、大人の決着としては、妥当なところかもしれませんが、菅が鳩山
の描いた想定どおり早期にやめれば「妥当な落とし所」といえても、しぶとい菅は、
「一定のめど」は、まだついていないと、今後も長期に居座り続け、小沢・鳩山排
除に向かうのではないかという気もします。

 結局、私も判断がつかず、「一定のめど」がついたら、コメントしましょう。


2011.06.02(木)【内閣不信任案の提出】(金子登志雄)

 昨日の夕方には、自民、公明、たちあがれ日本の3党による菅政権に対する内閣
不信任決議案が衆議院に提出されました。

 根拠は憲法69条です。
--------------------------------------------------------------------------
 第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決し
たときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
--------------------------------------------------------------------------

 なぜ、憲法は、内閣総理大臣の「解任」あるいは「解職」という用語を使わなか
ったのでしょうか。

 内閣に対するものであって内閣総理大臣に対するものではないからという理屈も
あるでしょうが、「内閣は、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で」
組織され(憲法66条)、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これ
を指名」し(憲法67条)、「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する」ものですから、
実質は同じです。

 おそらく、「国会」が内閣総理大臣を指名するのであって、「衆議院」が指名す
るわけではないこと、また国会がするのは「指名」であって、「任命」は天皇の権
限とされているため(憲法6条)、あえて「クビ」を意味する用語を避けて、「辞
職」を待つ形式にしたのでしょう。

 今日の午後にも採決されるようですが、報道では、とうとう与党のあの人(小沢
氏ではありません)も賛成に回る見込みとか。

 誰が賛成で、誰が反対かは、今後の政局に大きく影響することでしょう。政界再
編の幕開けになるかという、国の将来に大きな影響のある採決ですから、しっかり
と注視していきたいと思っています。


2011.06.01(水)【法令の拗音・促音、ついでに木へん】(金子登志雄)

 昨日の続きですが、商業登記法の条文で、「もって」を検索してみてください。
「よって」でも、「あって」でもかまいません。

 附則には登場しますが、本文には登場しません。「もつて」「よつて」「あつて」
で、「つ」が大きい文字になっています。これに対して、会社法はすべて「もって」
「よって」「あって」です。

 「以テ」なら見慣れていますが、「もつて」までは気づきませんでした。「昭和
63年7月20日内閣法制局総発第125号内閣法制局長官総務室から内閣官房内
閣参事官室あての通知」が原因だと教わりました。

 http://www5d.biglobe.ne.jp/Jusl/Bunsyo/yayuyotu.html

 「もつて」を大書き、「もって」を小書きと表現するのですね。

 この関係で、刑法は「もって」ですが、刑事訴訟法は「もつて」でした。

 ところで、学校では、手へんは下がはねるが、木へんははねないと教育しますが、
先般、函館(古くは箱館)旅行したとき、古い木の看板で「箱」の字の木の下がは
ねていました。私の自宅の近くにある平安時代からの由緒あるお寺さんの木の看板
の「櫻」の字の木へんも下が思い切ってはねていました。共に、相当古い時代から
の看板です。

 もともとは書体の差のようですが、時代が変われば、おかしなルールが増えるも
のですね。木だって根っ子が地上に飛び出すことがよくあるので、下がはねるのは
当然だと私も思います。国家は、はねあがり(者)を嫌うのでしょうかね。


2011.05.31(火)【商号の「ジ【ヤ】パン」】(金子登志雄)

 商号に「ジャパン」をつける会社が少なくないのですが、中には「ジヤパン」と
わざわざ「ヤ」を大きい字で書く会社も少なくありません。かつての類似商号調査
で見落とさないように注意したものです。
 その他、インフ「オ」メーションとか、テ「ィ」やフ「ァ」、フ「ィ」ではなく、
テ「イ」、フ「ア」、フ「イ」を使う会社も少なくありません。

 これにつき、ウィキペディアの「商号」に、登記上の商号につき、こんな説明が
ありました。
--------------------------------------------------------------------------
 以前はカタカナのャュョッァィゥェォも使用が認められなかったため、登記上の
社名をヤユヨツアイウエオに置き換えたケースもある(例:ジャパンタイムズ→登
記上は株式会社ジヤパンタイムズ)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%95%86%E5%8F%B7#2002.E5.B9.B410.E6.9C.8831.E6.97.A5.E4.BB.A5.E5.89.8D
-------------------------------------------------------------------------

 まさかと思い、商業登記界の大御所で元法務局長の商業登記倶楽部主宰者・神ア
(こうざき)先生にお尋ねしたところ、「初めて聞く見解です」と驚いていました。

 調べましたところ、シェル石油やタカキューは、昭和20年代からの商号のよう
ですから、ウィキペディアの明らかな誤りだと思います。

 その後、なぜ、「ジヤパン」などが多いのかと、いろいろ考えました結果、戦前
の大人相手の文章表現では、「ゃゅょ」(拗音)や「っ」(促音)を用いないこと
が慣例でしたから(「しょーゆ」や「しょうゆ」ではなく、「しようゆ」と書いて
いました)、おそらく、この影響でしょう。

 ちなみに、電子機器のキ「ヤ」ノン、マヨネーズのキ「ユ」ーピーであることを
今回知りました。ただし、キヤノンの理由は、見栄えの面から「ャ」を避けたよう
です。
   http://web.canon.jp/about/mark/index.html
 

2011.05.30(月)【5000万円の誘惑】(金子登志雄)

 陸山会事件の先週の小沢秘書の裁判では、例の5000万円をホテルで石川秘書
に渡したのかという件につき、実行者の川村(元)社長と、渡すことを指示した上
司の水谷(元)会長らの証人尋問がありました。

 新聞等では社長証言のみを取り上げ、相変わらず「小沢は悪い奴だ」と煽ってい
ましたが、ネット上では、会長や運転手の証言まで正確に紹介されていました。

 社長証言
  1.04年10月15日にホテルで石川秘書に5000万入りの紙袋を渡した。
  2.1人で渡し、何の受け取り証ももらっていない。石川はすぐ帰った。

 会長証言
  1.川村が大久保に渡すというので了承したが、あとで大久保ではなく石川秘
   書に渡したことを報道で知り驚いた。
  2.社内ルールで、裏金を渡すときに見届け人を付けないことはあり得ないし、
   指定人である大久保秘書以外の人間が来たときにはその場で確認の電話を入
   れるのが普通である。川村はそれをしていない。
  3.裏金を渡した成果は出ていないので、渡したのかも疑問だ。川村には親し
   い女性がいたので、そちらに渡したのかもしれない。

 (参考)
   http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011052400781

 社長車運転手証言
  1.その日に社長をホテルに送ったという記憶はない(検察官の前では送った
   と無理やり証言させられたが訂正をしてくれなかった)。

 ずいぶんと証言が違うものですね。

 さて、自分には愛人がいた。金がかかる。自分に5000万円の裏金を届ける役
目が回って来た。裏金だから、途中で消えても、会社から横領で告訴されることも
ないだろう。誰もみていない、チャンスだ、ばれる可能性はない………。

 川村社長はこんな誘惑に負けたのか、それとも、忠実に社長の職務(?)を実行
したのか………(あるいは、石川秘書がネコババしたか)。

 貴方が同じ立場になったら、どうしますか。少なくとも、金のかかる愛人は持た
ないほうが迷わずに済みそうですが、そういう女性がいるなら、私も欲しいなぁ。

(ご参考:小沢一問一答)
 こういう国難のとき、菅・仙谷さんに座敷牢に閉じ込められた小沢さんはどんな
心境でいるのでしょうか。インタビュー記事がありました。

   http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_242207


2011.05.27(金)【原子力損害賠償法】(金子登志雄)

 「原子力損害の賠償に関する法律」3条によると、「その損害が異常に巨大な天
災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは」、損害賠償の責任はない
と規定されています。

 安全だ、安全だといっていたわけですから、責任が生じるわけがないのに、ある
いは原発のような危険なものに、なぜ無過失責任を規定しなかったのか不思議でな
りませんでしたが、どうも、地震の多いわが国でこれを定めないと損害保険の契約
が成り立たないからのようです。つまり、原発推進のために、こうしたようです。

 今週の週刊朝日でエコロジストの田中優さんがこんな発言をしています。
 「1970年から00年にかけて震度5以上の地震のあった数は、イギリスが0。
フランスとドイツが2回。で、アメリカが、あの広大な面積で322回。日本は、
このちっちゃな面積で3954回です。しかも悪いことに、1900〜2008年
までのデータを見ると、00年あたりに世界中の地震が突然増えているんですよ。
地球は地震の活動期に入ったようです。そういう状態で、地震国日本で原発を無保
険で動かすというのはむちゃな話ですよ。」

 原発をやめたドイツが2回で、原発推進の日本が3954回の地震、ほんとかい
なと思って、ネット検索しましたら、こんなのがありました。

    http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4380.html

 日本は上から4番目の地震大国なのに、ドイツはビリでした。「勝った」と喜ぶ
わけにはいきません。ワースト順位ですから………。

 やはり地震大国の日本で原発の推進は、異常としか思えません。パフォーマンス
であろうと横須賀基地の米軍を守るためであろうと何だろうと浜岡原発を休止させ
たのは、菅さんの英断の1つでしょう。

 いま地球が地震の活動期に入ったことは、日本に居住していれば、誰でも実感で
分かります。そのうち、お金持ちは、日本を脱出し、ドイツにでも居住するように
なるのでしょうか。ドイツで、日本の法律を知っての司法書士業務が可能であれば、
私もそうしたいところですが、こればかりは無理な相談ですね。独身の息子にドイ
ツ女性と結婚し、かの地に逃げ場所を作れと頼むしか、私には手がなさそうです。

(追伸)
 子供を放射能から守れと頑張っていた俳優の山本太郎さんが、案の定、番組から
干されました。これが日本の民主主義の現状です。

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110526-00000021-flix-movi


2011.05.26(木)【大きな組織】(島根・根来川弘充)

 今月、9・11テロの首謀者とされるビンラディン容疑者がアメリカ政府によっ
て、殺害されました。大震災により、国際情勢に関するニュースは影にかくれた感
もありますが、大変大きなニュースだったと思います。

 「容疑者を他国で、逮捕することなく殺害する。」
 ビンラディン容疑者が、いくら悪いことをしたと言っても、この手法が、国の判
断として正当化されるのか疑問に思いました。

 さらに、ノーベル平和賞をとったオバマ大統領が、揚々と記者会見を行う姿には、
大きな違和感がありました。

 個人で決断したことであれば、許されないことが、大きな組織であればと許され
るということなのでしょうか。

 今回の地震で、福島原発の事故は、今後とも被害が拡大することが予想される大
変大きな問題です。

 これによって生じる損害は、到底、一企業である東京電力では負えそうもありま
せん。報道では、各電力機関や国まで負担をする仕組みになるようです。

 こちらは、一企業であれば到底負担できないものを大きな組織であれば負担がで
きるということなのでしょうか。しかし、電気代や税金により、結局、個人が負担
をすることにもなるようです。

 組織は、大きくなるほど、「許されることが増え、責任は軽くなる」という本質
を感じました。


2011.05.25(水)【東京電力の会社規模】(金子登志雄)

 昨日の本欄ではありませんが、東日本限定の地震・津波被害だけでなく、全国規
模の原発・計画停電被害まで含めると、確かに「ますますご清栄」の人などおりま
せんね。

 毎日、放射能に汚染され続けている日本人は、放射能被害の人体実験のモルモッ
トのようなものであり、放射能を吸って鉄腕アトムやウランちゃんになれるわけで
はありません。

 にもかかわらず、テレビを見ると、相変わらず御用学者が「人体に影響しない」
とか、「津波がなければ問題なかった。原発は安全だ」などと、われわれの無知を
非難するような高飛車の言動をしており、驚くばかりです。

 「〇〇がなければ安全だ」という仮定の議論が許されるなら、安全でないものは
この世に存在しないでしょう。

 さて、話題の東京電力とはどの程度の規模の会社なのかと思い、ヤフーファイナ
ンスとEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関す
る電子開示システム)で調べてみました。

 テリトリーが関東地区中心なのに、従業員(連結)数は5万3000人程度でし
た。これは全国をテリトリーとする新日鉄の連結従業員数5万9000人に近い数
字ですから、相当な数です。もっともパナソニックや日立製作所は36、7万人、
トヨタ自動車の従業員は32万人でしたから、産業構造の変化により、上には上が
あるものです。

 何といっても東電がすごいのは株主の数です。ほぼトヨタ並みの60万人強でし
た(パナソニックや日立でも40万人未満です)。東電の株主は年金生活者が「銀
行預金よりは配当がよい」などという理由で退職金をつぎ込んで所有した傾向が強
いため、今回の事故で株価が4分の1以下に下がってしまいましたから、いまどん
なご心境でしょうか。それこそ想定外だったことでしょうが、こればかりは自己責
任です。

(株価チャート)
   http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=9501.T

 JALといい、東電といい、親方日の丸のマンモス企業は、意外にリスク管理に
弱いものですね。国がバックにいると気が緩むのでしょうか。その代わり、情報隠
し、資金力に任せての情報操作などは得意技のようですから、今後もしっかりと注
視しておきましょう。


2011.05.24(火)【東日本大震災と株主総会招集通知】(富田太郎)

 6月は定時株主総会の季節です。

 いつもは、参考書類については、念入りに作成しますが、招集通知の頭書きの
文言(あいさつ文)は、毎年、同じものを使用しています。

 通常は、次のような文言ではないでしょうか?

 『拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。
  さて、当社第●回定時株主総会を下記により開催致しますので〜』

 しかし、辞典などを調べてみると、
 この、『拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。』
とは、『ますますご繁栄されているとのことで、喜ばしいかぎりです』
との意味のようで、

 『東日本大震災で、被害者を受けた方のことを考えると、配慮に欠けている? 
相応しくないでは? 文言を変えるべきでは?』

との質問を総会担当者から受けます。

 そこで、今のところ(大企業等、株主が多い会社)、

【パターン1】
 拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 このたびの東日本大震災の被災者の方々には心よりお見舞い申しあげ、被災地
の1日も早い復興をお祈り申しあげます。
 さて、当社第●回定時株主総会を〜

【パターン2】
 拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、当社第●回定時株主総会を〜

のような文言を使う会社が多いようです。

 長年、司法書士業務を行なっていると、「法律的に正しければよい。」と考え
てしまいますが、被災者の方々のことを考えると、もう少し文言に気を使わなけ
ればと反省する次第です。

 たかが、『あいさつ文』、されど、『あいさつ文』ですね・・・。


2011.05.23(月)【イマジネーション能力】(金子登志雄)

 20日付本欄では読者の方の感想文をご紹介いたしましたが、そのご指摘のとお
り、イマジネーション(想像)能力の欠如した頭のよい方が多過ぎます。学校で学
んだ知識は十分にあるのでしょうが、深みがなく、現実への対応力といった意味の
「知恵」あるいは「経験」が決定的に不足しているようです。

 最近設立されたある上場会社の子会社(資本金1000万円)の定款をみました
ら、監査役の権限が会計に限定されておらず、公告方法は電子公告になっていまし
た。小規模閉鎖会社の実情に詳しい司法書士であれば、監査役の権限は会計に限定
し、公告方法は最も公告代の安価な官報にしていたでしょう。必要により、取締役
会や監査役も非設置にしたかもしれません。

 なぜこんな中堅公開会社並みの定款にしたのかと聞いてみましたら、証券会社が
紹介した弁護士に定款を作ってもらったということでした。

 数千万円程度の資本金の新興ベンチャー企業がVC(ベンチャーキャピタル)に
種類株式を発行するとき、VC紹介の弁護士が定款変更案を作成することが少なく
ありません。

 そのとき彼らが何をするかというと、マニュアルに従い、一流上場会社並の標準
的な定款を左に置き、対象会社の定款と比較し、ここが漏れているからこれを追加
せよなどと指導してくるのです。

 種類株式の内容だけで1頁以上のものにしてきますし、今後数年は赤字が続くで
あろう小規模閉鎖会社なのに、中間配当の規定から何から何まで定めてくるのです。

 「人を見て法を説け」という諺もあるのに、まるで立ち食いそば屋の店舗の改装
に、一流フランス料理店の設備を要求するような愚かさです。今後、会社の成長に
合わせて、必要の都度、定款を変更して行けばよいという発想もないのでしょうか。

 一般論ですが、弁護士さんは喧嘩の助っ人が商売ですから、会社組織の実情には
疎いのに、依頼した証券会社やVC自身がそのような想像力の欠けた定款をありが
たく受け取り、顧客に対して「あの事務所は超一流ですよ」などと自慢しているよ
うですから、証券会社やVC自身の見極め能力にも大いに問題があります。

 あ、やばい。証券会社やVCは私の重要な顧客候補です。ヨイショしておかない
と、仕事が減ってしまう………。


2011.05.20(金)【新株予約権は無法地帯その5】(金子登志雄)

 取締役に対する株式報酬型ストックオプション(新株予約権)の話に戻しますが、
これは一般に金銭報酬債権と相殺したものだから、無償付与ではないと説明されて
います。

 江頭本3版420頁から421頁でも、要旨、次のように説明されています。
--------------------------------------------------------------------------
 「取締役の職務執行の対価として新株予約権が付与される場合には、『ストック
・オプション等に関する会計基準』によると、会社は、当該新株予約権の付与日現
在における公正な評価額を、対象勤務期間の費用として計上しなければならない。
この会計処理は、たとえば公正な評価額が100万円の新株予約権を職務執行の対
価として取締役に付与する場合であれば、いったん同人に対し現金で100万円の
報酬を支払い、その現金を払い込ませて当該新株予約権の割当てをしたに等しい」
--------------------------------------------------------------------------

 しかし、この説明では、誤解をまねきます。いったん現金で100万円の報酬を
支払うのなら、これは現金報酬そのものであって、新株予約権の現物給付報酬とは
いえないからです。

 にもかかわらず、このような表現で新株予約権の発行を開示している上場会社は
多数にのぼり、ご丁寧にも支払期日まで定めているのです(会社法238条1項5
号)。ほとんどが「割当日=支払期日」としています。

 そうすると、商業登記法65条により、この支払い(あるいは相殺)を証明しな
いと登記申請できないはずですが(富田センセが過去、さんざん悩んだ部分です)、
現実には、証明が省略されているようです。

 現金での支払いは比喩だとしても、以上の考え方は、100万円分を前払いして
新株予約権を付与したことになりますが、上記の会計基準では、対象勤務期間(例
えば、1年後に任期満了退任だと1年間)の費用として按分するのであり、1年後
に初めて、新株予約権の全額が支払われたと考えます。

 つまり、いま100万円の新株予約権を付与するが、今後1年間の職務(労務)
で払ってねというのが会計基準の根拠であり、半年後に決算となれば、この場合の
新株予約権の帳簿価額は50万円になります。

 この後払い説なら、支払期日は行使期間の初日の前日(会社法246条1項)の
はずですが、どういうわけか、上記のように割当日を支払期日に定める例が非常に
多いし、行使期間も割当日の翌日に設定する例が実に多いのです。

 会計基準(及び会計処理)の後払い説と現実の法務実務(前払い説)は、このよ
うに大きく異なっていますが、その原因は、おそらく、実務は、「過去」の頑張り
に対する「褒賞あるいは慰労金」として付与しているのに対し、会計は、ストック
オプションの理念どおり、「今後」の頑張りのインセンティブ「報酬」として捉え
ているからでしょう。

 その他、まだまだ、おかしいところは多々ありますが、富田センセも褒めてくれ
なくなったので、このへんで打ち止めにしておきましょう。

 昨日、消滅寸前のトキの私に同情したのか、富田センセの代わりに、本欄読者の
企業法務部の方が感想文を寄せてくださいました。
--------------------------------------------------------------------------
 新株予約権の定めも、物事を定めるのに、どれだけイマジネーションを駆使して、
どれだけ具体的に考えているのか・いないのかの良い例だと思いました。
 学歴のある、賢い人たちの作文ですら、こうなのですから、世の中が摩訶不思議
なのは、当然なのでしょう。
-------------------------------------------------------------------------

 全くそのとおりですね。着地点を考えずにマニュアルどおりに動く偉い先生が多
過ぎます。ゴルフでいえば、グリーンやホールの位置、風向きも考えずに、打って
いるようなもので、ラフに飛び込むことは目にみえているのですが、それさえも意
識せず、「私のスイングは美しいでしょう」と自慢してくるのです。

 そういう人が多いと、われわれは実に仕事がやりやすいので、もっともっと美し
いスイングを自慢してもらいたいものです。


2011.05.19(木)【新株予約権は無法地帯その4】(金子登志雄)

 調子に乗って、第4弾です。 

 下記のような定めで、1株を3株に分割してください。
--------------------------------------------------------------------------
 新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下、「付与株式数」という)
は10株とする。なお、当社が株式分割又は株式併合を行う場合、次の算式によ
り付与株式数を調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。

  調整後付与株式数=調整前付与株式数×株式分割・株式併合の比率

 各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は、当該各新株予約権を行
使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの払込金額(以下、
「行使価額」という)に付与株式数を乗じたものとする。
 1株当たりの行使価額は100円とする。ただし、当社が株式分割又は併合を
行う場合は、次の算式により行使価額を調整し、調整の結果生じる1円未満の端
数は切り上げるものとする。
                      1
 調整後行使価額=調整前行使価額×――――――――――
                  株式分割・併合の比率
--------------------------------------------------------------------------

 当初は、1個10株で1000円(行使価額100円×10株)でした。

 これを1株を3株に分割すると、1個30株はよいとして、
                      1
 調整後行使価額=調整前行使価額100円×――=34円(端数切り上げ)
                      3
より、1個30株1020円(行使価額34円×30株)になります。

 あれれですね。1個1000円のはずが、1個1020円に値上げされてし
まいました。

 上記で当初の定めが「1個1株、行使価額1株当たり1000円」だったと
して、1株を1.2株に分割すると、切り捨ての結果として1個1株のままと
なり、行使価額は1000÷1.2=834円になります。

 今度は、1個1000円のはずが、1個834円になりました。

 1個当たりの払込金額は変わってはいけないのが原則なのに、上記のとおり
です。

 この理由は、新株予約権は本来「個数」を基準に考えなければならないもの
なのに、「株数」を基準に立案しているからです。行使価額ですら、新株予約
権1個の行使価額ではなく、1株単位の行使価額にしています。

 実は、これがわが国の実例の多数派です。株数基準であった新株引受権時代
からの影響ですが、いまだに、改まる気配がありません。


2011.05.18(水)【新株予約権は無法地帯その3】(金子登志雄)

 またもや、富田センセに昨日の内容を「面白い」と褒めていただきましたので、
調子に乗って、第3弾です。

 新株予約権1個につき何株とするかは、上場会社のほとんどが最低取引単位にし
ています。1単元1000株の会社は、新株予約権1個につき1000株とするわ
けですが、単元制度を採用していない新興企業の場合は、1個につき1株とし、次
のように定めるのが普通です。

--------------------------------------------------------------------------
 新株予約権1個当たりの目的である株式の数(以下、「付与株式数」という)は
1株とする。なお、当社が株式分割又は株式併合を行う場合、次の算式により付与
株式数を調整し、調整の結果生じる1株未満の端数は、これを切り捨てる。

   調整後付与株式数=調整前付与株式数×株式分割・株式併合の比率
--------------------------------------------------------------------------

 よーく考えてください。この定めは、おかしくありませんか。司法書士の方は、
以下を読まずに、最低3分間考えてください。

 分かりましたでしょうか。この会社は2株を1株に株式併合すると、1個0.5
株となり、1株未満なので切り捨てられ、1個0株になってしまうのです。新株予
約権は目的の達成が不可能となり、抹消登記の運命に陥るのです。

 従って、現実には株式併合を決議することをしないと思いますが、こういう小学
生並みの算数能力もない内容を堂々と記載している現状が多数あるのです。

 では、株式分割なら意味があるのかというと、意味があると思った司法書士の方
は、再度、3分間、お考えください。

 意味があると思った方は、株式分割を1株を2株や3株にすることだと思ってい
るからでしょう。そうではなく、上場会社の現状の株式分割の多数は、1割無償と
か2割無償といって、1株を1.1株や1.2株にすることです。

 とすると、新株予約権1個1.1株や1.2株となり、端数を切り捨てる結果、
1個1株に戻ってしまいます。これでは調整式を定めた意味もなく、やはり立案者
の算数能力に疑問符がついてしまいます。

 会社法236条1項9号には、「新株予約権者に交付する株式の数に1株に満た
ない端数がある場合において、これを切り捨てるものとするときは、その旨」を定
められるとありますが、これは、新株予約権1個ごとに切り捨てろという意味では
ありません(そのように定めることは可能ですが)。

 会社法の趣旨は、例えば、1個0.5株(これでも有効です)のときに、3個や
5個を行使すると、1.5株や2.5株となるため、この端数の0.5株に対して、
本来であれば、金銭を交付すべきところ(283条)、この端数を切り捨てて、金
銭を交付しないこともできるよという意味です。
 
 というわけで、小学生並みの算数ができる人は、無法地帯では少数派に属し、佐
渡のトキのように絶滅の危機に瀕している現状です。

 どうぞ、この世界のトキである私ほか算数のできる希少価値の司法書士に、大量
のえさ(仕事)を与えて、手厚く保護してください。


2011.05.17(火)【新株予約権は無法地帯その2】(金子登志雄)

 無法地帯の話は昨日だけのつもりでしたが、富田氏から「面白いから、もっとや
れ」と、けしかけられましたので、第2弾です。

 新株予約権1個につき何株という新株予約権の目的たる株式数の調整で、行使す
ると取得できる普通株式に株式分割や株式併合があったら、次の算式で付与株式数
を調整すると定めるのが一般です。

 「調整後付与株式数=調整前付与株式数×株式分割・株式併合の比率」

 例えば、「新株予約権1個につき100株」と定めたのに、後日、1株を2株に
する株式分割があったら、「1個につき200株」、2株を1株にする株式併合が
あったら、「1個につき50株」に調整しないと不合理です。株式分割に準じて、
株式の無償割当てがあった場合も同様でしょう。

 ここまではよいのですが、多くの事例に「当社が合併、会社分割又は株式交換を
行う場合及びその他これらの場合に準じて付与株式数の調整を必要とする場合は、
当社は、取締役会において必要と認める付与株式数の調整を行うことができる」と
記載されているのです。

 この文章から、どんな場合が想定できるでしょうか。

 会社法によれば、会社分割とは「権利義務を承継させる」ことであって分割会社
の行為です。株式交換も「発行済株式の全部を取得させる」ことであって、株式交
換完全子会社の行為です。しかし、それらは、相手のある行為ですから自社で勝手
に新株予約権を調整することはできません。したがって、上記の文章は、合併存続
会社、吸収分割承継会社、株式交換完全親会社の行為に限定されます。

 おそらく、時価よりも安く株式を発行した場合と同様に、合併等で不平等な契約
をし、株式が稀釈化した場合には、新株予約権者を保護するため、目的たる株式数
を調整するというものでしょう。

 しかし、株式の稀釈化を回避できなかったのに、新株予約権だったら、できるの
でしょうか。逆にいえば、当社に有利な合併比率のときは、新株予約権だけ株式数
を減らしてもよいのでしょうか。

 会社法も、株式数の「算定方法」を定められるとは規定していますが、「合併等
をするときは、取締役会が新株予約権の目的たる株式数を調整する」なんて内容が
算定方式といえるでしょうか。

 では、なぜ、こんな無意味で愚かで無用な定めを置くのでしょうか。

 答えは簡単です。会社法以前の古い新株引受権の時代からの決まり文句であり、
「右に倣え」の心理です。著名大企業と同じことを書いておけば安全だ、いや、も
っといえば、他の会社と同じことしないと不安だ、という心理です。

 腹が立つのは、会社のほうは詳しくないため、そういう無意味な文章を挿入しな
いことに何の感想もないのに、外部コンサルタントや弁護士・司法書士・会計士が
意味も分からず、「他社例と同様に、入れておいたほうがよいですよ」とアドバイ
スすることです。ひどいプロになると「漏れてますよ」とまでアドバイスします。

 正しい指摘をする人は、いつも少数派で、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
という無法地帯なんですね。
 

2011.05.16(月)【会社法の無法地帯】(金子登志雄)

 先週は、株式報酬型ストックオプションの相談を受け、調べるのが楽しくてなり
ませんでした。会社法案件に限定ですが、難しい案件の相談を受けると、うれしく
なります。

 株式報酬型というのは、一般に、取締役報酬を現金で与えたことにし、それと新
株予約権の払込金額とを相殺させるものですが、主として退職金制度を廃止した見
返りに付与するものです。

 その関係で取締役の報酬決議として株主総会に付議する必要が生じますが、最近
は持株会社が多くなり、取締役報酬といっても、子会社の取締役が対象に加わった
りするため、やや混乱中です。

 中には、子会社の取締役を対象とするときは、これを通常型ストックオプション
と名付けている会社もあり、決議に関しても、わざわざ有利発行の決議をするとこ
ろもあり、まちまちでした。

 報酬と相殺する場合に、例えば、1個の公正価値が1万円としたとき、登記内容
の「募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨」
に、どう記載するのかというと、多くが1万円(あるいは、それを導く算定方式)
を登記していましたが、子会社の取締役に付与する場合には「無償」あるいは「払
込みを要しない」と登記する例もありました。

 報酬と相殺することは「払込みを要しない」ことと同義かを調べましたところ、
会社法238条には「金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨」とあ
りますから、確かに「金銭」の「払込みを要しない」に該当しそうです。

 しかし、246条をみますと、会社の承諾があれば、金銭の払込みに代えて現物
給付も可能だとあり、どうも報酬債権との相殺は「金銭の払込みを要する」場合の
1つのようです。したがって、「払込みを要しない」とは、旧商法でいう「無償」
のことでした。

 では、債権者に金利を負けてもらう代わりに新株予約権を交付するような場合は、
これを「無償」といってよいのかという問題もありますし、有償だとしても金利減
免と相殺できるといえるのかという問題が生じそうです。

 ある方が新株予約権は無法地帯で何が何だか分からないとおっしゃっていました
が、そのとおりですね。もっとも、私は、そういう無法地帯であれば、乗り込むの
が大好きです。まだ、野次馬であって、法を適用できる保安官にはなりきれていま
せんが………。


2011.05.13(金)【無対価と準備金】(金子登志雄)

 連休前ですが、「無対価株式交換と会計処理」に関する論考を中央経済の「ビジ
ネス法務」(6月発売号)に掲載するため、書いてみました。本欄4月19日付の
内容をベースにした4頁ものです。

 その事例で、会計士さんの中には、無対価の株式交換といっても新株の発行を省
略しただけだから資本準備金になるという方もいらっしゃいましたが、これは無理
でしょう。株式交換の対価が「新株」とは限りませんし、1株も株式対価を交付せ
ずして、資本金や資本準備金が計上されることを会社法は想定していないからです
(いわゆる資本組入れの場合は別問題)。

 株式交換に関する会社法768条1項2号イでも「当該金銭等(注:対価のこと)
が株式交換完全親株式会社の株式であるときは、………当該株式交換完全親株式会
社の資本金及び準備金の額に関する事項」とあり、対価が株式のときに限り、資本
金と準備金への計上額を株式交換契約書に記載することになっています。

 逆にいえば、資本金や準備金が変化するのは、株式が交付されたときに限るとい
う意味が込められています。

 面白いことに、このように、会社法は「資本金及び準備金の額に関する事項」と
規定しており、「資本金及び資本準備金の額に関する事項」とはしていません。

 これは立法ミスでしょうか。いや、きっと、資本金等の株主資本の内訳まで引き
継ぎ、その結果として利益準備金を引き継ぐ会計処理も吸収合併や吸収分割にあり
ますから(計算規則36条、38条)、それを意識し、あえて「資本準備金」とし
なかったのではないでしょうか。

 この結果、会社法条文に忠実に、合併契約書や株式交換契約書に「増加する資本
金の額/000万円」「増加する資本準備金の額/0円」だけでなく、「増加する
利益準備金の額/0円」と記載する例も少なくありません。

 会社法からすれば、記載するのが本来の形でしょうが、資本金等の株主資本の内
訳まで引き継ぐ会計処理とは無縁な株式交換においては、利益準備金が増減するこ
とはあり得ないのに、やはり記載しなければならないのかという疑問が生じてしま
うところです。


2011.05.12(木)【資本金0円会社の設立】(金子登志雄)

 現金による会社の設立のときに限り、なぜ、資本金の計上に関する証明書が登記
に不要なのかという質問がありました。
 なぜだと思いますか。

 次の3つの理由です。
1.設立だから自己株式の処分ということがあり得ません。
2.現金出資で現物出資ではないため、簿価マイナスの出資もあり得ません。
3.設立費用の控除も計算規則の附則11条で禁じられているからです。

 したがって、現金100万円の出資であれば、このうち半額の50万円以上が資
本金に計上されることになると自動的に計算できるのです。

 話変わって、費用控除が認められないため、組織再編の設立ではない純粋の設立
では資本金0円会社の設立は無理だといわれていますが、これはウソです。純粋の
設立でも現物出資であれば、資本金0円会社が作れます。

 たとえば、「資産30、負債100」の事業を現物出資して子会社を設立する際
には、簿価で計算しますから、子会社の資産と負債も「資産30、負債100」と
なります。差額の純資産額は△70ですが、これを株主資本にどう計上するかとい
うと、「資本金0円、その他利益剰余金△70」にします。すなわち、資本金0円
会社が設立されます。

 新設分割での資本金0円会社の設立は経験済みですが、現物出資では、まだ経験
がありません。たぶん、マイナスを出資して会社が設立できると思っている方がほ
とんどいないからでしょう。

 挑戦したい方はぜひ金子事務所にどうぞ。


2011.05.11(水)【定款と権威】(金子登志雄)

 定款というのは、ご承知のとおり会社の「憲法」であります。

 しかし、これは株主多数の正真正銘の会社の話であって、株主1人や同族の数人
といった圧倒的多数の個人企業と大差のない中小企業では、定款をみせてください
といっても、「え? どこにいったかなぁ」といった程度のものに過ぎません。

 必要があれば、すぐに株主全員が集まって定款を全面変更できるのですから、そ
の感覚も実態にあっており、決して非難すべきことではありません。

 定款の価値あるいは重さに関するこのあたりの知識は、現場に詳しい法務局や司
法書士の世界では、常識といっても過言ではありません。口では建前どおりに話し
ますけど、実態が違うことは重々承知の上です。

 ところが、設立定款を認証する公証人役場では、裁判官や検察官出身の公証人が
多く、学校で学んだとおりに定款を憲法と同視し、株主が1名であろうと、内容は
もとより、内容以外でも相当に厳しい対応をしてきます。

 数年前も東北の某県で私が電子認証した定款を代理人に取りに行かせようと思い
ましたら、代理人宛ての委任状に私の個人の実印を押して印鑑証明書と司法書士の
会員証の写しをつけよとまでいわれました。今般、関西でも同じでした。代理人が
司法書士でも、この厳しい対応です。

 代理といっても契約など法律行為の代理ではなく、単なる書類の受領行為に過ぎ
ません。クロネコ・ヤマトやサガワの配達・回収と同じようなことを依頼しただけ
です。

 いったい誰が公証人手数料の5万円まで払って、他人には全く価値のない認証済
みの定款を盗もうとするのでしょうか。もう少し、手続を緩和してくれてもよさそ
うなものですが、それをすると、きっと公証人の権威が保てないのでしょう。

 司法書士の皆さん、われわれも、もっと権威を高めましょう。今後は、登記が終
わって依頼企業の社員が取りに来るときには、委任状には実印を押して印鑑証明書
と社員証の写しをつけよと厳しく要求しましょう。ただし、2度と仕事が来なくな
っても責任は負えません。


2011.05.10(火)【生モノと干物】(金子登志雄)

 昨日の本欄に続いて、私も「先生」ネタにしましょう。ちなみに、私は、学生時
代からアルバイトで家庭教師や学習塾の講師をすることが多かったので、先生と呼
ばれることに特別な感覚はありません。

 さて、日刊ゲンダイの連休特集号に、辛口評論家で有名な佐高信さんが大震災の
復興構想会議(五百旗頭=イオキベ=議長)を皮肉ったのか、「現場は『生モノ』
で現場を知らない学者は干物だ。震災は『生モノ中の生モノ』なのに干物をトップ
に充ててどうするのか」といった疑問又は感想を語っていました。

 面白い譬(たと)えだなと感心すると同時に、私も同様に思いました。経営学の
学者が実際に会社の経営をできないのと同様に、大震災の後始末や復興については
「人を動かす」能力に長けた知事経験者とか、ゼネコン経営者のほうが圧倒的に有
能だと思うのですが、どうも菅政権は有識者の「先生」を集めた会議がお好きなよ
うです。これでは、現場を知らない社外監査役に会社再建策の立案を頼むようなも
ので、その効果には疑問を持ってしまいますが、もう20個以上も何とか会議を作
ったようですね。

 われわれ実務家が扱う仕事は常に「生モノ」です。生肉など正真正銘の生モノで
あれば、いま問題になっているように、人の生死に係る食中毒までを起こしてしま
います。それほど現場には現場の厳しい掟があり、安全地帯から学者の先生やジャ
ーナリストなどの有識者に、とやかく評論されても意味がありません。

 私の専門の組織再編手続も「生モノ」ですから、株式交換が吸収分割に、吸収分
割が事業譲渡に変化したり、合併でも無対価のはずが株式の発行に切り替わったり
と変化することも多々あり、その都度、即断即決で善後策を講じなければならず、
賞味期限の長い干物のようなわけにはいきません。

 やはり、「生モノ」を扱うには、その道の通に任せるべきでしょう。司法書士で
ある私ですら、不動産登記は不動産専門の司法書士の「先生」にご依頼するくらい
ですから。


2011.05.09(月)【先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし???】(富田太郎)

 私のような、サラリーマンから司法書士になった人間にとって、一番、奇異に
感じるのは、お客さんから「先生」と呼ばれるときです。

 お金をもらっているのに、なぜ「センセ」????

 ちなみに、先生の言葉の意味を調べてみると(現代新国語辞典 学研)、 

★言葉の意味★ 
【先生 せんせい】
@自分が師事する学問・芸術・芸能の指導者。師匠。
A教師・医師・代議士などの職業についている人に対する敬称。
Bからかい、親しみの気持ちをこめて人をさす言葉。

だそうです。
 もっとも、つきあいが長くなり、お互い気心が知れてくると、「富田さん」と
呼ばれるようになってきますが♪

 ところで、今は昔。
 サラリーマン時代、多くの司法書士、弁護士等のセンセ稼業の方々と付き合っ
ていました。
 
 思えば、面前では「先生!」と呼んでいましたが、これは、心より尊敬してい
たのではなく、名前をいちいち覚えるのが面倒で、「先生」と呼んでいれば、ま
ずは無難ということからでした(当時の方々、すいません)。

 また、仕事を依頼していた司法書士さんは、年配で、不動産登記は得意だけど、
会社法(当時は商法)が全く駄目な方で(注)、その方の前では、センセと呼ん
でいたものの陰では、部下に「早く、アレに電話して、登記、いつ完了するか聞
いとけ!」などといっていたものです・・・・・(反省)。

 その後、自分もアレ(司法書士)になってしまうのに・・・・。

 あっ!!!

 もしかして、私も陰では「アレ」といわれているかも・・・・(汗)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 因果応報ですね・・・・・(反省)。

(注)多くの司法書士は不動産登記がメインで、会社法などを得意とするのは、
K先生(※この「せんせい」という言葉は、上記★言葉の意味★@の意味で使
っています。誤解なきように!)など、限られた方々なのだということは、司
法書士になってはじめて分かりました。

 よって、当時の司法書士さんが会社法(商法)苦手だったのは、今なら分か
ります。また、弁護士さんも、分野がかなり広いため、得意・不得意分野があ
るということも、実務を経験してはじめて分かりました。


2011.05.06(金)【司法書士バッヂ(五三の桐)】(富田太郎)

 先日、我がESGの内部で、司法書士バッチが話題になっていました。実はこの
司法書士のバッヂ、「五三の桐」をあしらった非常に高貴なものです。


 ところで、「桐紋」には、いわゆる「五三の桐」「五七の桐」などありますが、
「五七の桐」は、元々、天皇家が(嵯峨天皇AD786〜842の時代から)「菊
紋」と併用して使っていました。

 ただし、「五七の桐」は、天皇家から、その時の権力者(足利尊氏・織田信長・
羽柴秀吉、等々)に下賜されることが多く、そのため『政権担当者の紋章』という
認識がついたようです。
 現代では、首相官邸も「五七の桐」のマークを使用しています。

 これに対して、「五三の桐」はどちらかと言うと、桐の紋章に憧れた庶民に多く
使われていたようです。

 そこで疑問なのが、何ゆえ「司法書士」が「五三の桐」のマークを使っているの
か?

 文献等を調べましたが、由来ははっきりしませんでした。ただ、推測ですが、
「法務省」も「五三の桐」をマークにしており、その関連から、法務省管轄の国家
資格である司法書士も使用しているのではないでしょうか………。


【閑話休題(5年前のある客先での出来事)】

 お客「とみたセンセ?? その背広につけているバッヂ? 何ですか?」
 私 「ニヤリ♪ これは司法書士バッヂで、『五三の桐』というもので、
    ▲■〜♪」
 お客  「へ???? それが桐??枠しかないですよ???」

 よく見ると、バッヂの中の『五三の桐』は、どこかにいったのでしょうか?
見事に剥がれ落ち、「枠だけのバッヂ」になっていました………(恥)。

 以来、私のバッヂは、ずっと机の中にあります。

 「桐」のウンチクを、ぐだぐだ〜偉そうに語ってないで、早く修理しろよぉ!
………ですね………(反省)。


 ※補足
 東京司法書士会会則
 「司法書士会員は、業務を行うときは、会員証を携行し、かつ、司法書士徽章を
着用しなければならない。」

 はやく修理しないといけませんね………(汗)。


2011.05.02(月)【復興税】(金子登志雄)

 原子力安全委員会の委員長は「斑目」さんで、東日本大震災の復興策を検討する
政府の復興構想会議の議長は「五百旗頭」さん。

 マダラメ、イオキベと読むようですが、珍しい姓でないと、偉くなれないのでし
ょうか。ありふれた姓の佐藤や鈴木はすぐに逮捕されてしまいますし(佐藤栄佐久、
佐藤優、鈴木宗男………)、小沢姓の方は閉門蟄居、堀江姓の方は、とうとう収監
されることに………、ありふれた姓の私としては、少々ひがみたくもなります。

 もっとも、珍しい姓はすぐに覚えられてしまいますから、行動の自由がなく気の
毒(?)です。田舎の教師の息子であった私も、「先生の家の子供」という世間の
評価から、小中学生の頃はいたずらもできませんでした。

 さて、このイオキベさん、防衛大学の学長で景気や財政の専門家でもないのに、
いきなり復興税を提唱し、かねてより消費税アップを目論む菅政権を喜ばせている
ようですが(以心伝心でしょうけど)、皆様は復興税についてどう思われますか。

 報道によると、善良な国民の過半数が復興のためには仕方ない、賛成だと考えて
いるようですが、本当にそうなのでしょうか。菅政権のお友達の大手マスコミによ
る宣伝や「頑張ろう日本」の風潮に影響されているところはないでしょうか。私に
は、原発災害は国民全体の連帯責任だといわれているようで、いやな気分です。

 国民の過半数が賛成だとしても、それは消費者(私人)としての意識であり、冷
静に景気対策その他国全体のプラスマイナスを意識した上での意見とは思えません。

 橋本内閣で消費税を上げたときも、消費が冷え込み、税収の増大につながらなか
ったようですし、タバコ税についても、同様な結果がでているようです。これは、
当然のことで、企業において商品を値上げしたら、売上が上がるとは限らない理屈
と同じです。司法書士も値上げすれば、顧客が去って行くものです。

 いま景気が冷え込んだら、長期化は避けられません。地震や津波の災害は、外科
手術で早期に回復しても、内科の災害である原発、それによる計画停電は、想像以
上に深刻な事態です。日本は底力があるから、すぐに景気回復するといった希望的
観測は今回は無理です。東西冷戦で朝鮮戦争特需やベトナム戦争特需があり、米国
が西側の弱小国家の日本を支援していた時代とは違うのです。

 財政赤字がいわれて久しいですが、総資産の割には負債の大きさはそれほどでは
ないとも聞きますし、ギリシャと違い債権者は外国ではなく国民です。企業でいえ
ば、株主から借金しているようなものですから、深刻度はレベル7ほどには至って
いないともいわれています。

 それ以上に、消費税アップの負の作用で行政改革や公務員の給与改革がおろそか
になるおそれはないのでしょうか。広い意味の国庫(特別会計)には、積立金の性
格を持つ埋蔵金もあるようです(原発関係で3兆円とか)。なぜ、それらを使わな
いのかという指摘もなされています。

 社会全体の富(景気)を回復させて税収を上げることこそ景気回復の王道であり、
安易に消費税を上げるなと主張している有力な政治家が与野党に多数存在しますか
ら、それほどいうなら、その方々に国家経営を委ねればよいと思うのですが、なぜ
そうしないのか、私には不思議でなりません。


2011.04.28(木)【必見:孫正義の覚悟】(金子登志雄)

 ソフトバンクの孫社長が個人の立場で、大震災の被災者に対して100億円を寄
附したほか、脱原発を表明しはじめたことは、皆様ご存知のとおりですが、今度は
個人資金10億円で自然エネルギー財団設立だそうで、4月22日に自由報道協会
に招かれ、記者会見をしていました(大手メディアは無視か?)。

 さすがは経営者です。単に「原発反対」というだけでなく、ガイガーカウンター
をもって現地に乗り込み、たっぷり放射能を浴びてきていますし、経営者の立場で、
原発は採算に合わない、安い自然エネルギーを導入するには、国家的政策として、
どうあるべきかなどを実に分かりやすく理由付で説明していました。ご本人も、こ
こ1か月ほど真剣に勉強したようです。

 それだけでなく、ITの会社の社長が余計なことに口出しするな、金持ちの道楽
の寄附だ、などという心ないバッシングも毎日のように彼のツイッターに寄せられ
ているだけでなく、ご自身も情報革命の推進を生涯のテーマとしていたのに、ここ
で原発問題にのめり込むことの是非に相当お悩みのようでした。

 フリーの記者からも、国策あるいは既成権力に立ち向かうことで、孫さん自身が
潰されるのではないかという心配や、逆に孫さんへの過剰な期待が寄せられていま
した。

 しかし、知って何もしないのは罪だ、それでも正義を貫かねばならないときがあ
ると彼の不退転の覚悟が記者会見で語られていました。彼の一流会社の社長の立場
(守らなければならないものが多数ある立場)を思うと、悲壮な決意だと思います。

 私も彼が佐藤栄佐久前福島県知事などのようにならないかと不安でなりませんが、
彼は坂本龍馬が大好きな人ですから、きっと自分も志のために生きることを選択し
たのでしょう。

 記者会見は、1時間半以上もありますが、損得抜きの孫さんの覚悟は本物で、実
に感動ものでした。連休の期間に、ぜひ全部をご視聴ください。
 今週号の週刊ポストにも別の面からのインタビューが掲載されています。

  http://www.ustream.tv/recorded/14195781


2011.04.27(水)【震災に思うこと】(島根・根来川弘充)

 東日本大震災の経済的影響は、島根県でも確実に出始めております。資材・材料
が入ってこないので、仕事ができないと、個人経営の業者の方が嘆いておられると
いう話を身近に聞くようになりました。これから、ますます深刻化していくものと
思われます。

 震災当時の報道を目にする度に、実際に自分の身の上に起きた場合、どうしたら
良いのだろう と考えてしまいます。

 真っ先に不安になるのが飲料水と食料です。どこにも品物がない上に、連絡もと
れないのであれば、それらを求めて、スーパー、ディスカウントストア、コンビニ、
地元小売店・・・と、知りうる限りの場所を探さなければならないと思います。そ
う考えますと、「物がいろいろな所にある」ということは、災害が起きた時に大変
大事なことではないかと思います。

 現在、大量生産の時代が見直され、余分な在庫をできるだけ減らそうとすること
が善とされる時代です。しかし、今回のような災害を考えると余分な在庫があるこ
とは、それなりに意味のあることだと思います。

 今日、経済だけでなく、政治においても、事業仕分け等、無駄を削減することが
奨励されています。それ自体は歓迎なのですが、何が「無駄」なのかについては、
もう少し吟味されても良い気がします。


2011.04.26(火)【編集者能力】(金子登志雄)

 鈴木さん、『Q&A東日本大震災と登記実務』の編著、お疲れ様でした。こうい
う編集作業は、司法書士界広しといえども、鈴木さんなど1部の方しかできないこ
とですので、われわれは、つい傍観者になってしまいました。

 さて、鈴木さんとは、著作や講演活動で、よく一緒に行動するのですが(実は、
ほとんどが鈴木芸能プロダクションのお世話で、私がタレント活動しているだけで
す)、面白いもので、全くタイプで違います。

 私は、商業登記や会社法の論点につき「論ずる」ことしか関心がありませんが、
鈴木さんは、ジャンルの幅が広く、不動産登記でもなんでも、それらを分かりやす
く解説することが得意です。講演においても、私は「えーと」とか「あ、そうだ」
を乱発し、あちこち横道に外れて思いつくまましゃべりますが、鈴木さんは自分で
作成したシナリオどおりに語り続けます。

 こういうタイプの相違がありますから、一緒に書いた『法定公告の手引』(商事
法務)でも、総論部分は鈴木、各論は金子の役割になりますし、『商業・法人登記
300問』(テイハン)のように商業登記界の大御所の神ア先生が総論を担当する
ときは、種類株式や組織再編という論点豊富で面白い部分は私が担当し、設立とか
機関というたいくつな部分を鈴木さんが担当してくれています。

 要するに、鈴木さんはマネージャーや経営者タイプであり、私は職人タイプとい
うことです。職人タイプの私は、他人(ヒト)に書いてもらうくらいなら自分で書
いたほうが楽だと思ってしまうタイプですから、編集者にはなれませんし、人を育
てるのも面倒だと思ってしまいます。

 事務所も大きくすることができないタイプですから、開業して10年を超えるの
に、いまだに従業員もおりません。人並みに事務所を大きくしたいと思うこともあ
りますが、大事務所の経営者である鈴木さんのように、人の採用から、人事査定な
どの雑務をするのかと思うと、いまの気楽な生活が一番だと思い直してしまいます。

 還暦過ぎたら、ストレスのないのが一番ですね。還暦前なのに、気楽な1人事務
所で、酒とプロレスをこよなく愛し、土日も出勤し、頑張っている奇特な人もいま
すけど。きっと、原稿の締切りやストレスもこよなく愛しているのでしょう。こち
らのお方にも、お疲れ様です。


2011.04.25(月)【緊急出版『Q&A東日本大震災と登記実務』】(鈴木龍介)

 みなさん こんにちは
 会友の司法書士法人鈴木事務所の鈴木龍介です。
 本当にひさしぶりの登場です。

 このたび、商事法務から『Q&A東日本大震災と登記実務』という書籍を緊急
出版いたしました。

   http://www.shojihomu.co.jp/kinkan/1874.html

 震災から1か月経った今も、解決の糸口さえみつからない原発、繰り返される
余震、進まない被災者救援といった中で、とにかく司法書士として、プロフェッ
ションとして何かしなければいけないという思いで筆をとりました。

 私にしては、珍しく頑張りましたが、金子代表をはじめESG法務研究会の皆
様にも、いつも以上に、いろいろとお手伝いいただきました。感謝です。

 そろそろ書店にも並ぶようですので、手にとっていただけますと嬉しく思いま
す。

 本書の私の思いにつきまして、「はしがき」を要約して紹介させていただきま
す。
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 まさに目を覆うばかりの惨劇が刻々と伝えられる中、いまだに被害が増え続け
ている状況に、居ても立ってもいられないという思いに駆られた方は少なくない
と思います。私自身、連日流されるテレビのコマーシャルではありませんが、
「今、私にできること」を、あの震災の日から今も絶えず考え続けています。

 節電をすることや義援金を贈ることは、もちろん重要で必要なことであること
は間違いありません。一方で、この国家的危機に瀕して、国家から資格を与えら
れた資格者としてできること、やるべきことがあるのではないかとも考えました。

 そのような時に、この震災からの復旧、復興のために役立つ書籍を緊急で刊行
するという企画をいただきました。
 当初は、時間的にも能力的にも困難であると固辞しましたが、プロフェッショ
ンとしての使命感から浅学非才の身でありながら筆をとることにいたしました。

 しかしながら、1週間で1冊の本を書き上げることは至難であることは明らか
です。

 そこで知己の司法書士、土地家屋調査士、公証人の方々に助力をお願いしたと
ころ、趣旨をご理解、ご賛同いただき、本書を完成させることができました。
このような厳しいスケジュールの中で、執筆、校閲にご尽力いただきました皆様
にはあらためて感謝申し上げます。

 本書が、被災者の方々、そしてそれを支援する皆様に少しでもお役に立てれば、
私としては望外の喜びです。

 本書の執筆や校閲に携わっていただいた皆様と相談いたしまして、本書につい
ての印税等については、義援金として贈呈することといたしました。

 最後になりますが、一人でも多くの被災者の皆様の救済と、一日も早い復興を
祈念いたします。
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2011.04.22(金)【吸収合併と商号変更】(金子登志雄)

 同一住所のAがBを4月1日に吸収合併しAが同時に商号をCに変更したとしま
す。この場合は、通常、次の順序で2つの(2社の)登記を申請します。

  @A社の登記申請
   平成23年4月1日、商号を「C」に変更
   平成23年4月1日、東京都・・・Bを合併
  AB社の登記申請
   平成23年4月1日、東京都・・・【C】に合併して解散

 ところが、松井信憲著『商業登記ハンドブック〔第2版〕』546頁には、B社
の登記申請が「【A】に合併して解散」となっているが、金子方式と松井方式のど
ちらが正しいのかという質問が商業登記倶楽部の実務相談室に寄せられました。

 松井本をみたら、確かにそうなっていました。この方法は20年近く前に実例で
知り、「なるほど、こういう方法もあるのか」と気づいていましたが、まさか松井
本に記載されているとは思いませんでした。

 その実例は、AがBに商号変更するものでした。私は、堂々と「BはBに合併し
て解散」という登記にしましたが(当時の私が開発した額面50円化の登記テクニ
ックの1つでした)、類似商号禁止の時代に、まさかそんなことができるとは思わ
なかった司法書士があえて「BはAに合併して解散」という申請をしたのだろうと
推測できました。

 周知のように、Aの合併とBの合併解散は同時申請です。ここにAの商号変更が
絡んできたとき、同時申請ですから「A商号変更→A合併→B解散」と考えても、
「A合併→B解散→A商号変更」と考えてもよいわけです。したがって、金子方式
も松井方式も両方とも成り立ち、どちらが正しいとはいえません。

 先般、吸収分割の事案で、某法務局で「@→A」の順序で申請したのなら申請ど
おりに、「【C】に分割」が正しいとのコメントをいただきましたが、これはその
担当者の個人的意見にすぎず、同時申請ですから、@がAに先行するとはいえませ
ん。松井方式も決して間違いではないのです。

 もっと前に松井本546頁を知っていれば、その担当者にみせて、「【A】に分
割」でも問題はないと説明できたのですが残念です。

 なお、後日、B社の解散謄本から合併会社を探すときに、松井方式だと商号変更
したA社を探しにくいという難点がありますので、依頼者から特段の要請がない限
り金子方式をお勧めします。


2011.04.21(木)【原発事故は防げた(佐藤栄佐久)】(金子登志雄)

 「想定外」がすっかり流行語になってしまいましたが、法律関係のわれわれから
は、この言葉は「過失(注意義務違反)があったのか」あるいは「過失があっても
防げなかったのか(不可抗力だったのか)」という意味になります。

 私自身は、地震と津波は想定外だといえても、それを起因とした事故については、
安易に想定外というべきではないと思っています。

 たとえば、原発の安全性についても、専門家10人が10人とも90%以上の安
全性を保証していたのであれば、想定外だといえるかもしれませんが、少なくとも
10人中の2人や3人は、かねてより安全性に問題があることを指摘していたので
はないでしょうか。原発差し止訴訟さえ提起されていることは、安全性に強い疑問
をもつ方や、それを応援する専門家も少なくないということです。

 「安全だ、いや危険だ」というのは、民主主義や多数決の問題ではないのに、原
発推進派と反推進派という党派的な色分けで、ことを論じることに強い疑問をもっ
ているのは私だけではないでしょう。

 原発推進という国策に逆らったために冤罪で逮捕されたといわれる佐藤栄佐久前
福島県知事も、自民党の政治家で原発に反対ではなかったのに、途中から福島原発
のずさんな動きに危険性を感じた方でした。

 佐藤氏は、いまや原発事故を想定していた「時の人(行政官)」として、あちこ
ちのテレビ番組で引っ張りだこになってもおかしくないのに、全く、日本の大手メ
ディアは取り上げません。わずかに、フリージャーナリストが取り上げた程度です。

 これに対して、海外メディア(外国特派員協会)は、講演にまで招聘しています。

  http://www.videonews.com/asx/press/110418_sato_300.asx

 都合のよい情報しか流さず世論を誘導しようとする日本の大手メディアは安易に
信用できないという私の主張も、日本では多数派でないことが日本の政治を悪くし
ている要因の1つだと思っていますが、独りよがりでしょうか。

 なお、佐藤氏の冤罪は、水谷建設からの賄賂問題でした。この会社、ご存知のと
おり小沢事件の4億円に登場する会社です。冤罪事件の有名な脇役キャストです。


2011.04.20(水)【一枚の絵】(富田太郎)

 3月20日付、ニューヨークタイムズ日曜版に掲載された漫画家「水木しげる」
の絵が話題を呼んでいます。

 ニューヨークタイムズから、「今回の地震と津波による大災害についての『水木
しげるさんの個人的な考察』を絵で描いてもらえないでしょうか?」というオファ
ーがあり、それで描いた絵だそうです。

http://presspopinc.blogspot.com/2011/03/new-york-times-op-ed-page-this-sunday.html

(今回の掲載を仲介した「PRESSPOP GALLERY」という版権マネージメントやプロデ
ュースを行う会社の3月20日付ブログ記事参照)

 『水に飲み込まれる断末魔の苦しみ』?あるいは『最後まで諦めず、希望を求め
る手』とみるのか?

 人により受け止め方は千差万別でしょうが、一部では、不謹慎という声もあるそ
うです。

 しかし、生死をさまよい&貧困生活が長かった「水木しげる」氏の過去を知る人
ならば分かると思いますが、私には、『生き抜く力』というメッセージが感じられ
ました。

 実は、氏のメッセージは、一見分かりやすいように見えて、趣旨が全く別の意味
であることが多いのです。

 有名な「のんびり、やりなさい! なまけものになりなさい!」
という名言があるのですが、

 当初、私はこの意味を
「あくせく働いてもしょうがないよぉ〜♪」
という意味ととらえていたのですが、その後、エッセイ集等を読むと、全く違う意
味であることに気がつきました。

 ----------------------------------------------------------------------
 水木氏曰く

 「水木さんは、才能もお金もあるから、怠けられるのです。怠けていても、食え
るような人間になりなさい。才能のない人は、働かないと餓死するだけですよ」

 「いいですか、人生はずっと苦しいのです。でも、苦しさを知っておくと、苦し
み慣れする。これは強いですよ。」

 ----------------------------------------------------------------------

 このような言動から推察すると、今回の絵、「苦しくても、生き抜く」というメ
ッセージに見えませんか???


2011.04.19(火)【無対価株式交換の会計処理】(金子登志雄)

 完全子会社同士(AB)で株式交換する場合に無対価処理が可能になったのかと
聞かれました。次の図でAがBの株式全部を取得しながら(株式全部を出資されな
がら)、AがBの株主である「親」に新株も何も交付しないケースの問題です。

                   親
     親             |
    / \     →      A
   A   B           |
                   B

根拠として、次が示されました。

 http://akahige-management.seesaa.net/article/136278044.html

 しかし、私は前々から、この処理をすることは時期尚早ではないかと応えていま
す。私の根拠は次です。

 第1に、吸収合併や会社分割は「事業(財産)承継型」の組織再編であるのに対
し、株式交換は会社の外に存在する株式という単品を承継する「株式承継型」の組
織再編という性格的差があります。
  
 そのため、会計処理も前者は事業の現物出資と同様に出資額の全額がAの資本勘
定になる処理と、法人と法人がそのまま結合したのと同様に資本金等の株主資本の
内訳までそのまま合算(会社分割では貸借対照表をそのまま分割)し、利益剰余金
の引継ぎを認める処理の2つがあります。すなわち、出資型と法人格結合型(BS
合算型)です。

 会社計算規則の条文でいえば、吸収合併には35条(出資型)と36条(BS合
算型)が、吸収分割には37条(出資型)と38条(BS分割型)があるのに対し、
株式交換には39条(出資型)しかありません。

 吸収合併や会社分割の無対価は、上記のBS合算・分離型の1範疇とされていま
す(36条2項、38条2項)。その結果、利益剰余金の引継ぎが可能ですが、株
式交換は出資型の構成ですから、無対価の規定もなく、利益剰余金の引継ぎもでき
ません。
 
 第2に、肯定説は会社計算規則39条2項ただし書を根拠にするようですが、同
条は第1項に「対価の全部又は一部が………株式である場合」とあり、無対価につ
いては適用されませんし、そもそも株主資本等変動額という用語は株式が交付され
た場合にしか使われません。

 第3に、もし出資型の株式交換で本件のようなケースに無対価を認めると、行き
付く先は、無対価増資を認めなければなりません。100%子会社が親会社から追
加出資を受ける際に株式を発行する意味もないからです(発行して株式併合すれば
元の株数に戻ります)。
 もし、株式交換によって受け入れる財産額の全部をその他資本剰余金にしたいの
であれば、株式交換で増加した資本金や資本準備金を同時に減資すれば済む話です。
無対価株式交換は、現行の会社法の体系からいえば、債権者保護手続の脱法行為に
なるおそれさえあります。

 第4に、税務の世界では無対価株式交換についての規定があるようですが、その
前提としての会計処理が認めているものかどうか不明です。

 ということで、株主資本等変動額の全額をその他資本剰余金に計上する無対価株
式交換は、会社計算規則及び会計基準の「想定外」であり、通達などで肯定されな
い限り、私は勧めることに躊躇しますが、会計士さんや税理士さんは、度胸がおあ
りのようです。法律関係の皆さまはどう対応なさいますか。


2011.04.18(月)【レベル7】(金子登志雄)

 先週の13日水曜日は、東京司法書士協同組合刊『ずばり解説!事例で読み解く
商業登記』出版の打ち上げ会でした。出席者は組合の役員の方々に著者である私と
神ア先生(商業登記倶楽部主宰者)でした。

 その席で、H先生が「地震はレベル7が上限でそれ以上はない」と発言しました
ら、一斉に「原発事故の深刻度と勘違いだよ。この間の地震は9だったじゃないか」
という反論がでました。私も同様に思いました。

 ところが、帰ってネットで確認すると、H先生の発言は間違いではありませんで
した。下記をみてください。

    http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/sindo.htm

 H先生が「レベル7」などという表現をしたので、皆、勘違いしてしまいました
が、各地域での揺れ具合である「震度」は、確かに「7」が上限でした。東日本大
震災の9はマグニチュードの話だったわけです。

 震度7よりも原発のレベル7のほうが余程怖いですね。いまだに復旧の目処さえ
ついていませんが、時間がかかっても、これ以上の災害にならないよう願いたいも
のです。

 大震災から1か月以上も経た今日、政権の無策ぶりが顕著になり、大連立どころ
か、自民党からも「首相自ら出処進退を判断する時期に来ている。これ以上、この
体制で行くことは国民にとって不幸だ」といわれてしまう始末で、政権党内外から
退陣要求が噴出していますので、現政権の深刻度もレベル7でしょう。

 ところで、日本が犯した地球環境への犯罪に対して、ドイツや台湾はじめ世界各
地で反原発デモが行われています。

 (ドイツ)
   http://www.youtube.com/watch?v=6WH0kjmkbSc&feature=related
 (台 湾)
   http://www.youtube.com/watch?v=hp7YA6lTa9U&feature=related

 もちろん、日本でも全国で反原発デモが行われていますが、残念ながら、海外よ
りも参加者が少ないようです。それは、CMのスポンサーである東電に遠慮してい
るのか、大手メディアがほとんどデモのあること、あったことを取り上げないから
でしょう。日本のマスコミの劣化度もレベル7のようです。

 (日 本)
   http://www.youtube.com/watch?v=UzPeD6sAteo&feature=related

 先般、ソフトバンクの孫社長が個人で反原発を表明したことをご紹介しましたが、
城南信用金庫は企業としても脱原発を表明しました。徐々に経済界にも脱原発の声
が上がってきたようです。

    http://www.youtube.com/watch?v=CeUoVA1Cn-A


2011.04.15(金)【株式会社と有限会社の代表権】(金子登志雄)

 司法書士会の掲示板(NSR2)の議論で面白いことに気づきました。

 取締役会のない会社で、定款に「代表取締役は取締役の互選で定める」という規
定が設けられていない場合に、取締役としてABを選任すると、自動的に代表取締
役の登記がなされます。次のとおりです。

====================================================
   取 締 役 A   平成23年 4月 1日就任
----------------------------------------------------
   取 締 役 B   平成23年 4月 1日就任
----------------------------------------------------
  東京都・・・
   代表取締役 A   平成23年 4月 1日就任
  ----------------------------------------------------
  神奈川県・・・
   代表取締役 B   平成23年 4月 1日就任 
====================================================

 取締役と代表取締役の地位が一体ですから、このBが代表取締役だけ辞任するこ
とは原則として許されませんが、例外として、Bを選任した株主総会の承諾があれ
ば、辞任も許されます。その場合は、上記の最後の枠が辞任を理由に抹消されます。

 ところが、特例有限会社の場合は、旧有限会社法時代からの沿革上の理由で、複
数の取締役の中から特定人を代表取締役に選任しない限り、代表取締役の登記はな
されません。最初の例は次のように登記され、取締役自体に住所がつきます。

====================================================
  東京都・・・
   取 締 役 A   平成23年 4月 1日就任
  ----------------------------------------------------
神奈川県・・・
   取 締 役 B   平成23年 4月 1日就任
====================================================

 これでも代表権を有しますからABともに代表取締役であることに変わりがあり
ません(会社法47条1項カッコ書参照)。

 さて、ここで株式会社の例と同様に、Bが株主総会の承認を得て代表取締役の権
限のみを辞任したら、どういう登記になるでしょうか。

 辞任の登記をしようにも代表取締役の登記がなされていないのです。したがって、
この辞任承認総会(4月15日開催とする)の実質はAだけを代表取締役として選
任する決議として扱い、次のような登記になります。

====================================================
  東京都・・・
   取 締 役 A   平成23年 4月 1日就任
----------------------------------------------------
  神奈川県・・・
   取 締 役 B   平成23年 4月 1日就任
----------------------------------------------------
   代表取締役 A   平成23年 4月15日就任 
====================================================

 つまり、Aの隠れていた代表権が代表取締役でない取締役が生じたことで顕在化
します。ならば、「15日就任」ではなく「1日就任」ではないかというご意見も
あろうかと思いますが、あたかも登記簿上も代表取締役として表示される者を15
日に選任したような形になります。だからといって、Aが1日から代表権を有する
取締役だったことを否定するものではありません。

 実体法的には、株式会社と有限会社で全く同じことを決議しているのに、株式会
社では【登記を減らす】辞任の登記となり、有限会社では【登記を増やす】就任の
登記になるという差が生じるわけです。この結果、後者では印鑑届を新たに提出す
べきか、商業登記規則61条4項は適用されるのかなどという問題が生じます。

 
2011.04.14(木)【事業承継の3つの対策】(愛知・和出吉央)

 いわゆる、未上場企業の事業承継対策とは、大きくは3つの問題を解決すること
です。

 第1は、「人の対策」
 第2は、「資本政策」
 第3は、「税金対策」

 よく「ヒト」「モノ」「カネ」といわれる場面に出くわしますが、事業承継対策
にも通ずるものがあるということです。

 具体的には、

 「人の対策」
   ・・・後継者を誰にするか?どう育成するかということです。
 「資本政策」
   ・・・自社株をどうするか(どう動かすか)?ということです。
 「税金対策」
   ・・・どうしたら節税できるか?納税資金が準備できるか?ということです。

 以上のうち、我々司法書士は会社法を武器に第2の「資本政策」の仕事に従事し
ています。

 この資本政策をきっちり行うことによって、結果、第3の税金対策にも対応する
ことができます。

 絶対に間違ってはいけないのは、この第1、第2、第3の順番です。

 よく決定的に間違ってしまうのは、第3の税金(節税)対策にばかり目がいって
しまい、第2と第3の順番が入れ替わってしまうことです。

 結果、良からぬ人に自社株が渡ってしまい株主の権利を行使され、最後には会社
が倒産してしまうということさえあるのです。

 事業承継対策は、オーナー・経営者の最も重大な責務であると心得ておくことが
必要です。


2011.04.13(水)【ずっとウソだったのか】(金子登志雄)

 福島原発の深刻度がとうとう2段階アップされて最悪のレベル7になりました。
放射性物質の放出量の多いことが原因のようです。

 では、われわれはどうしたらよいのでしょうか。

 「その質問は原発を推進してきた人たちに聞いてください。なぜなら、こういう
事態になったときに対処できないから私は原発に反対してきたのです。対策がある
なら反対しません。」(広瀬隆、週刊朝日4月15日号23頁)、

 あれれ、手の打ちようがないようです。ならば、いたずらに不安がっても仕方あ
りません。「矢でも鉄砲でも持ってこい」と、居直って元気に暮らしましょう。

 ところで、飛行機事故の後は同じ過ちを繰り返さないように徹底した原因の究明
がなされますが、今回の事故についても、そうしなければならないのに、「想定外
だ」とか、「みんなで乗り切ろう」などと原因の究明がおろそかにされかねない雰
囲気を「頑張ろう日本」の標語から感じてしまうのですが、私だけでしょうか。

 こういうときは、いつものお人好しの日本人である必要はありません。戦後のド
イツがナチスの残党を何年も追いかけまわしたように、執拗に犯人捜しをしなけれ
ば、また同じ過ちを繰り返すでしょう(念のため、誰かを罪に問えということでは
ありません。司法取引をしても原因の究明こそが重要です)。

 いまネットで話題の「ずっと好きだった」の替え歌「ずっとウソだった」です。
斉藤和義さんという有名な歌手のようですが、オジサンの私は知りません。

  http://www.youtube.com/watch?v=nBe2Mn1sF34


2011.04.12(火)【CMパロディー】(金子登志雄)

 統一地方選は民主党の惨敗に終わりましたが、菅政権になってからは、誰も責任
をとらないのが慣例化してしまったようで、教育によくないですね。

 マスコミも、鳩山政権のときは、「鳩山やめろ、小沢やめろ」と内閣支持率調査
をもとに責めまくっていたのに、マスコミと親しい菅政権になったら、さっぱりで
す。これも教育によろしくありません。

 そんな欲求不満が積もっているのか、ただいま、菅政権を皮肉ったCMの替え歌
が政界で流行っています。

 まずは、次の「見える気持ちに」のパロディー。

  http://www.jimaku.com/company_cm/ac/ac102.html

 「心」は誰にも見えないけれど、(震災利用の)「下心」は見える。
 「思い」は見えないけれど、「思い上がり」は誰にでも見える。

 続いて、次の「こだまでしょうか」パロディー。

  http://www.ad-c.or.jp/campaign/self_area/03/index.html

 「大丈夫?」っていうと、「大丈夫」っていう。
 「漏れてない?」っていうと、「漏れてない」っていう。
 「安全?」っていうと、「安全」って答える。
 そうして、あとで怖くなって「でも、本当はちょっと漏れてる?」っていうと、
 「ちょっと漏れている」っていう。
 こだまでしょうか。
 いいえ、枝野です。

 政治家や有名人になると、常時、こうやってからかわれるのですから、気の毒
といえば気の毒ですね。普通の神経ではつとまりません。でも、責任の所在くら
いは明確にしてくれないと、また同じ悲劇が生じてしまいますので、私も戯れ歌
を1つ。

 「原発の責任は?」っていうと、「東電だ」っていう。
 「選挙の敗因は?」っていうと、いつも「政治とカネ(小沢)だ」っていう。
 いつも他に責任をなすりつけるのは、こだまでしょうか。
 いいえ、菅政権です。


2011.04.11(月)【統一地方選挙結果】(金子登志雄)

 昨日は、東京都知事選挙をはじめ、統一地方選挙の日でしたが、大震災の影響も
あって、全く盛り上がりませんでした。

 横浜市民である私も無風の県知事選だけだったら投票に行こうかどうか迷ったと
ころですが、同時に県議会議員と横浜市議会議員の選挙がありましたので、国民の
権利を行使してきました。

 唯一注目されていた東京都知事選は、思いのほか東国原氏が善戦したようですが、
結果は石原氏の圧勝でした。こういう国難の非常時には、石原氏のようなリーダー
は有利なので、予想どおりというべきでしょうか。

 政治のプロが注目していたのは与野党対決の三重県知事選です。民主党の岡田幹
事長のおひざ元ですから民主党としては絶対に負けられない戦いでしたが、結果は
民主党候補の敗北でした。それも弱冠36歳の候補に敗北でした。

 菅政権になってから、枝野前幹事長、岡田現幹事長による選挙運営は民主党の敗
北続きですから、大震災及び原発への対応の不手際を含め、また与党内部から政権
批判が復活しそうです。

 もう1つの注目は静岡市長選挙でした。こちらは大政党と新興勢力(河村名古屋
市長の減税日本)との戦いでしたが、新興勢力は一歩及びませんでした。

 異色の新興勢力である竹原前阿久根市長も県議選で落選したようです。

 いずれにしろマスコミの世論調査とは相違する正真正銘の民意の結果がでました。


2011.04.08(金)【新株予約権の内容と契約内容】(金子登志雄)

 久々にストックオプション目的の新株予約権の発行の登記を申請しました。取締
役に対するものです。

 税制適格にするため、割当契約には「行使価額の年間(暦年)の合計額につき、
金1200万円を超えてはならない」とか、「譲渡できない」とかを定めました。
また、権利者が「破産したら会社に返却したものとする」なども定めました。

 ある司法書士は、前者を行使条件として、後者を取得条件として登記申請すると
いっていましたが、本欄を閲覧している司法書士の皆さんはいかがですか。

 実はこれらは(債権)契約の内容であっても、新株予約権の内容そのものではあ
りません。債権と物権の相違のようなものです。

 前者は租税特別措置法29条の2の要請に基づき、契約に定めることが必要であ
っても、新株予約権の内容自体にする必要はありません。後者についても、契約当
事者間を拘束する契約内容であって、新株予約権の内容自体ではありません。

 どこが違うのかといえば、物権と債権の相違といえばわかるでしょうか。あるい
は、制度と個別の取り決めとの相違といえば通じるでしょうか。物権や制度は何人
にも通じる内容で、債権や個別の取り決めは契約当事者間のみに通じるものです。

 なお、3月11日の本欄で、次の内容は登記できないと説明しましたが、これも
種類株式の内容そのものではないからです。
------------------------------------------------------------------------
(株式の併合、分割又は無償割当て等)
第*条 当会社は、法令に定める場合を除き、A種株式について、株式の併合若し
   くは分割、株式無償割当て又は新株予約権無償割当てを行わない。
  A 当会社は、A種株主に対して、募集株式、募集新株予約権又は募集新株予
   約権付社債の割当てを受ける権利を与えない。
------------------------------------------------------------------------


2011.04.07(木)【代表者の交代】(金子登志雄)

 4月1日に登記申請したうちのいくつかが代表取締役の交代の事案でした。代表
取締役を追加するものもありました。

 取締役ABC、代表取締役(社長)Aの取締役会設置会社において、Bを代表取
締役社長に選定し、Aを代表取締役会長に格上げさせ、いままでAが使用していた
会社届出印をBが使うことにしました。印鑑カードはBが引き継ぐことにしました。

 このとき、Aに印鑑廃止届が必要なのをご存知でしょうか。印鑑カードは引き継
げても印鑑自体は引き継げません。もとより、AとBで同一の印鑑を届け出ること
はできません。Aが印鑑を廃止し、はじめてBが印鑑を届け出ることができます。

 上記でAを代表権のない取締役会長にすると、印鑑は自動廃止ですから、Aの印
鑑廃止届は不要です。

 さて、取締役会議事録に「Bを代表取締役社長に、Aを(代表権のない)取締役
会長に選定し、ABともにその就任を承諾した」という記載がありました。

 Aの「取締役会長の就任承諾の意思表示」に代表取締役の辞任の意思を読み取れ
るでしょうか。

 前後関係から、Aは代表取締役(社長)を辞任し後任のBに引き継ぎ、自らは取
締役会長に就任したことが読み取れても、書面審査の登記所では、「これでは代表
取締役の辞任」とは認められないといってくることでしょう(解任の可能性もゼロ
とはいえませんから)。

 追加で代表取締役の辞任届をお願いしましたが、「そのつもり」で作成した議事
録も相手に通じるかの判断は、これに限らず、むずかしいものですね。

 (参考)某MLで紹介されていました。やはり花見はしたほうがよいようです。
    酒を飲んで東北の産物を食し、被災地を応援しましょう。
     http://www.youtube.com/watch?v=UY0FtSqrMBc


2011.04.06(水)【100億円の義援金】(金子登志雄)

 3月29日の本欄で、ノーブレス・オブリージュと題して、このたびの大震災に
対して、ユニクロの柳井社長が10億円………、などと書きましたら、何とソフト
バンクの孫正義社長が桁違いの高額を義援金として提供すると発表しました。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110404-00000016-impress-mobi

 あるところにはあるものだと思うと同時に、彼にとっても100億円は、相当な
覚悟が必要な金額だったことでしょう。今後の引退までの役員報酬まで義援金に回
すなど並みの人間にできることではありません。頭が下がります。

 ご承知のとおり、ソフトバンクはベンチャー企業の雄であり、人気の高い会社で
す。私も、株主総会の運営の勉強のために、同社の株主になり、定時株主総会に出
席したことがありますが(平成9年頃)、他の会社が総会屋対策のために、ほとん
ど審議をしないまま株主総会を終わらせているのに対し、ソフトバンクは2千名以
上の参加者の個々の詰まらない質問にも孫社長自ら丁寧に回答していました。

 その姿をみて、すっかり孫さんのファンになってしまいました。当社の株主総会
の運営は、ソフトバンクを見本としたことはいうまでもありません。

 孫さんは在日3世で、子供の頃は「安本」と名乗っており、日本を脱出し米国に
留学し、帰国後、事業を始めて成功した人ですが、国籍のハンディがあったにもか
かわらず、「安本」を止め、「孫」姓を名乗り、その名前で日本に帰化しました。
まさに挑戦者です。

 こういう有能な経営者が経団連などの幹部になって日本を改革してくれる日がい
つか来ると期待していますが、彼の成功の一因は、リクルートの江副さんや、ライ
ブドアの堀江さんと違い、政治と一定の距離を置いたからかもしれません。

 しかし、彼にしても、原発問題に関しては黙っていられなかったようで、踏み込
んだ発言をしています。

   http://www.youtube.com/watch?v=cqiqkr9JKsE


2011.04.05(火)【入社式と花見】(金子登志雄)

 4月1日は全国で新入社員を歓迎する入社式でした。

 当社も例外ではありません。私も役員の一人ですから、新入社員の門出を祝うた
め司法書士業がどんなに忙しくとも時間を調整して毎年出席していましたが、今年
は無理でした。当社の主要な事業所が茨城県にある関係で、新入社員も茨城県人が
多く、千代田区の本社で入社式を行おうにも、交通事情で来られないため、今年の
入社式を茨城県で行ったためです。

 新入社員にとっては、未曾有の大震災の影響で、一生忘れられない入社式になっ
たことでしょう。

 入社式のあとは新人研修、続いて各部署に配属になって、各部署からの歓迎会で
もなされることでしょうが、ちょうど花見の季節になるので、大いに騒いでほしい
ものですが、最近は自粛ムードが多いので、これまた気の毒といわざるをえません。

 被災者のことを思い、苦しみを分かち合って花見も自粛するのが正しいのか、今
後の復興のために元気な日本にするためにも、例年どおり、花見に興じてよいのか
と幹事さんは難しい判断に迫られることでしょうが、自粛ムードによる売上減で、
商店も飲食店もタクシーも悲鳴を上げているでしょうから、少なくともあえて後者
を選択した方々に対して、白い目でみることだけは避けたいものです。


2011.04.04(月)【4月1日の法務局】(金子登志雄)

 4月1日は会社登記の書き入れ時でしたから、私も東京法務局品川出張所と本局
の2つに顔を出しました。混雑時を避けた午後の訪問だったため、思っていたほど
混雑はしていませんでした(あとで勘違いに気づきますが)。

 午後3時半頃に訪問した東京法務局(本局)でも待たされることもなく、すぐに
申請できましたが、謄本請求及び受領の窓口だけは、満席で立って待っている方も
大勢存在し、謄本を請求して受領できるまでに約1時間待ちの状況でした。

 しかし、この混雑は、この日から窓口での謄本取得が1通1000円から700
円に代わり、しかも登記印紙ではなく、収入印紙での請求が原則になったための混
乱だったかもしれません。

  http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/tesuuryouitiran2.pdf

 いずれにしろ、このご時世に活気があるので、何となくほっとする部分もあり、
待たされる辛さはありませんでした。

 1時間待って謄本を取得し、登記申請の原本還付の窓口を振り返ってみれば、何
と部屋の外にまで続く数メートルの行列ができているではありませんか。たまたま
私が訪問した3時半頃がラッキーな時間帯にすぎなかったようです。

 東京法務局(本局)の場合は、4月1日午後申請の登記完了予定日は2週間後の
15日ということです。出張所の多くが11日ですから、本局だけ特別に申請が多
かったことがわかります。

 それでも東京の場合は商業登記を担当する法務局が各地にあり仕事が分散されま
すが、被災地の福島県では統合により1つしかありません。東京以上に混んでいた
のでしょうか。登記どころではないということで申請も少なかったのでしょうか。
気になります。


2011.04.01(金)【年度末と年初】(金子登志雄)

 昨日は3月決算会社の年度末だったため、「3月31日辞任」の役員変更登記の
依頼が重なり、久々に来客が多く多忙感を味あわせていただきました。

 会社登記専門の私の場合は、月初と月末近くに仕事が集中する傾向があります。
ただし、夜型ですから、仕事は専ら夜の作業であり、日中はお客様との約束がない
限りは、いつも昼行灯(ひるあんどん)状態です。

 まるで夜になると急変する必殺仕事人の中村主水(もんど)のような生活ですが、
私も依頼された仕事に対しては必殺を心がけています。

 深夜には、どこからも電話がなく、うしろの時間が無制限であるため、仕事の完
成の目処がつくまで時間無制限で頑張ることができます。下りのエスカレーターを
駆けあがるかのごとく休みなく一挙に片付けます。実に効率的な時間です。

 40代までは、皆さまと同様に、定時に出社していましたし、子供を保育園に送
って行ったりと、人並みの時間拘束生活を送っていましたので、いまが一番自由に
仕事をできる幸せを感じています。

 さて、今日から多くの企業が新年度ですが、計画停電の影響で事業計画も立てら
れないことでしょう。戦後最大の危機であることは間違いありませんが、危機こそ
チャンスだと考える人もいますから、その方々に負けずに頑張りたいものです。

(参考)中村主水でニヒルな役を演じていた藤田まことさん、刑事役も多かった方
ですが、元来はお笑い芸人だったことをご存知ですか。わが家にはじめてテレビが
入って、兄弟で夢中でみたのがこれでした。
    http://www.youtube.com/watch?v=0-HWU-GGZx0


2011.03.31(木)【節電生活】(金子登志雄)

 もう節電生活には慣れましたでしょうか。お店の看板は電気が消され、駅の下り
エスカレーターは止まり、蛍光灯は間引きされて、もう何日目でしょうか。すっか
り慣れてしまいました。

 節電は東京電力管内だけの問題なのに、中部・関西など東京電力管内以外の地域
でも節電をしないと白い目でみられるということはありませんか。

 実をいうと、東京電力管内でも、電気は蓄電できませんから、電力需要のピーク
となる朝の9時頃や夕方時以外の時間帯は節電効果が薄いようですね。

 しかし、気は心で、24時間節電中の方が多いことでしょう。私も「もったいな
い」の感覚を持った世代ですから、いつも以上に電気はこまめに消しています。

 群馬の片田舎で育った子供の頃(昭和30年代前半)は、雷の鳴る夏の夕食時に、
よく停電がありました。電柱のトランス(電柱に乗せてある変圧器)が雷に反応し
たのでしょうが(時間でいうと、30分以内のことが多かったと記憶しています)、
そのたびに、親が蝋燭(ろうそく)を出してきて、マッチで火をつけたものです。
ライターなどという高級品は家庭にはありませんでした。

 電気は明かりとラジオのためのものであり、テレビはなく、冷暖房は人力による
団扇(うちわ)か炭団(たどん)によるコタツ、水は井戸水、風呂は薪………、懐
かしく思い出しますが、炭に火をつけ、井戸水を汲み出し、薪を割っていた親は、
さぞたいへんだったと思います。

 電気の便利さ、ありがたさを再認識した今回の節電生活ですが、同時に、その便
利さが原発によるものだと知った今日、節電にさらに真剣に取り組まないといけま
せんね。

(参考:どうでもよいことですが、当時の子供のヒーローはバイクやスクーターに
   乗って参上していました。テレビがなかったので、みたことはありませんが、
   歌は流行っていました)
    http://www.youtube.com/watch?v=BrLa1CpMK6w&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=gTeJAB_-46Y&feature=related


2011.03.30(水)【株主資本承継消滅会社】(金子登志雄)

 新設合併に関する会社計算規則46条に「株主資本承継消滅会社」という用語が
登場しますが、これはどういう意味かと聞かれました。共同新設分割の計算で、本
条が準用されているためです(会社計算規則51条)。

 会社計算規則2条3項46号によると、株主資本承継消滅会社とは、「新設合併
消滅会社の株主等に交付する新設型再編対価の全部が新設合併設立会社の株式又は
持分である場合において、当該新設合併消滅会社がこの号に定める株主資本承継消
滅会社となることを定めたときにおける当該新設合併消滅会社をいう」とあります。

 この定義は一見して実に不親切だと感じないでしょうか。「新設合併で、これこ
れのときに、株主資本承継消滅会社になると定めた会社」という内容では、ESG
法務研究会って何ですかと聞かれて、私が「ESG法務研究会になると決めた司法
書士グループのこと」と応えたようなものです。

 翻訳しますと、「対価の全部を設立会社の株式(又は持分)とする新設合併の際
に、設立する会社に自社の資本金や準備金などの株主資本の内訳をそのまま引き継
がせると決めた合併消滅会社」という意味です。

 簡単にいえば、合併で貸借対照表をそのまま受け継がせるのと同様に、資本金も
資本準備金も利益剰余金もそのまま合併設立会社に引継がせる会社のことです。吸
収合併の36条に対応したものといえば、通じるでしょうか。

 これに対して、46条の「非株主資本承継消滅会社」というのは、株主資本の合
計額は設立会社の株主資本として引き継ぐが、その内訳(資本金額がいくらで資本
準備金がいくらか……などの明細)までは承継しないものです。吸収合併の35条
(ただし簿価引継ぎの場合)に対応したものということになります。


2011.03.29(火)【ノーブレス・オブリージュ】(金子登志雄)

 ノーブレス・オブリージュ(フランス語)という用語を聞いたことがあると思い
ます。欧米社会における基本的な道徳観で「身分の高い者はそれに応じて果たさね
ばならぬ社会的責任と義務がある」(ヤフーの辞書による)という意味です。

 こういう場合にも使うのか不明ですが、このたびの大震災に対して、ユニクロの
柳井社長が10億円、キャスターの久米宏さんが2億円、野球のイチローが1億円
………、続々と著名人からの高額寄附が寄せられており、実に素晴らしいことです。
  
  http://matome.naver.jp/odai/2130014991848753501
 
 「どうせ金持ちの道楽だ」「売名行為だ」としか感じない貴方、いけませんよ。
売名行為だろうと何だろうと、よいことはよいことですし、そういう嫉妬心こそが
貴方の成長を阻んでいる心の姿勢ですから。

 われわれ庶民の場合は、貧者の一灯という用語のほうが適当でしょうが、心はノ
ーブレス・オブリージュで社会的責任を果たしたいものです。

 ところで、日本人も助け合い精神にかけては決して欧米人に引けをとらないのに、
残念ながら、官僚制社会が寄附の文化の発展を妨げているところがあります。

 企業や外国人がちょっと政治家に寄附しただけで法律違反(それも刑事罰)にし、
福祉団体に寄附しても税額控除できない制度になっていたりで、国民が寄附を通じ
て勝手なことをするのを官僚制社会は嫌がるのです。

 すべて官僚の許可を得なければならない仕組みになっていますから、海外からの
救援物資も都内の倉庫に眠ったままなどといった被害が報じられていますし、東京
都の消防局が早くから原発の近くに行っていたのに、国の機関ではないということ
で待機させられ、効果のなかった自衛隊や警察機動隊による放水を先行させる結果
になったとも報じられています。

 この反省を機に、日本でも寄附やボランティアの文化を育て、何でもかんでも国
に許可を得る社会を改革したいものですが、そういう社会を目指した剛腕政治家や
ノーブレス・オブリージュの貴族政治家はマスコミを総動員した既得権力によって
寄ってたかって潰されてしまいました。

 まだまだ日本社会の古い仕組み(アンシャン・レジーム)が改革されるには時間
がかかりそうですが、一歩一歩前進させたいものです。


2011.03.28(月)【大震災】(島根・根来川弘充)

 この度の東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた皆様には、謹んでお見舞い申し
上げます。

 当日、幸い島根県松江の事務所では、まったく揺れを感じることがありませんで
したので、同職からのメールで、大震災があったことを知りました。

 どのくらいの規模だったのか気になり、午後4時ごろにテレビをつけましたら、
上空から津波が押し寄せる映像が繰り返され、被災直後の現地の映像が、何度も映
し出され、驚きのあまりテレビにしばらく釘付けになりました。

 中でも驚きましたのは、「○○町が壊滅状態である」と、時折入る現地のレポー
トでした。

 「町が壊滅する」という表現を、映画ならまだしも、現実に聞くことがあるとは
思いませんでした。それだけに、後日、映像や写真が報道されてはいるのですが、
もっと、現地は凄惨な状況であると想像しています。

 今回の大震災は、その被害はもちろんのこと、原発の問題、さらには、電力の問
題など、日本全体にも大打撃を与えています。管総理が会見で、「未曾有の国難」
と表現されたようですが、本当に、今回の大震災は、戦後の日本にとって、最大の
危機ではないかと思います。

 この最大の危機には、「震災担当大臣」などといわず、「震災復興内閣」によっ
て、最優先させて取り組んでも良いのではと思います。

 一国民として、非力ながら自分でできることは何かを考え、積極的に取り組んで
いきたいと思います。


2011.03.25(金)【社長交代と印鑑証明書】(金子登志雄)

 相変わらず関東地方では余震が続いていますが、意識が深刻な原発及び放射能被
害に向かっているためか、地震には驚かなくなってしまいました。

 さて、3月下旬ともなると、4月1日付の役員変更の相談が増えてきます。特に
社長交代の人事については、個人の印鑑証明書の要否がむずかしいといえます。

 ちょうど、今月発売の雑誌「ビジネスロー・ジャーナル」に「グループ会社のた
めの定時株主総会の実務」という特集があり、登記分野(「グループ会社ではここ
だけ押さえる! 登記実務のポイント」)を担当しましたので、「社長交代登記と
印鑑証明書の要否」ついて、ご説明しましょう。

    http://www.businesslaw.jp/contents/201105.html

 要約すると、次のとおりです。
--------------------------------------------------------------------------
【印鑑証明書の要否の基準】
@就任者の印鑑証明書
 代表取締役の就任承諾書に印鑑証明書の添付が必要。ただし、再任は不要。
A選定者の印鑑証明書
 代表取締役を選定する取締役会議事録には選定者全員の印鑑証明書が必要。ただ
 し、前代表取締役が出席し、その者が会社届出印を押している場合は不要。
---------------------------------------------------------------------------

 したがって、取締役ABCD(代表取締役A)という取締役会のある会社におい
て、Aが取締役も辞任した後に、BCDで取締役Bを新代表取締役に選定すると、
Bにつき@で、BCDにつきAで印鑑証明書が必要になります。

 Aが代表取締役のみを辞任し、ABCDで取締役Bを新代表取締役に選定し、A
の横に会社届出印を押すと、Aの部分の印鑑証明書の準備が不要になります。

 その他の詳細は、「ビジネスロー・ジャーナル」をご参照ください。 


2011.03.24(木)【カップ麺は何処に???】(富田太郎)

 皆さま、地震は大丈夫でしたでしょうか? 今回の地震、東北地方の被災者の方
々の無事を祈るのみです。

 ところで、東京では地震の影響でしょうか? 『カップ麺、トイレットペーパー、
缶詰、レトルト食品』などが瞬く間に売り切れ、コンビニ・スーパーの棚には何も
ありません。

 日頃、『コンビニ弁当&カップ麺』を常食としている私としては、泣きたくなり
ます。

 このカップ麺等が消えた光景をみて、ある一定の年代の方は、オイルショック時
の「トイレットペーパー騒動」を思い出した方も多かったのではないでしょうか?

--------------------------------------------------------------------------
【トイレットペーパー騒動とは】
 1973年、アラビアの産油国が原油価格70%値上げをしたため、当時の通産大臣
中曽根康弘氏が、「紙節約」を呼びかけたことが発端でした(注=パニックがおき
るまで日本の紙生産は安定していたにもかかわらずです)。
 このような時代背景のとき、千里ニュータウンの某スーパーが、「宣伝用特売広
告に(激安商品だから、すぐ売れてなくなるよ!という意味で)、「本トイレット
ペーパー!売り切れ必至!」と書いたところ、読んだ千里ニュータウンの住民は、
「やはり紙不足到来なのか!」と行列になり、瞬く間に売り切れてしまいました。

 次の日は普通の商品を出したところ、これも行列、行列・・・。 
 さらに悪いことに、この行列風景を、新聞、TVが報道したため、全国的に「や
はり紙不足到来なのか?」となり、全国で大パニック(トイレットペーパー不足)
になりました。

 ちなみに、原油と紙との製造・流通過程における直接的な関連はありません。
--------------------------------------------------------------------------

 私も当時中学生の時でしたが、トイレットペーパーを買うために並んだ記憶があ
ります。群衆心理、マスコミの影響・・・恐るべしですね。

 ところで、今回のカップ麺の不足問題、不思議なことに、コンビニにはカップ麺
がないのにかかわらず、その横のラーメン屋では売り切れることもなく、本物のラ
ーメンがちゃんと食べることができます??
  ・・・・・・・

 日頃、カップ麺&コンビニ弁当を常食としている私ですが、この地震の影響で? 
皮肉なことに、料理店できちんとした食事をとっています・・・。

 くれぐれも流言飛語には惑わされないようにしましょう!


2011.03.23(水)【帰ってこいよ!−旅立ちの春−】(島根・渡部浩義)

 (金子=本稿は大震災前に渡部さんからいただいた投稿です。)

 司法書士事務所にはめったにない、学生服姿の男子3人組の訪問を受けました。

 「今日、卒業式でした。オジさんのこないだの話がおもしろかったので、お礼に
きました。都会の洗礼を受けて、頑張って勉強して、必ず帰ってきます。国の借金
900兆は僕たちが返します! これ、よかったらどうぞ。」と、ニキビ顔の一人
の彼がくたびれた学生服のポケットから紙に包まれた岡山名物“きびだんご”を3
つ、朴訥に掴み出して、はにかんで私に差し出してくれました。

 「私に?」
 「はい、僕たちのおやつで悪いですけど・・・・」

 予期せぬことで、とっさにどう応えていいのか、いい大人が狼狽してしまいまし
たが、この突然の訪問者の皆に思わずこちらも顔がほころんでしまいました。

 今年も、『学生のための法律教室』と銘打って司法書士会有志と地元高校に出前
講座に出かけてきました。そのときに会場にいた生徒さんだったようです。毎年の
ことながら、私の持ち時間は与えられたテキストからは完全に脱線し、私が彼らと
同じ地元高校を卒業してから今日まで日本各地を転戦して、受けた洗礼の数々、失
敗の過去を『日経ビジネス』ではありませんが、「敗軍の将、兵を語る」とばかり
に遠慮なく披露してきました。

 この法律教室も、既に5年以上も引き続いて出かけさせてもらっていますが、毎
年「このことは伝えておきたい」と思う事柄が変化してきていることに気づかされ
ます。初めて行ったころは、商工ローン問題に代表されるような多重債務問題が一
段と激しさをましている頃でした。

 「消費者金融には手を出すな、クレジットカードはできることなら使うな。」と
喋っていたように思いますが、ネットを仕事に使う者には、ここ数年でいよいよク
レジットカードやデビットカードなしには満足な仕事もできない世となりました。
司法書士業務も例外ではないことからも明らかです。話す内容も時代の趨勢に無神
経ではいられません。

 多重債務問題がクローズアップされてからか、“借金”というだけで、生活や事
業を営んでいくうえで必要かつ有用な借入行為までもが、すべて負のイメージでと
らえられつつあるこのところの世の風潮も、このような場で喋る機会があると気に
なります。

 さて、訪ねて来てくれた彼ら、聞けば大阪、神戸、広島でそれぞれの新生活がは
じまるとのこと。つきなみですが、健康第一に活躍を願いたいと思います。そして、
笑顔で話してくれた、「必ず地元に帰ってきます!」という言葉を信じたいと思い
ました。先行きが見通せない混迷の世ですが、これからは間違いなく「君達の時代」
です。

 ちなみに“きびだんご”お返しに、渋色が目にやさしい『マイルドライナー』を
1本ずつ進呈しておきました。これを使って、各自よーく勉強するよーに!

 (ゼブラ マイルドライナー)
 http://www.zebra.co.jp/pro/mildliner/index.html

 渋い色が中年の目に優しい、なかなかのすぐれモノだと思います。


2011.03.22(火)【安全よりも安心を】(金子登志雄)

 3連休だというのに、恒例の群馬の帰省先に帰らず横浜の自宅でじっとしていま
した。電車が途中の駅までしか行かないので、仕方ありません。

 不安だった原発問題は依然として予断を許しませんが、応急措置の放水による冷
却で小康状態のようです。テレビも娯楽番組を復活させました。

 しかし、あの放水騒ぎは、いったい何だったのでしょうか。自衛隊のヘリによる
命がけの上からの放水だって、2階から目薬をさすようなもので、素人目にも成功
確率の低いものでした。

 その後、機動隊のデモ鎮圧用の放水がなされましたが、水が届かず、最後には、
消防庁や自衛隊のビル火災や飛行機火災用の近代的な放水車が登場し、やっと放水
が成功したようです。

 命がけの作業には本当に頭が下がりますが、そのような設備があるなら、最初か
らそれを使い、上空からのヘリは必要だったのかという疑問を持ちますが、とにか
く右往左往状態で、何でもしなければならない危機的状況だったのでしょう。

 米軍は放射能専門部隊を450人も日本に派遣したようです。日本の発表を大本
営発表(わが軍の損害は軽微なり)と全く信じていないのかもしれません。原発事
故は過去何度も電力会社が情報を隠してきましたし、枝野官房長官も冷静にと心構
えを説くだけで、具体的な数値を世界に発信しているとはいえません。国際的にも
正確な情報が求められています。

 こんな状態なのに、菅さんは、笹森連合会長に「ボクはものすごく原子力に強い
んだ」と、東工大応用物理学卒の経歴を誇ったとか。これに限らず、生半可な知識
が一番困るので、こういう発言は控えて、マネジメントに徹してほしいものです。

 また、経団連の米倉会長は、記者団に対し、「1000年に1度の津波に耐えて
いるのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と述べたとか。

 科学的にはそのとおりかもしれません。しかし、いくら安全だといわれても、結
果がすべてです。われら無知な庶民の不安が消え去るまでには至りません。特に小
さい子供を抱えた家庭は気が気ではないでしょう。

 これを機に、「安全よりも安心」(原発行政に懐疑的で冤罪で逮捕された元福島
県知事佐藤栄佐久氏の言葉)の日常生活を送れるよう原発行政の方向転換を強く求
めたいものです。

(注)今週から徐々にいつもの「徒然」に戻します。


2011.03.18(金)【今朝は無事か】(金子登志雄)

 毎朝、目覚めると即座にテレビをつけ、被災状況に大きな変化がなかったかと確
認してしまいます。

 東北の避難所にいる方は、テレビをみる余裕もないことでしょう。何の情報も得
られない方々のことを思うと、申し訳ない気がしてしまいます。

 司法書士会の情報によると、宮城・岩手・福島3県で80名以上の司法書士が安
否不明とのことです。率にして1割以上ですから、真に被災による安否不明は、そ
こまでの数に至らないと思いますが、すでに岩手県では1名の死亡が確認されてお
り、自宅及び事務所が全壊した司法書士も少なくありません。

 原発の問題についても、予断を許しません。政府やマスコミは「心配するな」と
説明していますが、外国政府は厳しい見方をしていますし、福島県の現地では避難
民に対して、スクリーニング(放射線被害検査)をしています。そんな検査をされ
ては、「心配するな」というのが無理というものです。

 昨日は、いつもの通勤の道を歩いていましたら、裏通りに違法駐車がありました。
そこに張り紙があり、「福島県いわき市から避難してきました。しばらくここに置
かせてください」。

 まるで、「戦争難民」か、「戦争疎開者」のようにみえました。

 尋常でない事態が続いていますが、われわれには、じっと事態の推移を見守るし
かできません。この週末に事態が少しでも改善することを祈っています。


2011.03.17(木)【余震】(金子登志雄)

 大地震から5日間も経過したのに、毎日のように余震があり、落ち着かない日々
が続いています。

 同時に、被災地では、いまだに避難者への救護活動が十分でなく、水も暖房もガ
ソリンも情報手段も整備されていないようですから、二次災害が心配でなりません。

 原発問題に関しても、菅首相と枝野官房長官あるいは東京電力の担当者の話が食
い違っていたり、風評に十分に対抗できているとは思えません。

 政権与党を上げて、国家を上げて、この国難に立ち向かうべきなのに、菅さんや
枝野さんなど、素人の少数の人間だけで動いているようです。

 それで成功しているのであればよいのですが、報道によると自衛官の出動を5万
人や10万人と指示したのも、現場との打ち合わせもなく、菅さんの思いつきのよ
うですし、避難の指示も当初は原発から3キロ周囲だったのが10キロになり20
キロ、30キロに拡大していきましたが、危機管理のプロによると、初めは広く指
定しておき徐々に狭めるのが正しい指示の方法だとのことです。

 その20キロ周囲内に、避難できない被災者が多数存在するのに、支援物資のト
ラックが入れないように指示してしまったことにもなるようですから、犯罪的です。

 情報も十分に公開されないので、原発のプロや放射能のプロも、海外勢も、アド
バイスなりの対応もできず、いらいらしているようです。現場の写真くらい何枚も
取っているでしょうに………。

 とはいいながら、現時点で政権を批判したり、東電を批判しても仕方ありません。
「菅さん頑張れ、東電頑張れ」ですから、菅政権も情報を1人占めしないことを願
わざるをえません。


2011.03.16(水)【計画停電】(金子登志雄)

 計画停電のため、都市機能が麻痺しています。都心部では、多くの会社が17時
で仕事を閉めています。

 しかし、民間会社である東京電力が電気の供給をちょっと絞っただけで、これほ
どの影響が出るとは、日本経済も脆弱なものです。電気に関しては、JR東日本が
ダメなら私鉄に乗るといった選択の余地さえありません。

 東京電力が東北電力のテリトリーに作った福島の原発問題も、深刻な問題に発展
してきました。

 原発の安全性に熱心だった佐藤栄佐久・元福島県知事が冤罪で辞任していなけれ
ば、こんな大きな問題に発展しただろうかと、いまさらながら残念でなりません。

 佐藤事件は、江副氏のリクルート事件と同様に、朝日新聞の誤った報道キャンペ
ーンで東京地検特捜部が動き出し、冤罪といわれる事件に発展したものでした。

   http://eisaku-sato.jp/blg/works/

 とにかく、早く事態が収束し、戦後の驚異的復興と同様に日本人の底力を発揮で
きる環境に戻ってほしいと祈らざるをえません。


2011.03.15(火)【14日の東京事情】(金子登志雄)
 
 昨日の日中の東京は静かでした。節電のため、都心周辺しか電車が走っておら
ず、開店休業の会社や事務所が多かったためです。

 私も都内で寝泊まりし出勤しましたが、会社の同僚はほとんど出勤しておらず、
手持無沙汰でした。

 夕方の5時や6時に会社を閉めたところが多かったのか、主要駅には人が溢れ、
改札口には行列ができていました。道路も、節電に協力するお店が多く、いつも
の明るさがありませんでした。

 コンビニやスーパーの棚には食料品がほとんどありません。非常時を想定し、
インスタントラーメン等を備蓄する会社や家庭が多いためです。

 今日15日も同じでしょうが、私の世代は、停電には慣れていますので、この
程度は何とも思いませんが、この先いつまで続くのか、原発は大丈夫なのか……
については、情報不足のため不安を感じてきています。

 こんなとき最も必要なのは正確な情報ですが、首相官邸は相変わらず大手メディ
ア(記者クラブ)以外のフリー記者や外国人記者を排除しているようです。流言飛
語が飛び交わないためにも、情報のオープン化がぜひとも必要なときなのに、困っ
たものです。
  http://fpaj.jp/?p=771


2011.03.14(月)【大地震】(金子登志雄)

 東北関東大地震により被害を受けられた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 
 都内では、帰りの足がなくなり、会社や事務所に寝泊まりした程度の被害で済み
ましたが、東北地方など大被災地にいる親戚や友人、お客様のことが心配でなりま
せん。私も、仙台市には親戚、福島県にはお客様………と、東北地方には多数の知
り合いがおりますが、いまだに連絡もとれません。

 ぐらっと来たのは、私が約1坪程度の会社の喫煙室で一服しているときでした。
すぐに火を消し、喫煙台を押さえていましたが、いまから考えると、閉じ込められ
ないように即座にドアを開けておくべきでした。

 会社で寝泊まりしたのは、私を含め約10人でした。自宅が遠方でも何とか帰宅
した者のほうが多かったのですが、残留組に女性が3人おりましたので、法務担当
役員の私が先に帰るわけにも行きません。みなが寝静まって後も、ずっとパソコン
でニュースをみておりました。

 大津波には言葉もありません。
 一夜明ければ、今度は福島の原発問題………。

 今週は、無事だったわれわれに何ができるかを考える必要がありそうです。


2011.03.11(金)【種類株式の設計】(金子登志雄)

 金曜日ですので、会社法の話題です。

 上場会社(とくに銀行)発行の優先株式の定款内容に次のような条項があるの
が一般的です。

------------------------------------------------------------------------
(株式の併合、分割又は無償割当て等)
第*条 当会社は、法令に定める場合を除き、A種株式について、株式の併合若
   しくは分割、株式無償割当て又は新株予約権無償割当てを行わない。
  A 当会社は、A種株主に対して、募集株式、募集新株予約権又は募集新株
   予約権付社債の割当てを受ける権利を与えない。
------------------------------------------------------------------------

 会社法施行以前は、上記についてまで登記されていましたが、現在は108条
の株式の内容に属さないので登記は無理でしょう。

 では、なぜ、そんな登記もされないことを定款に定めるのかと疑問に思いませ
んか。これは自分で種類株式の設計をしているとわかります。

 この優先株式を普通株式に転換する際は、当初は優先株式1株につき普通株式
1株の割合での転換とするのが普通ですが、普通株式に分割や併合、あるいは時
価よりも低い価格での新株の発行があると、優先株式1株につき普通株式X株に
なるよう調整式を定めておくのが普通です。

 ここまではよいとして、もし、優先株式についても株式の分割や併合等がある
と、この転換比率の計算が実にややこしくなり、調整式が複雑な内容になります。
そこで優先株式については、固定しておくわけです。

 軸がぶれていけないのは、ゴルフも種類株式も同じですね。人生もこうありた
いものです。


2011.03.10(木)【メディアウォール】(金子登志雄)

 今週の週刊ポストに「メディアウォール」という用語が登場しましたが、ヤフー
の辞書にはありませんでした。簡単にいえば、都合の悪いことを知らしめない情報
の壁のことでしょうか。

 今後、流行りそうな言葉ですが、週刊誌がこの言葉を取り上げたのは、日本の政
治状況を既成権力側(「政官財報」連合で増税・中央集権側)と、改革派(減税・
地方主権・脱官僚)の戦いの構図と捉え、前者の大手マスコミの情報操作を批判す
るのに便利な用語だったからかもしれません。

 この構図は、従来の「親小沢VS反小沢」という人間関係あるいは派閥対派閥の
政局的見方(55年体制時代の古い見方)を超え、政策論や時代の流れの方向から、
政治の対立軸を捉えており、正しい見方だと思いました。

 ところで、このメディアウォールに関連して、情報独占の「記者クラブ制度」に
果敢に戦いを挑んでいるフリーの記者たちによる「自由報道協会」の活躍は素晴ら
しいものがあります。まさに「ベルリンの壁」の崩壊を求める自由戦士の集団かの
ようです。
 
  http://fpaj.jp/

 HPによると、これまでに記者クラブの敵である小沢氏や堀江氏だけでなく、東
京都知事に立候補する渡邉美樹氏や松沢成文氏、あるいは布(ふ)川事件などの冤
罪事件についてまで記者会見を主催していました。大手メディアでは決して報道さ
れることのない内容が多いので、私の好奇心を満足させてくれています。

 その中から、フリー記者の岩上氏のHPで、竹原阿久根前市長と仙波前副市長の
記者会見をみてみました。

http://www.ustream.tv/recorded/13151716#utm_campaigne=synclickback&source=http://iwakamiyasumi.com/ustream-schedule/ustream2&medium=13151716

 不謹慎ながら、大手マスコミの狼藉ぶりなどを具体例を取り上げて名指しで非難
しており、実に面白い内容でした。

 この竹原市長に対して、私は、自衛隊出身のめちゃくちゃな市長というイメージ
を持っていましたが、どうも、私も大手マスコミの報道に洗脳されていたようです。
氏の人間観察も優れており、市民は正確な情報(不正行為)を知るのを嫌がってい
る(知って何もしないと共犯者になり辛いから)との発言には、考えさせられまし
た(学生運動時代の標語「自己否定」に通じるものがありました)。

 仙波副市長は愛媛県で警察の裏金問題を告発した成績優秀な警察官として知られ
ていますが、1円も副市長の報酬をもらわずに、「出る杭」の竹原氏が逮捕されな
いようにガードしていたようです。

 お2人とも、阿久根市で不要なら、ぜひわが町の長に招聘したいくらいです。

 録画は1時間半もありますので、時間が自由な人以外は、土日にでもゆっくり視
聴してみてください。


2011.03.09(水)【学歴民主主義と罪刑法定主義】(金子登志雄)

 前原大臣の辞任については、諸説入り乱れています。偽装献金疑惑の追及から
逃れるための自作自演劇から、次の首相候補を追い落とす官邸陰謀説、前原氏の
北朝鮮ルートに警戒したCIA陰謀説まであります。いまのところ、確度の高い
のは、部下である外務官僚のチクリ説だと思っていますが、前原氏の脇の甘さは
否定できないようです。

 さて、昨日と違って今日は、日本は最高の民主主義国家だという話です。

 ただし、学歴民主主義です。ヨーロッパ社会は靴屋の息子は靴屋にしかなれな
ところがあるのに対し、わが日本では、どんな貧乏人も成績が優秀であれば、東
大に入学し、エリート官僚になることも、総理大臣になることもできます。

 中国の科挙制度から来たものでしょうが、貧乏人もエリートになれる点で、日
本は素晴らしい民主主義国家です。これは素直に評価してよいと思います。

 発展途上国では軍人民主主義があります。貧乏人でも有能であれば軍人となり、
クーデターで国家元首にもなれます。

 学歴民主主義の弊害は、官僚国家となり、エリート官僚が国民や国民から選ば
れた政治家を馬鹿にして、抑えにかかることでしょうか。また、日本の針路を決
める政治課題に対して、冒険をしないことでしょう。既成秩序維持で動きます。

 こういう学歴民主主義についていけなかったのか、先般は、京大入試のカンニ
ングで予備校生が逮捕されましたが、カンニングについて「偽計業務妨害罪」と
は驚きました。

 昨日、「日本では、(法律の)条文内容も曖昧で、既成秩序を維持するための
ツールとしてしか利用されていない」とウォルフレンさんの見方を紹介しました
が、「偽計」なんていう曖昧な用語では、いくらでも拡大解釈ができてしまいま
す。

 条文内容が明確で、ここまでは安全だが、これを越えると犯罪になると示すの
が「罪刑法定主義」の自由主義機能です。そこを越えない限り、自由に活動をで
きると国民が判断できるからです。

 カンニングペーパーでも同罪でしょうか。大相撲の八百長も相撲という業務に
対する偽計業務妨害罪になるのでしょうか。調査を警察に依存し、「偽計」の拡
大解釈のきっかけを作った京都大学に私は批判的です。


2011.03.08(火)【出る杭は打たれる日本】(金子登志雄)

 カレル・ヴァン・ウォルフレンをご存知でしょうか。オランダ人のジャーナリス
ト兼大学教授で、優れた日本研究家です。細かいことを含めて、日本の知識人より
も、ずっと日本の実情に詳しい方です。

 知識よりも「ものの見方、考え方」に関心の強い私は、ネット上で彼の見解を知
り興味を持っていましたので、彼の新著『誰が小沢一郎を殺すのか』(角川書店)
を、さっそく購入し、土日に読んでみました。
   
  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/404885089X.html

 日本国内での見方、米国からみた日本と違うヨーロッパ人からみた日本論・日本
人論ですが、根底には、日本人に対する愛情が溢れた良書でした。内容は、日本の
権力システムや米国への従属を徹底的に批判するものですが、よくもまぁ、日本人
を馬鹿にしないものだと、へんな感動を覚えてしまいました。

 彼が小沢氏をヨーロッパにも存在しないオバマ大統領以上の優れた改革派の政治
家だと高く評価していることはよく知られた事実ですが、小沢嫌いの皆様も、第三
者であるヨーロッパ人の見方を知る上で、たまには彼の著作をいかがですか。

 私の専門の法律でいうと、彼の主張は、西欧では法律は国民の権利を権力から守
るものとして機能しているが、日本では、条文内容も曖昧で、既成秩序を維持する
ためのツールとしてしか利用されていないとのことでした。

 先日、ある人に「日本の民主主義は、いま危機的状況にある」と画一的で金太郎
飴報道の大手マスコミ批判をぶちましたら、「これまでの日本は民主主義国家(法
治国家)だったのか」と反論されてしまいました。

 ウォルフレンさんも、同じように応えるかもしれません。日本は、法治国家とい
うよりも不文律の伝統(既成秩序や慣習)が支配する国だ(だから、改革派が力を
持つとスキャンダルを出して潰しにかかる。リクルートの江副氏もライブドアの堀
江氏もそうだ)というのが彼の主張でした。「出る杭」にもなれない力不足のわれ
われは心配無用のようですが………。

(参考:上記本105頁から財政健全化に対する彼の意見)
--------------------------------------------------------------------------
 菅氏も日本も、財政赤字削減を重視する世界的な流れの被害者だと言えよう。そ
れはアメリカの富裕層を益する政治グループや経済理論に触発された主張であり、
日本のみならず、ドイツ、イギリス、オランダ、フランスでもきわめて強い影響力
を誇っている。
 だがいまの日本が必要としているのは独自の政策である。日本に特有な状況や、
国力を考慮したうえでの政策が必要なのである。赤字というのはもちろん好ましい
ものではないが、その削減は急を要する問題ではない。さまざまな変化によって複
雑化した国際社会や、国内人口の構造的な変化など、産業界が困惑するような新た
な状況が生まれるなかで、海外で考案された処方箋を日本に導入することは得策で
はない。なぜならこれらは現地においてさえも、いい成果を上げているわけではな
いからだ。
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2011.03.07(月)【故意と違法性の意識】(金子登志雄)

 何の証拠もない小沢氏の「政治とカネ」の問題で、ずっと偉そうなコメントをし
ていたお子ちゃま大臣(田中康夫氏の命名)の前原氏がとうとう「誠司とカネ」で
追い詰められ(これを「ブーメラン」というようです)、辞任を表明しました。

 問題となった外国人からの献金問題は、次の条文です。
--------------------------------------------------------------------------
政治資金規正法22条の5
 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人であ
る団体その他の組織(略)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。
--------------------------------------------------------------------------

 前原氏が寄附者を「在日」の外国人だと知っていたとしても、「故意がない」と
の擁護の論調も多いようですが、これは法律的には、難しいように思います。
(献金され たことを実際に知らなかったのであれば別ですが)。

 刑法38条3項に「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す
意思がなかったとすることはできない」と規定されていますし、日本の裁判所は刑
事犯罪に「違法性の意識」を要求していないからです。

 また、故意とは「事実を認識」していることであって、「わざと」という意味は
含まれないというのが明治時代からの裁判所の見解です。

 しかし、そうはいっても、私は、この問題に関しては、前原氏に同情的です。相
手は支援者で知り合いのおばちゃんであり、外国人といっても在日の方です。刑事
罰を課すほどの問題とも大臣を辞任するほどの問題とも思いません。

 そもそも、政治資金規正法から刑事罰を除外すべきだというのが私の主張です。
これまで何度も検察の恣意的運用で、検察が狙った政治家だけを逮捕し、「司法の
政治化・党派化」あるいは「検察国家」を推進してきた悪法だと思うからです。

 有能な政治家ほど、政治資金が集まるものです。そういう有能な政治家を潰すた
めにあるのが政治資金規正法になってしまっている現状をみると、小沢氏の場合と
同様に前原氏に同情してしまいます。

 ただ、もう1つの暴力団筋からの偽装献金問題は、悪質で、こればかりは同情で
きません。石川裁判の期ずれなどとは比較にならない不祥事です。菅・前原応援団
の大手マスコミも(注)、こればかりは、かばいきれないでしょう。
 
 偽装献金問題については、前原・野田・蓮舫氏とも、「返金する」と応えていま
すが、問題先に返金するよりも福祉団体にでも寄附した方がよほど政治家らしいと
思うのですが、なぜそうしないのかと、いつも不思議に思います。

(注)同じ問題につき、大手マスコミとネットで、こんな違いがあります。どちら
  か一方のみでは、正しい判断ができないわけです。
 (共同通信・読売もこれでした)
  http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030501000354.html
 (フリー記者)
  http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/189056760.html


2011.03.04(金)【ずばり講義】(金子登志雄)

 昨日は、東京司法書士協同組合主催の上記『ずばり解説!………』出版記念の
会社法の講義を行いました。会社法ブームが落ち着いたこの時期にしては、まぁ
まぁ盛況で、ほっとしました。

 質疑応答の際に、100%子会社が親会社を吸収合併する場合について質問さ
れました。

 こういう合併も、たまに存在しますが、親が有する子の株式が合併後に自己株
式になるので、それを合併後に消却するか、あるいは同時に合併対価として利用
するかのどちらかであり、それ以外は普通の子会社同士の合併と大差ないと返答
しました。

 なお、講義の際に「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第15条
第2項の規定による届出は、平成〇〇年〇〇月〇〇日受理された」の根拠は、商
業登記規則110条だと話しましたが、次の内容です。
------------------------------------------------------------------------
第110条 (合併、会社分割又は株式移転による登記の申請書の記載)
 合併、会社分割又は株式移転につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関す
る法律 (昭和22年法律第54号) 第15条第2項、第15条の2第2項若し
くは第3項又は第15条の3第2項の規定による届出をした場合においては、合
併による変更若しくは設立の登記、吸収分割承継会社がする吸収分割による変更
の登記若しくは新設分割による設立の登記又は株式移転による設立の登記の申請
書には、届出をした年月日を記載し、………なければならない。
------------------------------------------------------------------------


2011.03.03(木)【裁判傍聴記】(金子登志雄)

 渡部さんは何ごとにも熱心ですね。私は高校生の頃、前橋地裁で、ある刑事裁判
を傍聴したら、ドアが何センチ空いていたかなどということを延々と議論している
場面で、すっかりばかばかしくなり、興味を失いました。

 裁判の傍聴記をネットでみることはあります。ちょうどいまは、小沢秘書だった
石川議員の裁判が始まり、その傍聴記がネットに登場するようになりました。

 http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/02/post_738.html

--------------------------------------------------------------------------
 大久保さんに不動産会社に土地の購入を1月まで延期するように言ってもらった
が、不動産会社に断られた。だが、不動産会社に紹介された司法書士は、10月29日
は仮登記にし、翌年1月を本登記にすれば正式な所有権の移転は1月7日になると
言われた。司法書士は法律のプロなので、(それを疑わずに)「そうしてほしい」
と言った。
--------------------------------------------------------------------------

 この不動産会社とは、仲介者ではなく売り手です。対象の土地は畑で、農地(農
地委員会への届出や許可がないと所有権を移転できない)だったのですが、市街化
区域だったので届出で済み、年内に所有権を移転しようとすればできたが、司法書
士のアドバイスで、原則どおり「仮登記→本登記」にしたということでしょうか。

 いまになってみれば、司法書士のアドバイスが政治史を変える事件になってしま
いましたが(おお、こわい!)、私が担当司法書士でも、売買両当事者から「代金
は前払いしておくが、所有権移転日は1月にしたい」といわれれば応じたことでし
ょう。石川議員にも、司法書士にも、法律上も道義上も、問題はないと考えます。

 その他の人の石川裁判傍聴記などを読んだ限りは、どうも、われわれの確定申告
と同様に、提出直前に突貫工事で石川議員が陸山会の政治資金収支報告書を作って
いたようで、小沢氏と相談して、コトを進めるほど、緻密にはやっていなかったよ
うです。ましてや、石川秘書は他の仕事も兼任で忙しかっただけでなく、「簿外」
の意味も知らないほど会計の素人でしたから(ひょっとして、「農地=仮登記」の
意味も知らなかったかも)、これでは、小沢氏との共謀の余地もなく、検察審査会
による強制起訴の前提が崩れてしまったようです。

 それでも、民主党は小沢氏を問答無用の「党員資格停止処分」にしました。規定
によると最長6カ月間という制度のようですが、今回に限り、裁判の結果がでるま
での無期限のようです。民主党執行部自体も、魔女狩りをしており(朝日新聞が菅
さんに勧めたといわれています)、これで法治国家の政権党といえるのかと、実に
情けない思いです。

(注)ジャーナルの傍聴記に「石川氏の女性秘書がダマし聴取された時の様子」と
ありますが、これは次(週刊朝日記事)のことです。
  http://honnosense.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-7dd4.html


2011.03.02(水)【法廷傍聴−東京出稼ぎ外伝−】(島根・渡部浩義)

 “東京出稼ぎ3部作”の最終章です。

 最近は、北尾トロ氏らの著作等により裁判傍聴が一種のブームのようですが、
平日の上京の折には時間があると、仕事の後に、書店、文具店、美術館めぐりと
並んで裁判傍聴も私のお決まりのコースのひとつです。やはり東京の裁判所の事
件量には圧倒されます。どうしても地方では体験できないボリューム、事件種類
があります。

 結婚して間もないころ、家内と上京し、都内観光の合間に、「帝国ホテル」に
は案内できそうになかったので、日比谷公園をはさんだ反対側の「裁判所」に案
内したことがあります。

 「裁判所ってこんなに簡単に入れるの………。」と、当時アフリカの奥地にも
行こうとしていた家内が、庁舎内廊下で耳打ちしました(まだ、オウム事件の前
だったので、現在のような入口でのボディ・チェック、持ち物検査もありません
でした。)。

 また、何気なく入った地裁刑事合議法廷が、「殺人罪」の審理法廷でした。い
かにもそれらしい(?)雰囲気の被告人が手錠に腰縄のスタイルで入廷してきて、
傍聴席にいる私たちを睨んでいます。完全にビビッていた家内でしたが、起訴状
朗読後、審理が進むにつれて次第に事件内容がつかめてきたのか、相当に熱心に
メモまでとり出しました。

 その後、地下の食堂で“ちゃんぽん”などを食しながら、「ひょっとしたら、
私も犯罪者になるかもしれない。」と、家内が一言。「そう、いろんなことが紙
一重のような気がする。」と、私。 そんな会話をしたような気がします。

 世の中が変わって、私も訴訟代理人として簡裁の民事法廷に立てるようになっ
てからは、その法廷傍聴の意味合いも「人間観察」、「世の様子の観察」にあわ
せ「法廷技術の見学」の意味合いも出てきました。

 このたび傍聴した東京簡裁での初老の「原告代理人」氏は激しかった! ドア
の開閉からはじまって、法廷内での言動、立ち振る舞い、どれも本当に「ケンカ
腰」なのです。被告消費者金融会社の担当者も苦笑い、裁判官も憮然としていま
す。よくよくみると原告代理人の胸のバッジは同職ではありませんか。

 そういえば、金融会社の担当者に連日電話で怒鳴られていた、ほんの10年前
の頃のことなども思いだされてきました。今では立場がいよいよ完全に逆転して
いるようです。

 平素は山あいの簡裁で、裁判官や書記官から手取り足取りの訴訟指揮、アドバ
イスを受けながらのどかに「代理人」をしている者にとっては、少々刺激の強す
ぎる「原告代理人」氏を目の当たりにした今回の法廷傍聴でした。

 私たち司法書士、大丈夫でしょうか………? なにか、「紙一重」のような気
もします。 
 

2011.03.01(火)【年齢と商業登記】(金子登志雄)

 島根の渡部さんは、まだ40代半ばでしたか。若くてうらやましい限りですが、
私も、ついこの間まで同じ年代でした。
 「え?」と思われるかもしれませんが、17年前なんて、つい昨日のことのよ
うに思い出せます。あれから1日しか経っていないのと同じです。

 年齢といえば、代表取締役の就任承諾書に添付される印鑑証明書で、われわれ
司法書士は、その代表者の年齢を知ることができます。

 昔は、私より年長者が社長になっていたのに、最近では私の弟の年代の方が代
表者になるようです。時代の趨勢なのか、なぜか、不思議です。

 私の方が年長のせいか、商業登記についても、コンサルしやすくなったように
感じています。やはり、商業登記は、ある程度の年齢を経ていたほうがよいので
しょう。私は、ウエスト周りも十分にありますから、顧客の社長に負けない貫録
もついてきたようです。

 年齢を経ることは、商業登記の仕事では、決してマイナスではありません。

 商業登記ではありませんが、この方は63歳の誕生日になっても、元気いっぱ
いでした。

  http://www.tokyo-sports.co.jp/hamidashi.php?hid=12097

 もうすぐ(3月5日)誕生日の三宅雪子さんのブログによると、彼女のお母さ
ん(石田博英の娘)は「田中真紀子さんとサッチーとデビ夫人と細木数子さんと
和田アキ子さんを足して5で割って×10した感じ」の貫禄だそうです。ぜひ、
ご意見番として、テレビにでも、ご登場いただきたいものです(三宅さんは表現
力がありますね。毎日のブログの更新も自然体です)。

 http://yukiko-miyake.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-da19.html


2011.02.28(月)【『本棚』−東京の仕事のその後で−】(島根・渡部浩義)

 テレビのニュース番組等で、専門家が本棚(書架)の前でコメントを述べるとい
うのは“お決まり”ともいえるスタイルですが、この瞬間、私はこの先生が何を述
べるかということより、その画面背景に映し出される本棚にある書籍の背表紙の方
に注目がいってしまいます。

 「このセンセイ、どんな本読んでおられるんだろう・・・」と。

 実際に読んだか否かは別として、その本を自分の本棚に並べるということは、そ
の人、その時々の指向(嗜好)や興味、流行を如実に表わすことにほかならないよ
うな気がします。

 また、たまに書架の入れ替えをすると、『以前はあんなこと考えていたのだ、こ
んな分野に興味を持ってたんだ・・・』と、その時々の自分自身の移ろい(?)を
感じ、気恥ずかしくなってしまうことも多いのですが。

 公私にかかわらずよそ様を訪問させていただき、通された部屋に「本棚」がある
と失礼ながら自然とそこに目が向きます。いやらしい気もしますが、人様の本棚に
興味をひかれるのは私だけでしょうか。

 「東京の仕事」も終わり、つかの間の開放的な気分に浸りながら足は自ずと『丸
善丸の内本店』に向いていました。目的は、その4階にある松岡正剛センセイ監修
の『松丸本舗』(注1)の「本棚」を見に行くことです。

 (注1)松丸本舗 http://www.matsumaru-hompo.jp/index.html

 松岡セイゴオ氏については、今さら私ごときがコメントさせていただくまでもな
く、現在を生きる知の巨人の一人であることは誰もが認めるところでしょう。同氏
の手にかかるこの『松丸本舗』の本棚に囲まれた空間にはじめて身をおいたとき、
私は間違いなく“身震い”がしました。 

 『しばらくココにいたい!島根に帰りたくない!』

 比較するのもおこがましいかぎりですが、あまりにもうちの、私の本棚が貧相に
見えました。齢四十を越えていつまでも、『●●術』や『〜しなさい』の類の本、
法律関係書一辺倒のものを嬉々として本棚に並べておく場合ではないのです。

 今まで「本棚」をして、「私バカです(もっとも、利口でもありませんが)、さ
して何も考えてもいません。」と外に向かって開けっぴろげに言っていたようなも
のだったと気づかされ、ズカーンと頭を後ろから殴られたような衝撃さえ覚えまし
た。

 『うちにもカッコイイ「本棚」を作りたい!』

 以来、上京の機会があれば、目の保養と参考のための『松丸本舗』通いが続いて
います。「本棚を写真に撮っていいですか?」と女性スタッフの方に尋ねれば、
「どうぞご存分に。」との笑顔での答え。参考写真も数知れず。模倣から本物は生
まれます、きっと・・・。

 田舎の住まいのこと、幸いにして「本棚」を作るスペースはわが家にもあるので
す。あとはひたすら本の選定眼を養い、読み、はたまたそれを支える資力を涵養す
ることでしょうか。鬼に